(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2支持ベースと前記第3支持ベースにおける前記第2の方向での間隔の長さは、前記支持ブロックの前記凹部と前記第2防振機構の前記上部プレートとの嵌め合いの差よりも大きく設定されている
請求項7に記載の油圧駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態例にかかる、油圧駆動装置及びエレベーター及について、
図1〜
図9を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
1.第1の実施の形態例
1−1.エレベーターの構成例
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるエレベーターの構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本例のエレベーターの構成例を示す概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、本例のエレベーター1は、建築構造物内に形成された昇降路200内を昇降体である乗りかご120が昇降移動する。また、エレベーター1は、油圧により乗りかご120が昇降移動する油圧エレベーターである。なお、乗りかご120が昇降移動する方向を上下方向Zとする。
【0014】
エレベーター1は、油圧駆動装置100と、人や荷物を載せる乗りかご120と、ロープ130と、油圧シリンダー180とを備えている。昇降路200の近傍には、油圧駆動装置100が設置される機械室210が設けられている。また、エレベーター1は、シリンダー支持台170と、第1従動プーリ140と、第2従動プーリ150と、第3従動プーリ160と、緩衝部材190とを備えている。
【0015】
乗りかご120の下部には、せり上げ用プーリ121が設けられている。昇降路200の最下部には、緩衝部材190と、シリンダー支持台170が配置されている。緩衝部材190は、乗りかご120の上下方向Zの下方に配置される。
【0016】
シリンダー支持台170には、第3従動プーリ160が回転可能に支持されている。また、シリンダー支持台170には、油圧シリンダー180が支持されている。油圧シリンダー180は、乗りかご120が昇降移動する方向に沿って伸縮するプランジャー181を有している。また、油圧シリンダー180には、後述する油圧駆動装置100の作動配管14が接続されている。そして、油圧駆動装置100が駆動することで、油圧シリンダー180は、プランジャー181を伸縮動作させる。
【0017】
プランジャー181上下方向の上端部には、回転支持部182が設けられている。回転支持部182には、第1従動プーリ140と、第2従動プーリ150が回転可能に支持されている。
【0018】
ロープ130の一端部131は、昇降路200の頂部に固定されている。ロープ130は、乗りかご120に設けたせり上げ用プーリ121に巻き掛けられる。そして、ロープ130は、せり上げ用プーリ121から、第1従動プーリ140、第3従動プーリ160、第2従動プーリ150の順に巻き掛けられている。
【0019】
また、ロープ130の他端部132は、シリンダー支持台170に固定されている。なお、ロープ130を固定する箇所は、シリンダー支持台170に限定されるものではなく、昇降路200の最下部に固定してもよい。
【0020】
油圧シリンダー180のプランジャー181を伸縮動作することで、乗りかご120は、昇降路200内を昇降する。
【0021】
なお、油圧エレベーターとしては、上述したロープ130を介してプランジャー181の伸縮動作を乗りかご120に伝える間接式の油圧エレベーターに限定されるものではない。例えば、プランジャー181に直接乗りかご120を連結させる直接式の油圧エレベーターを用いてもよい。
【0022】
1−2.油圧駆動装置の構成例
次に、油圧駆動装置100について
図2〜
図5を参照して説明する。
図2は、油圧駆動装置100を示す正面図、
図3は油圧駆動装置100を示す側面図である。
【0023】
図2及び
図3に示すように、油圧駆動装置100は、油圧ユニット10と、油圧ユニット10を支持する支持台20とを備えている。油圧ユニット10は、フレーム2と、油タンク3と、油圧ポンプ4と、駆動モータ5と、制御弁6と、マフラ7とを有している。油タンク3には、作動油が貯蔵される。そして、油タンク3は、フレーム2の上下方向Zの上部に配置される。
【0024】
フレーム2は、中空の略直方体状に形成されている。以下、水平方向と平行をなし、フレーム2の長手方向とも平行な方向を第1の方向Xとする。また、水平方向と平行をなし、フレーム2の短手方向とも平行で、かつ第1の方向Xと直交する方向を第2の方向Yとする。なお、第1の方向Xと第2の方向Yは、上下方向Zと直交する。
【0025】
フレーム2は、後述する支持台20に支持されている。フレーム2には、油圧ポンプ4と、駆動モータ5と、制御弁6が収容される。
【0026】
油圧ポンプ4は、油タンク3と供給配管8を介して接続される。そして、供給配管8を介して油タンク3に貯蔵された作動油が油圧ポンプ4に供給される。また、油圧ポンプ4は、継手9を介して駆動モータ5に接続される。駆動モータ5が駆動することで、油圧ポンプ4が動作する。
【0027】
さらに、油圧ポンプ4には、吐出管11が接続されている。油圧ポンプ4が動作すると、油圧ポンプ4は、吐出管11に作動油を圧送する。また、吐出管11には、制御弁6が接続されている。制御弁6は、吐出管11を介して油圧ポンプ4から送られる作動油の流量を制御する。また、制御弁6は、連結配管13を介してマフラ7に接続される。マフラ7は、作動油の脈動や騒音を抑制する。また、マフラ7には、油圧シリンダー180(
図1参照)に連結される作動配管14が接続されている。そして、連結配管13、マフラ7及び作動配管14を介して、制御弁6で流量が制御された作動油が油圧シリンダー180に送られる。
【0028】
また、制御弁6には、戻り配管12が接続されている。戻り配管12は、油タンク3に接続されている。この戻り配管12を介して、制御弁6から油タンク3に作動油が戻される。
【0029】
[支持台]
次に、支持台20について説明する。
支持台20は、機械室210の床面211に予め設けられた機械室側ベース28に固定される。支持台20は、一対の第1支持ベース21、21と、一対の第2支持ベース22、22と、一対の第3支持ベース23、23と、複数(本例では2つ)の第1防振機構24と、複数(本例では3つ)の第2防振機構25とを有している。また、支持台20は、一対の第1支持ベース21、21を連結する第1連結部材36と、一対の第2支持ベース22、22を連結する第2連結部材37とを有している。
【0030】
図4は、支持台20を模式的に示す平面図である。
図2及び
図4に示すように、支持ベース21、22、23は、それぞれ長尺部材により構成されている。そして、支持ベース21、22、23は、その長手方向が第1の方向Xと平行に配置される。
図2に示すように、第1支持ベース21の長手方向の長さ、すなわち第1の方向Xの長さは、油圧ユニット10を構成するフレーム2の第1の方向Xの長さよりも短く設定されている。また、第2支持ベース22及び第3支持ベース23における長手方向の長さ、すなわち第1の方向Xの長さは、フレーム2の第1の方向Xの長さと略等しく設定されている。
【0031】
一対の第1支持ベース21、21は、油圧ユニット10の上下方向Zの下方に配置される。そして、一対の第1支持ベース21、21には、油圧ポンプ4及び駆動モータ5が載置される。また、
図3及び
図4に示すように、一対の第1支持ベース21、21は、油圧ユニット10における第2の方向Yの両端部に配置される。そのため、一対の第1支持ベース21、21は、第2の方向Yに間隔を空けて配置される。そして、一対の第1支持ベース21、21は、複数の第1連結部材36を介して連結される。第1連結部材36は、第1の方向Xに沿って配置される。
【0032】
図5は、支持台20における片側の支持ベース21、22、23を示す拡大図である。
図5に示すように、第1支持ベース21は、上下方向Zで切断した断面形状が略L字状をなすL型鋼により構成される。第1支持ベース21は、油圧ポンプ4及び駆動モータ5のベース部4a、5aが載置される支持面部21aと、壁面部21bとを有している。
【0033】
壁面部21bは、支持面部21aにおける第2の方向Yの端部から上下方向Zの下方に向けて略垂直に連続している。また、壁面部21bは、第1支持ベース21を配置した際に、支持台20の第2の方向Yの内側に配置される。そして、一対の第1支持ベース21、21の壁面部21b、21bは、第2の方向Yで対向する。そのため、第1支持ベース21における第2の方向Yの外側は、開放されている。また、第1支持ベース21の壁面部21bにおける反対側の第1支持ベース21の壁面部21bと対向する面には、第1連結部材36の端部が固定される。
【0034】
支持面部21aには、複数の不図示の固定孔が形成されている。固定孔は、支持面部21aを上下方向Zに沿って貫通する貫通孔である。この固定孔には、後述する第1防振機構24を固定するための固定ボルト31が挿入される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、第1支持ベース21の上下方向Zの下方には、第2支持ベース22が配置される。
図2及び
図4に示すように、一対の第2支持ベース22、22は、その延在する方向が第1の方向Xに沿って配置される。また、
図3及び
図4に示すように、一対の第2支持ベース22、22は、油圧ユニット10における第2の方向Yの両端部に配置される。そのため、一対の第2支持ベース22、22は、第2の方向Yに間隔を空けて配置される。そして、一対の第2支持ベース22、22は、複数の第2連結部材37を介して連結される。第2連結部材37は、第1の方向Xに沿って配置される。
【0036】
図5に示すように、第2支持ベース22は、上下方向Zで切断した断面形状が略U字状をなすU型鋼により構成される。第2支持ベース22は、支持面部22aと、一対の壁面部22b、22bとを有している。支持面部22aは、第1支持ベース21の支持面部21aと上下方向Zで対向する。また、支持面部22aには、油圧ユニット10のフレーム2が載置される。
【0037】
支持面部22aには、複数の不図示の第1固定孔と、複数の第2固定孔22cが形成されている。第1固定孔及び第2固定孔22cは、支持面部22aを上下方向Zに沿って貫通する貫通孔である。第1固定孔には、後述する第1防振機構24を固定する為の固定ボルト32が挿入される。また、第2固定孔22cには、後述する第2防振機構25を固定するための固定ボルト33が挿入される。
【0038】
さらに、支持面部22aにおける上下方向Zの下面側には、複数の支持ブロック26が固定されている。支持ブロック26は、支持面部22aに例えば溶接により固定される。支持ブロック26は、第2防振機構25が固定される箇所に配置される。
【0039】
支持ブロック26における上下方向Zの下面部には、凹部26aが形成されている。凹部26aは、支持ブロック26の下面部を上下方向Zの上方に向けて所定の長さで窪ませることで形成される。この凹部26aにおける第2の方向Yの長さD2は、後述する第2防振機構25の上部プレート25bにおける第2の方向Yの長さD1よりも長く形成されている。そして、凹部26aには、第2防振機構25の上部プレート25bが嵌合する。
【0040】
また、支持ブロック26には、ブロック側固定孔26bが形成されている。ブロック側固定孔26bは、支持ブロック26を上下方向Zに沿って貫通する貫通孔である。また、ブロック側固定孔26bは、支持面部22aに形成した第2固定孔22cを臨む位置に形成されている。そのため、ブロック側固定孔26bは、第2固定孔22cと連通する。そして、ブロック側固定孔26bには、固定ボルト33が挿入される。
【0041】
一対の壁面部22b、22bは、支持面部22aにおける第2の方向Yの両端部から上下方向Zの下方に向けて略垂直に連続している。そして、一対の壁面部22b、22bは、第2の方向Yで対向する。また、一対の壁面部22b、22bのうち第2の方向Yにおいて油圧ユニット10の内側に配置される壁面部22bには、第2連結部材37の端部が固定される。
【0042】
図2及び
図3に示すように、第2支持ベース22の上下方向Zの下方には、第3支持ベース23が配置される。一対の第3支持ベース23、23は、機械室側ベース28に固定ボルト又は溶接により固定される。
図2及び
図4に示すように、一対の第3支持ベース23、23は、その延在する方向が第1の方向Xに沿って配置される。また、
図3及び
図4に示すように、一対の第3支持ベース23、23は、一対の第1支持ベース21、21及び一対の第2支持ベース22、22と同様に、油圧ユニット10における第2の方向Yの両端部に配置される。そのため、一対の第3支持ベース23、23は、第2の方向Yに間隔を空けて配置される。
【0043】
図5に示すように、第3支持ベース23は、上下方向Zで切断した断面形状が第2支持ベース22と同様に、略U字状をなすU型鋼により構成される。第3支持ベース23は、支持面部23aと、一対の壁面部23b、23bとを有している。支持面部23aは、第2支持ベース22の支持面部22aと上下方向Zで対向する。
図2及び
図3に示すように、第3支持ベース23の支持面部23aは、機械室側ベース28に固定される。
【0044】
また、支持面部23aには、複数の不図示の固定孔が形成されている。固定孔は、支持面部23aを上下方向Zに沿って貫通する貫通孔である。この固定孔には、後述する第2防振機構25を固定するための固定ボルト34が挿入される。
【0045】
一対の壁面部23b、23bは、支持面部23aにおける第2の方向Yの両端部から上下方向Zの上方に向けて略垂直に連続している。そして、一対の壁面部23b、23bは、第2の方向Yで対向する。
【0046】
また、支持面部23aにおける第2の方向Yの長さは、第2支持ベース22の支持面部22aにおける第2の方向Yの長さよりも短く設定されている。そのため、第2支持ベース22を第3支持ベース23の上方に配置した際、第3支持ベース23の一対の壁面部23b、23bは、第2支持ベース22の一対の壁面部22b、22bの間に挿入される。このように、第2支持ベース22と第3支持ベース23は、異なるサイズのU型鋼により構成され、互いに覆い被さるように配置される。すなわち、第2支持ベース22と第3支持ベース23は、上下方向Zで開放された開口を覆うように配置される。これにより、第2支持ベース22と第3支持ベース23で形成された空間内に、第2防振機構25を配置することができる。その結果、支持台20の上下方向Zの高さが高くなることを抑制することができる。
【0047】
また、第3支持ベース23の壁面部23bと第2支持ベース22の壁面部22bとの第2の方向Yの間隔(以下、「壁面部間隔」という)は、長さD3、に設定されている。この長さD3は、支持ブロック26の凹部26aにおける第2の方向Yの長さD2、第2防振機構25の上部プレート25bにおける第2の方向Yの長さD1とした場合、D2−D1<D3を満たす長さに設定されている。すなわち、壁面部間隔の長さD3は、支持ブロック26の凹部26aと上部プレート25bとの嵌め合いの差よりも大きく設定されている。これにより、第3支持ベース23の壁面部23bと第2支持ベース22の壁面部22bが接触することを防止することができる。
【0048】
また、第2支持ベース22及び第3支持ベース23としてU型鋼を適用することで、第2支持ベース22及び第3支持ベース23の長手方向、すなわち第1の方向Xの剛性を高めることができる。
【0049】
さらに、支持ブロック26を設けることで、第2支持ベース22の支持面部22aと第3支持ベース23の支持面部23aとの上下方向Zの間隔を確保することができる。さらに、この支持ブロック26によって、第3支持ベース23の壁面部23bが第2支持ベース22の支持面部22aに干渉したり、第2支持ベース22の壁面部22bが第3支持ベース23の支持面部23aに干渉したりすることを防止することができる。
【0050】
次に、第1防振機構24及び第2防振機構25の位置関係について説明する。
図2、
図3及び
図5に示すように、複数の第1防振機構24、24は、第1支持ベース21と第2支持ベース22の間に介在され、複数の第2防振機構25は、第2支持ベース22と第3支持ベース23の間に介在される。
【0051】
また、
図4に示すように、第1防振機構24は、支持台20の第2の方向Yの両側に、それぞれ2つずつ配置されている。
図2及び
図4に示すように、支持台20の第2の方向Yの一端部側に配置された2つの第1防振機構24、24は、第1の方向Xに所定の間隔を空けて配置される。
【0052】
また、一端部側に配置された2つの第1防振機構24、24のうち1つの第1防振機構24は、油圧ユニット10の重量物である油圧ポンプ4の重心G1と第1の方向Xにおいて略同じ位置に配置される。また、2つの第1防振機構24、24のうち残りの1つの第1防振機構は、油圧ユニット10のもう一つの重量物である駆動モータ5の重心G2と第1の方向Xにおいて略同じ位置に配置されている。これにより、油圧ユニット10から支持台20に加わる荷重を効率良く受けることができる。
【0053】
なお、支持台20の第2の方向Yの他端部側に配置された2つの第1防振機構24、24が配置された箇所は、第2の方向Yの一端部側に配置された2つの第1防振機構24、24と同様であるため、その説明は省略する。
【0054】
第2防振機構25は、支持台20の第2の方向Yの両側に、それぞれ3つずつ配置されている。そして、
図3及び
図4に示すように、複数の第2防振機構25は、複数の第1防振機構24と第2の方向Yにおいて略同じ位置に配置されている。
【0055】
図2及び
図4に示すように、支持台20の第2の方向Yの一端部側に配置された3つの第2防振機構25、25、25は、第1の方向Xに所定の間隔を空けて配置される。3つの第2防振機構25、25、25のうち2つの第2防振機構25、25は、第2支持ベース22及び第3支持ベース23の第1の方向Xの両端部に配置されている。そして、第1の方向Xの両端部に配置された2つの第2防振機構25、25は、2つの第1防振機構24、24よりも第1の方向Xの外側に配置されている。
【0056】
第1の方向Xの一端部に配置された第2防振機構25から第1の方向Xの他端部に配置された第2防振機構25までの長さX1は、油圧ユニット10の第1の方向Xの長さW2よりも短く設定されている。
【0057】
また、3つの第2防振機構25、25、25のうち1つの第2防振機構25は、第1の方向Xにおいて2つの第1防振機構24、24の中間部に配置される。2つの第1防振機構24、24の中間部は、第2支持ベース22が振動した際の振幅が最大となる。すなわち、第2防振機構25は、第1防振機構24を支持点とした場合の振動の振幅が最大となる位置に配置される。この振幅が最大となる振動の腹の位置に第2防振機構25を配置することで、油圧ユニット10からの荷重による支持台20の振動を効率よく抑制することができる。
【0058】
なお、支持台20の第2の方向Yの他端部側に配置された3つの第2防振機構25、25、25が配置された箇所は、第2の方向Yの一端部側に配置された3つの第2防振機構25、25、25と同様である。
【0059】
さらに、2つの第1防振機構24、24と、3つの第2防振機構25、25、25は、第1の方向Xにおいて互い違いの千鳥状に配置されている。そのため、
図2に示すように、第1防振機構24の上下方向Zの下方には、第2防振機構25が配置されない。これにより、第1防振機構24を固定する固定ボルト32が第2防振機構25に干渉したり、第2防振機構25を固定する固定ボルト33が第1防振機構24に干渉したりすることを防ぐことができる。その結果、固定ボルト32及び固定ボルト33を設けるために、支持台20における上下方向Zの高さが高くなることを防ぐことができ、油圧駆動装置100全体の小型化を図ることができる。
【0060】
また、
図3に示すように、支持台20の第2の方向Yの一端部側に配置された第1防振機構24及び第2防振機構25から第2の方向Yの他端部側に配置された第1防振機構24及び第2防振機構25までの長さD5は、油圧ユニット10の第2の方向Yの長さD4よりも短く設定されている。すなわち、
図4に示すように、複数の第1防振機構24及び第2防振機構25は、油圧ユニット10を上下方向Zの上方から見た投影面積内に収まっている。
【0061】
これにより、第1防振機構24又は第2防振機構25が油圧ユニット10の外側に張り出すことを防ぐことができ、支持台20の小型化、すなわち油圧駆動装置100全体の小型化を図ることができる。その結果、機械室210内における保守点検を行うためのスペースを確保することができる。
【0062】
なお、本例では、第2の方向Yの両側にそれぞれ第1防振機構24を2つ、第2防振機構25を3つ設けた例を説明したが、第1防振機構24及び第2防振機構25の数は、これに限定されるものではない。第1防振機構24及び第2防振機構25の数は、油圧ユニット10のサイズや支持台20に求められる防振能力に応じて適宜設定されるものである。
【0063】
次に、第1防振機構24及び第2防振機構25の構成について説明する。
図5に示すように、第1防振機構24は、防振部材24aと、上部プレート24bと、下部プレート24cとを有している。防振部材24aとしては、弾性を有する部材により構成され、例えば、ゴムにより構成されている。防振部材24aの上下方向Zの上面には上部プレート24bが配置されており、防振部材24aの上下方向Zの下面には、下部プレート24cが配置されている。そのため、防振部材24aは、上部プレート24bと下部プレート24cにより挟持される。
【0064】
上部プレート24bと下部プレート24cは、それぞれ略平板状に形成されている。また、上部プレート24bと下部プレート24cにおける第1の方向Xの両端部には、不図示の取付孔が形成されている。取付孔は、上部プレート24b又は下部プレート24cを上下方向Zに沿って貫通する貫通孔である。上部プレート24bは、第1支持ベース21の支持面部21aにおける上下方向Zの下面に配置される。そして、上部プレート24bは、固定ボルト31によって第1支持ベース21の支持面部21aに締結固定される。
【0065】
また、下部プレート24cは、第2支持ベース22の支持面部22aにおける上下方向Zの上面に配置される。そして、下部プレート24cは、固定ボルト32によって第2支持ベース22の支持面部22aに締結固定される。これにより、第1防振機構24は、第1支持ベース21と第2支持ベース22の間に介在された状態で固定される。
【0066】
第2防振機構25は、第1防振機構24と同様に、防振部材25aと、上部プレート25bと、下部プレート25cとを有している。防振部材25aとしては、性を有する部材により構成され、例えば、ゴムにより構成されている。防振部材25aの上下方向Zの上面には上部プレート25bが配置されており、防振部材25aの上下方向Zの下面には、下部プレート25cが配置されている。そのため、防振部材25aは、上部プレート24bと下部プレート25cにより挟持される。
【0067】
上部プレート25bと下部プレート25cは、それぞれ略平板状に形成されている。上部プレート25bの第1の方向Xの両端部には、取付孔25dが形成されている。取付孔25dは、上部プレート25bを上下方向Zに沿って貫通する貫通孔である。同様に、下部プレート25cの第1の方向Xの両端部には、不図示の取付孔が形成されている。
【0068】
下部プレート25cは、第3支持ベース23の支持面部23aにおける上下方向Zの上面部に配置される。そして、下部プレート25cは、固定ボルト34によって第3支持ベース23の支持面部23aに締結固定される。
【0069】
また、上部プレート25bは、第2支持ベース22に固定した支持ブロック26の凹部26aに嵌合される。これにより、第3支持ベース23に対する第2支持ベース22の位置合わせを容易に行うことができる。また、上部プレート25bに形成した取付孔25dは、支持ブロック26のブロック側固定孔26b及び第2支持ベース22の第2固定孔22cと連結する。そして、上部プレート25bは、固定ボルト33によって第2支持ベース22及び支持ブロック26に締結固定される。これにより、第2防振機構25は、第2支持ベース22と第3支持ベース23の間に介在された状態で固定される。
【0070】
1−3.油圧駆動装置の設置作業
次に、上述した構成を有する油圧駆動装置100の設置作業について
図6〜
図8を参照して説明する。
図6は、油圧駆動装置100の設置作業を示す正面図、
図7は、油圧駆動装置100の設置作業を示す側面図、
図8は、油圧駆動装置100の設置作業における片側の支持ベース21、22、23を示す拡大図である。
【0071】
なお、
図6〜
図8では、既設の油圧ユニット及び支持台から新規の油圧ユニット10及び支持台20にリニュアールする例について説明する。まず、既設の支持台及び油圧ユニットを機械室側ベース28から取り外す。次に、
図6及び
図7に示すように、新規の支持台20の一対の第3支持ベース23、23を機械室側ベース28に、溶接又は固定ボルトにより固定する。なお、第3支持ベース23には、予め複数の第2防振機構25の下部プレート25c(
図5参照)が、固定ボルト34を介して固定されている。
【0072】
また、予め、油圧ポンプ4及び駆動モータ5が第1支持ベース21に固定されており、第1支持ベース21に第1防振機構24の上部プレート24b(
図5参照)が、第1支持ベース21に固定ボルト31により固定されている。そして、フレーム2が第2支持ベース22に固定されており、第2支持ベース22には、支持ブロック26が固定されている。
【0073】
さらに、予め、第2支持ベース22に第1防振機構24の下部プレート24c(
図5参照)が固定ボルト32により固定されている。ここで、第1支持ベース21は、L型鋼により構成されており、第2の方向Yの外側が開放されている。そのため、固定ボルト32の締結作業を第1支持ベース21における第2の方向Yの外側から容易に行うことができる。
【0074】
次に、予め一体に組み立てられたフレーム2、第1支持ベース21や第2支持ベース22等からなる組立体に、揚重装置のワイヤーロープ300を連結させる。そして、
図6〜
図8に示すように、第3支持ベース23と第2支持ベース22が上下方向Zで対向するように、揚重装置によって組立体を揚重する。次に、組立体を上下方向Zの下方に下げて、第3支持ベース23に第2支持ベース22を接近させる。
【0075】
そして、
図5に示すように、支持ブロック26の凹部26aに第2防振機構25の上部プレート25bを嵌め合わせる。これにより、第3支持ベース23に対する油圧ユニット10、第1支持ベース21及び第2支持ベース22の第2の方向Yの位置決めを行うことができる。また、第2防振機構25の上部プレート25bにおける第2の方向Yの長さD1、支持ブロック26の凹部26aにおける第2の方向Yの長さD2、壁面部間隔の長さD3は、D2−D1<D3に設定されている。これにより、第3支持ベース23の一対の壁面部23bが、第2支持ベース22の一対の壁面部22b、22bの間に挿入する際に、第3支持ベース23の壁面部23bと第2支持ベース22の壁面部22bが接触することを防止することができる。
【0076】
なお、本例では、複数の支持ブロック26の全ての支持ブロック26に凹部26aを形成する例を説明したが、これに限定されるものではない。凹部26aが形成された支持ブロック26は、複数の支持ブロック26のうち少なくとも1つあれば第3支持ベース23と第2支持ベース22との位置決めを行うことができる。
【0077】
次に、第2防振機構25の上部プレート25bを、固定ボルト33によって、第2支持ベース22の支持面部22a及び支持ブロック26に締結固定する。上述したように、第1支持ベース21における第2の方向Yの外側が開放されているため、作業者は、第1支持ベース21における第2の方向Yの外側から工具を挿入することができる。これにより、固定ボルト33の締結作業を容易に行うことができる。これにより、機械室側ベース28に対する支持台20の固定作業が完了する。
【0078】
次に、フレーム2に油タンク3やマフラ7等の残りの油圧ユニット10を構成する部材を取り付ける。これにより、油圧駆動装置100の設置作業が完了する。
【0079】
2.第2の実施の形態例
次に、第2の実施の形態例にかかる油圧駆動装置の支持台について
図9を参照して説明する。
図9は、第2の実施の形態例にかかる油圧駆動装置の支持台における片側の支持ベースを示す拡大図である。
【0080】
この第2の実施の形態例にかかる油圧駆動装置の支持台が、第1の実施の形態例にかかる油圧駆動装置100の支持台20と異なる点は、第2支持ベース及び第3支持ベースの形状である。そのため、第1の実施の形態例にかかる支持台20と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0081】
図9に示すように、支持台20Bは、第1支持ベース21と、第2支持ベース22Bと、第3支持ベース23Bと、第1防振機構24と、第2防振機構25と、支持ブロック26とを備えている。第1防振機構24は、第1支持ベース21と第2支持ベース22Bの間に介在され、第2防振機構25は、支持ブロック26を介して第2支持ベース22Bと第3支持ベース23Bの間に介在される。そして、第1防振機構24は、固定ボルト31、32によって第1支持ベース21と第2支持ベース22Bに締結固定され、第2防振機構25は、固定ボルト33、34によって第2支持ベース22Bと第3支持ベース23Bに締結固定される。
【0082】
第2支持ベース22Bと第3支持ベース23Bは、それぞれ上下方向Zで切断した断面形状が略L字状をなすL型鋼により構成されている。第2支持ベース22Bは、支持ブロック26が固定された支持面部22aと、壁面部22bとを有している。
【0083】
支持面部22aの上下方向Zの上面には、第1防振機構24が締結固定され、支持面部22aの上下方向Zの下面には、支持ブロック26が固定される。支持面部22aの第2の方向Yの端部からは、壁面部22bが上下方向の下方に向けて略垂直に連続している。この壁面部22bは、第2支持ベース22Bを配置した際に、支持台20Bの第2の方向Yの内側に配置される。
【0084】
第3支持ベース23Bは、支持面部23aと、壁面部23bとを有している。支持面部23aの上下方向Zの上面には、第2防振機構25が締結固定される。支持面部23aの第2の方向Yの端部からは、壁面部23bが上下方向の上方に向けて略垂直に連続している。この壁面部23bは、第3支持ベース23Bを配置した際に、支持台20Bの第2の方向Yの内側に配置される。
【0085】
また、第3支持ベース23Bの支持面部23aにおける第2の方向Yの長さは、第2支持ベース22Bの支持面部22aにおける第2の方向Yの長さよりも短く設定されている。そのため、第2支持ベース22Bを第3支持ベース23Bの上方に配置した際、第3支持ベース23Bの壁面部23bは、第2支持ベース22Bの壁面部22bと第2防振機構25の間に挿入される。
【0086】
この第2の実施の形態例にかかる支持台20によれば、第2支持ベース22B及び第3支持ベース23Bにおける第2の方向Yの外側が開放される。その結果、支持台20の第2の方向Yの外側から第2防振機構25に向けて工具を挿入することができ、第2防振機構25の取付作業や交換作業を容易に行うことができる。
【0087】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる支持台20と同様であるため、それらの説明は省略する。このような支持台20Bを有する油圧駆動装置によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる油圧駆動装置100と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0089】
上述した実施の形態例では、既設の機械室側ベース28に支持台20の第3支持ベース23を固定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エレベーター1を新たに設置する場合、機械室210の床面211に支持台20の第3支持ベース23を直接固定してもよい。
【0090】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。