特許第6899355号(P6899355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899355
(24)【登録日】2021年6月16日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】姿勢反転装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/248 20060101AFI20210628BHJP
   B65G 47/86 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   B65G47/248 G
   B65G47/86 B
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-116615(P2018-116615)
(22)【出願日】2018年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-218183(P2019-218183A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 元裕
(72)【発明者】
【氏名】米山 真二
(72)【発明者】
【氏名】杉山 憲史
(72)【発明者】
【氏名】三村 三千男
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−302705(JP,A)
【文献】 米国特許第05277207(US,A)
【文献】 特開2017−100824(JP,A)
【文献】 実開平04−040053(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22−47/32
B65G 47/80,47/84−47/86,47/90−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を保持するチャック機構を有する反転ユニットと、
前記反転ユニットを搬送し、前記反転ユニットを搬送する搬送方向と直交する押出方向に前記反転ユニットを移動可能に支持する搬送機構と、
前記反転ユニットを前記搬送方向に沿って移動可能に支持するガイドレールと、を備え、
前記反転ユニットは、
前記チャック機構が取り付けられ、円筒状に形成されると共に、外周面にカム溝が形成された円筒カム部材と、
前記円筒カム部材の軸方向を前記押出方向と平行に支持し、かつ前記円筒カム部材を回転可能に支持する回転支持部と、
前記回転支持部が設けられ、前記搬送機構に摺動可能に支持されるスライド部材を有するベース部材と、
前記ベース部材に設けられ、前記ガイドレールを摺動するユニット側カムフォロワと、を有し、
前記搬送機構は、
前記スライド部材を前記押出方向に摺動可能に支持する摺動支持部と、
前記円筒カム部材の前記カム溝に摺動可能に係合する搬送側カムフォロワと、を有し、
前記ガイドレールは、
前記搬送機構との前記押出方向における間隔が一定となる定常領域と、
前記定常領域に連続して設けられ、前記搬送機構との前記押出方向における間隔が変化する反転領域と、を有する
姿勢反転装置。
【請求項2】
前記搬送機構は、
リング状に形成され、前記摺動支持部及び前記搬送側カムフォロワが設けられたホイール部材と、
前記ホイール部材を回転可能に支持する回転駆動機構と、を有し、
前記ガイドレールは、
延在する方向の一端部と他端部が連結された無端状に形成される
請求項1に記載の姿勢反転装置。
【請求項3】
前記反転領域では、前記搬送機構との前記押出方向における間隔が、前記定常領域での前記搬送機構との前記押出方向における間隔よりも狭く設定される
請求項1に記載の姿勢反転装置。
【請求項4】
前記カム溝は、
第1摺動部と、
前記第1摺動部から分岐する第2摺動部と、
前記円筒カム部材の軸方向の一端部と他端部に形成され、前記第1摺動部と前記第2摺動部が合流する合流部と、を有し、
前記反転ユニットは、
前記円筒カム部材の回転角度を調整する回転角度調整機構を有する
請求項1に記載の姿勢反転装置。
【請求項5】
前記容器を排出する排出位置には、前記チャック機構の開閉を行う第1チャック開閉部材が設け、
前記容器が供給される供給位置には、前記チャック機構の開閉を行う第2チャック開閉部材が設けられる
請求項1に記載の姿勢反転装置。
【請求項6】
前記排出位置における前記搬送機構に対する前記反転ユニットの前記押出方向での位置と、前記供給位置における前記搬送機構に対する前記反転ユニットの前記押出方向での位置が同じ位置である
請求項5に記載の姿勢反転装置。
【請求項7】
前記ガイドレールは、水平方向と平行に配置され、
前記搬送方向及び前記押出方向は、前記水平方向と平行であり、
前記反転ユニットは、水平方向と平行に移動する
請求項1に記載の姿勢反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ、アンプル、バイアル等の容器の姿勢を反転させる姿勢反転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の姿勢反転装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、容器を保持可能な保持部を周縁に備える第1の回転体と第2の回転体を、回転軸同士を交差させて配置し、かつ、第1の回転体の回転軸と第2の回転体の回転軸を、互いに逆向きの方向に傾斜させる技術が記載されている。また、特許文献1には、第1の回転体と第2の回転体の周縁が最も近くなっている位置を、第1の回転体の保持部から第2の回転体の保持部に容器を受け渡す受渡し位置とすることが記載されている。そして、第1の回転体に、容器を供給する供給位置を設け、第2の回転体に、容器を搬出する搬出位置を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−18176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、容器を回転体の保持部と摺動支持部材の間で保持していた。そして、特許文献1に記載された技術では、容器を搬送させる際に、容器が摺動支持部材を摺擦しているため、容器に傷が付くおそれがあった。
【0005】
上記の問題点を考慮し、容器に傷が付くことを防ぐことができる姿勢反転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、姿勢反転装置は、容器を保持するチャック機構を有する反転ユニットと、搬送機構と、ガイドレールと、を備えている。搬送機構は、反転ユニットを搬送し、反転ユニットを搬送する搬送方向と直交する押出方向に反転ユニットを移動可能に支持する。ガイドレールは、反転ユニットを搬送方向に沿って移動可能に支持する。
反転ユニットは、円筒カム部材と、回転支持部と、ベース部材と、ユニット側カムフォロワと、を有している。円筒カム部材は、チャック機構が取り付けられ、円筒状に形成されると共に、外周面にカム溝が形成されている。回転支持部は、円筒カム部材の軸方向を押出方向と平行に支持し、かつ円筒カム部材を回転可能に支持する。ベース部材は、回転支持部が設けられ、搬送機構に摺動可能に支持されるスライド部材を有する。ユニット側カムフォロワは、ベース部材に設けられ、ガイドレールを摺動する。
搬送機構は、スライド部材を押出方向に摺動可能に支持する摺動支持部と、円筒カム部材のカム溝に摺動可能に係合する搬送側カムフォロワと、を有している。
ガイドレールは、搬送機構との押出方向における間隔が一定となる定常領域と、定常領域に連続して設けられ、搬送機構との押出方向における間隔が変化する反転領域と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の姿勢反転装置によれば、容器を反転させる際に容器に傷が付くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置を示す概略構成図である。
図2】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置の反転ユニットを示す側面図である。
図3】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置における反転ユニットの円筒カム部材を示すもので、図3Aは側面図、図3Bは展開図である。
図4】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置における反転ユニットの回転角度調整機構を示す斜視図である。
図5】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置における反転ユニットのチャック機構を示す側面図である。
図6】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置における反転ユニットのチャック機構を示す平面図である。
図7】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置における反転ユニットのチャック機構の要部を示す説明図である。
図8】第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置の反転ユニットの反転動作を示す側面図である。
図9】第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置を示す概略構成図である。
図10】第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置の反転ユニットを示す側面図である。
図11】第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置における反転ユニットの円筒カム部材を示すもので、図11A及び図11Bは側面図、図11Cは展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、姿勢反転装置の実施の形態例について、図1図11Cを参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0010】
1.第1の実施の形態例
1−1.姿勢反転装置の構成例
まず、図1図7を参照して姿勢反転装置の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)について説明する。
図1は、本例の姿勢反転装置を示す概略構成図である。
【0011】
図1に示す装置は、例えば、シリンジ、アンプル、バイアル等の容器S1に薬液を充填する充填装置と、容器S1及び充填された薬液の状態を検査する検査装置の間に配置される姿勢反転装置である。そして、図1に示す姿勢反転装置1は、充填装置から供給された容器S1の姿勢を上下に180°に反転させて、検査装置に排出する。なお、また、姿勢反転装置1に容器S1が供給される際、容器S1には、薬液が充填されると共にガスケットも取り付けられている。
【0012】
図1に示すように、姿勢反転装置1は、ホイール部材2と、ガイドレール3と、複数の反転ユニット4とを備えている。また、姿勢反転装置1は、第1チャック開閉部材7と、第2チャック開閉部材8とを備えている。
【0013】
[ホイール部材]
ホイール部材2は、リング状に形成されている。このホイール部材2は、不図示の回転駆動機構により回転可能に支持されている。そして、ホイール部材2と回転駆動機構により搬送機構が構成される。また、ホイール部材2は、水平方向と略平行に配置される。
【0014】
ホイール部材2には、複数のフォロワ支持部9と、複数の摺動支持部10が設けられている。また、複数のフォロワ支持部9と複数の摺動支持部10は、ホイール部材2の周方向に沿って間隔を空けて配置されている。そして、複数のフォロワ支持部9と、複数の摺動支持部10は、姿勢反転装置1に設けられる複数の反転ユニット4と同じ数だけ設けられる。
【0015】
図2は、反転ユニット4を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、フォロワ支持部9と摺動支持部10は、ホイール部材2の上下方向の上面部に設けられている。フォロワ支持部9は、ホイール部材2の上面部から上下方向の上方に向けて立設している。また、フォロワ支持部9には、搬送側カムフォロワ9aが設けられている。搬送側カムフォロワ9aは、フォロワ支持部9に回転可能に支持されている。そして、搬送側カムフォロワ9aは、後述する反転ユニット4のカム溝に摺動可能に係合する。
【0016】
フォロワ支持部9の近傍には、摺動支持部10が設けられている。摺動支持部10には、後述する反転ユニット4のスライド部材13が摺動可能に係合する。摺動支持部10がスライド部材13の摺動させる方向は、ホイール部材2の法線方向と平行である。なお、ホイール部材2の周方向が反転ユニット4を搬送する搬送方向となる。さらに、ホイール部材2の法線方向は、反転ユニット4を搬送する搬送方向と直交している。すなわち、ホイール部材2の法線方向が押出方向である。
【0017】
[ガイドレール]
ガイドレール3は、ホイール部材2の法線方向の内側に配置されている。ガイドレール3は、延在する方向の一端部と他端部が連結した無端状に形成されている。また、ガイドレール3は、定常領域3aと、反転領域3bとを有している。
【0018】
定常領域3aは、円弧状に形成されている。定常領域3aは、ホイール部材2と略同心円状に配置される。そして、定常領域3aでは、ホイール部材2における法線方向での間隔が一定である。定常領域3aの一端部と他端部から反転領域3bが連続して形成されている。反転領域3bは、略楕円状に形成されている。反転領域3bでは、ホイール部材2の周方向に沿ってホイール部材2における法線方向での間隔が連続して変化する。また、反転領域3bでは、ホイール部材2との間隔が定常領域3aよりも狭くなる。
【0019】
ガイドレール3の上下方向の上面部には、摺動溝5が形成されている。摺動溝5は、ガイドレール3が延在する方向に沿って連続して形成されている。この摺動溝5には、後述する反転ユニット4のユニット側カムフォロワ14が摺動可能に係合される。
【0020】
[チャック開閉部材]
第1チャック開閉部材7と第2チャック開閉部材8は、ホイール部材2の外周部に配置されている。そして、第1チャック開閉部材7と第2チャック開閉部材8は、ホイール部材2の外周面から略等しい距離に配置されている。また、第1チャック開閉部材7と第2チャック開閉部材8は、ホイール部材2の周方向に間隔を空けて配置されている。
【0021】
第1チャック開閉部材7は、ホイール部材2の外周部において、保持した容器S1を排出する位置(排出位置)に配置されている。第2チャック開閉部材8は、ホイール部材2の外周において、充填装置から容器S1が供給される位置(供給位置)に配置されている。また、第1チャック開閉部材7及び第2チャック開閉部材8は、ガイドレール3における定常領域3aに配置される。そして、第1チャック開閉部材7と第2チャック開閉部材8は、後述する反転ユニット4のチャック機構21の開閉を行う。
【0022】
[反転ユニット]
複数の反転ユニット4は、ガイドレール3とホイール部材2に移動可能に支持されている。具体的には、反転ユニット4は、ガイドレール3にその延在する方向に沿って移動可能に支持されている。また、反転ユニット4は、ホイール部材2にその法線方向に沿って移動可能に支持されている。そして、ホイール部材2が回転駆動することで、反転ユニット4は、ガイドレール3の摺動溝5に沿って循環移動する。また、複数の反転ユニット4は、ホイール部材2の周方向に沿って間隔を空けて放射状に配置される。
【0023】
図2に示すように、反転ユニット4は、反転移動機構11と、チャック機構21とを有している。反転移動機構11は、ベース部材12と、スライド部材13と、ユニット側カムフォロワ14と、円筒カム部材15と、第1回転支持部16と、第2回転支持部17と、回転角度調整機構39とを備えている。
【0024】
ベース部材12は、矩形をなす略平板状に形成されている。ベース部材12の上下方向の上面部には、第1回転支持部16、第2回転支持部17及び回転角度調整機構39が設けられている。また、ベース部材12の上下方向の下面部には、スライド部材13と、ユニット側カムフォロワ14が設けられている。
【0025】
スライド部材13は、ベース部材12の長手方向の一端部に設けられており、ユニット側カムフォロワ14は、ベース部材12の長手方向の他端部に設けられている。スライド部材13は、ホイール部材2に設けた摺動支持部10に摺動可能に係合する。そして、スライド部材13が摺動支持部10を摺動することで、反転ユニット4は、ホイール部材2に対してホイール部材2の法線方向に移動する。
【0026】
ユニット側カムフォロワ14は、ベース部材12の回転可能に取り付けられている。このユニット側カムフォロワ14は、ガイドレール3の摺動溝5に摺動可能に係合する。そして、ユニット側カムフォロワ14が摺動溝5を摺動することで、反転ユニット4は、ガイドレール3が延在する方向に沿って移動する。
【0027】
第1回転支持部16は、ベース部材12の長手方向の一端部に設けられている。第1回転支持部16は、第1軸受け部16aを有している。第1軸受け部16aは、後述する円筒カム部材15の第1回転軸18を回転可能に支持する。
【0028】
第2回転支持部17は、ベース部材12の長手方向の他端部に設けられている。また、第2回転支持部17は、ユニット側カムフォロワ14よりも第1回転支持部16側に配置されている。第2回転支持部17は、第2軸受け部17aを有している。第2軸受け部17aは、後述する円筒カム部材15の第2回転軸19を回転可能に支持する。
【0029】
図3Aは、円筒カム部材15を示す側面図、図3Bは、円筒カム部材15の外周面を示す展開図である。なお、図3A及び図3Bでは、調整カム32を図示せずに示す。
図2及び図3Aに示すように、円筒カム部材15は、略円筒状に形成されている。円筒カム部材15の軸方向の一端部には、第1回転軸18が設けられており、円筒カム部材15の軸方向の他端部には、第2回転軸19が設けられている。また、図2に示すように、円筒カム部材15の軸方向の他端部には、後述する回転角度調整機構39の調整カム32が設けられている。
【0030】
第1回転軸18は、第1軸受け部16aを貫通し、第1軸受け部16aに回転可能に支持されている。第1回転軸18における第1軸受け部16aから貫通した部分には、チャック機構21が取り付けられる。
【0031】
第2回転軸19は、調整カム32を貫通し、円筒カム部材15の軸方向の他側に向けて突出している。そして、第2回転軸19は、第2軸受け部17aに回転可能に支持されている。そのため、円筒カム部材15は、第1回転支持部16と第2回転支持部17によって回転可能に支持される。そして、円筒カム部材15は、その軸方向が、スライド部材13の摺動する方向、すなわちホイール部材2の法線方向と平行に支持される。
【0032】
図3A及び図3Bに示すように、円筒カム部材15の外周面には、カム溝31が形成されている。カム溝31は、円筒カム部材15の外周面から円筒カム部材15の半径方向の中心に向けて凹んだ溝部である。図2に示すように、このカム溝31には、搬送側カムフォロワ9aが摺動可能に係合される。
【0033】
図3Bに示すように、カム溝31は、第1摺動部31aと、第2摺動部31bと、第1合流部31cと、第2合流部31dとを有している。第1摺動部31a、第2摺動部31b、第1合流部31c及び第2合流部31dは、それぞれ2つずつ形成されている。
【0034】
第1合流部31cは、円筒カム部材15の外周面において、円筒カム部材15の軸方向の一端部に形成されている。第2合流部31dは、円筒カム部材15の外周面において、円筒カム部材15の軸方向の他端部に形成されている。
【0035】
第1摺動部31aと第2摺動部31bは、第1合流部31cと第2合流部31dとを接続するように円筒カム部材15の軸方向の一端部から他端部にかけて連続して形成されている。また、第1摺動部31aと第2摺動部31bは、円筒カム部材15の軸方向に対して傾斜しており、螺旋状に形成されている。
【0036】
なお、第1摺動部31aと第2摺動部31bは、第1合流部31cから分岐し、異なる向きに傾斜している。2つの第1摺動部31aと、2つの第2摺動部31bは、円筒カム部材15の外周面において、円筒カム部材15の周方向に沿って交互に形成されている。そして、第1摺動部31aと第2摺動部31bは、それぞれ円筒カム部材15の周方向に略90°の範囲で形成されている。
【0037】
第1摺動部31aは、第2合流部31dにおいて第1合流部31cから分岐した第2摺動部31bとは異なる第2摺動部31bと合流する。第2摺動部31bは、第2合流部31dにおいて第1合流部31cから分岐した第1摺動部31aとは異なる第1摺動部31aと合流する。
【0038】
なお、カム溝31の形状は、上述した例に限定されるものではない。例えば、第2摺動部31bを円筒カム部材15の軸方向と平行に形成し、第1摺動部31aのみを円筒カム部材15の軸方向に対して傾斜させてもよい。この場合、第1摺動部31aを円筒カム部材15の周方向に略180°未満の範囲で形成してもよい。
【0039】
カム溝31を搬送側カムフォロワ9aが摺動することで、円筒カム部材15が回転する。なお、搬送側カムフォロワ9aがカム溝31における第1摺動部31aと第2摺動部31bの分岐点に配置されたとき、搬送側カムフォロワ9aがカム溝31の分岐点に引っ掛かるおそれがある。または、搬送側カムフォロワ9aが所望の第1摺動部31a又は第2摺動部31bに移動しないおそれがある。その結果、円筒カム部材15の回転動作が安定して行われない可能性がある。そのため、本例の反転移動機構11では、円筒カム部材15の回転動作を安定して行うために、回転角度調整機構39を設けている。
【0040】
次に、回転角度調整機構39について説明する。
図4は、回転角度調整機構39を示す斜視図である。
図2及び図4に示すように、回転角度調整機構39は、調整カム32と、支持ブロック34と、軸部35と、調整カムフォロワ36と、付勢部材37とを備えている。調整カム32は、円筒カム部材15における軸方向の他端部に固定されている。調整カム32は、略円板状に形成されている。調整カム32における端面部32aには、周方向に沿って複数の凹部と凸部が形成されている。また、端面部32aに形成された凹部と凸部は、円筒カム部材15の軸方向に対して傾斜している。
【0041】
支持ブロック34は、ベース部材12の上下方向の上面部に固定されている。支持ブロック34は、第1回転支持部16と第2回転支持部17の間に配置されている。また、支持ブロック34は、ベース部材12の長手方向の他端部において第2回転支持部17の近傍に配置されている。
【0042】
支持ブロック34には、軸部35が設けられている。また、軸部35は、支持ブロック34と第2回転支持部17の間に配置されている。そして、軸部35の軸方向は、円筒カム部材15の軸方向及びスライド部材13の摺動する方向と平行をなしている。
【0043】
また、軸部35には、調整カムフォロワ36を支持するフォロワブロック36aが摺動可能に取り付けられている。フォロワブロック36aには、調整カムフォロワ36が回転可能に支持されている。そして、調整カムフォロワ36は、調整カム32の端面部32aに接触している。
【0044】
さらに、軸部35には、付勢部材37が取り付けられている。付勢部材37は、第2回転支持部17とフォロワブロック36aの間に介在される。そして、付勢部材37は、フォロワブロック36aを第2回転支持部17から離反する方向に付勢している。そして、フォロワブロック36aに設けられた調整カムフォロワ36は、調整カム32の端面部32aを押圧する。
【0045】
上述したように、端面部32aに形成された凹部と凸部は、円筒カム部材15の軸方向に対して傾斜している。そのため、調整カムフォロワ36が調整カム32の端面部32aを軸方向に沿って押圧することにより、調整カム32及び円筒カム部材15には、回転する力が発生する。これにより、円筒カム部材15の回転角度を回転角度調整機構39で調整することができる。
【0046】
また、調整カムフォロワ36が端面部32aの凹部から凸部に移動すると、搬送側カムフォロワ9aは、カム溝31における互いに対向する2つの壁面部のうち一方の壁面部から他方の壁面部に移動する。これにより、搬送側カムフォロワ9aをカム溝31における所望の壁面に当接させることができる。
【0047】
その結果、搬送側カムフォロワ9aがカム溝31の分岐点に引っ掛かったり、搬送側カムフォロワ9aが所望の第1摺動部31a又は第2摺動部31bに移動しなかったりすることを防ぐことができる。そして、円筒カム部材15の回転動作を安定して行うことができる。
【0048】
また、付勢部材37としては、例えば圧縮コイルばねが適用される。なお、付勢部材37としては、圧縮コイルばねに限定されるものではなく、例えば、板ばねやゴム等その他各種の弾性部材を用いてもよい。
【0049】
[チャック機構]
次に、図5図7を参照してチャック機構21について説明する。
図5は、チャック機構21を示す側面図、図6は、チャック機構21を示す平面図である。また、図7は、チャック機構21の要部を示す図である。
【0050】
図5及び図6に示すように、チャック機構21は、保持ユニット22と、2つの開閉ローラ23、23と、本体部24と、2つの回動軸25、25と、開閉用付勢部材26とを有している。
【0051】
2つの開閉ローラ23、23は、接続軸部23aを介して連結される。すなわち、開閉ローラ23は、接続軸部23aの軸方向の両端部に取り付けられている。また、接続軸部23aにおける軸方向の中間部には、係合支持部23bが形成されている。そして、2つの開閉ローラ23、23は、本体部24を間に挟んで上下方向で対向する。また、接続軸部23aは、後述する保持ユニット22の第2保持部22Bに取り付けられている。
【0052】
本体部24には、第1回転軸18と嵌合する嵌合穴24cが形成されている。また、本体部24における嵌合穴24cとは反対側の端部には、挿通凹部24aが形成されている。挿通凹部24aは、本体部24における端部から嵌合穴24c側の端部に向けて凹んだ凹部である。この挿通凹部24aには、2つの開閉ローラ23、23を接続する接続軸部23aが挿通する。
【0053】
また、本体部24の内部には、第1ばね受け片24bが設けられている。ばね受け片24bには、開閉用付勢部材26の一端部が取り付けられる。さらに、本体部24には、保持ユニット22が回動軸25を介して回動可能に取り付けられている。
【0054】
図6に示すように、保持ユニット22は、第1保持部22Aと、第2保持部22Bとを有している。また、第1保持部22A及び第2保持部22Bは、略L字状に形成されている。第1保持部22A及び第2保持部22Bは、それぞれ回動軸25を介して本体部24に回動可能に取り付けられている。回動軸25は、第1保持部22A及び第2保持部22Bにおける屈曲部に配置されている。
【0055】
第1保持部22Aと第2保持部22Bは、挿通凹部24a及び接続軸部23aを間に挟んで対向する。また、第1保持部22A及び第2保持部22Bは、それぞれ容器S1を保持する保持爪22eを有している。
【0056】
第1保持部22Aにおける回動軸25を間に挟んで保持爪22eとは反対側の端部には、係合受部22aが形成されている。係合受部22aは、接続軸部23aに設けた係合支持部23bに回動可能に係合される。
【0057】
第2保持部22Bにおける回動軸25を間に挟んで保持爪22eとは反対側の端部には、接続軸部23aを支持する軸支持部22bが形成されている。そして、接続軸部23aは、軸支持部22bを上下方向に貫通している。
【0058】
また、第2保持部22Bにおける軸支持部22bの近傍には、第2ばね受け片22cが設けられている。第2ばね受け片22cには、開閉用付勢部材26の他端部が取り付けられている。開閉用付勢部材26は、例えば、引っ張りコイルばねにより構成されている。開閉用付勢部材26は、第2ばね受け片22cを第1ばね受け片24bに向けて付勢している。そのため、第2保持部22Bの軸支持部22b及び接続軸部23aは、本体部24における嵌合穴24c側に引き付けられる。
【0059】
また、第1保持部22Aの係合受部22aも、係合支持部23bを介して本体部24における嵌合穴24c側に引き付けられる。その結果、第1保持部22A及び第2保持部22Bは、回動軸25を中心に回動し、互いに保持爪22eが接近する。
【0060】
なお、開閉ローラ23、23が第1チャック開閉部材7又は第2チャック開閉部材8に当接すると、開閉ローラ23、23は、開閉用付勢部材26の付勢力に抗して、本体部24における嵌合穴24cから離反する向きに移動する。開閉ローラ23、23が移動することで、接続軸部23aも挿通凹部24aに沿って本体部24における嵌合穴24cから離反する向きに移動する。
【0061】
また、接続軸部23aが移動することで、第1保持部22A及び第2保持部22Bは、回動軸25を中心に、互いの保持爪22eが離反する方向に回動する。これにより、チャック機構21の保持ユニット22が開く。
【0062】
なお、開閉用付勢部材26としては、引っ張りコイルばねに限定されるものではなく、例えば、板ばねやゴム等その他各種の弾性部材を適用できるものである。さらに、チャック機構21としては、上述した構成に限定されるものではなく、第1チャック開閉部材7及び第2チャック開閉部材8によって開閉可能な構成であれば、その他各種の構成を適用できるものである。
【0063】
1−2.姿勢反転装置の動作例
次に、上述した構成を有する姿勢反転装置1の動作例について、図1図2及び図8を参照して説明する。
図8A図8Dは、反転ユニット4の反転動作を示す側面図である。
【0064】
図1に示すように、不図示の回転駆動機構が駆動すると、ホイール部材2が周方向に沿って回転する。なお、図1に示す例では、ホイール部材2は、時計回りに回転する。ホイール部材2が回転することで、反転ユニット4のユニット側カムフォロワ14がガイドレール3の摺動溝5を摺動し、ホイール部材2により反転ユニット4は、ガイドレール3に沿って搬送される。
【0065】
また、ユニット側カムフォロワ14がガイドレール3の定常領域3aを移動するとき、図8Aに示すように、搬送側カムフォロワ9aは、円筒カム部材15のカム溝31における第1合流部31cに配置される。上述したように、定常領域3aでは、ガイドレール3とホイール部材2との間隔は、一定であるため、スライド部材13は、摺動支持部10を摺動しない。そして、搬送側カムフォロワ9aは、第1合流部31cに留まる。そのため、反転ユニット4は、回転することなく、ガイドレール3に沿って移動する。
【0066】
反転ユニット4が供給位置まで移動すると、チャック機構21の開閉ローラ23が第2チャック開閉部材8によって反転移動機構11から離反する方向に押圧される。これにより、チャック機構21の保持ユニット22が開く。そして、不図示の充填装置から容器S1が反転ユニット4に供給される。また、反転ユニット4が第2チャック開閉部材8を通過すると、開閉ローラ23は、開閉用付勢部材26(図6参照)により反転移動機構11に接近する方向に付勢される。そのため、チャック機構21の保持ユニット22が閉じられて、容器S1が保持ユニット22によって保持される。
【0067】
さらに、ホイール部材2が回転し、反転ユニット4がガイドレール3の反転領域3bまで移動すると、ガイドレール3とホイール部材2の間隔が狭まる。そのため、図8Bに示すように、スライド部材13が摺動支持部10を摺動し、反転ユニット4は、ホイール部材2の法線方向の外側に向けて押し出される。
【0068】
また、反転ユニット4がホイール部材2の法線方向の外側に向けて移動することで、搬送側カムフォロワ9aは、円筒カム部材15のカム溝31を摺動する。具体的には、搬送側カムフォロワ9aは、第1合流部31cから第1摺動部31aに移動する。
【0069】
搬送側カムフォロワ9aが第1摺動部31aを摺動することで、円筒カム部材15及びチャック機構21は、第1回転支持部16及び第2回転支持部17に支持されて、回転する。また、ガイドレール3とホイール部材2の間隔が最も狭まるとき、搬送側カムフォロワ9aが第1摺動部31aを通過して第2合流部31dまで到達する。そして、円筒カム部材15及びチャック機構21は、略90°回転する。
【0070】
さらに、ホイール部材2が回転し、反転ユニット4がガイドレール3に沿って移動すると、ガイドレール3とホイール部材2の間隔が徐々に広がる。そのため、図8Cに示すように、スライド部材13が摺動支持部10を摺動し、反転ユニット4は、ホイール部材2の法線方向の内側に向けて引き寄せられる。
【0071】
また、搬送側カムフォロワ9aは、第2合流部31dから第2摺動部31bに移動する。搬送側カムフォロワ9aが第2摺動部31bを摺動することで、円筒カム部材15及びチャック機構21は、第1回転支持部16及び第2回転支持部17に支持されて、回転する。そのため、円筒カム部材15及びチャック機構21は、ホイール部材2の法線方向の内側に向けて引き寄せられながら、略90°回転する。
【0072】
図8Dに示すように、搬送側カムフォロワ9aが第2摺動部31bを通過して第1合流部31cまで到達すると、円筒カム部材15及びチャック機構21は、図8Aに示す初期状態から180°回転する。そのため、チャック機構21に保持された容器S1の姿勢は、上下に180°反転する。
【0073】
さらに、ホイール部材2が回転すると、ユニット側カムフォロワ14は、ガイドレール3の反転領域3bから定常領域3aに移動する。また、反転ユニット4が排出位置まで移動すると、チャック機構21の開閉ローラ23が第1チャック開閉部材7によって押圧される。これにより、チャック機構21の保持ユニット22が開き、不図示の検出装置に容器S1を排出する。また、反転ユニット4が第1チャック開閉部材7を通過すると、チャック機構21の保持ユニット22が閉じられる。これにより、姿勢反転装置1における容器S1の搬送動作が完了する。
【0074】
なお、円筒カム部材15及びチャック機構21が180°回転するため、チャック機構21の本体部24の向きを上下に180°反転する。そのため、本例では、開閉ローラ23を本体部24の上下にそれぞれ設けている。これにより、チャック機構21の向きが上下に反転しても、開閉ローラ23を確実に第1チャック開閉部材7及び第2チャック開閉部材8に押し当てることができる。
【0075】
本例の姿勢反転装置1によれば、容器S1をチャック機構21で保持した状態で、他の部材に摺擦することなく、反転させることができる。これにより、反転動作時に容器S1に傷が付くことを防止することができる。
【0076】
さらに、円筒カム部材15に形成したカム溝31の形状を変更することで、円筒カム部材15及びチャック機構21が反転する速度を調整することができる。これにより、チャック機構21によって保持された容器S1を反転させるための時間を比較的長く確保することができる。その結果、容器S1に充填された薬液が反転動作時に泡立つことを防止することができる。
【0077】
また、ホイール部材2及びガイドレール3は、水平方向と略平行に配置されている。そのため、反転ユニット4を搬送する方向は、水平方向と平行になる。そして、反転ユニット4が水平方向と略平行に移動した状態で、円筒カム部材15及びチャック機構21が反転する。そのため、反転動作する際に、チャック機構21及びチャック機構21に保持された容器S1が水平方向と直交する上下方向に揺動することがない。これにより、容器S1を上下方向に揺れ動かすことなく反転させることができ、容器S1に充填された薬液が泡立つことを防ぐことができる。
【0078】
また、本例の姿勢反転装置1では、円筒カム部材15及びチャック機構21を反転させる際に、反転ユニット4をホイール部材2の法線方向に沿って移動させている。これにより、反転動作時に、隣り合う2つの反転ユニット4、4のチャック機構21に保持された容器S1が互いに干渉することを防ぐことができる。その結果、容器S1同士が干渉することで、容器S1に傷が付くことを防ぐことができる。
【0079】
また、円筒カム部材15及びチャック機構21が180°回転すると、反転ユニット4におけるホイール部材2に対する位置が元に戻る。すなわち、容器S1を受け取る供給位置と容器S1を排出する排出位置におけるチャック機構21とホイール部材2との間隔は、同じになる。そのため、供給位置で隣り合う2つの反転ユニット4、4のチャック機構21の間隔t1と、排出位置で隣り合う2つの反転ユニット4、4のチャック機構21の間隔t2は、同じ長さになる。すなわち、供給位置と排出位置でのチャック機構21の移動速度は、変化しない。
【0080】
これにより、供給位置と排出位置におけるチャック機構21の状態を同じ状態にすることができる。その結果、容器S1が供給される充填装置の供給部及び容器S1を排出する検出装置に受け取り部の構造を同様な構造にすることができる。
【0081】
なお、本例の姿勢反転装置1では、複数の反転ユニット4における反転移動機構11の構造を全て同じ構造にした例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、隣り合う反転ユニット4のカム溝31の形状を変更することで、円筒カム部材15及びチャック機構21が回転するタイミングをずらすことができる。
【0082】
2.第2の実施の形態例
次に、姿勢反転装置の第2の実施の形態例について図9図11Cを参照して説明する。
図9は、第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置の概略構成図、図10は、第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置の反転ユニットを示す側面図である。図11A図11Cは、反転ユニットの円筒カム部材を示すもので、図11A及び図11Bは、側面図、図11Cは、展開図である。
【0083】
この第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置が、第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置1と異なる点は、ガイドレール及び反転ユニットの構成である。そのため、ここでは、ガイドレール及び反転ユニットについて説明し、第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0084】
図9及び図10に示すように、姿勢反転装置41は、ホイール部材2と、ガイドレール43と、複数の反転ユニット44とを備えている。また、姿勢反転装置41は、第1チャック開閉部材47と、第2チャック開閉部材48とを備えている。ホイール部材2には、複数のフォロワ支持部49と、複数の摺動支持部50が設けられている。フォロワ支持部49には、搬送側カムフォロワ49aが設けられている。
【0085】
ガイドレール43は、ホイール部材2の法線方向の内側に配置されている。ガイドレール43は、定常領域43aと、反転領域3bとを有している。定常領域43aは、円弧状に形成されており、ホイール部材2と略同心円状に配置される。反転領域43bも円弧状に形成されており、ホイール部材2と略同心円状に配置される。なお、反転領域43bは、定常領域43aよりもホイール部材2との間隔が狭くなっている。また、定常領域43aから反転領域43bに向かうにつれてホイール部材2との間隔が連続して狭くなっている。
【0086】
なお、ガイドレール43の上下方向の上面部には、摺動溝45が形成されている。摺動溝45には、後述する反転ユニット44のユニット側カムフォロワ54が摺動可能に係合される。
【0087】
第1チャック開閉部材7と第2チャック開閉部材8は、ホイール部材2の外周部に配置されている。第1チャック開閉部材7は、ガイドレール43における反転領域43bに配置されており、第2チャック開閉部材8は、ガイドレール43における定常領域43aに配置されている。第1チャック開閉部材7からホイール部材2の外周面までの距離は、第2チャック開閉部材8からホイール部材2の外周面までの距離よりも長く設定されている。
【0088】
複数の反転ユニット44は、ガイドレール43とホイール部材2に移動可能に支持されている。反転ユニット44は、反転移動機構51と、チャック機構21とを有している。チャック機構21の構成は、第1の実施の形態例にかかる反転ユニット4のチャック機構21と同一であるため、その説明は省略する。
【0089】
反転移動機構51は、ベース部材52と、スライド部材53と、ユニット側カムフォロワ54と、円筒カム部材55と、第1回転支持部56と、第2回転支持部57とを備えている。スライド部材53、ユニット側カムフォロワ54、第1回転支持部56及び第2回転支持部57は、ベース部材52に設けられている。
【0090】
スライド部材53は、ホイール部材2の摺動支持部50に摺動可能に支持されている。ユニット側カムフォロワ54は、ガイドレール43の摺動溝45に摺動可能に係合する。円筒カム部材55は、略円筒状に形成されている。円筒カム部材55は、第1回転軸58と、第2回転軸59とを有している。
【0091】
第1回転軸58は、第1回転支持部56に設けた第1軸受け部56aに回転可能に支持されている。第1回転軸58には、チャック機構21が取り付けられている。第2回転軸59は、第2回転支持部57に設けた第2軸受け部57aに回転可能に支持されている。そのため、円筒カム部材55は、第1回転支持部56と第2回転支持部57によって回転可能に支持されている。
【0092】
図11A及び図11Bは、円筒カム部材55を示す側面図、図11Cは、円筒カム部材55の外周面を示す展開図である。
図11A及び図11Bに示すように、円筒カム部材55の外周面には、カム溝61が形成されている。図10に示すように、カム溝61には、搬送側カムフォロワ49aが摺動可能に係合される。図11Cに示すように、カム溝61は、円筒カム部材55の軸方向の一端部から他端部にかけて連続して形成されている。また、カム溝61は、円筒カム部材55の軸方向に対して傾斜しており、螺旋状に形成されている。そして、カム溝61は、円筒カム部材55の周方向に略180°の範囲で形成されている。
【0093】
次に、上述した構成を有する第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置41の動作例について説明する。
図9に示すように、不図示の回転駆動機構が駆動すると、ホイール部材2が回転する。そして、ホイール部材2により反転ユニット44は、ガイドレール43に沿って搬送される。ユニット側カムフォロワ54がガイドレール43の定常領域43aを移動するとき、搬送側カムフォロワ49aは、図10に示すように、カム溝61における円筒カム部材55の軸方向の一端部に配置される。
【0094】
図9に示すように、反転ユニット44が供給位置まで移動すると、第2チャック開閉部材8によりチャック機構21の保持ユニット22が開き、不図示の充填装置から容器S1が供給される。そして、反転ユニット44が第2チャック開閉部材8を通過すると、チャック機構21の保持ユニット22が閉じられ、容器S1が保持ユニット22によって保持される。
【0095】
さらに、ホイール部材2が回転し、反転ユニット44がガイドレール43の反転領域43bまで移動すると、ガイドレール43とホイール部材2の間隔が狭まる。そして、スライド部材53が摺動支持部10を摺動し、反転ユニット44は、ホイール部材2の法線方向の外側に移動する。また、反転ユニット44がホイール部材2の法線方向の外側に向けて移動することで、搬送側カムフォロワ9aは、円筒カム部材55のカム溝61を摺動する。そのため、円筒カム部材55及びチャック機構21は、第1回転支持部56及び第2回転支持部57に支持されて、回転する。
【0096】
反転領域43bの中間部においてガイドレール43とホイール部材2の間隔が最も狭くなる。このとき、搬送側カムフォロワ9aは、カム溝61における円筒カム部材55の軸方向の他端部に移動する。そのため、円筒カム部材55及びチャック機構21は、初期状態から180°回転し、チャック機構21に保持された容器S1の姿勢は、上下に180°反転する。
【0097】
さらに、ホイール部材2が回転すると、反転ユニット44は、排出位置まで移動する。そして、チャック機構21のチャック機構21の開閉ローラ23が第1チャック開閉部材7によって押圧され、チャック機構21の保持ユニット22が開く。これにより、不図示の検出装置に容器S1が排出される。また、反転ユニット4が第1チャック開閉部材7を通過すると、チャック機構21の保持ユニット22が閉じられる。
【0098】
このように、第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置1では、反転ユニット44がガイドレール43の反転領域43bに移動した状態で、容器S1を排出している。すなわち、反転ユニット44がホイール部材2の法線方向の外側に押し出された状態で、容器S1を排出している。そのため、第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置41では、供給位置で隣り合う2つの反転ユニット44、44のチャック機構21の間隔t3と、排出位置で隣り合う2つの反転ユニット44、44のチャック機構21の間隔t4は、異なる長さになる。
【0099】
さらに、ホイール部材2が回転すると、反転ユニット44は、ガイドレール43の反転領域43bから再び定常領域43aに移動する。そのため、ガイドレール3とホイール部材2の間隔が徐々に広がる。そして、スライド部材53が摺動支持部10を摺動し、反転ユニット44は、ホイール部材2の法線方向の内側に向けて引き寄せられる。
【0100】
また、搬送側カムフォロワ9aは、再びカム溝61を摺動し、カム溝61における円筒カム部材55の軸方向の他端部から一端部に向けて移動する。これにより、円筒カム部材55及びチャック機構21は、容器S1を反転させる際に回転した向きとは反対向きに180°回転する。その結果、反転ユニット44は、ホイール部材2に対する位置が図10に示す初期位置に戻る。
【0101】
この第2の実施の形態例にかかる姿勢反転装置41では、カム溝61が分岐を有していない棒線状に形成されており、搬送側カムフォロワ9aは、カム溝61を往復移動している。そのため、搬送側カムフォロワ9aが分岐点で引っ掛かるおそれがないため第1の実施の形態例にかかる反転移動機構11のように、反転移動機構51に回転角度調整機構39を設ける必要がない。その結果、反転ユニット44の部品点数を削減することができ、反転ユニット44の構造の簡略化を図ることができる。
【0102】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する姿勢反転装置41においても、上述した第1の実施の形態例にかかる姿勢反転装置1と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0103】
なお、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0104】
上述した実施の形態例では、搬送機構としてリング状のホイール部材を適用し、ガイドレールを無端状に形成し、反転ユニットを循環移動させる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ガイドレールにおける一端部と他端部とを連結させずに、搬送機構によって反転ユニットを直線状に搬送させてもよい。
【0105】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…姿勢反転装置、 2…ホイール部材、 3…ガイドレール、 3a…定常領域、 3b…反転領域、 4…反転ユニット、 5…摺動溝、 7…第1チャック開閉部材、 8…第2チャック開閉部材、 9…フォロワ支持部、 9a…搬送側カムフォロワ、 10…摺動支持部、 11…反転移動機構、 12…ベース部材、 13…スライド部材、 14…ユニット側カムフォロワ、 15…円筒カム部材、 16…第1回転支持部(回転支持部)、 16a…第1軸受け部、 17…第2回転支持部(回転支持部)、 17a…第2軸受け部、 18…第1回転軸、 19…第2回転軸、 21…チャック機構、 22…保持ユニット、 22a…係合受部、 22A…第1保持部、 22b…軸支持部、 22B…第2保持部、 22e…保持爪、 23…開閉ローラ、 23a…接続軸部、 23b…係合支持部、 24…本体部、 24a…挿通凹部、 24c…嵌合穴、 25…回動軸、 26…開閉用付勢部材、 31…カム溝、 31a…第1摺動部、 31b…第2摺動部、 31c、31d…合流部、 32…調整カム、 32a…端面部、 34…支持ブロック、 35…軸部、 36…調整カムフォロワ、 36a…フォロワブロック、 37…付勢部材、 39…回転角度調整機構、 S1…容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11