【実施例1】
【0029】
本発明の実施例1について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1におけるピックアップ方法を説明する図である。
図2は、本発明の実施例1における平行度調整方法を説明する図であり、(a)は、平行度が調整された状態、(b)は平行度が調整されていない状態を示す。
図3は、本発明の実施例1における平行度調整装置を説明する側面図である。
図4は、本発明の実施例1における平行度調整装置を説明する上面図である。
【0030】
実施例1においては、キャリア基板2にマトリックス状に載置された複数のマイクロLED1(
図1の奥行き方向にも載置されている)をヘッド11に設けた複数のノズル12(
図1の奥行き方向にも設けられている)でピックアップする場合の平行度調整方法及び平行度調整装置について説明する。すなわち、実施例1においては、複数のマイクロLED1を微小部品群とする。
【0031】
ヘッド11に設けた各ノズルはポリマー系樹脂で構成され、粘着性を有しており、マイクロLED1のXY方向に配列ピッチのN倍のピッチでアレイ状にピックアップ可能に設けられている。ここで、マイクロLED1のXY方向に配列ピッチのN倍のピッチでピックアップするとは、実装対象の回路基板にマイクロLED1を実装する場合に回路基板のディスプレイの画素ピッチに配列することを可能とするためである。つまり、マイクロLED1はキャリア基板2からN回ピックアップすると配列ピッチのN倍=画素ピッチとすることでピッチ変更なしに所定の場所に無駄なく回路基板に実装することができる。同様にR、G、Bの各色を1画素として、それぞれのキャリア基板から回路基板に実装することができる。
【0032】
この粘着性を有した各ノズル12でキャリア基板2上に載置されたマイクロLED1をピックアップする。つまり、
図1(a)に示すように、ノズル12がマイクロLED1の真上に位置するようにヘッド11を移動させて位置決めした後、微小部品群であるマイクロLED1に向かって下降させる。
図1(b)に示すように、ノズル12の先端がマイクロLED1の上部に接触するとヘッドの下降を停止させる。キャリア基板2とマイクロLED1とは粘着性のある部材で粘着されているが、ノズル12の先端面の粘着度の方がキャリア基板2の粘着度よりも大きいのでノズル12を接触させて上昇させることにより、マイクロLED1をピックアップすることができる(
図1(c))
【0033】
このピックアップ時に、例えば、ヘッド11又はキャリア基板2が傾いているとヘッド11のいずれかの端部に近いノズル12とマイクロLED1とが接触することができず、又は位置がずれて、ピックアップすることができない場合が考えられる。そのため、実施例1においては、ヘッド11のノズル12とキャリア基板2上のマイクロLED1との平行度を調整してピックアップするように構成している。また、後述するように、ヘッド11のノズル12でピックアップしたマイクロLED1を回路基板3に実装する場合も同様の平行度を調整して実装することが重要である。 ここで、ヘッド11は図示しないヘッドホルダーに吸着又はその他の保持手段で脱着可能に保持され、キャリア基板2及び回路基板3は図示しない載置台に吸着又はその他の保持手段で脱着可能に保持されている。そして、平行度調整においては、ヘッド11、キャリア基板2、回路基板3のそれぞれの平坦度が担保されていれば、ヘッドホルダーと載置台の間の平行度を調整する方法でも構わない。
【0034】
図2を参照して、本発明における平行度調整方法について説明する。
図2(a)は、ヘッド11のノズル12(第2対象部)と微小部品群である複数のマイクロLED1(第1対象部)とが隙間を有して略対向され、ノズル12の先端と複数のマイクロLED1との平行度が調整された状態を示している。LB21及びLB22は、
図2の奥行き方向から手前方向に第1発光部21及び第2発光部22から発光された(第1第2発光工程)線状レーザ光を示しており、ノズル12の先端からマイクロLED1の先端まで透過しているが、ノズル12及びマイクロLED1に照射された線状レーザ光は透過していない。そして、透過した線状レーザ光LB21及び線状レーザ光LB22を第1受光部31及び第2受光部32が受光する(第1第2受光工程)。
図2(a)では、線状レーザ光LB21及び線状レーザ光LB22の線状方向(Z方向)の長さがL0で同じとなっておりその長さの差はゼロである。
【0035】
図2(b)は、ヘッド11のノズル12の先端と微小部品群である複数のマイクロLED1とが隙間を有して略対向され、ノズル12の先端と複数のマイクロLED1との平行度が調整されておらずθだけ傾いた状態を示している。線状レーザ光LB21及び線状レーザ光LB22は、
図2の奥行き方向から手前方向に第1第2発光工程にて発光された線状レーザ光を示しており、ノズル12の先端からマイクロLED1の先端まで透過している。線状レーザ光LB21及び線状レーザ光LB22は、第1第2受光工程にて第1受光部31及び第2受光部32が受光する。
図2(b)では、線状レーザ光LB21の線状方向(Z方向)の長さL2が線状レーザ光LB22の線状方向(Z方向)の長さL1よりも長く、その長さの差はL2−L1である。
【0036】
すなわち、実施例1においては、線状レーザ光LB21の線状方向の受光長さL2と線状レーザ光LB22の線状方向の受光長さL1との差により平行度が調整されているか否かを知ることができ、当該差に基づいて第1対象部であるキャリア基板2上に複数載置された微小部品群(マイクロLED1)と、第2対象部であるヘッド部(ヘッド11のノズル12)との平行度を調整するように構成している。つまり、線状レーザ光LB21の線状方向の受光長さL2と線状レーザ光LB22の線状方向の受光長さL1との差が所定値以下になるようにヘッド11を駆動して平行度を調整する調整工程を実施する。
【0037】
なお、実施例1においては、第2対象部を駆動して平行度を調整するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1対象部を駆動して平行度を調整するように構成してもよいし、第1対象部及び第2対象部の双方を駆動して平行度を調整するように構成してもよい。
【0038】
次に、
図3、
図4を参照して、実施例1における平行度調整装置について説明する。
図3は、本発明の実施例1における平行度調整装置を説明する側面図である。
図4は、本発明の実施例1における平行度調整装置を説明する上面図である。
【0039】
図3、
図4に示すように、+X方向(第1方向)において間隔をおいて配置され、対向する−X方向(第2方向)に向けて線状に線状レーザ光LB21を発光可能な第1発光部21及び線状レーザ光LB21を発光可能な第2発光部が設けられている。また、−X方向(第2方向)において間隔をおいて配置され、第1発光部21から発光された線状レーザ光LB21を受光可能な第1受光部31、及び第2発光部22から発光された線状レーザ光LB22を受光可能な第2受光部32が設けられている。
【0040】
また、第1方向及び第2方向と直交する+Y方向(第3方向)において間隔をおいて配置され、対向する−Y方向(第4方向)に向けて線状に線状レーザ光LB23を発光可能な第3発光部23及び線状レーザ光LB24を発光可能な第4発光部24が設けられている。また、−Y方向(第4方向)において間隔をおいて配置され、第3発光部23から発光された線状レーザ光LB23を受光可能な第3受光部33、及び第4発光部24から発光された線状レーザ光LB24を受光可能な第4受光部34が設けられている。
【0041】
第1発光部21、第2発光部22、第3発光部23、及び第4発光部24は、いずれも同じ構成を有しており、半導体レーザ源を線状に配列して構成されている。また、第1受光部31、第2受光部32、第3受光部33、及び第4受光部34は、いずれも同じ構成を有しており、線状に配列したCCDセンサーからなっている。
【0042】
ここで、第1発光部21と第2発光部との間隔、及び第3発光部と第4発光部との間隔は、できるだけ離れていることが好ましい。ヘッド11の両端部のノズル12付近が最も好ましい。
図2においては、マイクロLED1のある場所に線状レーザ光LB21及び線状レーザ光LB22が照射されているが、マイクロLED1がない場所であってもよい。
【0043】
また、第1発光部21と第1受光部31、第2発光部22と第2受光部32、第3発光部23と第3受光部33、及び第4発光部24と第4受光部34は、それぞれX軸又はY軸方向に平行に配置して対向させ、第1発光部21と第1受光部31、及び第2発光部22と第2受光部32に対して直交する方向に第3発光部23と第3受光部33、及び第4発光部24と第4受光部34を配置しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1発光部21と第1受光部31及び第2発光部22と第2受光部32、又は第3発光部23と第3受光部33、及び第4発光部24と第4受光部34を、X軸又はY軸に対して角度を有した状態で対向させてもよいし、第1発光部21と第1受光部31及び第2発光部22と第2受光部32のみをX軸又はY軸と角度を有した状態で対向させてもよい。少なくとも第1発光部21と第1受光部31及び第2発光部22と第2受光部32に対して公差する方向に第3発光部23と第3受光部33及び第4発光部24と第4受光部34を配置すればよい。
【0044】
第1発光部21、第2発光部22、第3発光部23、及び第4発光部24からは、ヘッド11のノズル12(第2対象部)と複数のマイクロLED1(第1対象部)とを隙間を有して略対向させた略対向方向と直交する方向(Z方向)の線状レーザ光をそれぞれ第1受光部31、第2受光部32、第3受光部33、及び第4受光部34に向かって線状に発光する。発光した線状レーザ光は直進し、
図3に示すLB21のように、ノズル12やマイクロLED1等の障害物に遮断され、障害物のない空間のみを通過してそれぞれ対応する受光部に到達する。
【0045】
そして、
図2(a)に示すように平行度が調整された状態であれば、例えば、第1第2発光工程で発行された線状レーザ光を、第1第2受光工程で第1受光部31が受光した線状レーザ光LB21における線状方向(Z方向)の受光長さL0と、第2受光部32が受光した線状レーザ光LB22における線状方向(Z方向)の受光長さLOとは同じ長さとなり、その差はゼロとなる。
【0046】
また、
図2(b)に示すように平行度が調整されていない状態であれば、例えば、第1第2発光工程で発行された線状レーザ光を、第1第2受光工程で第1受光部31が受光した線状レーザ光LB21における線状方向(Z方向)の受光長さL2と、第2受光部32が受光した線状レーザ光LB22における線状方向(Z方向)の受光長さL1とは同じ長さとはならず、その差はL2−L1となりゼロではない。
【0047】
図2では、第1第2発光工程及び第1第2受光工程における平行度調整方法について示しているが、第3発光部23及び第4発光部24が線状レーザ光を発光する第3第4発光工程、及び第3受光部33及び第4受光部34が線状レーザ光を受光する第3第4発光工程においても同様である。
【0048】
実施例1における平行度調整装置は、第2対象部であるヘッド部(ヘッド11のノズル12)を駆動させて第1対象部であるキャリア基板2上に複数載置された微小部品群(マイクロLED1)との平行度を調整する駆動部と、線状レーザ光における線状方向の受光長さL1及びL2に基づいて駆動部を制御する制御部を備えている。
【0049】
制御部は、上述のそれぞれの受光長さの差であるL2−L1が所定値以下となるように駆動部を駆動させて平行度を調整する調整工程を実行する。駆動部は、X方向及びY方向にそれぞれ傾きを変更する手段を設けてもよいし、X方向及びY方向の傾きを同時に変更する手段を設けてもよい。
【0050】
ここで、所定値以下とは、複数のマイクロLED1の全てがヘッド11の複数のノズル12にピックアップ可能な値であればよく、好ましくは1μm以下であればよく、最も好ましくは0.5μm以下が望ましい。また、第1第2受光工程で受光した線状レーザ光の受光長さの差に基づいて平行度調整する際の所定値と、第3第4受光工程で受光した線状レーザ光の受光長さの差に基づいて平行度調整する際の所定値とは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0051】
なお、実施例1においては、第1方向、第2方向(X方向)に第1発光部21、及び第2発光部22を設け、第3方向、第4方向(Y方向)に第3発光部23、及び第4発光部24を設け、それぞれ対向する第1受光部31、第2受光部32、第3受光部33、及び第4受光部34を設けるように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1方向、第2方向(X方向)さえ平行度調整すれば、第3方向、第4方向(Y方向)の平行度は満足される場合は、第1方向、第2方向(X方向)に第1発光部21、及び第2発光部22を設けるとともに対向する第1受光部31、第2受光部32を設けるのみでよい。
【0052】
なお、実施例1においては、ヘッド11のノズル12(第2対象部)と複数のマイクロLED1(第1対象部)とを隙間を有して略対向させて第1第2発光工程、第3第4発光工程、第1第2受光工程、及び第3第4受光工程を実行しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、隙間を有さずに略対向させて第1第2発光工程、第3第4発光工程、第1第2受光工程、及び第3第4受光工程を実行してもよい。この場合もL2−L1が所定値以下になるように平行度を調整すればよい。
【0053】
第1発光部21、第2発光部22、第3発光部23、及び第4発光部24からは、第2対象部と第1対象部とを略対向させた略対向方向と直交する方向(Z方向)の線状レーザ光を線状に発光するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、略対向方向とは直交せず所定の角度を有した方向に線状レーザ光を線状に発光するように構成してもよい。少なくとも略対向方向と交差する方向に線状レーザ光を線状に発光するように構成すればよい。
【0054】
このように実施例1においては、第1対象部と第2対象部との平行度を調整する平行度調整装置であって、
第1方向において間隔をおいて配置され、対向する第2方向に向けて線状に線状レーザ光を発光可能な第1発光部及び第2発光部と、
前記第2方向において間隔をおいて配置され、前記第1発光部から発光された線状レーザ光を受光可能な第1受光部、及び前記第2発光部から発光された線状レーザ光を受光可能な第2受光部と、
前記第1対象部又は前記第2対象部を駆動させて前記第1対象部と前記第2対象部との平行度を調整する駆動部と、
前記第1受光部及び前記第2受光部が受光した線状レーザ光における線状方向の受光長さに基づいて前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記第1対象部と前記第2対象部とを略対向させた略対向状態で、前記第1受光部及び前記第2受光部に向けて、前記略対向方向と交差する方向の線状レーザ光を発光させることを特徴とする平行度調整装置により、手間がかからず、正確に平行度調整することができる。
【0055】
また、第1対象部と第2対象部との平行度を調整する平行度調整方法であって、
第1方向において間隔をおいて配置された第1発光部及び第2発光部から対向する第2方向に向けて線状に線状レーザ光を発光する第1第2発光工程と、
前記第2方向において間隔をおいて配置された第1受光部及び第2受光部において、前記第1発光部から発光された線状の線状レーザ光を第1受光部が受光し、前記第2発光部から発光された線状の線状レーザ光を第2受光部が受光する第1第2受光工程と、
前記第1受光部及び前記第2受光部が受光した線状レーザ光における線状方向の受光長さに基づいて前記第1対象部又は前記第2対象部を駆動させて前記第1対象部と前記第2対象部との平行度を調整する調整工程と、を備え、
前記第1第2発光工程では、前記第1対象部と前記第2対象部とを略対向させた略対向状態で、前記第1発光部及び前記第2発光部から前記第1受光部及び前記第2受光部に向けて、前記略対向方向と交差する方向の線状レーザ光を発光させることを特徴とする平行度調整方法により、手間がかからず、正確に平行度調整することができる。
【0056】
さらに、上述の平行度調整装置をピックアップ装置に適用して、平行度調整方法を実行することにより精度が高く確実なピックアップ方法を実現することができる。