(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ムラ補正部は、前記第1液晶パネルの表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブルと、前記第2液晶パネルの表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブルとを有し、前記第1ルックアップテーブル及び前記第2ルックアップテーブルを用いて、前記第1分配画像信号に対して前記第1ムラ補正を行う
請求項1に記載の液晶表示装置。
前記分配部から出力された前記第2分配画像信号に対して、前記表示部の表示ムラを抑制する第2ムラ補正を行うことで前記第2出力画像信号を生成し、生成した前記第2出力画像信号を前記第2液晶パネルに出力する第2ムラ補正部を、さらに備える
請求項1に記載の液晶表示装置。
前記第1ムラ補正部は、前記第1液晶パネルの表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブルを有し、当該第1ルックアップテーブルを用いて前記第1ムラ補正を行い、
前記第2ムラ補正部は、前記第2液晶パネルの表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブルを有し、当該第2ルックアップテーブルを用いて前記第2ムラ補正を行う
請求項3に記載の液晶表示装置。
前記ムラ補正部は、前記第1液晶パネルの表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブルと、前記第2液晶パネルの表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブルとを有し、前記第1ルックアップテーブル及び前記第2ルックアップテーブルを用いて、前記分配画像信号に対して前記ムラ補正を行う
請求項5に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
複数の液晶パネル(例えば、第1液晶パネル及び第2液晶パネル)を重ね合わせると、第1液晶パネルと第2液晶パネルとの間隔に応じて視差が発生して画像品位が低下する。そこで、視差を低減するための画像処理を行うことが検討されている。そのような液晶表示装置を、
図18を参照しながら説明する。
図18は、比較例に係る液晶表示装置1010の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
図18に示すように、液晶表示装置1010は、第1液晶パネル1020と、第2液晶パネル1030と、画像処理部1080とを備える。また、画像処理部1080は、第1液晶パネル1020に出力する第1出力画像信号と、第2液晶パネル1030に出力する第2出力画像信号とに入力画像信号を分配する分配部1090を有する。ここでの分配とは、入力画像信号に基づいて、当該入力画像信号に基づく画像を表示するための第1出力画像信号と第2出力画像信号とを生成することを意味する。
【0013】
分配部1090は、白黒画像生成部1091と、ガンマ処理部1092と、視差低減部1093と、除算処理部1094と、乗算器1095とを有する。また、除算処理部1094と、乗算器1095とで、計算部1096を構成する。なお、第1液晶パネル1020は、観察者側に配置され、例えば、カラー画像を表示する。第2液晶パネル1030は、第1液晶パネル1020より観察者から遠い位置に配置され、例えば、モノクロ画像を表示する。
【0014】
白黒画像生成部1091は、入力画像信号を取得すると、入力画像信号の色情報を示す各色の値(例えば、RGB値:[R値、G値、B値])のうち最大値(R値、G値又はB値)を用いて白黒画像(モノクロ画像)に対応する白黒画像データを生成する。具体的には、白黒画像生成部1091は、各画素に対応するRGB値において、当該RGB値のうち最大値をその画素の値に設定することにより白黒画像データを生成する。白黒画像生成部1091は、生成した白黒画像データをガンマ処理部1092に出力する。
【0015】
ガンマ処理部1092は、第2液晶パネル1030の階調変換特性(ガンマ特性)に応じて入力画像信号における各画素の階調値を変換し、視差低減部1093に出力する処理部である。ガンマ処理部1092は、
図19Aに示すように、入力画像信号に含まれる複数の階調値のうち第1階調値以上の階調値を第2階調値に階調補正をする。
図19Aは、比較例に係る第2液晶パネル1030のガンマ特性を示す図であり、白黒画像データに対応する階調値(入力階調)と、ガンマ補正後に対応する階調値(出力階調)とが関連付けられている。ガンマ処理部1092は、例えば、入力階調が256階調(第1階調値の一例)以上のときに、出力階調を出力階調の最大値である1023階調(第2階調値の一例)に決定する。ガンマ処理部1092は、
図19Aに示す階調変換特性に基づく変換テーブル(ルックアップテーブル)を有しており、当該変換テーブルを用いて視差低減部1093に出力する白黒画像データに対応する階調値を決定する。なお、第1階調値は、256階調に限定されず、第1液晶パネルと第2液晶パネルとの間隔等に応じて、適宜決定される。
【0016】
図19Bは、比較例に係る入力階調と第2液晶パネル1030の透過率(
図19Bの例では、正規化統合透過率)との関係を示す図である。
図19Bに示すように、入力階調が256階調以上である場合、第2液晶パネル1030の透過率は最大値となる。
【0017】
図18を再び参照して、視差低減部1093は、ガンマ処理部1092が出力した階調補正された入力画像信号(具体的には、階調補正した白黒画像データ)に対して、第1出力画像信号に基づく第1画像と、第2出力画像信号に基づく第2画像との視差を低減する補正をする処理部である。視差低減部1093は、階調変換された白黒画像データを取得すると、白黒画像データに対して高輝度領域を拡張する拡張フィルタ処理を行う。拡張フィルタ処理は、例えば、第2液晶パネル1030の各画素(注目画素)について、所定のフィルタサイズ(例えば、数画素×数画素)内の輝度の最大値をその画素(注目画素)の輝度に設定する処理である。拡張フィルタ処理は、複数の画素のそれぞれにおいて実行される。上記の拡張フィルタ処理により、全体的に高輝度領域(例えば白色領域)が拡張する。これにより、液晶表示装置1010を斜め方向から見たときに、視差により画像の輪郭が2重に見える2重像が発生するなど、視差が発生して画像品位が低下することを抑制することができる。なお、フィルタサイズは、特に限定されず、またフィルタ形状は、正方形に限定されず円形などでもよい。
【0018】
視差低減部1093は、例えば、いわゆるMAXフィルタ(最大値フィルタ)により実現される。また、MAXフィルタは、フィルタサイズを可変できるものであるとよい。視差低減部1093は、第1液晶パネル1020と第2液晶パネル1030との間隔に応じて適切なフィルタサイズを決定することで、当該間隔に応じた視差低減を行うことができる。
【0019】
拡張フィルタ処理を行った白黒画像データは、第2出力画像信号として、第2液晶パネル1030に出力される。また、さらに当該第2出力画像信号は、計算部1096(具体的には、除算処理部1094)に出力される。
【0020】
計算部1096は、入力画像信号について、視差低減部1093から取得した第2出力画像信号に基づいて、第1液晶パネル1020で表示するカラー画像のための第1出力画像信号を生成する。計算部1096は、第1出力画像信号に基づいて第1液晶パネル1020が表示する第1画像と、第2出力画像信号に基づいて第2液晶パネル1030が表示する第2画像との合成画像が、入力画像信号に基づく画像となるように、第1出力画像信号の各画素それぞれの階調値を決定する。具体的には、除算処理部1094は、まず、上記の第2出力画像信号(例えば、白黒画像の階調値)を取得すると、
図20Aに示す階調変換特性を用いて第2出力画像信号に対応する出力階調を取得する。
図20Aは、比較例に係る第1液晶パネル1020の階調変換特性(ガンマ特性)を示す図である。なお、
図20Aに示す入力階調とは、第2出力画像信号の階調値に対応する入力画像信号の階調値を意味する。
【0021】
除算処理部1094は、補正テーブル(ルックアップテーブル)を参照して、上記で算出した出力階調を補正して第1出力画像信号を生成するための補正値を取得する。補正テーブルには、出力階調と補正値とが対応付けられている。補正テーブルの補正値は、高階調域(例えば、256階調以上)では、除算処理部1094の入力値の逆数に対応して設定される。除算処理部1094は、取得した補正値を乗算器1095に出力する。
【0022】
乗算器1095は、取得した補正値に基づいて、第1出力画像信号の階調値を決定する。具体的には、乗算器1095は、入力画像信号の階調値に補正値を乗算して得られた値を第1出力画像信号の階調値として決定する。乗算器1095は、生成した第1出力画像データを第1液晶パネル1020に出力する。これにより、第1液晶パネル1020の各画素の明るさ(例えば、透過率)は、拡張フィルタ処理を反映した明るさとなる。
【0023】
図20Bは、比較例に係る入力階調と第1液晶パネル1020の透過率(
図20Bの例では、正規化統合透過率)との関係を示す図である。
【0024】
上記の処理により、視差による画像品位の低下は低減するものの、仕様によっては更なる視差による画像品位の低下の抑制が求められる場合がある。
【0025】
そこで、第1液晶パネル1020と第2液晶パネル1030との間隔を狭くすることで、視差の発生自体を抑制することが検討されている。例えば、視差による画質品位の低下(例えば、2重像の発生)が気にならない程度まで第1液晶パネル1020と第2液晶パネル1030との間隔を狭くすることで、上記の視差低減部1093を省略することが可能となる。
【0026】
しかしながら、第1液晶パネル1020と第2液晶パネル1030とを接着する接着層(例えば、OCA:Optical Clear Adhesive)の厚みを薄くすると、第1液晶パネル1020と第2液晶パネル1030との間に働く応力等を当該接着層が吸収できなくなり、当該応力により第1液晶パネル1020及び第2液晶パネル1030の少なくとも一方のセルギャップ(液晶層の厚み)が不均一となる。その結果、液晶表示装置1010にセルギャップ等に起因する表示ムラ(例えば、輝度ムラ又は色ムラ)が発生し、画質品位が低下する。
【0027】
そこで、本願発明者らは、第1液晶パネル1020と第2液晶パネル1030との間隔を狭くすることで視差による画質品位の低下を抑制しつつ、かつ当該間隔を狭くすることで発生する表示ムラによる画質品位の低下を抑制できる液晶表示装置について、鋭意検討を行った。そして、第1液晶パネル1020及び第2液晶パネル1030の少なくとも一方に発生する表示ムラを信号処理により補正することで、上記課題を解決できることを見出した。具体的には、分配部で分配された画像信号に対して信号処理を行うことで、より精度よく表示ムラを抑制できることを見出した。
【0028】
以下、実施の形態にについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、構成要素の接続形態、ステップ、及び、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0029】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0030】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置について、
図1〜
図9を参照しながら説明する。
【0031】
[1−1.液晶表示装置の構成]
まず、実施の形態1に係る液晶表示装置10の全体の概略構成について、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の分解斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の概略構成を示す図である。
図2では、液晶表示装置10における第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30のドライバの構成を示す。
【0032】
図1に示すように、液晶表示装置10は、観察者に近い位置(前側)に配置された第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20よりも観察者から遠い位置(後側)に配置された第2液晶パネル30と、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30を貼り合わせる接着層40と、第2液晶パネル30の背面側(後側)に配置されたバックライト50と、観察者側から第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30を覆うフロントシャーシ60とを備える。
【0033】
接着層40で貼り合わされた第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30は、液晶表示部10a(液晶モジュール)を構成し、バックライト50とともに、中間フレーム(図示せず)及びリアフレーム(図示せず)等に固定されている。液晶表示部10aは、第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20の背面側において当該第1液晶パネル20と重ね合わせて配置される第2液晶パネル30とを有する表示部の一例である。
【0034】
第1液晶パネル20は、メインパネルであって、ユーザが視認する画像を表示する。本実施の形態において、第1液晶パネル20は、カラー画像を表示する。一方、第2液晶パネル30は、第1液晶パネル20の背面側に配置されるサブパネルである。本実施の形態において、第2液晶パネル30は、第1液晶パネル20に表示されるカラー画像に対応した画像パターンのモノクロ画像(白黒画像)を、そのカラー画像に同期させて表示する。
【0035】
第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の液晶駆動方式は、例えばいずれもIPS方式又はFFS方式等の横電界方式であってもよい。また、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30はいずれも、ノーマリーブラックであり、電圧印加時に白表示で、電圧無印加時に黒表示となる。
【0036】
なお、接着層40の厚みは、例えば、0.5mm以下である。接着層40の厚みを0.5mm以下とすることで、上記で説明した視差が発生することを抑制することができる。
【0037】
図2に示すように、第1液晶パネル20には、入力画像信号に応じたカラー画像を第1画像表示領域20aに表示するために、第1ソースドライバ21及び第1ゲートドライバ22が設けられている。
【0038】
一方、第2液晶パネル30には、入力画像信号に応じたモノクロ画像を第2画像表示領域30aに表示するために、第2ソースドライバ31及び第2ゲートドライバ32が設けられている。
【0039】
図1に示すように、バックライト50は、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30に向けて光を照射する面光源である。バックライト50は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を光源とするLEDバックライトであるが、これに限るものではない。また、本実施の形態において、バックライト50は、直下型であるが、エッジ型であってもよい。なお、バックライト50は、光源からの光を拡散させるために拡散板(拡散シート)等の光学部材を有していてもよい。
【0040】
フロントシャーシ60は、観察者側(前方側)に配置されるフロントフレームである。フロントシャーシ60は、例えば矩形状の枠体である。フロントシャーシ60は、鋼板又はアルミニウム板等の剛性の高い金属材料で構成されているとよいが、樹脂材料で構成されていてもよい。
【0041】
また、液晶表示装置10は、第1液晶パネル20の第1ソースドライバ21及び第1ゲートドライバ22を制御する第1タイミングコントローラ71と、第2液晶パネル30の第2ソースドライバ31及び第2ゲートドライバ32を制御する第2タイミングコントローラ72と、第1タイミングコントローラ71及び第2タイミングコントローラ72に画像データを出力する画像処理部80とを備える。
【0042】
画像処理部80は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力画像信号Dataを受信し、所定の画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ71に第1出力画像信号DAT1を出力し、第2タイミングコントローラ72に第2出力画像信号DAT2を出力する。また、画像処理部80は、第1タイミングコントローラ71及び第2タイミングコントローラ72に同期信号等の制御信号(図示せず)を出力する。第1出力画像信号DAT1は、カラー表示用の画像データであり、第2出力画像信号DAT2は、モノクロ表示用の画像データである。
【0043】
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置10では、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の2つの表示パネルを重ね合わせて画像を表示しているので、黒を引き締めることができる。これにより、高コントラスト比の画像を表示することができる。また、液晶表示装置10は、例えばHDR(High Dynamic Range)対応テレビであり、バックライト50として、ローカルディミング対応の直下型LEDバックライトを用いてもよい。この場合、さらに高コントラスト比かつ高画質のカラー画像を表示することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、第1液晶パネル20が第1画像表示領域20aにカラー画像を表示し、第2液晶パネル30が第2画像表示領域30aに白黒画像を表示する構成としたが、これに限らない。例えば、第1液晶パネル20が第1画像表示領域20aに白黒画像を表示し、第2液晶パネル30が第2画像表示領域30aにカラー画像を表示する構成であってもよい。また、例えば、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30がともにカラー画像又は白黒画像を表示する構成であってもよい。
【0045】
ここで、液晶表示装置10の詳細な構成を、
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の拡大断面図である。
【0046】
まず、第1液晶パネル20について説明する。
図3に示すように、第1液晶パネル20は、一対の第1透明基板23と、第1液晶層24と、一対の第1偏光板25とを有する。
【0047】
一対の第1透明基板23の各々は、例えばガラス基板であり、互いに対面するように配置されている。本実施の形態において、一対の第1透明基板23のうち第2液晶パネル30側の位置する第1透明基板23がTFT(Thin Film Transistor)等を形成するためのTFT基板である第1TFT基板23aであり、一対の第1透明基板23のうち第2液晶パネル30側とは反対側に位置する第1透明基板23が第1対向基板23bである。
【0048】
第1TFT基板23aの第1液晶層24側の面には、TFT又は配線等が設けられた第1TFT層26が形成されている。また、第1TFT層26の平坦化層上には、第1液晶層24に電圧を印加するための画素電極が形成されている。本実施の形態では第1液晶パネル20がIPS方式により駆動されるので、第1TFT基板23aには、画素電極だけではなく、対向電極も形成されている。TFT、画素電極及び対向電極等は、画素それぞれに形成されている。また、画素電極及び対向電極を覆うように配向膜が形成されている。
【0049】
第1対向基板23bは、カラーフィルタ27bが形成されたカラーフィルタ基板(CF基板)であり、第1対向基板23bの第1液晶層24側の面には、第1ブラックマトリクス27a及びカラーフィルタ27bを有する第1画素形成層27が形成されている。
【0050】
第1液晶層24は、一対の第1透明基板23の間に封止されている。第1液晶層24の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。第1液晶層24の厚さは、例えば、2.5μm〜6μmであるが、これに限るものではない。
【0051】
第1画素形成層27は、一対の第1透明基板23の間に配置されている。つまり、第1ブラックマトリクス27a及びカラーフィルタ27bは、一対の第1透明基板23の間に配置されている。第1ブラックマトリクス27aには、画素を構成するマトリクス状の複数の第1開口部が形成されている。つまり、複数の第1開口部の各々は、複数の画素の各々に対応している。第1ブラックマトリクス27aは、例えば、各第1開口部の平面視形状が矩形状となるように、格子状に形成されている。
【0052】
カラーフィルタ27bは、第1ブラックマトリクス27aの第1開口部の内部に形成されている。カラーフィルタ27bは、例えば、赤色用のカラーフィルタ、緑色用のカラーフィルタ、及び、青色用のカラーフィルタによって構成されている。各色のカラーフィルタは、各画素に対応している。
【0053】
一対の第1偏光板25は、樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、一対の第1透明基板23を挟むように配置されている。一対の第1偏光板25は、偏光方向が互いに直交するように配置されている。つまり、一対の第1偏光板25は、クロスニコルで配置されている。一対の第1偏光板25の各々の厚さは、例えば、0.05mm〜0.5mmであるが、これに限るものではない。
【0054】
次に、第2液晶パネル30について説明する。第2液晶パネル30は、一対の第2透明基板33と、第2液晶層34と、一対の第2偏光板35とを有する。
【0055】
一対の第2透明基板33の各々は、例えばガラス基板であり、互いに対面するように配置されている。本実施の形態において、一対の第2透明基板33のうちバックライト50側に位置する第2透明基板33が第2TFT基板33aであり、一対の第2透明基板33のうち第1液晶パネル20側に位置する第2透明基板33が第2対向基板33bである。第2TFT基板33aは、第1液晶パネル20の第1TFT基板23aと同様の構成である。したがって、第2TFT基板33aの第2液晶層34側の面には第2TFT層36が形成されており、第2TFT層36の平坦化層上には画素それぞれに画素電極及び対向電極が形成されている。
【0056】
第2対向基板33bの第2液晶層34側の面には、第2ブラックマトリクス37aを有する第2画素形成層37が形成されている。
【0057】
第2液晶層34は、一対の第2透明基板33の間に封止されている。第2液晶層34の厚さは、例えば、2.5μm〜6μmであるが、これに限るものではない。
【0058】
第2画素形成層37は、一対の第2透明基板33の間に配置されている。つまり、第2ブラックマトリクス37aは、一対の第2透明基板33の間に配置されている。第2ブラックマトリクス37aには、画素を構成するマトリクス状の複数の第2開口部が形成されている。つまり、複数の第2開口部の各々は、複数の画素の各々に対応している。第2ブラックマトリクス37aは、例えば、各第2開口部の平面視形状が矩形状となるように、格子状に形成されている。
【0059】
一対の第2偏光板35は、樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、一対の第2透明基板33を挟むように配置されている。一対の第2偏光板35は、クロスニコルで配置されている。一対の第2偏光板35の各々の厚さは、例えば、0.05mm〜0.5mmであるが、これに限るものではない。
【0060】
次に、画像処理部80の構成について、さらに
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4は、実施の形態1に係る画像処理部80の機能構成を示すブロック図である。
【0061】
図4に示すように、画像処理部80は、入力画像信号Dataに基づいて、第1液晶パネル20に出力する第1出力画像信号DAT1と、第2液晶パネル30に出力する第2出力画像信号DAT2とを生成する処理部である。画像処理部80は、分配部90と、表示ムラ補正部100とを有する。本実施の形態に係る画像処理部80は、比較例に係る画像処理部1080に加え、さらに表示ムラ補正部100を有する。画像処理部80は、第2液晶パネル30のガンマ特性と、表示ムラ補正部100における処理とに特徴を有する。なお、
図4以降では、接着層40、第1タイミングコントローラ71及び第2タイミングコントローラ72等の図示を便宜上省略している。
【0062】
第1出力画像信号DAT1は、当該第1出力画像信号DAT1に対して追加の信号処理が行われることなく、第1液晶パネル20に入力される。例えば、第1出力画像信号DAT1と第1液晶パネル20の表示ムラ特性とに基づいて、第1液晶パネル20が当該第1出力画像信号DAT1を表示したときの第1画像における表示ムラの程度(例えば、透過率の差)を算出可能である。
【0063】
第2出力画像信号DAT2は、当該第2出力画像信号DAT2に対して追加の信号処理が行われることなく、第2液晶パネルに入力される。例えば、第2出力画像信号DAT2と第2液晶パネル30の表示ムラ特性とに基づいて、第2液晶パネル30が当該第2出力画像信号DAT2を表示したときの第2画像における表示ムラの程度(例えば、透過率の差)を算出可能である。
【0064】
なお、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の表示ムラは、液晶表示部10aを正面から見たときに視認されるムラである。
【0065】
分配部90は、入力画像信号を、第1出力画像信号DAT1を生成するための第1分配画像信号と、第2出力画像信号DAT2を生成するための第2分配画像信号とに分配する処理部である。表示ムラ補正部100は、第1分配画像信号に対して液晶表示部10aの表示ムラを抑制するための処理を行う処理部である。表示ムラ補正部100により第1分配画像信号に対してムラを抑制する処理が行われることで、第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1が生成される。なお、本実施の形態では、分配部90は、第2分配画像信号を第2出力画像信号DAT2として第2液晶パネル30に出力する。また、第1分配画像信号はカラー画像を生成するための信号であり、第2分配画像信号は白黒画像を表示するための信号である例について説明するが、これに限定されない。また、ここでの分配とは、入力画像信号に基づいて、第1分配画像信号と第2分配画像信号とを生成することを意味する。
【0066】
分配部90は、白黒画像生成部91と、ガンマ処理部92と、視差低減部93と、除算処理部94と、乗算器95とを有する。なお、分配部90は、視差による画像品位の低下をより抑制する観点から視差低減部93を有する構成を例に説明するが、視差低減部93を有していなくてもよい。また、第2液晶パネル30がカラー画像を表示する場合、分配部90は、白黒画像生成部91を有していなくてもよい。また、計算部の図示を省略している。
【0067】
白黒画像生成部91は、比較例に係る白黒画像生成部1091と同様であり、説明を省略する。白黒画像生成部91は、入力画像信号Dataに基づいて生成した第1白黒画像データをガンマ処理部92に出力する。
【0068】
ガンマ処理部92は、処理に用いる変換テーブル(ルックアップテーブル)が比較例に係るガンマ処理部1092と異なる。その他は、ガンマ処理部1092と同様である。ガンマ処理部92は、階調補正部の一例である。
【0069】
第2液晶パネル30用のガンマ特性について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、実施の形態1に係る第2液晶パネル30のガンマ特性を示す図である。横軸は、白黒画像の階調値(入力階調)を示している。入力階調は、例えば、入力画像信号Dataが10ビットである場合、最小値が0階調であり、最大値が1023階調となる。縦軸は、補正後の入力画像信号(視差低減部93に出力される信号)における階調値(出力階調)を示している。出力階調は、例えば、入力階調と同じビット数で表され、本実施の形態では最小値が0階調、最大値が1023階調である。
【0070】
図5に示すように、第2液晶パネル30のガンマ特性は、比較例に係る第2液晶パネル1030のガンマ特性と同様、複数の階調値のうち入力階調が所定の値(例えば、256階調であり、第1階調値の一例)以上の階調値が、出力階調が一定の値(例えば、850階調であり、第2階調値の一例)となる特性を有する。ガンマ処理部92は、例えば、ある画素における入力階調が512階調であっても768階調であっても、当該画素における出力階調を同じ値に変換して出力する。これにより、入力画像信号において階調値が所定の値以上である場合に、液晶表示部10aにおいて視差が発生することを抑制することができる。
【0071】
ここで、ガンマ処理部92は、入力階調が所定の値以上であるときに、出力階調を当該出力階調値の最大値(本実施の形態では、1023階調)より低い値に変換してもよい。言い換えると、第2階調値は、ガンマ処理部92が出力可能な最大階調値より小さい値であってもよい。
図5では、ガンマ処理部92は、入力階調が所定の値以上であるときに、出力階調を一律におよそ850に変換する例を示している。これにより、後述する表示ムラ補正部100において表示ムラをより抑制する補正を行うことができる。なお、ガンマ処理部92は、
図19Aに示すように、入力階調が所定の値以上のときに、出力階調を出力階調の最大階調値に変換してもよい。
【0072】
ガンマ処理部92は、第1白黒画像データを補正した第2白黒画像データを視差低減部93に出力する。
【0073】
視差低減部93は、比較例に係る視差低減部1093と同様であり、詳細説明を省略するが、ガンマ処理部92が出力した階調補正をした入力画像信号Data(具体的には、階調補正をした第1白黒画像データ)に対して、第1出力画像信号DAT1に基づく第1画像と、第2出力画像信号DAT2に基づく第2画像との視差を低減するための補正を行う。視差低減部93は、第2白黒画像データに基づいて生成した第3白黒画像データを第2分配画像信号として、除算処理部94及び第2液晶パネル30に出力する。本実施の形態では、第2分配画像信号と第2出力画像信号DAT2とは同一の信号である。つまり、視差低減部93は、除算処理部94及び第2液晶パネル30に第2出力画像信号DAT2を出力するとも言い換えることができる。
【0074】
なお、除算処理部94及び乗算器95については、比較例に係る除算処理部1094及び乗算器1095と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
表示ムラ補正部100は、第1分配画像信号に対して、液晶表示部10aの表示ムラに基づいて当該表示ムラを抑制する第1ムラ補正を行うことで第1出力画像信号DAT1を生成し、生成した第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する処理部である。液晶表示部10aの表示ムラは、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の少なくとも一方の表示ムラを含む。当該表示ムラを抑制する補正とは、第1分配画像信号の各画素の階調値を当該表示ムラが低減するように変換することを含む。なお、
図4の例では、表示ムラ補正部100は、さらに第2出力画像信号DAT2に基づいて、第1分配画像信号に対して第1ムラ補正を行う。表示ムラ補正部100は、第2出力画像信号DAT2を取得することで、当該第2出力画像信号DAT2に基づく第2画像を第2液晶パネル30が表示した場合の表示ムラを考慮して、第1分配画像信号を補正することが可能となる。
【0076】
表示ムラ補正部100は、第1出力画像信号DAT1を生成し、生成した第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する第1ムラ補正部の一例である。また、本実施の形態では、表示ムラ補正部100は、分配部90から第2分配画像信号を直接取得する。表示ムラ補正部100は、上記の第1ムラ補正を実行するムラ処理部101を有する。
【0077】
ムラ処理部101は、液晶表示部10aにおける表示ムラを低減するために第1分配画像信号の各画素それぞれの階調値を補正する処理を行う処理部である。ムラ処理部101は、例えば、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブル101a(第1LUT101aとも記載する)と、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブル101b(第2LUT101bとも記載する)とを有し、当該第1LUT101a及び第2LUT101bを用いて、第1分配画像信号に対して第1ムラ補正を行う。また、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するために分配部90から取得した第2出力画像信号DAT2(本実施の形態では、第2分配画像信号)を用いて、第1ムラ補正を行う。第2出力画像信号DAT2を取得することで、当該第2出力画像信号DAT2に基づいて第2液晶パネル30が画像を表示したときの表示ムラを効果的に抑制することができる。
【0078】
第1LUT101aは、例えば、第1液晶パネル20の各画素それぞれに、かつ当該画素の各階調値それぞれに入力階調と出力階調とが対応付けられたテーブルである。また、本実施の形態では、第1液晶パネル20はカラー画像を表示するので、第1LUT101aは、色情報を示す各色の値(例えば、[R値、G値、B値])それぞれに入力階調と出力階調とが対応付けられた複数のテーブル(例えば、3つのテーブル)を有してもよい。
【0079】
第2LUT101bは、例えば、第2液晶パネル30の各画素それぞれに、かつ当該画素の各階調値それぞれに入力階調と出力階調とが対応付けられたテーブルである。第1LUT101a及び第2LUT101bは、事前に第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30が重ね合わされた液晶表示部10aの表示ムラを撮像装置などにより取得した輝度値及び色度の少なくとも一方に基づいて作成される。輝度値及び色度値は、各画素それぞれに、かつ当該画素の各階調値それぞれに取得される。ムラ処理部101は、例えば、第1分配画像信号の各画素それぞれの階調値ごとに、表示ムラを抑制するための第1ムラ補正を行う。
【0080】
表示ムラには、階調値に依存して当該表示ムラの程度(例えば、本来の明るさからの差異)が変化するものがある。上記のように、各階調値それぞれに輝度値が取得されることで、そのような階調値に依存する表示ムラを抑制することが可能となる。また、取得される輝度値は、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30が重ね合わされて生じる第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の少なくとも一方のセルギャップ(第1液晶層24及び第2液晶層34の少なくとも一方の厚み)の不均一による表示ムラを含む値である。
【0081】
ムラ処理部101は、例えば、第1LUT101aを参照して第1分配画像信号の各画素それぞれの階調値(入力階調)を、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための階調値(出力階調)に変換する処理を行う。第1LUT101aを用いて階調値が変換された第1分配画像信号を中間画像信号とも記載する。
【0082】
また、本実施の形態では、ムラ処理部101は、さらに第2出力画像信号DAT2と第2LUT101bとに基づいて、中間画像信号に対して上記第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための処理を行う。第2LUT101bは、例えば、第2出力画像信号DAT2の入力階調と、当該入力階調に対応する中間画像信号の階調値の補正量とが対応付けられたテーブルであってもよい。ムラ処理部101は、第2出力画像信号DAT2と第2LUT101bとに基づいて、中間画像信号の各画素それぞれにおいて、当該画素の階調値を補正するための補正値を取得し、取得した補正値に基づいて中間画像信号の各画素それぞれの階調値を変換することで第2出力画像信号DAT2を生成してもよい。ここでの補正値は、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための値である。
【0083】
なお、ムラ処理部101における表示ムラを抑制する処理の順番は、特に限定されない。ムラ処理部101は、第1分配画像信号に対して第2液晶パネル30の表示ムラを抑制する処理を行った後、当該処理で生成された画像信号に対して第1液晶パネル20の表示ムラを抑制する処理を行ってもよい。
【0084】
上記のように、ムラ処理部101は、第1LUT101a、第2LUT101b、及び、分配部90から取得した第2出力画像信号DAT2を用いて第1分配画像信号の各画素の階調値を変換することで、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30それぞれで発生する表示ムラ(ここでは、輝度ムラ及び色ムラの少なくとも一方)を抑制することができる。言い換えると、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30それぞれが表示する画像のうち、第1液晶パネル20が表示する画像の各画素の階調値のみを変更することで、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30により形成される合成画像の表示ムラを抑制することができる。
【0085】
表示ムラ補正部100は、上記の第1ムラ補正として、第1液晶パネル20の表示ムラ及び第2液晶パネル30の表示ムラの少なくとも一方の表示ムラを抑制する補正を行ってもよい。例えば、表示ムラ補正部100は、少なくとも第1LUT101aを参照して第1分配画像信号の各画素それぞれの階調値を変換することで第1出力画像信号DAT1を生成してもよい。つまり、表示ムラ補正部100は、上記の中間画像信号を第1出力画像信号DAT1として、第1液晶パネル20に出力してもよい。これにより、少なくとも第1液晶パネル20における表示ムラを低減することができる。
【0086】
[1−2.液晶表示装置の処理]
次に、上記の液晶表示装置10の動作について、
図6〜
図9を参照しながら説明する。
図6は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の動作を示すフローチャートである。
図7は、実施の形態1に係る第1出力画像信号DAT1の生成を説明するための図である。
【0087】
図6に示すように、まず、液晶表示装置10は、入力画像信号Dataを取得する(S10)。具体的には、画像処理部80は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力画像信号Dataを受信することで、当該入力画像信号Dataを取得する。なお、入力画像信号Dataがカラー画像を表示するための画像信号であるとする。
【0088】
図7の(a)は、ステップS10で取得した入力画像信号Dataの一例を示す図である。横軸は液晶表示装置10の液晶表示部10aにおける各画素の並び方向(一例として水平方向)を示しており、縦軸は階調値を示している。
図7の(a)の例では、水平方向において同一の階調値(一例として、768階調)が入力された例を示している。
【0089】
そして、画像処理部80は、入力画像信号Dataに基づいて、第1分配画像信号を生成する(S20)。具体的には、分配部90は、入力画像信号Dataに基づいて、第1分配画像信号を生成する。そして、分配部90は、第1分配画像信号を表示ムラ補正部100に出力する。本実施の形態では、分配部90は、カラー画像を表示するカラー画像データを第1分配画像信号として表示ムラ補正部100に出力する。
【0090】
図7の(b)は、第1分配画像信号の一例を示す図である。第1分配画像信号は、例えば、各画素それぞれにおける階調値が等しいデータであるとする。
【0091】
次に、表示ムラ補正部100は、入力画像信号Dataに基づいて生成される第2出力画像信号DAT2(本実施の形態では、第2分配画像信号)を取得する(S30)。本実施の形態では、ムラ処理部101は、分配部90から第2分配画像信号を取得する。第2分配画像信号について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8は、実施の形態1に係る第2出力画像信号DAT2の生成を説明するための図である。
図9は、実施の形態1に係る液晶表示部10aの透過率を示す図である。
【0092】
図8の(a)は、入力画像信号Dataを示しており、
図7の(a)に示す信号と同様である。
【0093】
図8の(b)は、分配部90から第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2である。第2出力画像信号DAT2は、便宜上、各画素それぞれにおける階調値が等しいデータであるとする。
【0094】
図9の(b)は、第2液晶パネル30が第2出力画像信号DAT2に基づいて画像を表示したときの当該第2液晶パネル30の透過率を示す。なお、縦軸は、第2液晶パネル30の透過率の最大値を「1」としたときの比を示す。
【0095】
図9の(b)に示すように、第2液晶パネル30の透過率は、第2出力画像信号DAT2の各画素それぞれの階調値が等しい場合であっても、当該第2液晶パネル30の水平位置それぞれで異なる。例えば、水平位置の略中央辺りの透過率が周囲の透過率より低くなっている。これは、第2液晶パネル30におけるセルギャップの不均一等に起因する表示ムラ(輝度ムラ)によるものである。
【0096】
次に、表示ムラ補正部100は、第1分配画像信号に対して液晶表示部10aの表示ムラを低減するための処理を実行する(S40)。具体的には、ムラ処理部101は、第1LUT101a、第2LUT101b及び第2出力画像信号DAT2に基づいて第1分配画像信号の各画素それぞれの階調値を変換する。表示ムラ補正部100は、第2出力画像信号DAT2と第2LUT101bとに基づいて、第2出力画像信号DAT2に基づく画像を第2液晶パネル30が表示したときの表示ムラを抑制するための第1分配画像信号における各画素それぞれの階調値の補正量を取得する。
【0097】
ムラ処理部101は、取得した補正量と、第1LUT101aとに基づいて、第1分配画像信号の各画素の階調値を補正する。これにより、第1液晶パネル20に出力する第1出力画像信号DAT1が生成される。表示ムラ補正部100は、生成した第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する。
【0098】
図7の(c)は、第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1の一例を示す図である。つまり、
図7の(c)は、液晶表示部10aにおける表示ムラを抑制するための各画素それぞれの画素値の変換が行われた後の画像データの一例を示す。
図7の(c)に示すように、分配部90が生成する第1分配画像信号の階調値が等しい場合であっても、表示ムラ補正部100により液晶表示部10aの表示ムラに応じて階調値が補正される。
【0099】
図9の(a)は、第1液晶パネル20が第1出力画像信号DAT1に基づいて画像を表示したときの当該第1液晶パネル20の透過率を示す。なお、縦軸は、第1液晶パネル20の透過率の最大値を「1」としたときの比を示す。
【0100】
図9の(a)に示すように、第1出力画像信号DAT1に基づいて画像を表示した場合、第1液晶パネル20において透過率が水平位置により異なる。例えば、水平位置の略中央辺りの透過率が周囲の透過率より高くなっている。これは、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30における表示ムラ(例えば、セルギャップの不均一等に起因する表示ムラであり、輝度ムラ及び色ムラの少なくとも一方を含む表示ムラ)を見えにくくするための表示ムラ補正部100における処理の結果である。表示ムラ補正部100は、例えば、第2液晶パネル30において第2出力画像信号DAT2が示す明るさより明るくなる画素又は複数の画素を含む領域(以降において、明領域とも記載する)がある場合、第1液晶パネル20における当該画素又は明領域に対応する画素又は領域に含まれる画素の階調値を第1分配画像信号が示す明るさより暗くする。
【0101】
なお、詳細は図示していないが、
図9の(a)に示す透過率は、第1液晶パネル20における表示ムラも考慮した値となっている。言い換えると、表示ムラ補正部100は、第1液晶パネル20が表示する第1画像と第2液晶パネル30が表示する第2画像との合成画像において、表示ムラが低減するように、第1分配画像信号の階調値を補正する。
【0102】
図9の(c)は、液晶表示部10aにおける透過率を示す。具体的には、
図9の(c)は、第1液晶パネル20が第1出力画像信号DAT1に基づいて第1画像を表示し、かつ第2液晶パネル30が第2出力画像信号DAT2に基づいて第2画像を表示したときの、液晶表示部10aにおける透過率を示す。なお、縦軸は、液晶表示部10aの透過率の最大値を「1」としたときの比を示す。
【0103】
図9の(c)に示すように、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30に表示ムラが発生していても、表示ムラ補正部100の画像処理により、当該表示ムラが低減する。液晶表示装置10は、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30に表示ムラがあっても、入力画像信号Dataに示される画像を再現することが可能である。
【0104】
[1−3.効果など]
以上説明したように、液晶表示装置10は、第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20の背面側において第1液晶パネル20と重ね合わせて配置される第2液晶パネル30とを有する液晶表示部10a(表示部の一例)と、入力画像信号Dataに基づいて、第1液晶パネル20に出力する第1出力画像信号DAT1と、第2液晶パネル30に出力する第2出力画像信号DAT2とを生成する画像処理部80とを備える。そして、画像処理部80は、入力画像信号Dataを、第1出力画像信号DAT1を生成するための第1分配画像信号と、第2出力画像信号DAT2を生成するための第2分配画像信号とに分配する分配部90と、分配部90から出力された第1分配画像信号に対して、液晶表示部10aの表示ムラを抑制する第1ムラ補正を行うことで第1出力画像信号DAT1を生成し、生成した第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する表示ムラ補正部100(第1ムラ補正部の一例)とを有する。
【0105】
これにより、第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1は、液晶表示部10aにおける表示ムラを抑制するための第1ムラ補正が行われた信号となる。つまり、第1出力画像信号DAT1に基づいて第1液晶パネル20が表示する画像と、第2出力画像信号DAT2に基づいて第2液晶パネル30が表示する画像との合成画像は、液晶表示部10aにおける表示ムラが抑制された画像となる。よって、液晶表示装置10によれば、第1液晶パネル20側に出力される信号を補正するだけで、液晶表示部10aの表示ムラによる画像品位の低下を抑制できる。例えば、第1液晶パネル20がカラー画像を表示する液晶パネルである場合、上記の第1ムラ補正により液晶表示装置10の輝度ムラ及び色ムラの少なくとも一方が抑制される。
【0106】
また、液晶表示装置10は、表示の正確性などの表示装置としての基本性能を低下させることなく、液晶表示部10aの表示ムラを抑制することができる。
【0107】
また、分配部90は、第2分配画像信号を第2出力画像信号DAT2として第2液晶パネル30に出力し、表示ムラ補正部100は、さらに、第2出力画像信号DAT2に基づいて第1分配画像信号に対して第1ムラ補正を行う。
【0108】
これにより、表示ムラ補正部100は、第2液晶パネル30に階調値に依存する表示ムラが発生している場合、当該第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2を用いて第1ムラ補正を行うことで、より正確に第2液晶パネル30の表示ムラを抑制することができる。
【0109】
また、表示ムラ補正部100は、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブル101aと、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブル101bとを有する。そして、表示ムラ補正部100は、第1ルックアップテーブル101a及び第2ルックアップテーブル101bを用いて、第1分配画像信号に対して第1ムラ補正を行う。
【0110】
これにより、液晶表示部10aの表示ムラが画像信号の階調値に依存する表示ムラである場合、表示ムラ補正部100における処理量を抑制しつつ、かつ演算によりムラ補正を行う場合に比べより正確にムラ補正を行うことができる。例えば、ルックアップテーブルが、各画素それぞれにおいて入力階調と出力階調とが対応付けられたテーブルである場合、より細かく輝度ムラ及び色ムラの少なくとも一方の補正を行うことができる。
【0111】
また、分配部90は、入力画像信号Dataに含まれる複数の階調値のうち第1階調値以上の階調値を第2階調値に階調補正をするガンマ処理部92(階調補正部の一例)と、ガンマ処理部92が出力した階調補正をした入力画像信号Dataに対して、第1出力画像信号DAT1に基づく第1画像と、第2出力画像信号DAT2に基づく第2画像との視差を低減する補正をする視差低減部93とを有する。
【0112】
これにより、液晶表示装置10は、さらに、視差が抑制された画像を表示することができる。例えば、接着層40の厚みを薄くした場合、視差は低減するが完全になくなるわけではない。液晶表示装置10が視差低減部93を有していることで、低減されてはいるものの発生する視差を抑制することができる。
【0113】
また、第1液晶パネル20は、カラー画像を表示し、第2液晶パネル30は、モノクロ画像を表示する。
【0114】
これにより、第1液晶パネル20がカラー画像を表示し、第2液晶パネル30がモノクロ画像を表示する液晶表示装置10において、液晶表示部10aの表示ムラを抑制することができる。
【0115】
(実施の形態1の変形例)
以下、本変形例に係る液晶表示装置110について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、実施の形態1の変形例に係る液晶表示装置110の機能構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1に係る液晶表示装置10との相違点を中心に説明し、同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0116】
図10に示すように、本変形例に係る液晶表示装置110の画像処理部180は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の画像処理部80が備える表示ムラ補正部100に替えて、表示ムラ補正部200を有する。
【0117】
表示ムラ補正部200は、第2出力画像信号DAT2を分配部90から直接取得しない。具体的には、表示ムラ補正部200は、入力画像信号Dataに基づいて第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2を予測することで、第2出力画像信号DAT2に相当する情報を取得する。
【0118】
表示ムラ補正部200は、実施の形態1の表示ムラ補正部100に加えて、入力画像信号Dataに基づいて、分配部90から第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2を予測する信号予測部202を有する。信号予測部202は、例えば、入力画像信号Dataと分配部90における第2出力画像信号DAT2を生成する処理とに基づいて、第2出力画像信号DAT2を予測してもよいし、入力画像信号Dataに対して所定の信号処理を行うことで第2出力画像信号DAT2を予測してもよい。そして、表示ムラ補正部200は、信号予測部202が予測した信号を取得し、取得した信号を用いて第1分配画像信号に対して第1ムラ補正を行う。
【0119】
信号予測部202は、例えば、分配部90における第2出力画像信号DAT2を生成する処理と同様の処理が可能なように構成される。信号予測部202は、例えば、白黒画像生成部91、ガンマ処理部92、及び、視差低減部93有する構成であってもよい。
【0120】
信号予測部202は、入力画像信号Dataに基づいて予測した第2出力画像信号DAT2をムラ処理部101に出力する。予測した第2出力画像信号DAT2は、分配部90が第2液晶パネル30に出力する第2出力画像信号DAT2と実質的に同一であってもよいし、第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2と信号予測部202が予測した第1出力画像信号DAT1とは、少なくとも一部の階調値が異なっていてもよい。
【0121】
なお、
図6に示すステップS30において、本変形例に係る表示ムラ補正部100は、第2出力画像信号DAT2を当該表示ムラ補正部100が有する信号予測部202から取得する。
【0122】
なお、信号予測部202は、入力画像信号Dataと分配部90における第2出力画像信号DAT2を生成する処理とに基づいて、第2出力画像信号DAT2を予測することに限定されない。信号予測部202は、例えば入力画像信号Dataと第1分配画像信号とに基づいて、第2出力画像信号DAT2を予測してもよい。
【0123】
以上のように、本変形例に係る液晶表示装置110の分配部90は、第2分配画像信号を第2出力画像信号DAT2として第2液晶パネル30に出力し、表示ムラ補正部200(第1ムラ補正部の一例)は、入力画像信号Dataに基づいて第2出力画像信号DAT2を予測する信号予測部202(予測部の一例)をさらに有する。そして、信号予測部202が予測した信号に基づいて第1分配画像信号に対して第1ムラ補正を行う。
【0124】
これにより、表示ムラ補正部200は、第2液晶パネル30に階調値に依存する表示ムラが発生している場合、第2出力画像信号DAT2を分配部90から取得することなく、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制することができる。
【0125】
(実施の形態2)
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置について、
図11〜
図15を参照しながら説明する。
【0126】
[2−1.液晶表示装置の構成]
まず、実施の形態2に係る液晶表示装置210の全体の概略構成について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、実施の形態2に係る液晶表示装置210の概略構成を示すブロック図である。なお、本実の形態では、実施の形態1に係る液晶表示装置10との相違点を中心に説明し、同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0127】
図11に示すように、本実施の形態に係る液晶表示装置210の画像処理部280は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の画像処理部80が備える表示ムラ補正部100に替えて、表示ムラ補正部300を有する。なお、本実施の形態では、分配部90は、第1分配画像信号を第1出力画像信号DAT1として第1液晶パネル20に出力する。また、第2分配画像信号は、分配画像信号の一例である。
【0128】
分配部90のガンマ処理部92は、上記でも説明したように、入力階調が所定の値以上であるときに、出力階調を当該出力階調の最大値(本実施の形態では、1023階調)より小さい値に変換してもよい。言い換えると、第2階調値は、
図5に示すように、ガンマ処理部92が出力可能な最大階調値より小さい値であってもよい。
【0129】
表示ムラ補正部300は、第2分配画像信号に対して、液晶表示部10aの表示ムラを抑制するムラ補正を行うことで第2出力画像信号DAT2を生成し、生成した第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30に出力する処理部である。液晶表示部10aの表示ムラは、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の少なくとも一方の表示ムラを含む。当該表示ムラを抑制する補正とは、第2分配画像信号の各画素の階調値を当該表示ムラが低減するように変換することを含む。なお、
図11の例では、表示ムラ補正部300は、さらに第1出力画像信号DAT1に基づいて、第2分配画像信号に対してムラ補正を行う。表示ムラ補正部300は、第1出力画像信号DAT1を取得することで、当該第1出力画像信号DAT1に基づく第1画像を第1液晶パネル20が表示した場合の表示ムラを考慮して、第2分配画像信号を補正することが可能となる。
【0130】
表示ムラ補正部300は、第2出力画像信号DAT2を生成し、生成した第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30に出力するムラ補正部の一例である。また、本実施の形態では、表示ムラ補正部300は、分配部90から第1分配画像信号を直接取得する。表示ムラ補正部300は、上記のムラ補正を実行するムラ処理部301を有する。
【0131】
表示ムラ補正部300に入力される第2分配画像信号は、ガンマ処理部92における処理などにより、入力画像信号Dataにおける所定の値以上の階調値の情報が失われている(
図5の例では、256階調以上の情報)ので、第2分配画像信号に基づいて第1出力画像信号DAT1を予測することが難しい。そこで、本実施の形態では、表示ムラ補正部300は、分配部90から第1分配画像信号(つまり、第1出力画像信号DAT1)を取得する。
【0132】
ムラ処理部301は、液晶表示部10aにおける表示ムラを低減するために第2分配画像信号の各画素それぞれの階調値を補正する処理を行う処理部である。ムラ処理部301は、例えば、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブル301a(第1LUT301aとも記載する)と、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブル301b(第2LUT301bとも記載する)とを有し、当該第1LUT301a及び第2LUT301bを用いて、第2分配画像信号に対してムラ補正を行う。また、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するために分配部90から取得した第1出力画像信号DAT1を用いて、上記のムラ補正を行う。第1出力画像信号DAT1を取得することで、当該第1出力画像信号DAT1に基づいて第1液晶パネル20が画像を表示したときの表示ムラを効果的に抑制することができる。
【0133】
ムラ処理部301は、例えば、第2LUT301bを参照して第2分配画像信号の各画素それぞれの階調値(入力階調)を、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための階調値(出力階調)に変換する処理を行う。第2LUT301bを用いて階調値が変換された第2分配画像信号を中間画像信号とも記載する。
【0134】
また、本実施の形態では、ムラ処理部301は、さらに第1出力画像信号DAT1と第1LUT301aとに基づいて、中間画像信号に対して上記第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための処理を行う。第1LUT301aは、例えば、第1出力画像信号DAT1の入力階調と、当該入力階調に対応する中間画像信号の階調値の補正量とが対応付けられたテーブルであってもよい。ムラ処理部301は、第1出力画像信号DAT1と第1LUT301aとに基づいて、中間画像信号の各画素それぞれにおいて、当該画素の階調値を補正するための補正値を取得し、取得した補正値に基づいて中間画像信号の各画素それぞれの階調値を変換することで第2出力画像信号DAT2を生成してもよい。ここでの補正値は、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための値である。
【0135】
また、
図5に示したように、第1白黒画像データは、最大階調値(例えば、1023階調)から所定値だけ小さい階調値(例えば、850階調)を上限階調値として生成される。そのため、ムラ処理部301における処理において、各画素の階調値を下げる処理のみならず、階調値を上げる処理をも行うことが可能である。よって、液晶表示装置210によれば、各画素の階調値を下げる処理のみを行う場合(つまり、ガンマ処理部92において、
図19A示すテーブルで階調補正した場合)に比べ、液晶表示部10aにおける表示ムラをより低減することができる。
【0136】
なお、ムラ処理部301における表示ムラを抑制する処理の順番は、特に限定されない。ムラ処理部301は、第2分配画像信号に対して第1液晶パネル20の表示ムラを抑制する処理を行った後、当該処理で生成された画像信号に対して第2液晶パネル30の表示ムラを抑制する処理を行ってもよい。
【0137】
上記のように、ムラ処理部301は、第1LUT301a、第2LUT301b、及び、分配部90から取得した第1出力画像信号DAT1を用いて第2分配画像信号の各画素の階調値を変換することで、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30それぞれで発生する表示ムラ(ここでは、輝度ムラ)を抑制することができる。言い換えると、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30それぞれが表示する画像のうち、第2液晶パネル30が表示する画像を構成する各画素の階調値のみを変更することで、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30により形成される合成画像の表示ムラを抑制することができる。
【0138】
表示ムラ補正部300は、上記のムラ補正として、第1液晶パネル20の表示ムラ及び第2液晶パネル30の表示ムラの少なくとも一方の表示ムラを抑制する補正を行ってもよい。例えば、表示ムラ補正部300は、少なくとも第2LUT301bを参照して第2分配画像信号の各画素それぞれの階調値を変換することで第2出力画像信号DAT2を生成してもよい。つまり、表示ムラ補正部300は、上記の中間画像信号を第2出力画像信号DAT2として、第2液晶パネル30に出力してもよい。これにより、少なくとも第2液晶パネル30における表示ムラを低減することができる。
【0139】
[2−2.液晶表示装置の処理]
次に、上記の液晶表示装置210の動作について、
図12〜
図15を参照しながら説明する。
図12は、実施の形態2に係る液晶表示装置210の動作を示すフローチャートである。
図13は、実施の形態2に係る第2出力画像信号DAT2の生成を説明するための図である。
【0140】
図12に示すように、まず、液晶表示装置210は、入力画像信号Dataを取得する(S110)。具体的には、画像処理部280は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力画像信号Dataを受信することで、当該入力画像信号Dataを取得する。
【0141】
図13の(a)は、ステップS110で取得した入力画像信号Dataの一例を示す図である。横軸は液晶表示装置210の液晶表示部10aにおける各画素の並び方向(一例として水平方向)を示しており、縦軸は階調値を示している。
図13の(a)の例では、水平方向において同一の階調値(一例として、768階調)が入力された例を示している。
【0142】
そして、画像処理部280は、入力画像信号Dataに基づいて、第2分配画像信号を生成する(S120)。具体的には、分配部90は、入力画像信号Dataに基づいて、第2分配画像信号を生成する。そして、分配部90は、第2分配画像信号を表示ムラ補正部300に出力する。本実施の形態では、分配部90は、白黒画像を表示する白黒画像データを第2分配画像信号として表示ムラ補正部300に出力する。なお、分配部90は、視差低減部93を有していない場合、ガンマ処理部92において階調補正された画像データを第2分配画像信号として表示ムラ補正部300に出力する。
【0143】
図13の(b)は、第2分配画像信号の一例を示す図である。第2分配画像信号は、
図5のガンマ特性により階調値が変換された後の画像データである。そのため、階調値(入力階調)が256階調以上である画素に対しては、一定の階調値(出力階調)が出力されるので、
図13の(b)の画像データから入力画像信号Dataを算出することは困難である。つまり、
図13の(b)の画像データから第1出力画像信号DAT1を算出することは困難である。
【0144】
次に、表示ムラ補正部300は、入力画像信号Dataに基づいて生成される第1出力画像信号DAT1(本実施の形態では、第1分配画像信号)を取得する(S130)。本実施の形態では、ムラ処理部301は、分配部90から第1出力画像信号DAT1を直接取得する。第1出力画像信号DAT1について、
図14及び
図15を参照しながら説明する。
図14は、実施の形態2に係る第1出力画像信号DAT1の生成を説明するための図である。
図15は、実施の形態2に係る液晶表示部10aの透過率を示す図である。
【0145】
図14の(a)は、入力画像信号Dataを示しており、
図13の(a)に示す信号と同様である。
【0146】
図14の(b)は、分配部90から第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1である。第1出力画像信号DAT1は、便宜上、各画素それぞれにおける階調値が等しい画像データであるとする。
【0147】
図15の(a)は、第1液晶パネル20が第1出力画像信号DAT1に基づいて画像を表示したときの当該第1液晶パネル20の透過率を示す。なお、縦軸は、第1液晶パネル20の透過率の最大値を「1」としたときの比を示す。
【0148】
図15の(a)に示すように、第1液晶パネル20の透過率は、第1出力画像信号DAT1の各画素それぞれの階調値が等しい場合であっても、当該第1液晶パネル20の水平位置それぞれで異なる。例えば、水平位置の略中央辺りの透過率が周囲の透過率より高くなっている。これは、第1液晶パネル20におけるセルギャップの不均一等に起因する表示ムラ(輝度ムラ)によるものである。
【0149】
次に、表示ムラ補正部300は、第2分配画像信号に対して液晶表示部10aの表示ムラを低減するための処理を実行する(S140)。具体的には、ムラ処理部301は、第1LUT301a、第2LUT301b及び第1出力画像信号DAT1とに基づいて第2分配画像信号の各画素それぞれの画素値を変換する。表示ムラ補正部300は、第1出力画像信号DAT1と第1LUT301aとに基づいて、第1出力画像信号DAT1に基づく画像を第1液晶パネル20が表示したときの表示ムラを抑制するための第2分配画像信号における各画素それぞれの階調値の補正量を取得する。
【0150】
ムラ処理部301は、取得した補正量と、第2LUT301bとに基づいて、第2分配画像信号の各画素の階調値を補正する。これにより、第2液晶パネル30に出力する第2出力画像信号DAT2が生成される。表示ムラ補正部300は、生成した第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30に出力する。
【0151】
図13の(c)は、第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2の一例を示す図である。つまり、
図13の(c)は、液晶表示部10aにおける表示ムラを抑制するための各画素それぞれの画素値の変換が行われた後の画像データの一例を示す。
図13の(c)に示すように、分配部90が生成する第2分配画像信号の階調値が等しい場合であっても、表示ムラ補正部300により液晶表示部10aの表示ムラに応じて階調値が補正される。
【0152】
図15の(b)は、第2液晶パネル30が第2出力画像信号DAT2に基づいて画像を表示したときの当該第2液晶パネル30の透過率を示す。なお、縦軸は、第2液晶パネル30の透過率の最大値を「1」としたときの比を示す。
【0153】
図15の(b)に示すように、第2出力画像信号DAT2に基づいて画像を表示した場合、第2液晶パネル30において透過率が水平位置により異なる。例えば、水平位置の略中央辺りの透過率が周囲の透過率より低くなっている。これは、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30における表示ムラ(例えば、セルギャップの不均一等に起因する表示ムラであり、輝度ムラ)を見えにくくするための表示ムラ補正部300における処理の結果である。表示ムラ補正部300は、例えば、第1液晶パネル20において第1出力画像信号DAT1が示す明るさより明るくなる画素又は複数の画素を含む領域(以降において、明領域とも記載する)がある場合、第2液晶パネル30における当該画素又は明領域に対応する画素又は領域に含まれる画素の階調値を第2分配画像信号が示す明るさより暗くする。
【0154】
なお、詳細は図示していないが、
図15の(b)に示す透過率は、第2液晶パネル30における表示ムラも考慮した値となっている。言い換えると、表示ムラ補正部300は、第1液晶パネル20が表示する第1画像と第2液晶パネル30が表示する第2画像との合成画像において、表示ムラが低減するように、第2分配画像信号の階調値を補正する。
【0155】
図15の(c)は、液晶表示部10aにおける透過率を示す。具体的には、
図15の(c)は、第1液晶パネル20が第1出力画像信号DAT1に基づいて第1画像を表示し、かつ第2液晶パネル30が第2出力画像信号DAT2に基づいて第2画像を表示したときの、液晶表示部10aにおける透過率を示す。なお、縦軸は、液晶表示部10aの透過率の最大値を「1」としたときの比を示す。
【0156】
図15の(c)に示すように、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30に表示ムラが発生していても、表示ムラ補正部300の画像処理により、当該表示ムラが低減する。液晶表示装置210は、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30に表示ムラがあっても、入力画像信号Dataに示される画像を再現することが可能である。
【0157】
[2−3.効果など]
以上説明したように、液晶表示装置210は、第1液晶パネル20と、第1液晶パネル20の背面側において第1液晶パネル20と重ね合わせて配置される第2液晶パネル30とを有する液晶表示部10a(表示部の一例)と、入力画像信号Dataに基づいて、第1液晶パネル20に出力する第1出力画像信号DAT1と、第2液晶パネル30に出力する第2出力画像信号DAT2とを生成する画像処理部280とを備える。そして、画像処理部280は、入力画像信号Dataを、第1出力画像信号DAT1と、第2出力画像信号DAT2を生成するための第2分配画像信号(分配画像信号の一例)とに分配する分配部90と、分配部90から出力された第2分配画像信号に対して、液晶表示部10aの表示ムラを抑制するムラ補正を行うことで第2出力画像信号DAT2を生成し、生成した第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30に出力する表示ムラ補正部300(ムラ補正部の一例)とを有する。
【0158】
これにより、第2液晶パネル30に出力される第2出力画像信号DAT2は、液晶表示部10aにおける表示ムラを抑制するためのムラ補正が行われた信号となる。つまり、第1出力画像信号DAT1に基づいて第1液晶パネル20が表示する画像と、第2出力画像信号DAT2に基づいて第2液晶パネル30が表示する画像との合成画像は、液晶表示部10aにおける表示ムラが抑制された画像となる。よって、液晶表示装置210によれば、第2液晶パネル30側に出力される信号を補正するだけで、液晶表示部10aの表示ムラによる画像品位の低下を抑制できる。例えば、第2液晶パネル30が白黒画像を表示する液晶パネルである場合、上記のムラ補正により液晶表示装置210の輝度ムラが抑制される。
【0159】
また、液晶表示装置210は、表示の正確性などの表示装置としての基本性能を低下させることなく、液晶表示部10aの表示ムラを抑制することができる。
【0160】
また、分配部90は、第2分配画像信号を第1出力画像信号DAT1として第1液晶パネル20に出力し、表示ムラ補正部300は、さらに、第1出力画像信号DAT1に基づいて第2分配画像信号に対してムラ補正を行う。
【0161】
これにより、第1液晶パネル20に階調値に依存する表示ムラが発生している場合、当該第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1を用いてムラ補正を行うことで、より正確に第1液晶パネル20の表示ムラを抑制することができる。
【0162】
また、表示ムラ補正部300は、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブル301aと、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブル301bとを有する。そして、表示ムラ補正部300は、第1ルックアップテーブル301a及び第2ルックアップテーブル301bを用いて、第2分配画像信号に対してムラ補正を行う。
【0163】
これにより、液晶表示部10aの表示ムラが画像信号の階調値に依存する表示ムラである場合、表示ムラ補正部300における処理量を抑制しつつ、かつ演算によりムラ補正を行う場合に比べより正確にムラ補正を行うことができる。例えば、ルックアップテーブルが、各画素それぞれにおいて入力階調と出力階調とが対応付けられたテーブルである場合、より細かく輝度ムラの補正を行うことができる。
【0164】
また、第2階調値は、ガンマ処理部92(階調補正部の一例)が出力可能な最大階調値より小さい値である。
【0165】
これにより、表示ムラ補正部300において第2分配画像信号の階調値を上げる補正を行うことができる。よって、表示ムラ補正部300は、第2分配画像信号の階調値を下げる補正のみを行う場合に比べて、より正確に液晶表示部10aの表示ムラを抑制することができる。
【0166】
(実施の形態2の変形例)
以下、本変形例に係る液晶表示装置310について、
図16を参照しながら説明する。
図16は、実施の形態2の変形例に係る液晶表示装置310の機能構成を示すブロック図である。なお、実施の形態2に係る液晶表示装置210との相違点を中心に説明し、同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0167】
図16に示すように、本変形例に係る液晶表示装置310の画像処理部380は、実施の形態2に係る液晶表示装置210の画像処理部280が備える表示ムラ補正部300に替えて、表示ムラ補正部400を有する。
【0168】
表示ムラ補正部400は、第1出力画像信号DAT1を分配部90から直接取得しない。具体的には、表示ムラ補正部400は、入力画像信号Dataに基づいて第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1を予測することで、第1出力画像信号DAT1を取得する。
【0169】
表示ムラ補正部400は、実施の形態2の表示ムラ補正部300に加えて、入力画像信号Dataに基づいて、分配部90から第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1を予測する信号予測部
402を有する。信号予測部
402は、例えば、入力画像信号Dataと分配部90における第1出力画像信号DAT1を生成する処理とに基づいて、第1出力画像信号DAT1を予測してもよいし、入力画像信号Dataに対して所定の信号処理を行うことで第1出力画像信号DAT1を予測してもよい。そして、表示ムラ補正部400は、信号予測部402が予測した信号を用いて第2分配画像信号に対してムラ補正を行う。
【0170】
信号予測部402は、例えば、分配部90における第1出力画像信号DAT1を生成する処理と同様の処理が可能なように構成される。信号予測部402は、例えば、白黒画像生成部91〜乗算器95のそれぞれを有する構成であってもよい。
【0171】
信号予測部402は、入力画像信号Dataに基づいて予測した第1出力画像信号DAT1をムラ処理部301に出力する。予測した第1出力画像信号DAT1は、分配部90が第1液晶パネル20に出力する第1出力画像信号DAT1と実質的に同一であってもよいし、第1液晶パネル20に出力される第1出力画像信号DAT1と信号予測部402が予測した第1出力画像信号DAT1とは、少なくとも一部の階調値が異なっていてもよい。
【0172】
なお、
図12に示すステップS130において、本変形例に係る表示ムラ補正部400は、第1出力画像信号DAT1を当該表示ムラ補正部400が有する信号予測部402から取得する。
【0173】
以上のように、本変形例に係る液晶表示装置310の分配部90は、第2分配画像信号(分配画像信号の一例)を第1出力画像信号DAT1として第1液晶パネル20に出力し、表示ムラ補正部400(ムラ補正部の一例)は、入力画像信号Dataに基づいて第1出力画像信号DAT1を予測する信号予測部402(予測部の一例)をさらに有する。そして、信号予測部402が予測した信号に基づいて第2分配画像信号に対してムラ補正を行う。
【0174】
これにより、表示ムラ補正部400は、第1液晶パネル20に階調値に依存する表示ムラが発生している場合、第1出力画像信号DAT1を分配部90から取得することなく、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制することができる。
【0175】
(実施の形態3)
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置について、
図17を参照しながら説明する。
【0176】
[3−1.液晶表示装置の構成]
まず、実施の形態3に係る液晶表示装置410の全体の概略構成について、
図17を参照しながら説明する。
図17は、実施の形態3に係る液晶表示装置410の機能構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1に係る液晶表示装置10との相違点を中心に説明し、同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0177】
図17に示すように、本実施の形態に係る液晶表示装置410の画像処理部480は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の画像処理部80が備える表示ムラ補正部100に替えて、表示ムラ補正部500及び510を有する。
【0178】
表示ムラ補正部500は、分配部90から取得した第1分配画像信号に対して、液晶表示部10aの表示ムラを抑制する補正を行うことで第1出力画像信号DAT1を生成し、生成した第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する処理部である。本実施の形態では、表示ムラ補正部500は、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブル501a(第1LUT501aとも記載する)を有し、当該第1LUT501aを用いてムラ補正を行う。なお、表示ムラ補正部500は、第2分配画像信号を取得しない。つまり、表示ムラ補正部500は、第1液晶パネル20の表示ムラに基づいて、第1分配画像信号の各画素の階調値を補正する。表示ムラ補正部500は、第1出力画像信号DAT1を生成し、生成した第1出力画像信号DAT1を第1液晶パネル20に出力する第1ムラ補正部の一例である。表示ムラ補正部500は、上記の階調値の補正を実行するムラ処理部501を有する。
【0179】
ムラ処理部501は、第1液晶パネル20における表示ムラを低減するために第1分配画像信号の各画素それぞれの階調値を補正する処理を行う処理部である。具体的には、ムラ処理部501は、第1LUT501aと、分配部90から取得した第1分配画像信号とを用いて、第1分配画像信号の各画素それぞれの階調値を補正することで、第1出力画像信号DAT1を生成する。ムラ処理部501による第1分配画像信号の階調値の補正は、第1ムラ補正の一例である。
【0180】
表示ムラ補正部510は、分配部90から取得した第2分配画像信号に対して、液晶表示部10aの表示ムラを抑制するムラ補正を行うことで第2出力画像信号DAT2を生成し、生成した第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30に出力する処理部である。本実施の形態では、表示ムラ補正部510は、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブル511a(第2LUT511aとも記載する)を有し、当該第2LUT511aを用いてムラ補正を行う。なお、表示ムラ補正部510は、第1分配画像信号を取得しない。つまり、表示ムラ補正部510は、第2液晶パネル30の表示ムラに基づいて、第2分配画像信号の各画素の階調値を補正する。表示ムラ補正部510は、第2出力画像信号DAT2を生成し、生成した第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30に出力する第2ムラ補正部の一例である。表示ムラ補正部510は、上記の階調値の補正を実行するムラ処理部511を有する。
【0181】
ムラ処理部511は、第2液晶パネル30における表示ムラを低減するために第2分配画像信号の各画素それぞれの階調値を補正する処理を行う処理部である。具体的には、ムラ処理部511は、第2LUT511aと、分配部90から取得した第2分配画像信号とを用いて、第2分配画像信号の各画素それぞれの階調値を補正することで、第2出力画像信号DAT2を生成する。ムラ処理部511による第2分配画像信号の階調値の補正は、第2ムラ補正の一例である。
【0182】
例えば、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の一方で液晶表示部10aの表示ムラを抑制する場合、主に第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30の他方は表示ムラがある画像を表示することになる。そのため、当該液晶表示部10aを斜め方向から見ると、表示ムラが見えてしまう。
【0183】
一方、上記のように、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30それぞれで液晶表示部10aの表示ムラを抑制する場合、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30それぞれにおいて表示ムラが抑制された画像を表示することができる。そのため、当該液晶表示部10aを斜めから見ても、表示ムラは見えにくい。
【0184】
なお、上記では、表示ムラ補正部500は第1液晶パネル20の表示ムラを抑制し、表示ムラ補正部510は第2液晶パネル30の表示ムラを抑制する補正を行う例について説明したが、これに限定されない。表示ムラ補正部500は液晶表示部10aにおける色ムラを低減し、表示ムラ補正部510は液晶表示部10aにおける輝度ムラを低減する補正を行ってもよい。
【0185】
また、第2液晶パネル30の第1液晶パネル側に配置された偏光板(例えば、
図3に示す第1液晶パネル側に配置された第2偏光板35)が拡散層を有している場合、第2液晶パネル30のみで高周波の表示ムラを抑制することが困難である。そのため、表示ムラ補正部500は、液晶表示部10aにおける高周波の表示ムラを抑制し、表示ムラ補正部510は、液晶表示部10aにおける低周波の表示ムラを抑制する補正を行ってもよい。つまり、第1液晶パネル20において高周波の表示ムラを抑制し、第2液晶パネル30において低周波の表示ムラを抑制してもよい。
【0186】
また、例えば、ガンマ処理部92が
図19Aに示すガンマ特性に基づいて階調補正する場合、表示ムラ補正部510においては、階調値を上げる補正を行うことができない。そこで、表示ムラ補正部500は、表示ムラ補正部510において階調値を上げる補正が発生した場合、当該補正を第1分配画像信号において行ってもよい。これにより、液晶表示部10aにおいて表示される画像の輝度を低下させることなく、表示ムラの抑制が可能となる。
【0187】
[3−2.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置410は、分配部90から出力された第2分配画像信号に対して、液晶表示部10a(表示部の一例)の表示ムラを抑制する第2ムラ補正を行うことで第2出力画像信号DAT2を生成し、生成した第2出力画像信号DAT2を第2液晶パネル30に出力する表示ムラ補正部510(第2ムラ補正部の一例)を、さらに備える。
【0188】
これにより、第1分配画像信号、及び、第2分配画像信号の両方を補正することにより、第1分配画像信号、及び、第2分配画像信号の一方で補正を行っている場合に比べ、表示ムラ補正部の処理を分散させることができる。例えば、第1液晶パネル20がカラー画像を表示し、第2液晶パネル30が白黒画像を表示する場合、表示ムラ補正部500が第1分配画像信号に対して色ムラを補正する処理を行い、かつ表示ムラ補正部510が第2分配画像信号に対して輝度ムラを補正する処理を行うことで、両方の処理を1つの表示ムラ補正部で行っている場合に比べ、表示ムラ補正部それぞれの処理量を減らすことができる。よって、液晶表示装置410によれば、液晶表示部10aの表示ムラを効果的に抑制することができる。
【0189】
また、表示ムラ補正部500(第1ムラ補正部の一例)は、第1液晶パネル20の表示ムラを抑制するための第1ルックアップテーブル501aを有し、当該第1ルックアップテーブル501aを用いて第1ムラ補正を行う。また、表示ムラ補正部510は、第2液晶パネル30の表示ムラを抑制するための第2ルックアップテーブル511aを有し、当該第2ルックアップテーブル511aを用いて第2ムラ補正を行う。
【0190】
これにより、第1液晶パネル20及び第2液晶パネル30のそれぞれが、表示ムラが抑制された画像を表示することができる。よって、液晶表示部10aを斜め方向から見た場合に液晶表示部10aの表示ムラが見えることを抑制することができる。
【0191】
(その他の実施の形態)
以上、各実施の形態及び変形例(以下において、実施の形態等とも記載する)に係る液晶表示装置について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0192】
例えば、上記実施の形態等において、白黒画像生成部は、視差低減部に含まれていてもよい。つまり、ガンマ処理部でガンマ補正された入力画像信号が白黒画像生成部に入力されてもよい。
【0193】
また、上記実施の形態等において、表示ムラ補正部は、接着層の厚みを薄くしたときに発生する液晶表示部の表示ムラを抑制する例について説明したが、これに限定されない。表示ムラ補正部は、液晶表示部を構成する第1液晶パネル及び第2液晶パネルのそれぞれに独立して発生している表示ムラ(例えば、第1液晶パネル及び第2液晶パネルを貼り合わせる前にそれぞれの液晶パネルに発生している表示ムラ)を抑制してもよい。
【0194】
また、上記実施の形態等において、第1液晶パネルと第2液晶パネルとは、OCA等の接着層により貼り合わせされている例について説明したが、これに限定されない。第1液晶パネルと第2液晶パネルとは、第1液晶パネルと第2液晶パネルとを所定の間隔で固定可能な固定部材を用いて固定されていてもよい。第1液晶パネル及び第2液晶パネルの外周部分がフレーム等で固定されていてもよい。また、第1液晶パネルと第2液晶パネルとを正面視したときに、偏光板が貼られていない外側領域にのみ接着層(つまり、枠状の接着層)が形成されていてもよい。言い換えると、第1液晶パネルにおいて第2液晶パネル側に貼られた偏光板と、第2パネルにおいて第1液晶パネル側に貼られた偏光板との間は、少なくとも一部が空気層であってもよい。
【0195】
また、上記実施の形態等において、ルックアップテーブルは、各画素それぞれで入力階調と出力階調とが対応付けられている例について説明したが、これに限定されない。ルックアップテーブルは、画像を複数の仮想ブロックに分割し、分解した仮想ブロックごとに入力階調と出力階調とが対応したテーブルであってもよい。例え、表示ムラの態様が類似している複数の画素を1つの仮想ブロックとすることで、ルックアップテーブルの情報量を減らしつつ、表示ムラを抑制することができる。
【0196】
また、上記実施の形態等において、表示ムラ処理部は、ルックアップテーブルを用いて液晶表示部の表示ムラのムラ補正を行う例について説明したが、これに限定されない。表示ムラ補正部は、例えば、階調値に所定の定数を演算することにより、ムラ補正を行ってもよい。例えば、液晶表示部の表示ムラが画像信号の階調値に依存しない表示ムラである場合などに有効である。
【0197】
また、上記実施の形態等では、液晶表示装置は、2つの液晶パネルを備える例について説明したが、これに限定されない。液晶表示装置は、例えば、3つ以上の液晶パネルを備えていてもよい。
【0198】
また、一対の第1透明基板及び一対の第2透明基板は、ガラス基板としたが、これに限らず、透明樹脂基板等であってもよい。
【0199】
また、上記実施の形態等において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、プロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、一つのチップに集積されていてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0200】
また、上記実施の形態等において説明された複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【0201】
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。