特許第6899384号(P6899384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899384
(24)【登録日】2021年6月16日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】液滴検出デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/12 20060101AFI20210628BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   G01V8/12 A
   G01N21/59 Z
【請求項の数】17
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-517551(P2018-517551)
(86)(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公表番号】特表2019-500578(P2019-500578A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】EP2016073851
(87)【国際公開番号】WO2017060336
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年10月4日
(31)【優先権主張番号】102015117248.8
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514024918
【氏名又は名称】フェルメス マイクロディスペンシング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルガー、イーリ
(72)【発明者】
【氏名】メールレ、クラウス ヴェルナー
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−025806(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0089561(US,A1)
【文献】 特開2002−191692(JP,A)
【文献】 国際公開第99/021031(WO,A1)
【文献】 特開2003−191467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/12
G01N 21/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量バルブ(DV)のノズルから抜け出す液滴(TR)の検出のための液滴検出デバイス(11、11a、11b)であって、
所定のパルス周波数を有する搬送波信号(TS)を生成するように構成された信号生成ユニット(20)と、
搬送波信号(TS)と、検出される液滴(TR)との物理的相互作用により、変調された測定信号を生成するように構成された変調ユニット(30、30a)と、
前記測定信号の互いに直交位相関係を有する同相成分(I)および直交成分(Q)を決定するために、前記測定信号の直交復調を実行するように構成された復調ユニット(40)と、
前記同相成分(I)および前記直交成分(Q)に基づいて、液滴(TR)が前記計量バルブ(DV)によって分注されたかどうかを判定するように構成された評価ユニット(50)と
を有する液滴検出デバイス。
【請求項2】
前記計量バルブ(DV)が、マイクロ計量バルブである請求項1記載の液滴検出デバイス。
【請求項3】
液滴(TR)の分注が、前記計量バルブ(DV)の液滴分注制御システムと同期された所定の時間窓内で検査されるように設計された請求項1または2記載の液滴検出デバイス。
【請求項4】
前記測定信号(MS)の振幅復調を実行するように構成された復調ユニット(40)を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の液滴検出デバイス。
【請求項5】
前記評価ユニット(50)が、変調評価ユニット(51)を備え、前記変調評価ユニット(51)が、変調された測定信号(MS)に基づく変調信号(MOD)の振幅および/または位相の大きさを決定するように構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の液滴検出デバイス。
【請求項6】
前記評価ユニット(50)が、変調評価ユニット(51)を備え、前記変調評価ユニット(51)が、前記同相成分(I)および前記直交成分(Q)の極座標変換により、変調された測定信号(MS)に基づく変調信号(MOD)の振幅および/または位相の大きさを決定するように構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の液滴検出デバイス。
【請求項7】
前記変調評価ユニット(51)が、前記変調信号(MOD)の、振幅値の時間微分を含む振幅微分値(dA/dt)、および/または位相の時間微分を含む位相微分値(dφ/dt)を決定するように構成される、請求項または記載の液滴検出デバイス。
【請求項8】
固定された時間間隔(IT)で、所定数の振幅微分値(dA/dt)が、振幅比較値(AM)に組み合わされ、および/または、所定数の位相微分値(dφ/dt)が、位相比較値(φM)に組み合わされる、請求項記載の液滴検出デバイス。
【請求項9】
固定された時間間隔(IT)で、所定数の振幅微分値(dA/dt)の最大値が、振幅比較値(AM)に組み合わされ、および/または、所定数の位相微分値(dφ/dt)の最大値が、位相比較値(φM)に組み合わされる、請求項記載の液滴検出デバイス。
【請求項10】
前記評価ユニット(50)は、検出フィルタユニット(52)を備え、前記検出フィルタユニット(52)は、前記変調信号(MOD)が、振幅比較値(AM)に、および/または位相比較値(φM)に基づいて液滴(TR)を示すかどうかを判定するように構成される、請求項または記載の液滴検出デバイス。
【請求項11】
前記検出フィルタユニット(52)が、前記変調評価ユニット(51)によって決定された振幅比較値(AM)の振幅基準値(RWA)からの相対偏差、および/または前記変調評価ユニット(51)によって決定された位相比較値(φM)の位相基準値(RWφ)からの相対偏差を決定するように構成される、請求項10記載の液滴検出デバイス。
【請求項12】
前記液滴検出デバイスが、基準値記憶デバイスを有し、
以前に記録された変調信号(MOD)からの複数の振幅比較値(AM)から形成される振幅基準値(RWA)、および/または以前に記録された変調信号(MOD)からの複数の位相比較値(φM)から形成される位相基準値(RWφ)が、可変基準値として前記基準値記憶デバイスに保存される、請求項11記載の液滴検出デバイス。
【請求項13】
前記検出フィルタユニット(52)が、前記振幅比較値(AM)の前記振幅基準値(RWA)からの決定された相対偏差、および/または前記位相比較値(φM)の前記位相基準値(RWφ)からの決定された相対偏差が、下限および上限の相対値を超えないかどうかを判定するように構成される、請求項11または12記載の液滴検出デバイス。
【請求項14】
前記検出フィルタユニット(52)が、前記振幅比較値(AM)の偏差を決定するために用いられる絶対振幅基準値(RWA)が、所定の絶対振幅基準値範囲(ARI)内にあるかどうか、および/または、前記位相比較値(φM)の偏差を決定するために用いられる絶対位相基準値(RWφ)が、所定の絶対位相基準値範囲(PRI)内にあるかどうかを判定するように構成される、請求項1113のいずれか1項に記載の液滴検出デバイス。
【請求項15】
前記変調ユニット(30)が、
発光ユニット(31)および光センサユニット(32)、および/または
容量センサユニット
を備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載の液滴検出デバイス。
【請求項16】
前記信号生成ユニット(20)が、搬送波信号(TS)として方形波信号を生成するように構成される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の液滴検出デバイス。
【請求項17】
計量バルブ(DV)の液滴(TR)を検出する方法(600)であって、前記方法が、
所定のパルス周波数を有する搬送波信号(TS)を生成するステップと、
搬送波信号(TS)と、検出される液滴(TR)との物理的相互作用により、変調された測定信号(MS)の生成が確実となるように、前記計量バルブ(DV)によって分注され得る液滴(TR)が移動する軌道(T)に搬送波信号(TS)を適用するステップと、
前記測定信号の互いに直交位相関係を有する同相成分(I)および直交成分(Q)を決定するために、前記測定信号の直交復調を実行するステップと、
前記同相成分(I)および前記直交成分(Q)に基づいて、前記計量バルブ(DV)によって液滴が分注されたかどうかを判定するステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴検出デバイスに関する。加えて、本発明は、計量バルブから、好ましくはマイクロ計量バルブからの液滴を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状またはペースト状の媒体を塗布し、分注するときに、たとえば接着剤を塗布するときに、計量バルブが使用される。計量バルブは、投与される流体が排出される先端にノズルを備える。従来のニードル弁の場合、所定の量の媒体を計量するために、計量バルブの開口は、弁座から計量ニードルをわずかに引くことによって開放される。それによって、媒体は、たとえば、与圧下で駆動され、ノズル開口またはバルブ開口を通って流れ得る。充填工程または計量工程を完了させる場合、計量バルブのノズルが閉じられる。
【0003】
特には、ピエゾ計量バルブ技術に基づいて、いわゆる「ジェットバルブ」が組立てられ得る。ここにおいて、計量ニードルおよびバルブタペットを前進および後退移動させることにより、ある量の媒体の分配が行なわれ、計量ニードルおよびバルブタペットのノズル開口方向への移動が起こるときに、ある量の媒体がジェットのようにノズル開口から押し出される。これにより、所定量の計量媒体が、計量バルブと塗布表面、たとえば、処理される部品との間のより大きな距離に亘って塗布可能になる。これにより、計量間隔が、塗布領域に応じて、0.5ミリと数ミリとの間で変更し得る。ジェットバルブは、処理される部品とのいかなる接触もなしに、高速で精密な計量を可能にする。個々の液滴の分配を制御するために、対応する評価工程と併せて、センサが液滴を検出する必要がある。
【0004】
特にジェットバルブにより予め生成された液滴の光学検出の場合、以下の問題が明らかとなっている。
【0005】
最初に、計量バルブと液滴が塗布される処理部品の表面との間にできるだけ最小の距離が維持されるべきである。この距離は、個々の塗布に応じて、0.5ミリと3ミリとの間で変更され得る。この仕様は、液滴センサの可能な設置高さをかなり制限する。さらに、検出される液滴は、非常に小さく、時には10ミクロン未満の径を有する。さらには、液滴の速度は、非常に早く、50m/sまでの速度を有し、それによって、検出センサによって監視される範囲を通して非常に短い通過時間、数マイクロ秒となる。液滴のサイズが小さく高速であるため、低信号振幅および好ましくない信号/雑音比率を有する弱センサ信号をもたらし、液滴のフェールセーフ光学検出を非常に困難にする。もし、光検出器などの最適な電気センサを、たとえば、強い光信号およびその変換後の電気信号を得ようとするために、バルブのノズル近くに適用しようとする場合、システムの寸法の小ささとの間で矛盾が生じる。たとえば、スペースの不足により、全評価電子部品を直接センサ上に配置することはほとんど不可能である。しかしながら、評価電子部品がセンサと離れて配置される場合、捉えられた電気アナログ信号は、フェールセーフ方式で評価電子部品に送達されなければならないという問題がある。
【0006】
特許文献1には、流体通路と、流体通路の周囲に配置され、分配された注入量をモニタするための液滴検出ユニットとを有する注入デバイスが記載されている。液滴検出ユニットは、発光ユニットおよび光検出ユニットを含む。発光ユニットにより出射された光は、分散された液滴の軌道と交差する。発光ユニットにより出射された光の短時間のシャドウィングが液滴により行なわれる場合、このシャドウィングは、光検出ユニットにより捉えられ、出射された液滴として記録される。しかしながら、モニタリングは、散乱光または外部光源により妨げられる可能性があり、それによって、信頼できる検出が必ずしも行なわれるわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許第1,520,606号明細書
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、高感度で、フェールセーフ方式で作動し、制限されたスペース条件に適合した液滴検出デバイスを開発することである。
【0009】
この課題は、請求項1に係る液滴検出デバイスおよび請求項15に係る計量バルブの液滴の検出方法によって解決される。
【0010】
計量バルブのノズルから抜け出す液滴の検出のための本発明による液滴検出デバイスは、所定のパルス周波数を有する搬送波信号を生成するように構成された信号生成ユニットを有する。パルス信号は、たとえば、特定のリズムでオンオフが切り換えられる、一定の特性パラメータ(たとえば、パルス周波数または搬送波周波数とも呼ばれる周波数、振幅)で周期的に変化する搬送波信号として理解されるべきである。信号は、最初は、一定の特性パラメータを除いて、非変調状態で情報を搬送しない。送られる情報は、搬送波信号と情報源との物理的相互作用によって実現され得る変調によって最初に受取られる。たとえば、搬送波信号は、変調信号によって変調されるか、または、その他の物理的外乱、たとえば、検出される液滴に影響され得る。これに関して、振幅、周波数または位相などの1つまたは複数のパラメータに関する搬送波信号の変化は、変調として理解されるべきである。パルス周波数または搬送波周波数は、変調の周波数より高くするべきであるか、または、波長は、液滴による信号の「外乱」よりも短くするべきである。
【0011】
さらに、本発明による液滴検出デバイスは、搬送波信号TSと、検出される液滴との物理的相互作用により、変調測定信号を生成するように構成された変調ユニットを備える。これに加えて、本発明による液滴検出デバイスは、所定のパルス周波数を考慮して、変調測定信号に基づいて、液滴が計量バルブによって分注されたかどうかを判定するように構成される評価ユニットを有する。好ましくは、この目的のために、たとえば、評価ユニットの一部であり得る復調ユニット内で、変調された信号に基づく変調信号が、所定のパルス周波数を考慮して、決定することができ、変調信号に基づいて、液滴が計量バルブによって分注されたかどうかが判定される。この点について、液滴による搬送波信号の変調に対応する信号は、復調によって搬送波信号から再度「分離」することができる変調信号として理解されるべきである。搬送波信号は、好ましくは、変調ユニットにとって最適な所定のパルス周波数およびデューティーサイクルを有して、信号生成ユニットによって生成される。好ましくは、たとえば、側波帯選択のための最適な位相を有する変調ユニットのミキサの制御信号など、搬送波信号に釣り合うか、または搬送波信号から引き起こされる他の制御信号が、信号生成ユニットによって生成され得る。
【0012】
変調された測定信号または変調信号の特定の信号パラメータ値、たとえば、変調信号の振幅および位相の時間依存曲線の経路は、検出される液滴の特定の特性または寸法に対応する。前記の信号パラメータと検出される液滴の特性または寸法との間の関係は、検出のためには直接知る必要はない。たとえば、所定の寸法を有する「液滴サンプル」を用いたトレーニング手順内において、変調された測定信号または変調信号のどの信号パラメータ値が、(トレーニング手順内で使用される「液滴サンプル」の)所望の特性および寸法を有する液滴を示すかを、すなわち何時液滴が検出されたとみなされるかを前もって確定するだけで十分である。関連する設定パラメータは、たとえば、トレーニング処理内で検出された対象液滴を自動的に観察することにより見出すことができる。
【0013】
本発明による、計量バルブの液滴を検出する方法の場合、好ましくは、パルス搬送波信号は、所定のパルス周波数で生成される。それを、計量バルブにより分注される液滴がその上を移動する軌道に適用することにより、搬送波信号TSと、計量バルブにより分注された、検出される液滴との物理的相互作用により、変調測定信号が生成されることが確実となる。この測定信号は、最初、液滴が分注されない場合、変化しない搬送波信号に相当し、そうでなければ、液滴の「外乱」によって生じる、修正された搬送波信号に相当する。測定信号が分析され、変調された信号に基づいて、所定のパルス周波数を考慮して、好ましくは、変調された測定信号に基づいてさらなる評価のための変調信号を最初に生成することによって、液滴が計量バルブによって分注されたかどうかが判定される。
【0014】
本発明のその他の特に好ましい実施形態およびさらなる実施形態が、従属請求項および以下の記載からもたらされ、特定のカテゴリの請求項は、他のカテゴリの従属請求項によってさらに展開することができ、各種の例示的な実施形態の特徴が組み合わされて新規の例示的な実施形態となり得る。
【0015】
液滴検出デバイスの一実施形態において、液滴の分注は、計量バルブの液滴分注制御システムと同期される所定の時間窓内で検査される。言い換えれば、液滴が検出される時間窓、または、概して液滴が探索されるとき、もしくは、適用可能であれば、搬送波信号が出射されるときである時間窓は、提供される液滴の分注が時間窓内で起こるように、計量バルブの液滴分注と同期される。
【0016】
ある特別な実施形態において、液滴検出デバイスは、測定信号の振幅復調を実行するように構成される復調ユニットを備える。
【0017】
特に有効な一実施形態において、測定信号の直交変調は、同相成分および直交成分を決定するために実行される。この目的のために、復調ユニットが、それに応じて構成され得る。
【0018】
好ましくは、変調された測定信号に基づく変調信号の振幅および/または位相の大きさが、同相成分および直交成分に基づいて決定され得る。たとえば、変調信号の振幅および位相は、同相成分および直交成分の極座標変換によって得ることができる。これを行うために、液滴検出デバイスの評価ユニットは、好ましくは、このために構成された変調評価ユニットを有し得る。
【0019】
液滴検出デバイスの特別な変形例において、これは、特に変調評価ユニットは、変調信号の、振幅値の時間微分を含む、包括的には時間微分である振幅微分値、および/または位相の時間微分を含む位相微分値を決定するように構成される。
【0020】
好ましい実施形態において、液滴検出デバイス、特に変調評価ユニットは、時間窓の所定の固定時間間隔において、所定の数の振幅微分値を振幅比較値に組み合わせる、および/または、時間窓の第2の所定の固定時間間隔において、所定の数の位相微分値を位相比較値に組み合わせるように構成される。たとえば、振幅微分値および位相微分値の組み合わせは、複数の振幅微分値の振幅比較値への加重または追加、および複数の位相微分値の位相比較値への加重または追加を含み得る。原則として、振幅微分値の組み合わせおよび位相微分値の組み合わせのための2つの時間間隔が、トレーニング段階の間または上記のトレーニング手順中に決定される。それによって、時間間隔のトレーニング中に、如何なる時間的制約も無しに連続して数値が得られる。時間間隔は、振幅微分値および位相微分値の所定の数の最大値をこれらの時間間隔で得ることができるように決定される。振幅微分値および位相微分値の時間間隔は、好ましくは、お互いに独立して決定される。このことは、継続時間および開始時間が、お互いに独立していることを意味する。
【0021】
たとえば、時間間隔は、最大値の数、たとえば10個が、このような大きな範囲内にある場合、50個の測定値を含むように設定され得る。この範囲を特定後、トレーニング段階の後に、時間間隔を含むこれらの50個の測定値から10個の最大値が、常に決定され、または探索され、およびさらに使用される。
【0022】
振幅比較値および/または位相比較値に基づいて、好ましくは、変調信号が液滴を示すかどうかが判定される。したがって、変調評価ユニットに加えて、本発明による液滴検出デバイスの評価デバイスは、好ましくは、振幅比較値および/または位相比較値に基づいて、変調信号が、液滴を示すかどうかを判定するように構成された検出フィルタユニットを備える。
【0023】
液滴を検出するために、特には、液滴検出デバイスの検出フィルタユニットは、たとえば、変調評価ユニットによって決定された振幅比較値の振幅基準値からの偏差、および/または、たとえば、変調評価ユニットによって決定された位相比較値の位相基準値からの偏差を決定するように構成され得る。振幅基準値は、たとえば、以前に収集された変調信号の複数の振幅比較値によって形成され得る。位相基準値は、たとえば、以前に収集された変調信号の複数の位相比較値から形成され得る。基準値を形成する際には、正しく検出された液滴として分類された比較値のみが、基準値決定の一部であることが保証されるべきである。
【0024】
ある特別な実施形態において、液滴検出デバイスは、基準値記憶デバイスを有することができ、以前に記録された変調信号からの複数の振幅比較値によって形成される振幅基準値、および/または、以前に記録された変調信号からの複数の位相比較値によって形成される位相基準値が、可変基準値として基準値記憶デバイスに保存される。このことから、比較値が全体的に緩やかな平均変動を有する場合に、基準値が、個々の液滴の比較値に対して連続的に適用される。これによって、比較値の絶対要素との比較と比べて、基準値に対する許容変動範囲を小さくすることができる。
【0025】
液滴が検出されたかどうかを判定するために、液滴検出デバイス、特に検出フィルタユニットは、振幅基準値からの振幅比較値の検出された偏差、および/または位相基準値からの位相比較値の検出された偏差が、最大値を超えないかどうかを判定するように構成される。基準値は、通常の検出工程中に継続して得られる。これらの基準値は、フィルタトレーニング段階から決定された相対許容変動に関連した一種の目標値を表わす。許容相対変動は、フィルタトレーニング中に決定されたものであるので、経験的因子を示す。決定された比較値が目標値からはるかにはなれたものである場合、液滴が検出されなかったか、または少なくとも正規の液滴が検出されなかったかのいずれかであると結論付けられる。
【0026】
特に好ましい変形例において、振幅比較値の偏差を決定するために使用される振幅基準値が所定の振幅基準値範囲内にあるかどうか、および/または、位相比較値の偏差を決定するために使用される位相基準値が所定の位相基準値範囲内にあるかどうか、が判定される。この目的のために、代わって、検出フィルタユニットが、それに応じて構成される。たとえば、基準値記憶デバイス内に、振幅および位相基準値のための固定基準値範囲が、それぞれ記憶され得る。かかる固定基準値範囲は、たとえば、トレーニング段階で決定することができ、トレーニング段階では、基準値の可能な変動範囲も決定される。使用される基準値が固定基準値範囲内ではない場合、最初に正常ではない液滴が基準値測定に寄与したと仮定され、かかる基準値が最早信頼すべきものではないとみなされる。たとえば、かかる場合、調査結果は、少なくとも信頼できないものと分類されるか、または廃棄され得る。かかる状況は、計量バルブによって分注された液滴の寸法が緩やかに、しかし連続して変化するときに起こり得る。ところで、もし、基準値が、かかる変化した変調値または比較値に基づいて形成されると、好ましくない場合には、基準値はまた、所定の対象の液滴からあまりにずれた、正しくない液滴に対応する可能性がある。かかる間違いを避けるために、ずれることが許容されない基準値の固定範囲を決定することが好ましい。基準値が最早所定の範囲内にないと判定された場合、たとえば、システムが最早適切に較正されないことを伝える通知が液滴検出デバイスのユーザになされ得る。ユーザは、次に対策をとり得る。たとえば、ユーザは、計量バルブが適切に機能していることを保証するために検査し、機能上の欠陥を排除することができる。次に、たとえば、システムを再開した後に、正しい基準値が決定され得る。この場合、基準値は、一種の準備段階において再開後に決定され、測定工程中に、その時点までの基準値と現在の測定値の平均を形成することにより更新される。
【0027】
本発明による液滴検出デバイスの特に実用的な実施形態において、変調ユニットは、発光ユニットおよび光センサユニットを備える。光ダイオード、特に半導体ダイオードは、電気搬送波信号を光信号に変換する発光ユニットとして使用することができる。光センサユニットは、たとえば、光電効果に基づくセンサ、好ましくは、半導体センサを備える。
【0028】
さらに、本発明による液滴検出デバイスの変調ユニットは、少なくとも2つの光導波路素子を備える。これらの光導波路素子は、好ましくは、発光ユニットによって出射された光が、計量バルブによって放出された液滴の軌道に導かれ、液滴の軌道を横切り、光センサユニットに導かれるように、発光ユニットおよび光センサユニットと接続され、配置される。言い換えれば、2つの光導波路素子の一方は、発光ユニットによって生成された光を、計量バルブによって放出された液滴が飛んで通過すると予想される範囲に導く。他方の光導波路素子は、好ましくは、液滴によって場合によっては変調される光を受け取り、光センサユニットに導くように、第1の光導波路素子に対向して配置される。光搬送ユニットとして2つの光導波路素子を用いる場合、好ましい態様として、発光ユニットおよび光センサユニットが、液滴の軌道の範囲内に配置され得る。それにより、発光ユニットおよび光センサユニットの寸法を決めるときに、計量バルブのノズルの領域内の、または計量バルブと材料との間の通常ごく限られた空間状況を考慮する必要がない。
【0029】
代わりに、または加えて、本発明による液滴検出デバイスは、また、容量センサユニットを有する変調ユニットを備える。この場合、液滴検出システムの原理は、液滴軌道による相対誘電率の変動により生じる、キャパシタの静電容量の変調に基づき得る。この実施形態において、変調された信号の分析および評価、ならびに電気搬送波信号の生成は、他の実施形態と同様に実行され得る。
【0030】
本発明による液滴検出デバイスは、搬送波信号、好ましくは、パルス化された、すなわち、さらに可能な程度に方形の搬送波信号として方形波信号を生成するように構成されることが特に好ましい。
【0031】
実際の液滴検出が始まる前に、好ましくは、本発明による液滴検出デバイスの較正が最初に行われる。それにより、たとえば、搬送波信号のパルス幅が、たとえば、光信号が使用される変形例の場合に、搬送波信号に基づいて形成された光線の最適輝度が達成されるような方法で設定される。最適輝度は、電気センサ、好ましくは、光ダイオードに達する残光、すなわち、全光路を通った後に依然として残って、光ダイオードに当たる光をいう。出射された光およびそれによって受け取られる残光の強度は、センサが、この動作点で最大レベルの感度であるように選択されなければならない。したがって、感度は、光強度のわずかな変化から生じる、光ダイオードの出力電流の最大可能変動をいう。最適輝度の設定は、光導波路素子の交換時に行う必要がある。
【0032】
行われる設定は、たとえば、パルス化された搬送波信号の周波数の決定に関し、それによって、受け取られた信号、すなわち搬送波信号、および、液滴により引き起こされた振幅変調から生じる側波帯が、最適な方法でバンドパスフィルタを通過する。搬送波信号と復調ユニットの制御信号との間の位相位置を設定することによって、変調された測定信号の側波帯が選択される。ここで述べられた設定のすべては、原則として、最初の液滴検出システムの開始時、またはハードウェア構成要素の交換時、たとえば、また、他の光導波路素子の長さへの変更時に、変えなければならないハードウェアパラメータである。さらに、また、3つの増幅器レベル(図3の41、44、54)のパラメータがある。すべてのハードウェアパラメータは、手動で入力することができるが、ハードウェアティーチング(またはハードウェアトレーニング段階)の範囲内において自動で検出/設定することもできる。
【0033】
さらに、検出フィルタユニットのパラメータが、「対象液滴」の自動観察を通してトレーニング段階において見出され得る。調整可能なパラメータは、たとえば、振幅/位相比較値の検出時間枠、基準値に対する比較値の相対許容範囲、および基準値の許容範囲を含む。これらの値は、液滴の計量プロセスが変わるときに変更される。検出フィルタユニットのすべてのパラメータは、手動で用いることができる。
【0034】
好ましくは、計量バルブを開放するための、計量バルブの制御ユニット(バルブ制御ユニット)が液滴検出システムに送る制御信号の受け取りと同期して、搬送波信号の活性化が行なわれる。それにより、制御信号は、好ましくは、計量バルブを開放および閉鎖するための両方のために出射される方形波信号として形成される。実際の液滴放出は、計量バルブを閉鎖するときに行われる。搬送波信号の活性化は、制御信号が安定化するのに数マイクロ秒必要なので、計量バルブを開放するための制御信号の第1の立ち上がりエッジと一緒にすでに行なわれる。評価ユニットの反応は、制御信号の第2の立ち上がりエッジの時点、すなわち、液滴の実際の放出が開始するときに行なわれる。これは、この瞬間のみに、液滴が変調ユニットを通過する可能性があるためである。このような方法で、実際の噴出動作の時間的挙動を非常に正確に検出することができる。
【0035】
本発明が、例示的な実施形態に基づいて、添付の図面を参照して再度、以下に説明される。各図面中の同一の構成要素には、同一の参照番号が付される。図面は、概して一定の縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の例示的な実施形態による液滴検出デバイスの概略図である。
図2】液滴検出プロセスの時間経過を示すグラフである。
図3】本発明の例示的な実施形態による液滴検出デバイスのより詳細な概略図である。
図4】本発明の例示的な実施形態による液滴検出デバイスの変調ユニットの概略図である。
図5】本発明の例示的な実施形態による液滴検出デバイスの復調ユニットのミキサユニットの詳細な概略図である。
図6】本発明の例示的な実施形態による液滴検出デバイスの制御ユニットの概略図である。
図7】本発明の例示的な実施形態による方法を示すフローチャートである。
図8図1、3に示された変調評価ユニットの機能原理が詳細に示されたフローチャートである。
図9図1、3に示された検出フィルタユニットの機能原理が詳細に示されたフローチャートである。
図10】本発明の代替の例示的な実施形態による液滴検出デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、計量バルブDVにおける本発明の非常に簡略化された例示的な実施形態による液滴検出デバイス11が概略的に示されている。液滴検出デバイス11は、信号生成ユニット20を備える。信号生成ユニット20は、所定のパルス周波数または搬送波周波数を有する搬送波信号TSを生成する。搬送波信号TSは、(検出される液滴に応じて)変調信号を搬送波信号TSに印加するように構成される変調ユニット30に送られる。
【0038】
変調ユニット30は、計量バルブDVによって分注された液滴TRの軌道が通る中間スペースを備える。図1に示された例示的な実施形態において、変調ユニット30は、生成された搬送波信号TSを、搬送波信号TSと検出される液滴TRとの相互反応が可能となる信号形態に変換する第1の信号変換ユニット31を備える。第2の信号変換ユニット32は、第1の信号変換ユニット31に対向して配置され、検出される液滴TRによって変調され得る測定信号MSを、電気的に伝達可能な、および電気的にさらに処理可能な信号EMSに再度変換する。信号変換ユニット31、32は、さらに、2つの信号変換ユニット31、32の間の中間スペース内で液滴TRと相互作用する可能性のある信号の妨げられない供給および伝達を確実にする信号供給ユニットおよび信号伝達ユニット(図2参照)をさらに備えていてもよい。
【0039】
変調された電気測定信号EMSは、変調ユニット30によってさらに評価ユニット50へ伝達される。評価ユニット50は、電気的に変調された測定信号EMSを復調する復調ユニット40を含む。すなわち、電気的に変調された測定信号EMSの変調信号MOD(これは、搬送波信号と液滴との間の相互作用が起こったかどうかに関する情報を含む)が搬送波信号TSから分離され、次に、図1に示された第1の例示的な実施形態における制御手段60の一部である変調評価ユニット51に伝達される。
【0040】
変調評価ユニット51は、変調信号MODに基づいて、たとえば振幅比較値または位相比較値などの比較値を決定する。比較値は、検出フィルタユニット52に伝達され、検出フィルタユニット52は、上記の比較値および以前に決定された基準値に基づいて、液滴TRが計量バルブDVから所望の大きさで分注されかどうかを検査する。
【0041】
さらに、信号生成ユニット20は、基準信号RS、たとえば、生成された搬送波信号TSまたは特定の位相だけシフトされた搬送波信号を復調ユニット40に伝達するために、復調ユニット40に電気的に接続され得る。信号生成ユニット20および/または評価ユニット50は、さらに、計量バルブDVのバルブ制御ユニット70に、信号技術水準で接続され得る。たとえば、計量バルブDVの制御ユニットは、開始信号ISまたはトリガー信号を信号生成ユニット20および/または評価ユニット50に伝達し、それによって、上記ユニット20、50は、計量バルブDVが液滴TRを分注するすぐ前毎に始動され得る。バルブ制御ユニット70は、読取窓の開始点と、搬送波信号(TS)の生成の開始との両方を決定する。読取窓の開始時点を決定するために、開始信号ISが評価ユニット50に伝達される。搬送波信号生成の開始のために、開始信号が、信号生成ユニット20にさらに伝達される。加えて、プロセス制御コンピュータ80が、バルブ制御ユニット70と制御手段との間で起動され、プロセス制御コンピュータ80は、制御手段60からの現在の液滴量に関する情報を有する。
【0042】
図2には、液滴検出のタイミングが、線図を用いて示されて、上側には、計量バルブDVのタペット位置が時間tの関数として示されている。図2のグラフの下側には、タペット位置を制御するための制御信号ASの時間経過が示されている。計量バルブDVのタペットが時間t0の時点でバルブ制御ユニット70によって起動されると同時に、開始信号ISが、バルブ制御ユニット70によって信号生成ユニット20に送られ、信号生成ユニット20は、次に、搬送波信号TSを生成する。搬送波信号TSの起動は、制御信号が安定化するのに数マイクロ秒を必要とするので、計量バルブDVの制御信号の第1の立ち上がりエッジと同時にすでに行なわれる。同時に、開始信号ISは、また、評価ユニット50へ伝達され、評価ユニット50は遅れて起動され、時間t2の時点で液滴検出を開始する。時間t1の時点で、計量バルブDVのタペットは、バルブが完全に開く位置に到達する。時間t1の時点で、計量バルブの起動の停止が、制御信号によって行なわれる。時間t2の時点で、計量バルブDVの閉鎖プロセスが開始される。時間位置t2とt3との間で、液滴が計量バルブDVによって放出され、液滴の検出が評価ユニット50によって行なわれる。時間t3の時点で、計量バルブは再度完全に閉じられ、トリガー信号ISが停止され、それにより、搬送波信号TSも、特定の遅れで停止される。評価ユニットの反応は、時間t2の時点で遅れ、放出プロセスが始まる。これは、この時点以降のみに、液滴が変調ユニット30を通過することができるためである。バルブ制御ユニット70の送られたトリガー信号ISは、搬送波信号TSを生成するための、信号生成ユニット20への開始信号として機能する。検出フィルタユニット52は、フィルタ時間窓に対する時間の基準として機能する。フィルタ時間窓は、常にこのトリガー信号を参照する。
【0043】
図3には、本発明の特に好ましい例示的な実施形態による液滴検出デバイス11aが詳細に示される。本発明の第1の例示的な実施形態による、図1に示された液滴検出デバイス11と同様の液滴検出デバイス11aは、図3において点線で示される信号生成ユニット20を備える。この例示的な実施形態では、信号生成ユニット20は、特定の特定可能なパルス周波数を有する伝達信号PWM_5を、たとえば、パルス方形波信号として生成する伝達信号生成ユニット21を備える。生成された伝達信号PWM_5は、伝達信号PWM_5を搬送波信号TSに増幅する電力増幅器24に伝達される。信号生成ユニット20は、搬送波信号に対して位相シフトされたパルス制御信号PWM_1〜PWM_4を復調ユニット40のミキサユニット43に伝達するように構成される第2の信号生成ユニット23を備える。ミキサ43用の制御信号PWM_1〜PWM_4のパルス周波数は、常に伝達信号PWM_5の周波数と同じである。制御信号PWM_1〜PWM_4と伝達信号との間の位相シフトは可変である。パルス周波数は、好ましくは、450kHz±15kHzである。搬送波信号の周波数の決定は、受け取られた信号(搬送波信号、および液滴によって引き起こされた振幅変調から生じる側波帯)がバンドパスフィルタ中を最適に通過することができることを確実にするのに役立つ。
【0044】
搬送波信号と復調ユニットの制御信号との間の位相位置の設定によって、側波帯が選択される。搬送波周波数は、サンプリング定理に従って、変調ユニット30を通る液滴の通過時間から生じる周波数の2倍よりも高くなければならない。
【0045】
搬送波信号TSは、増幅器24から変調ユニット30に伝達される。図1に示された変調ユニット30と同様に、変調ユニット30は、第1および第2の信号変換ユニット31、32を備える。図3に示された例示的な実施形態において、第1の信号変換ユニット31は、発光ユニットを備える。発光ユニットは、たとえば、発光ダイオードであって、発光ダイオードは、LEDに適用される搬送波信号TSに従って点灯する。言い換えれば、最初はパルス電流である搬送波信号は、パルス光信号に変換される。ここで、信号変換ユニット31は、第1の光導波路素子L1に接続され、第1の光導波路素子L1は、パルス光信号を、計量バルブの検出される液滴TRの軌道が通る中間スペースZRに導く。第2の信号変換ユニット32に接続され、液滴TRにより変調された光信号MSを第2の信号変換ユニット32に運ぶ第2の光導波路素子L2が、第1の光導波路素子L1に対向して配置される。第2の信号変換ユニット32は、たとえば、変調光信号MSを受取り、電気ラインによって運ばれ得る電気変調信号EMSに再度変換する光検出器を備える。
【0046】
電気変調信号EMSは、次に、変調ユニット30によって、さらに、復調ユニット40を有する評価ユニット50に伝達される。復調ユニット40は、変調信号EMSを増幅する増幅器ユニット41を備える。増幅器ユニット41は、信号生成ユニット20の制御信号出力部22によって制御され、一方では、光検出器32によって検出された変調信号EMSを予備増幅するように機能し、他方では、トランスインピーダンス増幅器として機能する。それによって、光検出器32は、ブロッキング方向にバイアスが掛けられ、疑似短絡回路で操作される。これにより、電圧変動無しに、何倍もの光の強度に線形に依存する電流が光検出器32から放出される。これにより、通常は端子の電気容量により制限される検出器の帯域幅が、電気容量の反転が起こらないため、かなり高くなる。さらに、バイアスにより、電気容量のさらなる減少がなされ、達成可能な帯域幅のさらなる増加がそれと同一歩調をとる。加えて、トランスインピーダンス増幅器によって、電力信号の電圧信号への変換が行なわれる。この変換の増幅率は調節可能である。これにより、液滴のシャドウィングに依存する最大の電圧駆動信号変調が達成される。
【0047】
さらに、復調ユニット40は、フィルタユニット42を備える。フィルタユニット42は、たとえば、変調された信号EMSの側波帯および搬送波周波数を通すだけのバンドパスフィルタを備え得る。フィルタユニット42は、さらに、たとえば、搬送波信号TSのパルス周波数からはるかに離れた周波数を有する外部光入射により生じる潜在的な破壊信号を取り除く。加えて、フィルタユニット42、好ましくは、急峻なエッジのバンドパスフィルタは、また、パルス幅変調により生成された調和波を取り除く。このようにフィルタリングされた変調測定信号EMSは、次に、ミキサ43に送られ、ミキサ43は、変調され、フィルタリングされた測定信号EMSと、搬送波信号に対して位相シフトされ、第2の信号生成ユニット23によって生成された、パルス制御信号PWM_1〜PWM_4とを混合し、同相信号または同相成分Iは、同相信号増幅器44に送られ、直交信号または直交成分Qは、直交信号増幅器45に送られる。ミキサ43の位相補正制御は、側波帯のみの復調を生じさせる。同相信号増幅器44および直交信号増幅器45は、信号生成ユニット20の制御信号出力部22により制御される。増幅器41、44、45は、互いに別々に制御される。これらの増幅器は、それぞれ、フィードバックに影響するデータバス(たとえば、I2Cバス)によってプログラムされ得る可変抵抗器(レオスタット)により設定される。それによって、各レオスタット(ひいては、増幅器)は個々に調整される。それによって、増幅器41の数値設定は、増幅器44、45と完全に独立している。しかしながら、増幅器44、45は、常に、I信号とQ信号との間の関係を変更しないために、同じ数値を有する。しかしながら、また、これらは、互いに別々に制御される。ミキサユニット43の機能は、図4で詳細に説明され、以下でさらに詳細に説明される。同相成分Iおよび直交成分Qは、変調信号MODを形成する。
【0048】
両信号成分I、Qの増幅が、増幅器44、45内で行なわれた後、評価ユニット50内では、両成分I、Qは、図2に示された例示的な実施形態における制御ユニット60の一部である、評価ユニット50のサブユニットに送られる。制御ユニット60は、信号成分I、Qに対する、対応する入力部53、54を備える。アナログ信号成分I、Qをデジタル信号に変換するA−D変換器(図示されず)が、入力部53、54の下流に接続される。復調ユニット40の増幅器44、45は、その増幅率が調整可能であり、ミキサユニット43によって生成された変調信号MODの信号成分I、QをA−D変換器の最適電圧レベルまで増やすように機能する。これにより、変換器の分解能の最大限の利用が保証される。成分I、Qにおいて利用可能な直流成分のために、A−D変換器を、基準電圧によって特定されるそれらの電圧限界にしないように、液滴によって生じる交流部分のみが増幅される。
【0049】
さらに、評価ユニット50は、図1に関連して上に述べられた変調評価ユニット51および検出フィルタユニット52を含む。評価ユニット50のこれらのサブユニットは、図3に示す第2の例示的な実施形態における制御手段60の一部である。変調評価ユニット51において、デジタル化された信号成分I、Qは、たとえば、極座標変換処理によって、数学的に生成され、振幅および位相情報に変換される。検出フィルタユニット52は、たとえば、収集された情報を用いて、変調ユニット30によって形成されたセンサシステムを液滴が通過したかどうかを判定することができるパラメータ化可能フィルタとして設計することができる。システム11aが正規の動作を開始する前に、互いに別々の2つの進行中の初期化動作によって設定されなければならない。
【0050】
一方では、全てのハードウェアアセンブリは、検出に最適な動作点で設定されなければならない。これらの設定は、搬送波信号のデューティーサイクルによる光センサ32の動作点の決定、バンドパスフィルタ42のフィルタ特性に対する搬送波信号TSの周波数調整、正確な側波帯の選択に対する搬送波信号に関するミキサ信号PWM_1〜PWM_4の位相位置の設定、トランスインピーダンス増幅器41の最適増幅率の決定、およびA−Dプレアンプ44、45によるIおよびQ信号の、入力部53、54のA−D変換器への信号の適合を含む。
【0051】
他方では、検出フィルタユニット52の全てのパラメータは、予想される対象液滴TRに対して調整される。これには、振幅および位相値の導関数の最大値を探索する時間窓、ならびに、振幅および位相値の基準値からの許容絶対範囲に加えて、振幅および位相値の基準値からの比較値の許容相対変動が含まれる。ハードウェアおよびフィルタは両方とも手動で、または自動トレーニング処理によって設定することができる。これらの設定は、液滴TRの検出に関する信号評価に加えて、変調値を得るために必要である。
【0052】
図4には、図3に示す例において使用され得るような変調ユニット30が詳細に示される。変調ユニット30は、図4に示される例示的な実施形態において、発光ダイオード31および光センサ32を備える。第1の光導波路素子L1によって、光ダイオード31により生成されたパルス信号TSが、出射窓14を通って、(ノズル調整ナットDEMを有する)計量バルブDVにより放出された液滴TRの軌道が通る中間スペースZRに導かれる。パルス光TSは、液滴TRによって変調光信号MSに変調される。変調光信号MSは、検出窓15を経由して、第2の光導波路素子L2に結合され、光センサ32に導かれる。本発明による検出プロセスは、散乱光およびその他の外乱に非常に敏感であるが、有用な信号にきわめて敏感であるので、有利には、第1の光導波路素子L1の出射窓14または第2の光導波路素子L2の検出窓15において、レンズ系などの追加の光学素子を使用する必要がない。光導波路素子L1、L2の出口側および入口側は、光導波路素子L1、L2の長手軸に対して、同じ高さで、垂直でなければならない。光センサ32および発光ユニット31は、計量バルブDVの操作範囲の外に配置されているので、光センサ32および発光ユニット31は、計量バルブのノズル調整ナットDEMの範囲内を主に占める制限された空間状態とは独立して寸法決めすることができる。発光ユニット31は、非変調電気搬送波信号を非変調光信号LSに変換する信号変換器として機能する。光センサ32は、変調光信号MSを変調電気測定信号EMSに変換する信号変換器として機能する。変調電気測定信号EMSの以後の処理は、図3および5に関連してより詳細に説明される。
【0053】
図5において、この実施形態では直交復調器であるミキサユニット43が詳細に示される。直交復調器43は、送信器431と、並列のスイッチ432a、432b、432c、432dを有するスイッチユニット432と、並列のスイッチ432a、432b、432c、432dの各々の下流の積算器433a、433b、433c、433dを有する積算器ユニット433と、2つの積算器にそれぞれ電気的に接続された第1および第2の差動増幅器434a、434bとを備える。直交復調器43は、単一側波帯ミキサとして作用し、さらに、電気変調測定信号EMSをベースバンドに戻すように再度設定する。下流で積算器433a、433b、433c、433dと接続される差動増幅器434a、434bによって、ミキサ43のスイッチ432a、432b、432c、432dを制御する4つの制御信号PWM_1〜PWM_4に対して、変調測定信号EMSの位相位置を適切に選択することにより、復調に使用される側波帯が選択される。差動増幅器434a、434bの出力信号として、同相信号Iおよび直交信号Qが生成される。
【0054】
特に、ミキサユニット43は、以下のように作用する:測定信号EMSが送信器431からミキサユニット43の入力部へ伝達される。送信器431は、各種の成分間の性能を適応させるように機能し、加えて、信号のバランスをとり、存在するオフセットを除くように機能する。さらに、ミキサ43は、送信器の出力部に直列で接続され、積算器433a、433b、433c、433dと共にフィルタを形成する抵抗器Rを備える。制御信号PWM_1〜PWM_4は、スイッチ432a、432b、432c、432dに適用され、スイッチ432a、432b、432c、432dの1つを期間TPWMの4分の1または搬送波信号TSの4分の1波長の間に相互に連結させる第2の信号生成ユニット23によって増分される。制御信号PWM_1〜PWM_4は、搬送波信号TSと同期される。もし、スイッチ432a、432b、432c、432dの1つが閉になると、各スイッチ432a、432b、432c、432dが閉である時間間隔の測定信号EMSは、割り当てられた積算器433a、433b、433c、433dによって平均値に積算される。積算器433a、433b、433c、433dは、たとえば、並列に接続されたキャパシタを備え、搬送波信号TSの個々の4分の1波長に割り当てられた測定信号EMSのセクションの平均値を生成することができる。第1の4分の1波長に積算された平均値は、「+」で示された、第1の微分器434aの正の入力部にあり、第3の4分の1波長に積算された平均値は、「−」で示された、第1の微分器434aの負の入力部にある。第2の4分の1波長に積算された平均値は、第2の微分器434bの正の入力部にあり、第4の4分の1波長に積算された平均値は、「−」で示された、第2の微分器434bの負の入力部にある。ベースバンドにおける同相信号Iは、第1の微分器434aの出力部で生成され、ベースバンドにおける直交信号Qは、第2の微分器の出力部で生成される。かかる混合ユニットの機能性に関する詳細は、米国特許第6,230,000号明細書に記載されている。
【0055】
図6において、制御手段60の(ハウジングの)外形が示され、制御手段60を用いて、液滴検出デバイス11、11a、11bの個々のユニットの制御システム、測定信号の評価、個々のユニットの機能性のモニタリング、および個々のシステムのパラメータの設定および調整が実行され得る。この場合、全ての電子機器がこのハウジング内に収容される。原則的には、これは、光電子信号変換器(受信フォトダイオード32、および送信LED31)を含む液滴検出システムの全てに関する。これらは「光の範囲」の境界、すなわち送信光導波路素子L1、出射窓および外部に位置する液滴通路Tとの境界を示す。
【0056】
将来、データバス接続部DBは、とりわけ、バルブ制御ユニットと通信するように機能するべきである。たとえば、液滴検出の現状または過去の計量処理の統計(検出されたエラーの数および発生時点)は、データバス接続部DBを経由してこれに送ることができる。データバス接続DBのその他の任意の適用としては、液滴検出が適切に機能しているかどうかを検査するために、液滴検出システムが、バルブ制御ユニットに意図的な間違った投与をするように促し得ることである。それで、液滴検出は、これらの意図的な正しくない投与を検出する必要がある。
【0057】
制御手段60の一部は、また、通信インタフェースI/Oを含み、それによってバルブ制御ユニット70からのトリガー信号を受取り、および、それによって計量状態における液滴検出デバイスのシステム状況に関する情報が示される。
【0058】
さらに、制御手段60は、上位のプロセス制御コンピュータ80への接続部として機能するシリアルインタフェースSIを備える。プロセス制御コンピュータ80は、シリアルインタフェースSIによって液滴検出を制御可能であり、および/または過去の投与に関する状況報告を要求可能である。
【0059】
さらに、制御手段60は、受信光導波路素子L2の光素子32への接続部として機能する入力部RXを有する。出力部TXは、送信光導波路素子L1の送信発光ダイオード31への接続部として機能する。その他の入力部USが、制御手段60に電力を供給するように機能する。追加の入力部PGMは、ファームウエア移送用プログラミングソケットとして使用することができる。
【0060】
このほかに、制御手段60は、ディスプレイ55および複数の制御表示灯56〜59を備える。第1の制御表示灯56は、各種システムエラーを表示するように機能する。第2の制御表示灯57は、システムの状態およびシステムのアクティビティを表示するように機能する。この状態は、たとえば、光導波路素子L1、L2が適切に接続されていない、損傷がある、長すぎる、または汚れているという状況に関するものであり得る。第3の制御表示灯58は、正しい投与量の液滴が検出されたという通知を含み得る。第4の制御表示灯59は、たとえば、液滴が検出されなかった、または検出された液滴が対象の液滴から偏差が大きすぎるなどの計量エラーが起こったという通知を含み得る。
【0061】
制御手段60は、液滴検出デバイスの個々のユニットを調整するための2つの圧力スイッチS1、S2を備える。たとえば、1つのスイッチS1を、所定時間(ここでは、たとえば、2秒)押すことにより、第1のトレーニングモード、すなわち「ハードウェアトレーニングモード」が起動され、このモードでは、たとえば、搬送波信号TSのパルス幅の設定が行なわれ、それによって、搬送波信号TSに基づいて形成された光線の、光センサユニットに達する残光に対して、発光ユニット31が最適な明るさに達し、変調信号EMSの両方の側波帯がセンサデバイスの下流に接続されたフィルタユニット42を通過し得るように、パルス搬送波信号TSの周波数の決定が行なわれ、復調ユニットに属するミキサユニット43を制御する制御信号PWM_1〜PWM_4に関して、信号PWM_5によって搬送波信号TSの位相位置の設定が行なわれ、および、電圧と、トランスインピーダンス増幅器として作用する増幅器ユニット41とを調整するために、増幅器ユニット44、45の設定が行なわれる。ハードウェアトレーニングモードは、たとえば、液滴検出デバイスの最初の立ち上げ中に、またはハードウェア構成要素が取り換えられた場合に実行される。
【0062】
他のスイッチS2を、所定時間(たとえば、2秒)押すことにより、第2のトレーニングモード、すなわち「ソフトウェアトレーニングモード」が起動され、このモードでは、たとえば、評価ユニット50の変調評価ユニット51および検出フィルタユニット52の、新種の液滴に対するトレーニングが行われる。ここで、基準値に対する比較値の相対許容変動範囲と、検出フィルタユニット52に関連する数値の収集時間窓と、基準値の絶対値範囲とが決定される。このソフトウェアトレーニングモードは、たとえば、新しいテストシリーズが未決定の場合に、すなわち異なる種類の液滴が検出されるべき場合に行われる。
【0063】
図7では、計量バルブDVの液滴検出方法700が示されるフローチャートを示す。ステップ7.Iでは、パルス搬送波信号TSが、所定のパルス周波数および所定のデューティーサイクルで生成される。ステップ7.IIでは、搬送波信号TSと、計量バルブDVにより分注された、検出される液滴TRとの物理的相互作用により、変調測定信号MSが生成される。ステップ7.IIIでは、変調信号MODが、変調された測定信号EMSに基づいて決定される。次に、ステップ7.IVでは、変調信号MODに基づいて、液滴TRが計量バルブによって分配されたかどうかが判定される。
【0064】
図8では、図1および3に示された評価ユニット50の変調評価ユニット51の機能原理800が詳細に示される。ステップ8.Iでは、変調評価ユニット51は、評価ユニット50の制御ユニット60の下流に接続されたA−D変換器の、図2に示された入力部53、54からの同相および直交成分I、Qを記録する。同相信号Iおよび直交信号Qのサンプリングは、連続して行なわれる。それによって、両方の値I、Qは、好ましくは、同時に得られる。さらに処理される前に、値I、Qは、照射干渉、ADC変換エラーなどによって生じた極値を除去するために、メジアンフィルタおよび平均値フィルタを通過する。ステップ8.IIでは、信号成分I、Qは、極座標変換プロセスによって、信号MOD(A、φ)に変換され、信号MODは、変調信号MODの振幅Aおよび位相φに関する情報を含む。たとえば、振幅Aは以下に示す通りである。
【0065】
【数1】
【0066】
さらに、変調信号MODの位相φは、以下の式から得られる。
【0067】
【数2】
【0068】
この場合、I、Qは、復調信号または変調信号MODの同相および直交成分I、Qの振幅に相当する。振幅Aおよび位相φは、信号成分I、Qと同様に時間依存因子である。高いサンプリング速度およびそれに関連する早い数値の収集により、式(1)および(2)による計算は、線形の中間値補間でルックアップテーブルにより行われる。
【0069】
ステップ8.IIIでは、変調信号MOD(A、φ)の振幅Aおよび位相φの時間微分が行なわれる。ステップ8.IVでは、微分値dA/dt、dφ/dtが、所定の時間間隔ITで観察され、前もって決定された、微分値dA/dt、dφ/dtの多くの最大値、たとえば、最大10の数値が時間間隔ITで選択される。時間間隔ITは、たとえば、全システムを開始するとき、または検出フィルタトレーニングの間に、前もって決定することができる。ステップ8.Vでは、変調値AM、φMが、所定の数の最大値の合計として、振幅Aおよび位相φについて示される。
【0070】
図9では、図1、3および10に示された評価ユニット50の検出フィルタユニット52の機能原理900が、詳細に示される。ステップ9.Iでは、図8に示された方法に従って変調評価ユニット51によって決定された、振幅Aおよび位相φについての変調値AM、φMが、比較値としても知られるが、受け取られる。ステップ9.IIでは、これらの比較値AM、φMが、電子記憶システムに保存される。さらには、ステップ9.IIIでは、保存された比較値が、基準値を計算するために使用される。振幅Aおよび位相φについての基準値RWA、RWφが決定される。これらの基準値RWA、RWφは、たとえば、古い振幅および位相値、すなわち、たとえば、液滴の以前の検出の間に得られた比較値からの平均値であり得る。
【0071】
ステップ9.IVでは、基準値RWA、RWφから変調評価ユニット51によって決定された、振幅Aおよび位相φについての変調値AM、φMの偏差AWが算出される。次に、ステップ9.Vでは、それぞれ決定された偏差AWと、最大許容相対偏差の上方AW_Obenまたは下方AW_Untenとの比較が行なわれる。もし偏差が大きすぎる場合、図9に「j」で示されるように、ステップ9.VIでは、間違った液滴が検出されたという通知がなされる。許容偏差のAW_ObenまたはAW_Untenの範囲は、開始手順中に、または液滴検出デバイスの上記のソフトウェアトレーニングにおいて1つまたは複数の対象液滴を用いて決定される。
【0072】
徐々に発生するエラー、たとえば、計量バルブDVからの液滴の頻繁に繰り返される放出の間に検出される液滴のサイズがゆっくり変化する事象を認識することを可能にするために、基準値RWA、RWφ、すなわち、たとえば、過去の液滴の変調値AM、φMの平均値も監視される。ステップ9.VIIでは、振幅Aおよび位相φの基準値RWA、RWφが所定の絶対値の範囲ARI、PRI内にあるかどうかが判定される。もし基準値RWA、RWφが所定の絶対値の範囲ARI、PRI内にない場合、図9に「n」で示されるように、ステップ9.VIIIにおいて、連続した間違った液滴のみが存在するという通知がなされる。このエラーの場合の解決は、平均値を安定させた後、すなわち過去の液滴の有効な基準値が再度存在するときにのみ行なわれる。基準値RWA、RWφが所定の値の範囲ARI、PRI内にある場合、および現在の液滴の変調値AM、φMの基準値RWA、RWφとの関係が許容相対範囲内にある場合、図9に「j」で示されるように、ステップ9.IXにおいて、正しい液滴が検出されたという通知がなされる。結果の出力は、たとえば、図6に示された制御表示灯58、59によって行なうことができる。
【0073】
図10には、本発明の他の例示的な実施形態による液滴検出デバイス11bが詳細に示される。本発明の第2の例示的な実施形態による、図2における装置11aに示されるような液滴検出デバイス11bは、点線を用いて図9に示される信号生成ユニット20を備える。第3の例示的な実施形態において、信号生成ユニット20は、たとえば、パルス化された方形波信号として伝達信号PWM_5を生成する伝達信号生成ユニット21を備える。生成された伝達信号PWM_5は、電力増幅器24に送られ、電力増幅器24は、伝達信号PWM_5を搬送波信号TSに増幅する。信号生成ユニット20は、搬送波信号に対して位相シフトしたパルス制御信号PWM_1〜PWM_4をミキサユニット42に伝達するように構成された第2伝達信号生成ユニット23を備える。
【0074】
搬送波信号TSは、増幅器24から変調ユニット30に伝送される。図2に示される変調ユニットと異なり、変調ユニット30aは、キャパシタ31a、好ましくは、第1および第2の蓄電板31b、31cを有する平板コンデンサを備える。図9に示される例示的な実施形態において、キャパシタ31aは、図2に示される光ダイオード31および図2に示される光検出器32に代えて信号変換器として使用される。キャパシタ31aは、伝達ブランチから受信ブランチへの、搬送波信号TSの静電結合を可能にする。キャパシタ31aは、計量バルブDVによって放出された液滴TRの軌道が、生成された電界の力線の勾配に垂直な蓄電板31b、31cの間を通るように配置される。伝達および受信ブランチ間の結合は、液滴TRに影響される。この結合は、キャパシタ31aの誘導抵抗Xcに依存する。液滴TRの浮動により生じるキャパシタ31aの誘導抵抗Xcのわずかな変化は、搬送波信号TSの変調となる。誘導抵抗Xcは、以下の関係式によって与えられる。
【0075】
【数3】
【0076】
ここで、fは、キャパシタ31aにおける搬送波信号TSの周波数であり、Cは、キャパシタ31aの静電容量である。一定の搬送波周波数fで、誘導抵抗Xcの変化ΔXcは、キャパシタ31aの静電容量の変化ΔCのみに依存する。以下の式から、キャパシタ31aの静電容量は、以下のようになる。
【0077】
【数4】
【0078】
ここで、ε0は絶対誘電率を、εrはキャパシタ31aの誘電率を、Aは蓄電板31b、31cの面積を、およびパラメータdは蓄電板31b、31cの間の距離を表わす。蓄電板31b、31cの面積Aおよび蓄電板31b、31cの間の距離dは、変化しないので、静電容量Cおよび誘導抵抗Xcの変化は、物質固有の誘電率εrの変化Δεに依存するのみである。もし、液滴TRが両蓄電板31b、31cの間の中間スペースに入ると、この領域の誘電率εrは、液滴の量および材料に依存して変化する。このように、搬送波信号TSの変調は、液滴により生じる誘電率εrの変動から生じる。光導波路素子は、この実施形態では必要とされない。このため、蓄電板31b、31cは、液滴TRの軌道に相対的に近接して、したがって、計量バルブDVの出口に配置されなければならない。
【0079】
液滴TRにより場合によっては変調される測定信号MSは、変調電気測定信号EMSとして、変調ユニット30および評価ユニット50により伝達される。図2に示された例示的な実施形態と同様に、評価ユニット50は、図2に示された例示的な実施形態の場合における復調ユニット40と同様の機能を有する同じ構成要素を本質的に有する復調ユニット40を備える。
【0080】
それによって、復調ユニット40は、変調電気測定信号EMSを増幅する増幅器ユニット41を有する。増幅器ユニット41は、変調ユニット30によって捉えられた、変調電気測定信号EMSを前増幅するように機能し、信号生成ユニット20の制御信号出力部22により制御される。ここで、増幅器ユニット41は、光検出の変形例のようなトランスインピーダンス増幅器としてではなく、通常の電圧増幅器として設計される。さらに、復調ユニット40は、また、フィルタユニット42を備える。フィルタユニット42は、たとえば、変調電気測定信号EMSの両方の側波帯および搬送波周波数を通すだけのバンドパスフィルタを備え得る。フィルタユニット42は、さらに、たとえば、搬送波信号TSの周波数からはるかに離れた信号を含む、破壊電界によって生じる可能性のある破壊信号を取り除く。さらに、フィルタユニット、好ましくは、急峻なエッジのバンドパスフィルタは、また、パルス幅変調により生成された調和波を取り除く。このようにフィルタリングされた変調電気測定信号EMSは、次に、ミキサ43に送られ、ミキサ43は、変調され、フィルタリングされた測定信号EMSと、搬送波信号に対して位相シフトされ、第2の信号生成ユニット23によって生成された、パルス制御信号PWM_1〜PWM_4とを混合し、同相信号または同相成分Iを、同相信号増幅器44に送り、直交信号または直交成分Qを、直交信号増幅器45に送る。ミキサ43の位相補正制御は、側波帯のみの復調を生じさせる。同相信号増幅器44および直交信号増幅器45は、信号生成ユニット20の制御信号出力部22により制御される。増幅器41、44、45は、互いに別々に制御される。これらの増幅器は、データバス(たとえば、I2Cバス)によってプログラムされ得る可変抵抗器(レオスタット)により設定される。それによって、各レオスタット(ひいては、増幅器)は個々に調整される。それによって、増幅器41の数値設定は、増幅器44、45と完全に独立している。しかしながら、増幅器44、45は、常に、I信号とQ信号との間の関係を変更しないために、同じ数値を有する。しかしながら、また、これらは、互いに別々に制御される。
【0081】
両信号成分I、Qの増幅が、増幅器44、45内で行なわれた後、評価ユニット50内では、両成分I、Qは、図2に示された例示的な実施形態における制御ユニット60の一部である、評価ユニット50のサブユニットに送られる。制御ユニット60は、信号成分I、Qに対する入力部53、54を備える。アナログ信号成分I、Qをデジタル信号に変換するA−D変換器(図示されず)が、入力部53、54の下流に接続される。復調ユニット40の増幅器44、45は、その増幅率が調整可能であり、ミキサユニット43によって生成された信号成分I、QをA−D変換器の最適電圧レベルまで増やすように機能する。これにより、変換器の分解能の最大限の利用が保証される。成分I、Qにおいて利用可能な直流成分のために、A−D変換器を、基準電圧によって特定されるそれらの電圧限界までにしないように、液滴によって生じる交流部分のみが増幅される。さらに、評価ユニット50は、また、変調評価ユニット51および検出フィルタユニット52を備える。評価ユニット50は、図9に示す例示的な実施形態における制御ユニット60の一部である。
【0082】
変調評価ユニット51において、デジタル化された信号成分I、Qは、たとえば、極座標変換処理によって、数学的に生成され、振幅および位相情報に変換される。検出フィルタユニット52は、たとえば、収集された情報を用いて、変調ユニット30aによって形成されたセンサシステムを液滴が通過したかどうかを判定するのに用いられるパラメータ化可能フィルタとして設計することができる。システム11aが正規動作を開始する前に、互いに別々の2つの進行中の初期化動作によって設定されなければならない。一方では、全てのハードウェアアセンブリは、検出に最適な動作点で設定されなければならない。これらの設定は、バンドパスフィルタ42のフィルタ特性に関する搬送波信号TSの周波数調整、正確な側波帯の選択に対する搬送波信号に関するミキサ信号PWM_1〜PWM_4の位相位置の設定、トランスインピーダンス増幅器41の最適増幅率の決定、およびA−Dプレアンプ44、45によるIおよびQ信号の、入力部53、54のA−D変換器への信号の適合を含む。
【0083】
他方では、検出フィルタユニット52の全てのパラメータは、予想される対象液滴TRに対して調整される。これには、振幅および位相値の導関数の最大値を探索する時間窓、ならびに、振幅および位相値の基準値の許容絶対範囲に加えて、振幅および位相値の基準値からの比較値の許容相対変動が含まれる。ハードウェアおよびフィルタは両方とも手動で、または自動トレーニング処理によって設定することができる。
【0084】
最後に、上に詳細に説明された装置の場合、これらは例示的な実施形態に関連し、当業者によって、本発明の範囲を離れることなく様々な方法で変更され得ることが指摘される。さらに、不定冠詞「ein」または「eine」の使用は、いくつかの関連する特徴も利用可能でることを除外しない。さらに、用語「Einheit」は、複数の、また、適用可能であれば、空間的に離れたサブユニットからなる構成要素を含むべきである。加えて、用語「Einheit」は、概念的に論理的なユニットを意味し、すなわち、同一のハードウェア構成要素は、これらの複数の論理的なユニットを含み得る。このことは、また、たとえば、変調ユニット30、復調ユニット40にも適用され、適用可能であれば、信号生成ユニット20および評価ユニット50にも適用される。
【符号の説明】
【0085】
11、11a、11b 液滴検出デバイス
20 信号生成ユニット
21 伝達信号生成ユニット
22 信号生成ユニットの制御信号出力部
23 伝達信号生成ユニット
24 電力増幅器
30 変調ユニット
30a 変調ユニット
31、32 信号変換ユニット
31a キャパシタ
31b、31c 蓄電板
40 復調ユニット
41 増幅器ユニット
42 フィルタユニット
43 ミキサ
44 同相信号増幅器
45 直交信号増幅器
50 評価ユニット
51 変調評価ユニット
52 検出フィルタユニット
53、54 信号成分I、Q用入力部
56〜59 表示灯
60 制御手段
70 バルブ制御ユニット
80 プロセスホストコンピュータ
431 送信器
432 スイッチユニット
432a、432b、432c、432d スイッチ
433 積算器ユニット
433a、433b、433c、433d 積算器
434a、434b 差動増幅器
M 振幅変調値/振幅比較値
ARI 振幅基準値範囲
AS 制御信号
AW 偏差
AW_Oben 上方相対偏差
AW_Unten 下方相対偏差
dA/dt 振幅微分値
dφ/dt 位相微分値
DB データバスコネクタ
DEM ノズル調整ナット
DV 計量バルブ
EMS 電機変調測定信号
I 同相信号成分
I/O 通信インタフェース
IS 開始信号
T 時間間隔
L1、L2 光導波路素子
LS 光信号
max. 偏差の最大値
MOD 変調信号
MS 測定信号/変調信号
PGM ファームウエア移送用プログラミングソケット
PRI 位相基準値範囲
PWM_1〜PWM_4 制御信号
PWM_5 伝達信号
Q 直交成分
R 抵抗器
RS 基準信号
RWA 振幅基準値
RW 位相基準値
RX 入力部
S1、S2 圧力スイッチ
SI シリアルインタフェース
T 軌道
PWM 周期
TR 液滴
TS 搬送波信号
TX 出力部
S 制御手段の電力供給用入力部
ZR 中間スペース
ZW 中間スペース
φM 位相変調値/位相比較値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10