(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の部品種の電子部品を供給する部品供給装置をそれぞれ有して前記電子部品を基板に装着する複数の部品装着機を列設して構成した部品装着ラインにおいて、前記基板の基板種を切り替える場合に、複数の前記部品種を切り替える段取り替え作業を予め設定する装置であって、
前記部品装着ラインの配置に関するラインレイアウト情報、前記段取り替え作業を実施する作業エリアの配置に関する作業エリアレイアウト情報、および、前記段取り替え作業を実施する作業者の人数情報を登録する登録部と、
複数の前記部品種の中から前記段取り替え作業を行う前記部品種を選別し、限られた台数の前記部品供給装置に集約して作業対象とする集約部と、
登録された情報に基づいて、前記作業対象となる前記部品供給装置の配設位置を設定する設定部と、を備え、
第1部品装着ラインおよび第2部品装着ラインが並行して配置され、かつ、第1部品装着ラインを構成する複数の第1部品装着機および第2部品装着ラインを構成する複数の第2部品装着機は、向かい合う側面にそれぞれ前記部品供給装置を有して、前記第1部品装着ラインと前記第2部品装着ラインの間に前記作業エリアが区画され、
前記登録部は、前記第1部品装着ラインと前記第2部品装着ラインの離間距離によって定まる前記作業エリアの幅寸法を前記作業エリアレイアウト情報として登録し、
前記設定部は、前記作業エリアの前記幅寸法が小さくて複数人の前記作業者が干渉しあうおそれが有る場合に、向かい合う前記第1部品装着機および前記第2部品装着機の一方の前記部品供給装置のみを前記作業対象に設定する、
段取り替え作業の設定装置。
前記設定部は、前記第1部品装着ラインおよび前記第2部品装着ラインに共通するライン端から数えて奇数番目の前記第1部品装着機の前記部品供給装置、および偶数番目の前記第2部品装着機の前記部品供給装置のみを前記作業対象に設定する、
請求項1に記載の段取り替え作業の設定装置。
前記設定部は、前記第1部品装着ラインおよび前記第2部品装着ラインに共通するライン端に近い前記第1部品装着機の前記部品供給装置、および前記ライン端に遠い前記第2部品装着機の前記部品供給装置のみを前記作業対象に設定する、
請求項1に記載の段取り替え作業の設定装置。
前記設定部は、前記作業エリアの前記幅寸法が大きくて前記複数人の前記作業者が干渉しあう前記おそれが無い場合に、前記作業対象となる前記部品供給装置の前記配設位置を制限せずに設定する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の段取り替え作業の設定装置。
複数の部品種の電子部品を供給する部品供給装置をそれぞれ有して前記電子部品を基板に装着する複数の部品装着機を列設して構成した部品装着ラインにおいて、前記基板の基板種を切り替える場合に、複数の前記部品種を切り替える段取り替え作業を予め設定する装置であって、
前記部品装着ラインの配置に関するラインレイアウト情報、前記段取り替え作業を実施する作業エリアの配置に関する作業エリアレイアウト情報、および、前記段取り替え作業を実施する作業者の人数情報の少なくとも一つの情報を登録する登録部と、
複数の前記部品種の中から前記段取り替え作業を行う前記部品種を選別し、限られた台数の前記部品供給装置に集約して作業対象とする集約部と、
登録された少なくとも一つの前記情報に基づいて、前記作業対象となる前記部品供給装置の配設位置を設定する設定部と、を備え、
前記部品装着機は、外段取り作業エリアで予め段取りされた前記部品供給装置が前記段取り替え作業で取り付け可能とされており、
前記登録部は、前記ラインレイアウト情報、および前記外段取り作業エリアの前記配置に関する前記作業エリアレイアウト情報を登録し、
前記設定部は、前記作業対象となる前記部品供給装置の前記配設位置を、前記外段取り作業エリアに接近させて設定する、
段取り替え作業の設定装置。
複数の部品種の電子部品を供給する部品供給装置をそれぞれ有して前記電子部品を基板に装着する複数の部品装着機を列設して構成した部品装着ラインにおいて、前記基板の基板種を切り替える場合に、複数の前記部品種を切り替える段取り替え作業を予め設定する方法であって、
第1部品装着ラインおよび第2部品装着ラインが並行して配置され、かつ、第1部品装着ラインを構成する複数の第1部品装着機および第2部品装着ラインを構成する複数の第2部品装着機は、向かい合う側面にそれぞれ前記部品供給装置を有して、前記第1部品装着ラインと前記第2部品装着ラインの間に作業エリアが区画され、
前記部品装着ラインの配置に関するラインレイアウト情報、前記段取り替え作業を実施する前記作業エリアの配置に関する作業エリアレイアウト情報、および、前記段取り替え作業を実施する作業者の人数情報を登録し、さらに、前記第1部品装着ラインと前記第2部品装着ラインの離間距離によって定まる前記作業エリアの幅寸法を前記作業エリアレイアウト情報として登録し、
複数の前記部品種の中から前記段取り替え作業を行う前記部品種を選別し、限られた台数の前記部品供給装置に集約して作業対象とし、
前記作業エリアの前記幅寸法が小さくて複数人の前記作業者が干渉しあうおそれが有る場合に、向かい合う前記第1部品装着機および前記第2部品装着機の一方の前記部品供給装置のみを前記作業対象に設定する、
段取り替え作業の設定方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.部品装着ライン6の構成
第1実施形態の段取り替え作業の設定装置7について、
図1〜
図5を参考にして説明する。まず、段取り替え作業の設定装置7の対象となる部品装着ライン6の構成について説明する。
図1は、部品装着ライン6の構成を模式的に示す平面図である。
図1の左右に延びるX軸方向は、基板を搬送する搬送方向であり、ライン長さ方向でもある。
図1の上下に延びるY軸方向は、ライン幅方向である。部品装着ライン6は、6台の部品装着機1が直列に配置されて構成されている。部品装着ライン6の上流側に、半田印刷機61および印刷検査機62が列設される。また、部品装着ライン6の下流側に、基板外観検査機63およびリフロー機64が列設される。これにより、10台の対基板作業機からなる対基板作業ラインが構成される。
【0016】
6台の部品装着機1は、同一構造とされており、これに限定されない。
図2は、部品装着ライン6を構成する部品装着機1の構成を示す平面図である。部品装着機1は、基台51上に基板搬送装置2、2個の部品供給装置(3A、3B)、および部品移載装置4などが配設されて構成される。
【0017】
基板搬送装置2は、第1ガイドレール21および第2ガイドレール22、一対のコンベアベルト、クランプ装置などで構成される。第1ガイドレール21および第2ガイドレール22は、基台51の上部中央を横断してX方向に延在し、かつ互いに平行するように基台51に組み付けられている。基板Kの幅に合わせて離間距離を調整できるように、第2ガイドレール22は移動可能となっている。第1ガイドレール21および第2ガイドレール22の向かい合う内側に、互いに平行に配置された一対のコンベアベルトが並設される。一対のコンベアベルトは、輪転することによって載置された基板Kを搬送する。また、基台51の中央部のコンベアベルトの下方に、基板Kを押し上げて装着実施位置にクランプするクランプ装置が配置される。
【0018】
第1部品供給装置3Aは、部品装着機1のライン幅方向の一側面(
図1の下側)に設けられる。第2部品供給装置3Bは、部品装着機1のライン幅方向の他側面(
図1の上側)に設けられる。第1部品供給装置3Aは、交換可能かつ配設位置の変更が可能な複数のフィーダ装置31が列設されて構成される。
図2の例で、18個のフィーダ装置31が列設されている。フィーダ装置31は、本体32と、本体32の後部に設けられた供給リール33と、本体32の先端に設けられた部品取出部34と、を有する。供給リール33には、多数の部品が所定ピッチで封入されたキャリアテープ(図示省略)が巻回保持される。このキャリアテープが所定ピッチで引き出され、部品が封入状態を解除されて部品取出部34に順次送り込まれる。
【0019】
同様に、第2部品供給装置3Bも、着脱可能な18個のフィーダ装置31が列設されて構成される。第1部品供給装置3Aおよび第2部品供給装置3Bは、機台51に対して着脱可能に装備される。また、第1部品供給装置3Aおよび第2部品供給装置3Bは、6台の部品装着機1の一側面および他側面のどこにでも装備できる互換性を有する。第1部品供給装置3Aおよび第2部品供給装置3Bは、上述したフィーダ式装置に限定されず、トレイ上に部品を並べて供給するトレイ式装置や、両方式を併用したフィーダ・トレイ併用式装置であってもよい。
【0020】
部品移載装置4は、固定レール41、移動台42、装着ヘッド44、吸着ノズル45、および基板認識用カメラ46などで構成される。固定レール41は、基板搬送装置2の上方に配置されて、Y軸方向に延在する。移動台42は、固定レール41の下側に移動可能に装荷されて、X軸方向およびY軸方向に移動する。移動台42には、支持ベース43が着脱可能に設けられる。支持ベース43には、装着ヘッド44および基板認識用カメラ46が設けられる。
【0021】
装着ヘッド44は、下側に吸着ノズル45を有する。装着ヘッド44には、1本の吸着ノズル45を有するシングルノズルヘッドや、複数本の吸着ノズル45を回転可能に有するマルチノズルヘッドなどの種類が有る。吸着ノズル45は、フィーダ装置31から部品を吸着して基板Kに装着する。基板認識用カメラ46は、位置決めされた基板Kのフィデューシャルマークを読み取り、基板Kの装着実施位置の誤差を認識する。この誤差は、吸着ノズル45が部品を装着するときの位置制御に反映される。
【0022】
部品装着機1は、さらに、基板搬送装置2と第1部品供給装置3Aとの間の基台51上に、第1部品認識用カメラ52を有する。また、部品装着機1は、基板搬送装置2と第2部品供給装置3Bとの間の基台51上に、第2部品認識用カメラ53を有する。第1部品認識用カメラ52および第2部品認識用カメラ53は、吸着ノズル45に吸着された部品を撮像して、部品の吸着位置や回転角のずれ、リードの曲がりなどを検出する。
【0023】
図1に戻り、部品装着ライン6を含む対基板作業ラインの稼働状況を管理するために、ホストコンピュータ70が設けられている。ホストコンピュータ70は、対基板作業機(6台の部品装着機1、半田印刷機61、印刷検査機62、基板外観検査機63、およびリフロー機64)に通信接続されている。ホストコンピュータ70は、基板Kの基板種ごとのジョブデータを保持しており、さらにジョブデータの編集機能を有する。ジョブデータは、それぞれの対基板作業機が実施する対基板作業の詳細な方法や手順を記述したデータである。ホストコンピュータ70は、それぞれの対基板作業機にジョブデータや各種の指令を送信し、対基板作業機から稼動状況に関する情報などを受信する。
【0024】
2.第1実施形態の段取り替え作業の設定装置7
第1実施形態の段取り替え作業の設定装置7の説明に移る。設定装置7は、複数の部品装着機1を列設して構成した部品装着ライン6において、基板Kの基板種を切り替える場合に、複数の部品種を切り替える段取り替え作業を予め設定する。設定装置7は、段取り替え作業が必要な場合に動作する。設定装置7は、ホストコンピュータ70のソフトウェアの機能によって実現された登録部71、集約部72、および設定部73を有する。登録部71、集約部72、および設定部73の機能については、後の動作説明に併せて詳述する。
【0025】
ここで、部品供給装置(3A、3B)がフィーダ式装置であるとき、部品装着ライン6で装着可能な最大部品種数Nmaxは、次式で求められる。
Nmax=F×D×M
ただし、F:部品供給装置のフィーダ数
D:1台の部品装着機に装備される部品供給装置の個数
M:部品装着機の台数
前述した構成の場合、最大部品種数Nmax=18×2×6=216(部品種)となる。
【0026】
さらに、第1基板種のみに装着する部品の部品種数がN1で、第2基板種のみに装着する部品の部品種数がN2で、第1基板種および第2基板種の両方に装着する部品の部品種数がN3である一例を想定する。このとき、装着する総部品種数Nsumは、次式で求められる。
Nsum=N1+N2−N3
【0027】
総部品種数Nsumが最大部品種数Nmax以下であれば、第1基板種から第2基板種に切り替える場合に段取り替え作業は必要でない。一方、総部品種数Nsumが最大部品種数Nmaxを越えていると、段取り替え作業が必要になる。なお、段取り替え作業を行わずに対応可能な複数の基板種を含む第1基板種群から、別の第2基板種群に切り替える場合に、段取り替え作業を行うようにしてもよい。
【0028】
段取り替え作業には、内段取り替え作業および外段取り替え作業がある。内段取り替え作業は、部品装着機1に装備されている部品供給装置(3A、3B)に対して直接的に行われ、フィーダ装置31または供給リール33が交換される。これに対して、外段取り替え作業は、部品装着ライン6から離れた外段取り作業エリアで行われる。外段取り替え作業では、部品供給装置(3A、3B)のフィーダ装置31または供給リール33が予め交換されて段取りされる。その後、段取りされた部品供給装置(3A、3B)が部品装着機1に取り付けられる。
【0029】
図3は、設定装置7の動作フローを示したフローチャートの図である。
図3のステップS1で、設定装置7は、基板Kの基板種を切り替える情報を取得する。上述の一例の場合であれば、設定装置7は、第1基板種から第2基板種への切り替え情報を取得する。設定装置7は、第1基板種に対する段取り作業を開始する以前に予め動作する。次のステップS2で、設定装置7の登録部71は、段取り替え作業を実施する作業者の人数情報を登録する。人数情報は、作業者の入力操作による手動設定や、人員計画データベースからのデータ転送による自動設定などによって定まる。
【0030】
次のステップS3で、設定装置7は、人数情報に応じて動作フローの分岐先を制御する。人数情報が一人のときのステップS4で、設定装置7の集約部72は、段取り替え作業を行う部品種を選別する。具体的に、集約部72は、第1基板種のみに装着する第1部品種群、第2基板種のみに装着する第2部品種群、ならびに、第1基板種および第2基板種に共通する第3部品種群を区別する。第3部品種群に対する段取り替え作業は不要である。そして、第1部品種群および第2部品種群の少なくとも一部について段取り替え作業が必要となる。段取り替え作業を行う部品種の種類数は、切り替える前後の基板種の組合せ、または切り替える前後の基板種群の組合せに応じて変化する。
【0031】
次のステップS5で、集約部72は、段取り替え作業を行う部品種を限られた台数の部品供給装置(3A、3B)に集約して作業対象とする。このとき、集約部72は、作業対象となる部品供給装置(3A、3B)の台数をできるだけ少なく限定して、段取り替え作業の手間を軽減する。この時点で、作業対象となる部品供給装置(3A、3B)の台数は決まるが、配設位置は決まらない。集約部72の機能の一部は、作業者の設定を伴ってもよい。
【0032】
なお、装着作業を効率化する従来の最適化処理は行われない。仮に、一般的な最適化処理を行うと、部品供給装置(3A、3B)の動作効率が高い中央付近のフィーダ装置31に、使用頻度の高い部品種が優先して割り付けられる。このため、多数の部品供給装置(3A、3B)で段取り替え作業を行うことになって、台数を限定できなくなる。
【0033】
次のステップS6で、設定装置7の設定部73は、段取り替え作業で作業者が移動する動線の長さを短くするように、作業対象となる部品供給装置(3A、3B)の配設位置を設定する。実施する段取り替え作業は、内段取り替え作業および外段取り替え作業のどちらでもよい。次のステップS7で、設定装置7は、作業対象となる部品供給装置(3A、3B)の配設位置を含む段取り替え作業の詳細を表示する。作業者は、表示にしたがって、段取り替え作業を実施する。
【0034】
図4は、作業対象となる部品供給装置の配設位置の第1例を示す図である。図示されるように、設定部73は、6台の部品装着機1の一側面の第1部品供給装置3Aを作業対象に設定する。また、6台全部でなく、5台以下の部品装着機1の第1部品供給装置3Aが作業対象に設定されてもよい。これにより、作業者P1が移動する動線M1は、部品装着ライン6の片側の作業エリアに集中して短くなる。したがって、段取り替え作業の作業効率が向上する。
【0035】
また、
図5は、作業対象となる部品供給装置の配設位置の第2例を示す図である。図示されるように、設定部73は、上流側の3台の部品装着機1の一側面の第1部品供給装置3Aおよび他側面の第2部品供給装置3Bを作業対象に設定する。これにより、作業者P2が移動する動線M2は、部品装着ライン6の上流寄りの作業エリアに集中して短くなる。したがって、段取り替え作業の作業効率が向上する。あるいは、下流側の2台の部品装着機1の第1部品供給装置3Aおよび第2部品供給装置3Bを作業対象に設定してもよい。このとき、作業者P2が移動する動線M3(破線で示す)は、部品装着ライン6の下流寄りの作業エリアに集中して、同様に作業効率が向上する。
【0036】
なお、人数情報が複数人のときのステップS8で、設定装置7は、別法により作業対象となる部品供給装置(3A、3B)の配設位置を制限せずに設定する。設定装置7は、別法として従来の最適化処理を行うことができ、これに限定されない。作業者が複数人の場合には、仮に部品装着ライン6の両側の上流側から下流側までの広範囲にわたって作業対象となる部品供給装置(3A、3B)が設定されても、手分けして段取り替え作業を行える。したがって、段取り替え作業の作業効率はあまり低下しない。
【0037】
第1実施形態において、作業対象となる部品供給装置(3A、3B)の台数を限定し、さらに配設位置を適正化して作業者(P1、P2)が移動する動線(M1、M2、M3)の長さを短くしたので、段取り替え作業を効率化できる。この効果は、多品種少量生産の生産形態で顕著になる。詳述すると、少品種大量生産の生産形態では、段取り替え作業の機会が少ないので、段取り替え作業に手間をかけても、装着作業を効率化することが有利になる。これに対して、多品種少量生産の生産形態では、段取り替え作業の機会が多いので、装着作業の効率化に拘泥せずに段取り替え作業を軽減することが重要になる。これにより、部品装着ライン6の装着作業と作業者(P1、P2)の段取り替え作業の両方を含む総合的な作業効率が高められる。
【0038】
3.第2実施形態の段取り替え作業の設定装置7C
第2実施形態の段取り替え作業の設定装置7Cについて、
図6〜
図9を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態では、フロアF内に第1部品装着ライン6Cおよび第2部品装着ライン6Dが並行して配置されている。
図6は、第2実施形態における二つの部品装着ライン(6C、6D)の構成を模式的に示す平面図である。
【0039】
図示されるように、第1部品装着ライン6Cは、6台の第1部品装着機1Cが直列に配置されて構成される。同様に、第2部品装着ライン6Dも、6台の第2部品装着機1Dが直列に配置されて構成される。第1部品装着ライン6Cおよび第2部品装着ライン6Dの上流側及び下流側のライン構成は、第1実施形態と同じである。
図6において、第1部品装着ライン6Cおよび第2部品装着ライン6Dに共通するライン端LEが、ライン上流側に定められている。
【0040】
第1部品装着機1Cは、第2部品装着機1Dに向かう側面に、部品供給装置3Cを有する。同様に、第2部品装着機1Dは、第1部品装着機1Cに向かう側面に、部品供給装置3Dを有する。部品供給装置3Cおよび部品供給装置3Dは、任意の第1部品装着機1Cまたは第2部品装着機1Dに装備可能な互換性を有する。第1部品装着ライン1Cと第2部品装着ライン1Dの間に作業エリアARが区画される。作業エリアARの幅寸法Wは、第1部品装着ライン1Cと第2部品装着ライン1Dの離間距離によって定まる。フロアFのレイアウトの制約から、作業エリアAR幅寸法Wは、十分に確保されていない。換言すると、作業エリアARの幅寸法Wが小さくて、複数人の作業者が干渉しあうおそれが有る。
【0041】
設定装置7C、ホストコンピュータ70、登録部71、集約部72、および設定部73は、二つの部品装着ライン(6C、6D)に対して共通に設けられ、第1実施形態と比較して機能が異なる。第2実施形態の設定装置7Cは、第1部品装着ライン6Cの段取り替え作業、および第2部品装着ライン6Dの段取り替え作業が時間的に並行する場合に動作する。
図7は、第2実施形態の設定装置7Cの動作フローを示したフローチャートの図である。
【0042】
図7のステップS11で、設定装置7Cは、二つの部品装着ライン(6C、6D)について、基板Kの基板種を切り替える情報をそれぞれ取得する。次のステップS12で、設定装置7Cの登録部71は、段取り替え作業を実施する作業者の人数情報、および作業エリアARの幅寸法Wを登録する。人数情報は、二つの部品装着ライン(6C、6D)を一人の作業者が担当する場合と、別々の作業者がそれぞれ担当する場合とで変化する。作業エリアARの幅寸法Wは、作業エリアレイアウト情報であり、過去に登録済みであれば再登録の必要はない。
【0043】
次のステップS13で、設定装置7Cは、人数情報に応じて動作フローの分岐先を制御する。人数情報が複数人のときのステップS14で、設定装置7Cの集約部72は、二つの部品装着ライン(6C、6D)について、段取り替え作業を行う部品種をそれぞれ選別する。次のステップS15で、集約部72は、二つの部品装着ライン(6C、6D)について、段取り替え作業を行う部品種を限られた台数の部品供給装置(3C、3D)にそれぞれ集約して作業対象とする。このとき、集約部72は、作業対象となる部品供給装置(3C、3D)の台数をできるだけ少なく限定して、段取り替え作業の手間を軽減する。
【0044】
次のステップS16で、設定装置7Cは、作業エリアARの幅寸法Wに応じて動作フローの分岐先を制御する。前述したように幅寸法Wが十分でないので、設定装置7Cは、動作フローの実行をステップS17に進める。ステップS17で、設定装置7の設定部73は、段取り替え作業で複数人の作業者が干渉しあうことを抑制するように、作業対象となる部品供給装置の配設位置を設定する。具体的に、設定部73は、向かい合う第1部品装着機1Cおよび第2部品装着機1Dの一方の部品供給装置(3C、3D)のみを作業対象に設定する。実施する段取り替え作業は、内段取り替え作業および外段取り替え作業のどちらでもよい。さらに、次のステップS18で、設定装置7Cは、作業対象となる部品供給装置(3C、3D)の配設位置を含む段取り替え作業の詳細を表示する。作業者は、表示にしたがって、段取り替え作業を実施する。
【0045】
図8は、第2実施形態で作業対象となる部品供給装置の配設位置の第3例を示す図である。図示されるように、設定部73は、ライン端LEから数えて1番目、3番目、および5番目の3台の第1部品装着機1Cの部品供給装置3C、ならびに、2番目、4番目、および6番目の3台の第2部品装着機1Dの部品供給装置3Dのみを作業対象に設定する。これにより、二つの部品装着ライン(6C、6D)の段取り替え作業を同じ箇所で並行して行うことが無くなり、複数人の作業者(P3、P4)の干渉が抑制される。したがって、段取り替え作業の作業効率が向上する。
【0046】
なお、5台以下の部品装着機(1C、1D)の部品供給装置(3C、3D)が作業対象に設定されてもよい。一方、7個の部品供給装置(3C、3D)が作業対象となる場合には、1箇所だけ対向する部品供給装置3Cおよび部品供給装置3Dの両方を作業対象に設定する。この場合、当該個所では並行作業とならないように複数人の作業者(P3、P4)の配慮が必要となり、他の箇所では作業者(P3、P4)の干渉が抑制される。
【0047】
また、
図9は、第2実施形態で作業対象となる部品供給装置の配設位置の第4例を示す図である。図示されるように、設定部73は、ライン端LEに近い1〜3番目の第1部品装着機1Cの部品供給装置3C、およびライン端LEに遠い4〜6番目の第2部品装着機1Dの部品供給装置3Dを作業対象に設定する。これにより、第3例と同様、複数人の作業者(P3、P4)の干渉が抑制されて、段取り替え作業の作業効率が向上する。
【0048】
なお、ステップS13で、人数情報が一人のときには作業者が干渉しあうおそれは無いので、設定装置7は、動作フローの実行をステップS19に進める。また、ステップS16で、仮に作業エリアARの幅寸法Wが十分であるときも、複数人の作業者が干渉しあうおそれは無いので、設定装置7は、動作フローの実行をステップS19に進める。ステップS19で、設定装置7は、別法により作業対象となる部品供給装置(3C、3D)の配設位置を制限せずに設定する。設定装置7は、別法として従来の最適化処理を行うことができ、これに限定されない。
【0049】
第2実施形態において、作業対象となる部品供給装置(3C、3D)の台数を限定し、さらに配設位置を適正化して複数人の作業者(P3、P4)が干渉しあうあうことを抑制したので、段取り替え作業を効率化できる。この効果は、第1実施形態と同様に、多品種少量生産の生産形態で顕著になる。
【0050】
4.第3実施形態の段取り替え作業の設定装置7E
第3実施形態の段取り替え作業の設定装置7Eについて、
図10を参考にして、第1および第2実施形態と異なる点を主に説明する。第3実施形態では、作業者P5は、外段取り作業エリアABで外段取り替え作業を行う。
図10は、第3実施形態における部品装着ライン6Eおよび外段取り作業エリアABの配置を模式的に示す平面図である。部品装着ライン6Eは、6台の部品装着機1Eが直列に配置されて構成される。部品装着ライン6Eの上流側及び下流側のライン構成は、第1実施形態と同じである。部品装着ライン6Eの下流側の延長線上に、外段取り作業エリアABが設けられている。
【0051】
各部品装着機1Eは、部品供給装置3Eを一側面に着脱可能に有する。各部品供給装置3Eは、外段取り作業エリアABで予め段取りされて準備される。第3実施形態の設定装置7Eは、第1および第2実施形態と比較して機能が異なる。設定装置7Eは、外段取り替え作業に先行して動作する。
【0052】
設定装置7Eの登録部71は、部品装着ライン6Eのラインレイアウト情報、および外段取り作業エリアABの配置に関する作業エリアレイアウト情報を登録する。ラインレイアウト情報および作業エリアレイアウト情報は、過去に登録済みであれば再登録の必要はない。これにより、設定装置7Eは、部品装着ライン6Eと外段取り作業エリアABの配置関係を把握できる。集約部72は、第1実施形態と同様に、段取り替え作業を行う部品種を選別し、限られた台数の部品供給装置3Eに集約して作業対象とする。
【0053】
設定部73は、把握済みの配置関係に基づき、作業対象となる部品供給装置3Eの配設位置を、外段取り作業エリアABに接近させて設定する。具体例として
図10に示されるように、設定部73は、部品装着ライン6Eの下流側の3台の部品装着機1Eの部品供給装置3Eを作業対象に設定する。これにより、別の設定を行った場合と比較して、作業者P5が外段取り作業エリアABで準備した3個の部品供給装置3Eを部品装着ライン6Eまで運搬する運搬路M5の距離が短くなる。したがって、段取り替え作業の作業効率が向上する。
【0054】
5.実施形態の応用および変形
なお、第1〜第3実施形態の段取り替え作業の設定装置(7、7C、7E)は、ホストコンピュータ70と別体であってもよい。また、段取り替え作業の設定装置(7、7C、7E)は、段取り替え作業の設定方法として実施することもできる。また、部品装着ライン(6、6C、6D、6E)を構成する部品装着機(1、1C、1D、1E)は6台以外でもよく、対基板作業ラインのライン構成も限定されない。さらに、第2実施形態において、二つの部品装着ライン(6C、6D)の上流側と下流側とが互いに逆位置になっていてもよい。また、作業対象となる部品供給装置(3A、3B、3C、3D、3E)の中でフィーダ装置31の配設位置の列設順序を最適化する最適化処理を行うことができる。さらに、トレイ式装置やフィーダ・トレイ併用式装置からなる部品供給装置の段取り替え作業に応用することもできる。第1〜第3実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。