(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のエアロゾル生成装置の一実施形態であるエアロゾル吸引器1について、
図1から
図8を参照して説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。
【0017】
(エアロゾル吸引器の全体概要)
図1〜
図3に示すように、エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずにエアロゾルを生成し、生成されたエアロゾルに香味成分を付加して、香味成分が含まれるエアロゾルをユーザが吸引可能とするための器具である。一例として、エアロゾル吸引器1は、棒形状となっている。
【0018】
エアロゾル吸引器1は、電源ユニット10と、エアロゾル源71を貯留するカートリッジ40が収容されるカートリッジカバー20と、香味源52が収容される収容室53を有するカプセル50が収容されるカプセルホルダ30と、を備える。電源ユニット10、カートリッジカバー20、及びカプセルホルダ30は、エアロゾル吸引器1の長手方向の一端側から他端側に向かって、この順に設けられている。電源ユニット10は、エアロゾル吸引器1の長手方向に延びる中心線Lを中心とする略円筒形状を有している。カートリッジカバー20、及びカプセルホルダ30は、エアロゾル吸引器1の長手方向に延びる中心線Lを中心とする略円環形状を有している。電源ユニット10の外周面とカートリッジカバー20の外周面とは、略同一径の略円環形状であり、カプセルホルダ30は、電源ユニット10及びカートリッジカバー20よりもやや小径の略円環形状となっている。
【0019】
以下、本明細書等では説明を簡単かつ明確にするために、棒形状のエアロゾル吸引器1の長手方向を第1方向Xと定義する。そして、第1方向Xにおいて、エアロゾル吸引器1の電源ユニット10が配置されている側を底部側、エアロゾル吸引器1のカプセルホルダ30が配置されている側を頂部側、と便宜上定義する。図面には、エアロゾル吸引器1の第1方向Xにおける底部側をD、エアロゾル吸引器1の第1方向における頂部側をU、として示す。
【0020】
カートリッジカバー20は、底部側及び頂部側の両端面が開口した中空の略円環形状となっている。カートリッジカバー20は、例えば、ステンレス等の金属によって形成されている。カートリッジカバー20は、底部側の端部で、電源ユニット10の頂部側の端部と連結する。カートリッジカバー20は、電源ユニット10に対して着脱可能となっている。カプセルホルダ30は、底部側及び頂部側の両端面が開口した中空の略円環形状となっている。カプセルホルダ30は、底部側の端部で、カートリッジカバー20の頂部側の端部と連結する。カプセルホルダ30は、例えば、アルミニウム等の金属によって形成されている。カプセルホルダ30は、カートリッジカバー20に対して着脱可能となっている。
【0021】
カートリッジ40は、略円筒形状を有し、カートリッジカバー20の内部に収容される。カートリッジ40は、カプセルホルダ30をカートリッジカバー20から取り外した状態で、カートリッジカバー20の内部に収容することができ、カートリッジカバー20の内部から取り出すことができる。したがって、エアロゾル吸引器1は、カートリッジ40を交換して使用可能である。
【0022】
カプセル50は、略円筒形状を有し、第1方向Xにおける頂部側の端部が、カプセルホルダ30の頂部側の端部から第1方向Xに露出するように、中空の略円環形状のカプセルホルダ30の中空部に収容される。カプセル50は、カプセルホルダ30に対して着脱可能となっている。したがって、エアロゾル吸引器1は、カプセル50を交換して使用可能である。
【0023】
(電源ユニット)
図3及び
図4に示すように、電源ユニット10は、第1方向Xに延びる中心線Lを中心とする中空の略円環形状の電源ユニットケース11を備える。電源ユニットケース11は、例えば、ステンレス等の金属によって形成されている。電源ユニットケース11は、電源ユニットケース11の第1方向Xにおける頂部側の端面である頂面11aと、電源ユニットケース11の第1方向Xにおける底部側の端面である底面11bと、頂面11aから底面11bへと中心線Lを中心とする略円環状に第1方向Xに延びる側面11cと、を有する。
【0024】
電源ユニットケース11の頂面11aには、放電端子12が設けられている。放電端子12は、電源ユニットケース11の頂面11aから第1方向Xの頂部側に突出するように設けられている。
【0025】
また、頂面11aには、放電端子12の近傍に、後述するカートリッジ40の加熱室43に空気を供給する空気供給部13が設けられている。空気供給部13は、電源ユニットケース11の頂面11aから第1方向Xの頂部側に突出するように設けられている。
【0026】
電源ユニットケース11の側面11cには、外部電源(図示省略)と電気的に接続可能な充電端子14が設けられる。本実施形態では、充電端子14は、底面11b近傍の側面11cに設けられており、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子、microUSB端子等が接続可能なレセプタクルである。
【0027】
なお、充電端子14は、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。このような場合、充電端子14(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(WPT:Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型の組合せでもよい。また、充電端子14は、外部電源から送電される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子14は、USB端子、microUSB端子等が接続可能なレセプタクルと、上述した受電部と、の双方を有していてもよい。
【0028】
電源ユニットケース11の側面11cには、ユーザが操作可能な操作部15が設けられている。操作部15は、頂面11a近傍の側面11cに設けられている。本実施形態では、操作部15は、第1方向Xから見て、中心線Lを中心にして充電端子14から約180度離れた位置に設けられている。本実施形態では、操作部15は、電源ユニットケース11の側面11cを外側から見て、円形状の押しボタン式のスイッチである。なお、操作部15は、円形状以外の形状でもよいし、押しボタン式以外のスイッチ又はタッチパネル等から構成されていてもよい。
【0029】
電源ユニットケース11には、各種情報を通知する通知部16が設けられている。通知部16は、発光素子161と振動素子162と、によって構成されている(
図6参照)。本実施形態では、発光素子161は、操作部15の電源ユニットケース11内側に設けられている。円形状の操作部15の周囲は、電源ユニットケース11の側面11cを外側から見て透光性を有し、発光素子161によって点灯するように構成される。本実施形態では、発光素子161は、赤色、緑色、青色、白色、紫色に発光可能となっている。
【0030】
電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む不図示の空気取込口が設けられている。空気取込口は、充電端子14の周囲に設けられていてもよく、操作部15の周囲に設けられていてもよく、充電端子14及び操作部15から離れた位置で電源ユニットケース11に設けられていてもよい。空気取込口は、カートリッジカバー20に設けられていてもよい。空気取込口は、上述した箇所のうち2以上の箇所に設けられていてもよい。
【0031】
中空の略円環形状の電源ユニットケース11の中空部には、電源61と、吸気センサ62と、MCU63(MCU:Micro Controller Unit)と、充電IC64(IC:Integrated Circuit)と、が収容されている。電源ユニットケース11の内部には、さらに、LDOレギュレータ65(LDO:Low Drop Out)と、DC/DCコンバータ66と、電圧センサ671及び電流センサ672を含む第1温度検出用素子67と、電圧センサ681及び電流センサ682を含む第2温度検出用素子68と、が収容されている(
図6及び
図7参照)。
【0032】
電源61は、二次電池や電気二重層キャパシタ等の充放電可能な蓄電デバイスであり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源61の電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。
【0033】
吸気センサ62は、操作部15の近傍に設けられている。吸気センサ62は、パフ(吸引)動作を検出する圧力センサである。吸気センサ62は、後述するカプセル50の吸口58を通じたユーザの吸引により生じた、電源ユニット10の内部の圧力(内圧)変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ62は、例えば、空気取込口からカプセル50の吸口58に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する内圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する。吸気センサ62は、アナログ値を出力してもよいし、アナログ値から変換したデジタル値を出力してもよい。
【0034】
吸気センサ62は、検出する圧力を補償するために、電源ユニット10の置かれている環境の温度(外気温)を検出する温度センサを内蔵していてもよい。吸気センサ62は、圧力センサではなく、コンデンサマイクロフォンや流量センサ等から構成されていてもよい。
【0035】
MCU63は、エアロゾル吸引器1の各種の制御を行う電子部品である。MCU63は、具体的にはプロセッサを主体に構成されており、プロセッサの動作に必要なRAM(Random Access Memory)及び各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶媒体により構成されるメモリ63aをさらに含む(
図6参照)。本明細書におけるプロセッサとは、具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0036】
MCU63は、パフ動作が行われて、吸気センサ62の出力値が閾値を超えると、エアロゾル生成要求がなされたと判定し、その後、吸気センサ62の出力値がこの閾値を下回ると、エアロゾル生成要求が終了されたと判定する。このように、吸気センサ62の出力値はエアロゾル生成要求を示す信号として利用される。したがって、吸気センサ62は、エアロゾル生成要求を出力するセンサを構成する。なお、MCU63に代えて吸気センサ62が上述した判定を行い、MCU63は当該判定結果に応じたデジタル値を吸気センサ62から受け取ってもよい。具体的一例として、エアロゾル生成要求がなされたと判定される場合には吸気センサ62はハイレベルの信号を出力し、エアロゾル生成要求が終了されたと判定される場合には吸気センサ62はローレベルの信号を出力してもよい。また、エアロゾル生成要求がなされたとMCU63又は吸気センサ62が判定する閾値と、エアロゾル生成要求が終了されたMCU63又は吸気センサ62が判定する閾値は異なっていてもよい。
【0037】
なお、MCU63は、吸気センサ62に代えて、操作部15の操作に基づいてエアロゾル生成要求を検出するようにしてもよい。例えば、ユーザがエアロゾルの吸引を開始するために操作部15に対し所定の操作を行うと、操作部15がエアロゾル生成要求を示す信号をMCU63に出力するように構成してもよい。この場合には、操作部15が、エアロゾル生成要求を出力するセンサを構成する。
【0038】
充電IC64は、充電端子14の近傍に設けられている。充電IC64は、充電端子14から入力され電源61に充電される電力を制御して、電源61の充電制御を行う。なお、充電IC64は、MCU63の近傍に配置されていてもよい。
【0039】
(カートリッジ)
図3に示すように、カートリッジ40は、軸方向を長手方向とする略円柱形状のカートリッジケース41を備える。カートリッジケース41は、例えばポリカーボネート等の樹脂によって形成されている。カートリッジケース41の内部には、エアロゾル源71を貯留する貯留室42と、エアロゾル源71を加熱する加熱室43と、が形成されている。加熱室43には、貯留室42に貯留されたエアロゾル源71を加熱室43に輸送して加熱室43で保持するウィック44と、ウィック44に保持されたエアロゾル源71を加熱して気化及び/又は霧化させる第1負荷45と、が収容されている。カートリッジ40は、第1負荷45によって加熱されて気化及び/又は霧化したエアロゾル源71を、エアロゾル化して加熱室43からカプセル50に向かって輸送する第1エアロゾル流路46をさらに備える。
【0040】
貯留室42と加熱室43とは、カートリッジ40の長手方向に互いに隣接して形成されている。加熱室43は、カートリッジ40の長手方向一端側に形成されており、貯留室42は、カートリッジ40の長手方向で加熱室43と隣接し、カートリッジ40の長手方向他端側の端部まで延びるように形成されている。カートリッジケース41の長手方向一端側の端面、すなわちカートリッジ40の長手方向において、加熱室43が配置されている側のカートリッジケース41の端面には、接続端子47が設けられている。
【0041】
貯留室42は、カートリッジ40の長手方向を軸方向とする中空の略円環形状を有し、円環部にエアロゾル源71を貯留する。貯留室42には、樹脂ウェブ又は綿等の多孔体が収容され、かつ、エアロゾル源71が多孔体に含浸されていてもよい。貯留室42には、樹脂ウェブ又は綿上の多孔質体が収容されず、エアロゾル源71のみが貯留されていてもよい。エアロゾル源71は、グリセリン及び/又はプロピレングリコールなどの液体を含む。さらに、エアロゾル源71は、メンソール80を含む。
図3においては、説明をわかりやすくするために、メンソール80を粒子状に示しているが、本実施形態では、メンソール80は、グリセリン及び/又はプロピレングリコールなどの液体に溶解している。また、
図3等に示されたメンソール80は模擬的なものに過ぎず、貯留室42におけるメンソール80の位置や数量、カプセル50におけるメンソール80の位置や数量、メンソール80と香味源52の位置関係は実物とは必ずしも一致しない点に留意されたい。
【0042】
ウィック44は、毛管現象を利用して貯留室42に貯留するエアロゾル源71を、貯留室42から加熱室43に引き込んで、加熱室43で保持する液保持部材である。ウィック44は、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。なお、ウィック44は、貯留室42の内部に延伸してもよい。
【0043】
第1負荷45は、接続端子47と電気的に接続している。本実施形態では、第1負荷45は、所定ピッチでウィック44に巻き回された電熱線(コイル)によって構成されている。なお、第1負荷45は、ウィック44に保持されたエアロゾル源71を加熱して気化及び/又は霧化させることが可能な素子であればよい。第1負荷45は、例えば、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等の発熱素子であってもよい。第1負荷45は、温度と電気抵抗値とが相関を持つものが用いられる。第1負荷45としては、例えば、温度の増加に伴って電気抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが用いられる。これに代えて、第1負荷45としては、例えば、温度の増加に伴って電気抵抗値が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有するものが用いられてもよい。また、第1負荷45の一部は、加熱室43の外部に設けられていてもよい。
【0044】
第1エアロゾル流路46は、中空の略円環形状を有する貯留室42の中空部に形成され、カートリッジ40の長手方向に延びている。第1エアロゾル流路46は、カートリッジ40の長手方向に略円環状に延びる壁部46aによって形成されている。第1エアロゾル流路46の壁部46aは、略円環形状を有する貯留室42の内周側壁部にもなっている。第1エアロゾル流路46は、カートリッジ40の長手方向における第1端部461が加熱室43と接続しており、カートリッジ40の長手方向における第2端部462がカートリッジケース41の他端側の端面に開口している。
【0045】
第1エアロゾル流路46は、カートリッジ40の長手方向において、第1端部461から第2端部462に向かうにしたがって、断面積が不変又は増加するように形成されている。第1エアロゾル流路46の断面積は、第1端部461から第2端部462に向かうにしたがって、不連続的に増加してもよいし、
図3に示すように連続的に増加してもよい。
【0046】
カートリッジ40は、カートリッジ40の長手方向が、エアロゾル吸引器1の長手方向である第1方向Xとなるように、中空の略円環形状のカートリッジカバー20の中空部に収容される。さらに、カートリッジ40は、第1方向Xにおいて、加熱室43がエアロゾル吸引器1の底部側(すなわち電源ユニット10側)、貯留室42がエアロゾル吸引器1の頂部側(すなわちカプセル50側)となるように、カートリッジカバー20の中空部に収容される。
【0047】
カートリッジ40の第1エアロゾル流路46は、カートリッジ40がカートリッジカバー20の内部に収容された状態において、エアロゾル吸引器1の中心線L上を第1方向Xに延びるように形成されている。
【0048】
カートリッジ40は、エアロゾル吸引器1の使用時において、接続端子47が電源ユニットケース11の頂面11aに設けられた放電端子12と接触した状態が維持されるように、カートリッジカバー20の中空部に収容される。電源ユニット10の放電端子12とカートリッジ40の接続端子47とが接触することによって、カートリッジ40の第1負荷45は、放電端子12及び接続端子47を介して、電源ユニット10の電源61と電気的に接続する。
【0049】
さらに、カートリッジ40は、エアロゾル吸引器1の使用時において、電源ユニットケース11に設けられた不図示の空気取込口から流入した空気が、
図3中の矢印Bで示すように、電源ユニットケース11の頂面11aに設けられた空気供給部13から加熱室43に取り込まれるように、カートリッジカバー20の中空部に収容される。なお、矢印Bは、
図3中において中心線Lに対して傾いているが、中心線Lと同一方向であってもよい。換言すれば、矢印Bは、中心線Lに対して平行であってもよい。
【0050】
第1負荷45は、エアロゾル吸引器1の使用時において、電源61から、電源ユニットケース11に設けられた放電端子12と、カートリッジ40に設けられた接続端子47と、を介して供給される電力によって、ウィック44に保持されたエアロゾル源71を、燃焼を伴わずに加熱する。そして、加熱室43において、第1負荷45によって加熱されたエアロゾル源71は、気化及び/又は霧化する。このとき、気化及び/又は霧化したエアロゾル源71には、気化及び/又は霧化したグリセリン及び/又はプロピレングリコールなどとともに、気化及び/又は霧化したメンソール80も含まれている。
【0051】
そして、加熱室43で気化及び/又は霧化したエアロゾル源71は、電源ユニットケース11の空気供給部13から加熱室43に取り込まれた空気を分散媒としてエアロゾル化する。さらに、加熱室43で気化及び/又は霧化したエアロゾル源71と、電源ユニットケース11の空気供給部13から加熱室43に取り込まれた空気とは、加熱室43と連通する第1エアロゾル流路46の第1端部461から、第1エアロゾル流路46の第2端部462へと、さらにエアロゾル化しながら第1エアロゾル流路46を流れる。加熱室43で気化及び/又は霧化したエアロゾル源71は、第1エアロゾル流路46を流れる過程で温度が低下し、エアロゾル化が促進される。このようにして、加熱室43で気化及び/又は霧化したエアロゾル源71と、電源ユニットケース11の空気供給部13から加熱室43に取り込まれた空気と、によって、加熱室43及び第1エアロゾル流路46でエアロゾル72が生成される。加熱室43及び第1エアロゾル流路46でエアロゾル72には、エアロゾル源71由来のエアロゾル化したメンソール80も含まれている。
【0052】
(カプセルホルダ)
カプセルホルダ30は、略円環状に第1方向Xに延びる側壁31を備え、底部側及び頂部側の両端面が開口した中空の略円環形状となっている。側壁31は、例えば、アルミニウム等の金属によって形成されている。カプセルホルダ30は、底部側の端部で、カートリッジカバー20の頂部側の端部と、螺合や係止等によって連結され、カートリッジカバー20に対して着脱可能となっている。略円環形状の側壁31の内周面31aは、エアロゾル吸引器1の中心線Lを中心とする円環形状であり、カートリッジ40の第1エアロゾル流路46よりも大径、かつ、カートリッジカバー20よりも小径となっている。
【0053】
カプセルホルダ30は、側壁31の底部側の端部に設けられた底壁32を備える。底壁32は、例えば樹脂によって形成されている。底壁32は、側壁31の底部側の端部に固定され、側壁31の底部側の端部で側壁31の内周面によって囲まれた中空部を後述する連通孔33を除き閉塞する。
【0054】
底壁32には、第1方向Xに貫通する連通孔33が設けられている。連通孔33は、第1方向から見て、中心線Lと重なる位置に形成されている。カートリッジ40がカートリッジカバー20の内部に収容された、かつ、カプセルホルダ30がカートリッジカバー20に装着された状態において、連通孔33は、第1方向Xの頂部側から見て、カートリッジ40の第1エアロゾル流路46が連通孔33の内部に位置するように形成されている。
【0055】
カプセルホルダ30の側壁31には、第2負荷34が設けられていてもよい。第2負荷34は、側壁31の底部側の端部及び頂部側の端部の双方から離間た位置に設けられていてもよい。第2負荷34は、側壁31の底部側に設けられていてもよい。換言すれば、第2負荷34は、カプセル50と接する側壁31の頂部側には設けられていなくてもよい。第2負荷34は、略円環形状の側壁31に沿った円環形状を有し、第1方向Xに延びている。第2負荷34は、カプセル50の収容室53を加熱して収容室53に収容された香味源52を加熱する。第2負荷34は、カプセル50の収容室53を加熱することによって香味源52を加熱可能な素子であればよい。第2負荷34は、例えば、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等の発熱素子であってもよい。第2負荷34は、温度と電気抵抗値とが相関を持つものが用いられる。第2負荷34としては、例えば、温度の増加に伴って電気抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが用いられる。これに代えて、第2負荷34としては、例えば、温度の増加に伴って電気抵抗値が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有するものが用いられてもよい。カートリッジカバー20が電源ユニット10に装着され、かつ、カプセルホルダ30がカートリッジカバー20に装着された状態において、第2負荷34は、電源ユニット10の電源61と電気的に接続する。
【0056】
(カプセル)
カプセル50は、略円筒形状を有し、両端面が開口して略円環状に延びる側壁51を備える。側壁51は、例えば、プラスチック等の樹脂によって形成されている。側壁51は、カプセルホルダ30の側壁31の内周面31aよりもわずかに小径の略円環形状となっている。
【0057】
カプセル50は、香味源52が収容される収容室53を備える。収容室53は、
図3に示すように、側壁51に取り囲まれたカプセル50の内部空間に形成されてもよい。若しくは、後述する出口部55を除くカプセル50の内部空間全体が、収容室53であってもよい。
【0058】
収容室53は、略円筒形状に延びるカプセル50の円筒軸方向の一端側に設けられる入口部54と、カプセル50の円筒軸方向の他端側に設けられる出口部55と、を備える。本実施形態では、香味源52は、たばこ原料を顆粒状に成形したたばこ顆粒521と、メンソール80と、を含む。詳細には、香味源52において、メンソール80は、たばこ顆粒521に吸着されている。なお、香味源52は、たばこ顆粒521に代えて、刻みたばこが含まれていてもよい。また、香味源52は、たばこ顆粒521に代えて、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、又はハーブ等)が含まれていてもよい。また、香味源52は、メンソール80に加えて他の香料が付加されていてもよい。
【0059】
図3に示すように、カプセル50の内部空間に収容室53が形成される場合、入口部54は、カプセル50の円筒軸方向において、カプセル50の底部から離間した位置で、カプセル50の内部空間をカプセル50の円筒軸方向で区画する隔壁であってもよい。入口部54は、香味源52が通過不能であり、エアロゾル72が通過可能な、網目状の隔壁となっていてよい。
【0060】
出口部55を除くカプセル50の内部空間全体が収容室53である場合、カプセル50の底部は入口部54を兼ねる。
【0061】
出口部55は、カプセル50の円筒軸方向において、側壁51の頂部側の端部で、側壁51に取り囲まれたカプセル50の内部空間に充填されたフィルタ部材である。出口部55は、香味源52が通過不能であり、エアロゾル72が通過可能な、フィルタ部材である。本実施形態では、出口部55は、カプセル50の頂部近傍に設けられているが、出口部55は、カプセル50の頂部から離間した位置に設けられていてもよい。
【0062】
収容室53は、香味源52が存在する第1空間531と、第1空間531と出口部55との間に位置して出口部55と隣接し、香味源52が存在しない第2空間532と、を有する。本実施形態では、収容室53において、第1空間531と第2空間532とは、カプセル50の円筒軸方向で隣接して形成されている。第1空間531は、カプセル50の円筒軸方向の一端側が入口部54と隣接しており、カプセル50の円筒軸方向の他端側が第2空間532と隣接している。第2空間532は、カプセル50の円筒軸方向の一端側が第1空間531と隣接しており、カプセル50の円筒軸方向の他端側が出口部55と隣接している。第1空間531と第2空間532とは、香味源52が通過不能であり、エアロゾル72が通過可能な網目状の隔壁56によって区画されていてもよい。このような隔壁56を用いずに、第1空間531と第2空間532とが形成されていてもよい。具体的一例として、収容室53の一部に香味源52が押圧された状態で収容し、収容室53内における香味源52の移動を困難にすることで、第1空間531と第2空間532とが形成されていてもよい。別の具体的一例として、香味源52が収容室53内を自由に移動できるようにしつつ、ユーザが吸口58から吸引動作を行う時には重力によって香味源52が収容室53の底部側に移動することで、第1空間531と第2空間532とが形成されるようにしてもよい。
【0063】
図3に示すように、カプセル50の内部空間に収容室53が形成される場合、カプセル50には、カプセル50の円筒軸方向において、カプセル50の底部と入口部54との間に、第2エアロゾル流路57が形成されていてもよい。
【0064】
第2エアロゾル流路57は、カプセル50の円筒軸方向において、カプセル50の底部と入口部54との間で、側壁51に取り囲まれたカプセル50の内部空間によって形成されている。したがって、第2エアロゾル流路57は、カプセル50の円筒軸方向における第1端部571がカプセル50の底部で開口しており、カプセル50の円筒軸方向における第2端部572が収容室53の入口部54で収容室53と接続している。
【0065】
カプセルホルダ30の底壁32に設けられた連通孔33の開口面積は、カートリッジ40の第1エアロゾル流路46の断面積よりも大きくなっており、第2エアロゾル流路57の断面積は、カートリッジ40の第1エアロゾル流路46の断面積、及びカプセルホルダ30の底壁32に設けられた連通孔33の開口面積よりも大きくなっている。したがって、カートリッジ40の加熱室43に接続する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積よりも、カプセル50の収容室53に接続する第2エアロゾル流路57の第2端部572における断面積の方が大きくなっている。本実施形態におけるエアロゾル流路90は、第1エアロゾル流路46と、連通孔33と、第2エアロゾル流路57とによって構成されている。加熱室43に接続する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積は、連通孔33に接続する第1エアロゾル流路46の第2端部462における断面積より小さい。加熱室43に接続する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積は、連通孔33の断面積より小さい。連通孔33の断面積は、第2エアロゾル流路57の断面積より小さい。つまり、エアロゾル流路90は、加熱室43に接続する第1端部を構成する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積よりも、収容室53に接続する第2端部を構成する第2エアロゾル流路57の第2端部572における断面積の方が大きくなっている。また、エアロゾル流路90は、第1端部から第2端部に向かうにしたがって断面積が増加するように形成されている。
【0066】
出口部55を除くカプセル50の内部空間全体が収容室53である場合、カプセル50の底部は入口部54を兼ねるため、上述した第2エアロゾル流路57は形成されない。つまり、本実施形態におけるエアロゾル流路90は、第1エアロゾル流路46と、連通孔33とによって構成されている。加熱室43に接続する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積は、連通孔33に接続する第1エアロゾル流路46の第2端部462における断面積より小さい。加熱室43に接続する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積は、連通孔33の断面積より小さい。本実施形態においても、エアロゾル流路90は、加熱室43に接続する第1端部を構成する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積よりも、収容室53に接続する第2端部を構成する連通孔33における断面積の方が大きくなっている。また、エアロゾル流路90は、第1端部から第2端部に向かうにしたがって断面積が増加するように形成されている。
【0067】
なお、カプセルホルダ30にカプセル50が収容された状態において、カプセルホルダ30の底壁32とカプセル50の底部との間に空間が形成されてもよい。つまり、本実施形態におけるエアロゾル流路90は、第1エアロゾル流路46と、連通孔33と、カプセルホルダ30の底壁32とカプセル50の底部との間に形成される空間によって構成されている。加熱室43に接続する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積は、連通孔33に接続する第1エアロゾル流路46の第2端部462における断面積より小さい。加熱室43に接続する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積は、連通孔33の断面積より小さい。連通孔33の断面積は、カプセルホルダ30の底壁32とカプセル50の底部との間に形成される空間の断面積より小さい。この場合も、エアロゾル流路90は、加熱室43に接続する第1端部を構成する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積よりも、収容室53に接続する第2端部を構成する、カプセルホルダ30の底壁32とカプセル50の底部との間に形成される空間における断面積の方が大きくなっている。また、エアロゾル流路90は、第1端部から第2端部に向かうにしたがって断面積が増加するように形成されている。
【0068】
カプセル50は、略円筒形状の円筒軸方向がエアロゾル吸引器1の長手方向である第1方向Xとなるように、中空の略円環形状のカプセルホルダ30の中空部に収容される。さらに、カプセル50は、第1方向Xにおいて、入口部54がエアロゾル吸引器1の底部側(すなわちカートリッジ40側)、出口部55がエアロゾル吸引器1の頂部側となるように、カプセルホルダ30の中空部に収容される。カプセル50は、カプセルホルダ30の中空部に収容された状態において、側壁51の他端側の端部が、カプセルホルダ30の頂部側の端部から第1方向Xに露出するように、カプセルホルダ30の中空部に収容される。そして、側壁51の他端側の端部は、エアロゾル吸引器1の使用時において、ユーザが吸引動作を行う吸口58となっている。カプセルホルダ30の頂部側の端部から第1方向Xに露出しやすくなるように、側壁51の他端側の端部は、段差を有していてもよい。
【0069】
図5に示すように、カプセル50は、中空の略円環形状のカートリッジカバー20の中空部に収容された状態において、カプセルホルダ30に設けられた円環形状の第2負荷34の中空部分に、収容室53の一部が収容されるようになっている。
【0070】
図3に戻って、収容室53は、カプセル50の円筒軸方向において、カートリッジカバー20の中空部に収容された状態で、カプセルホルダ30の第2負荷34が配置される加熱領域53Aと、加熱領域53Aと出口部55との間に位置して出口部55と隣接し、カプセルホルダ30の第2負荷34が配置されない非加熱領域53Bと、を有する。
【0071】
本実施形態では、カプセル50の円筒軸方向において、加熱領域53Aは、第1空間531の少なくとも一部と重なっており、非加熱領域53Bは、第2空間532の少なくとも一部と重なっている。本実施形態では、カプセル50の円筒軸方向において、第1空間531と加熱領域53Aとは略一致しており、第2空間532と非加熱領域53Bとは略一致している。
【0072】
(エアロゾル吸引器の使用時における構成)
このように構成されたエアロゾル吸引器1は、電源ユニット10に、カートリッジカバー20、カプセルホルダ30、カートリッジ40、及びカプセル50が装着された状態で使用される。この状態では、エアロゾル吸引器1には、少なくとも、カートリッジ40に設けられた第1エアロゾル流路46と、カプセルホルダ30の底壁32に設けられた連通孔33と、によって、エアロゾル流路90が形成される。
図3に示すようにカプセル50の内部空間に収容室53が形成される場合には、カプセル50に設けられた第2エアロゾル流路57も、エアロゾル流路90の一部を形成する。カプセルホルダ30にカプセル50が収容されると、カプセルホルダ30の底壁とカプセル50の底部の間に空間が形成される場合には、カプセルホルダ30の底壁とカプセル50の底部の間に形成される空間も、エアロゾル流路90の一部を形成する。エアロゾル流路90は、カートリッジ40の加熱室43とカプセル50の収容室53とを接続し、加熱室43で生成されたエアロゾル72を加熱室43から収容室53へと輸送する。
【0073】
そして、エアロゾル吸引器1は、使用時において、ユーザが吸口58から吸引動作を行うと、電源ユニットケース11に設けられた不図示の空気取込口から流入した空気が、
図3中の矢印Bで示すように、電源ユニットケース11の頂面11aに設けられた空気供給部13からカートリッジ40の加熱室43に取り込まれる。さらに、第1負荷45が発熱し、ウィック44に保持されたエアロゾル源71が加熱され、加熱室43において、第1負荷45によって加熱されたエアロゾル源71が気化及び/又は霧化する。そして、第1負荷45によって気化及び/又は霧化したエアロゾル源71は、電源ユニットケース11の空気供給部13から加熱室43に取り込まれた空気を分散媒としてエアロゾル化する。加熱室43で気化及び/又は霧化したエアロゾル源71と、電源ユニットケース11の空気供給部13から加熱室43に取り込まれた空気とは、加熱室43と連通する第1エアロゾル流路46の第1端部461から、第1エアロゾル流路46の第2端部462へと、さらにエアロゾル化しながら第1エアロゾル流路46を流れる。このように生成されたエアロゾル72は、第1エアロゾル流路46の第2端部462から、カプセルホルダ30の底壁32に設けられた連通孔33を通って、カプセル50の入口部54から収容室53に導入される。なお、実施形態に拠っては、エアロゾル72は収容室53に導入される前に、カプセル50に設けられた第2エアロゾル流路57を流れたり、カプセルホルダ30の底壁とカプセル50の底部の間に形成される空間を流れたりする。
【0074】
入口部54から収容室53に導入されたエアロゾル72は、収容室53を入口部54から出口部55へとエアロゾル吸引器1の第1方向Xに流れる際に、第1空間531に収容された香味源52を通過することによって、香味源52から香味成分が付加される。
【0075】
このようにして、エアロゾル72は、収容室53を入口部54から出口部55へとエアロゾル吸引器1の第1方向Xに流れる。よって、本実施形態では、収容室53において、入口部54から出口部55へとエアロゾル72が流れるエアロゾル72の流れ方向は、カプセル50の円筒軸方向であり、エアロゾル吸引器1の第1方向Xとなっている。
【0076】
さらに、エアロゾル吸引器1の使用時において、カプセルホルダ30に設けられた第2負荷34は、発熱して収容室53の加熱領域53Aを加熱する。これにより、収容室53の第1空間531に収容された香味源52と、収容室53の加熱領域53Aを流れるエアロゾル72と、が加熱される。
【0077】
エアロゾル吸引器1において、エアロゾルに付加される香味成分量を増やすためには、エアロゾル源71から発生させるエアロゾル量を多くすること、香味源52の温度を高くすること、が有効であることが実験的にわかっている。エアロゾル源71から発生させるエアロゾル量を多くするとエアロゾルに付加される香味成分量が増える現象は、エアロゾルの量が多いほど、香味源52を通過する際にエアロゾルが同伴する香味成分が増加することから説明できる。香味源52の温度を高くするとエアロゾルに付加される香味成分量が増える現象は、香味源52の温度が高いほど、香味源52や香味源52に付加された香料がエアロゾルに同伴されやすくなることから説明できる。
【0078】
ここで、カプセル50内部における、香味源52に対するメンソール80の吸着について詳述する。香味源52を構成するたばこ顆粒521は、メンソール80の分子よりも十分に大きく、吸着質であるメンソール80の吸着材として機能する。メンソール80は、化学吸着によってもたばこ顆粒521に吸着するし、物理吸着によってもたばこ顆粒521に吸着する。化学吸着は、たばこ顆粒521を構成する分子における最外殻電子と、メンソール80を構成する分子における最外殻電子との、共有結合によって生じ得る。物理吸着は、たばこ顆粒521の表面とメンソール80の表面の間で働くファンデルワールス力によって生じ得る。たばこ顆粒521に対するメンソール80の吸着量が増加していくと、たばこ顆粒521とメンソール80は、吸着平衡状態と呼ばれる状態になる。吸着平衡状態では、たばこ顆粒521に新たに吸着するメンソール80の量と、たばこ顆粒521から脱離するメンソール80の量が等しくなる。つまり、たばこ顆粒521に新たにメンソール80を供給しても、見かけ上の吸着量は変化しなくなる。たばこ顆粒521とメンソール80に限らず、吸着平衡状態における吸着量は、吸着材と吸着質の温度が増加すると低下する。なお、化学吸着も物理吸着もたばこ顆粒521の界面における吸着サイトをメンソール80が占有する形で進行するが、仮にこの吸着サイトを埋め尽くした時のメンソール80の吸着量を飽和吸着量と呼ぶ。上述した吸着平衡状態における吸着量が飽和吸着量未満であることは、容易に理解されるだろう。
【0079】
上述した通り、香味源52は、一般に、温度が高くなるほど、たばこ顆粒521とメンソール80との吸着平衡状態におけるたばこ顆粒521へのメンソール80の吸着量が低下する。したがって、香味源52は、第2負荷34によって加熱されて温度が高くなると、たばこ顆粒521に吸着するメンソール80の吸着量が低下し、たばこ顆粒521に吸着していたメンソール80の一部が脱離する。
【0080】
そして、エアロゾル源71由来のエアロゾル化したメンソール80と、香味源52由来のエアロゾル化したメンソール80と、を含むエアロゾル72は、第2空間532を流れて出口部55から収容室53の外部に排出され、吸口58からユーザの口内に供給される。
【0081】
このとき、収容室53は、収容室53におけるエアロゾル72の流れ方向、すなわち第1方向Xにおいて、香味源52が存在する第1空間531と、第1空間531と出口部55との間に位置して出口部55と隣接し、香味源52が存在しない第2空間532と、を有する。第1空間531で香味源52から脱離したメンソール80は、エアロゾル化したエアロゾル源71由来のメンソール80を含むエアロゾル72とともにエアロゾル化しながら、第1空間531から第2空間532へと流れる。そして、香味源52由来のメンソール80は、香味源52が存在しない第2空間532を流れる過程でエアロゾル化が促進される。これにより、エアロゾル化した香味源52由来のメンソール80をより適切な量だけ生成できる。
【0082】
また、加熱領域53Aで加熱されて香味源52から脱離したメンソール80は、エアロゾル化したエアロゾル源71由来のメンソール80を含むエアロゾル72とともにエアロゾル化しながら、加熱領域53Aから非加熱領域53Bへと流れる。非加熱領域53Bの温度は加熱領域53Aより低いため、香味源52由来のメンソール80は、非加熱領域53Bを流れる過程で温度が低下して、エアロゾル化が促進される。これにより、エアロゾル化した香味源52由来のメンソール80をより適切な量だけ生成できる。
【0083】
本実施形態では、カプセル50の円筒軸方向において、第1空間531の少なくとも一部は加熱領域53Aと重なっており、第2空間532の少なくとも一部は非加熱領域53Bと重なっている。第1空間531の加熱領域53Aと重なる部分で第2負荷34によって加熱されることによって、香味源52から脱離したメンソール80は、第2空間532へと流れ、第2空間532の非加熱領域53Bと重なる部分を流れる過程で温度が低下し、エアロゾル化が促進される。
【0084】
本実施形態のエアロゾル吸引器1は、香味源52を加熱する第2負荷34を備えるので、香味源52を加熱することによって、適切な量の香味成分をエアロゾル72に付加してユーザに供給できる。また、香味源52を加熱することによって、香味源52に吸着可能なメンソール80の量が低下し、香味源52に吸着していたメンソール80の一部が脱離するとともに、エアロゾル源71由来のメンソール80が香味源52に吸着することを抑制できるので、より適切な量のメンソール80をユーザに供給できる。
【0085】
さらに、第2負荷34は、略円環形状の側壁31に沿った円環形状を有し、第1方向Xに延びており、カプセル50は、カプセルホルダ30に設けられた円環形状の第2負荷34の中空部分に、収容室53の一部が収容されるようになっている。したがって、第2負荷34が発熱して収容室53の加熱領域53Aを加熱する際、第1空間531に収容された香味源52を均一に加熱することができる。これにより、香味源52から適切な量の香味成分をエアロゾル72に付加して、ユーザの口内に供給することができる。さらに、香味源52が局所的に加熱され、局所的に高温となった一部の香味源52に含まれるメンソール80が急激に脱離して気化及び/又は霧化することを抑制できる。これにより、局所的に高温となった一部の香味源52に含まれるメンソール80が急激にユーザの口内に供給されることを抑制でき、メンソール80を安定的にユーザに供給できる。
【0086】
このように、本実施形態のエアロゾル吸引器1は、エアロゾル源71及び香味源52のいずれもメンソール80を含んでいるので、エアロゾル源71由来のメンソール80が香味源52で吸着されにくくなる。これにより、適切な量のメンソール80をユーザに供給できる。さらに、加熱室43で第1負荷45によって気化及び/又は霧化したエアロゾル源71は、エアロゾル流路90を流れる際に温度が低下して収容室53へと輸送されるので、収容室53は、第1負荷45による熱の影響を加熱室43から受けにくくなる。これにより、香味源52でメンソール80が急激に脱離することが抑制されるので、メンソール80を安定的にユーザに供給できる。このようにして、本実施形態のエアロゾル吸引器1は、適切な量のメンソール80を安定的にユーザに供給できる。
【0087】
さらに、電源ユニット10に、カートリッジカバー20、カプセルホルダ30、カートリッジ40、及びカプセル50が装着された状態において、エアロゾル流路90は、第1方向Xに延びており、第1方向Xにおいて、加熱室43と収容室53との間に貯留室42が配置されている。
【0088】
このようにして、カートリッジ40の加熱室43とカプセル50の収容室53とは、物理的に離間して配置されており、エアロゾル流路90によって互いに連通する。
【0089】
したがって、エアロゾル吸引器1の第1方向Xにおける寸法を大きくすることなく、加熱室43と収容室53とを離間して配置できるので、エアロゾル吸引器1は、第1方向Xにおける寸法を大きくすることなく、収容室53が、第1負荷45による熱の影響を加熱室43から受けにくくすることができる。これにより、香味源52でメンソール80が急激に脱離することが抑制されるので、メンソール80を安定的にユーザに供給できる。このようにして、本実施形態のエアロゾル吸引器1は、適切な量のメンソール80を安定的にユーザに供給できる。
【0090】
そして、第1エアロゾル流路46は、中空の略円環形状を有する貯留室42の中空部に形成され、カートリッジ40の長手方向に延びているので、第1エアロゾル流路46と貯留室42とは、第1方向Xにおいて、少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0091】
これにより、エアロゾル吸引器1の第1方向Xにおける寸法が大きくなることを抑制しつつ、エアロゾル流路90の長さを長くすることができる。したがって、エアロゾル吸引器1の第1方向Xにおける寸法が大きくなることを抑制しつつ、収容室53が、第1負荷45による熱の影響を加熱室43からより受けにくくすることができる。
【0092】
なお、香味源52は、一般に、メンソール80の濃度及び又は圧力が低いほど、たばこ顆粒521とメンソール80との吸着平衡状態におけるたばこ顆粒521へのメンソール80の吸着量が少なくなる。
【0093】
そして、第1エアロゾル流路46は、上述したように、カートリッジ40の長手方向において、第1端部461から第2端部462に向かうにしたがって、断面積が増加するように形成されている。連通孔33は、カートリッジ40がカートリッジカバー20の内部に収容された状態で、カプセルホルダ30がカートリッジカバー20に装着された状態において、第1方向Xの頂部側から見て、カートリッジ40の第1エアロゾル流路46が連通孔33の内部に位置するように形成されている。
【0094】
したがって、本実施形態のエアロゾル流路90は、加熱室43に接続する第1端部を構成する第1エアロゾル流路46の第1端部461における断面積よりも、収容室53に接続する第2端部における断面積の方が大きく、かつ、加熱室43に接続する第1端部から収容室53に接続する第2端部に向かうにしたがって断面積が増加するように形成されている。収容室53に接続するエアロゾル流路90の第2端部は、実施形態に応じて、カプセル50の第1端部571と、第2エアロゾル流路57の第2端部572と、連通孔33の頂部のうちいずれか1つによって構成される。
【0095】
したがって、加熱室43で第1負荷45によって気化及び/又は霧化したエアロゾル源71は、エアロゾル流路90を流れる過程で、加熱室43から離れることによって温度が低下するのに加えて、エアロゾル流路90の断面積が増加することによって圧力及び温度が低下する。これにより、エアロゾル源71由来のメンソール80が香味源52に吸着することをより抑制できるので、より適切な量のメンソール80をユーザに供給できる。
【0096】
(電源ユニットの詳細)
図6に示すように、DC/DCコンバータ66は、電源ユニット10にカートリッジ40が装着された状態において、第1負荷45と電源61の間に接続される。MCU63は、DC/DCコンバータ66と電源61の間に接続されている。第2負荷34は、電源ユニット10にカートリッジ40が装着された状態において、MCU63とDC/DCコンバータ66との間に接続される。このように、電源ユニット10では、カートリッジ40が装着された状態において、DC/DCコンバータ66及び第1負荷45の直列回路と、第2負荷34とが、電源61に並列接続される。
【0097】
DC/DCコンバータ66は、入力電圧を昇圧して出力可能な昇圧回路であり、入力電圧又は入力電圧を昇圧した電圧を第1負荷45に供給可能に構成されている。DC/DCコンバータ66によれば第1負荷45に供給される電力を調整できるため、第1負荷45が霧化するエアロゾル源71の量を制御することができる。DC/DCコンバータ66としては、例えば、出力電圧を監視しながらスイッチング素子のオン/オフ時間を制御することで、入力電圧を希望する出力電圧に変換するスイッチングレギュレータを用いることができる。DC/DCコンバータ66としてスイッチングレギュレータを用いる場合には、スイッチング素子を制御することで、入力電圧を昇圧せずに、そのまま出力させることができる。なお、DC/DCコンバータ66は、上述した昇圧型(ブースト・コンバータ)に限らず、降圧型(バック・コンバータ)や昇降圧型であってもよい。
【0098】
MCU63のプロセッサは、不図示の開閉器を用いて後述する第2負荷34への放電を制御するため、香味源52の温度を取得できるように構成される。また、MCU63のプロセッサは、第1負荷45の温度を取得できるように構成されることが好ましい。第1負荷45の温度は、第1負荷45やエアロゾル源71の過熱の抑制や、第1負荷45が霧化するエアロゾル源71の量を高度に制御するために用いることができる。
【0099】
電圧センサ671は、第1負荷45に印加される電圧値を測定して出力する。電流センサ672は、第1負荷45を貫流する電流値を測定して出力する。電圧センサ671の出力と、電流センサ672の出力は、それぞれ、MCU63に入力される。MCU63のプロセッサは、電圧センサ671の出力と電流センサ672の出力とに基づいて第1負荷45の抵抗値を取得し、取得した第1負荷45の抵抗値に基づいて第1負荷45の温度を取得する。具体的には、例えば、電圧センサ671と電流センサ672は、オペアンプとアナログデジタル変換器によって構成されてもよい。なお、電圧センサ671の少なくとも一部及び/又は電流センサ672の少なくとも一部は、MCU63の内部に設けられてもよい。
【0100】
なお、第1負荷45の抵抗値を取得する際に、第1負荷45に定電流を流す構成とすれば、第1温度検出用素子67において電流センサ672は不要である。同様に、第1負荷45の抵抗値を取得する際に、第1負荷45に定電圧を印加する構成とすれば、第1温度検出用素子67において電圧センサ671は不要である。
【0101】
電圧センサ681は、第2負荷34に印加される電圧値を測定して出力する。電流センサ682は、第2負荷34を貫流する電流値を測定して出力する。電圧センサ681の出力と、電流センサ682の出力は、それぞれ、MCU63に入力される。MCU63のプロセッサは、電圧センサ681の出力と電流センサ682の出力とに基づいて第2負荷34の抵抗値を取得し、取得した第2負荷34の抵抗値に基づいて第2負荷34の温度を取得する。第2負荷34の温度は、第2負荷34によって加熱される香味源52の温度と厳密には一致しないが、香味源52の温度とほぼ同じと見做すことができる。また、第2負荷34の温度は、第2負荷34によって加熱されるカプセル50の収容室53の温度と厳密には一致しないが、カプセル50の収容室53の温度とほぼ同じと見做すことができる。このため、第2温度検出用素子68は、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度を検出するための温度検出用素子として用いてもよい。具体的には、例えば、電圧センサ681と電流センサ682は、オペアンプとアナログデジタル変換器によって構成されてもよい。なお、電圧センサ681の少なくとも一部及び/又は電流センサ682の少なくとも一部は、MCU63の内部に設けられてもよい。
【0102】
なお、第2負荷34の抵抗値を取得する際に、第2負荷34に定電流を流す構成とすれば、第2温度検出用素子68において電流センサ682は不要である。同様に、第2負荷34の抵抗値を取得する際に、第2負荷34に定電圧を印加する構成とすれば、第2温度検出用素子68において電圧センサ681は不要である。
【0103】
第2温度検出用素子68を用いて第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度を取得する場合には、エアロゾル吸引器1において交換頻度が最も低い電源ユニット10に第2温度検出用素子68を設けることができる。このようにすると、カプセルホルダ30及びカートリッジ40の製造コストを下げることができる。
【0104】
図7は、
図6に示す電源ユニット10の具体例を示す図である。
図7では、第2温度検出用素子68として電流センサ682を持たず、かつ、第1温度検出用素子67として電流センサ672を持たない構成の具体例を示している。
【0105】
図7に示すように、電源ユニット10は、電源61と、MCU63と、LDOレギュレータ65と、開閉器SW1と、開閉器SW1に並列接続された抵抗素子R1及び開閉器SW2の直列回路とからなる並列回路C1と、開閉器SW3と、開閉器SW3に並列接続された抵抗素子R2及び開閉器SW4の直列回路とからなる並列回路C2と、電圧センサ671を構成するオペアンプOP1及びアナログデジタル変換器ADC1と、電圧センサ681を構成するオペアンプOP2及びアナログデジタル変換器ADC2と、を備える。オペアンプOP1とオペアンプOP2の少なくとも一方は、MCU63の内部に備えられていてもよい。
【0106】
本明細書にて説明する抵抗素子とは、固定の電気抵抗値を持つ素子であればよく、例えば抵抗器、ダイオード、又はトランジスタ等である。
図7の例では、抵抗素子R1及び抵抗素子R2が、それぞれ抵抗器となっている。
【0107】
本明細書にて説明する開閉器とは、配線路の遮断と導通を切り替えるトランジスタ等のスイッチング素子である。
図7の例では、開閉器SW1〜SW4は、それぞれトランジスタとなっている。
【0108】
LDOレギュレータ65は、電源61の正極に接続された主正母線LUに接続されている。MCU63は、LDOレギュレータ65と、電源61の負極に接続された主負母線LDとに接続されている。MCU63は、開閉器SW1〜SW4の各々にも接続されており、これらの開閉制御を行う。LDOレギュレータ65は、電源61からの電圧を降圧して出力する。LDOレギュレータ65の出力電圧V0は、MCU63、DC/DCコンバータ66、オペアンプOP1、オペアンプOP2、及び通知部16の各々の動作電圧としても利用される。これに代えて、MCU63、DC/DCコンバータ66、オペアンプOP1、オペアンプOP2、及び通知部16のうち少なくとも1つは、電源61の出力電圧そのものを動作電圧として利用してもよい。又は、MCU63、DC/DCコンバータ66、オペアンプOP1、オペアンプOP2、及び通知部16のうち少なくとも1つは、LDOレギュレータ65とは別体かつ不図示のレギュレータが出力する電圧を動作電圧として利用してもよい。このレギュレータの出力電圧はV0と異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0109】
DC/DCコンバータ66は、主正母線LUに接続されている。第1負荷45は、主負母線LDに接続される。並列回路C1は、DC/DCコンバータ66と第1負荷45とに接続されている。
【0110】
並列回路C2は、主正母線LUに接続されている。第2負荷34は、並列回路C2と主負母線LDとに接続される。
【0111】
オペアンプOP1の非反転入力端子は、並列回路C1と第1負荷45との接続ノードに接続されている。オペアンプOP1の反転入力端子は、オペアンプOP1の出力端子及び主負母線LDの各々に抵抗素子を介して接続されている。
【0112】
オペアンプOP2の非反転入力端子は、並列回路C2と第2負荷34との接続ノードに接続されている。オペアンプOP2の反転入力端子は、オペアンプOP2の出力端子及び主負母線LDの各々に抵抗素子を介して接続されている。
【0113】
アナログデジタル変換器ADC1は、オペアンプOP1の出力端子に接続されている。アナログデジタル変換器ADC2は、オペアンプOP2の出力端子に接続されている。アナログデジタル変換器ADC1とアナログデジタル変換器ADC2は、MCU63の外部に設けられていてもよい。
【0114】
図7は、
図6に示す電源ユニット10の具体例を示す図である。
図7では、第2温度検出用素子68として電流センサ682を持たず、かつ、第1温度検出用素子67として電流センサ672を持たない構成の具体例を示している。
【0115】
(MCU)
次に、MCU63の機能について説明する。MCU63は、ROMに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される機能ブロックとして、温度検出部と、電力制御部と、通知制御部と、を備える。
【0116】
温度検出部は、第1温度検出用素子67の出力に基づいて、第1負荷45の温度としての第1温度T1を取得する。また、温度検出部は、第2温度検出用素子68の出力に基づいて、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度としての第2温度T2を取得する。
【0117】
図7に示す回路例の場合、温度検出部は、開閉器SW1、開閉器SW3、及び開閉器SW4を遮断状態に制御し、所定の一定電圧を出力させるようにDC/DCコンバータ66を制御する。さらに、温度検出部は、開閉器SW2を導通状態に制御した状態にて、アナログデジタル変換器ADC1の出力値(第1負荷45に印加される電圧値)を取得し、この出力値に基づいて第1負荷45の温度としての第1温度T1を取得する。
【0118】
なお、オペアンプOP1の非反転入力端子を抵抗素子R1のDC/DCコンバータ66側の端子に接続し、オペアンプOP1の反転入力端子を抵抗素子R1の開閉器SW2側の端子に接続する構成としてもよい。この場合には、温度検出部は、開閉器SW1、開閉器SW3、及び開閉器SW4を遮断状態に制御し、所定の一定電圧を出力させるようにDC/DCコンバータ66を制御する。さらに、温度検出部は、開閉器SW2を導通状態に制御した状態にて、アナログデジタル変換器ADC1の出力値(抵抗素子R1に印加される電圧値)を取得し、この出力値に基づいて第1負荷45の温度としての第1温度T1を取得することができる。
【0119】
図7に示す回路例の場合、温度検出部は、開閉器SW1、開閉器SW2、及び開閉器SW3を遮断状態に制御し、所定の一定電圧を出力させるように不図示のDC/DCコンバータなどの素子を制御する。さらに、温度検出部は、開閉器SW4を導通状態に制御した状態にて、アナログデジタル変換器ADC2の出力値(第2負荷34に印加される電圧値)を取得し、この出力値に基づいて、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度としての第2温度T2を取得する。
【0120】
なお、オペアンプOP2の非反転入力端子を抵抗素子R2の主正母線LU側の端子に接続し、オペアンプOP2の反転入力端子を抵抗素子R2の開閉器SW4側の端子に接続する構成としてもよい。この場合には、温度検出部は、開閉器SW1、開閉器SW2、及び開閉器SW3を遮断状態に制御し、所定の一定電圧を出力させるように上述の素子を制御する。さらに温度検出部は、開閉器SW4を導通状態に制御した状態にて、アナログデジタル変換器ADC2の出力値(抵抗素子R2に印加される電圧値)を取得し、この出力値に基づいて、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度を取得することができる。
【0121】
通知制御部は、各種情報を通知するように通知部16を制御する。例えば、通知制御部は、カプセル50の交換タイミングの検出に応じて、カプセル50の交換を促す通知を行うように通知部16を制御する。通知制御部は、カプセル50の交換を促す通知に限らず、カートリッジ40の交換を促す通知、電源61の交換を促す通知、電源61の充電を促す通知等を行わせてもよい。
【0122】
電力制御部は、吸気センサ62から出力されたエアロゾル生成要求を示す信号に応じて、電源61から第1負荷45への放電(負荷の加熱に必要な放電)及び電源61から第2負荷34への放電(負荷の加熱に必要な放電)を制御する。
【0123】
電力制御部は、第1温度検出用素子67の出力に基づいて、第1負荷45の温度である第1温度T1が目標温度へ収束するように、電源61から第2負荷34への加熱のための放電を制御する。
【0124】
また、電力制御部は、第2温度検出用素子68の出力に基づいて、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2が目標温度へ収束するように、電源61から第2負荷34への加熱のための放電を制御する。
【0125】
電力制御部は、エアロゾル生成要求毎に生成されるエアロゾル72に香味源52から付加される香味成分の量である単位香味量が目標量へ収束するように、電源61から第1負荷45への放電、及び、電源61から第2負荷34への放電を制御する。この目標量は適宜決められる値であるが、例えば、単位香味量の目標範囲を適宜決定し、この目標範囲における中央値を目標量として定めてもよい。これにより、単位香味量を目標量に収束させることで、単位香味量をある程度幅を持たせた目標範囲にも収束させることが可能である。なお、単位香味量、目標量の単位としては重量が用いられてよい。
【0126】
図7に示す回路例の場合、電力制御部は、開閉器SW2、開閉器SW3、及び開閉器SW4を遮断状態に制御し、適切な電圧を出力させるようにDC/DCコンバータ66を制御する。さらに、電力制御部は、開閉器SW1を導通状態に制御することで、電源61から第1負荷45へエアロゾル源71を霧化するための放電を行う。また、電力制御部は、開閉器SW1、開閉器SW2、及び開閉器SW4を遮断状態に制御し、開閉器SW3を導通状態に制御することで、電源61から第2負荷34を加熱するための放電を行う。
【0127】
(エアロゾル供給時におけるMCUの電力制御部の機能)
次に、エアロゾル供給時におけるMCU63の電力制御部の機能について、
図8を参照して説明する。エアロゾル供給時とは、カートリッジ40の加熱室43でウィック44に保持されたエアロゾル源71が第1負荷45によって加熱され、気化及び/又は霧化したエアロゾル源71がエアロゾル化してカプセル50の収容室53に供給されている時のことをいう。
【0128】
図8に示すように、MCU63の電力制御部は、エアロゾル供給時において、第1温度検出用素子67の出力に基づいて取得した第1負荷45の温度である第1温度T1が、メンソールの沸点及びグリセリン及び/又はプロピレングリコールの沸点以上の温度となるように、電源61から第1負荷45への放電を制御する。例えば、MCU63の電力制御部は、エアロゾル供給時において、第1温度検出用素子67の出力に基づいて取得した第1負荷45の温度である第1温度T1が、約215[℃]以上の温度となるように、電源61から第1負荷45への放電を制御する。
【0129】
したがって、カートリッジ40の加熱室43において、ウィック44に保持されたエアロゾル源71は、メンソールの沸点及びグリセリン及び/又はプロピレングリコールの沸点より高い温度で加熱され、より確実に気化及び/又は霧化する。これにより、エアロゾル生成要求に応じた適切な量のエアロゾル源71をウィック44に保持させ、ウィック44に保持されたエアロゾル源71のメンソールとグリセリン及び/又はプロピレングリコールとを、確実に気化及び/又は霧化させることができるので、メンソール80を含むエアロゾル72をより確実に適切な量だけ生成できる。
【0130】
MCU63の電力制御部は、エアロゾル供給時において、第2温度検出用素子68の出力に基づいて取得した、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2が、第1負荷45の温度未満の温度となるように、電源61から第2負荷34への放電を制御する。具体的には、第1負荷45の温度である第1温度T1未満の温度は上述した通り所定の温度以上となるように制御されているため、第2温度T2がこの所定温度未満となるように電源61から第2負荷34への放電を制御する。
【0131】
したがって、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2は、第1負荷45の温度である第1温度T1未満の温度となるので、収容室53において、香味源52に含まれるメンソール80が急激に脱離して気化及び/又は霧化することを抑制できる。これにより、香味源52に含まれるメンソール80が急激にユーザの口内に供給されることを抑制でき、メンソール80を安定的にユーザに供給できる。
【0132】
さらに、MCU63の電力制御部は、エアロゾル供給時において、第2温度検出用素子68の出力に基づいて取得した、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2が、メンソールの融点より高くかつメンソールの沸点より低い温度となるように、電源61から第2負荷34への放電を制御する。なお、一般に、メンソールの融点は、42[℃]〜45[℃]程度であり、メンソールの沸点は、約212[℃]である。
【0133】
したがって、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2は、メンソールの融点より高い温度であるので、たばこ顆粒521とメンソール80との吸着平衡状態におけるたばこ顆粒521へのメンソール80の吸着量が低下する。これにより、エアロゾル源71由来のメンソール80が香味源52に吸着することを抑制し、かつ、香味源52のメンソール80の一部が脱離して気化及び/又は霧化する。一方、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2は、メンソールの沸点より低い温度であるので、香味源52に含まれるメンソール80が急激に脱離して気化及び/又は霧化することは抑制される。これにより、より適切な量のメンソール80を安定的にユーザに供給できる。
【0134】
さらに、MCU63の電力制御部は、エアロゾル供給時において、第2温度検出用素子68の出力に基づいて取得した、第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2が、メンソールの融点より高くかつ90[℃]以下となるように、電源61から第2負荷34への放電を制御する。
【0135】
第2負荷34の温度、香味源52の温度、又はカプセル50の収容室53の温度である第2温度T2は、メンソールの融点より高い温度かつ90[℃]以下であることによって、エアロゾル源71由来のメンソール80が香味源52に吸着することを抑制できる。同時に、香味源52から脱離して気化及び/又は霧化したメンソール80が、エアロゾル化しやすい温度とすることができる。これにより、より多くのメンソール80をエアロゾルの状態で安定的にユーザに供給できる。
【0136】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0137】
例えば、本実施形態では、カートリッジ40の加熱室43とカプセル50の収容室53とは、物理的に離間して配置されており、エアロゾル流路90によって互いに連通しているものとしたが、加熱室43と収容室53とは、必ずしも物理的に離間して配置されていなくてもよい。加熱室43と収容室53とは、互いに断熱されて、互いに連通していてもよい。この場合においても、加熱室43と収容室53とは、互いに断熱されているので、収容室53が加熱室43の第1負荷45による熱の影響を受けにくくすることができる。これにより、香味源52でメンソール80が急激に脱離することが抑制されるので、メンソール80を安定的にユーザに供給できる。また、加熱室43と収容室53とは、物理的に離間して配置され、及び互いに断熱されており、互いに連通していてもよい。
【0138】
また、例えば、エアロゾル吸引器1の全体形状は、
図1のように、電源ユニット10と、カートリッジ40と、カプセル50と、が一列に並ぶ形状には限らない。エアロゾル吸引器1は、電源ユニット10に対して、カートリッジ40及びカプセル50が交換可能に構成されていればよく、略箱状等の任意の形状を採用可能である。
【0139】
また、例えば、カートリッジ40は電源ユニット10と一体化された構成であってもよい。
【0140】
また、例えば、カプセル50は、電源ユニット10に対して交換可能に構成されていればよく、電源ユニット10に対して着脱可能であってもよい。
【0141】
また、例えば、本実施形態では、第1負荷45と第2負荷34は、電源61から放電される電力によって発熱するヒータとされているが、第1負荷45と第2負荷34は電源61から放電される電力によって発熱と冷却の双方が可能なペルチェ素子であってもよい。このように第1負荷45と第2負荷34を構成すれば、エアロゾル源71の温度と香味源52の温度に関する制御の自由度が広がるため、単位香味量をより高度に制御することができる。
【0142】
また、例えば、本実施形態では、MCU63が、香味成分量が目標量へ収束するように、電源61から第1負荷45及び第2負荷34への放電を制御するものとしたが、この目標量は、特定の1つの値に限らず、ある程度の幅を持たせた範囲としてもよい。
【0143】
また、例えば、本実施形態では、MCU63が、香味源52の温度が目標温度へ収束するように、電源61から第2負荷34への放電を制御するものとしたが、この目標温度は、特定の1つの値に限らず、ある程度の幅を持たせた範囲としてもよい。
【0144】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0145】
(1) エアロゾル源(エアロゾル源71)を貯留する貯留室(貯留室42)と、
前記エアロゾル源を加熱する加熱室(加熱室43)と、
香味源(香味源52)が収容される収容室(収容室53)を有する収容部(カプセル50)と、を備え、
前記加熱室には、
前記貯留室に貯留する前記エアロゾル源を、前記加熱室に輸送し、前記加熱室で保持する保持部(ウィック44)の少なくとも一部と、
前記保持部に保持された前記エアロゾル源を加熱して気化及び/又は霧化させる第1負荷(第1負荷45)の少なくとも一部と、が収容されている、エアロゾル生成装置(エアロゾル吸引器1)であって、
前記エアロゾル源及び前記香味源は、いずれもメンソール(メンソール80)を含み、
前記加熱室と前記収容室とを接続し、前記加熱室で前記第1負荷によって気化及び/又は霧化した前記エアロゾル源を前記収容室へと輸送する、エアロゾル流路(エアロゾル流路90)を備える、エアロゾル生成装置。
【0146】
(1)によれば、エアロゾル源及び香味源のいずれもメンソールを含んでいるので、エアロゾル源由来のメンソールが香味源で吸着されにくくなる。これにより、適切な量のメンソールをユーザに供給できる。さらに、加熱室で第1負荷によって気化及び/又は霧化したエアロゾル源は、エアロゾル流路を流れる際に温度が低下して収容室へと輸送されるので、収容室は、第1負荷による熱の影響を加熱室から受けにくくなる。これにより、香味源に吸着しているメンソールが急激に脱離することが抑制されるので、メンソールを安定的にユーザに供給できる。このようにして、適切な量のメンソールを安定的にユーザに供給できる。
【0147】
(2) (1)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記エアロゾル流路は、第1方向(第1方向X)に延びる形状を有し、
前記第1方向において、前記加熱室と前記収容室との間に前記貯留室が配置されている、エアロゾル生成装置。
【0148】
(2)によれば、エアロゾル流路が延びる第1方向において、加熱室と収容室との間に貯留室が配置されているので、エアロゾル生成装置の第1方向における寸法を大きくすることなく、加熱室と収容室とを離間して配置できる。換言すれば、エアロゾル生成装置は、第1方向における寸法を大きくすることなく、収容室が、第1負荷による熱の影響を加熱室から受けにくくすることができる。これにより、香味源に吸着していたメンソールが急激に脱離することが抑制されるので、メンソールを安定的にユーザに供給できる。
【0149】
(3) (2)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記エアロゾル流路と前記貯留室とは、前記第1方向において、少なくとも一部が重なるように配置されている、エアロゾル生成装置。
【0150】
(3)によれば、エアロゾル流路と貯留室とは、第1方向において、少なくとも一部が重なるように配置されているので、エアロゾル生成装置の第1方向における寸法が大きくなることを抑制しつつ、エアロゾル流路の第1方向における長さを長くすることができる。換言すれば、エアロゾル生成装置は、第1方向における寸法が大きくなることを抑制しつつ、収容室が、第1負荷による熱の影響を加熱室からより受けにくくすることができる。これにより、香味源に吸着していたメンソールが急激に脱離することが抑制されるので、メンソールを安定的にユーザに供給できる。
【0151】
(4) (3)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記エアロゾル流路は、前記加熱室に接続する第1端部(第1エアロゾル流路46の第1端部461)における断面積よりも、前記収容室に接続する第2端部(第2エアロゾル流路57の第2端部572)における断面積の方が大きく、かつ、該第1端部から該第2端部に向かうにしたがって断面積が増加するように形成されている、エアロゾル生成装置。
【0152】
(4)によれば、加熱室で第1負荷によって気化及び/又は霧化したエアロゾル源は、エアロゾル流路を流れる過程で、加熱室から離れることによって温度が低下するのに加えて、エアロゾル流路の断面積が増加することによって圧力及び温度が低下する。これにより、エアロゾル源由来のメンソールが香味源に吸着することをより抑制できるので、より適切な量のメンソールをユーザに供給できる。
【0153】
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置であって、
前記香味源を加熱する第2負荷(第2負荷34)をさらに備える、エアロゾル生成装置。
【0154】
(5)によれば、エアロゾル生成装は、香味源を加熱する第2負荷をさらに備えるので、香味源を加熱することによって、適切な量の香味成分をエアロゾルに付加してユーザに供給できる。また、香味源を加熱することによって、香味源に吸着可能なエアロゾル源由来のメンソールの量が低下し、香味源に吸着していたメンソールの一部が脱離するとともに、エアロゾル源由来のメンソールが香味源に吸着することを抑制できるので、より適切な量のメンソールをユーザに供給できる。
【0155】
(6) (5)に記載のエアロゾル生成装置であって、
電源(電源61)と、
前記電源から前記第1負荷への放電及び前記電源から前記第2負荷への放電を制御するコントローラ(MCU63)と、をさらに備え、
前記コントローラは、
前記保持部に保持された前記エアロゾル源が前記第1負荷によって加熱され、気化及び/又は霧化した前記エアロゾル源がエアロゾル化して前記収容室に供給されている、エアロゾル供給時において、
前記第2負荷の温度、前記収容室の温度、又は前記香味源の温度が、前記第1負荷の温度未満の温度となるように、前記電源から前記第2負荷への放電を制御する、エアロゾル生成装置。
【0156】
(6)によれば、エアロゾル供給時において、第2負荷の温度、収容室の温度、又は香味源の温度が、第1負荷の温度未満の温度となるので、収容室において、香味源に含まれるメンソールが急激に脱離して気化及び/又は霧化することを抑制できる。これにより、香味源に含まれるメンソールが急激にユーザの口内に供給されることを抑制でき、メンソールを安定的にユーザに供給できる。
【0157】
(7) (6)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記コントローラは、前記エアロゾル供給時において、前記第2負荷の温度、前記収容室の温度、又は前記香味源の温度が、メンソールの融点より高くかつメンソールの沸点より低い温度となるように、前記電源から前記第2負荷への放電を制御する、エアロゾル生成装置。
【0158】
(7)によれば、第2負荷の温度、香味源の温度、又は収容室の温度は、メンソールの沸点より低い温度であるので、香味源に含まれるメンソールが急激に脱離して気化及び/又は霧化することが抑制される。同時に、第2負荷の温度、香味源の温度、又は収容室の温度は、メンソールの沸点より高い温度であるので、香味源とメンソールとの吸着平衡状態における香味源へのメンソールの吸着量を低下させ、エアロゾル源由来のメンソールが香味源に吸着することを抑制できる。これにより、より適切な量のメンソールを安定的にユーザに供給できる。
【0159】
(8) (7)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記コントローラは、前記エアロゾル供給時において、前記第1負荷の温度がメンソールの沸点以上となるように、前記電源から前記第1負荷への放電を制御する、エアロゾル生成装置。
【0160】
(8)によれば、エアロゾル供給時において、第1負荷の温度がメンソールの沸点以上となるので、保持部に保持されたエアロゾル源を確実に気化及び/又は霧化させることができる。これにより、保持部に保持されたエアロゾル源に含まれるメンソールを、エアロゾル生成要求に応じて確実に気化及び/又は霧化させることができるので、適切な量のメンソールをより確実に生成できる。
【0161】
(9) (6)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記コントローラは、前記エアロゾル供給時において、前記第2負荷の温度、前記収容室の温度、又は前記香味源の温度が、メンソールの融点より高くかつ90[℃]以下となるように、前記電源から前記第2負荷への放電を制御する、エアロゾル生成装置。
【0162】
(9)によれば、エアロゾル供給時において、第2負荷の温度、収容室の温度、又は香味源の温度が、メンソールの融点より高くかつ90[℃]以下となるので、エアロゾル源由来のメンソールが香味源に吸着することを抑制しつつ、香味源から脱離して気化及び/又は霧化したメンソールが、エアロゾル化しやすい温度とすることができる。これにより、より適切な量のメンソールをエアロゾルの状態で安定的にユーザに供給できる。
【0163】
(10) (5)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記第2負荷は、円環形状を有し、
前記収容室の少なくとも一部は、該円環形状の前記第2負荷の中空部分に収容される、エアロゾル生成装置。
【0164】
(10)によれば、第2負荷は、円環形状を有し、収容室の少なくとも一部は、該円環形状の第2負荷の中空部分に収容されるので、第2負荷が発熱して収容室を加熱する際、香味源を均一に加熱することができる。これにより、香味源から適切な量の香味成分をエアロゾルに付加して、ユーザの口内に供給することができる。さらに、香味源が局所的に加熱され、局所的に高温となった一部の香味源に含まれるメンソールが急激に脱離して気化及び/又は霧化することを抑制できる。これにより、局所的に高温となった一部の香味源に含まれるメンソールが急激にユーザの口内に供給されることを抑制でき、メンソールを安定的にユーザに供給できる。
【0165】
(11) (5)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記第1負荷によって気化及び/又は霧化した前記エアロゾル源が、前記加熱室及び前記エアロゾル流路でエアロゾル化することによってエアロゾル(エアロゾル72)が生成され、
前記収容室は、
前記エアロゾル流路から前記エアロゾルを前記収容室に導入する入口部(入口部54)と、
前記収容室に導入された前記エアロゾルを前記収容室の外部に排出する出口部(出口部55)と、を有し、
前記入口部から前記出口部へと前記エアロゾルが流れる、前記収容室における前記エアロゾルの流れ方向において、
前記収容室は、前記香味源が存在する第1空間(第1空間531)と、前記第1空間と前記出口部との間に位置して前記出口部と隣接し、前記香味源が存在しない第2空間(第2空間532)と、を有する、エアロゾル生成装置。
【0166】
(11)によれば、第1空間で香味源から脱離したメンソールは、エアロゾル化したエアロゾル源由来のメンソールを含むエアロゾルとともにエアロゾル化しながら、第1空間から第2空間へと流れる。そして、香味源由来のメンソールは、香味源が存在しない第2空間を流れる過程でエアロゾル化が促進される。これにより、エアロゾル化した香味源由来のメンソールをより適切な量だけ生成できる。
【0167】
(12) (5)に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記第1負荷によって気化及び/又は霧化した前記エアロゾル源が、前記加熱室及び前記エアロゾル流路でエアロゾル化することによってエアロゾル(エアロゾル72)が生成され、
前記収容室は、
前記エアロゾル流路から前記エアロゾルを前記収容室に導入する入口部(入口部54)と、
前記収容室に導入された前記エアロゾルを前記収容室の外部に排出する出口部(出口部55)と、を有し、
前記入口部から前記出口部へと前記エアロゾルが流れる、前記収容室における前記エアロゾルの流れ方向において、
前記収容室は、前記第2負荷が配置される加熱領域(加熱領域53A)と、前記加熱領域と前記出口部との間に位置して前記出口部と隣接し、前記第2負荷が配置されない非加熱領域(非加熱領域53B)と、を有する、エアロゾル生成装置。
【0168】
(12)によれば、加熱領域で加熱されて香味源から脱離したメンソールは、エアロゾル化したエアロゾル源由来のメンソールを含むエアロゾルとともにエアロゾル化しながら、加熱領域から非加熱領域へと流れる。そして、香味源由来のメンソールは、非加熱領域を流れる過程で温度が低下して、エアロゾル化が促進される。これにより、エアロゾル化した香味源由来のメンソールをより適切な量だけ生成できる。
【0169】
(13) エアロゾル源(エアロゾル源71)を貯留する貯留室(貯留室42)と、
前記エアロゾル源を加熱する加熱室(加熱室43)と、
香味源(香味源52)が収容される収容室(収容室53)を有する収容部(カプセル50)と、を備え、
前記加熱室には、
前記貯留室に貯留する前記エアロゾル源を、前記加熱室に輸送し、前記加熱室で保持する保持部(ウィック44)の少なくとも一部と、
前記保持部に保持された前記エアロゾル源を加熱して気化及び/又は霧化させる第1負荷(第1負荷45)の少なくとも一部と、が収容されている、エアロゾル生成装置(エアロゾル吸引器1)であって、
前記エアロゾル源及び前記香味源は、いずれもメンソール(メンソール80)を含み、
前記加熱室と前記収容室とは、物理的に離間して配置され及び/又は互いに断熱されており、互いに連通する、エアロゾル生成装置。
【0170】
(13)によれば、エアロゾル源及び香味源のいずれもメンソールを含んでいるので、エアロゾル源由来のメンソールが香味源で吸着されにくくなる。これにより、適切な量のメンソールをユーザに供給できる。さらに、加熱室と収容室とは、物理的に離間して配置され及び/又は互いに断熱されて、互いに連通するので、収容室は、第1負荷による熱の影響を加熱室から受けにくくなる。これにより、香味源に吸着しているメンソールが急激に脱離することが抑制されるので、メンソールを安定的にユーザに供給できる。このようにして、適切な量のメンソールを安定的にユーザに供給できる。
【解決手段】エアロゾル吸引器1は、エアロゾル源71を貯留する貯留室42と、エアロゾル72が生成される加熱室43と、香味源52が収容される収容室53を有するカプセル50と、を備える。加熱室43には、貯留室42に貯留するエアロゾル源71を加熱室43に輸送して加熱室43で保持するウィック44と、ウィック44に保持されたエアロゾル源71を加熱する第1負荷45と、が収容されている。エアロゾル源71及び香味源52は、いずれもメンソール80を含む。エアロゾル吸引器1は、加熱室43と収容室53とを接続し、加熱室43で第1負荷45によって気化及び/又は霧化したエアロゾル源71を収容室53へと輸送するエアロゾル流路90を備える。