特許第6899483号(P6899483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899483
(24)【登録日】2021年6月16日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20210628BHJP
【FI】
   H02M3/155 U
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-507219(P2020-507219)
(86)(22)【出願日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】JP2018011432
(87)【国際公開番号】WO2019180883
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】箱田 康徳
(72)【発明者】
【氏名】田中 正幸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】杉戸 健
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−74285(JP,U)
【文献】 特開昭50−150824(JP,A)
【文献】 特開昭55−68878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング駆動信号によるスイッチング動作によってDCの入力電圧を他のDC電圧の出力電圧に変換する複数段のコンバータと、
前記複数段のコンバータの前記スイッチング動作を制御する前記複数のスイッチング駆動信号を生成する制御部と、
を備える電源装置であって、
前記制御部は、
前記出力電圧を計測した計測出力電圧値と基準電圧との誤差を求める誤差増幅器と、
前記誤差を減少する変調を行って共通のフィードバック信号を生成する変調器と、
前記共通のフィードバック信号に基づき前記複数のスイッチング駆動信号を生成し、前記複数段のコンバータへそれぞれ供給する複数の駆動回路と、
を有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記変調器は、
前記誤差をパルス幅変調して前記共通のフィードバック信号を生成するパルス幅変調器により構成されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記変調器は、
前記誤差を周波数変調して前記共通のフィードバック信号を生成する周波数変調器により構成されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
前記変調器は、
前記誤差を位相変調して前記共通のフィードバック信号を生成する位相変調器により構成されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
複数のスイッチング駆動信号によるスイッチング動作によってDCの入力電圧を他のDC電圧の出力電圧に変換する複数段のコンバータと、
前記複数段のコンバータの前記スイッチング動作を制御する前記複数のスイッチング駆動信号を生成する制御部と、
を備える電源装置であって、
前記制御部は、
前記出力電圧を計測した計測出力電圧値と基準電圧との誤差を求める誤差増幅器と、
前記誤差を減少する変調をそれぞれ行って複数のフィードバック信号を生成する複数の変調器と、
前記複数のフィードバック信号からそれぞれの前記複数のスイッチング駆動信号を生成し、前記複数段のコンバータへそれぞれ供給する複数の駆動回路と、
を有することを特徴とする電源装置。
【請求項6】
前記複数の変調器は、
前記誤差をパルス幅変調して前記複数のフィードバック信号を生成する複数のパルス幅変調器により構成されていることを特徴とする請求項5記載の電源装置。
【請求項7】
前記複数のパルス幅変調器は、
異なる複数の搬送波により前記誤差をそれぞれパルス幅変調し、前記誤差の大きさに応じてデューティ比が変化する前記複数のフィードバック信号を生成するものである、
ことを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
前記複数の変調器は、
前記誤差を周波数変調して前記複数のフィードバック信号を生成する複数の周波数変調器により構成されていることを特徴とする請求項5記載の電源装置。
【請求項9】
前記複数の周波数変調器は、
異なる複数の搬送波により前記誤差をそれぞれ周波数変調し、前記誤差の大きさに応じて周波数が変化する前記複数のフィードバック信号を生成するものである、
ことを特徴とする請求項8記載の電源装置。
【請求項10】
前記複数の変調器は、
前記誤差を位相変調して前記複数のフィードバック信号を生成する複数の位相変調器により構成されていることを特徴とする請求項5記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換回路(例えば、DC(直流))電圧を他のDC電圧に変換するDC/DCコンバータ等)が複数段接続された電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、DC/DCコンバータ等の電源装置では、入出力電圧変換比が大きい場合、DC/DCコンバータ等が複数段接続された回路が用いられている。
【0003】
図8は、電力変換回路(例えば、DC/DCコンバータ)が複数段接続された従来の電源装置を示す構成図である。
【0004】
この電源装置は、DC入力電圧Vinが供給される入力端子1と、DC出力電圧Voutを送出する出力端子2と、を有している。入力端子1と出力端子2との間には、複数段(例えば、3段)のDC/DCコンバータ10−1,10−2,10−3が接続されている。各段のDC/DCコンバータ10−1,10−2,10−3には、制御部20−1,20−2,20−3がそれぞれ接続されている。
【0005】
初段の制御部20−1は、初段のDC/DCコンバータ10−1のDC出力電圧Vaを計測した計測出力電圧値と基準電圧との誤差を減少するようなスイッチング駆動信号S1を出力して、そのDC/DCコンバータ10−1のスイッチング動作を制御している。同様に、2段目の制御部20−2は、2段目のDC/DCコンバータ20−2のDC出力電圧Vbを計測した計測出力電圧値と基準電圧との誤差を減少するようなスイッチング駆動信号S2を出力して、そのDC/DCコンバータ10−2のスイッチング動作を制御している。更に、最終段の制御部20−3は、最終段のDC/DCコンバータ20−3のDC出力電圧Voutを計測した計測出力電圧値と基準電圧との誤差を減少するようなスイッチング駆動信号S3を出力して、そのDC/DCコンバータ10−3のスイッチング動作を制御している。このような構成により、入力端子1に入力されたDC入力電圧Vinを所望のDC出力電圧Voutに変換して、出力端子2から出力している。
【0006】
例えば、特許文献1には、2段のDC/DCコンバータ10−1,10−2が接続された電源装置が開示されている。この電源装置では、最終段のDC/DCコンバータ10−2をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S2を、初段のDC/DCコンバータ10−1を制御するための制御部20−1へフィードバック(帰還)して、そのDC/DCコンバータ10−1のスイッチング動作を制御する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−199333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の図8の電源装置では、各段のDC/DCコンバータ10−1,10−1,10−3の出力電圧Va,Vb,Voutが固定のため、入出力電圧の変動が大きい場合に、次のような課題があった。
【0009】
例えば、入力電圧Vinが大きく変動した場合は、初段のDC/DCコンバータ10−1の入出力電圧差が大きくなり、又、負荷変動等によって出力電圧Voutが大きく変動した場合は、最終段のDC/DCコンバータ10−3の入出力電圧差が大きくなる。そのため、各段のDC/DCコンバータ10−1,10−2,10−3内のスイッチング素子の電圧/電力的なストレスがアンバランス(不均衡)になるので、ストレスが大きく掛かる初段のDC/DCコンバータ10−1と最終段のDC/DCコンバータ10−3との損失が大きくなり、電圧変換効率も低下するという課題があった。
【0010】
このような課題は、特許文献1の技術を用いたとしても、構成を複雑化することなく解決することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のうちの第1発明は、複数のスイッチング駆動信号によるスイッチング動作によってDCの入力電圧を他のDC電圧の出力電圧に変換する複数段のコンバータと、前記複数段のコンバータの前記スイッチング動作を制御する前記複数のスイッチング駆動信号を生成する制御部と、を備える電源装置である。
【0012】
ここで、前記第1発明の前記制御部は、前記出力電圧を計測した計測出力電圧値と基準電圧との誤差を求める誤差増幅器と、前記誤差を減少する変調を行って共通のフィードバック信号を生成する変調器と、前記共通のフィードバック信号に基づき前記複数のスイッチング駆動信号を生成し、前記複数段のコンバータへそれぞれ供給する複数の駆動回路と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明のうちの第2発明は、複数のスイッチング駆動信号によるスイッチング動作によってDCの入力電圧を他のDC電圧の出力電圧に変換する複数段のコンバータと、前記複数段のコンバータの前記スイッチング動作を制御する前記複数のスイッチング駆動信号を生成する制御部と、を備える電源装置である。
【0014】
ここで、前記第2発明の前記制御部は、前記出力電圧を計測した計測出力電圧値と基準電圧との誤差を求める誤差増幅器と、前記誤差を減少する変調をそれぞれ行って複数のフィードバック信号を生成する複数の変調器と、前記複数のフィードバック信号からそれぞれの前記複数のスイッチング駆動信号を生成し、前記複数段のコンバータへそれぞれ供給する複数の駆動回路と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のうちの第1発明の電源装置によれば、最終段のコンバータの出力電圧から誤差増幅器で誤差を求め、この誤差から変調器により生成したフィードバック信号に基づき、各段のコンバータのスイッチング動作を連動するようにしている。そのため、比較的簡単な構成にて、各段のコンバータの電圧・電力的なストレスのバランスをとることができ、各段のコンバータの損失の低減と電圧変換効率の向上を図ることができる。
【0016】
更に、第2発明の電源装置によれば、最終段のコンバータの出力電圧から誤差増幅器で誤差を求め、この誤差に基づき、複数段のコンバータのスイッチング動作を個別制御しているので、効率特性・損失特性を実際の動作条件、環境条件、及び実装条件等に合わせて最適に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明のうちの第1発明の実施例1における電源装置を示す概略の回路図である。
図2図2図1中のスイッチング駆動信号のデューティ比を示す波形図である。
図3図3は本発明のうちの第2発明の実施例2における電源装置を示す概略の回路図である。
図4図4図3中のスイッチング駆動信号のデューティ比を示す波形図である。
図5図5図4の変形例である傾斜違いの例を示すデューティ比の波形図である。
図6図6は本発明のうちの第2発明の実施例3における電源装置を示す概略の回路図である。
図7図7図6中のスイッチング駆動信号のデューティ比を示す波形図である。
図8図8は従来の電源装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0019】
(実施例1の構成)
図1は、本発明のうちの第1発明の実施例1における電源装置を示す概略の回路図である。
【0020】
この電源装置は、DC入力電圧Vinが供給される正極側入力端子31a及び負極側入力端子31bと、DC出力電圧Voutを送出する正極側出力端子32a及び負極側出力端子32bと、を有している。入力端子31a,31bと出力端子32a,32bとの間には、複数段(例えば、3段)のコンバータ(例えば、チョッパ方式の降圧型DC/DCコンバータ)40−1,40−2,40−3が接続されている。3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3には、共通の制御部50が接続されている。
【0021】
各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、同一の回路構成であり、制御部50から供給される複数(例えば、3つ)のスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3によるスイッチング動作によって、入力電圧Vinを所望の出力電圧outに変換する回路である。
【0022】
初段のDC/DCコンバータ40−1は、スイッチング駆動信号Scom1によるスイッチング動作によって、入力電圧Vinを降圧してDC出力電圧V1を生成し、この出力電圧V1を2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力する回路である。初段のDC/DCコンバータ40−1は、スイッチング駆動信号Scom1によりオン/オフ動作するスイッチング素子(例えば、MOS型電界効果トランジスタ、これを以下「MOSFET」という。)41、ダイオード42、チョークコイル43、及びコンデンサ44により構成されている。MOSFET41及び逆方向のダイオード42は、入力端子31a及び31b間に、直列に接続されている。ダイオード42のカソード及びアノード間には、チョークコイル43及びコンデンサ44が直列に接続されている。
【0023】
2段目のDC/DCコンバータ40−2は、スイッチング駆動信号Scom2によるスイッチング動作によって、初段のDC/DCコンバータ40−1の出力電圧V1を降圧してDC出力電圧V2を生成し、この出力電圧V2を最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力する回路である。この2段目のDC/DCコンバータ40−2は、初段のDC/DCコンバータ40−1と同様に、スイッチング駆動信号Scom2によりオン/オフ動作するMOSFET41、ダイオード42、チョークコイル43、及びコンデンサ44により構成されている。
【0024】
最終段のDC/DCコンバータ40−3は、スイッチング駆動信号Scom3によるスイッチング動作によって、2段目のDC/DCコンバータ40−2の出力電圧V2を降圧して所望の出力電圧Voutを生成し、この出力電圧Voutを出力端子32a,32bから出力する回路である。この最終段のDC/DCコンバータ40−3は、初段のDC/DCコンバータ40−1と同様に、スイッチング駆動信号Scom3によりオン/オフ動作するMOSFET41、ダイオード42、チョークコイル43、及びコンデンサ44により構成されている。
【0025】
出力端子32aには、電圧計測器54が接続されている。電圧計測器54は、DC出力電圧Voutを計測して、この出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOを制御部50へ出力するものであり、例えば、分圧抵抗回路等により構成されている。
【0026】
制御部50は、誤差増幅器51、変調器(例えば、パルス幅変調器)52、及び複数(例えば、3個)の駆動回路53−1,53−2,53−3を有し、プログラム制御可能な中央処理装置(以下「CPU」という。)等を有するプロセッサや、個別回路により構成されている。
【0027】
誤差増幅器51は、電圧計測器54で計測された計測出力電圧値VOと、目標となる基準電圧Vthと、の誤差を求めてその誤差を増幅した誤差信号(例えば、誤差電圧)Verを出力する回路であり、この出力側に、パルス幅変調器52が接続されている。パルス幅変調器52は、誤差電圧Verを搬送波(例えば、三角波)TWでパルス幅変調し、その誤差電圧Verが減少するような共通のフィードバック信号FBcomを生成する回路である。
【0028】
パルス幅変調器52は、例えば、三角波TWを発生する三角波発振器52aと、誤差電圧Verと三角波TWとを比較してその誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FBcomを生成する比較器52bと、により構成されている。比較器52bの出力側には、3個の駆動回路53−1,53−2,53−3が分岐接続されている。3個の駆動回路53−1,53−2,53−3は、同一の回路構成であり、フィードバック信号FBcomに基づき3つのスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3を生成し、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3内のMOSFET41のゲートへそれぞれ供給する回路であり、トランジスタ等で構成されている。
【0029】
(実施例1の動作)
図2は、図1中のスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3のデューティサイクルであるデューティ比Dを示す波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比D(=信号のオン期間/信号の周期)である。3つのスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3のデューティ比Dは、それぞれ、誤差電圧Verが大きくなると、これに比例して、最低デューティ比Dmin(≧0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなっている。
【0030】
図1の電源装置において、例えば、一定のDC出力電圧Voutを出力するための定電圧制御動作を説明する。
【0031】
先ず、DC入力電圧Vinが入力端子31a,31bに印加されると、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、以下のように動作する。
【0032】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、駆動回路53−1から供給されるスイッチング駆動信号Scom1により、MOSFET41がオン/オフ動作する。MOSFET41がオンすると、DC入力電圧Vinの入力端子31a→チョークコイル43→コンデンサ44→入力端子31b、の経路で電流が流れ、チョークコイル43にエネルギーが蓄えられる。次に、MOSFET41がオフすると、チョークコイル43は、電流を保とうとして起電力を発生させる。この起電力により、チョークコイル43→コンデンサ44→ダイオード42、の経路で電流が流れる。
【0033】
これにより、コンデンサ44の電極から、DC入力電圧Vinが降圧されたDC出力電圧V1が出力される。MOSFET41をオン/オフ動作させるスイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dにより、DC出力電圧V1が所定の電圧に降下される。スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dが大きいと、MOSFET41のオン時間が長くなって出力電圧V1が上がり、デューティ比Dが小さいと、MOSFET41のオン時間が短くなって出力電圧V1が下がる。そのため、デューティ比Dの制御により、所定の出力電圧V1が生成され、この出力電圧V1が2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0034】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、初段のDC/DCコンバータ40−1と同様に、駆動回路53−2から供給されるスイッチング駆動信号Scom2により、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、DC/DCコンバータ40−2から、DC入力電圧V1が降圧された所定のDC出力電圧V2が出力される。スイッチング駆動信号Scom2のデューティ比Dは、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dと同一の値に設定されているので、初段のDC/DCコンバータ40−1と同一の比率で、DC出力電圧V1が降下されてDC出力電圧V2が生成され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0035】
最終段のDC/DCコンバータ40−3は、2段目のDC/DCコンバータ40−2と同様に、駆動回路53−3から供給されるスイッチング駆動信号Scom3により、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、DC/DCコンバータ40−3から、DC入力電圧V2が降圧された所望のDC出力電圧Voutが出力される。スイッチング駆動信号Scom3のデューティ比Dは、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dと同一の値に設定されているので、初段のDC/DCコンバータ40−1と同一の比率で、DC出力電圧V2が降下されて最終段のDC出力電圧Voutが生成され、出力端子32a,32bから出力される。
【0036】
次に、図1中の制御部50の動作を説明する。
【0037】
出力端子32a,32bのDC出力電圧Voutは、電圧計測器54で計測され、そのDC出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOが誤差増幅器51へ与えられる。誤差増幅器51では、計測出力電圧値VOと目標となる基準電圧Vthとの誤差を求め、その誤差を増幅した誤差電圧Verをパルス幅変調器52内の比較器52bへ出力する。比較器52bは、誤差電圧Verと、三角波発振器52aで発生された三角波TWと、を比較し、その誤差電圧Verを三角波TWで変調して、誤差電圧Verが減少するような共通のフィードバック信号FBcomを生成し、3個の駆動回路53−1,53−2,53−3へ与える。
【0038】
初段の駆動回路53−1では、フィードバック信号FBcomを駆動し、図2に示すように、誤差電圧Verに比例したディーティ比Dのスイッチング駆動信号Scom1を生成する。生成されたスイッチング駆動信号Scom1により、初段のDC/DCコンバータ40−1内のMOSFET41が、前記デューティ比Dでオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dが小さいと、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長くなるため、電圧降下が大きい。スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dが大きいと、MOSFET41のオン時間が長く、オフ時間が短くなるため、電圧降下が小さい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0039】
同様に、2段目の駆動回路53−2では、フィードバック信号FBcomを駆動し、図2に示すように、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dと同一のデューティ比Dのスイッチング駆動信号Scom2を生成する。生成されたスイッチング駆動信号Scom2により、2段目のDC/DCコンバータ40−2内のMOSFET41が、前記デューティ比Dでオン/オフ動作する。これにより、2段目のDC/DCコンバータ40−2の降圧動作によって、DC出力電圧V1が所定の電圧に降下され、この降圧されたDC出力電圧V2が最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0040】
最終段の駆動回路53−3は、フィードバック信号FBcomを駆動し、図2に示すように、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2のデューティ比Dと同一のデューティ比Dを有するスイッチング駆動信号Scom3を生成する。生成されたスイッチング駆動信号Scom3により、最終段のDC/DCコンバータ40−3内のMOSFET41が、前記デューティ比Dでオン/オフ動作する。これにより、最終段のDC/DCコンバータ40−3の降圧動作によって、DC出力電圧V2が所定の電圧に降下され、基準電圧Vthと一致するDC出力電圧Voutが生成されて、出力端子32a,32bから出力される。このような定電圧制御により、DC入力電圧Vinの変動や、出力端子32a,32bに接続される図示しない負荷の変化によるDC出力電圧Voutの変動に関わらず、DC出力電圧Voutが基準電圧Vthに保持される。
【0041】
(実施例1の効果)
本実施例1の電源装置によれば、次の(a)、(b)、(c)、(d)のような効果がある。
【0042】
(a) 最終段のDC/DCコンバータ40−3のDC出力電圧Voutから誤差増幅器51で誤差電圧Verを求め、パルス幅変調器52により生成した共通のフィードバック信号FBcomに基づき、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のスイッチング動作を連動するようにしているので、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の特性を任意に調整できる。これにより、DC入力電圧VinやDC出力電圧Voutが大きく変動した場合でも、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧・電力的なストレスのバランスをとることができる。
【0043】
(b) 本実施例1では、特に、各駆動回路53−1,53−2,53−3から出力されるスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3のデューティ比Dを同一にしている。そのため、各DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のDC出力電圧V1,V2,Voutが比例関係を持つことになるので、DC入力電圧VinやDC出力電圧Voutが大きく変動した場合でも、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧・電力的なストレスを、比較的簡単な構成で、容易にバランスさせることができる。しかも、本実施例1の電源装置では、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3が接続され、各DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のデューティ比Dの変化が1/√3になる。そのため、実効電流を低減できて各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧変換の損失を低減でき、この結果、電圧変換効率を向上できる。
【0044】
(c) 従来の図8の電源装置では、複数(例えば、3個)の制御部20−1,20−2,20−3が必要であった。しかし、本実施例1では、複数のスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3を連動させているので、例えば、CPUを有するプロセッサ等で構成された1個の制御部50によるプログラム制御が可能であり、従来のような複数のプログラム制御の競合がないため、安定的な動作が可能である。
【0045】
(d) 部品実装の制約から、DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の構成部品のサイズが異なることがある。このような場合、本実施例1では、電圧ストレスや損失ストレスを調整できるようになるため、部品温度や電圧ディレーティング(遅延)の制限を、同時に成り立たせることが可能になる。
【実施例2】
【0046】
(実施例2の構成)
図3は、本発明のうちの第2発明の実施例2における電源装置を示す概略の回路図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0047】
本実施例2の電源装置では、実施例1と同様の3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3と、実施例1の制御部50とは構成の異なる制御部50Aと、を備えている。
【0048】
電源装置は、スイッチング動作によってDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3が発熱するため、例えば、その発熱を冷却するためのファンが設けられる。ファンに近い場所に、初段のDC/DCコンバータ40−1が設置され、ファンから離れた場所に、2段目のDC/DCコンバータ40−2が設置され、更に、ファンから最も遠い場所に、最終段のDC/DCコンバータ40−3が設置されていると仮定する。ファンに近いDC/DCコンバータ40−1ほど、電力的ストレスに強い。
【0049】
制御部50Aは、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のスイッチング動作を個別制御するための3つのスイッチング駆動信号S11〜S13を生成するものである。この制御部50Aは、実施例1と同様の誤差増幅器51と、実施例1とは異なる3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3と、実施例1と同様の3個の駆動回路53−1,53−2,53−3と、を有し、プログラム制御可能なCPU等を有するプロセッサや、個別回路により構成されている。
【0050】
誤差増幅器51は、実施例1と同様に、電圧計測器54で計測されたDC出力電圧Voutの計測出力電圧値VOと、目標となる基準電圧Vthと、の誤差を求めてその誤差を増幅した共通の誤差電圧Verを出力する回路であり、この出力側に、実施例1とは異なる3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3が分岐接続されている。
【0051】
3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3は、同一の電位又は異なる電位の三角波TW1,TW2,TW3によって、共通の誤差電圧Verをそれぞれパルス幅変調し、その誤差電圧Verの値が減少するような個別のフィードバック信号FB1,FB2,FB3をそれぞれ生成する回路である。個別のフィードバック信号FB1,FB2,FB3は、同一又は異なるデューティ比D1,D2,D3を有している。
【0052】
異なる電位の三角波TW1,TW2,TW2の例として、三角波TW1は、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vである。三角波TW2は、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vである。更に、三角波TW3は、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vである。異なるデューティ比D1,D2,D3の例として、デューティ比D1は、最小デューティ比Dminが0%以上(Dmin≧0%)、最大デューティ比Dmaxが100%以下(Dmax≦100%)である。2つのデューティ比D2,D3は、それぞれ、最小デューティ比Dminが0%よりも大きく(Dmin>0%)、最大デューティ比Dmaxが100%以下(Dmax≦100%)である。
【0053】
パルス幅変調器52−1は、三角波TW1を発生する三角波発振器52a1と、三角波TW1と誤差電圧Verとを比較してフィードバック信号FB1を生成する比較器52b1と、により構成されている。同様に、パルス幅変調器52−2は、三角波TW2を発生する三角波発振器52a2と、三角波TW2と誤差電圧Verとを比較してフィードバック信号FB2を生成する比較器52b2と、により構成されている。更に、パルス幅変調器52−3は、三角波TW3を発生する三角波発振器52a3と、三角波TW3と誤差電圧Verとを比較してフィードバック信号FB3を生成する比較器52b3と、により構成されている。
【0054】
3個の比較器52b1,52b2,52b3の出力側には、実施例1と同様の3個の駆動回路53−1,53−2,53−3がそれぞれ接続されている。3個の駆動回路53−1,53−2,53−3は、同一の回路構成であり、3つのフィードバック信号FB1,FB2,FB3からそれぞれ3つのスイッチング駆動信号S11,S12,S13を生成し、各段のDC/DCコンバータ40−1〜40−3内のMOSFET41のゲートへそれぞれ供給する回路であり、トランジスタ等で構成されている。3つのフィードバック信号FB1,FB2,FB3と、これらから生成された3つのスイッチング駆動信号S11,S12,S13と、はそれぞれ同一のデューティ比D1,D2,D3を有している。
【0055】
(実施例2の動作)
図4は、図3中のスイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比Dを示す波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比Dである。
【0056】
図4において、ファンに近い場所に設置された初段のDC/DCコンバータ40−1をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S11のデューティ比D1は、誤差電圧Verが0Vから0.3Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(≧0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.3Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0057】
ファンから離れた場所に設置された2段目のDC/DCコンバータ40−2をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S12のデューティ比D2は、誤差電圧Verが0Vから0.3Vの間、最小デューティ比Dmin(>0%)に維持され、誤差電圧Verが0.3Vから0.6Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.6Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0058】
更に、ファンに遠い場所に設置された最終段のDC/DCコンバータ40−3をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S13のデューティ比D3は、誤差電圧Verが0Vから0.6Vの間、最小デューティ比Dmin(>0%)に維持され、誤差電圧Verが0.6Vから0.9Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.9Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0059】
例えば、図3の電源装置の制御部50Aにより、一定のDC出力電圧Voutを出力するための定電圧制御動作を説明する。
【0060】
出力端子32a,32bから出力されたDC出力電圧Voutは、電圧計測器54で計測され、その出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOが誤差増幅器51へ与えられる。誤差増幅器51では、計測出力電圧値VOと目標となる基準電圧Vthとの誤差を求め、その誤差を増幅した共通の誤差電圧Verを、3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3へそれぞれ与える。これにより、パルス幅変調器52−1,52−2,52−3が動作する。
【0061】
誤差電圧Verが0Vから0.3Vの間の小さな電圧値の場合(即ち、DC出力電圧Voutの値が目標電圧値付近の場合)、ファンに近い初段のDC/DCコンバータ40−1に対応するパルス幅変調器52−1では、比較器52b1により、0Vから0.3Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vの三角波TW1によってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1が生成される。生成されたフィードバック信号FB1は、駆動回路53−1により、デューティ比D1(Dmin≦D1≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11が生成され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0062】
ファンから離れた2段目のDC/DCコンバータ40−2に対応するパルス幅変調器52−2では、0Vから0.3Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vの三角波TW2と、が比較器52b2に入力される。しかし、比較器52b2の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−2から、デューティ比D2が0%付近(>0%)のスイッチング駆動信号S12が出力され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0063】
同様に、ファンに遠い最終段のDC/DCコンバータ40−3に対応するパルス幅変調器52−3では、0Vから0.3Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vの三角波TW3と、が比較器52b3に入力される。しかし、比較器52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−3から、デューティ比D3が0%付近(>0%)のスイッチング駆動信号S13が出力され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0064】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、デューティ比D1(Dmin≦D1≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号S11のデューティ比D1が小さいと、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長くなるため、電圧降下は小さい。スイッチング駆動信号S11のデューティ比D1が大きいと、MOSFET41のオン時間が長く、オフ時間が短くなるため、電圧降下は大きい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0065】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、0%付近の最小デューティ比Dmin(>0%)のスイッチング駆動信号S12によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。しかし、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長いので、2段目のDC/DCコンバータ40−2の電圧降下は小さい。そのため、2段目のDC/DCコンバータ40−2から、DC出力電圧V1よりも少し電圧が降下したDC出力電圧V2が、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0066】
最終段のDC/DCコンバータ40−3では、0%付近の最小デューティ比Dmin(>0%)のスイッチング駆動信号S13によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。しかし、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長いので、最終段のDC/DCコンバータ40−3の電圧降下は小さい。そのため、最終段のDC/DCコンバータ40−3から、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0067】
誤差増幅器51から出力される誤差電圧Verが0.3Vから0.6Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1では、0.3Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vの三角波TW1と、が比較器52b1に入力される。しかし、比較器52b1の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−1から、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11が出力され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0068】
パルス幅変調器52−2では、比較器52b2により、0.3Vから0.6Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vの三角波TW2によってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB2が生成される。生成されたフィードバック信号FB2は、駆動回路53−2により、デューティ比D2(Dmin<D2≦Dmax)のスイッチング駆動信号S12が生成され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0069】
更に、パルス幅変調器52−3では、0.3Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vの三角波TW3と、が比較器52b3に入力される。しかし、比較器52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−3から、デューティ比D3が0%付近(>0%)のスイッチング駆動信号S13が出力され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0070】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号S11のデューティ比D1が大きいので、MOSFET41のオン時間が長く、電圧降下は大きい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0071】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、デューティ比D2(Dmin<D2≦Dmax)のスイッチング駆動信号S12によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、2段目のDC/DCコンバータ40−2の降圧動作によって、DC入力電圧V1が所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号S12のデューティ比D2が小さいと、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長くなるため、電圧降下は小さい。スイッチング駆動信号S12のデューティ比D2が大きいと、MOSFET41のオン時間が長く、オフ時間が短くなるため、電圧降下は大きい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0072】
最終段のDC/DCコンバータ40−3では、0%付近の最小デューティ比Dmin(>0%)のスイッチング駆動信号S13によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。しかし、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長いので、最終段のDC/DCコンバータ40−3の電圧降下は小さい。そのため、最終段のDC/DCコンバータ40−3から、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0073】
誤差増幅器51から出力される誤差電圧Verが0.6Vから1.0Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1では、0.6Vから1.0Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vの三角波TW1と、が比較器52b1に入力される。しかし、比較器52b1の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−1から、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11が出力され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0074】
パルス幅変調器52−2では、0.6Vから1.0Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vの三角波TW2と、が比較器52b2に入力される。しかし、比較器52b2の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−2から、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S12が出力され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0075】
パルス幅調器52−3では、比較器52b3により、0.6Vから1.0Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vの三角波TW3によってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB3が生成される。生成されたフィードバック信号FB3は、駆動回路53−3により、デューティ比D3(Dmin<D3≦Dmax)のスイッチング駆動信号S13が生成され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0076】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0077】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S12によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、2段目のDC/DCコンバータ40−2の降圧動作によって、DC入力電圧V1が所定の電圧に降下される。降圧されたDC出力電圧V2は、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0078】
最終段のDC/DCコンバータ40−3では、デューティ比D3(Dmin<D3≦Dmax)のスイッチング駆動信号S13によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、最終段のDC/DCコンバータ40−3の降圧動作によって、DC入力電圧V2が所定の電圧に降下される。そのため、最終段のDC/DCコンバータ40−3から、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0079】
このような定電圧制御により、DC入力電圧Vinの変動や、出力端子32a,32bに接続される図示しない負荷の変化によるDC出力電圧Voutの変動に関わらず、DC出力電圧Voutが基準電圧Vthに保持される。
【0080】
(実施例2の変形例)
図5は、図4の傾斜違いの例を示すデューティ比Dの波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比Dである。
各三角波TW1,TW2,TW2における振幅の最小値及び最大値を変えることにより、スイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比D1,D2,D3における立ち上がり傾斜角度を任意に変えることができる。
【0081】
(実施例2の効果)
図3に示すように、ファンに近いDC/DCコンバータ40−1ほど、電力的ストレスに強い。又、スイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比D1,D2,D3が0%に近くなるにつれて各DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3内のMOSFET41の実効電流が増えるため、電力的ストレスが大きくなる。そこで、本実施例2の電源装置では、最終段のDC/DCコンバータ40−3のDC出力電圧Voutから誤差増幅器51で誤差電圧Verを求め、この誤差電圧Verに基づき、複数段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のスイッチング動作を個別制御している。
【0082】
そのため、実施例1と同様に、DC入力電圧VinやDC出力電圧Voutが大きく変動した場合でも、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧・電力的なストレスのバランスをとることができる。しかも、複数のスイッチング駆動信号S11,S12,S13を、例えば、CPUを有するプロセッサ等で構成された1個の制御部50Aにより生成しているので、安定的な動作が可能である。
【0083】
特に、本実施例2によれば、スイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比D1,D2,D3を変化させる領域(即ち、誤差電圧Verの変化範囲)や、そのデューティ比D1,D2,D3の変化傾斜も任意に設定可能である。従って、電圧変換効率特性・損失特性を実際の動作条件、環境条件、及び実装条件等に合わせて最適に調整することができる。
【実施例3】
【0084】
(実施例3の構成)
図6は、本発明のうちの第2発明の実施例3における電源装置を示す概略の回路図であり、実施例2を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0085】
本実施例3の電源装置では、図3に示す実施例2の制御部50Aに代えて、構成の異なる制御部50Bが設けられている。
【0086】
制御部50Bは、実施例2と同様の誤差増幅器51と、実施例2とは異なる3個のパルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bと、実施例2と同様の3個の駆動回路53−1,53−2,53−3と、を有し、プログラム制御可能なCPU等を有するプロセッサや、個別回路により構成されている。
【0087】
各パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bは、電位の異なる三角波TW1B,TW2B,TW3Bをそれぞれ発生する三角波発振器52a1B,52a2B,52a3Bと、実施例2と同様に誤差電圧Verと三角波TW1B,TW2B,TW3Bとをそれぞれ比較してその誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1,FB2,FB3をそれぞれ生成する比較器52b1,52b2,52b3と、により構成されている。
【0088】
三角波発振器52a1Bが発生する三角波TW1Bは、例えば、振幅の最小値が0V及び最大値が0.2Vの波形と、振幅の最小値が0.4V及び最大値が0.6Vの波形と、が切り替わるようになっている。同様に、三角波発振器52a2Bが発生する三角波TW2Bは、振幅の最小値が0V及び最大値が0.2Vの波形と、振幅の最小値が0.6V及び最大値が0.8Vの波形と、が切り替わるようになっている。更に、三角波発振器52a3Bが発生する三角波TW3Bは、振幅の最小値が0V及び最大値が0.2Vの波形と、振幅の最小値が0.8V及び最大値が1.0Vの波形と、が切り替わるようになっている。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0089】
(実施例3の動作)
図7は、図6中のスイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比Dを示す波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比Dである。
【0090】
図7において、ファンに近い場所に設置された初段のDC/DCコンバータ40−1をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S11のデューティ比D1は、誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(≧0%)から中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.2Vから0.4Vの間、中間デューティ比Dimに維持され、誤差電圧Verが0.4Vから0.6Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して中間デューティ比Dimから最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.6Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0091】
同様に、ファンから離れた場所に設置された2段目のDC/DCコンバータ40−2をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S12のデューティ比D2は、誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.2Vから0.6Vの間、中間デューティ比Dimに維持され、誤差電圧Verが0.6Vから0.8Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して中間デューティ比Dimから最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.8Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0092】
更に、ファンに遠い場所に設置された最終段のDC/DCコンバータ40−3をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S13のデューティ比D3は、誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.2Vから0.8Vの間、中間デューティ比Dimに維持され、誤差電圧Verが0.8Vから1.0Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して中間デューティ比Dimから最大デューティ比Dmaxへ向かって大きくなっている。
【0093】
例えば、図6の電源装置の制御部50Bにより、一定のDC出力電圧Voutを出力するための定電圧制御動作を説明する。
【0094】
出力端子32a,32bから出力されたDC出力電圧Voutは、実施例2と同様に、電圧計測器54で計測され、その出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOが誤差増幅器51へ与えられる。誤差増幅器51では、計測出力電圧値VOと目標となる基準電圧Vthとの誤差を求め、その誤差を増幅した共通の誤差電圧Verを、3個のパルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bへそれぞれ与える。これにより、パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bが動作する。
【0095】
誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間の小さな電圧値の場合(即ち、DC出力電圧Voutの値が目標電圧値付近の場合)、ファンに近い初段のDC/DCコンバータ40−1に対応するパルス幅変調器52−1Bでは、比較器52b1により、0Vから0.2Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW1Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1が生成される。生成されたフィードバック信号FB1は、駆動回路53−1により、デューティ比D1(Dmin≦D1≦Dim)のスイッチング駆動信号S11が生成され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0096】
ファンから離れた2段目のDC/DCコンバータ40−2に対応するパルス幅変調器52−2Bでは、比較器52b2により、0Vから0.2Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW2Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB2が生成される。生成されたフィードバック信号FB2は、駆動回路53−2で駆動され、デューティ比D2(Dmin<D2≦Dim)のスイッチング駆動信号S12が生成され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0097】
同様に、ファンに遠い最終段のDC/DCコンバータ40−3に対応するパルス幅変調器52−3Bでは、比較器52b3により、0Vから0.2Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW3Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB3が生成される。生成されたフィードバック信号FB3は、駆動回路53−3で駆動され、デューティ比D3(Dmin<D3≦Dim)のスイッチング駆動信号S13が生成され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0098】
各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3では、等しいデューティ比D1,D2,D3(Dmin≦D1,D2,D3≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11,S12,S13によって、各MOSFET41がそれぞれオン/オフ動作する。これにより、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下され、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0099】
誤差電圧Verが0.2Vから0.4Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bでは、0.2Vから0.4Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW1B,TW2B,TW3Bと、が比較器52−1B,52−2B,52−3Bにそれぞれ入力される。しかし、各比較器52b1,52b2,52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、各駆動回路53−1,53−2,53−3から、中間デューティ比Dim(Dmin≦Dim≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11,S12,S13がそれぞれ出力され、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3へそれぞれ供給される。
【0100】
各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3では、等しいデューティ比Dimのスイッチング駆動信号S11,S12,S13によって、各MOSFET41がそれぞれオン/オフ動作する。これにより、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下され、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0101】
誤差電圧Verが0.4Vから0.6Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bでは、各三角波発振器52a1B,52a2B,52a3Bから発生する三角波TW1B,TW2B,TW3Bの波形が切り替わる。三角波TW1Bでは、振幅の最小値が0.4V、最大値が0.6Vの波形に切り替わり、三角波TW2Bでは、振幅の最小値が0.6V、最大値が0.8Vの波形に切り替わり、更に、三角波TW3Bでは、振幅の最小値が0.8V、最大値が1.0Vの波形に切り替わる。
【0102】
そのため、パルス幅変調器52−1Bでは、比較器52b1により、0.4Vから0.6Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0.4V、最大値が0.6Vの三角波TW1Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1が生成される。生成されたフィードバック信号FB1は、駆動回路53−1により、デューティ比D1(Dim≦D1≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11が生成され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0103】
これに対して、パルス幅変調器52−2Bでは、0.4Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.6V、最大値が0.8Vの三角波TW2Bと、が比較器52b2に入力される。しかし、比較器52b2の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−2から、中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)に等しいデューティ比D2のスイッチング駆動信号S12が出力され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0104】
同様に、パルス幅変調器52−3Bでは、0.4Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.8V、最大値が1.0Vの三角波TW3Bと、が比較器52b3に入力される。しかし、比較器52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−3から、中間デューティ比Dimに等しいデューティ比D3のスイッチング駆動信号S13が出力され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0105】
これにより、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3では、各デューティ比D1,D2,D3のスイッチング駆動信号S11,S12,S13によって、各MOSFET41がそれぞれオン/オフ動作する。これにより、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下され、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0106】
誤差電圧Verが0.6Vから0.8Vの間の電圧値、更に、0.8Vから1.0Vの間の電圧値の場合も、上記と略同様の動作が行われる。
【0107】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、三角波TW1B,TW2B,TW3Bの波形を切り替えるようにしたので、実施例2に比べて、電圧変換効率特性・損失特性を実際の動作条件、環境条件、及び実装条件等に適合させて、より最適に調整することができる。
【0108】
(実施例1、2、3の変形例)
本発明は、上記実施例1、2、3に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)、(c)、(d)のようなものがある。
【0109】
(a) 図1図3図6において、DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、図示以外の複数の段数に変更しても良い。又、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、チョッパ方式の降圧型DC/DCコンバータであるが、これを、チョッパ方式の昇圧型DC/DCコンバータ、変圧器を用いた絶縁型DC/DCコンバータ、LLCコンバータ等の電流共振型DC/DCコンバータ等といった他のコンバータに置き換えても良い。この置き換えにより、上記実施例1、2、3と略同様の作用効果を奏することができる。
【0110】
(b) 比較器52b,52b1,52b2,52b3に入力する三角波TW,TW1,TW2,TW3,TW1B,TW2B,TW3Bは、のこぎり波等の他の搬送波を使用しても良い。
【0111】
(c) 図2図4図5及び図7において、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13のデューティ比D,D1,D2,D3の立ち上がり波形は、誤差電圧Verの大きさに比例して直線状に変化しているが、2次関数、指数関数等の曲線変化であっても良い。
【0112】
(d) 前記(a)において、例えば、DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3を、LLCコンバータ等の電流共振型DC/DCコンバータに置き換えた場合、制御部50,50A,50B内のパルス幅変調器52,52−1,52−2,52−3,52−1B,52−2B,52−3Bは、周波数変調器(例えば、パルス周波数変調器)又は位相変調器等に置き換えることが望ましい。
【0113】
パルス周波数変調器は、入力される誤差信号(例えば、誤差電圧)Verの大小により、出力されるフィードバック信号FBcom,FB1,FB2,FB3の周波数が変化する変調器であり、例えば、誤差電圧Verを周波数変換する電圧/周波数変換回路と、その変換された周波数と搬送波とを比較してフィードバック信号FBcom又はFB1,FB2,FB3を生成する周波数比較器と、により構成される。パルス周波数変調器を使用する場合には、図2図4図5、及び図7の波形図において、縦軸は、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13のデューティ比Dに代えて、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13の周波数に置き換えれば、実施例1、2、3と略同様の作用効果を奏することができる。
【0114】
又、位相変調器は、入力される誤差信号(例えば、誤差電圧)Verの大小により、出力されるフィードバック信号FBcom,FB1,FB2,FB3の位相が変化する変調器であり、例えば、誤差電圧Verを位相変換する電圧/位相変換回路と、その変換された位相と基準波とを比較してフィードバック信号FBcom又はFB1,FB2,FB3を生成する位相比較器と、により構成される。位相変調器を使用する場合には、図2図4図5、及び図7の波形図において、縦軸は、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13のデューティ比Dに代えて、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13の位相に置き換えれば、実施例1、2、3と略同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0115】
40−1,40−2,40−3 DC/DCコンバータ
50,50A,50B 制御部
51 誤差増幅器
52,52−1,52−2,52−3,52−1B,52−2B,52−3B
パルス幅変調器
52a,52a1,52a2,52a3,52a1B,52a2B,52a3B 三角波発振器
52b,52b1,52b2,52b3 比較器
54 電圧計測器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8