(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0019】
(実施例1の構成)
図1は、本発明のうちの第1発明の実施例1における電源装置を示す概略の回路図である。
【0020】
この電源装置は、DC入力電圧Vinが供給される正極側入力端子31a及び負極側入力端子31bと、DC出力電圧Voutを送出する正極側出力端子32a及び負極側出力端子32bと、を有している。入力端子31a,31bと出力端子32a,32bとの間には、複数段(例えば、3段)のコンバータ(例えば、チョッパ方式の降圧型DC/DCコンバータ)40−1,40−2,40−3が接続されている。3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3には、共通の制御部50が接続されている。
【0021】
各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、同一の回路構成であり、制御部50から供給される複数(例えば、3つ)のスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3によるスイッチング動作によって、入力電圧Vinを所望の出力電圧outに変換する回路である。
【0022】
初段のDC/DCコンバータ40−1は、スイッチング駆動信号Scom1によるスイッチング動作によって、入力電圧Vinを降圧してDC出力電圧V1を生成し、この出力電圧V1を2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力する回路である。初段のDC/DCコンバータ40−1は、スイッチング駆動信号Scom1によりオン/オフ動作するスイッチング素子(例えば、MOS型電界効果トランジスタ、これを以下「MOSFET」という。)41、ダイオード42、チョークコイル43、及びコンデンサ44により構成されている。MOSFET41及び逆方向のダイオード42は、入力端子31a及び31b間に、直列に接続されている。ダイオード42のカソード及びアノード間には、チョークコイル43及びコンデンサ44が直列に接続されている。
【0023】
2段目のDC/DCコンバータ40−2は、スイッチング駆動信号Scom2によるスイッチング動作によって、初段のDC/DCコンバータ40−1の出力電圧V1を降圧してDC出力電圧V2を生成し、この出力電圧V2を最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力する回路である。この2段目のDC/DCコンバータ40−2は、初段のDC/DCコンバータ40−1と同様に、スイッチング駆動信号Scom2によりオン/オフ動作するMOSFET41、ダイオード42、チョークコイル43、及びコンデンサ44により構成されている。
【0024】
最終段のDC/DCコンバータ40−3は、スイッチング駆動信号Scom3によるスイッチング動作によって、2段目のDC/DCコンバータ40−2の出力電圧V2を降圧して所望の出力電圧Voutを生成し、この出力電圧Voutを出力端子32a,32bから出力する回路である。この最終段のDC/DCコンバータ40−3は、初段のDC/DCコンバータ40−1と同様に、スイッチング駆動信号Scom3によりオン/オフ動作するMOSFET41、ダイオード42、チョークコイル43、及びコンデンサ44により構成されている。
【0025】
出力端子32aには、電圧計測器54が接続されている。電圧計測器54は、DC出力電圧Voutを計測して、この出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOを制御部50へ出力するものであり、例えば、分圧抵抗回路等により構成されている。
【0026】
制御部50は、誤差増幅器51、変調器(例えば、パルス幅変調器)52、及び複数(例えば、3個)の駆動回路53−1,53−2,53−3を有し、プログラム制御可能な中央処理装置(以下「CPU」という。)等を有するプロセッサや、個別回路により構成されている。
【0027】
誤差増幅器51は、電圧計測器54で計測された計測出力電圧値VOと、目標となる基準電圧Vthと、の誤差を求めてその誤差を増幅した誤差信号(例えば、誤差電圧)Verを出力する回路であり、この出力側に、パルス幅変調器52が接続されている。パルス幅変調器52は、誤差電圧Verを搬送波(例えば、三角波)TWでパルス幅変調し、その誤差電圧Verが減少するような共通のフィードバック信号FBcomを生成する回路である。
【0028】
パルス幅変調器52は、例えば、三角波TWを発生する三角波発振器52aと、誤差電圧Verと三角波TWとを比較してその誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FBcomを生成する比較器52bと、により構成されている。比較器52bの出力側には、3個の駆動回路53−1,53−2,53−3が分岐接続されている。3個の駆動回路53−1,53−2,53−3は、同一の回路構成であり、フィードバック信号FBcomに基づき3つのスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3を生成し、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3内のMOSFET41のゲートへそれぞれ供給する回路であり、トランジスタ等で構成されている。
【0029】
(実施例1の動作)
図2は、
図1中のスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3のデューティサイクルであるデューティ比Dを示す波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比D(=信号のオン期間/信号の周期)である。3つのスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3のデューティ比Dは、それぞれ、誤差電圧Verが大きくなると、これに比例して、最低デューティ比Dmin(≧0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなっている。
【0030】
図1の電源装置において、例えば、一定のDC出力電圧Voutを出力するための定電圧制御動作を説明する。
【0031】
先ず、DC入力電圧Vinが入力端子31a,31bに印加されると、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、以下のように動作する。
【0032】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、駆動回路53−1から供給されるスイッチング駆動信号Scom1により、MOSFET41がオン/オフ動作する。MOSFET41がオンすると、DC入力電圧Vinの入力端子31a→チョークコイル43→コンデンサ44→入力端子31b、の経路で電流が流れ、チョークコイル43にエネルギーが蓄えられる。次に、MOSFET41がオフすると、チョークコイル43は、電流を保とうとして起電力を発生させる。この起電力により、チョークコイル43→コンデンサ44→ダイオード42、の経路で電流が流れる。
【0033】
これにより、コンデンサ44の電極から、DC入力電圧Vinが降圧されたDC出力電圧V1が出力される。MOSFET41をオン/オフ動作させるスイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dにより、DC出力電圧V1が所定の電圧に降下される。スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dが大きいと、MOSFET41のオン時間が長くなって出力電圧V1が上がり、デューティ比Dが小さいと、MOSFET41のオン時間が短くなって出力電圧V1が下がる。そのため、デューティ比Dの制御により、所定の出力電圧V1が生成され、この出力電圧V1が2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0034】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、初段のDC/DCコンバータ40−1と同様に、駆動回路53−2から供給されるスイッチング駆動信号Scom2により、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、DC/DCコンバータ40−2から、DC入力電圧V1が降圧された所定のDC出力電圧V2が出力される。スイッチング駆動信号Scom2のデューティ比Dは、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dと同一の値に設定されているので、初段のDC/DCコンバータ40−1と同一の比率で、DC出力電圧V1が降下されてDC出力電圧V2が生成され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0035】
最終段のDC/DCコンバータ40−3は、2段目のDC/DCコンバータ40−2と同様に、駆動回路53−3から供給されるスイッチング駆動信号Scom3により、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、DC/DCコンバータ40−3から、DC入力電圧V2が降圧された所望のDC出力電圧Voutが出力される。スイッチング駆動信号Scom3のデューティ比Dは、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dと同一の値に設定されているので、初段のDC/DCコンバータ40−1と同一の比率で、DC出力電圧V2が降下されて最終段のDC出力電圧Voutが生成され、出力端子32a,32bから出力される。
【0036】
次に、
図1中の制御部50の動作を説明する。
【0037】
出力端子32a,32bのDC出力電圧Voutは、電圧計測器54で計測され、そのDC出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOが誤差増幅器51へ与えられる。誤差増幅器51では、計測出力電圧値VOと目標となる基準電圧Vthとの誤差を求め、その誤差を増幅した誤差電圧Verをパルス幅変調器52内の比較器52bへ出力する。比較器52bは、誤差電圧Verと、三角波発振器52aで発生された三角波TWと、を比較し、その誤差電圧Verを三角波TWで変調して、誤差電圧Verが減少するような共通のフィードバック信号FBcomを生成し、3個の駆動回路53−1,53−2,53−3へ与える。
【0038】
初段の駆動回路53−1では、フィードバック信号FBcomを駆動し、
図2に示すように、誤差電圧Verに比例したディーティ比Dのスイッチング駆動信号Scom1を生成する。生成されたスイッチング駆動信号Scom1により、初段のDC/DCコンバータ40−1内のMOSFET41が、前記デューティ比Dでオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dが小さいと、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長くなるため、電圧降下が大きい。スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dが大きいと、MOSFET41のオン時間が長く、オフ時間が短くなるため、電圧降下が小さい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0039】
同様に、2段目の駆動回路53−2では、フィードバック信号FBcomを駆動し、
図2に示すように、スイッチング駆動信号Scom1のデューティ比Dと同一のデューティ比Dのスイッチング駆動信号Scom2を生成する。生成されたスイッチング駆動信号Scom2により、2段目のDC/DCコンバータ40−2内のMOSFET41が、前記デューティ比Dでオン/オフ動作する。これにより、2段目のDC/DCコンバータ40−2の降圧動作によって、DC出力電圧V1が所定の電圧に降下され、この降圧されたDC出力電圧V2が最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0040】
最終段の駆動回路53−3は、フィードバック信号FBcomを駆動し、
図2に示すように、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2のデューティ比Dと同一のデューティ比Dを有するスイッチング駆動信号Scom3を生成する。生成されたスイッチング駆動信号Scom3により、最終段のDC/DCコンバータ40−3内のMOSFET41が、前記デューティ比Dでオン/オフ動作する。これにより、最終段のDC/DCコンバータ40−3の降圧動作によって、DC出力電圧V2が所定の電圧に降下され、基準電圧Vthと一致するDC出力電圧Voutが生成されて、出力端子32a,32bから出力される。このような定電圧制御により、DC入力電圧Vinの変動や、出力端子32a,32bに接続される図示しない負荷の変化によるDC出力電圧Voutの変動に関わらず、DC出力電圧Voutが基準電圧Vthに保持される。
【0041】
(実施例1の効果)
本実施例1の電源装置によれば、次の(a)、(b)、(c)、(d)のような効果がある。
【0042】
(a) 最終段のDC/DCコンバータ40−3のDC出力電圧Voutから誤差増幅器51で誤差電圧Verを求め、パルス幅変調器52により生成した共通のフィードバック信号FBcomに基づき、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のスイッチング動作を連動するようにしているので、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の特性を任意に調整できる。これにより、DC入力電圧VinやDC出力電圧Voutが大きく変動した場合でも、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧・電力的なストレスのバランスをとることができる。
【0043】
(b) 本実施例1では、特に、各駆動回路53−1,53−2,53−3から出力されるスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3のデューティ比Dを同一にしている。そのため、各DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のDC出力電圧V1,V2,Voutが比例関係を持つことになるので、DC入力電圧VinやDC出力電圧Voutが大きく変動した場合でも、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧・電力的なストレスを、比較的簡単な構成で、容易にバランスさせることができる。しかも、本実施例1の電源装置では、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3が接続され、各DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のデューティ比Dの変化が1/√3になる。そのため、実効電流を低減できて各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧変換の損失を低減でき、この結果、電圧変換効率を向上できる。
【0044】
(c) 従来の
図8の電源装置では、複数(例えば、3個)の制御部20−1,20−2,20−3が必要であった。しかし、本実施例1では、複数のスイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3を連動させているので、例えば、CPUを有するプロセッサ等で構成された1個の制御部50によるプログラム制御が可能であり、従来のような複数のプログラム制御の競合がないため、安定的な動作が可能である。
【0045】
(d) 部品実装の制約から、DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の構成部品のサイズが異なることがある。このような場合、本実施例1では、電圧ストレスや損失ストレスを調整できるようになるため、部品温度や電圧ディレーティング(遅延)の制限を、同時に成り立たせることが可能になる。
【実施例2】
【0046】
(実施例2の構成)
図3は、本発明のうちの第2発明の実施例2における電源装置を示す概略の回路図であり、実施例1を示す
図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0047】
本実施例2の電源装置では、実施例1と同様の3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3と、実施例1の制御部50とは構成の異なる制御部50Aと、を備えている。
【0048】
電源装置は、スイッチング動作によってDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3が発熱するため、例えば、その発熱を冷却するためのファンが設けられる。ファンに近い場所に、初段のDC/DCコンバータ40−1が設置され、ファンから離れた場所に、2段目のDC/DCコンバータ40−2が設置され、更に、ファンから最も遠い場所に、最終段のDC/DCコンバータ40−3が設置されていると仮定する。ファンに近いDC/DCコンバータ40−1ほど、電力的ストレスに強い。
【0049】
制御部50Aは、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のスイッチング動作を個別制御するための3つのスイッチング駆動信号S11〜S13を生成するものである。この制御部50Aは、実施例1と同様の誤差増幅器51と、実施例1とは異なる3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3と、実施例1と同様の3個の駆動回路53−1,53−2,53−3と、を有し、プログラム制御可能なCPU等を有するプロセッサや、個別回路により構成されている。
【0050】
誤差増幅器51は、実施例1と同様に、電圧計測器54で計測されたDC出力電圧Voutの計測出力電圧値VOと、目標となる基準電圧Vthと、の誤差を求めてその誤差を増幅した共通の誤差電圧Verを出力する回路であり、この出力側に、実施例1とは異なる3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3が分岐接続されている。
【0051】
3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3は、同一の電位又は異なる電位の三角波TW1,TW2,TW3によって、共通の誤差電圧Verをそれぞれパルス幅変調し、その誤差電圧Verの値が減少するような個別のフィードバック信号FB1,FB2,FB3をそれぞれ生成する回路である。個別のフィードバック信号FB1,FB2,FB3は、同一又は異なるデューティ比D1,D2,D3を有している。
【0052】
異なる電位の三角波TW1,TW2,TW2の例として、三角波TW1は、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vである。三角波TW2は、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vである。更に、三角波TW3は、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vである。異なるデューティ比D1,D2,D3の例として、デューティ比D1は、最小デューティ比Dminが0%以上(Dmin≧0%)、最大デューティ比Dmaxが100%以下(Dmax≦100%)である。2つのデューティ比D2,D3は、それぞれ、最小デューティ比Dminが0%よりも大きく(Dmin>0%)、最大デューティ比Dmaxが100%以下(Dmax≦100%)である。
【0053】
パルス幅変調器52−1は、三角波TW1を発生する三角波発振器52a1と、三角波TW1と誤差電圧Verとを比較してフィードバック信号FB1を生成する比較器52b1と、により構成されている。同様に、パルス幅変調器52−2は、三角波TW2を発生する三角波発振器52a2と、三角波TW2と誤差電圧Verとを比較してフィードバック信号FB2を生成する比較器52b2と、により構成されている。更に、パルス幅変調器52−3は、三角波TW3を発生する三角波発振器52a3と、三角波TW3と誤差電圧Verとを比較してフィードバック信号FB3を生成する比較器52b3と、により構成されている。
【0054】
3個の比較器52b1,52b2,52b3の出力側には、実施例1と同様の3個の駆動回路53−1,53−2,53−3がそれぞれ接続されている。3個の駆動回路53−1,53−2,53−3は、同一の回路構成であり、3つのフィードバック信号FB1,FB2,FB3からそれぞれ3つのスイッチング駆動信号S11,S12,S13を生成し、各段のDC/DCコンバータ40−1〜40−3内のMOSFET41のゲートへそれぞれ供給する回路であり、トランジスタ等で構成されている。3つのフィードバック信号FB1,FB2,FB3と、これらから生成された3つのスイッチング駆動信号S11,S12,S13と、はそれぞれ同一のデューティ比D1,D2,D3を有している。
【0055】
(実施例2の動作)
図4は、
図3中のスイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比Dを示す波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比Dである。
【0056】
図4において、ファンに近い場所に設置された初段のDC/DCコンバータ40−1をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S11のデューティ比D1は、誤差電圧Verが0Vから0.3Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(≧0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.3Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0057】
ファンから離れた場所に設置された2段目のDC/DCコンバータ40−2をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S12のデューティ比D2は、誤差電圧Verが0Vから0.3Vの間、最小デューティ比Dmin(>0%)に維持され、誤差電圧Verが0.3Vから0.6Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.6Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0058】
更に、ファンに遠い場所に設置された最終段のDC/DCコンバータ40−3をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S13のデューティ比D3は、誤差電圧Verが0Vから0.6Vの間、最小デューティ比Dmin(>0%)に維持され、誤差電圧Verが0.6Vから0.9Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.9Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0059】
例えば、
図3の電源装置の制御部50Aにより、一定のDC出力電圧Voutを出力するための定電圧制御動作を説明する。
【0060】
出力端子32a,32bから出力されたDC出力電圧Voutは、電圧計測器54で計測され、その出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOが誤差増幅器51へ与えられる。誤差増幅器51では、計測出力電圧値VOと目標となる基準電圧Vthとの誤差を求め、その誤差を増幅した共通の誤差電圧Verを、3個のパルス幅変調器52−1,52−2,52−3へそれぞれ与える。これにより、パルス幅変調器52−1,52−2,52−3が動作する。
【0061】
誤差電圧Verが0Vから0.3Vの間の小さな電圧値の場合(即ち、DC出力電圧Voutの値が目標電圧値付近の場合)、ファンに近い初段のDC/DCコンバータ40−1に対応するパルス幅変調器52−1では、比較器52b1により、0Vから0.3Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vの三角波TW1によってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1が生成される。生成されたフィードバック信号FB1は、駆動回路53−1により、デューティ比D1(Dmin≦D1≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11が生成され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0062】
ファンから離れた2段目のDC/DCコンバータ40−2に対応するパルス幅変調器52−2では、0Vから0.3Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vの三角波TW2と、が比較器52b2に入力される。しかし、比較器52b2の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−2から、デューティ比D2が0%付近(>0%)のスイッチング駆動信号S12が出力され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0063】
同様に、ファンに遠い最終段のDC/DCコンバータ40−3に対応するパルス幅変調器52−3では、0Vから0.3Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vの三角波TW3と、が比較器52b3に入力される。しかし、比較器52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−3から、デューティ比D3が0%付近(>0%)のスイッチング駆動信号S13が出力され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0064】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、デューティ比D1(Dmin≦D1≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号S11のデューティ比D1が小さいと、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長くなるため、電圧降下は小さい。スイッチング駆動信号S11のデューティ比D1が大きいと、MOSFET41のオン時間が長く、オフ時間が短くなるため、電圧降下は大きい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0065】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、0%付近の最小デューティ比Dmin(>0%)のスイッチング駆動信号S12によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。しかし、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長いので、2段目のDC/DCコンバータ40−2の電圧降下は小さい。そのため、2段目のDC/DCコンバータ40−2から、DC出力電圧V1よりも少し電圧が降下したDC出力電圧V2が、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0066】
最終段のDC/DCコンバータ40−3では、0%付近の最小デューティ比Dmin(>0%)のスイッチング駆動信号S13によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。しかし、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長いので、最終段のDC/DCコンバータ40−3の電圧降下は小さい。そのため、最終段のDC/DCコンバータ40−3から、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0067】
誤差増幅器51から出力される誤差電圧Verが0.3Vから0.6Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1では、0.3Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vの三角波TW1と、が比較器52b1に入力される。しかし、比較器52b1の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−1から、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11が出力され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0068】
パルス幅変調器52−2では、比較器52b2により、0.3Vから0.6Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vの三角波TW2によってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB2が生成される。生成されたフィードバック信号FB2は、駆動回路53−2により、デューティ比D2(Dmin<D2≦Dmax)のスイッチング駆動信号S12が生成され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0069】
更に、パルス幅変調器52−3では、0.3Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vの三角波TW3と、が比較器52b3に入力される。しかし、比較器52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−3から、デューティ比D3が0%付近(>0%)のスイッチング駆動信号S13が出力され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0070】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号S11のデューティ比D1が大きいので、MOSFET41のオン時間が長く、電圧降下は大きい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0071】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、デューティ比D2(Dmin<D2≦Dmax)のスイッチング駆動信号S12によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、2段目のDC/DCコンバータ40−2の降圧動作によって、DC入力電圧V1が所定の電圧に降下される。例えば、スイッチング駆動信号S12のデューティ比D2が小さいと、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長くなるため、電圧降下は小さい。スイッチング駆動信号S12のデューティ比D2が大きいと、MOSFET41のオン時間が長く、オフ時間が短くなるため、電圧降下は大きい。このようにして降圧されたDC出力電圧V2は、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0072】
最終段のDC/DCコンバータ40−3では、0%付近の最小デューティ比Dmin(>0%)のスイッチング駆動信号S13によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。しかし、MOSFET41のオン時間が短く、オフ時間が長いので、最終段のDC/DCコンバータ40−3の電圧降下は小さい。そのため、最終段のDC/DCコンバータ40−3から、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0073】
誤差増幅器51から出力される誤差電圧Verが0.6Vから1.0Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1では、0.6Vから1.0Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0V、最大値が0.3Vの三角波TW1と、が比較器52b1に入力される。しかし、比較器52b1の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−1から、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11が出力され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0074】
パルス幅変調器52−2では、0.6Vから1.0Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.3V、最大値が0.6Vの三角波TW2と、が比較器52b2に入力される。しかし、比較器52b2の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−2から、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S12が出力され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0075】
パルス幅調器52−3では、比較器52b3により、0.6Vから1.0Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0.6V、最大値が1.0Vの三角波TW3によってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB3が生成される。生成されたフィードバック信号FB3は、駆動回路53−3により、デューティ比D3(Dmin<D3≦Dmax)のスイッチング駆動信号S13が生成され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0076】
初段のDC/DCコンバータ40−1では、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S11によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、初段のDC/DCコンバータ40−1の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下される。降圧されたDC出力電圧V2は、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ出力される。
【0077】
2段目のDC/DCコンバータ40−2では、100%付近の最大デューティ比Dmax(≦100%)のスイッチング駆動信号S12によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、2段目のDC/DCコンバータ40−2の降圧動作によって、DC入力電圧V1が所定の電圧に降下される。降圧されたDC出力電圧V2は、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ出力される。
【0078】
最終段のDC/DCコンバータ40−3では、デューティ比D3(Dmin<D3≦Dmax)のスイッチング駆動信号S13によって、MOSFET41がオン/オフ動作する。これにより、最終段のDC/DCコンバータ40−3の降圧動作によって、DC入力電圧V2が所定の電圧に降下される。そのため、最終段のDC/DCコンバータ40−3から、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0079】
このような定電圧制御により、DC入力電圧Vinの変動や、出力端子32a,32bに接続される図示しない負荷の変化によるDC出力電圧Voutの変動に関わらず、DC出力電圧Voutが基準電圧Vthに保持される。
【0080】
(実施例2の変形例)
図5は、
図4の傾斜違いの例を示すデューティ比Dの波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比Dである。
各三角波TW1,TW2,TW2における振幅の最小値及び最大値を変えることにより、スイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比D1,D2,D3における立ち上がり傾斜角度を任意に変えることができる。
【0081】
(実施例2の効果)
図3に示すように、ファンに近いDC/DCコンバータ40−1ほど、電力的ストレスに強い。又、スイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比D1,D2,D3が0%に近くなるにつれて各DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3内のMOSFET41の実効電流が増えるため、電力的ストレスが大きくなる。そこで、本実施例2の電源装置では、最終段のDC/DCコンバータ40−3のDC出力電圧Voutから誤差増幅器51で誤差電圧Verを求め、この誤差電圧Verに基づき、複数段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3のスイッチング動作を個別制御している。
【0082】
そのため、実施例1と同様に、DC入力電圧VinやDC出力電圧Voutが大きく変動した場合でも、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の電圧・電力的なストレスのバランスをとることができる。しかも、複数のスイッチング駆動信号S11,S12,S13を、例えば、CPUを有するプロセッサ等で構成された1個の制御部50Aにより生成しているので、安定的な動作が可能である。
【0083】
特に、本実施例2によれば、スイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比D1,D2,D3を変化させる領域(即ち、誤差電圧Verの変化範囲)や、そのデューティ比D1,D2,D3の変化傾斜も任意に設定可能である。従って、電圧変換効率特性・損失特性を実際の動作条件、環境条件、及び実装条件等に合わせて最適に調整することができる。
【実施例3】
【0084】
(実施例3の構成)
図6は、本発明のうちの第2発明の実施例3における電源装置を示す概略の回路図であり、実施例2を示す
図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0085】
本実施例3の電源装置では、
図3に示す実施例2の制御部50Aに代えて、構成の異なる制御部50Bが設けられている。
【0086】
制御部50Bは、実施例2と同様の誤差増幅器51と、実施例2とは異なる3個のパルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bと、実施例2と同様の3個の駆動回路53−1,53−2,53−3と、を有し、プログラム制御可能なCPU等を有するプロセッサや、個別回路により構成されている。
【0087】
各パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bは、電位の異なる三角波TW1B,TW2B,TW3Bをそれぞれ発生する三角波発振器52a1B,52a2B,52a3Bと、実施例2と同様に誤差電圧Verと三角波TW1B,TW2B,TW3Bとをそれぞれ比較してその誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1,FB2,FB3をそれぞれ生成する比較器52b1,52b2,52b3と、により構成されている。
【0088】
三角波発振器52a1Bが発生する三角波TW1Bは、例えば、振幅の最小値が0V及び最大値が0.2Vの波形と、振幅の最小値が0.4V及び最大値が0.6Vの波形と、が切り替わるようになっている。同様に、三角波発振器52a2Bが発生する三角波TW2Bは、振幅の最小値が0V及び最大値が0.2Vの波形と、振幅の最小値が0.6V及び最大値が0.8Vの波形と、が切り替わるようになっている。更に、三角波発振器52a3Bが発生する三角波TW3Bは、振幅の最小値が0V及び最大値が0.2Vの波形と、振幅の最小値が0.8V及び最大値が1.0Vの波形と、が切り替わるようになっている。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0089】
(実施例3の動作)
図7は、
図6中のスイッチング駆動信号S11,S12,S13のデューティ比Dを示す波形図であり、横軸は誤差電圧Ver(V)、縦軸はデューティ比Dである。
【0090】
図7において、ファンに近い場所に設置された初段のDC/DCコンバータ40−1をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S11のデューティ比D1は、誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(≧0%)から中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.2Vから0.4Vの間、中間デューティ比Dimに維持され、誤差電圧Verが0.4Vから0.6Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して中間デューティ比Dimから最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.6Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0091】
同様に、ファンから離れた場所に設置された2段目のDC/DCコンバータ40−2をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S12のデューティ比D2は、誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.2Vから0.6Vの間、中間デューティ比Dimに維持され、誤差電圧Verが0.6Vから0.8Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して中間デューティ比Dimから最大デューティ比Dmax(≦100%)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.8Vから1.0Vの間、最大デューティ比Dmaxに維持される。
【0092】
更に、ファンに遠い場所に設置された最終段のDC/DCコンバータ40−3をスイッチングするためのスイッチング駆動信号S13のデューティ比D3は、誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して最小デューティ比Dmin(>0%)から中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)へ向かって大きくなり、誤差電圧Verが0.2Vから0.8Vの間、中間デューティ比Dimに維持され、誤差電圧Verが0.8Vから1.0Vの間、誤差電圧Verの大きさに比例して中間デューティ比Dimから最大デューティ比Dmaxへ向かって大きくなっている。
【0093】
例えば、
図6の電源装置の制御部50Bにより、一定のDC出力電圧Voutを出力するための定電圧制御動作を説明する。
【0094】
出力端子32a,32bから出力されたDC出力電圧Voutは、実施例2と同様に、電圧計測器54で計測され、その出力電圧Voutよりも低い計測出力電圧値VOが誤差増幅器51へ与えられる。誤差増幅器51では、計測出力電圧値VOと目標となる基準電圧Vthとの誤差を求め、その誤差を増幅した共通の誤差電圧Verを、3個のパルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bへそれぞれ与える。これにより、パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bが動作する。
【0095】
誤差電圧Verが0Vから0.2Vの間の小さな電圧値の場合(即ち、DC出力電圧Voutの値が目標電圧値付近の場合)、ファンに近い初段のDC/DCコンバータ40−1に対応するパルス幅変調器52−1Bでは、比較器52b1により、0Vから0.2Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW1Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1が生成される。生成されたフィードバック信号FB1は、駆動回路53−1により、デューティ比D1(Dmin≦D1≦Dim)のスイッチング駆動信号S11が生成され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0096】
ファンから離れた2段目のDC/DCコンバータ40−2に対応するパルス幅変調器52−2Bでは、比較器52b2により、0Vから0.2Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW2Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB2が生成される。生成されたフィードバック信号FB2は、駆動回路53−2で駆動され、デューティ比D2(Dmin<D2≦Dim)のスイッチング駆動信号S12が生成され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0097】
同様に、ファンに遠い最終段のDC/DCコンバータ40−3に対応するパルス幅変調器52−3Bでは、比較器52b3により、0Vから0.2Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW3Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB3が生成される。生成されたフィードバック信号FB3は、駆動回路53−3で駆動され、デューティ比D3(Dmin<D3≦Dim)のスイッチング駆動信号S13が生成され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0098】
各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3では、等しいデューティ比D1,D2,D3(Dmin≦D1,D2,D3≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11,S12,S13によって、各MOSFET41がそれぞれオン/オフ動作する。これにより、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下され、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0099】
誤差電圧Verが0.2Vから0.4Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bでは、0.2Vから0.4Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0V、最大値が0.2Vの三角波TW1B,TW2B,TW3Bと、が比較器52−1B,52−2B,52−3Bにそれぞれ入力される。しかし、各比較器52b1,52b2,52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、各駆動回路53−1,53−2,53−3から、中間デューティ比Dim(Dmin≦Dim≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11,S12,S13がそれぞれ出力され、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3へそれぞれ供給される。
【0100】
各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3では、等しいデューティ比Dimのスイッチング駆動信号S11,S12,S13によって、各MOSFET41がそれぞれオン/オフ動作する。これにより、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下され、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0101】
誤差電圧Verが0.4Vから0.6Vの間の電圧値の場合、パルス幅変調器52−1B,52−2B,52−3Bでは、各三角波発振器52a1B,52a2B,52a3Bから発生する三角波TW1B,TW2B,TW3Bの波形が切り替わる。三角波TW1Bでは、振幅の最小値が0.4V、最大値が0.6Vの波形に切り替わり、三角波TW2Bでは、振幅の最小値が0.6V、最大値が0.8Vの波形に切り替わり、更に、三角波TW3Bでは、振幅の最小値が0.8V、最大値が1.0Vの波形に切り替わる。
【0102】
そのため、パルス幅変調器52−1Bでは、比較器52b1により、0.4Vから0.6Vの間の誤差電圧Verが、振幅の最小値が0.4V、最大値が0.6Vの三角波TW1Bによってパルス幅変調され、その誤差電圧Verが減少するようなフィードバック信号FB1が生成される。生成されたフィードバック信号FB1は、駆動回路53−1により、デューティ比D1(Dim≦D1≦Dmax)のスイッチング駆動信号S11が生成され、初段のDC/DCコンバータ40−1へ供給される。
【0103】
これに対して、パルス幅変調器52−2Bでは、0.4Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.6V、最大値が0.8Vの三角波TW2Bと、が比較器52b2に入力される。しかし、比較器52b2の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−2から、中間デューティ比Dim(Dmin<Dim<Dmax)に等しいデューティ比D2のスイッチング駆動信号S12が出力され、2段目のDC/DCコンバータ40−2へ供給される。
【0104】
同様に、パルス幅変調器52−3Bでは、0.4Vから0.6Vの間の誤差電圧Verと、振幅の最小値が0.8V、最大値が1.0Vの三角波TW3Bと、が比較器52b3に入力される。しかし、比較器52b3の2つの入力電圧値が異なるので、比較動作が行われない。そのため、駆動回路53−3から、中間デューティ比Dimに等しいデューティ比D3のスイッチング駆動信号S13が出力され、最終段のDC/DCコンバータ40−3へ供給される。
【0105】
これにより、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3では、各デューティ比D1,D2,D3のスイッチング駆動信号S11,S12,S13によって、各MOSFET41がそれぞれオン/オフ動作する。これにより、3段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3の降圧動作によって、DC入力電圧Vinが所定の電圧に降下され、目標となる基準電圧Vthに一致したDC出力電圧Voutが出力端子32a,32bから出力される。
【0106】
誤差電圧Verが0.6Vから0.8Vの間の電圧値、更に、0.8Vから1.0Vの間の電圧値の場合も、上記と略同様の動作が行われる。
【0107】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、三角波TW1B,TW2B,TW3Bの波形を切り替えるようにしたので、実施例2に比べて、電圧変換効率特性・損失特性を実際の動作条件、環境条件、及び実装条件等に適合させて、より最適に調整することができる。
【0108】
(実施例1、2、3の変形例)
本発明は、上記実施例1、2、3に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)、(c)、(d)のようなものがある。
【0109】
(a)
図1、
図3、
図6において、DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、図示以外の複数の段数に変更しても良い。又、各段のDC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3は、チョッパ方式の降圧型DC/DCコンバータであるが、これを、チョッパ方式の昇圧型DC/DCコンバータ、変圧器を用いた絶縁型DC/DCコンバータ、LLCコンバータ等の電流共振型DC/DCコンバータ等といった他のコンバータに置き換えても良い。この置き換えにより、上記実施例1、2、3と略同様の作用効果を奏することができる。
【0110】
(b) 比較器52b,52b1,52b2,52b3に入力する三角波TW,TW1,TW2,TW3,TW1B,TW2B,TW3Bは、のこぎり波等の他の搬送波を使用しても良い。
【0111】
(c)
図2、
図4、
図5及び
図7において、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13のデューティ比D,D1,D2,D3の立ち上がり波形は、誤差電圧Verの大きさに比例して直線状に変化しているが、2次関数、指数関数等の曲線変化であっても良い。
【0112】
(d) 前記(a)において、例えば、DC/DCコンバータ40−1,40−2,40−3を、LLCコンバータ等の電流共振型DC/DCコンバータに置き換えた場合、制御部50,50A,50B内のパルス幅変調器52,52−1,52−2,52−3,52−1B,52−2B,52−3Bは、周波数変調器(例えば、パルス周波数変調器)又は位相変調器等に置き換えることが望ましい。
【0113】
パルス周波数変調器は、入力される誤差信号(例えば、誤差電圧)Verの大小により、出力されるフィードバック信号FBcom,FB1,FB2,FB3の周波数が変化する変調器であり、例えば、誤差電圧Verを周波数変換する電圧/周波数変換回路と、その変換された周波数と搬送波とを比較してフィードバック信号FBcom又はFB1,FB2,FB3を生成する周波数比較器と、により構成される。パルス周波数変調器を使用する場合には、
図2、
図4、
図5、及び
図7の波形図において、縦軸は、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13のデューティ比Dに代えて、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13の周波数に置き換えれば、実施例1、2、3と略同様の作用効果を奏することができる。
【0114】
又、位相変調器は、入力される誤差信号(例えば、誤差電圧)Verの大小により、出力されるフィードバック信号FBcom,FB1,FB2,FB3の位相が変化する変調器であり、例えば、誤差電圧Verを位相変換する電圧/位相変換回路と、その変換された位相と基準波とを比較してフィードバック信号FBcom又はFB1,FB2,FB3を生成する位相比較器と、により構成される。位相変調器を使用する場合には、
図2、
図4、
図5、及び
図7の波形図において、縦軸は、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13のデューティ比Dに代えて、スイッチング駆動信号Scom1,Scom2,Scom3,S11,S12,S13の位相に置き換えれば、実施例1、2、3と略同様の作用効果を奏することができる。