(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品5が組み込まれた電子部品モジュール1の平面図である。
図1では、内部構造の明瞭化のためパッケージ本体2の中央部を透過して示している。
【0012】
図1を参照して、電子部品モジュール1のパッケージタイプは、この形態では、SOP(Small Outline Package)である。電子部品モジュール1のパッケージタイプとしては、SOPに限らず、これに類する種々の形態が採用され得る。電子部品モジュール1のパッケージタイプは、たとえば、QFN(Quad For Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、または、SOJ(Small Outline J-leaded Package)であってもよい。
【0013】
電子部品モジュール1は、この形態では、複数のチップを含む複合型モジュールである。電子部品モジュール1は、パッケージ本体2、複数のダイパッド3、複数のリード端子4、電子部品5、コントローラICチップ6およびドライバICチップ7を含む。
【0014】
パッケージ本体2は、封止樹脂を含む。封止樹脂は、エポキシ樹脂を含んでいてもよい。パッケージ本体2は、直方体形状に形成されている。パッケージ本体2は、一方側の第1面8、他方側の第2面9、ならびに、第1面8および第2面9を接続する側面10A,10B,10C,10Dを有している。
【0015】
側面10Aおよび側面10Bは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに互いに対向している。側面10Cおよび側面10Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに互いに対向している。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交している。
【0016】
複数のダイパッド3は、パッケージ本体2内に封止されている。複数のダイパッド3は、この形態では、直方体形状にそれぞれ形成されている。複数のダイパッド3は、この形態では、第1方向Xに沿って間隔を空けて配置された第1ダイパッド3Aおよび第2ダイパッド3Bを含む。第1ダイパッド3Aは、パッケージ本体2の側面10A側に配置されている。第2ダイパッド3Bは、パッケージ本体2の側面10B側に配置されている。
【0017】
複数のリード端子4は、パッケージ本体2の側面10A側および側面10B側にそれぞれ設けられている。各リード端子4は、パッケージ本体2内に位置する一端部、および、パッケージ本体2外に位置する他端部を有している。各リード端子4の他端部は、実装基板等の接続対象に接続される外部接続部として形成されている。
【0018】
電子部品5は、入力された電気信号を昇圧させて出力するトランスチップ
(すなわち絶縁通信部品)である。電子部品5は、この形態では、平面視において長方形状に形成されている。電子部品5は、パッケージ本体2の中央部に配置されている。
【0019】
電子部品5は、より具体的には、長辺が側面10Aに対向する姿勢で第1ダイパッド3Aの上に配置されている。電子部品5は、第1ダイパッド3Aの上において側面10B側の領域に配置されている。電子部品5の配置は任意であり、
図1に示される配置に制限されない。
【0020】
電子部品5は、複数の低電圧パッド11および複数の高電圧パッド12を有している。複数の低電圧パッド11は、電子部品5において側面10A側の長辺に沿って間隔を空けて配列されている。複数の高電圧パッド12は、電子部品5において側面10B側の長辺に沿って間隔を空けて配列されている。
【0021】
コントローラICチップ6は、電子部品5を駆動制御するためのデバイス
(第1デバイス)である。コントローラICチップ6は、電子部品5に対しては低電圧デバイスである。コントローラICチップ6は、この形態では、平面視において長方形状に形成されている。コントローラICチップ6は、電子部品5に対して側面10A側の領域に配置されている。
【0022】
コントローラICチップ6は、より具体的には、長辺が側面10Aに対向する姿勢で、電子部品5から間隔を空けて第1ダイパッド3Aの上に配置されている。コントローラICチップ6は、第1ダイパッド3Aの上において側面10A側の領域に配置されている。コントローラICチップ6の配置は任意であり、
図1に示される配置に制限されない。
【0023】
コントローラICチップ6は、複数の第1入力パッド13および複数の第1出力パッド14を有している。複数の第1入力パッド13は、コントローラICチップ6において側面10A側の長辺に沿って間隔を空けて配列されている。複数の第1出力パッド14は、コントローラICチップ6において側面10B側の長辺に沿って間隔を空けて配列されている。複数の第1入力パッド13および複数の第1出力パッド14の配置は任意であり、
図1に示される配置に制限されない。
【0024】
ドライバICチップ7は、電子部品5からの電気信号に応じた電気信号を生成し、負荷(たとえばスイッチングデバイス等)を駆動制御するためのデバイス
(第2デバイス)である。ドライバICチップ7は、電子部品5に対しては高電圧デバイスである。ドライバICチップ7は、この形態では、平面視において長方形状に形成されている。ドライバICチップ7は、電子部品5に対して側面10B側の領域に配置されている。
【0025】
ドライバICチップ7は、より具体的には、長辺が側面10Bに対向する姿勢で第2ダイパッド3Bの上に配置されている。ドライバICチップ7の配置は任意であり、
図1に示される配置に制限されない。
【0026】
ドライバICチップ7は、複数の第2入力パッド15および複数の第2出力パッド16を有している。複数の第2入力パッド15は、ドライバICチップ7において側面10A側の長辺に沿って間隔を空けて配列されている。複数の第2出力パッド16は、ドライバICチップ7において側面10B側の長辺に沿って間隔を空けて配列されている。複数の第2入力パッド15および複数の第2出力パッド16の配置は任意であり、
図1に示される配置に制限されない。
【0027】
コントローラICチップ6の複数の第1入力パッド13は、第1導線17を介して、側面10A側に配列された任意のリード端子4の一端部に電気的に接続されている。コントローラICチップ6の複数の第1出力パッド14は、第2導線18を介して、電子部品5の任意の低電圧パッド11に電気的に接続されている。つまり、コントローラICチップ6は、電子部品5の一次側(入力側)に接続されている。
【0028】
電子部品5の高電圧パッド12は、第3導線19を介して、ドライバICチップ7の任意の第2入力パッド15に電気的に接続されている。つまり、ドライバICチップ7は、電子部品5の二次側(出力側)に接続されている。ドライバICチップ7の複数の第2出力パッド16は、第4導線20を介して、側面10B側に配列された任意のリード端子4の一端部に電気的に接続されている。第1導線17、第2導線18、第3導線19および第4導線20は、ボンディングワイヤであってもよい。
【0029】
図2は、
図1に示す電子部品モジュール1の動作を説明するための概略構成図である。
図3は、
図1に示す電子部品モジュール1の動作を説明するための電圧波形図である。
【0030】
図2を参照して、電子部品5は、変圧器21を含む。変圧器21は、上下方向に互いに対向する一次側の低電圧コイル22(低電圧導体パターン)および二次側の高電圧コイル23(高電圧導体パターン)を含む。高電圧コイル23は、低電圧コイル22に対して上側に配置され、低電圧コイル22に対向している。
【0031】
高電圧コイル23は、磁気結合によって低電圧コイル22に交流接続されると同時に、低電圧コイル22から直流絶縁されている。つまり、ドライバICチップ7は、電子部品5を介してコントローラICチップ6に交流接続されると同時に、コントローラICチップ6から直流絶縁されている。
【0032】
低電圧コイル22は、第1内側末端24、第1外側末端25、ならびに、第1内側末端24および第1外側末端25の間を螺旋状に引き回された第1螺旋部26を含む。高電圧コイル23は、第2内側末端27、第2外側末端28、ならびに、第2内側末端27および第2外側末端28の間を螺旋状に引き回された第2螺旋部29を含む。
【0033】
低電圧コイル22の第1内側末端24および任意の低電圧パッド11の間には、第1低電圧配線31が接続されている。低電圧コイル22の第1外側末端25および任意の低電圧パッド11には、第2低電圧配線32が接続されている。
【0034】
高電圧コイル23の第2内側末端27および任意の高電圧パッド12の間には、第1高電圧配線33が接続されている。高電圧コイル23の第2外側末端28および任意の高電圧パッド12には、第2高電圧配線34が接続されている。
【0035】
コントローラICチップ6は、第1配線35および第2配線36を含む。第1配線35および第2配線36は、任意の第1入力パッド13および任意の第1出力パッド14にそれぞれ接続されている。コントローラICチップ6は、さらに、第1スイッチングデバイスSw1および第2スイッチングデバイスSw2を含む。
【0036】
第1スイッチングデバイスSw1は、第1配線35に介装されている。第1スイッチングデバイスSw1は、第1配線35に伝達される電気信号の導通および遮断を制御する。第1スイッチングデバイスSw1は、トランジスタであってもよい。
【0037】
第2スイッチングデバイスSw2は、第2配線36に介装されている。第2スイッチングデバイスSw2は、第2配線36に伝達される電気信号の導通および遮断を制御する。第2スイッチングデバイスSw2は、トランジスタであってもよい。
【0038】
第1配線35に接続された第1入力パッド13は、第1導線17を介してグランドに電気的に接続されている。第1配線35に接続された第1出力パッド14は、第2導線18を介して第1内側末端24側の低電圧パッド11に電気的に接続されている。
【0039】
第2配線36に接続された第1入力パッド13は、第1導線17を介して電源37に電気的に接続されている。電源37は、たとえば5Vの電圧をコントローラICチップ6に印加する。第2配線36に接続された第1出力パッド14は、第2導線18を介して第1外側末端25側の低電圧パッド11に電気的に接続されている。
【0040】
第2内側末端27側の高電圧パッド12は、第3導線19を介してドライバICチップ7の任意の第2入力パッド15に電気的に接続されている。第2外側末端28側の高電圧パッド12は、第3導線19を介してドライバICチップ7の任意の第2入力パッド15に電気的に接続されている。
【0041】
ドライバICチップ7には、基準電圧電源38および電源39が接続されている。基準電圧電源38は、たとえば1200Vの基準電圧をドライバICチップ7に印加する。この基準電圧は、高電圧コイル23にも印加されている。電源39は、たとえば15Vの電圧をドライバICチップ7に印加する。
【0042】
また、ドライバICチップ7には、負荷の一例としてSiC−MISFET(Metal Insulator Semiconductor field Effect Transistor)が接続される。ドライバICチップ7は、1200Vを基準電圧としてSiC−MISFETを駆動制御する。
【0043】
図3を参照して、コントローラICチップ6は、所定のスイッチングパターンで第1スイッチングデバイスSw1および第2スイッチングデバイスSw2をオン・オフ制御し、周期的なパルス信号PSを生成する。
【0044】
所定のスイッチングパターンは、この例では、第1印加状態(Sw1:オン、Sw2:オフ)および第2印加状態(Sw1:オフ、Sw2:オン)を含む。
図3では、0V(グランド電位)を基準とした5Vのパルス信号PSが生成された例が示されている。
【0045】
コントローラICチップ6によって生成されたパルス信号PSは、電子部品5に入力される。電子部品5は、低電圧コイル22から高電圧コイル23にパルス信号PSを伝達させる。これにより、パルス信号PSは、低電圧コイル22および高電圧コイル23の巻線比(変圧比)に応じた分だけ昇圧される。
図3では、パルス信号PSが15Vまで昇圧された例が示されている。
【0046】
昇圧後のパルス信号PSは、ドライバICチップ7に入力される。ドライバICチップ7は、昇圧後のパルス信号PSに応じた電気信号を生成し、SiC−MISFETを駆動制御する。
図2および
図3に示された数値は、いずれも一例に過ぎない。たとえば、二次側(高電圧側)の基準電圧は、500V以上2000V以下であってもよい。
【0047】
図4は、
図1に示す電子部品5を示す斜視図である。
図5は、
図4に示す電子部品5の平面図である。
図6は、
図4に示す電子部品5において低電圧コイル22が形成された層を示す平面図である。
図7は、
図4に示す電子部品5において高電圧コイル23が形成された層を示す平面図である。
【0048】
図8は、
図7に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9は、
図7に示すIX-IX線に沿う断面図である。
図10は、
図7に示す領域Xの拡大図である。
図11は、
図7に示す領域XIの拡大図である。
図12は、
図7に示す領域XIIの拡大図である。
【0049】
図4〜
図9を参照して、電子部品5は、直方体形状の基板41を含む。基板41は、この形態では、半導体基板からなる。半導体基板を形成する半導体材料としては、Si(シリコン)、ワイドバンドギャップ半導体、化合物半導体等を例示できる。
【0050】
ワイドバンドギャップ半導体は、2.0eV以上のバンドギャップを有する半導体である。ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(炭化シリコン)であってもよい。化合物半導体は、III-V族化合物半導体であってもよい。化合物半導体は、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)およびGaAs(ヒ化ガリウム)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0051】
基板41は、この形態では、シリコン基板を含む。基板41は、シリコン基板およびシリコンエピタキシャル層を含む積層構造を有するエピタキシャル基板であってもよい。シリコン基板は、n型シリコン基板であってもよいし、p型シリコン基板であってもよい。
【0052】
基板41は、一方側の第1主面42、他方側の第2主面43、ならびに、第1主面42および第2主面43を接続する基板側面44A,44B,44C,44Dを有している。第1主面42および第2主面43は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0053】
基板側面44Aおよび基板側面44Bは、基板41の長辺を形成している。基板側面44Aおよび基板側面44Bは、第1方向Xに沿って延び、第2方向Yに沿って互いに対向している。基板側面44Cおよび基板側面44Dは、基板41の短辺を形成している。基板側面44Cおよび基板側面44Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに沿って互いに対向している。
【0054】
第1主面42は、機能デバイス45の主要部が形成されるデバイス形成面であってもよい。機能デバイス45の主要部は、基板41の第1主面42の表層部、および/または、基板41の第1主面42の上の領域を利用して形成される。
図8および
図9では、機能デバイス45が基板41の第1主面42の表層部に示された破線によって簡略化して示されている。
【0055】
機能デバイス45は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、半導体受動デバイスを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗およびコンデンサのいずれか一方または双方を含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0056】
半導体スイッチングデバイスは、BJT(Bipolar Junction Transistor)、MISFET(Metal Insulator Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)およびJFET(Junction Field Effect Transistor)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0057】
機能デバイス45は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの任意の2種以上のデバイスが選択的に組み合わされた回路網を含んでいてもよい。回路網は、集積回路の一部または全部を形成していてもよい。集積回路は、SSI(Small Scale Integration),LSI(Large Scale Integration),MSI(Medium Scale Integration),VLSI(Very Large Scale Integration)またはULSI(Ultra-Very Large Scale Integration)を含んでいてもよい。
【0058】
電子部品5は、基板41の第1主面42の上に形成された絶縁積層構造51(絶縁層)をさらに含む。絶縁積層構造51は、絶縁主面52および絶縁側面53A,53B,53C,53Dを有している。絶縁主面52は、平面視において第1主面42に整合する四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。絶縁主面52は、第1主面42に対して平行に延びている。
【0059】
絶縁側面53A〜53Dは、絶縁主面52の周縁から基板41に向けて延びている。絶縁側面53A〜53Dは、基板側面44A〜44Dに連なっている。絶縁側面53A〜53Dは、より具体的には、基板側面44A〜44Dに対して面一に形成されている。
【0060】
絶縁積層構造51は、最下絶縁層55、最上絶縁層56および複数(この形態では11層)の層間絶縁層57を含む。最下絶縁層55は、第1主面42に接する絶縁層である。最上絶縁層56は、絶縁主面52を形成する絶縁層である。複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55および最上絶縁層56の間に介在する絶縁層である。最下絶縁層55は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。最上絶縁層56は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。
【0061】
複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55側の第1絶縁層58および最上絶縁層56側の第2絶縁層59を含む積層構造をそれぞれ有している。第1絶縁層58は、第2絶縁層59の下地層を成す。第1絶縁層58は、より具体的には、最下絶縁層55および第2絶縁層59に対するエッチングストッパ層として形成されている。第1絶縁層58は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第2絶縁層59は、第1絶縁層58とは異なる絶縁材料を含む。第2絶縁層59は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0062】
第1絶縁層58の厚さは、100nm以上1000nm未満(たとえば300nm程度)であってもよい。第2絶縁層59の厚さは、第1絶縁層58の厚さを超えている。第2絶縁層59の厚さは、1μm以上3μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。
【0063】
絶縁積層構造51の総厚さDTは、5μm以上50μm以下であってもよい。層間絶縁層57の積層数や絶縁積層構造51の総厚さDTは、実現すべき絶縁破壊耐量に応じて調整される。最下絶縁層55、最上絶縁層56および層間絶縁層57の絶縁材料は、任意であり、特定の絶縁材料に限定されない。また、層間絶縁層57の積層数は任意であり、
図8および
図9に示される形態に限定されない。
【0064】
電子部品5は、絶縁積層構造51内に形成されたフィールド電極61をさらに含む。フィールド電極61は、絶縁積層構造51をデバイス形成領域62および外側領域63に区画する。フィールド電極61は、デバイス形成領域62への水分の進入や絶縁積層構造51のクラックを抑制する。
【0065】
フィールド電極61は、平面視において絶縁側面53A〜53Dから間隔を空けて絶縁積層構造51内に形成されている。フィールド電極61は、平面視において絶縁側面53〜53Dに沿って帯状に延びている。フィールド電極61は、この形態では、平面視において四角環状(より具体的には長方形環状)に形成されている。
【0066】
これにより、デバイス形成領域62は、平面視において四角形状(より具体的には長方形状)に区画されている。また、外側領域63は、平面視においてデバイス形成領域62を取り囲む四角環状(より具体的には長方形環状)に区画されている。
【0067】
フィールド電極61は、絶縁積層構造51内において法線方向Zに沿って延びる壁状に形成されている。フィールド電極61は、最上絶縁層56側の上端部、最下絶縁層55側の下端部、ならびに、上端部および下端部の間を壁状に延びる壁部を有している。フィールド電極61の上端部は、最上絶縁層56によって被覆されている。フィールド電極61の下端部は、基板41に電気的に接続されている。
【0068】
フィールド電極61には、前述の高電圧パッド12に印加される電圧未満の電圧が印加される。フィールド電極61には、この形態では、前述の低電圧パッド11に印加される電圧(基準電圧)が印加される。つまり、フィールド電極61は、低電圧パッド11と同電位を成す。
【0069】
図8および
図9を参照して、フィールド電極61は、複数のフィールドプラグ電極64、および、フィールドプラグ電極65を含む。複数のフィールドプラグ電極64は、複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋め込まれている。複数のフィールドプラグ電極64は、互いに電気的に接続されるように最下絶縁層55側から最上絶縁層56側に積層されている。複数のフィールドプラグ電極64の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。
【0070】
フィールドプラグ電極64は、チタン、窒化チタン、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。フィールドプラグ電極64は、下地電極層および主電極層を含む積層構造を有していてもよい。
【0071】
下地電極層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。下地電極層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、下地電極層によって区画されたリセス空間に埋設される。主電極層は、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。
【0072】
フィールドプラグ電極65は、最下絶縁層55において基板41およびフィールドプラグ電極64の間の領域に形成されている。フィールドプラグ電極65は、基板41の第1主面42およびフィールドプラグ電極64に電気的に接続されている。フィールドプラグ電極65は、フィールドプラグ電極64と同様の構造を有していてもよい。
【0073】
電子部品5は、この形態では、絶縁積層構造51内に形成された複数(この形態では4個)の変圧器21を含む。つまり、電子部品5は、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型のデバイスである。
【0074】
複数の変圧器21は、フィールド電極61から間隔を空けてデバイス形成領域62内に形成されている。複数の変圧器21は、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて配列されている。複数の変圧器21は、より具体的には、平面視において絶縁側面53C側から絶縁側面53D側に向けてこの順に配列された第1変圧器21A、第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dを含む。
【0075】
複数の変圧器21A〜21Dは、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1変圧器21Aの構造を例にとって説明する。第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの構造の説明については、第1変圧器21Aの構造の説明がそれぞれ準用されるものとし、省略する。
【0076】
図6〜
図9を参照して、第1変圧器21Aは、低電圧コイル22および高電圧コイル23を含む。低電圧コイル22は、絶縁積層構造51内に形成されている。高電圧コイル23は、絶縁主面52の法線方向Zに低電圧コイル22と対向するように絶縁積層構造51内に成されている。低電圧コイル22および高電圧コイル23は、この形態では、絶縁積層構造51内において最下絶縁層55および最上絶縁層56に挟まれた領域に形成されている。
【0077】
低電圧コイル22は、絶縁積層構造51内において最下絶縁層55側に形成されており、高電圧コイル23は、絶縁積層構造51内において低電圧コイル22に対して最上絶縁層56側に形成されている。低電圧コイル22は、この形態では、最下絶縁層55側から数えて3層目の層間絶縁層57に形成されている。高電圧コイル23は、1層以上の層間絶縁層57を挟んで低電圧コイル22に対向している。高電圧コイル23は、この形態では、最上絶縁層56側から数えて1層目の層間絶縁層57に形成されている。
【0078】
高電圧コイル23は、1層以上の層間絶縁層57を挟んで低電圧コイル22に対向していればよい。低電圧コイル22および高電圧コイル23が形成される層間絶縁層57は任意である。ただし、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の絶縁耐圧や電界強度は、層間絶縁層57の総数(厚さ)によって定まる点に留意する。
【0079】
低電圧コイル22は、より具体的には、層間絶縁層57において第1絶縁層58および第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。低電圧コイル22は、一方側の第1コイル面、他方側の第2コイル面、および、第1コイル面および第2コイル面を接続するコイル側面を有している。
【0080】
低電圧コイル22の第1コイル面は、当該低電圧コイル22が埋め込まれた層間絶縁層57から露出し、上層の層間絶縁層57(第1絶縁層58)によって被覆されている。低電圧コイル22の第2コイル面は、当該低電圧コイル22が埋め込まれた層間絶縁層57から露出し、下層の層間絶縁層57(第2絶縁層59)に接している。低電圧コイル22のコイル側面は、当該低電圧コイル22が埋め込まれた層間絶縁層57に接している。
【0081】
低電圧コイル22は、第1内側末端24、第1外側末端25、ならびに、第1内側末端24および第1外側末端25の間を螺旋状に引き回された第1螺旋部26を含む。第1螺旋部26は、平面視において楕円形状に延びる螺旋状に引き回されている。第1螺旋部26の最内周縁を形成する部分は、この形態では、平面視において楕円形状の第1内側領域66を区画している。
【0082】
第1螺旋部26の巻回形状や、第1内側領域66の平面形状は任意であり、
図6等に示される形態に限定されない。第1螺旋部26は、たとえば、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第1内側領域66は、たとえば、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0083】
第1螺旋部26の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の巻回数は、5以上10以下、10以上15以下、15以上20以下、20以上25以下、または、25以上30以下であってもよい。
【0084】
第1螺旋部26の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第1螺旋部26の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0085】
第1螺旋部26の巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1螺旋部26の巻回ピッチは、第1螺旋部26において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。第1螺旋部26の巻回ピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1螺旋部26の巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0086】
低電圧コイル22は、チタン、窒化チタン、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。低電圧コイル22は、下地電極層および主電極層を含む積層構造を有していてもよい。
【0087】
下地電極層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。下地電極層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、下地電極層によって区画されたリセス空間に埋設される。主電極層は、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。低電圧コイル22は、フィールドプラグ電極64と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0088】
高電圧コイル23は、層間絶縁層57において第1絶縁層58および第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。高電圧コイル23は、一方側の第1コイル面、他方側の第2コイル面、および、第1コイル面および第2コイル面を接続するコイル側面を有している。
【0089】
高電圧コイル23の第1コイル面は、当該高電圧コイル23が埋め込まれた層間絶縁層57から露出し、最上絶縁層56によって被覆されている。高電圧コイル23の第2コイル面は、当該高電圧コイル23が埋め込まれた層間絶縁層57から露出し、下層の層間絶縁層57に接している。高電圧コイル23のコイル側面は、当該高電圧コイル23が埋め込まれた層間絶縁層57に接している。
【0090】
高電圧コイル23は、最上絶縁層56および2つの層間絶縁層57に接している。高電圧コイル23が最上絶縁層56から数えて2層目以降の層間絶縁層57に形成されている場合には、高電圧コイル23は、3つの層間絶縁層57に接する構造となる。
【0091】
高電圧コイル23は、第2内側末端27、第2外側末端28、ならびに、第2内側末端27および第2外側末端28の間を螺旋状に引き回された第2螺旋部29を含む。第2螺旋部29は、平面視において楕円形状に延びる螺旋状に引き回されている。第2螺旋部29の最内周縁を形成する部分は、この形態では、平面視において楕円形状の第2内側領域67を区画している。第2螺旋部29の第2内側領域67は、平面視において第1螺旋部26の第1内側領域66に重なっている。
【0092】
第2螺旋部29の巻回形状や、第2内側領域67の平面形状は任意であり、
図7等に示される形態に限定されない。第2螺旋部29は、たとえば、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第2内側領域67は、たとえば、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0093】
第2螺旋部29の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の巻回数に対する第2螺旋部29の巻回数は、昇圧すべき電圧値に応じて調整される。第1螺旋部26の巻回数は、第2螺旋部29の巻回数を超えていることが好ましい。第2螺旋部29の巻回数は、5以上10以下、10以上15以下、15以上20以下、20以上25以下、または、25以上30以下であってもよい。むろん、第1螺旋部26の巻回数と等しい巻回数を有する第2螺旋部29が形成されてもよい。
【0094】
第2螺旋部29の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2螺旋部29の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第2螺旋部29の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。
【0095】
第2螺旋部29の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2螺旋部29の幅は、第1螺旋部26の幅と等しいことが好ましい。第2螺旋部29の幅が第1螺旋部26の幅と等しいとは、第2螺旋部29の幅が第1螺旋部26の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0096】
第2螺旋部29の巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2螺旋部29の巻回ピッチは、第2螺旋部29において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。第2螺旋部29の巻回ピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。
【0097】
第2螺旋部29の巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2螺旋部29の巻回ピッチは、第1螺旋部26の巻回ピッチと等しいことが好ましい。第2螺旋部29の巻回ピッチが第1螺旋部26の巻回ピッチと等しいとは、第2螺旋部29の巻回ピッチが第1螺旋部26の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0098】
高電圧コイル23は、チタン、窒化チタン、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。高電圧コイル23は、下地電極層および主電極層を含む積層構造を有していてもよい。
【0099】
下地電極層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。下地電極層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、下地電極層によって区画されたリセス空間に埋設される。主電極層は、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。高電圧コイル23は、低電圧コイル22やフィールドプラグ電極64と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0100】
図5を参照して、電子部品5は、前述の複数(この形態では12個)の低電圧パッド11および複数(この形態では12個)の高電圧パッド12を含む。複数の低電圧パッド11は、対応する変圧器21A〜21Dの低電圧コイル22にそれぞれ電気的に接続されている。複数の高電圧パッド12は、対応する変圧器21A〜21Dの高電圧コイル23にそれぞれ電気的に接続されている。
【0101】
複数の低電圧パッド11は、デバイス形成領域62において絶縁積層構造51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の低電圧パッド11は、より具体的には、複数の変圧器21A〜21Dから第2方向Yに間隔を空けて絶縁側面53B側の領域に形成され、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて配列されている。
【0102】
複数の低電圧パッド11は、第1低電圧パッド11A、第2低電圧パッド11B、第3低電圧パッド11C、第4低電圧パッド11D、第5低電圧パッド11Eおよび第6低電圧パッド11Fを含む。複数の低電圧パッド11A〜11Fは、この形態では、2個ずつ形成されている。複数の低電圧パッド11A〜11Fの個数は、任意であり、
図5等に示される個数に限定されない。
【0103】
第1低電圧パッド11Aは、平面視において第2方向Yに第1変圧器21Aに対向している。第2低電圧パッド11Bは、平面視において第2方向Yに第2変圧器21Bに対向している。第3低電圧パッド11Cは、平面視において第2方向Yに第3変圧器21Cに対向している。第4低電圧パッド11Dは、平面視において第2方向Yに第4変圧器21Dに対向している。
【0104】
第5低電圧パッド11Eは、平面視において第1低電圧パッド11Aおよび第2低電圧パッド11Bの間の領域に形成されている。第6低電圧パッド11Fは、平面視において第3低電圧パッド11Cおよび第4低電圧パッド11Dの間の領域に形成されている。
【0105】
第1低電圧パッド11Aは、第1変圧器21A(低電圧コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第2低電圧パッド11Bは、第2変圧器21B(低電圧コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第3低電圧パッド11Cは、第3変圧器21C(低電圧コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第4低電圧パッド11Dは、第4変圧器21D(低電圧コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。
【0106】
第5低電圧パッド11Eは、第1変圧器21A(低電圧コイル22)の第1外側末端25および第2変圧器21B(低電圧コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。第6低電圧パッド11Fは、第3変圧器21C(低電圧コイル22)の第1外側末端25および第4変圧器21D(低電圧コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。
【0107】
複数の高電圧パッド12は、デバイス形成領域62において複数の低電圧パッド11から間隔を空けて絶縁積層構造51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の高電圧パッド12は、より具体的には、複数の低電圧パッド11から第2方向Yに間隔を空けて絶縁側面53A側の領域に形成され、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて配列されている。
【0108】
複数の高電圧パッド12は、平面視において複数の変圧器21A〜21Dに近接する領域に形成されている。平面視において複数の高電圧パッド12が複数の変圧器21A〜21Dに近接するとは、平面視において高電圧パッド12および変圧器21の間の距離が、低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の距離未満であることを意味する。
【0109】
複数の高電圧パッド12は、より具体的には、平面視において第1方向Xに沿って複数の変圧器21A〜21Dと対向するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。
【0110】
複数の高電圧パッド12は、さらに具体的には、平面視において高電圧コイル23の第2内側領域67および互いに隣り合う高電圧コイル23の間の領域に位置するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。これにより、複数の高電圧パッド12および複数の変圧器21A〜21Dは、平面視において第1方向Xに沿って一列に並んで配列されている。
【0111】
複数の高電圧パッド12は、第1高電圧パッド12A、第2高電圧パッド12B、第3高電圧パッド12C、第4高電圧パッド12D、第5高電圧パッド12Eおよび第6高電圧パッド12Fを含む。複数の高電圧パッド12A〜12Fは、この形態では、2個ずつ形成されている。複数の高電圧パッド12A〜12Fの個数は、任意であり、
図5等に示される個数に限定されない。
【0112】
第1高電圧パッド12Aは、平面視において第1変圧器21A(高電圧コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第2高電圧パッド12Bは、平面視において第2変圧器21B(高電圧コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第3高電圧パッド12Cは、平面視において第3変圧器21C(高電圧コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第4高電圧パッド12Dは、平面視において第4変圧器21D(高電圧コイル23)の第2内側領域67に形成されている。
【0113】
第5高電圧パッド12Eは、平面視において第1変圧器21Aおよび第2変圧器21Bの間の領域に形成されている。第6高電圧パッド12Fは、平面視において第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの間の領域に形成されている。
【0114】
第1高電圧パッド12Aは、第1変圧器21A(高電圧コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第2高電圧パッド12Bは、第2変圧器21B(高電圧コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第3高電圧パッド12Cは、第3変圧器21C(高電圧コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第4高電圧パッド12Dは、第4変圧器21D(高電圧コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。
【0115】
第5高電圧パッド12Eは、第1変圧器21A(高電圧コイル23)の第2外側末端28および第2変圧器21B(高電圧コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。第6高電圧パッド12Fは、第3変圧器21C(高電圧コイル23)の第2外側末端28および第4変圧器21D(高電圧コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。
【0116】
図6〜
図9を参照して、電子部品5は、前述の第1低電圧配線31、第2低電圧配線32、第1高電圧配線33および第2高電圧配線34を含む。この形態では、複数の第1低電圧配線31、複数の第2低電圧配線32、複数の第1高電圧配線33および複数の第2高電圧配線34が形成されている。複数の第1低電圧配線31、複数の第2低電圧配線32、複数の第1高電圧配線33および複数の第2高電圧配線34は、絶縁積層構造51内にそれぞれ形成されている。
【0117】
図8および
図9を参照して、複数の第1低電圧配線31は、より具体的には、対応する低電圧パッド11A〜11Dおよび対応する変圧器21A〜21D(低電圧コイル22)の第1内側末端24にそれぞれ電気的に接続されている。
【0118】
複数の第1低電圧配線31は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1低電圧パッド11Aおよび第1変圧器21Aに接続された第1低電圧配線31の構造を例にとって説明する。他の第1低電圧配線31の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1低電圧配線31の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0119】
第1低電圧配線31は、貫通配線71、低電圧接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77を含む。
【0120】
貫通配線71は、絶縁積層構造51において複数の層間絶縁層57を貫通し、法線方向Zに沿って延びる柱状に延びている。貫通配線71は、この形態では、絶縁積層構造51において最下絶縁層55および最上絶縁層56の間の領域に形成されている。
【0121】
貫通配線71は、最上絶縁層56側の上端部、および、最下絶縁層55側の下端部を有している。貫通配線71の上端部は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57に形成され、最上絶縁層56によって被覆されている。貫通配線71の下端部は、低電圧コイル22と同一の層間絶縁層57に形成されている。
【0122】
貫通配線71は、この形態では、第1電極層78、第2電極層79、および、複数の配線プラグ電極80を含む。第1電極層78は、貫通配線71の上端部を形成している。第2電極層79は、貫通配線71の下端部を形成している。
【0123】
第1電極層78は、配線プラグ電極80の平面面積を超える平面面積を有する島状の電極層である。第1電極層78は、平面視において低電圧パッド11(第1低電圧パッド11A)に重なっている。第2電極層79は、配線プラグ電極80の平面面積を超える平面面積を有する島状の電極層である。第2電極層79は、平面視において第1電極層78に重なっている。
【0124】
複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78および第2電極層79を電気的に接続している。複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78および第2電極層79の間の領域において複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋め込まれている。
【0125】
各層間絶縁層57内には、1つまたは複数(この形態では6個)の配線プラグ電極80が形成されている。各層間絶縁層57内に形成される配線プラグ電極80の個数は任意であり、
図8および
図9に示される形態に限定されない。複数の配線プラグ電極80は、互いに電気的に接続されるように最下絶縁層55側から最上絶縁層56側に積層されている。複数の配線プラグ電極80の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。
【0126】
第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80は、チタン、窒化チタン、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでいてもよい。第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80は、下地電極層および主電極層を含む積層構造をそれぞれ有していてもよい。
【0127】
下地電極層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。下地電極層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、下地電極層によって区画されたリセス空間に埋設される。主電極層は、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0128】
図7〜図9を参照して、低電圧接続配線72は、低電圧コイル22と同一の層間絶縁層57内において第1変圧器21A(低電圧コイル22)の第1内側領域66に形成されている。低電圧接続配線72は、配線プラグ電極80の平面面積を超える平面面積を有する島状の電極層である。
低電圧接続配線72は、具体的には、絶縁主面52の面方向に関して低電圧コイル22のライン幅(第1螺旋部26の幅)よりも大きい幅を有している。
【0129】
低電圧接続配線72は、平面視において高電圧パッド12(第1高電圧パッド12A)に重なっている。低電圧接続配線72は、低電圧コイル22の第1内側末端24に電気的に接続されている。低電圧接続配線72は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0130】
引き出し配線73は、層間絶縁層57内において基板41および貫通配線71の間の領域に形成されている。引き出し配線73は、この形態では、最下絶縁層55から数えて1層目の層間絶縁層57内に形成されている。引き出し配線73は、貫通配線71および低電圧接続配線72に電気的に接続されている。
【0131】
引き出し配線73は、より具体的には、一方側の第1端部、他方側の第2端部、ならびに、第1端部および第2端部の間の領域を延びる配線部を含む。引き出し配線73の第1端部は、基板41および貫通配線71の下端部の間の領域に位置している。引き出し配線73の第2端部は、基板41および低電圧接続配線72の間の領域に位置している。配線部は、基板41の第1主面42に沿って延び、第1端部および第2端部を接続している。
【0132】
第1接続プラグ電極74は、層間絶縁層57内において貫通配線71および引き出し配線73の間の領域に形成されている。第1接続プラグ電極74は、この形態では、最下絶縁層55から数えて2層目の層間絶縁層57内に位置している。第1接続プラグ電極74は、貫通配線71および引き出し配線73の第1端部に電気的に接続されている。第1接続プラグ電極74は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0133】
第2接続プラグ電極75は、層間絶縁層57内において低電圧接続配線72および引き出し配線73の間の領域に形成されている。第2接続プラグ電極75は、この形態では、最下絶縁層55から数えて2層目の層間絶縁層57内に位置している。第2接続プラグ電極75は、低電圧接続配線72および引き出し配線73の第2端部に電気的に接続されている。第2接続プラグ電極75は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0134】
パッドプラグ電極76は、最上絶縁層56内において低電圧パッド11(第1低電圧パッド11A)および貫通配線71の間の領域に形成されている。パッドプラグ電極76は、低電圧パッド11および貫通配線71の上端部に電気的に接続されている。パッドプラグ電極76は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0135】
基板プラグ電極77は、最下絶縁層55内において基板41および引き出し配線73の間の領域に形成されている。基板プラグ電極77は、この形態では、基板41および引き出し配線73の第1端部の間の領域に形成されている。基板プラグ電極77は、基板41および引き出し配線73の第1端部に電気的に接続されている。これにより、低電圧パッド11(第1低電圧パッド11A)は、第1低電圧配線31および基板41を介してフィールド電極61に電気的に接続される。基板プラグ電極77は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0136】
図9を参照して、複数の第2低電圧配線32は、対応する低電圧パッド11E,11Fおよび対応する変圧器21A〜21Dの低電圧コイル22の第1外側末端25にそれぞれ電気的に接続されている。
【0137】
複数の第2低電圧配線32は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第5低電圧パッド11Eおよび第1変圧器21A(第2変圧器21B)に接続された第2低電圧配線32の構造を例にとって説明する。他の第2低電圧配線32の構造の説明については、第1変圧器21A(第2変圧器21B)に接続された第2低電圧配線32の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0138】
第2低電圧配線32は、第1低電圧配線31と同様、貫通配線71、低電圧接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77を含む。第2低電圧配線32は、低電圧接続配線72が第1変圧器21A(低電圧コイル22)の第1外側末端25および第2変圧器21B(低電圧コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている点を除いて、第1低電圧配線31と同様の構造を有している。
【0139】
第2低電圧配線32の低電圧接続配線72は、より具体的には、低電圧コイル22と同一の層間絶縁層57内に形成されている。低電圧接続配線72は、平面視において低電圧コイル22の周囲に形成されている。低電圧接続配線72は、より具体的には、平面視において互いに隣り合う2つの低電圧コイル22の間の領域に形成されている。
【0140】
パッドプラグ電極76は、最上絶縁層56内において低電圧パッド11(第5低電圧パッド11E)および低電圧接続配線72の間の領域に形成されている。パッドプラグ電極76は、低電圧パッド11および低電圧接続配線72に電気的に接続されている。
【0141】
このようにして、複数の第1低電圧配線31は、対応する低電圧パッド11A〜11Dおよび対応する変圧器21A〜21D(低電圧コイル22)の第1内側末端24にそれぞれ電気的に接続されている。また、複数の第2低電圧配線32は、対応する低電圧パッド11E,11Fおよび対応する変圧器21A〜21D(低電圧コイル22)の第1外側末端25にそれぞれ電気的に接続されている。
【0142】
第1変圧器21Aの低電圧コイル22および第2変圧器21Bの低電圧コイル22は、同電位に固定されている。第3変圧器21Cの低電圧コイル22および第4変圧器21Dの低電圧コイル22は、同電位に固定されている。この形態では、変圧器21A〜21Dの全ての低電圧コイル22が同電位に固定されている。
【0143】
図8を参照して、複数の第1高電圧配線33は、対応する高電圧パッド12A〜12Dおよび対応する変圧器21A〜21D(高電圧コイル23)の第2内側末端27にそれぞれ電気的に接続されている。
【0144】
複数の第1高電圧配線33は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1高電圧パッド12Aおよび第1変圧器21Aに接続された第1高電圧配線33の構造を例にとって説明する。他の第1高電圧配線33の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1高電圧配線33の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0145】
図7〜図9を参照して、第1高電圧配線33は、高電圧接続配線81およびパッドプラグ電極82を含む。高電圧接続配線81は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内において高電圧コイル23の第2内側領域67に形成されている。高電圧接続配線81は、パッドプラグ電極82の平面面積を超える平面面積を有する島状の電極層である。
高電圧接続配線81は、具体的には、絶縁主面52の面方向に関して高電圧コイル23のライン幅(第2螺旋部29の幅)よりも大きい幅を有している。
【0146】
高電圧接続配線81は、平面視において高電圧パッド12(第1高電圧パッド12A)に重なっている。高電圧接続配線81は、この形態では、平面視において低電圧接続配線72から間隔を空けて形成されている。高電圧接続配線81は、法線方向Zに関して、低電圧接続配線72と対向していない。これにより、法線方向Zに関して、低電圧接続配線72および高電圧接続配線81の間の絶縁距離を増加させることができるから、絶縁積層構造51の絶縁耐圧を高めることができる。
高電圧接続配線81は、より具体的には、平面視および断面視において低電圧コイル22の内周部および低電圧接続配線72の間に介在された絶縁積層構造51(層間絶縁層57)の一部に対向し、かつ、低電圧コイル22および低電圧接続配線72に対向しないように低電圧コイル22および低電圧接続配線72から絶縁主面52の面方向にずれて配置されている。
同様に、低電圧接続配線72は、平面視および断面視において高電圧コイル23の内周部および高電圧接続配線81の間に介在された絶縁積層構造51(層間絶縁層57)の一部に対向し、かつ、高電圧コイル23および高電圧接続配線81に対向しないように高電圧コイル23および高電圧接続配線81から絶縁主面52の面方向にずれて配置されている。
また、引き出し配線73は、平面視および断面視において高電圧コイル23の内周部および高電圧接続配線81の間に介在された絶縁積層構造51(層間絶縁層57)の一部に対向し、かつ、高電圧接続配線81に対向しないように低電圧接続配線72の下方の領域から絶縁主面52の面方向に沿って低電圧コイル22外の領域に引き出されている。
高電圧接続配線81は、さらに具体的には、断面視において、高電圧コイル23の一方側(図8および図9の紙面右側)の内周部との間で絶縁主面52の面方向に沿う第1幅を有する第1幅狭領域を区画し、高電圧コイル23の他方側(図8および図9の紙面左側)の内周部との間で絶縁主面52の面方向に沿う第1幅を超える第2幅を有する第1幅広領域を区画している。
一方、低電圧接続配線72は、断面視において、低電圧コイル22の一方側(図8および図9の紙面右側)の内周部との間で絶縁主面52の面方向に沿う第1幅を超える第3幅を有する第2幅広領域を区画し、低電圧コイル22の他方側(図8および図9の紙面左側)の内周部との間で絶縁主面52の面方向に沿う第2幅未満の第4幅を有する第2幅狭領域を区画している。第2幅狭領域の第4幅は、第2幅広領域の第3幅を超えている。
高電圧接続配線81は、平面視および断面視において低電圧コイル22および低電圧接続配線72によって区画された第2幅広領域に介在された絶縁積層構造51(層間絶縁層57)の一部に対向し、低電圧コイル22および低電圧接続配線72によって区画された第2幅狭領域に介在された絶縁積層構造51(層間絶縁層57)の一部に対向しないように低電圧コイル22および低電圧接続配線72から絶縁主面52の面方向に沿って第2幅広領域側にずれて配置されている。
一方、低電圧接続配線72は、平面視および断面視において高電圧コイル23および高電圧接続配線81によって区画された第1幅広領域に介在された絶縁積層構造51(層間絶縁層57)の一部に対向し、高電圧コイル23および高電圧接続配線81によって区画された第1幅狭領域に介在された絶縁積層構造51(層間絶縁層57)の一部に対向しないように高電圧コイル23および高電圧接続配線81から絶縁主面52の面方向に沿って第1幅広領域側にずれて配置されている。
【0147】
高電圧接続配線81は、高電圧コイル23の第2内側末端27に電気的に接続されている。高電圧接続配線81は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0148】
パッドプラグ電極82は、最上絶縁層56内において高電圧パッド12(第1高電圧パッド12A)および高電圧接続配線81の間の領域に形成されている。パッドプラグ電極82は、高電圧パッド12および高電圧接続配線81に電気的に接続されている。パッドプラグ電極82は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0149】
図9を参照して、複数の第2高電圧配線34は、対応する高電圧パッド12E,12Fおよび対応する変圧器21A〜21D(高電圧コイル23)の第2外側末端28にそれぞれ電気的に接続されている。
【0150】
複数の第2高電圧配線34は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第5高電圧パッド12Eおよび第1変圧器21A(第2変圧器21B)に接続された第2高電圧配線34の構造を例にとって説明する。他の第2高電圧配線34の構造の説明については、第1変圧器21A(第2変圧器21B)に接続された第2高電圧配線34の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0151】
第2高電圧配線34は、第1高電圧配線33と同様、高電圧接続配線81およびパッドプラグ電極82を含む。第2高電圧配線34は、高電圧接続配線81が第1変圧器21A(高電圧コイル23)の第2外側末端28および第2変圧器21B(高電圧コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている点を除いて、第1高電圧配線33と同様の構造を有している。
【0152】
第2高電圧配線34の高電圧接続配線81は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されている。高電圧接続配線81は、平面視において高電圧コイル23の周囲に形成されている。高電圧接続配線81は、より具体的には、平面視において互いに隣り合う2つの高電圧コイル23の間の領域に形成されている。
【0153】
高電圧接続配線81は、平面視において互いに隣り合う2つの高電圧コイル23の間の領域において高電圧パッド12(第5高電圧パッド12E)に重なっている。高電圧接続配線81は、この形態では、平面視において低電圧接続配線72から間隔を空けて形成されている。高電圧接続配線81は、法線方向Zに関して、低電圧接続配線72と対向していない。
【0154】
パッドプラグ電極82は、最上絶縁層56内において高電圧パッド12(第5高電圧パッド12E)および高電圧接続配線81の間の領域に形成されている。パッドプラグ電極76は、高電圧パッド12および高電圧接続配線81に電気的に接続されている。パッドプラグ電極76は、フィールドプラグ電極64、低電圧コイル22、高電圧コイル23等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。
【0155】
このようにして、複数の第1高電圧配線33は、対応する高電圧パッド12A〜12Dおよび対応する変圧器21A〜21D(高電圧コイル23)の第2内側末端27にそれぞれ電気的に接続されている。また、複数の第2高電圧配線34は、対応する高電圧パッド12A〜12Dおよび対応する変圧器21A〜21D(高電圧コイル23)の第2外側末端28にそれぞれ電気的に接続されている。
【0156】
第1変圧器21Aの高電圧コイル23および第2変圧器21Bの高電圧コイル23は、同電位に固定されている。第3変圧器21Cの高電圧コイル23および第4変圧器21Dの高電圧コイル23は、同電位に固定されている。この形態では、変圧器21A〜21Dの全ての高電圧コイル23が同電位に固定されている。
【0157】
図8および
図9を参照して、低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の距離D1は、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の距離D2を超えていることが好ましい(D2<D1)。また、距離D1は、複数の層間絶縁層57の総厚さDTを超えていることが好ましい(DT<D1)。
【0158】
距離D1に対する距離D2の比D2/D1は、0.01以上0.1以下であってもよい。比D2/D1は、0.01以上0.025以下、0.025以上0.05以下、0.05以上0.075以下、または、0.075以上0.1以下であってもよい。
【0159】
距離D1は、100μm以上500μm以下であってもよい。距離D1は、100μm以上200μm以下、200μm以上300μm以下、300μm以上400μm以下、または、400μm以上500μm以下であってもよい。距離D2は、1μm以上50μm以下であってもよい。距離D2は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。距離D1および距離D2の値は任意であり、実現すべき絶縁耐量に応じて適宜調整される。
【0160】
図7〜
図12を参照して、電子部品5は、平面視において変圧器21A〜21Dの周囲に位置するように絶縁積層構造51内に形成されたシールド導体層85を含む。
図10〜
図12では、シールド導体層85がハッチングによって示されている。
【0161】
シールド導体層85は、高電圧コイル23および低電圧コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21A〜21Dから独立している。つまり、シールド導体層85は、変圧器21A〜21Dとしては機能しない。シールド導体層85は、変圧器21A〜21Dにおいて低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽し、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。
【0162】
シールド導体層85は、この形態では、平面視において1つまたは複数の高電圧コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。シールド導体層85は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。シールド導体層85のライン密度が高電圧コイル23のライン密度と等しいとは、シールド導体層85のライン密度が高電圧コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0163】
シールド導体層85は、平面視において低電圧パッド11に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。平面視においてシールド導体層85が高電圧コイル23に近接するとは、シールド導体層85および高電圧コイル23の間の距離が、シールド導体層85および低電圧パッド11の間の距離未満であることを意味する。
【0164】
絶縁積層構造51の内部におけるシールド導体層85の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。シールド導体層85は、法線方向Zに関して低電圧コイル22に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。
【0165】
法線方向Zに関してシールド導体層85が高電圧コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、シールド導体層85および高電圧コイル23の間の距離が、シールド導体層85および低電圧コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0166】
この場合、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、シールド導体層85および高電圧コイル23の間の距離を小さくするほど、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。シールド導体層85は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電圧コイル23に対する電界集中をさらに適切に抑制できる。
【0167】
シールド導体層85は、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域に介在するように複数の高電圧コイル23の周囲に形成されていることが好ましい。この場合、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域を利用して、複数の高電圧コイル23に対する不所望な電界集中を抑制できる。
【0168】
シールド導体層85は、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0169】
シールド導体層85は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0170】
シールド導体層85は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0171】
シールド導体層85は、平面視においてフィールド電極61および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0172】
シールド導体層85は、この形態では、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、シールド導体層85は、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域外の領域において少なくとも1つの高電圧コイル23に沿うように形成されている。
【0173】
シールド導体層85は、より具体的には、平面視において複数の高電圧コイル23に沿うように形成されている。シールド導体層85は、さらに具体的には、平面視において複数の高電圧コイル23および複数の高電圧パッド12を含む領域を一括して取り囲んでいる。
【0174】
これにより、シールド導体層85は、平面視において複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、シールド導体層85は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、シールド導体層85は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0175】
また、シールド導体層85は、平面視においてフィールド電極61および複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、シールド導体層85は、フィールド電極61および複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0176】
シールド導体層85は、チタン、窒化チタン、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。シールド導体層85は、下地電極層および主電極層を含む積層構造を有していてもよい。
【0177】
下地電極層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。下地電極層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、下地電極層によって区画されたリセス空間に埋設される。主電極層は、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。
【0178】
シールド導体層85は、高電圧コイル23と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。この場合、同一のレジストマスクおよびフォトマスクを利用して高電圧コイル23およびシールド導体層85を同時に形成できる。
【0179】
シールド導体層85は、この形態では、電気的状態が互いに異なる複数のダミーパターンを含む。以下、
図7〜
図12を参照して、ダミーパターンの形態について具体的に説明する。
【0180】
図7〜
図12を参照して、シールド導体層85は、高電圧ダミーパターン86を含む。高電圧ダミーパターン86は、平面視において変圧器21A〜21Dの周囲に位置するように絶縁積層構造51内に形成されている。高電圧ダミーパターン86は、高電圧コイル23および低電圧コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21A〜21Dから独立している。つまり、高電圧ダミーパターン86は、変圧器21A〜21Dとしては機能しない。
【0181】
高電圧ダミーパターン86は、この形態では、平面視において高電圧コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。高電圧ダミーパターン86は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。高電圧ダミーパターン86のライン密度が高電圧コイル23のライン密度と等しいとは、高電圧ダミーパターン86のライン密度が高電圧コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0182】
高電圧ダミーパターン86は、変圧器21A〜21Dにおいて低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽し、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。高電圧ダミーパターン86は、より具体的には、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽することによって、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を高電圧コイル23から遠ざける。これにより、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を起因とする高電圧コイル23の電界集中が、抑制される。
【0183】
低電圧コイル22に印加される電圧を超える電圧が、高電圧ダミーパターン86に印加される。これにより、高電圧コイル23および高電圧ダミーパターン86の間の電圧降下を抑制できるから、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。
【0184】
高電圧コイル23に印加される電圧が、高電圧ダミーパターン86に印加されることが好ましい。つまり、高電圧ダミーパターン86は、高電圧コイル23と同電位を成すことが好ましい。これにより、高電圧コイル23および高電圧ダミーパターン86の間の電圧降下を確実に抑制できるから、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0185】
絶縁積層構造51の内部における高電圧ダミーパターン86の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。高電圧ダミーパターン86は、法線方向Zに関して低電圧コイル22に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。
【0186】
法線方向Zに関して高電圧ダミーパターン86が高電圧コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、高電圧ダミーパターン86および高電圧コイル23の間の距離が、高電圧ダミーパターン86および低電圧コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0187】
この場合、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、高電圧ダミーパターン86および高電圧コイル23の間の距離を小さくするほど、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。高電圧ダミーパターン86は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電圧コイル23に対する電界集中をさらに適切に抑制できる。
【0188】
高電圧ダミーパターン86は、平面視において低電圧パッド11に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。平面視において高電圧ダミーパターン86が高電圧コイル23に近接するとは、高電圧ダミーパターン86および高電圧コイル23の間の距離が、高電圧ダミーパターン86および低電圧パッド11の間の距離未満であることを意味する。
【0189】
高電圧ダミーパターン86は、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域に介在するように複数の高電圧コイル23の周囲に形成されていることが好ましい。この場合、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域を利用して、複数の高電圧コイル23に対する不所望な電界集中を抑制できる。
【0190】
高電圧ダミーパターン86は、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0191】
高電圧ダミーパターン86は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0192】
高電圧ダミーパターン86は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0193】
高電圧ダミーパターン86は、平面視においてフィールド電極61および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0194】
高電圧ダミーパターン86は、この形態では、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、高電圧ダミーパターン86は、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域外の領域において少なくとも1つの高電圧コイル23に沿うように形成されている。
【0195】
高電圧ダミーパターン86は、より具体的には、平面視において複数の高電圧コイル23に沿うように形成されている。高電圧ダミーパターン86は、さらに具体的には、平面視において複数の高電圧コイル23および複数の高電圧パッド12を含む領域を一括して取り囲んでいる。
【0196】
これにより、高電圧ダミーパターン86は、平面視において複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、高電圧ダミーパターン86は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、高電圧ダミーパターン86は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0197】
また、高電圧ダミーパターン86は、平面視においてフィールド電極61および複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、高電圧ダミーパターン86は、フィールド電極61および複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0198】
高電圧ダミーパターン86は、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域において、高電圧パッド12E,12Fの直下の領域を露出させるように、高電圧パッド12E,12Fの周囲に引き回されている。高電圧ダミーパターン86の一部は、法線方向Zに高電圧パッド12A〜12Fに対向していてもよい。
【0199】
この場合、高電圧パッド12E,12Fは、高電圧ダミーパターン86と同様に、電界を遮蔽することによって、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を抑制する。つまり、高電圧パッド12E,12Fは、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制するシールド導体層として形成されている。
【0200】
高電圧ダミーパターン86は、有端状に形成されていることが好ましい。この場合、電流のループ回路(閉回路)が高電圧ダミーパターン86に形成されることを抑制できる。これにより、高電圧ダミーパターン86を流れる電流に起因するノイズが抑制される。その結果、ノイズに起因する不所望な電界集中を抑制できると同時に、変圧器21A〜21Dの電気的特性の変動を抑制できる。
【0201】
高電圧ダミーパターン86は、より具体的には、第1高電圧ダミーパターン87および第2高電圧ダミーパターン88を含む。第1高電圧ダミーパターン87は、平面視において互いに隣り合う複数の変圧器21A〜21D(複数の高電圧コイル23)の間の領域に形成されている。第2高電圧ダミーパターン88は、平面視において互いに隣り合う複数の変圧器21A〜21D(複数の高電圧コイル23)の間の領域外の領域に形成されている。
【0202】
以下では、互いに隣り合う第1変圧器21A(高電圧コイル23)および第2変圧器21B(高電圧コイル23)の間の領域が、第1領域89と称される。また、第2変圧器21B(高電圧コイル23)および第3変圧器21C(高電圧コイル23)の間の領域が、第2領域90と称される。また、第3変圧器21C(高電圧コイル23)および第4変圧器21D(高電圧コイル23)の間の領域が、第3領域91と称される。
【0203】
第1高電圧ダミーパターン87は、この形態では、第1高電圧配線33を介して高電圧パッド12(第5高電圧パッド12E)に電気的に接続されている。第1高電圧ダミーパターン87は、より具体的には、第1高電圧配線33に接続された第1接続部92を含む。第1接続部92の位置は任意である。これにより、第1高電圧ダミーパターン87は、複数の高電圧コイル23と同電位に固定される。
【0204】
第1高電圧ダミーパターン87は、第1領域89、第2領域90および第3領域91において、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を抑制し、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。
【0205】
第1高電圧ダミーパターン87は、第1パターン93、第2パターン94および第3パターン95を含む。第1パターン93は、第1領域89に形成されている。第2パターン94は、第2領域90に形成されている。第3パターン95は、第3領域91に形成されている。
【0206】
第1パターン93、第2パターン94および第3パターン95は、この形態では、一体的に形成され、互いに同電位を成している。第1パターン93、第2パターン94および第3パターン95は、同電位に固定されているのであれば、互いに分離して形成されていてもよい。
【0207】
図7および
図10を参照して、第1パターン93は、第1接続部92を介して第1高電圧配線33に接続されている。第1パターン93は、平面視において第1領域89の一部の領域を覆い隠すように密なライン状に引き回されている。
【0208】
第1パターン93は、平面視において高電圧パッド12(第5高電圧パッド12E)から間隔を空けて第1領域89に形成されている。つまり、第1パターン93は、平面視において高電圧パッド12とは重なっていない。
【0209】
また、第1パターン93は、平面視において低電圧接続配線72から間隔を空けて形成されている。つまり、第1パターン93は、平面視において低電圧接続配線72とは重なっていない。これにより、法線方向Zに関して、第1パターン93および低電圧接続配線72の間の絶縁距離を増加させることができるから、絶縁積層構造51の絶縁耐圧を高めることができる。
【0210】
第1パターン93は、第1外周ライン96、第2外周ライン97および複数の第1中間ライン98を含む。第1外周ライン96は、第1変圧器21Aの高電圧コイル23の周囲に沿って帯状に延びる部分である。第2外周ライン97は、第2変圧器21Bの高電圧コイル23の周囲に沿って帯状に延びる部分である。第1中間ライン98は、第1領域89を帯状に延びる部分である。
【0211】
第1外周ライン96は、この形態では、平面視において第1領域89に開放部を有するリング形状に形成されている。第1外周ライン96の開放部の幅は、高電圧コイル23の第2方向Yに沿う幅未満である。
【0212】
第1外周ライン96の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1外周ライン96の幅は、第1外周ライン96が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。第1外周ライン96の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1外周ライン96の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0213】
第1外周ライン96および高電圧コイル23(第1変圧器21A)の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1外周ライン96および高電圧コイル23の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1外周ライン96および高電圧コイル23のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0214】
第1外周ライン96の幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。第1外周ライン96の幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、第1外周ライン96の幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0215】
第1外周ライン96および高電圧コイル23の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。第1外周ライン96および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、第1外周ライン96および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。
【0216】
第2外周ライン97は、この形態では、平面視において第1領域89に開放部を有するリング形状に形成されている。第2外周ライン97の開放部の幅は、高電圧コイル23の第2方向Yに沿う幅未満である。第2外周ライン97の開放部は、第1方向Xに沿って第1外周ライン96の開放部と対向している。
【0217】
第2外周ライン97の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2外周ライン97の幅は、第2外周ライン97が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。第2外周ライン97の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第2外周ライン97の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0218】
第2外周ライン97および高電圧コイル23(第2変圧器21B)の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2外周ライン97および高電圧コイル23の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第2外周ライン97および高電圧コイル23の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0219】
第2外周ライン97の幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。第2外周ライン97の幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、第2外周ライン97の幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0220】
第2外周ライン97および高電圧コイル23の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。第2外周ライン97および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、第2外周ライン97および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。
【0221】
複数の第1中間ライン98は、第1領域89において第1外周ライン96および第2外周ライン97の間の領域を帯状に延びている。複数の第1中間ライン98は、第1外周ライン96および第2外周ライン97を電気的に接続する少なくとも1つ(この形態では1つ)の第1接続ライン99を含む。
【0222】
電流のループ回路の形成を防止する観点から、複数の第1中間ライン98は、第1接続ライン99を1つだけ含むことが好ましい。第1接続ライン99の位置は任意であり、特定の箇所に限定されない。
【0223】
複数の第1中間ライン98のうちの少なくとも1つには、電流のループ回路を遮断するスリット100が形成されている。スリット100の位置は、複数の第1中間ライン98のデザインによって適宜調整されるものであり、特定の箇所に限定されない。
【0224】
複数の第1中間ライン98は、複数の高電圧コイル23の対向方向に沿って延びる帯状に形成されていることが好ましい。複数の第1中間ライン98は、この形態では、第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数の第1中間ライン98は、平面視において全体として第1方向Xに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0225】
複数の第1中間ライン98は、この形態では、複数の第1引き出し部101および複数の第2引き出し部102を含む。複数の第1引き出し部101は、第1外周ライン96から第2外周ライン97に向けてストライプ状に引き出されている。複数の第1引き出し部101の先端部は、第1外周ライン96から第2外周ライン97側に間隔を空けて形成されている。
【0226】
複数の第2引き出し部102は、第2外周ライン97から第1外周ライン96に向けてストライプ状に引き出されている。複数の第2引き出し部102の先端部は、第2外周ライン97から第1外周ライン96側に間隔を空けて形成されている。
【0227】
複数の第2引き出し部102は、この形態では、1つの第1引き出し部101を第2方向Yから挟み込む態様で、第2方向Yに沿って複数の第1引き出し部101と交互に間隔を空けて形成されている。
【0228】
複数の第2引き出し部102は、複数の第1引き出し部101を挟み込んでいてもよい。また、複数の第2引き出し部102は、複数の第1引き出し部101と隣り合うように形成されていてもよい。スリット100、複数の第1引き出し部101および複数の第2引き出し部102は、第1パターン93における電流のループ回路の形成を抑制する。
【0229】
第2方向Yに関して第1中間ライン98の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1中間ライン98の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1中間ライン98の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0230】
互いに隣り合う2つの第1中間ライン98の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1中間ライン98のピッチは、第2方向Yに関して、互いに隣り合う複数の第1中間ライン98の間の距離によって定義される。第1中間ライン98のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1中間ライン98のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0231】
第1中間ライン98の幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。第1中間ライン98の幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、第1中間ライン98の幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0232】
第1中間ライン98の間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。第1中間ライン98の間のピッチが互いに等しいとは、第1中間ライン98の間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0233】
第1中間ライン98のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。第1中間ライン98のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、第1中間ライン98のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。
【0234】
図7および
図11を参照して、第2パターン94は、第1高電圧配線33を介して高電圧パッド12に電気的に接続されている。第2パターン94は、この形態では、第1パターン93の第2外周ライン97を介して第1高電圧配線33(第5高電圧パッド12E)に電気的に接続されている。第2パターン94は、第2領域90を覆い隠すように密なライン状に引き回されている。
【0235】
第2パターン94は、前述の第2外周ライン97、第3外周ライン103および複数の第2中間ライン104を含む。第3外周ライン103は、第3変圧器21Cの高電圧コイル23の周囲に沿って帯状に延びる部分である。第2中間ライン104は、第2領域90を帯状に延びる部分である。
【0236】
第3外周ライン103は、この形態では、平面視において第3領域91に開放部を有するリング形状に形成されている。第3外周ライン103の開放部の幅は、第3変圧器21Cの高電圧コイル23の第2方向Yに沿う幅未満である。
【0237】
第3外周ライン103の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第3外周ライン103の幅は、第3外周ライン103が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。第3外周ライン103の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第3外周ライン103の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0238】
第3外周ライン103および高電圧コイル23(第3変圧器21C)の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第3外周ライン103および高電圧コイル23の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第3外周ライン103および高電圧コイル23の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0239】
第3外周ライン103の幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。第3外周ライン103の幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、第3外周ライン103の幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0240】
第3外周ライン103および高電圧コイル23の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。第3外周ライン103および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、第3外周ライン103および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。
【0241】
複数の第2中間ライン104は、第2領域90において第2外周ライン97および第3外周ライン103の間の領域を帯状に延びている。複数の第2中間ライン104は、第2外周ライン97および第3外周ライン103を電気的に接続する少なくとも1つ(この形態では1つ)の第2接続ライン105を含む。
【0242】
電流のループ回路の形成を防止する観点から、複数の第2中間ライン104は、第2接続ライン105を1つだけ含むことが好ましい。第2接続ライン105は、他の第2中間ライン104の幅を超える幅を有していてもよい。第2接続ライン105の位置は任意であり、特定の箇所に限定されない。
【0243】
複数の第2中間ライン104のうちの少なくとも1つには、電流のループ回路を遮断するスリット106が形成されている。スリット106の位置は、複数の第2中間ライン104のデザインによって適宜調整されるものであり、特定の箇所に限定されない。
【0244】
複数の第2中間ライン104は、複数の高電圧コイル23の対向方向に沿って延びる帯状に形成されていることが好ましい。複数の第2中間ライン104は、この形態では、第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数の第2中間ライン104は、平面視において全体として第1方向Xに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0245】
複数の第2中間ライン104は、この形態では、複数の第3引き出し部107および複数の第4引き出し部108を含む。複数の第3引き出し部107は、第2外周ライン97から第3外周ライン103に向けてストライプ状に引き出されている。複数の第3引き出し部107の先端部は、第3外周ライン103から第2外周ライン97側に間隔を空けて形成されている。
【0246】
複数の第4引き出し部108は、第3外周ライン103から第2外周ライン97に向けてストライプ状に引き出されている。複数の第4引き出し部108の先端部は、第2外周ライン97から第3外周ライン103側に間隔を空けて形成されている。
【0247】
複数の第4引き出し部108は、この形態では、1つの第3引き出し部107を第2方向Yから挟み込む態様で、第2方向Yに沿って複数の第3引き出し部107と交互に間隔を空けて形成されている。
【0248】
複数の第4引き出し部108は、複数の第3引き出し部107を挟み込んでいてもよい。また、複数の第4引き出し部108は、複数の第3引き出し部107と隣り合うように形成されていてもよい。スリット106、複数の第3引き出し部107および複数の第4引き出し部108は、第2パターン94における電流のループ回路の形成を抑制する。
【0249】
第2方向Yに関して第2中間ライン104の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2中間ライン104の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第2中間ライン104の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0250】
互いに隣り合う2つの第2中間ライン104の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2中間ライン104の間のピッチは、第2方向Yに関して、互いに隣り合う複数の第2中間ライン104の間の距離によって定義される。第2中間ライン104の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第2中間ライン104の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0251】
第2中間ライン104の幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。第2中間ライン104の幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、第2中間ライン104の幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0252】
第2中間ライン104の間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。第2中間ライン104の間のピッチが互いに等しいとは、第2中間ライン104の間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0253】
第2中間ライン104の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。第2中間ライン104の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、第2中間ライン104の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。
【0254】
図7および
図12を参照して、第3パターン95は、第1高電圧配線33に電気的に接続されている。第3パターン95は、この形態では、第2パターン94および第1パターン93を介して第1高電圧配線33に電気的に接続されている。
【0255】
第3パターン95は、第3領域91の一部の領域を覆い隠すように密なライン状に引き回されている。第3パターン95は、平面視において高電圧パッド12(第6高電圧パッド12F)から間隔を空けて第3領域91に形成されている。つまり、第3パターン95は、平面視において高電圧パッド12とは重なっていない。
【0256】
第3パターン95は、平面視において低電圧接続配線72から間隔を空けて形成されている。つまり、第3パターン95は、平面視において低電圧接続配線72とは重なっていない。これにより、法線方向Zに関して、第3パターン95および低電圧接続配線72の間の絶縁距離を増加させることができるから、絶縁積層構造51の絶縁耐圧を高めることができる。
【0257】
第3パターン95は、前述の第3外周ライン103、第4外周ライン109および複数の第3中間ライン110を含む。第4外周ライン109は、第4変圧器21Dの高電圧コイル23の周囲に沿って帯状に延びる部分である。第3中間ライン110は、第3領域91を帯状に延びる部分である。
【0258】
第4外周ライン109は、この形態では、平面視において第3領域91に開放部を有するリング形状に形成されている。第4外周ライン109の開放部の幅は、第4変圧器21Dの高電圧コイル23の第2方向Yに沿う幅未満である。第4外周ライン109の開放部は、第1方向Xに沿って第3外周ライン103の開放部と対向している。
【0259】
第4外周ライン109の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第4外周ライン109の幅は、第4外周ライン109が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。第4外周ライン109の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第4外周ライン109の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0260】
第4外周ライン109および高電圧コイル23(第4変圧器21D)の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第4外周ライン109および高電圧コイル23の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第4外周ライン109および高電圧コイル23の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0261】
第4外周ライン109の幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。第4外周ライン109の幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、第4外周ライン109の幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0262】
第4外周ライン109および高電圧コイル23のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことを意味する。第4外周ライン109および高電圧コイル23のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、第4外周ライン109および高電圧コイル23のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。
【0263】
複数の第3中間ライン110は、第3領域91において第3外周ライン103および第4外周ライン109の間の領域を帯状に延びている。複数の第3中間ライン110は、第3外周ライン103および第4外周ライン109を電気的に接続する少なくとも1つ(この形態では1つ)の第3接続ライン111を含む。
【0264】
電流のループ回路の形成を防止する観点から、複数の第3中間ライン110は、第3接続ライン111を1つだけ含むことが好ましい。第3接続ライン111の位置は任意であり、特定の箇所に限定されない。
【0265】
複数の第3中間ライン110のうちの少なくとも1つには、電流のループ回路を遮断するスリット112が形成されている。スリット112の位置は、複数の第3中間ライン110のデザインによって適宜調整されるものであり、特定の箇所に限定されない。
【0266】
複数の第3中間ライン110は、複数の高電圧コイル23の対向方向に沿って延びる帯状に形成されていることが好ましい。複数の第3中間ライン110は、この形態では、第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数の第3中間ライン110は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
【0267】
複数の第3中間ライン110は、この形態では、複数の第5引き出し部113および複数の第6引き出し部114を含む。複数の第5引き出し部113は、第3外周ライン103から第4外周ライン109に向けてストライプ状に引き出されている。複数の第5引き出し部113の先端部は、第4外周ライン109から第3外周ライン103側に間隔を空けて形成されている。
【0268】
複数の第6引き出し部114は、第4外周ライン109から第3外周ライン103に向けてストライプ状に引き出されている。複数の第6引き出し部114の先端部は、第3外周ライン103から第4外周ライン109側に間隔を空けて形成されている。
【0269】
複数の第6引き出し部114は、この形態では、1つの第5引き出し部113を第2方向Yから挟み込む態様で、第2方向Yに沿って複数の第5引き出し部113と交互に間隔を空けて形成されている。
【0270】
複数の第6引き出し部114は、複数の第5引き出し部113を挟み込んでいてもよい。また、複数の第6引き出し部114は、複数の第5引き出し部113と隣り合うように形成されていてもよい。スリット112、複数の第5引き出し部113および複数の第6引き出し部114は、第3パターン95における電流のループ回路の形成を抑制する。
【0271】
第2方向Yに関して第3中間ライン110の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第3中間ライン110の幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第3中間ライン110の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0272】
互いに隣り合う2つの第3中間ライン110の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第3中間ライン110の間のピッチは、第2方向Yに関して、互いに隣り合う複数の第3中間ライン110の間の距離によって定義される。第3中間ライン110の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第3中間ライン110の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0273】
第3中間ライン110の幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。第3中間ライン110の幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、第3中間ライン110の幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0274】
第3中間ライン110の間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。第3中間ライン110の間のピッチが互いに等しいとは、第3中間ライン110の間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0275】
第3中間ライン110の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。第3中間ライン110の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、第3中間ライン110の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。
【0276】
図7〜
図12を参照して、第2高電圧ダミーパターン88は、この形態では、第1高電圧ダミーパターン87を介して高電圧パッド12に電気的に接続されている。第2高電圧ダミーパターン88は、より具体的には、第1高電圧ダミーパターン87に接続された第2接続部115を含む。第2接続部115の位置は任意である。これにより、第2高電圧ダミーパターン88は、複数の高電圧コイル23と同電位に固定される。
【0277】
第2高電圧ダミーパターン88は、第1領域89、第2領域90および第3領域91外の領域において、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を抑制し、複数の高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。
【0278】
第2高電圧ダミーパターン88は、この形態では、平面視において複数の高電圧コイル23および複数の高電圧パッド12A〜12Fを含む領域を一括して取り囲んでいる。第2高電圧ダミーパターン88は、この形態では、平面視において長円環状(楕円環状)に形成されている。
【0279】
これにより、第2高電圧ダミーパターン88は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、第2高電圧ダミーパターン88は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0280】
また、第2高電圧ダミーパターン88は、平面視においてフィールド電極61および複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、第2高電圧ダミーパターン88は、フィールド電極61および複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0281】
第2高電圧ダミーパターン88は、この形態では、複数(この形態では6個)の高電圧ライン116A,116B,116C,116D,116E,116Fを含む。高電圧ラインの個数は、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり特定の値に限定されない。複数の高電圧ライン116A〜116Fは、複数の高電圧コイル23から離れる方向にこの順に間隔を空けて形成されている。
【0282】
複数の高電圧ライン116A〜116Fは、平面視において複数の高電圧コイル23を一括して取り囲んでいる。複数の高電圧ライン116A〜116Fは、より具体的には、平面視において複数の高電圧コイル23および複数の高電圧パッド12A〜12Fを含む領域を一括して取り囲んでいる。複数の高電圧ライン116A〜116Fは、この形態では、平面視において長円環状(楕円環状)に形成されている。
【0283】
複数の高電圧ライン116A〜116Fには、電流のループ回路を遮断するスリット117がそれぞれ形成されている。スリット117の位置は、複数の高電圧ライン116A〜116Fのデザインによって適宜調整されるものであり、特定の箇所に限定されない。
【0284】
高電圧ライン116A〜116Fの幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン116A〜116Fの幅は、高電圧ライン116A〜116Fが延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。高電圧ライン116A〜116Fの幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン116A〜116Fの幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0285】
互いに隣り合う2つの高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0286】
互いに隣り合う第1高電圧ダミーパターン87および第2高電圧ダミーパターン88の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1高電圧ダミーパターン87および第2高電圧ダミーパターン88の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1高電圧ダミーパターン87および第2高電圧ダミーパターン88の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0287】
高電圧ライン116A〜116Fの幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。高電圧ライン116A〜116Fの幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、高電圧ライン116A〜116Fの幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0288】
高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチが互いに等しいとは、高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0289】
高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、高電圧ライン116A〜116Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0290】
これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。複数の高電圧ライン116A〜116Fの個数、幅およびピッチは、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり特定の値に限定されない。
【0291】
図7〜
図12を参照して、シールド導体層85は、平面視において変圧器21A〜21Dの周囲に位置するように絶縁積層構造51内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターン121を含む。浮遊ダミーパターン121は、高電圧コイル23および低電圧コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21A〜21Dから独立している。つまり、浮遊ダミーパターン121は、変圧器21A〜21Dとしては機能しない。
【0292】
浮遊ダミーパターン121は、この形態では、平面視において高電圧コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。浮遊ダミーパターン121は、有端状に形成されていてもよいし、無端状に形成されていてもよい。
【0293】
浮遊ダミーパターン121は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。浮遊ダミーパターン121のライン密度が高電圧コイル23のライン密度と等しいとは、浮遊ダミーパターン121のライン密度が高電圧コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0294】
また、浮遊ダミーパターン121は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧ダミーパターン86のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。浮遊ダミーパターン121のライン密度が高電圧ダミーパターン86のライン密度と等しいとは、浮遊ダミーパターン121のライン密度が高電圧ダミーパターン86のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0295】
浮遊ダミーパターン121は、変圧器21A〜21Dにおいて低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽し、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。浮遊ダミーパターン121は、より具体的には、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を高電圧コイル23から離れる方向に分散させるように、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽する。これにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。
【0296】
浮遊ダミーパターン121は、さらに具体的には、高電圧ダミーパターン86の周囲において高電圧ダミーパターン86の上側に漏れ出す電界を高電圧コイル23および高電圧ダミーパターン86から離れる方向に分散させる。これにより、高電圧ダミーパターン86に対する電界集中を抑制できると同時に、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0297】
絶縁積層構造51の内部における浮遊ダミーパターン121の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。浮遊ダミーパターン121は、法線方向Zに関して低電圧コイル22に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。
【0298】
法線方向Zに関して浮遊ダミーパターン121が高電圧コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、浮遊ダミーパターン121および高電圧コイル23の間の距離が、浮遊ダミーパターン121および低電圧コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0299】
この場合、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、浮遊ダミーパターン121および高電圧コイル23の間の距離を小さくするほど、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。浮遊ダミーパターン121は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電圧コイル23に対する電界集中をさらに適切に抑制できる。
【0300】
浮遊ダミーパターン121は、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0301】
浮遊ダミーパターン121は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0302】
浮遊ダミーパターン121は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0303】
浮遊ダミーパターン121は、平面視においてフィールド電極61および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0304】
浮遊ダミーパターン121は、平面視において複数の高電圧コイル23に沿うように形成されている。浮遊ダミーパターン121は、より具体的には、平面視において複数の高電圧コイル23および複数の高電圧パッド12を含む領域を一括して取り囲んでいる。浮遊ダミーパターン121は、この形態では、平面視において高電圧ダミーパターン86(第2高電圧ダミーパターン88)を挟んで複数の高電圧コイル23および複数の高電圧パッド12を含む領域を一括して取り囲んでいる。
【0305】
これにより、浮遊ダミーパターン121は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、浮遊ダミーパターン121は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fおよび複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0306】
また、浮遊ダミーパターン121は、平面視においてフィールド電極61および複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、浮遊ダミーパターン121は、フィールド電極61および複数の高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0307】
浮遊ダミーパターン121は、この形態では、複数(この形態では6個)の浮遊ライン122A,122B,122C,122D,122E,122Fを含む。浮遊ラインの個数は、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり特定の値に限定されない。複数の浮遊ライン122A〜122Fは、複数の高電圧コイル23から離れる方向にこの順に間隔を空けて形成されている。
【0308】
複数の浮遊ライン122A〜122Fは、平面視において複数の高電圧コイル23を一括して取り囲んでいる。複数の浮遊ライン122A〜122Fは、より具体的には、平面視において複数の高電圧コイル23および複数の高電圧パッド12A〜12Fを含む領域を一括して取り囲んでいる。複数の浮遊ライン122A〜122Fは、この形態では、平面視において長円環状(楕円環状)に形成されている。
【0309】
浮遊ライン122A〜122Fの幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン122A〜122Fの幅は、浮遊ライン122A〜122Fが延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。浮遊ライン122A〜122Fの幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン122A〜122Fの幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0310】
互いに隣り合う2つの浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0311】
浮遊ダミーパターン121および高電圧ダミーパターン86(第2高電圧ダミーパターン88)の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ダミーパターン121および高電圧ダミーパターン86の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ダミーパターン121および高電圧ダミーパターン86の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0312】
浮遊ライン122A〜122Fの幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。浮遊ライン122A〜122Fの幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、浮遊ライン122A〜122Fの幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0313】
浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチが互いに等しいとは、浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0314】
浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
図10〜
図12では、明瞭化のため、浮遊ライン122A〜122Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチを超えている例が示されている。
【0315】
浮遊ダミーパターン121および高電圧ダミーパターン86の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。浮遊ダミーパターン121および高電圧ダミーパターン86の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、浮遊ダミーパターン121および高電圧ダミーパターン86の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0316】
これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。複数の浮遊ライン122A〜122Fの個数、幅およびピッチは、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり、特定の値に限定されない。
【0317】
図8および
図9を参照して、電子部品5は、絶縁積層構造51の絶縁主面52の上に形成された保護絶縁層140をさらに含む。保護絶縁層140は、パッシベーション層と称されてもよい。保護絶縁層140は、絶縁主面52を被覆し、絶縁積層構造51や基板41を保護する。
【0318】
保護絶縁層140は、この形態では、第1保護層141および第2保護層142を含む積層構造を有している。第1保護層141は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第1保護層141は、不純物無添加の酸化シリコンであるUSG(undoped silicate glass)を含むことが好ましい。第1保護層141の厚さは、50nm以上200nm以下(たとえば150nm程度)であってもよい。第1保護層141の厚さは、前記数値に限らず、50nm以上5000nm以下であってもよい。
【0319】
第2保護層142は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第2保護層142の厚さは、500nm以上1500nm以下(たとえば1000nm程度)であってもよい。第2保護層142の厚さは、前記数値に限らず、500nm以上5000nm以下であってもよい。保護絶縁層140の総厚さを大きくすることにより、高電圧コイル23上の絶縁耐圧を高めることができる。
【0320】
第1保護層141がUSGからなり、第2保護層142が窒化シリコンからなる場合、USGの絶縁破壊電圧(V/cm)は窒化シリコンの絶縁破壊電圧(V/cm)を超える。したがって、保護絶縁層140を厚化する場合、第2保護層142よりも厚い第1保護層141が形成されることが好ましい。
【0321】
第1保護層141は、酸化シリコンの一例としてのBPSG(boron doped phosphor silicate glass)およびPSG(phosphorus silicate glass)のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。ただし、この場合、酸化シリコン内に不純物(ホウ素やリン)が含まれるため、高電圧コイル23上の絶縁耐圧を高める上では、USGからなる第1保護層141が形成されることが特に好ましい。むろん、保護絶縁層140は、第1保護層141および第2保護層142のいずれか一方からなる単層構造を有していてもよい。
【0322】
保護絶縁層140は、複数の低電圧サブパッド開口143および複数の高電圧サブパッド開口144を有している。複数の低電圧サブパッド開口143は、複数の低電圧パッド11をそれぞれ露出させている。複数の高電圧サブパッド開口144は、複数の高電圧パッド12をそれぞれ露出させている。
【0323】
保護絶縁層140は、低電圧パッド11の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。保護絶縁層140は、高電圧パッド12の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。
【0324】
電子部品5は、保護絶縁層140の上に形成された樹脂層145をさらに含む。樹脂層145は、感光性樹脂を含んでいてもよい。樹脂層145は、感光性樹脂の一例としてのポリベンゾオキサゾールおよび/またはポリイミドを含んでいてもよい。樹脂層145の厚さは、1μm以上20μm以下(たとえば4μm程度)であってもよい。むろん、樹脂層145の厚さは、20μm以上(たとえば1μm以上50μm以下)であってもよい。樹脂層145を厚くすることにより、高電圧コイル23上の絶縁耐圧を適切に高めることができる。
【0325】
樹脂層145は、保護絶縁層140の総厚さを超えていることが好ましい。さらに、保護絶縁層140および樹脂層145の総厚さは、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の距離D2以上であることが好ましい。この場合、保護絶縁層140の総厚さは2μm以上10μm以下であることが好ましい。また、樹脂層145の厚さは5μm以上50μm以下であることが好ましい。これらの構造によれば、保護絶縁層140および樹脂層145の厚化を抑制できると同時に、保護絶縁層140および樹脂層145の積層膜によって高電圧コイル23上の絶縁耐圧を適切に高めることができる。
【0326】
樹脂層145は、低電圧側の領域を被覆する第1樹脂層146および高電圧側の領域を被覆する第2樹脂層147を含む。第1樹脂層146は、フィールド電極61を被覆している。第1樹脂層146は、複数の低電圧パッド11(低電圧サブパッド開口143)をそれぞれ露出させる複数の低電圧パッド開口148を有している。第1樹脂層146は、低電圧サブパッド開口143の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0327】
第2樹脂層147は、第1樹脂層146から間隔を空けて形成され、第1樹脂層146との間から保護絶縁層140を露出させている。第2樹脂層147は、複数の高電圧パッド12(高電圧サブパッド開口144)をそれぞれ露出させる複数の高電圧パッド開口149を有している。第2樹脂層147は、高電圧サブパッド開口144の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0328】
第2樹脂層147は、変圧器21A〜21Dおよびシールド導体層85を一括して被覆している。第2樹脂層147は、より具体的には、複数の高電圧コイル23、複数の高電圧パッド12、第1高電圧ダミーパターン87、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を一括して被覆している。
【0329】
樹脂層145が形成されていない場合、パッケージ本体2(封止樹脂)に含有されるフィラーに起因して複数の高電圧コイル23、複数の高電圧パッド12、フィールド電極61、第1高電圧ダミーパターン87、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121にダメージが生じる場合がある。この種のダメージはフィラーアタックと称される。
【0330】
樹脂層145は、パッケージ本体2(封止樹脂)に含有されるフィラーから複数の高電圧コイル23、複数の高電圧パッド12、フィールド電極61、第1高電圧ダミーパターン87、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を保護する。
【0331】
第1樹脂層146および第2樹脂層147の間のスリットは、パッケージ本体2(封止樹脂)に対するアンカー部として機能する。パッケージ本体2(封止樹脂)の一部は、第1樹脂層146および第2樹脂層147の間のスリットに入り込んでいる。これにより、電子部品5に対するパッケージ本体2(封止樹脂)の密着力が高められる。
【0332】
むろん、第1樹脂層146および第2樹脂層147は一体的に形成されていてもよい。また、樹脂層145は、第1樹脂層146および第2樹脂層147のいずれか一方だけを含んでいてもよい。ただし、この場合には、フィラーアタックに留意する必要がある。
【0333】
図13は、平均瞬時絶縁破壊電圧(絶縁耐圧)を示すグラフである。
図13において、縦軸は平均瞬時絶縁破壊電圧[KV・rms]を示し、横軸は項目を示している。平均瞬時絶縁破壊電圧が高いほど、絶縁積層構造51の耐圧が高いことを意味する。
図13には、第1棒グラフG1、第2棒グラフG2、第3棒グラフG3および第4棒グラフG4が示されている。
【0334】
第1棒グラフG1は、第1構造に係る電子部品5の平均瞬時絶縁破壊電圧を示している。第1構造に係る電子部品5では、シールド導体層85が形成されていない。第2棒グラフG2は、第2構造に係る電子部品5の平均瞬時絶縁破壊電圧を示している。第2構造に係る電子部品5では、第2高電圧ダミーパターン88だけを含むシールド導体層85が形成されている。
【0335】
第3棒グラフG3は、第3構造に係る電子部品5の平均瞬時絶縁破壊電圧を示している。第3構造に係る電子部品5では、浮遊ダミーパターン121および第2高電圧ダミーパターン88だけを含むシールド導体層85が形成されている。
【0336】
第4棒グラフG4は、第4構造に係る電子部品5の平均瞬時絶縁破壊電圧を示している。第4構造に係る電子部品5では、第1高電圧ダミーパターン87、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を含むシールド導体層85が形成されている。
【0337】
第1棒グラフG1および第2棒グラフG2を参照して、第2高電圧ダミーパターン88を形成することにより、平均瞬時絶縁破壊電圧が11.2%増加した。第2棒グラフG2および第3棒グラフG3を参照して、第2高電圧ダミーパターン88に加えて浮遊ダミーパターン121を形成することにより、平均瞬時絶縁破壊電圧が13.2%増加した。
【0338】
第3棒グラフG3および第4棒グラフG4を参照して、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121に加えて第1高電圧ダミーパターン87を形成することにより、平均瞬時絶縁破壊電圧が6.2%増加した。
【0339】
第1棒グラフG1および第4棒グラフG4を参照して、第1高電圧ダミーパターン87、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を形成することにより、平均瞬時絶縁破壊電圧が13.37%増加した。
【0340】
図14は、高電圧コイル23の近傍の等電位線(電界分布)をシミュレーションによって調べた図である。
図14では、前述の第1構造に係る電子部品5の電界分布が示されている。
【0341】
図14を参照して、第1構造に係る電子部品5の場合、等電位線は、高電圧コイル23の上側に回り込み、高電圧コイル23の周縁に集中している。つまり、第1構造に係る電子部品5の場合では、電界が、高電圧コイル23の周縁に集中していることが分かる。平均瞬時絶縁破壊電圧は、この種の電界集中によって低下する。
【0342】
図15Aは、第1高電圧ダミーパターン87の近傍の等電位線(電界分布)をシミュレーションによって調べた図である。
図15Aでは、前述の第4構造に係る電子部品5の電界分布が示されている。
【0343】
図15Aを参照して、第4構造に係る電子部品5の場合、等電位線は、高電圧コイル23および第1高電圧ダミーパターン87を迂回し、第1高電圧ダミーパターン87の上側に漏れ出している。つまり、第4構造に係る電子部品5の場合では、電界は、高電圧コイル23には集中していない。これにより、平均瞬時絶縁破壊電圧を高めることができる。
【0344】
具体的な図示は省略されるが、第2高電圧ダミーパターン88も、第1高電圧ダミーパターン87と同様の効果を奏する。すなわち、第2高電圧ダミーパターン88の近傍では、等電位線は、高電圧コイル23および第2高電圧ダミーパターン88を迂回し、第2高電圧ダミーパターン88の上側に漏れ出す。これにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できるから、平均瞬時絶縁破壊電圧を高めることができる。
【0345】
図15Bは、浮遊ダミーパターン121の近傍の電界分布をシミュレーションによって調べた図である。
図15Bでは、前述の第4構造に係る電子部品5の電界分布が示されている。
【0346】
図15Bを参照して、第4構造に係る電子部品5の場合、等電位線は、互いに隣り合う浮遊ダミーパターン121の間の領域から高電圧コイル23の上側に漏れ出している。つまり、第4構造に係る電子部品5の場合、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界が、浮遊ダミーパターン121によって間引かれている。これにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できるから、平均瞬時絶縁破壊電圧を高めることができる。
【0347】
等電位線は、より具体的には、互いに隣り合う浮遊ダミーパターン121の間の領域から高電圧ダミーパターン86の上側に漏れ出している。つまり、第4構造に係る電子部品5の場合、高電圧ダミーパターン86の上側に漏れ出す電界が、浮遊ダミーパターン121によって間引かれている。
【0348】
高電圧ダミーパターン86および浮遊ダミーパターン121を含むシールド導体層85において、高電圧ダミーパターン86は、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を高電圧コイル23から遠ざける。一方、浮遊ダミーパターン121は、高電圧コイル23から離れた領域において、高電圧ダミーパターン86の上側に漏れ出す電界を高電圧コイル23および高電圧ダミーパターン86から離れる方向に分散させる。これにより、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できるから、平均瞬時絶縁破壊電圧を適切に高めることができる。
【0349】
このように、第1高電圧ダミーパターン87、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を含むシールド導体層85を形成することにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制でき、平均瞬時絶縁破壊電圧を増加させることができることが分かった。また、
図14、
図15Aおよび
図15Bの結果から、シールド導体層85は、第1高電圧ダミーパターン87、浮遊ダミーパターン121および第2高電圧ダミーパターン88のうちの少なくとも1つを含んでいればよいことが分かった。
【0350】
以上、電子部品5は、平面視において高電圧コイル23の周囲に位置するように絶縁積層構造51内に形成されたシールド導体層85を含む。シールド導体層85は、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間に形成される電界を遮蔽し、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。これにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制し、平均瞬時絶縁破壊電圧を向上できる。
【0351】
シールド導体層85は、この形態では、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域に介在している。これにより、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域を利用して複数の高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。
【0352】
シールド導体層85は、この形態では、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在している。これにより、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0353】
シールド導体層85は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在している。これにより、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0354】
シールド導体層85は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在している。これにより、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0355】
シールド導体層85は、平面視においてフィールド電極61および高電圧パッド12の間の領域に介在している。これにより、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0356】
シールド導体層85は、平面視において高電圧コイル23の周囲に形成された高電圧ダミーパターン86を含む。高電圧ダミーパターン86は、高電圧コイル23の周囲の領域において、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を抑制する。これにより、高電圧コイル23の周囲の領域において、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0357】
シールド導体層85は、より具体的には、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域に介在する第1高電圧ダミーパターン87を含む。第1高電圧ダミーパターン87は、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域において、複数の高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を抑制する。これにより、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域において、複数の高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0358】
また、シールド導体層85は、平面視において互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域外の領域に位置する第2高電圧ダミーパターン88を含む。第2高電圧ダミーパターン88は、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域外の領域において、複数の高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を抑制する。これにより、互いに隣り合う複数の高電圧コイル23の間の領域外の領域において、複数の高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0359】
また、シールド導体層85は、平面視において高電圧コイル23の周囲に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターン121を含む。浮遊ダミーパターン121は、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を分散させるように、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽する。これにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。
【0360】
浮遊ダミーパターン121は、さらに具体的には、高電圧ダミーパターン86の周囲において高電圧ダミーパターン86の上側に漏れ出す電界を分散させる。これにより、高電圧ダミーパターン86に対する電界集中を抑制できると同時に、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0361】
図14から理解されるように、シールド導体層85は、第1高電圧ダミーパターン87、浮遊ダミーパターン121および第2高電圧ダミーパターン88の全てを含むことが好ましい。しかし、第1高電圧ダミーパターン87、浮遊ダミーパターン121および第2高電圧ダミーパターン88のいずれか1つまたは2つを含むシールド導体層85によっても、平均瞬時絶縁破壊電圧を向上させることができる。
【0362】
つまり、第1高電圧ダミーパターン87だけを有するシールド導体層85が採用されてもよい。また、第2高電圧ダミーパターン88だけを有するシールド導体層85が採用されてもよい。また、浮遊ダミーパターン121だけを有するシールド導体層85が採用されてもよい。
【0363】
また、第1高電圧ダミーパターン87および第2高電圧ダミーパターン88だけを有するシールド導体層85が採用されてもよい。また、第1高電圧ダミーパターン87および浮遊ダミーパターン121だけを有するシールド導体層85が採用されてもよい。また、第2高電圧ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121だけを有するシールド導体層85が採用されてもよい。
【0364】
また、第1高電圧ダミーパターン87は、浮遊ダミーパターン121に変更されてもよい。また、第1高電圧ダミーパターン87および第2高電圧ダミーパターン88は、浮遊ダミーパターン121に変更されてもよい。
【0365】
このような浮遊ダミーパターン121は、高電圧接続配線81(高電圧パッド12A〜12F)から第1高電圧ダミーパターン87および第2高電圧ダミーパターン88を切り離すことによって形成される。
【0366】
浮遊ダミーパターン121によれば、電気的に浮遊状態に形成されているので、高電圧コイル23との間で電圧降下を形成しない。したがって、浮遊ダミーパターン121によれば、高電圧コイル23との間の電界強度の増加を抑制しながら、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。ただし、浮遊ダミーパターン121の場合、高電圧コイル23の上側へ漏れ出す電界が存することに留意する。
【0367】
また、浮遊ダミーパターン121は、第2高電圧ダミーパターン88に変更されてもよい。ただし、この場合、低電圧パッド11(フィールド電極61)および第2高電圧ダミーパターン88の距離が近くなる結果、低電圧パッド11(フィールド電極61)および第2高電圧ダミーパターン88の間の電界強度が高くなる。電界強度が高くなると、高電圧コイル23や第2高電圧ダミーパターン88において不所望な電界集中が生じる可能性がある点に留意する。
【0368】
図16は、
図7に対応する平面図であって、本発明の第2実施形態に係る電子部品161を示す平面図である。
図17は、
図16に示すXVII-XVII線に沿う断面図である。以下では、電子部品5に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0369】
図16および
図17を参照して、電子部品161は、低電圧ダミーパターン162をさらに含む。
図16では、低電圧ダミーパターン162が太線によって示されている。低電圧ダミーパターン162は、高電圧コイル23および低電圧コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21A〜21Dから独立している。つまり、低電圧ダミーパターン162は、変圧器21A〜21Dとしては機能しない。
【0370】
高電圧パッド12に印加される電圧未満の電圧が、低電圧ダミーパターン162に印加される。低電圧パッド11に印加される電圧(つまり、基準電圧)が、低電圧ダミーパターン162に印加されることが好ましい。つまり、低電圧ダミーパターン162は、低電圧パッド11と同電位を成すことが好ましい。低電圧ダミーパターン162は、第2電極層79に接続された接続部163を含む。接続部163の位置は任意である。
【0371】
低電圧ダミーパターン162は、平面視において低電圧パッド11の周囲に形成されている。低電圧ダミーパターン162は、平面視において高電圧コイル23(高電圧パッド12)に対して低電圧パッド11に近接する領域に形成されている。
【0372】
平面視において低電圧ダミーパターン162が低電圧パッド11に近接するとは、平面視において低電圧ダミーパターン162および低電圧パッド11の間の距離が、低電圧ダミーパターン162および高電圧コイル23(高電圧パッド12)の間の距離未満であることを意味する。
【0373】
絶縁積層構造51の内部における低電圧ダミーパターン162の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。低電圧ダミーパターン162は、法線方向Zに関して絶縁積層構造51内において低電圧コイル22に対して低電圧パッド11に近接する領域に形成されていることが好ましい。
【0374】
法線方向Zに関して低電圧ダミーパターン162が低電圧パッド11に近接するとは、法線方向Zに関して、低電圧ダミーパターン162および低電圧パッド11の間の距離が、低電圧ダミーパターン162および低電圧コイル22の間の距離未満であることを意味する。低電圧ダミーパターン162は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。
【0375】
低電圧ダミーパターン162は、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。低電圧ダミーパターン162は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。
【0376】
低電圧ダミーパターン162は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。低電圧ダミーパターン162のライン密度が高電圧コイル23のライン密度と等しいとは、低電圧ダミーパターン162のライン密度が高電圧コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0377】
低電圧ダミーパターン162は、有端状に形成されていることが好ましい。この構造によれば、低電圧ダミーパターン162内に電流のループ回路が形成されることを適切に抑制できる。これにより、低電圧ダミーパターン162を流れる電流に起因するノイズを抑制できるから、ノイズに起因する不所望な電界集中を抑制できると同時に、変圧器21A〜21Dの電気的特性の変動を適切に抑制できる。
【0378】
低電圧ダミーパターン162は、この形態では、第1方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。低電圧ダミーパターン162は、平面視において複数の低電圧パッド11A〜11Fを横切っている。これにより、低電圧ダミーパターン162は、平面視において低電圧パッド11A〜11Fおよび高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、低電圧ダミーパターン162は、平面視において低電圧パッド11A〜11Fおよび高電圧パッド12A〜12Fの間の領域に介在している。
【0379】
低電圧ダミーパターン162は、この形態では、複数(この形態では3個)の低電圧ライン164A,164B,164Cを含む。複数の低電圧ライン164A〜163Cは、低電圧パッド11A〜11F側から高電圧パッド12A〜12F側に向けてこの順に間隔を空けて形成されている。複数の低電圧ライン164A〜163Cは、任意の低電圧接続配線72に電気的に接続されている。
【0380】
複数の低電圧ライン164A〜163Cは、平面視において第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。つまり、複数の低電圧ライン164A〜163Cは、平面視において全体として第1方向Xに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0381】
低電圧ライン164A〜163Cの幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。低電圧ライン164A〜163Cの幅は、低電圧ライン164A〜163Cが延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。低電圧ライン164A〜163Cの幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。低電圧ライン164A〜163Cの幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0382】
互いに隣り合う2つの低電圧ライン164A〜163Cの間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。低電圧ライン164A〜163Cの間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。低電圧ライン164A〜163Cの間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0383】
低電圧ライン164A〜163Cの幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。低電圧ライン164A〜163Cの幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、低電圧ライン164A〜163Cの幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0384】
低電圧ライン164A〜163Cの間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。低電圧ライン164A〜163Cの間のピッチが互いに等しいとは、低電圧ライン164A〜163Cの間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0385】
これらの構造によれば、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制できるから、不所望な電界集中を抑制できる。低電圧ライン164A〜163Cの個数、幅およびピッチは、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり特定の値に限定されない。
【0386】
低電圧ダミーパターン162は、チタン、窒化チタン、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。低電圧ダミーパターン162は、下地電極層および主電極層を含む積層構造を有していてもよい。
【0387】
下地電極層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。下地電極層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、下地電極層によって区画されたリセス空間に埋設される。主電極層は、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。
【0388】
低電圧ダミーパターン162は、高電圧コイル23と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。この場合、同一のレジストマスクおよびフォトマスクを利用して高電圧コイル23および低電圧ダミーパターン162を同時に形成できる。
【0389】
電子部品161は、絶縁積層構造51の絶縁主面52を被覆する主面絶縁層165をさらに含む。主面絶縁層165は、絶縁主面52の上において、低電圧パッド11A〜11F、高電圧パッド12A〜12F、樹脂層145、保護絶縁層140(第2保護層142)等を一括して被覆している。
【0390】
主面絶縁層165は、絶縁積層構造51の第1絶縁破壊強度BS1以下の第2絶縁破壊強度BS2(BS2≦BS1)を有している。第2絶縁破壊強度BS2は、より具体的には、第1絶縁破壊強度BS1未満(BS2<BS1)である。
【0391】
絶縁積層構造51は、より具体的には、窒化シリコンおよび/または酸化シリコンを含むことにより、1MV/cm以上15MV/cm以下の第1絶縁破壊強度BS1を有している。第1絶縁破壊強度BS1は、1MV/cm以上5MV/cm以下、5MV/cm以上10MV/cm以下、または、10MV/cm以上15MV/cm以下であってもよい。
【0392】
第1絶縁破壊強度BS1は、5MV/cm以上15MV/cm以下であることが好ましい。絶縁積層構造51は、1MV/cm以上の第1絶縁破壊強度BS1を有する限り、窒化シリコンおよび酸化シリコン以外の絶縁材料を含んでいてもよい。
【0393】
第2絶縁破壊強度BS2は、0.1MV/cm以上1MV/cm以下であってもよい。第2絶縁破壊強度BS2は、0.1MV/cm以上0.2MV/cm以下、0.2MV/cm以上0.4MV/cm以下、0.4MV/cm以上0.6MV/cm以下、0.6MV/cm以上0.8MV/cm以下、または、0.8MV/cm以上1MV/cm以下であってもよい。
【0394】
第2絶縁破壊強度BS2は、より具体的には、0.1MV/cm以上1MV/cm未満である。第2絶縁破壊強度BS2は、0.1MV/cm以上0.5MV/cm以下であってもよい。
【0395】
主面絶縁層165は、この形態では、樹脂層からなる。主面絶縁層165は、エポキシ樹脂層、ポリイミド樹脂層およびポリベンゾオキサゾール樹脂層のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。主面絶縁層165は、封止樹脂の一部によって形成されていてもよい。
【0396】
主面絶縁層165が封止樹脂の一部によって形成されている場合、主面絶縁層165は、パッケージ本体2の一部によって形成されていてもよい。つまり、主面絶縁層165は、パッケージ本体2によって封止された状態において、パッケージ本体2において絶縁積層構造51の絶縁主面52を被覆する部分を含んでいてもよい。
【0397】
低電圧パッド11A〜11Fおよび高電圧ダミーパターン86の間の電界強度は、低電圧ダミーパターン162および高電圧ダミーパターン86の間の距離に支配される。したがって、絶縁積層構造51において低電圧パッド11A〜11Fおよび高電圧ダミーパターン86の間の電界強度は、低電圧ダミーパターン162によって増加させられる。
【0398】
この一方で、絶縁積層構造51における電界強度の増加に起因して、主面絶縁層165における電界強度は低下する。つまり、低電圧ダミーパターン162は、比較的高い第1絶縁破壊強度BS1を有する絶縁積層構造51の電界強度を敢えて増加させると同時に、比較的低い第2絶縁破壊強度BS2を有する主面絶縁層165の電界強度を低下させる。これにより、主面絶縁層165の絶縁破壊耐量を相対的に向上できる。
【0399】
以上、電子部品161によれば、電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、電子部品161によれば、低電圧ダミーパターン162を含む。これにより、主面絶縁層165の絶縁破壊耐量を向上できる。よって、耐圧を高めることができる電子部品161を提供できる。
【0400】
図18は、本発明の第3実施形態に係る電子部品171の平面図である。
図19は、
図18に示す電子部品171において低電圧コイル22が形成された層を示す平面図である。
図20は、
図18に示す電子部品171において高電圧コイル23が形成された層を示す平面図である。
図21は、
図20に示すXXI-XXI線に沿う断面図である。
【0401】
前述の電子部品5は、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型のデバイスである。これに対して、電子部品171は、1つの変圧器21だけを含むシングルチャネル型のデバイスである。以下、電子部品5に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0402】
図18〜
図21を参照して、電子部品171は、電子部品5と同様に、複数(この形態では4個)の低電圧パッド11、複数(この形態では4個)の高電圧パッド12、変圧器21、複数(この形態では2個)の第1低電圧配線31、複数(この形態では2個)の第2低電圧配線32、複数(この形態では2個)の第1高電圧配線33、複数(この形態では2個)の第2高電圧配線34、基板41、絶縁積層構造51、フィールド電極61、保護絶縁層140および樹脂層145を含む。
【0403】
複数の低電圧パッド11は、デバイス形成領域62において絶縁積層構造51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の低電圧パッド11は、変圧器21から第2方向Yに間隔を空けて絶縁側面53B側の領域に形成され、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて配列されている。複数の低電圧パッド11の配置は任意であり、
図18に示される配置に限定されない。
【0404】
複数の低電圧パッド11は、第1低電圧パッド11Aおよび第2低電圧パッド11Bを含む。第1低電圧パッド11Aおよび第2低電圧パッド11Bは、この形態では、2個ずつ形成されている。第1低電圧パッド11Aおよび第2低電圧パッド11Bの個数は、任意であり、
図18に示される個数に限定されない。
【0405】
第1低電圧パッド11Aは、平面視において第2方向Yに変圧器21に対向している。第2低電圧パッド11Bは、この形態では、平面視において第2方向Yに変圧器21に対向しない。第1低電圧パッド11Aは、低電圧コイル22の第1内側末端24に電気的に接続されている。第2低電圧パッド11Bは、低電圧コイル22の第1外側末端25に電気的に接続されている。複数の低電圧パッド11の配置は任意であり、
図18に示される配置に限定されない。
【0406】
複数の高電圧パッド12は、デバイス形成領域62において複数の低電圧パッド11から間隔を空けて絶縁積層構造51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の高電圧パッド12は、複数の低電圧パッド11から第2方向Yに間隔を空けて絶縁側面53A側の領域に形成され、第1方向Xに沿って互いに間隔を空けて配列されている。
【0407】
複数の高電圧パッド12は、平面視において変圧器21に近接する領域に形成されている。平面視において複数の高電圧パッド12が変圧器21に近接するとは、平面視において高電圧パッド12および変圧器21の間の距離が、低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の距離未満であることを意味する。
【0408】
複数の高電圧パッド12は、より具体的には、平面視において第1方向Xに沿って変圧器21と対向するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。複数の高電圧パッド12は、さらに具体的には、平面視において高電圧コイル23の第2内側領域67および高電圧コイル23外の領域に位置するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。これにより、複数の高電圧パッド12および変圧器21は、平面視において第1方向Xに沿って一列に並んで配列されている。
【0409】
複数の高電圧パッド12は、第1高電圧パッド12Aおよび第2高電圧パッド12Bを含む。第1高電圧パッド12Aおよび第2高電圧パッド12Bは、この形態では、2個ずつ形成されている。第1高電圧パッド12Aおよび第2高電圧パッド12Bの個数は、任意であり、
図18に示される個数に限定されない。
【0410】
第1高電圧パッド12Aは、平面視において高電圧コイル23の第2内側領域67に形成されている。第2高電圧パッド12Bは、平面視において変圧器21外の領域に形成されている。第2高電圧パッド12Bは、この形態では、平面視において変圧器21および絶縁側面53Dの間の領域に形成されている。
【0411】
第1高電圧パッド12Aは、高電圧コイル23の第2内側末端27に電気的に接続されている。第2高電圧パッド12Bは、高電圧コイル23の第2外側末端28に電気的に接続されている。複数の高電圧パッド12の配置は任意であり、
図18に示される配置に限定されない。
【0412】
図19および
図21を参照して、第1低電圧配線31は、低電圧パッド11Aおよび低電圧コイル22の第1内側末端24に電気的に接続されている。第1低電圧配線31は、電子部品5と同様に、貫通配線71、低電圧接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77を含む。
【0413】
一方、第2低電圧配線32は、低電圧パッド11Bおよび低電圧コイル22の第1外側末端25に電気的に接続されている。第2低電圧配線32は、電子部品5と同様に、貫通配線71、低電圧接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77を含む。
【0414】
図20および
図21を参照して、第1高電圧配線33は、高電圧パッド12Aおよび高電圧コイル23の第1内側末端24に電気的に接続されている。第1高電圧配線33は、電子部品5と同様に、高電圧接続配線81およびパッドプラグ電極82を含む。
【0415】
一方、第2高電圧配線34は、高電圧パッド12Bおよび高電圧コイル23の第2外側末端28に電気的に接続されている。第2高電圧配線34は、電子部品5と同様に、高電圧接続配線81およびパッドプラグ電極82を含む。
【0416】
低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の距離D1は、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の距離D2を超えていることが好ましい(D2<D1)。また、距離D1は、複数の層間絶縁層57の総厚さDTを超えていることが好ましい(DT<D1)。
【0417】
距離D1に対する距離D2の比D2/D1は、0.01以上0.1以下であってもよい。比D2/D1は、0.01以上0.025以下、0.025以上0.05以下、0.05以上0.075以下、または、0.075以上0.1以下であってもよい。距離D1は、100μm以上500μm以下であってもよい。距離D1は、100μm以上200μm以下、200μm以上300μm以下、300μm以上400μm以下、または、400μm以上500μm以下であってもよい。距離D2は、1μm以上50μm以下であってもよい。距離D2は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。距離D1および距離D1の値は任意であり、実現すべき絶縁耐量に応じて適宜調整される。
【0418】
図20および
図21を参照して、電子部品171は、平面視において変圧器21の周囲に位置するように絶縁積層構造51内に形成されたシールド導体層172を含む。
図20では、シールド導体層172が太いラインによって示されている。
【0419】
シールド導体層172は、高電圧コイル23および低電圧コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21から独立している。つまり、シールド導体層172は、変圧器21としては機能しない。シールド導体層172は、変圧器21において低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽し、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。
【0420】
シールド導体層172は、この形態では、平面視において高電圧コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。シールド導体層172は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。シールド導体層172のライン密度が高電圧コイル23のライン密度と等しいとは、シールド導体層172のライン密度が高電圧コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0421】
シールド導体層172は、平面視において低電圧パッド11に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。平面視においてシールド導体層172が高電圧コイル23に近接するとは、シールド導体層172および高電圧コイル23の間の距離が、シールド導体層172および低電圧パッド11の間の距離未満であることを意味する。
【0422】
絶縁積層構造51の内部におけるシールド導体層172の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。シールド導体層172は、法線方向Zに関して低電圧コイル22に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。
【0423】
法線方向Zに関してシールド導体層172が高電圧コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、シールド導体層172および高電圧コイル23の間の距離が、シールド導体層172および低電圧コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0424】
この場合、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、シールド導体層172および高電圧コイル23の間の距離を小さくするほど、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。シールド導体層172は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電圧コイル23に対する電界集中をさらに適切に抑制できる。
【0425】
シールド導体層172は、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0426】
シールド導体層172は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0427】
シールド導体層172は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0428】
シールド導体層172は、平面視においてフィールド電極61および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0429】
シールド導体層172は、この形態では、平面視において高電圧コイル23に沿うように形成されている。シールド導体層172は、さらに具体的には、平面視において高電圧コイル23を取り囲んでいる。
【0430】
これにより、シールド導体層172は、平面視において複数の低電圧パッド11A,11Bおよび高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、シールド導体層172は、平面視において複数の低電圧パッド11A,11Bおよび高電圧パッド12Aの間の領域に介在している。
【0431】
また、シールド導体層172は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、シールド導体層172は、フィールド電極61および高電圧パッド12Aの間の領域に介在している。
【0432】
シールド導体層172は、チタン、窒化チタン、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。シールド導体層172は、下地電極層および主電極層を含む積層構造を有していてもよい。
【0433】
下地電極層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。下地電極層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、下地電極層によって区画されたリセス空間に埋設される。主電極層は、金、銀、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。主電極層は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。
【0434】
シールド導体層172は、高電圧コイル23と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。この場合、同一のレジストマスクおよびフォトマスクを利用して高電圧コイル23およびシールド導体層172を同時に形成できる。
【0435】
シールド導体層172は、この形態では、電気的状態が互いに異なる複数のダミーパターンを含む。以下、
図20および
図21を参照して、ダミーパターンの形態について具体的に説明する。
【0436】
図20および
図21を参照して、シールド導体層172は、高電圧ダミーパターン173を含む。高電圧ダミーパターン173は、平面視において変圧器21の周囲に位置するように絶縁積層構造51内に形成されている。高電圧ダミーパターン173は、高電圧コイル23および低電圧コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21から独立している。つまり、高電圧ダミーパターン173は、変圧器21としては機能しない。
【0437】
高電圧ダミーパターン173は、この形態では、平面視において高電圧コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。高電圧ダミーパターン173は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。高電圧ダミーパターン173のライン密度が高電圧コイル23のライン密度と等しいとは、高電圧ダミーパターン173のライン密度が高電圧コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0438】
高電圧ダミーパターン173は、変圧器21において低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽し、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。高電圧ダミーパターン173は、より具体的には、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽することによって、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を高電圧コイル23から遠ざける。これにより、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を起因とする高電圧コイル23の電界集中が、抑制される。
【0439】
低電圧コイル22に印加される電圧を超える電圧が、高電圧ダミーパターン173に印加される。これにより、高電圧コイル23および高電圧ダミーパターン173の間の電圧降下を抑制できるから、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。
【0440】
高電圧コイル23に印加される電圧が、高電圧ダミーパターン173に印加されることが好ましい。つまり、高電圧ダミーパターン173は、高電圧コイル23と同電位を成すことが好ましい。これにより、高電圧コイル23および高電圧ダミーパターン173の間の電圧降下を確実に抑制できるから、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0441】
高電圧ダミーパターン173は、この形態では、第1高電圧配線33を介して高電圧パッド12(第2高電圧パッド12B)に電気的に接続されている。高電圧ダミーパターン173は、より具体的には、第1高電圧配線33に接続された接続部174を含む。接続部174の位置は任意である。これにより、高電圧ダミーパターン173は、高電圧コイル23と同電位に固定される。
【0442】
絶縁積層構造51の内部における高電圧ダミーパターン173の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。高電圧ダミーパターン173は、法線方向Zに関して低電圧コイル22に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。
【0443】
法線方向Zに関して高電圧ダミーパターン173が高電圧コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間の距離が、高電圧ダミーパターン173および低電圧コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0444】
この場合、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間の距離を小さくするほど、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。高電圧ダミーパターン173は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電圧コイル23に対する電界集中をさらに適切に抑制できる。
【0445】
高電圧ダミーパターン173は、平面視において低電圧パッド11に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。平面視において高電圧ダミーパターン173が高電圧コイル23に近接するとは、高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間の距離が、高電圧ダミーパターン173および低電圧パッド11の間の距離未満であることを意味する。
【0446】
高電圧ダミーパターン173は、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0447】
高電圧ダミーパターン173は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0448】
高電圧ダミーパターン173は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0449】
高電圧ダミーパターン173は、平面視においてフィールド電極61および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0450】
高電圧ダミーパターン173は、この形態では、平面視において高電圧コイル23に沿うように形成されている。高電圧ダミーパターン173は、より具体的には、平面視において高電圧コイル23を取り囲んでいる。
【0451】
これにより、高電圧ダミーパターン173は、平面視において複数の低電圧パッド11A,11Bおよび高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、高電圧ダミーパターン173は、平面視において複数の低電圧パッド11A,11Bおよび高電圧パッド12Aの間の領域に介在している。
【0452】
また、高電圧ダミーパターン173は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、高電圧ダミーパターン173は、フィールド電極61および高電圧パッド12Aの間の領域に介在している。
【0453】
高電圧ダミーパターン173は、平面視において高電圧コイル23外の領域において、高電圧パッド12Bの直下の領域を露出させている。高電圧ダミーパターン173の一部は、法線方向Zに高電圧パッド12Bに対向していてもよい。
【0454】
この場合、高電圧パッド12Bは、高電圧ダミーパターン173と同様に、電界を遮蔽することによって、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を抑制する。つまり、高電圧パッド12Bは、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制するシールド導体層として形成されている。
【0455】
高電圧ダミーパターン173は、有端状に形成されていることが好ましい。この場合、電流のループ回路(閉回路)が高電圧ダミーパターン173に形成されることを抑制できる。これにより、高電圧ダミーパターン173を流れる電流に起因するノイズが抑制される。その結果、ノイズに起因する不所望な電界集中を抑制できると同時に、変圧器21の電気的特性の変動を抑制できる。
【0456】
高電圧ダミーパターン173は、この形態では、複数(この形態では6個)の高電圧ライン175A,175B,175C,175D,175E,175Fを含む。高電圧ラインの個数は、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり特定の値に限定されない。複数の高電圧ライン175A〜175Fは、変圧器21から離れる方向にこの順に間隔を空けて形成されている。
【0457】
複数の高電圧ライン175A〜175Fは、平面視において変圧器21を取り囲んでいる。複数の高電圧ライン175A〜175Fは、この形態では、平面視において円環状にそれぞれ形成されている。
【0458】
複数の高電圧ライン175A〜175Fには、電流のループ回路を遮断するスリット176がそれぞれ形成されている。スリット176の位置は複数の高電圧ライン175A〜175Fのデザインによって適宜調整されるものであり、特定の箇所に限定されない。
【0459】
高電圧ライン175A〜175Fの幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン175A〜175Fの幅は、高電圧ライン175A〜175Fが延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。高電圧ライン175A〜175Fの幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン175A〜175Fの幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0460】
互いに隣り合う2つの高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0461】
高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0462】
高電圧ライン175A〜175Fの幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。高電圧ライン175A〜175Fの幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、高電圧ライン175A〜175Fの幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0463】
高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチが互いに等しいとは、高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0464】
高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、高電圧ライン175A〜175Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0465】
高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、高電圧ダミーパターン173および高電圧コイル23の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0466】
これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。複数の高電圧ライン175A〜175Fの個数、幅およびピッチは、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり特定の値に限定されない。
【0467】
シールド導体層172は、平面視において変圧器21の周囲に位置するように絶縁積層構造51内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターン177を含む。浮遊ダミーパターン177は、高電圧コイル23および低電圧コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21から独立している。つまり、浮遊ダミーパターン177は、変圧器21としては機能しない。
【0468】
浮遊ダミーパターン177は、この形態では、平面視において高電圧コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。浮遊ダミーパターン177は、より具体的には、平面視において高電圧ダミーパターン173の周囲の領域に形成されている。浮遊ダミーパターン177は、有端状に形成されていてもよいし、無端状に形成されていてもよい。
【0469】
浮遊ダミーパターン177は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。浮遊ダミーパターン177のライン密度が高電圧コイル23のライン密度と等しいとは、浮遊ダミーパターン177のライン密度が高電圧コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0470】
また、浮遊ダミーパターン177は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電圧ダミーパターン173のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。浮遊ダミーパターン177のライン密度が高電圧ダミーパターン173のライン密度と等しいとは、浮遊ダミーパターン177のライン密度が高電圧ダミーパターン173のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0471】
浮遊ダミーパターン177は、変圧器21において低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽し、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制する。浮遊ダミーパターン177は、より具体的には、高電圧コイル23の上側に漏れ出す電界を高電圧コイル23から離れる方向に分散させるように、低電圧コイル22および高電圧コイル23の間の電界を遮蔽する。これにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。
【0472】
浮遊ダミーパターン177は、さらに具体的には、高電圧ダミーパターン173の周囲において高電圧ダミーパターン173の上側に漏れ出す電界を高電圧ダミーパターン86から離れる方向に分散させる。これにより、高電圧ダミーパターン173に対する電界集中を抑制できると同時に、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。
【0473】
絶縁積層構造51の内部における浮遊ダミーパターン177の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。浮遊ダミーパターン177は、法線方向Zに関して低電圧コイル22に対して高電圧コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。
【0474】
法線方向Zに関して浮遊ダミーパターン177が高電圧コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、浮遊ダミーパターン177および高電圧コイル23の間の距離が、浮遊ダミーパターン177および低電圧コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0475】
この場合、高電圧コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、浮遊ダミーパターン177および高電圧コイル23の間の距離を小さくするほど、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。浮遊ダミーパターン177は、高電圧コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電圧コイル23に対する電界集中をさらに適切に抑制できる。
【0476】
浮遊ダミーパターン177は、平面視において低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0477】
浮遊ダミーパターン177は、平面視において低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因する低電圧パッド11および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0478】
浮遊ダミーパターン177は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧コイル23の間の不所望な導通を抑制できる。
【0479】
浮遊ダミーパターン177は、平面視においてフィールド電極61および高電圧パッド12の間の領域に介在することが好ましい。この場合、高電圧コイル23の電界集中に起因するフィールド電極61および高電圧パッド12の間の不所望な導通を抑制できる。
【0480】
浮遊ダミーパターン177は、平面視において高電圧コイル23に沿うように形成されている。浮遊ダミーパターン177は、より具体的には、平面視において高電圧コイル23を取り囲んでいる。浮遊ダミーパターン177は、この形態では、平面視において高電圧ダミーパターン173を挟んで高電圧コイル23を含む領域を取り囲んでいる。
【0481】
これにより、浮遊ダミーパターン177は、平面視において複数の低電圧パッド11A,11Bおよび高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、浮遊ダミーパターン177は、平面視において複数の低電圧パッド11A,11Bおよび高電圧パッド12Aの間の領域に介在している。
【0482】
また、浮遊ダミーパターン177は、平面視においてフィールド電極61および高電圧コイル23の間の領域に介在している。また、浮遊ダミーパターン177は、フィールド電極61および高電圧パッド12Aの間の領域に介在している。
【0483】
浮遊ダミーパターン177は、この形態では、複数(この形態では6個)の浮遊ライン178A,178B,178C,178D,178E,178Fを含む。浮遊ラインの個数は、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり特定の値に限定されない。複数の浮遊ライン178A〜178Fは、高電圧コイル23から離れる方向にこの順に間隔を空けて形成されている。
【0484】
複数の浮遊ライン178A〜178Fは、平面視において高電圧コイル23を取り囲んでいる。複数の浮遊ライン178A〜178Fは、この形態では、平面視において円環状にそれぞれ形成されている。
【0485】
浮遊ライン178A〜178Fの幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン178A〜178Fの幅は、浮遊ライン178A〜178Fが延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。浮遊ライン178A〜178Fの幅は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン178A〜178Fの幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0486】
互いに隣り合う2つの浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0487】
浮遊ダミーパターン177および高電圧ダミーパターン173の間のピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ダミーパターン177および高電圧ダミーパターン173の間のピッチは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。浮遊ダミーパターン177および高電圧ダミーパターン173の間のピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0488】
浮遊ライン178A〜178Fの幅は、高電圧コイル23の幅と等しいことが好ましい。浮遊ライン178A〜178Fの幅が高電圧コイル23の幅と等しいとは、浮遊ライン178A〜178Fの幅が高電圧コイル23の幅の±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0489】
浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチは、互いに等しいことが好ましい。浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチが互いに等しいとは、浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチが当該ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0490】
浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、浮遊ライン178A〜178Fの間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0491】
浮遊ダミーパターン177および高電圧ダミーパターン173の間のピッチは、高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいことが好ましい。浮遊ダミーパターン177および高電圧ダミーパターン173の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチと等しいとは、浮遊ダミーパターン177および高電圧ダミーパターン173の間のピッチが高電圧コイル23の巻回ピッチの±20%以内の範囲に収まることを意味する。
【0492】
これらの構造は、絶縁積層構造51において電界の偏りを抑制する上で有効である。複数の浮遊ライン178A〜178Fの個数、幅およびピッチは、緩和すべき電界に応じて調整されるものであり、特定の値に限定されない。
【0493】
図21を参照して、保護絶縁層140は、複数の低電圧サブパッド開口143および複数の高電圧サブパッド開口144を有している。複数の低電圧サブパッド開口143は、複数の低電圧パッド11をそれぞれ露出させている。複数の高電圧サブパッド開口144は、複数の高電圧パッド12をそれぞれ露出させている。
【0494】
樹脂層145は、低電圧側の領域を被覆する第1樹脂層146および高電圧側の領域を被覆する第2樹脂層147を含む。第1樹脂層146は、フィールド電極61を被覆している。第1樹脂層146は、複数の低電圧パッド11(低電圧サブパッド開口143)をそれぞれ露出させる複数の低電圧パッド開口148を有している。
【0495】
第2樹脂層147は、第1樹脂層146から間隔を空けて形成されている。第2樹脂層147は、複数の高電圧パッド12(高電圧サブパッド開口144)をそれぞれ露出させる複数の高電圧パッド開口149を有している。
【0496】
第2樹脂層147は、変圧器21およびシールド導体層172を一括して被覆している。第2樹脂層147は、より具体的には、高電圧コイル23、複数の高電圧パッド12、高電圧ダミーパターン173および浮遊ダミーパターン177を一括して被覆している。
【0497】
以上、電子部品171によっても電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。電子部品171は、第2実施形態に係る低電圧ダミーパターン162を含んでいてもよい。
【0498】
電子部品171では、電子部品5の場合と同様に、高電圧ダミーパターン173および浮遊ダミーパターン177の少なくとも1つを形成することにより、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。これにより、平均瞬時絶縁破壊電圧を増加させることができる。
【0499】
浮遊ダミーパターン177は、高電圧ダミーパターン173に変更されてもよい。ただし、この場合、低電圧パッド11および高電圧ダミーパターン173の距離が近くなる結果、低電圧パッド11および高電圧ダミーパターン173の間の電界強度が高くなる。電界強度が高くなると、高電圧コイル23や高電圧ダミーパターン173において不所望な電界集中が生じる可能性がある点に留意する。
【0500】
高電圧ダミーパターン173は、浮遊ダミーパターン177に変更されてもよい。このような浮遊ダミーパターン177は、高電圧接続配線81(高電圧パッド12B)から高電圧ダミーパターン173を切り離すことによって形成される。浮遊ダミーパターン177によれば、低電圧パッド11および高電圧コイル23の間の電界強度の増加を抑制しながら、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる。ただし、浮遊ダミーパターン177の場合、高電圧コイル23の上側へ漏れ出す電界が存することに留意する。
【0501】
図22は、
図20に対応する平面図であって、本発明の第4実施形態に係る電子部品181の平面図である。以下では、電子部品171に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0502】
電子部品171では、高電圧ダミーパターン173が、平面視において第1高電圧パッド12Aおよび第2高電圧パッド12Bのうちの第1高電圧パッド12Aだけを取り囲んでいた。
【0503】
これに対して、電子部品181では、高電圧ダミーパターン173が、平面視において第1高電圧パッド12Aおよび第2高電圧パッド12Bの両方を取り囲んでいる。また、浮遊ダミーパターン177は、平面視において高電圧ダミーパターン173の外周に沿って形成され、第1高電圧パッド12Aおよび第2高電圧パッド12Bの両方を取り囲んでいる。
【0504】
以上、電子部品181によっても電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。電子部品181は、第2実施形態に係る低電圧ダミーパターン162を含んでいてもよい。
【0505】
図23は、
図8に対応する領域の断面図であって、本発明の第5実施形態に係る電子部品191を示す断面図である。以下では、電子部品5に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0506】
前述の電子部品5は、低電圧コイル22および高電圧コイル23をそれぞれ有する複数の変圧器21A〜21Dを有している。これに対して、電子部品191は、複数の変圧器21A〜21Dに代えて複数のコンデンサ192を含む。複数のコンデンサ192の配置は、複数の変圧器21A〜21Dの配置と同様である。
図23では、1つのコンデンサ192だけが示されている。
【0507】
コンデンサ192は、低電圧コイル22および高電圧コイル23に代えて、平板状の低電圧電極193(低電圧パターン)および平板状の高電圧電極194(高電圧パターン)をそれぞれ含む。低電圧電極193は、第1低電圧配線31を介して低電圧パッド11に電気的に接続されている。低電圧電極193は、第2接続プラグ電極75を介して引き出し配線73に電気的に接続されている。
【0508】
低電圧電極193の平面形状は任意である。低電圧電極193は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状や楕円形状に形成されていてもよい。低電圧電極193は、対応する第1低電圧配線31を介して対応する低電圧パッド11に電気的に接続されている。
【0509】
高電圧電極194は、法線方向Zに低電圧電極193に対向し、低電圧電極193との間で電荷を蓄積する。高電圧電極194は、第1高電圧配線33を介して高電圧パッド12に電気的に接続されている。高電圧電極194は、パッドプラグ電極82を介して高電圧パッド12に電気的に接続されている。
【0510】
高電圧電極194の平面形状は任意である。高電圧電極194は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状や楕円形状に形成されていてもよい。高電圧電極194は、対応する第1高電圧配線33を介して対応する高電圧パッド12に電気的に接続されている。
【0511】
以上、電子部品191によれば、電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。電子部品191は、第2実施形態に係る低電圧ダミーパターン162を含んでいてもよい。また、変圧器21に代えてコンデンサ192を含む構造は、第3実施形態および第4実施形態にも適用できる。
【0512】
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。
【0513】
前述の各実施形態では、絶縁積層構造51内にフィールド電極61が形成された例について説明した。しかし、フィールド電極61は、必ずしも形成されている必要はなく、必要に応じて取り除かれてもよい。
【0514】
前述の各実施形態では、高電圧ダミーパターン86,173が密なライン状に引き回された例について説明した。しかし、高電圧ダミーパターン86,173は、一枚の幅広の導電体層によって形成されていてもよい。この場合、高電圧ダミーパターン86,173は、有端状に形成されていることが好ましい。
【0515】
前述の各実施形態では、浮遊ダミーパターン121,177が密なライン状に引き回された例について説明した。しかし、浮遊ダミーパターン121,177は、一枚の幅広の導電体層によって形成されていてもよい。
【0516】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態では、第1高電圧ダミーパターン87が密なライン状に引き回された例について説明した。しかし、第1高電圧ダミーパターン87は、一枚の幅広の導電体層によって形成されていてもよい。この場合、第1高電圧ダミーパターン87は、有端状に形成されていることが好ましい。
【0517】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態では、第2高電圧ダミーパターン88が密なライン状に引き回された例について説明した。しかし、第2高電圧ダミーパターン88は、一枚の幅広の導電体層によって形成されていてもよい。この場合、第2高電圧ダミーパターン88は、有端状に形成されていることが好ましい。
【0518】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、変圧器21A〜21Dの低電圧コイル22は、絶縁積層構造51内において互いに異なる深さ位置にそれぞれ形成されていてもよい。たとえば、変圧器21A〜21Dの低電圧コイル22は、最下絶縁層55から数えて1層目〜5層目に位置する複数の層間絶縁層57のいずれかに形成されていてもよい。絶縁積層構造51の耐圧や電界の偏りを考慮すると、複数の低電圧コイル22は、同一の層間絶縁層57に形成されていることが好ましい。
【0519】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、変圧器21A〜21Dの高電圧コイル23は、絶縁積層構造51内において互いに異なる深さ位置にそれぞれ形成されていてもよい。たとえば、変圧器21A〜21Dの高電圧コイル23は、最上絶縁層56から数えて1層目〜5層目に位置する複数の層間絶縁層57のいずれかに形成されていてもよい。絶縁積層構造51の耐圧や電界の偏りを考慮すると、複数の高電圧コイル23は、同一の層間絶縁層57に形成されていることが好ましい。
【0520】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、第1高電圧ダミーパターン87は、高電圧コイル23の配置に応じて、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、第1高電圧ダミーパターン87は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0521】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、第1高電圧ダミーパターン87は、高電圧コイル23の配置に応じて、互いに異なる層間絶縁層57に形成された第1パターン93、第2パターン94および第3パターン95を有していてもよい。
【0522】
第1パターン93は、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、第1パターン93は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0523】
第2パターン94は、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、第2パターン94は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0524】
第3パターン95は、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、第3パターン95は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0525】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、浮遊ダミーパターン121は、高電圧コイル23の配置に応じて、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、浮遊ダミーパターン121は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0526】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、浮遊ダミーパターン121は、高電圧コイル23の配置に応じて、互いに異なる層間絶縁層57に形成された複数の浮遊ライン122A〜122Fを有していてもよい。複数の浮遊ライン122A〜122Fは、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、複数の浮遊ライン122A〜122Fは、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0527】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、第2高電圧ダミーパターン88は、高電圧コイル23の配置に応じて、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、第2高電圧ダミーパターン88は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0528】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態において、第2高電圧ダミーパターン88は、高電圧コイル23の配置に応じて、互いに異なる層間絶縁層57に形成された複数の高電圧ライン116A〜116Fを有していてもよい。複数の高電圧ライン116A〜116Fは、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、複数の高電圧ライン116A〜116Fは、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0529】
前述の第2実施形態において、低電圧ダミーパターン162は、高電圧コイル23の配置に応じて、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、低電圧ダミーパターン162は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0530】
前述の第2実施形態において、低電圧ダミーパターン162は、互いに異なる層間絶縁層57に形成された複数の低電圧ライン164A〜163Cを有していてもよい。複数の低電圧ライン164A〜163Cは、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、複数の低電圧ライン164A〜163Cは、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0531】
前述の第3実施形態および第4実施形態において、高電圧ダミーパターン173は、高電圧コイル23の配置に応じて、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、高電圧ダミーパターン173は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57、または、1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0532】
前述の第3実施形態および第4実施形態において、高電圧ダミーパターン173は、高電圧コイル23の配置に応じて、互いに異なる層間絶縁層57に形成された複数の高電圧ライン175A〜175Fを有していてもよい。複数の高電圧ライン175A〜175Fは、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、複数の高電圧ライン175A〜175Fは、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57または1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0533】
前述の第3実施形態および第4実施形態において、浮遊ダミーパターン177は、高電圧コイル23の配置に応じて、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、浮遊ダミーパターン177は、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57または1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0534】
前述の第3実施形態および第4実施形態において、浮遊ダミーパターン177は、高電圧コイル23の配置に応じて、互いに異なる層間絶縁層57に形成された複数の浮遊ライン178A〜178Fを有していてもよい。複数の浮遊ライン178A〜178Fは、高電圧コイル23に対して上層または下層に形成されていてもよい。たとえば、複数の浮遊ライン178A〜178Fは、高電圧コイル23に対して1層〜3層上の層間絶縁層57または1層〜3層下の層間絶縁層57に形成されていてもよい。
【0535】
前述の第1実施形態、第2実施形態および第5実施形態では、第1パターン93、第2パターン94および第3パターン95が、第1方向Xに沿って帯状に延びる複数の第1中間ライン98、複数の第2中間ライン104および複数の第3中間ライン110を含む例について説明した。
【0536】
しかし、第1パターン93、第2パターン94および第3パターン95の形態は、高電圧コイル23に対する電界集中を抑制できる限り、
図10〜
図12に示された形態に限定されない。第1パターン93、第2パターン94および第3パターン95は、たとえば、
図24Aおよび
図24Bに示される形態を有していてもよい。
【0537】
図24Aは、
図11に対応する領域の拡大図であって、第1変形例に係る第1高電圧ダミーパターン87を示す図である。
図24Aでは、第2パターン94が一例として示されているが、第1パターン93および第3パターン95にも同様の構造を適用できる。以下では、電子部品5に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0538】
図24Aを参照して、第2パターン94は、この形態例では、互いに隣り合う高電圧コイル23の対向方向(第1方向X)に交差する方向に沿って延びる複数の第2中間ライン104を含む。複数の第2中間ライン104は、この形態では、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿ってそれぞれ帯状に延びている。
【0539】
複数の第2中間ライン104は、平面視において全体として第2方向Yに沿って延びるストライプ状に形成されている。第2外周ライン97および第3外周ライン103に対する複数の第2中間ライン104の接続態様は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0540】
以上のような形態を有する第1高電圧ダミーパターン87が形成される場合であっても、電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0541】
図24Bは、
図11に対応する領域の拡大図であって、第2変形例に係る第1高電圧ダミーパターン87を示す図である。
図24Bでは、第2パターン94が一例として示されているが、第1パターン93および第3パターン95にも同様の構造を適用できる。以下では、電子部品5に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0542】
図24Bを参照して、第2パターン94は、平面視において、第2外周ライン97、第3外周ライン103および複数の第2中間ライン104を一体的に含む葛折り状に形成されている。複数の第2中間ライン104は、この形態では、第2方向Yに沿って間隔を空けて形成され、第1方向Xに沿ってそれぞれ帯状に延びている。
【0543】
複数の第2中間ライン104は、平面視において全体として第1方向Xに沿って延びるストライプ状に形成されている。つまり、第2パターン94は、平面視において全体として第1方向Xに沿って延びる葛折り状に形成されている。
【0544】
第2パターン94は、平面視において全体として第2方向Yに沿って延びる葛折り状に形成されていてもよい。この場合、複数の第2中間ライン104は、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿ってそれぞれ帯状に延びていてもよい。つまり、複数の第2中間ライン104は、平面視において全体として第2方向Yに沿って延びるストライプ状に形成されていてもよい。
【0545】
以上のような形態を有する第1高電圧ダミーパターン87が形成される場合であっても、電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0546】
前述の第1実施形態および第2実施形態では、電子部品5,161が、4つの変圧器21を含む例について説明した。しかし、電子部品5,161は、2つの変圧器21だけを有していてもよい。また、電子部品5,161は、3つの変圧器21だけを有していてもよい。
【0547】
前述の第5実施形態では、電子部品191が、4つのコンデンサ192を含む例について説明した。しかし、電子部品191は、2つのコンデンサ192だけを有していてもよい。また、電子部品191は、3つのコンデンサ192だけを有していてもよい。
【0548】
図25は、変形例に係る電子部品200が組み込まれた電子部品モジュール201の平面図である。以下では、電子部品モジュール1(
図1参照)の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0549】
前述の電子部品モジュール1は、電子部品5、コントローラICチップ6およびドライバICチップ7を含む。これに対して、電子部品モジュール201は、複数の電子部品200を含む。複数の電子部品200は、2つの変圧器21(第1変圧器21Aおよび第2変圧器21B)が組み込まれたコントローラICチップ6、および、2つの変圧器21(第3変圧器21Cおよび第4変圧器21D)が組み込まれたドライバICチップ7を含む。
【0550】
具体的な図示は省略されるが、コントローラICチップ6は、第1変圧器21Aおよび第2変圧器21B用の複数の低電圧パッド11、複数の高電圧パッド12、複数の第1低電圧配線31、複数の第2低電圧配線32、複数の第1高電圧配線33および複数の第2高電圧配線34を含む。
【0551】
また、コントローラICチップ6は、第1高電圧ダミーパターン87、浮遊ダミーパターン121および第2高電圧ダミーパターン88のうちの少なくとも1つ(好ましくは全部)を含む。また、コントローラICチップ6は、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21D用の複数の高電圧パッド202をさらに含む。
【0552】
また、具体的な図示は省略されるが、ドライバICチップ7は、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21D用の複数の低電圧パッド11、複数の高電圧パッド12、複数の第1低電圧配線31、複数の第2低電圧配線32、複数の第1高電圧配線33および複数の第2高電圧配線34を含む。
【0553】
また、ドライバICチップ7は、第1高電圧ダミーパターン87、浮遊ダミーパターン121および第2高電圧ダミーパターン88のうちの少なくとも1つ(好ましくは全部)を含む。また、ドライバICチップ7は、第1変圧器21Aおよび第2変圧器21B用の複数の高電圧パッド203をさらに含む。
【0554】
コントローラICチップ6の複数の低電圧パッド11は、低電圧ワイヤ204を介してグランド端子として使用される任意のリード端子4に電気的に接続されている。コントローラICチップ6の複数の高電圧パッド12は、高電圧ワイヤ205を介してドライバICチップ7の複数の高電圧パッド203に電気的に接続されている。
【0555】
ドライバICチップ7の複数の低電圧パッド11は、低電圧ワイヤ206を介してグランド端子として使用される任意のリード端子4に電気的に接続されている。ドライバICチップ7の複数の高電圧パッド12は、高電圧ワイヤ207を介してコントローラICチップ6の複数の高電圧パッド202に電気的に接続されている。
【0556】
以上、第1変圧器21Aおよび第2変圧器21Bが組み込まれたコントローラICチップ6(電子部品200)が採用される場合であっても、電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dが組み込まれたドライバICチップ7(電子部品200)が採用される場合であっても、電子部品5に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0557】
この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
低電圧パターンおよび高電圧パターンの間に形成される電界は、高電圧パターンに集中する傾向がある。この種の電界集中は、耐圧低下の起点になる。そこで、以下の[A1]〜[A31]は、高電圧パターンの電界集中を抑制し、耐圧を向上できる電子部品を提供する。
【0558】
[A1]主面を有する絶縁層と、前記絶縁層内に形成された低電圧パターン、および、前記主面の法線方向に前記低電圧パターンと対向するように前記絶縁層内に形成され、前記低電圧パターンに印加される電圧を超える電圧が印加される高電圧パターンを含む受動デバイスと、平面視において前記高電圧パターンの周囲に位置するように前記絶縁層内に形成され、前記低電圧パターンおよび前記高電圧パターンの間に形成される電界を遮蔽し、前記高電圧パターンに対する電界集中を抑制するシールド導体層と、含む、電子部品。
【0559】
[A2]前記シールド導体層は、前記高電圧パターンとは異なるパターンで形成されている、A1に記載の電子部品。
【0560】
[A3]前記シールド導体層は、前記絶縁層内において前記低電圧パターンよりも前記高電圧パターンに近接する領域に形成されている、A1またはA2に記載の電子部品。
【0561】
[A4]前記シールド導体層は、平面視において前記高電圧パターンの周囲に位置するように前記絶縁層内に形成され、前記低電圧パターンに印加される電圧を超える電圧が印加される高電圧ダミーパターンを含む、A1〜A3のいずれか一つに記載の電子部品。
【0562】
[A5]前記高電圧ダミーパターンは、平面視において前記高電圧パターンを取り囲んでいる、A4に記載の電子部品。
【0563】
[A6]前記高電圧ダミーパターンは、有端状に形成されている、A4またはA5に記載の電子部品。
【0564】
[A7]前記シールド導体層は、平面視において前記高電圧パターンの周囲に位置するように前記絶縁層内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターンを含む、A1〜A3のいずれか一つに記載の電子部品。
【0565】
[A8]前記浮遊ダミーパターンは、平面視において前記高電圧パターンを取り囲んでいる、A7に記載の電子部品。
【0566】
[A9]前記シールド導体層は、平面視において前記高電圧パターンの周囲に位置するように前記絶縁層内に形成され、前記低電圧パターンに印加される電圧を超える電圧が印加される高電圧ダミーパターン、および、平面視において前記高電圧ダミーパターンの周囲に位置するように前記絶縁層内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターンを含む、A1〜A3のいずれか一つに記載の電子部品。
【0567】
[A10]前記高電圧ダミーパターンは、平面視において前記高電圧パターンを取り囲んでいる、A9に記載の電子部品。
【0568】
[A11]前記浮遊ダミーパターンは、平面視において前記高電圧ダミーパターンを取り囲んでいる、A10に記載の電子部品。
【0569】
[A12]前記高電圧ダミーパターンは、有端状に形成されている、A9〜A11のいずれか一つに記載の電子部品。
【0570】
[A13]前記主面の上に形成された低電圧パッドをさらに含み、前記高電圧パターンは、平面視において前記低電圧パッドから間隔を空けて形成され、前記高電圧パターンには、前記低電圧パッドに印加される電圧を超える電圧が印加され、前記シールド導体層は、平面視において前記低電圧パッドおよび前記高電圧パターンの間の領域に介在している、A1〜A12のいずれか一つに記載の電子部品。
【0571】
[A14]前記低電圧パターンは、前記低電圧パッドに電気的に接続されている、A13に記載の電子部品。
【0572】
[A15]前記絶縁層の周縁に沿って前記絶縁層内に形成されたフィールド電極をさらに含み、前記高電圧パターンは、平面視において前記フィールド電極から間隔を空けて形成され、前記高電圧パターンには、前記フィールド電極に印加される電圧を超える電圧が印加され、前記シールド導体層は、平面視において前記フィールド電極および前記高電圧パターンの間の領域に介在している、A1〜A12のいずれか一つに記載の電子部品。
【0573】
[A16]前記低電圧パターンは、前記フィールド電極に電気的に接続されている、A15に記載の電子部品。
【0574】
[A17]前記絶縁層の周縁に沿って前記絶縁層内に形成されたフィールド電極と、前記主面の上に形成された低電圧パッドと、をさらに含み、前記高電圧パターンは、平面視において前記フィールド電極および前記低電圧パッドから間隔を空けて形成され、前記高電圧パターンには、前記フィールド電極に印加される電圧および前記低電圧パッドに印加される電圧を超える電圧が印加され、前記シールド導体層は、平面視において前記フィールド電極および前記高電圧パターンの間の領域、ならびに、平面視において前記低電圧パッドおよび前記高電圧パターンの間の領域に介在している、A1〜A12のいずれか一つに記載の電子部品。
【0575】
[A18]前記低電圧パターンは、前記フィールド電極および前記低電圧パッドに電気的に接続されている、A17に記載の電子部品。
【0576】
[A19]前記シールド導体層は、平面視において前記高電圧パターンを取り囲んでいる、A1〜A18のいずれか一つに記載の電子部品。
【0577】
[A20]主面を有する絶縁層と、前記絶縁層内に形成された低電圧パターン、および、前記主面の法線方向に前記低電圧パターンと対向するように前記絶縁層内に形成され、前記低電圧パターンに印加される電圧を超える電圧が印加される高電圧パターンをそれぞれ含み、互いに間隔を空けて前記絶縁層内に形成された複数の受動デバイスと、前記絶縁層内において互いに隣り合う複数の前記高電圧パターンの間の領域に介在するように複数の前記高電圧パターンの周囲に形成され、前記低電圧パターンに印加される電圧を超える電圧が印加される高電圧ダミーパターンと、を含む、電子部品。
【0578】
[A21]前記高電圧ダミーパターンは、複数の前記高電圧パターンとは異なるパターンで形成されている、A20に記載の電子部品。
【0579】
[A22]前記高電圧ダミーパターンは、有端状に形成されている、A20またはA21に記載の電子部品。
【0580】
[A23]前記高電圧ダミーパターンは、互いに隣り合う複数の前記高電圧パターンの間の領域に介在する第1高電圧ダミーパターン、および、互いに隣り合う複数の前記高電圧パターンの間の領域外の領域で少なくとも1つの前記高電圧パターンに沿うように形成された第2高電圧ダミーパターンを含む、A20〜A22のいずれか一つに記載の電子部品。
【0581】
[A24]前記第1高電圧ダミーパターンは、平面視において互いに隣り合う複数の前記高電圧パターンの対向方向に沿って延びる部分を含む、A23に記載の電子部品。
【0582】
[A25]前記第2高電圧ダミーパターンは、前記第1高電圧ダミーパターンと一体的に形成されている、A23またはA24に記載の電子部品。
【0583】
[A26]平面視において少なくとも1つの前記高電圧パターンの周囲に沿うように前記絶縁層内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターンをさらに含む、A20〜A25のいずれか一つに記載の電子部品。
【0584】
[A27]前記浮遊ダミーパターンは、平面視において互いに隣り合う複数の前記高電圧パターンの間の領域外の領域に形成されている、A26に記載の電子部品。
【0585】
[A28]前記高電圧ダミーパターンは、平面視において互いに隣り合う複数の前記高電圧パターンの間の領域外の領域で少なくとも1つの前記高電圧パターンに沿う部分を含み、前記浮遊ダミーパターンは、平面視において前記高電圧ダミーパターンを挟んで前記高電圧パターンに対向している、A27に記載の電子部品。
【0586】
[A29]前記浮遊ダミーパターンは、平面視において複数の前記高電圧パターンおよび前記高電圧ダミーパターンを一括して取り囲んでいる、A27またはA28に記載の電子部品。
【0587】
[A30]前記受動デバイスは、前記低電圧パターンとしての低電圧コイル、および、前記高電圧パターンとしての高電圧コイルを含む変圧器である、A1〜A29のいずれか一つに記載の電子部品。
【0588】
[A31]前記受動デバイスは、前記低電圧パターンとしての低電圧電極、および、前記高電圧パターンとしての高電圧電極を含むコンデンサである、A1〜A29のいずれか一つに記載の電子部品。
【0589】
この出願は、2019年3月8日に日本国特許庁に提出された特願2019−043036号に対応しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれる。
【0590】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。