特許第6899511号(P6899511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899511
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】圧縮機及び圧縮機を搭載した機器
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/14 20060101AFI20210628BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   F04B39/14
   F04B39/00 106A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-85782(P2017-85782)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-184855(P2018-184855A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】521161750
【氏名又は名称】ジーエムシーシー アンド ウェリング アプライアンス コンポーネント (タイランド) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沼 敦
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−256804(JP,A)
【文献】 特開2001−289170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/14
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の端子を有するターミナルと、
プロテクターと、
該プロテクターに組付け可能なカバーと、
前記プロテクター及び前記カバーの間に配され、前記複数本の端子に取り付けられる端子カバーと、を有する圧縮機であって、
前記端子カバーが一部の端子に取り付けられている場合に前記プロテクター及び前記カバーが組付けられようとすると、前記端子カバーに接触して該組付けを阻害する異常報知突起又は異常報知壁を前記カバー又は前記プロテクターは有し、
前記カバーのうち、前記端子カバーに対向する面は変形可能であり、
前記端子カバーが前記ターミナルに正常に取り付けられていない場合に、前記端子カバーに接触可能で、かつ、前記カバーのうち該端子カバーに対向する面を作業者が押圧することで該端子カバーを前記ターミナルに取り付けることが可能な端子押え部を前記面に有することを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機を搭載した機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機及び圧縮機を搭載した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機の電装品保護装置として、特許文献1が知られている。冷凍サイクル用圧縮機では、PTC(起動リレー)や、加熱して所定温度となると電流を遮断するモータプロテクタなどの電装品107が設けられていて、これらの電装品107はごみよけや防火、防水、外部からの衝撃保護、感電防止などの目的で電装品カバー103により覆われている。電装品カバー103はブラケット102に挿入されて、取付けられる(段落0027,0033等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−233454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、ブラケット102に電装品カバー103(プロテクター)を係止する組付作業などの製造工程において、挟持部113が挿入部112を挟み込み、爪部123が係止孔102aに係止されたことで、電装品カバー103が完全に挿入されたことになる。組付に関わる挿入部112や係止孔102aは、完全に挿入されているかに拘らず、カバー103に覆われているため、完全に挿入されたか否かを外観から判別することは容易にはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記事情に鑑みた本発明は、複数本の端子を有するガラスターミナルと、プロテクターと、該プロテクターに組付け可能なカバーと、前記プロテクター及び前記カバーの間に配され、前記複数本の端子に取り付けられる端子カバーと、を有する圧縮機であって、前記端子カバーが一部の端子に取り付けられている場合に前記プロテクター及び前記カバーが組付けられようとすると、前記端子カバーに接触して該組付けを阻害する異常報知突起又は異常報知壁を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例1のカバーを圧縮機のプロテクターに組み付けする前の状態の斜視図
図2】実施例1の(a)プロテクター、(b)カバーを説明する斜視図
図3】実施例1のカバーの正面図
図4】実施例1のカバー、端子カバー、及びプロテクターの正常装着状態の分解斜視図
図5】実施例1のカバー、端子カバー、及びプロテクターの異常装着状態の分解斜視図
図6】実施例1のカバー正面図に正常位置の端子カバーを破線で重ねて描いた図
図7】実施例1のカバー正面図に異常位置の端子カバーを破線で重ねて描いた図
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施例について添付の図面を用いて説明する。説明の便宜のため、互いに直交する上下、前後、及び左右方向という語を用いる。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0008】
[プロテクター3]
図1はカバー4を圧縮機1のプロテクター3に組み付けする前の状態の斜視図(端子カバー20不図示)、図2(a)はプロテクター3の斜視図である。ガラスターミナル2を正面から観察する場合の方向を前方向とする。
【0009】
プロテクター3は、密閉型圧縮機1の電動要素を起動するためのターミナルの一例としてのガラスターミナル2の近傍に、溶接等により取付けられている。プロテクター3は、取付状態でガラスターミナル2周囲を囲む平坦な主面3z、主面3zの上辺に繋がり後方向に延在する天板3a、主面3zの左右方向の一方(本実施例では右側)に位置し後方向に延在するガイド3c、及び、主面3zの左右方向の他方(本実施例では左側)に位置し後方向に延在する対面ガイド3eを有する。
【0010】
天板3aは、上下方向に略垂直な面であり、第一の係止孔3bを備えている。天板3aのうち、左右方向の一方側(本実施例では右側)が、左右方向の他方側に比して、より後側に広がった形状であり、この部分に第一の係止孔3bが設けられている。天板3aは、例えば上方からの水滴侵入を抑制したり、カバー4を組み付ける際の位置決めに用いることができる。
【0011】
ガイド3cは、左右方向に略垂直な面である。対面ガイド3eは、左右方向に略垂直な面であり、ガイド3cに対しては、左右方向について、主面3zを挟んで対向している。対面ガイド3eは、前端側に設けた第二の係止孔3fを備えている。なお、プロテクター3は、例えば金属で形成できる。
【0012】
[カバー4]
図2(b)はカバー4を説明する斜視図、図3は、カバー4の正面図である。
カバー4は、プロテクター3に組み付けた際に第一の係止孔3bに係合する第一のツメ4b、ガイド3cが挿入される開口4cが設けられた右側面4d、対面ガイド3eが挿入される開口4e、電源コード(不図示)を装着可能なコード取付部4h、電源コードが取り付けられた端子カバー20を押える端子押え部4j、端子カバー20が異常な位置にある場合に端子カバー20のカバー4のプロテクター3への組付けを阻害する異常報知突起4t、異常報知壁40t、及び、プロテクター3に組み付けた際に主面3zに対向する後面4zを備える。カバー4は、開口4c,4eを形成するように、筒状の区画をそれぞれ有している。開口4eには、第二の係止孔3fに係止する第二のツメ4fが設けられている。カバー4は、弾性変形可能ないし可撓性のある材料、例えば合成樹脂で形成できる。
【0013】
コード取付部4hは、カバー4の下方側に設けられている。カバー4の下端が上方に折れ曲がった曲がり部4h1と、主面4zとの間の領域に電源コードを係止することで、電源コードの脱落を抑制できる。コード取付部4hは、カバー4の外側と連通するが、開口は下方を向いているため、水滴が浸入することを抑制できる。
【0014】
端子押え部4jは、カバー4の取付時に、ガラスターミナル2に接続する端子カバー20に接触又は近接可能な突起である。カバー4が樹脂製等である場合、カバー4取付時に作業者が主面4zを前方向に押すとカバー4が変形し、端子押え部4jが端子カバー20に接触する。これにより、例えばガラスターミナル2に端子カバー20が正常に取付けられていない場合に、作業者の押圧力によって取付を行うことができる。
【0015】
異常報知突起4tは、端子押え部4jよりも出っ張った突起であり、ガラスターミナル2の一部分に端子カバー20が取り付けられた状態で異常報知突起4tに接触する態様だと、カバー4がプロテクター3に装着することができない。具体的には、第一のツメ4bや第二のツメ4fが第一の係止孔3bや第二の係止孔3fに係止される位置まで挿入できない。
【0016】
[プロテクター3とカバー4との装着]
図4は本実施例の端子カバー20(端子カバー20に取り付けられた電源コードは不図示)及びカバー4がプロテクター2に正常に取り付けられる際の分解斜視図である。端子カバー20は、ガラスターミナル2の3本の端子に接続することで、端子カバー20に取り付けられた電源コードから供給される電源を圧縮機1に供給する。
【0017】
図5は本実施例の端子カバー20が異常に取り付けられる際の分解斜視図である。端子カバー20は、ガラスターミナル2の3本の端子のうち、2本以下の端子に接続している。この状態でカバー4がプロテクター3に組付けられると、圧縮機1を正常に駆動できない。
【0018】
図6は本実施例の端子カバー20が正常に取り付けられる際の端子カバー20及びカバー4の位置関係を示す正面図である。端子カバー20の外縁を破線で示している(端子も破線で示している。端子は破線で描かれた円形である。)。正常に取り付けられる場合、異常報知突起4tと端子カバー20とは、正面視で重ならない。このため、異常報知突起4tが存在してもプロテクター3とカバー4とを支障なく組付けることができる。
【0019】
また、ガラスターミナル2の端子間の距離と端子カバー20外縁から異常報知突起4tまでの距離との関係を記載する。左右方向に注目すると、隣接する端子間の距離はそれぞれL1である。また、正常に取り付けられた端子カバー20の外縁のうち、異常報知突起4tに対向する部分から異常報知突起4tまでの距離はL2である。そして、関係式L2≦(2×L1)又はL2≦L1が成立していると好ましい。この場合、端子カバー20の取付が異常であると、端子カバー20が異常報知突起4tに接触しやすくなる。
【0020】
この関係は、異常報知壁40tについても同様に成立すると好ましい。
【0021】
図7は本実施例の端子カバー20が異常に取り付けられる際の端子カバー20及びカバー4の位置関係を示す正面図である。端子カバー20の位置を破線で示している。異常に取り付けられる場合、例えば端子のうち1つにのみ端子カバー20が接続した状態の場合、端子カバー20と異常報知突起4tが正面視で重なる。これにより異常報知突起4tと端子カバー20とが、プロテクター3及びカバー4の組付け過程で接触し、組付けを完了できない。これにより、組立者は端子カバー20の取付状態が異常であることに気づくことができる。ここでいう「異常」とは、端子カバー20が一部の端子にのみ取り付けられている状態を指す。
【0022】
本実施例では、端子カバー20が正常に取り付けられる位置(端子押え部4jの位置に相当)に対して、一方側に異常報知突起4tがあり、他方側に異常報知壁40tがある。これにより、端子カバー20が異常に取り付けられて出っ張った方向が一方型と他方側のどちら側であっても、組立者は気づくことができる。
【0023】
本実施例では、異常報知として突起と壁とを用いているが、どちらか一種類でもよい。尤も、本実施例では、プロテクター3とカバー4との組付けをツメで行うようにしており、これらが組付けられると「パチン」という組付音が生じる。この音は、プロテクター3とカバー4とで囲まれる空間(異常報知突起4t、端子押え部5j、異常報知壁40tが配されている空間)に響き渡ることで、組立者が知覚しやすくなる。したがって、空間内にはさほど物体を配さない方が、組立者が知覚し易くなるため、壁ではなく突起の方が好ましい。なお、ガラスターミナルの端子の本数は、複数本であればよく、3本に限られない。また、異常報知突起や異常報知壁は、カバー側ではなくプロテクター側に設けられていても良い。
【0024】
本実施例の圧縮機は、冷蔵庫、空気調和器、その他種々の機器に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 密閉型圧縮機(圧縮機)
2 ガラスターミナル
3 プロテクター
3a 天板
3b 第一の係止孔
3c ガイド
3e 対面ガイド
3f 第二の係止孔
4 カバー
4b 第一のツメ
4c 開口
4d 右側面
4e 開口
4f 第二のツメ
4j 端子押え部
4t 異常報知突起
40t 異常報知壁
20 端子カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7