【実施例1】
【0008】
[プロテクター3]
図1はカバー4を圧縮機1のプロテクター3に組み付けする前の状態の斜視図(端子カバー20不図示)、
図2(a)はプロテクター3の斜視図である。ガラスターミナル2を正面から観察する場合の方向を前方向とする。
【0009】
プロテクター3は、密閉型圧縮機1の電動要素を起動するためのターミナルの一例としてのガラスターミナル2の近傍に、溶接等により取付けられている。プロテクター3は、取付状態でガラスターミナル2周囲を囲む平坦な主面3z、主面3zの上辺に繋がり後方向に延在する天板3a、主面3zの左右方向の一方(本実施例では右側)に位置し後方向に延在するガイド3c、及び、主面3zの左右方向の他方(本実施例では左側)に位置し後方向に延在する対面ガイド3eを有する。
【0010】
天板3aは、上下方向に略垂直な面であり、第一の係止孔3bを備えている。天板3aのうち、左右方向の一方側(本実施例では右側)が、左右方向の他方側に比して、より後側に広がった形状であり、この部分に第一の係止孔3bが設けられている。天板3aは、例えば上方からの水滴侵入を抑制したり、カバー4を組み付ける際の位置決めに用いることができる。
【0011】
ガイド3cは、左右方向に略垂直な面である。対面ガイド3eは、左右方向に略垂直な面であり、ガイド3cに対しては、左右方向について、主面3zを挟んで対向している。対面ガイド3eは、前端側に設けた第二の係止孔3fを備えている。なお、プロテクター3は、例えば金属で形成できる。
【0012】
[カバー4]
図2(b)はカバー4を説明する斜視図、
図3は、カバー4の正面図である。
カバー4は、プロテクター3に組み付けた際に第一の係止孔3bに係合する第一のツメ4b、ガイド3cが挿入される開口4cが設けられた右側面4d、対面ガイド3eが挿入される開口4e、電源コード(不図示)を装着可能なコード取付部4h、電源コードが取り付けられた端子カバー20を押える端子押え部4j、端子カバー20が異常な位置にある場合に端子カバー20のカバー4のプロテクター3への組付けを阻害する異常報知突起4t、異常報知壁40t、及び、プロテクター3に組み付けた際に主面3zに対向する後面4zを備える。カバー4は、開口4c,4eを形成するように、筒状の区画をそれぞれ有している。開口4eには、第二の係止孔3fに係止する第二のツメ4fが設けられている。カバー4は、弾性変形可能ないし可撓性のある材料、例えば合成樹脂で形成できる。
【0013】
コード取付部4hは、カバー4の下方側に設けられている。カバー4の下端が上方に折れ曲がった曲がり部4h1と、主面4zとの間の領域に電源コードを係止することで、電源コードの脱落を抑制できる。コード取付部4hは、カバー4の外側と連通するが、開口は下方を向いているため、水滴が浸入することを抑制できる。
【0014】
端子押え部4jは、カバー4の取付時に、ガラスターミナル2に接続する端子カバー20に接触又は近接可能な突起である。カバー4が樹脂製等である場合、カバー4取付時に作業者が主面4zを前方向に押すとカバー4が変形し、端子押え部4jが端子カバー20に接触する。これにより、例えばガラスターミナル2に端子カバー20が正常に取付けられていない場合に、作業者の押圧力によって取付を行うことができる。
【0015】
異常報知突起4tは、端子押え部4jよりも出っ張った突起であり、ガラスターミナル2の一部分に端子カバー20が取り付けられた状態で異常報知突起4tに接触する態様だと、カバー4がプロテクター3に装着することができない。具体的には、第一のツメ4bや第二のツメ4fが第一の係止孔3bや第二の係止孔3fに係止される位置まで挿入できない。
【0016】
[プロテクター3とカバー4との装着]
図4は本実施例の端子カバー20(端子カバー20に取り付けられた電源コードは不図示)及びカバー4がプロテクター2に正常に取り付けられる際の分解斜視図である。端子カバー20は、ガラスターミナル2の3本の端子に接続することで、端子カバー20に取り付けられた電源コードから供給される電源を圧縮機1に供給する。
【0017】
図5は本実施例の端子カバー20が異常に取り付けられる際の分解斜視図である。端子カバー20は、ガラスターミナル2の3本の端子のうち、2本以下の端子に接続している。この状態でカバー4がプロテクター3に組付けられると、圧縮機1を正常に駆動できない。
【0018】
図6は本実施例の端子カバー20が正常に取り付けられる際の端子カバー20及びカバー4の位置関係を示す正面図である。端子カバー20の外縁を破線で示している(端子も破線で示している。端子は破線で描かれた円形である。)。正常に取り付けられる場合、異常報知突起4tと端子カバー20とは、正面視で重ならない。このため、異常報知突起4tが存在してもプロテクター3とカバー4とを支障なく組付けることができる。
【0019】
また、ガラスターミナル2の端子間の距離と端子カバー20外縁から異常報知突起4tまでの距離との関係を記載する。左右方向に注目すると、隣接する端子間の距離はそれぞれL1である。また、正常に取り付けられた端子カバー20の外縁のうち、異常報知突起4tに対向する部分から異常報知突起4tまでの距離はL2である。そして、関係式L2≦(2×L1)又はL2≦L1が成立していると好ましい。この場合、端子カバー20の取付が異常であると、端子カバー20が異常報知突起4tに接触しやすくなる。
【0020】
この関係は、異常報知壁40tについても同様に成立すると好ましい。
【0021】
図7は本実施例の端子カバー20が異常に取り付けられる際の端子カバー20及びカバー4の位置関係を示す正面図である。端子カバー20の位置を破線で示している。異常に取り付けられる場合、例えば端子のうち1つにのみ端子カバー20が接続した状態の場合、端子カバー20と異常報知突起4tが正面視で重なる。これにより異常報知突起4tと端子カバー20とが、プロテクター3及びカバー4の組付け過程で接触し、組付けを完了できない。これにより、組立者は端子カバー20の取付状態が異常であることに気づくことができる。ここでいう「異常」とは、端子カバー20が一部の端子にのみ取り付けられている状態を指す。
【0022】
本実施例では、端子カバー20が正常に取り付けられる位置(端子押え部4jの位置に相当)に対して、一方側に異常報知突起4tがあり、他方側に異常報知壁40tがある。これにより、端子カバー20が異常に取り付けられて出っ張った方向が一方型と他方側のどちら側であっても、組立者は気づくことができる。
【0023】
本実施例では、異常報知として突起と壁とを用いているが、どちらか一種類でもよい。尤も、本実施例では、プロテクター3とカバー4との組付けをツメで行うようにしており、これらが組付けられると「パチン」という組付音が生じる。この音は、プロテクター3とカバー4とで囲まれる空間(異常報知突起4t、端子押え部5j、異常報知壁40tが配されている空間)に響き渡ることで、組立者が知覚しやすくなる。したがって、空間内にはさほど物体を配さない方が、組立者が知覚し易くなるため、壁ではなく突起の方が好ましい。なお、ガラスターミナルの端子の本数は、複数本であればよく、3本に限られない。また、異常報知突起や異常報知壁は、カバー側ではなくプロテクター側に設けられていても良い。
【0024】
本実施例の圧縮機は、冷蔵庫、空気調和器、その他種々の機器に適用できる。