【実施例1】
【0039】
実施例1においては、伸縮手段が、縦矢板と腹起しを接近させる際に伸長手段として作用される伸縮装置と伸縮装置を装着させる細長枠体とからなる腹起し矯正治具1と、腹起し矯正治具1を使用した二重締切鋼矢板壁による山留壁構築工法とを、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、山留壁100と腹起し矯正治具1の説明図を示している。
図1(A)図は、山留壁と腹起し矯正治具の平面図を示している。
図1(B)図は、
図1(A)図のA−A位置における垂直方向断面図を示している。
図1(A)図においては、異なる位置に移動させた腹起し矯正治具9と、縦矢板を内側に引っ張る引張部材130とを破線で示している。
【0040】
図2は、腹起し矯正治具と伸縮装置を伸長手段として作用させる場合の説明図を示している。
図2(A)図は、腹起し矯正治具に伸縮装置を格納させる前の状態を示し、
図2(B)図は、第2平板を後方側から看た図を示している。
図2(C)図と
図2(D)図は、
図1(A)図のA−A位置における垂直方向断面図であり、一対の腹起しと縦矢板との隙間をなくす工程の説明図を示している。
図3の各図は山留壁構築工法の工程図を示している。
【0041】
まず、山留壁について
図1を参照して簡単に説明する。築堤工事等において構築される山留壁100は、側縁部が咬み合わされて並列に地盤に打設されたハット形鋼矢板からなる縦矢板110が、向かい合って配設されている(
図3(A)図参照)。並列された縦矢板110,110・・・に、所望の間隔をあけて支持部材111が固着される。一対の水平部材120が前記支持部材111に架け渡され、縦矢板110に交差する方向に並行に配設され、腹起しとされている(
図1参照)。
【0042】
実施例1においては、幅が約90cmの縦矢板の側縁部112を咬み合わせて山留壁100を構築させる場合を例に説明する。縦矢板110の水平断面形状は、中央平坦部113の両側が折り曲げられた傾斜部114とされ、傾斜部の外端から平坦な側縁部112が外方に向けて延びている。縦矢板の側縁部112の外端には、隣り合う縦矢板110,110が咬み合わされる溝部をなす継ぎ手115が備えられている。縦矢板の幅、水平断面形状等はこれに限定されず、いずれの形態の縦矢板が使用されてもよい。
【0043】
縦矢板110には、前記引張部材130を挿し込む孔116が、側縁部112と中央平坦部113とに穿設されている(
図1参照)。この引張部材を挿し込む孔116が、腹起し矯正部材1をなす軸体10を挿通させる孔として使用される(
図1(B)図参照)。
【0044】
一対の水平部材120は、上下対称に設けられた一対の溝形鋼121,121とされる(
図1参照)。夫々の溝形鋼121,121は、前記引張部材130の軸を挿通可能な間隙122をあけて、複数の連結板123により一体にされている(
図1(B)図参照)。一対の水平部材120は、異なる高さに固着された支持部材により、分離された二つの溝形鋼が間隙をあけて支持されてもよい。一対の水平部材をなす部材は、前記の一対の溝形鋼に限定されず、例えばH形鋼であってもよい。
【0045】
ハット形鋼矢板からなる縦矢板110は、地盤に振動又は圧入されながら打設されるため、施工誤差により中央平坦部113の出入りが異なっている(
図1(A)図参照)。そのため、一対の水平部材120を支持部材111に架け渡した段階においては、縦矢板110と一対の水平部材120との間に、縦矢板ごとに異なった大きさの隙間200,201があいている(
図1(A)図参照)。
【0046】
次に、腹起し矯正治具1の構成と、前記隙間200をなくして縦矢板110に一対の水平部材120を接しさせる作業とを、
図1と
図2とを参照して説明する。腹起し矯正治具1は、軸体10と、軸体の一方の端部に装着されて縦矢板外面に当接される第1平板20と、軸体の他方の端部に装着されて、一対の水平部材の夫々の外面124,124に当接される第2平板30と、伸縮手段40と、雌ねじ体とを含んでいる(
図1,
図2(A)図参照)。以下、理解を容易にするため、伸縮手段40が配されていない側を腹起し矯正治具1の先方とし、伸縮手段40が配される側を後方として説明する。
【0047】
実施例1においては、伸縮手段40が、シリンダー形式の伸縮装置をなす押しラム41と、細長枠体50とされる例を説明する(
図2(A)図参照)。押しラム41とは、油圧発生部300のレバーハンドル301を上下させて発生させた油圧により、シリンダー軸42を伸長させる油圧ジャッキである(
図2(A)図矢印a参照)。発生させた油圧を解除させると、押しラムに内蔵されたスプリング等の弾発手段により、シリンダー軸が伸長方向とは反対方向に縮退される。本発明に適用される押しラムは、押圧力が50kN以上とされると腹起しを矯正させやすい。
【0048】
細長枠体50をなす先方端枠51,後方端枠52と一対の側枠53,53とに囲まれた格納部54は、シリンダー軸42を縮めた状態の押しラム41よりも長く、押しラムと共に格納される第2平板30が格納部51の中でスライド可能とされている(
図2(A)図両方向矢印b参照)。細長枠体50の高さは、一対の腹起しの間隙122に先方部を挿し込むことができればよく限定されない(
図2(C)図参照)。格納部54の底部には、格納された押しラムを支える支持部55が備えられる。
【0049】
前記押しラム41を格納させる細長枠体50の大きさは限定されないが、実施例1においては作業員が一人で容易に運搬ができるように長さが約60cm、幅が約10cm、高さが約10cmとさせた。細長枠体をなす長手方向の一方の端枠(先方端枠51)と他方の端枠(後方端枠52)とは、大きな押圧力がかかっても変形されにくいように板厚が約3cmの鋼板とさせた。各々の側枠53,53は重量が大きくならないように端枠よりも薄い約1cmの鋼板とさせ、先方端枠と後方端枠に溶接等により固着させている。
【0050】
軸体10は、後方端部11が細長枠体50の先方端枠51の外方に固着されている(
図2(A)図参照)。軸体10の長さは限定されないが、高所でも作業がしやすいように約40cmの長さとさせ、軸径は縦矢板に穿設された孔116(
図2(C)図参照)に挿通可能な約5cmとさせた。この軸体10と前記細長枠体50とを合わせた重量が約5kgであり、押しラム41の重量が約2kgであり、一人の作業員で運搬が容易な重量である。
【0051】
軸体10は全長に亘って雄ねじ部12を備え、軸体の軸方向のいずれの位置にも第1平板20を固着可能とさせている。これにより、縦矢板の中央平坦部113の位置で一対の水平部材120を引き寄せる場合のように、縦矢板110から軸体10が長く突き出される場合にも適用させることができる(
図1(A)図破線で示す腹起し矯正治具9参照)。なお、雄ねじ部12は軸体10の先方だけに備えられてもよい。
【0052】
第1平板20は、細幅板体とされると共に、中央に前記軸体10を挿通させる軸体挿通孔21を有している。第1平板20は、軸体10を軸体挿通孔21に挿通させた状態で、軸体に雌ねじ体22を螺着させることにより、軸体の先方端部13に装着される。雌ねじ体22は、例えば六角ナット、蝶ナット等であればよく形態は限定されない。第1平板20が細幅とされるため、縦矢板の側縁部112において、継ぎ手115の位置を避けて縦矢板110に接しさせることができる(
図1(A)図参照)。
【0053】
第2平板30は、押しラム41が細長枠体の後方端枠52と第2平板30との間に配された状態で、第2平板30が細長枠体50の中で前記軸体10に沿う方向にスライド可能に遊嵌されている(
図2(A)図両方向矢印b参照)。第2平板30の垂直方向の長さは、一対の水平部材120の間隙122を跨いで夫々の外面124,124に係る長さとされ、細長枠体50に格納された状態で、細長枠体の上下の開放された側面56,56から突出されている(
図2(C)図参照)。
【0054】
第2平板30の上方部には、側枠53,53の上縁部に引っかかる落下防止片31,31が備えられ、第2平板30がシリンダー軸42から外された場合であっても、細長枠体50から抜け落ちないようにされている(
図2(B)図参照)。これにより、高所で作業される山留壁の工事であっても、第2平板を誤って落下させることがなく事故を発生させない。第2平板30の後方側には、押しラムのシリンダー軸42の先端部が挿し込まれる筒部32が備えられる。
【0055】
次に、縦矢板110と一対の水平部材120との隙間200をなくす矯正作業について、
図2(C)図と
図2(D)図を参照して詳細に説明する。まず、一対の水平部材120の外面側から、一対の水平部材の間隙122に軸体10と共に細長枠体50の先方部を挿し込み、縦矢板に穿設された孔116から軸体の先方端部13を縦矢板の内方空間117側に突出させる(
図2(C)図,
図3参照)。このときに、押しラムの後端部を細長枠体50の後方端枠52の内面に当接させた状態で、第2平板30を一対の水平部材の夫々の外面124,124に当接させると、押しラム41を伸長させる距離が短くなり、効率的に作業を行うことができる。
【0056】
次に、内方空間117側に突出された軸体10に第1平板20を装着させ、縦矢板外面118に当接させると共に、雌ねじ体22を螺着させて第1平板20を軸体10に固着させる。そして、油圧発生部300のレバーハンドル301を上下動させて押しラム41を油圧駆動させ(
図2(A)図参照)、シリンダー軸42を伸長させ、第2平板30と細長枠体の後方端枠52との間で突っ張らせる(
図2(C)図参照)。そうすると、縦矢板110に接して位置が固定されている第1平板20に対して、第2平板30が縦矢板110に向けて押し出され(
図2(D)図矢印c参照)、二つの平板20,30の距離が接近される(
図2(C)図距離d,
図2(D)図距離e参照)。
【0057】
このとき、縦矢板110の方が一対の水平部材120よりも剛性が高いため、縦矢板110の位置は殆ど動かず、一対の水平部材120が縦矢板110に接近されて密着される(
図2(D)図参照)。縦矢板と一対の水平部材とが密着されたら、縦矢板と腹起しとを締結具140により固着させる(
図2(C)図参照)。シリンダー軸42を伸長方向とは反対方向に縮退させると共に、第1平板20と雌ねじ体22とを軸体10から脱離させ、縦矢板110と一対の水平部材120とから腹起し矯正治具1を取り外す。一つの位置において腹起しの矯正が終わったら、腹起し矯正治具1を縦矢板110の異なる位置に移動させて腹起しを矯正させる(
図1(A)図破線で示す腹起し矯正治具9参照)。
【0058】
次に、一連の二重締切鋼矢板壁による山留壁構築工法の工程を、
図3を参照して説明する。ここでは豪雨により決壊した堤防の再建工事を例に説明する。
図3(A)図は、縦矢板110を打設させた状態を示している。
図3(B)図は、縦矢板に支持部材111を固着させて、一対の水平部材120を架け渡した状態を示している。
図3(C)図は、腹起しを矯正させる状態を示している。
図3(D)図は、向かい合う縦矢板110,110に引張部材130を張り渡した状態を示している。
図3(E)図は、縦矢板の内方空間に盛土150をし、縦矢板の天端にコンクリート151を打設させると共に、堤外に法面152を構築させた状態を示している。
【0059】
まず、堤防の決壊した部分に、向かい合うハット形鋼矢板壁をなす縦矢板110,110を地盤深くまで打設させる。堤防の嵩上げを併せて行う場合には、縦矢板の高さを既設堤防160に適した設計高さとさせる(
図3(A)図破線参照)。次に、高所作業車161を使って、各々の縦矢板110の頂部に支持部材111を固着させると共に、一対の水平部材120を縦矢板と交差する方向に平行に架け渡す(
図3(B)図参照)。
【0060】
そして、腹起し矯正治具1を使って一対の水平部材120を矯正させ、縦矢板110に一対の水平部材120を隙間なく当接させると共に溶接・ボルト締結等により縦矢板と一対の腹起しとを固着させる(
図3(C)図参照)。この状態で、向かい合う縦矢板110,110の間に、引張部材130が張り渡され、縦矢板110,110が一対の水平部材120,120ごと内側に向けて引っ張られる(
図3(D)図参照)。これを山留壁の水平方向全長に亘って繰り返す。全ての縦矢板に引張部材が張り渡されると、縦矢板の内方空間117(
図3(D)図参照)に複数回にわけて盛土150がされ、縦矢板の上方部分まで盛土がされる(
図3(E)図参照)。更に、縦矢板の天端にコンクリート151が打設されると共に、縦矢板に沿って法面152が構築される。
【実施例2】
【0061】
実施例2においては、伸縮手段が、縦矢板と腹起しを接近させる際に縮退手段として作用される伸縮装置と伸縮装置を装着させる細長枠体とからなる腹起し矯正治具2を、
図4と
図5を参照して説明する。
図4は、腹起し矯正治具と伸縮手段の説明図を示している。
図4(A)図は、腹起し矯正治具の平面による説明図である。
図4(B)図は、
図4(A)図のA−A位置の断面による説明図である。
図4(C)図は、保管・運搬時において、細長筒体の中に軸体を収容させて全体を短くさせた状態を示している。
図5は、腹起し矯正治具の使用状態の説明図を示している。
図5(A)図と
図5(B)図は、腹起し矯正治具が縦矢板の内方空間側で使用される場合を示し、
図5(C)図は、腹起し側で使用される場合を示している。
【0062】
実施例2においては伸縮手段40が、細長枠体60と、伸縮装置をなす引きラム43とされる例を説明する(
図4(A)図参照)。引きラム43とは、シリンダー軸44の両端にフック45,45を有し、シリンダー軸を油圧駆動させて縮退させ、牽引対象を引っ張る油圧ジャッキである。引きラムの引張力は、50kN以上とすると腹起しを矯正させやすい。実施例2以下においては、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略している。
【0063】
細長枠体をなす先方端枠61が、第1平板又は第2平板とされ、軸体の後方端部が挿通される孔62があけられている。先方端枠61が、縦矢板外面118に当接される場合(
図5(A)図,
図5(B)図参照)には、先方端枠61が第1平板24をなし、第1平板24の中を軸体14がスライドされる。この場合は、一対の水平部材120の夫々の外面124に係る第2平板34が、軸体14の先方端部13に固着されている。
【0064】
細長枠体の先方端枠61が、一対の水平部材120の夫々の外面124,124に係る場合(
図5(C)図参照)には、先方端枠61が第2平板35をなし、軸体10が第2平板35の中をスライドされる。この場合は、縦矢板外面118に当接される第1平板25が、軸体10の先方端部13に固着されている。
【0065】
いずれの場合も、軸体10が細長枠体60に遊嵌されているため、引きラム43により軸体10を細長枠体60の後方に向けて引っ張れば、先方端枠61が軸体10に沿ってスライドされ、第1平板と第2平板とが接近される。先方端枠61の垂直方向の長さは、一対の水平部材の間隙122を跨ぐ長さとされている(
図5(C)図参照)。細長枠体60をなす長手方向の後方端枠は、鋼板にかえて引きラム43のフック45を引っ掛けて固着させる軸部63とさせている。
【0066】
細長枠体60の中に進入された軸体14の後方端部11に、環状部を有する第2雌ねじ体70が螺着され、軸体14が細長枠体60から抜け落ちないようにされている。引きラム43は、前記環状部71と後方端枠をなす前記軸部63とに両端のフック45,45を引っ掛けて軸体14を引っ張って二つの平板の距離を接近させる。保管・運搬時には、引きラム43を細長枠体60から外し、細長枠体に遊嵌されている軸体14を格納部64に押し込めば、実施例1の腹起し矯正治具よりも短い状態で、保管・運搬させることができる(
図4(C)図参照)。
【0067】
腹起し矯正治具2を縦矢板110の側で使用する場合(
図5(A)図参照)には、まず引きラム43のシリンダー軸44を延伸させてから、両端のフック45,45が、細長枠体の後方端部にある軸部63と、軸体14の端部に螺着された第2雌ねじ体70の環状部71に引っ掛けられる。次に、縦矢板110に穿設された孔116に軸体14を挿通させ、一対の水平部材の間隙122の先まで軸体の先方端部13を突き出させると共に、第1平板24をなす先方端枠61を縦矢板外面118に当接させる。間隙122から突き出された軸体の先方端部13に第2平板34が固着される。
【0068】
引きラム43のシリンダー軸44を縮退させると、細長枠体60に挿通された軸体14が第2平板34ごと縦矢板110に向けて引っ張られ(
図5(A)図矢印参照)、一対の水平部材120の夫々の外面124,124を押圧させる。そうすると、第1平板24と第2平板34の距離が接近され(
図5(A)図距離e,
図5(B)図距離f参照)、縦矢板110と一対の水平部材120との隙間200が縮減されて、縦矢板に腹起しが隙間なく当接される(
図5(A)図,
図5(B)図参照)。
【0069】
腹起し矯正治具2が一対の水平部材120よりも外方側で使用される場合(
図5(C)図参照)には、一対の水平部材の間隙122に軸体14を挿通させ、縦矢板外面118に軸体の先方端部13を突き出させると共に、第2平板35をなす細長枠体の先方端枠61を一対の水平部材の夫々の外面124,124に当接させる。縦矢板の孔116から突き出された軸体の先方端部13に第1平板25が固着される。引きラム43のシリンダー軸44を縮退させることにより、細長枠体60に挿通されている軸体14が縦矢板110に向かうように引っ張られ(
図5(C)図矢印参照)、第1平板25と第2平板35の距離を接近させる。
【実施例3】
【0070】
実施例3においては、伸縮手段40が、縦矢板と腹起しを接近させる際に伸長手段として作用される伸縮装置と伸縮装置を装着させる広幅の枠体とからなる腹起し矯正治具3を、
図6を参照して説明する。
図6(A)図は、腹起し矯正治具の平面による説明図を示し、
図6(B)図と
図6(C)図は、縦矢板に腹起しを接近させる矯正作業の工程を示している。
【0071】
実施例3においては伸縮手段40が、広幅の枠体80と伸長手段をなす機械式ジャッキとされる例を説明する(
図6参照)。ここでは、機械式ジャッキとしてパンタグラフ形式のジャッキ90を例に説明する。パンタグラフ形式のジャッキとは、ひし形をなすように左右対称に配設された一対の屈折腕91,92を、ねじ軸93の回動により延伸させる機械式ジャッキである(
図6(A)図参照)。
【0072】
より具体的には、一方の屈折腕91の関節部94にねじ孔を備えさせ、他方の屈折腕92の関節部95に逆ねじ孔を備えさせ、ねじ孔と逆ねじ孔とを貫通させるようにねじ軸93を挿通させている。このねじ軸をモータ96により回動させることにより、各々の関節部94,95を接近させて屈折腕91,92を延伸させている(
図6(A)図参照)。
【0073】
パンタグラフ形式のジャッキの基端部97が、枠体80の後方端枠81の内面に固着され、パンタグラフ形式のジャッキ90と枠体80とが一体をなしている(
図6(A)図参照)。パンタグラフ形式のジャッキの先端押圧部98が第2平板36をなし、枠体80の中で軸体10に沿ってスライド可能に遊嵌されている。枠体80は、パンタグラフ形式のジャッキ90を格納できるように広幅とされている。枠体80をなす鋼板の高さ、板厚は実施例1で説明した細長枠体と同様としている。軸体10は、先方端枠82の外面に固着されている。
【0074】
腹起し矯正治具3を使用する場合も、実施例1と同様に、軸体10と、枠体80の先方部を一対の水平部材120の間隙122に挿し込み、軸体の先方端部を縦矢板の内方空間に突出させると共に、第2平板36をなすパンタグラフ形式のジャッキの先端押圧部98を一対の水平部材の夫々の外面124,124に当接させる(
図6(B)図参照)。軸体の先方端部13に第1平板20と雌ねじ体22とを固着させる。この状態で屈折腕91,92を折り立てるようにして、第1平板20と第2平板36とを接近させて、縦矢板110と一対の水平部材120との隙間200をなくして一対の水平部材120を縦矢板110に当接させる(
図6(B)図,
図6(C)図参照)。
【0075】
(その他)
・各実施例においては、油圧ジャッキ等の液体作動式ジャッキと、パンタグラフ形式のジャッキを電動駆動させる機械式ジャッキについて例示したが、本発明の伸縮手段はこれに限定されない。例えば、空気作動式ジャッキにより第1平板と第2平板との距離を接近させてもよく、人力で伸縮手段を伸縮させるようにしてもよい。
・実施例1においては、伸長手段が細長枠体に着脱可能に格納させる例を説明したが、伸長手段が細長枠体に予め格納されて一体とされてもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。