(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルカリ剤を含有し、クリーム状の剤型である第1剤と、酸化剤を含有し、液状の第2剤を含み、使用時における25℃の粘度が3000〜10000mPa・sである酸化染毛剤組成物であって、
(A)酸化染料の塩を0.1〜10質量%、
(B)カチオン性界面活性剤を0.15質量%以上、
(C)HLBが17〜20である非イオン性界面活性剤、
(D)HLBが11以下である非イオン性界面活性剤
を含有する酸化染毛剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る酸化染毛剤組成物を具体化した実施形態について説明する。2剤式の酸化染毛剤組成物は、第1剤と第2剤とから構成され、第1剤と第2剤が混合された後、毛髪の染毛に使用される。また、酸化染毛剤組成物は、3剤式の酸化染毛剤組成物として構成してもよい。
【0011】
<2剤式の酸化染毛剤組成物>
2剤式の酸化染毛剤組成物は、例えばアルカリ剤、酸化染料を含有する第1剤と酸化剤等を含有する第2剤から構成される。
【0012】
(2剤式の酸化染毛剤組成物の第1剤)
第1剤は、アルカリ剤及び酸化染料の他に、例えば(B)カチオン性界面活性剤、(C)HLBが17〜20である非イオン性界面活性剤、(D)HLBが11以下である非イオン性界面活性剤、及び(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体を含有する。酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。本実施形態においては、酸化染料として、酸付加塩である(A)酸化染料の塩が用いられる。酸付加塩としては、有機酸の付加塩、無機酸の付加塩が挙げられる。より具体的には、例えば塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩等が挙げられる。これらの具体例のうち一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、染毛力に優れる観点から、塩酸塩、硫酸塩が好ましい。
【0013】
染料中間体の具体例としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(p−トルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール等の各塩が挙げられる。これらの染料中間体の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0014】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、1,5−ジヒドロキシナフタレン等の各塩が挙げられる。これらのカプラーの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。(A)成分は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば塩態でない酸化染料、「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料を適宜含有してもよい。
【0015】
酸化染毛剤組成物中、すなわち第1剤及び第2剤の混合物中における(A)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。(A)成分の含有量が0.1質量%以上であると、特に染毛力をより向上できる。
【0016】
第1剤及び第2剤の混合物中における(A)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。(A)成分の含有量が10質量%以下であると、混合物の粘度の低下を抑制することができる。
【0017】
第1剤中における(A)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。(A)成分の含有量が0.1質量%以上であると、特に染毛力をより向上できる。第1剤中における(A)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは14質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。(A)成分の含有量が20質量%以下であると、第1剤の安定性を向上できる。
【0018】
(B)カチオン性界面活性剤は、第1剤と第2剤の混合物に対して所望の粘度を付与する。また、(A)成分を含有する第1剤の安定性を向上させる。そのため、(B)カチオン性界面活性剤は、(A)成分を含有する第1剤に配合されることが好ましい。(B)カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、アルキルアミドアミン型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。塩化アルキルトリメチルアンモニウムの具体例としては、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。アルキルアミドアミン型のカチオン性界面活性剤の具体例としては、例えばステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド等のアルキロイルアミドエチルジエチルアミンや、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド等のアルキロイルアミドプロピルジメチルアミンや、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド等のアルキロイルアミドエチルジメチルアミンや、ベヘニルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン等のアルキロイルジメチルアミンや、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン等のアルキロイルプロピルジメチルアミン、又はそれらの塩等が挙げられる。これらのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、第1剤と第2剤の混合物に対して粘度付与効果により優れ、使用時の混合性に優れる観点から、炭素数が20以上のアルキル基を有するカチオン性界面活性剤が好ましい。
【0019】
第1剤及び第2剤の混合物中における(B)成分の含有量の下限は、0.15質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上である。(B)成分の含有量が0.15質量%以上であると、所望の粘度を付与することができる。第1剤及び第2剤の混合物中における(B)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは0.75質量%以下である。(B)成分の含有量が10質量%以下であると、混合性をより向上できる。
【0020】
第1剤中における(B)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.4質量%以上である。第1剤中における(B)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。第1剤中における(B)成分の含有量をかかる範囲内に規定することにより(A)成分を含有する第1剤の安定性を向上できる。
【0021】
(C)HLBが17〜20である非イオン性界面活性剤は、第1剤と第2剤の混合物に対して所望の粘度を付与する。(C)成分は、ポリオキシエチレン(以下、「POE」という)鎖を有する化合物であることが好ましい。POE鎖を構成するエチレンオキサイド(以下、「E.O.」という)の付加モル数は、25以上であることが好ましく、より好ましくは30以上、さらに好ましくは35以上である。E.O.の付加モル数が25以上であるPOE鎖を構成する化合物の場合、所望の粘度を付与することができる。(C)成分の具体例を以下に列挙する。なお、化合物名の括弧中の数値はE.O.の付加モル数を示す。また、本発明においてHLB値は、後述する実測値により求められる値を採用するが、日光ケミカルズ社カタログ(2014年)記載の数値等を参考値として記載する。
【0022】
(C)成分の具体例としては、例えばPOE(25)ラウリルエーテル(HLB:17.1)、POE(20)オレイルエーテル(HLB:17)、POE(50)オレイルエーテル(HLB:18)、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB:18)、POE(150)ベヘニルエーテル(HLB:19.1)、POE(20)セチルエーテル(HLB:17)、POE(30)セチルエーテル(HLB:19.5)、POE(40)セチルエーテル(HLB:20)、POE(20)ステアリルエーテル(HLB:18)、POE(150)ステアリルエーテル(HLB:19.2)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45)(HLB:18)、POE(40)ラノリンアルコール(HLB:17)、POE(30)フィトステロール(HLB:18)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40)(HLB:17.5)等が挙げられる。
【0023】
尚、HLB(hydrophile-lipophile balance)は、W.C.Griffinによって考えられ、非イオン性界面活性剤に対して与えられた数値であり、非イオン性界面活性剤の親油基(アルキル基)と親水基(酸化エチレン鎖)との強さのバランスを数字で表したものである。HLB値は、乳化法から算出した実測値が用いられる(「ハンドブック−化粧品・製剤原料−」日光ケミカルズ株式会社(昭和52年2月1日改訂版発行)参照)。実測HLB値の測定には、界面活性剤の標準物質としてモノステアリン酸ソルビタン(例えば日光ケミカルズ社製のNIKKOL SS−10、HLB値4.7)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば日光ケミカルズ社製のNIKKOL TS−10、HLB値14.9)を組み合わせて使用する。被乳化物には流動パラフィンを使用する。尚、流動パラフィンは種類による又はロットによる変動が考えられる場合は、その都度測定する。流動パラフィンを上記2種類の界面活性剤で乳化し、最適な界面活性剤の割合を求め、流動パラフィンの所要HLB値(乳化されるHLB値)を求める。計算式は数式(1)に示される。
【0024】
【数1】
通常流動パラフィンの所要HLB値は、種類及びロットにもよるが10.1〜10.3程度である。次に未知の界面活性剤のHLBの測定は、所要HLB値を求めた流動パラフィンを用いて測定する。未知の界面活性剤が親水性であればモノステアリン酸ソルビタンと組み合わせ、未知の界面活性剤が疎水性であればモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンと組み合わせて、上記流動パラフィンを乳化し、安定性のあるところの最適割合を求め、未知の界面活性剤のHLB値をxとして上記数式(1)に当てはめて算出する。
【0025】
第1剤及び第2剤の混合物中における(C)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。(C)成分の含有量が0.01質量%以上であると、所望の粘度を付与することができる。第1剤及び第2剤の混合物中における(C)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。(C)成分の含有量が10質量%以下であると、製剤の安定性をより向上できる。また、使用時の混合性をより向上できる。
【0026】
(C)成分として、E.O.の付加モル数が30以上のPOE鎖を有する非イオン性界面活性剤が用いられる場合、第1剤中における、かかる(C)成分の含有量の下限は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。かかる(C)成分の含有量が0.01質量%以上であると、第1剤の安定性をより向上できる。第1剤中における、かかる(C)成分の含有量の上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。かかる(C)成分の含有量が3質量%以下であると、使用時の混合性をより向上できる。
【0027】
(D)HLBが11以下である非イオン性界面活性剤は、使用時における混合性を向上させる。(D)成分の具体例として、例えば、POE(3)アルキル(C12〜14)エーテル(HLB:8)、POE(2)セチルエーテル(HLB:8.0)、POE(4)セチルエーテル(HLB:8.4)、POE(5)セチルエーテル(HLB:9.5)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB:10.5)、POE(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル(HLB:9.5)、POE(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル(HLB:10.5)、POE(12)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB:8.5)、POE(2)ラウリルエーテル(HLB:9.5)、POE(3)ラウリルエーテル(HLB:8.4)、POE(2)ミリスチルエーテル(HLB:5.8)、POE(3)ミリスチルエーテル(HLB:7.7)、POE(2)ヘキシルデシルエーテル(HLB:5.3)、POE(4)ヘキシルデシルエーテル(HLB:8.4)、POE(2)ステアリルエーテル(HLB:8.0)、POE(4)ステアリルエーテル(HLB:9.0)、POE(5)ステアリルエーテル(HLB:9.0)、POE(2)オレイルエーテル(HLB:4.9)、POE(3)オレイルエーテル(HLB:6.6)、POE(2)オクチルドデシルエーテル(HLB:4.6)、POE(5)オクチルドデシルエーテル(HLB:8.5)、POE(2)ベヘニルエーテル(HLB:4.3)、POE(3)ベヘニルエーテル(HLB:5.8)、POE(5)ベヘニルエーテル(HLB:7.0)、POE(6)ベヘニルエーテル(HLB:8.9)、親油型モノオレイン酸グリセリン(HLB:2.5)、親油型モノステアリン酸グリセリン(HLB:4.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン(HLB:6.0)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB:4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB:3.7)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB:1.7)、モノステアリン酸ソルビタン(HLB:4.7)、モノパルミチン酸ソルビタン(HLB:6.7)、モノラウリン酸ソルビタン(HLB:8.6)、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0028】
第1剤と第2剤の混合物中における(D)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。(D)成分の含有量が0.05質量%以上であると、使用時における混合性を向上できる。第1剤と第2剤の混合物中における(D)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。(D)成分の含有量が10質量%以下であると所望の粘度を付与することができる。
【0029】
第1剤中における(D)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。(D)成分の含有量が0.1質量%以上であると、使用時における混合性を向上できる。第1剤中における(D)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。(D)成分の含有量が20質量%以下であると所望の粘度を付与することができる。
【0030】
第1剤と第2剤の混合物中における(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上である。かかる質量比が0.1以上であると、使用時における混合性をより向上できる。第1剤と第2剤の混合物中における(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比の上限は、適宜設定されるが、好ましくは2以下、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.5以下である。かかる質量比が2以下であると所望の粘度を付与することができる。
【0031】
第1剤中における(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上である。かかる質量比が0.1以上であると、使用時における混合性をより向上できる。第1剤中における(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比の上限は、適宜設定されるが、好ましくは2以下、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.5以下である。かかる質量比が2以下であると所望の粘度を付与することができる。
【0032】
(E)ヒドロキシアルキルセルロース又はその誘導体は、使用時における第1剤と第2剤の混合性をより向上させる。そのため、酸化染毛剤組成物は、好ましくは(E)成分を含有する。クリーム状の剤型である第1剤と、液状の第2剤との混合性をより向上させる観点から、(E)成分は、第1剤に配合されることがより好ましい。(E)成分の具体例としては、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。これらの中で、混合性に優れる観点からヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0033】
第1剤と第2剤の混合物中における(E)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。(E)成分の含有量が0.01質量%以上であると、使用時における第1剤と第2剤の混合性をより向上できる。
【0034】
第1剤と第2剤中における上記(E)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。(E)成分の含有量が10質量%以下であると、所望の粘度を付与することができる。
【0035】
第1剤に含有するアルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進させることにより、毛髪の染毛効果を向上する働きをする。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、リジン等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、染毛効果の向上の観点から、アンモニア、アンモニウム塩、及びアルカノールアミンが好ましく適用される。
【0036】
第1剤及び第2剤の混合物中におけるアルカリ剤の含有量は、pHが7〜12の範囲となる量で配合されることが好ましい。第1剤及び第2剤の混合物のpHを7以上とすることにより、第2剤に含まれる酸化剤の作用をより促進することができる。第1剤及び第2剤の混合物のpHを12以下とすることにより、酸化染毛剤組成物の塗布による毛髪の損傷をより抑制することができる。
【0037】
酸化染毛剤組成物は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、上記以外の水溶性ポリマー、油性成分、多価アルコール、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、糖、防腐剤、安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤等をさらに含有してもよい。
【0038】
可溶化剤は、第1剤をクリーム状の剤型にする。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(溶剤)が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。これらの可溶化剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、第1剤中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく適用される。溶媒として水が用いられる場合、第1剤と第2剤の混合物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0039】
水溶性ポリマーは、酸化染毛剤組成物に適度な粘度を与える。そのため、酸化染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において水溶性ポリマーを含有してもよい。水溶性ポリマーとしては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、及び無機物系高分子が挙げられる。天然高分子の具体例としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン、トリグルコ多糖(プルラン)等が挙げられる。
【0040】
半合成高分子の具体例としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。カチオン化セルロースの具体例としては、例えばヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0041】
合成高分子の具体例としては、例えばポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン−酢酸ビニル(VP/VA)コポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、イタコン酸とPOEアルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらの水溶性ポリマーのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0042】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、酸化染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン等が挙げられる。
【0043】
油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、ラノリン、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油等が挙げられる。ロウの具体例としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリンロウ等が挙げられる。高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0044】
炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0045】
エステルの具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0046】
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0047】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0048】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分として酸化染毛剤組成物を使用時に乳化又は可溶化させ、粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。そのため、酸化染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び上記以外の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0049】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N−アルキロイルメチルタウリン塩、それらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0050】
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0051】
非イオン性界面活性剤は、HLBが11を超え且つ17未満、又はHLBが20を超えるものから選択される。非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0052】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0053】
アルキルグルコシドの具体例として、例えばアルキル(炭素数8〜16)グルコシド等、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0054】
pH調整剤は、酸化染毛剤組成物のpHを調整するために配合してもよい。pH調整剤は、適宜公知のものから選択される。pH調整剤としては、例えば無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。有機酸の具体例としては、例えばクエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、レブリン酸、酢酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸等が挙げられる。有機酸塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。無機酸の具体例としては、例えばリン酸、ピロリン酸等のリン酸類、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。これらは一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、糖アルコール等が挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸類及び亜硫酸塩等が挙げられる。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。
【0056】
第1剤の剤型は、25℃における剤型が、クリーム状である。それにより、第1剤の安定性を向上させる。また、液状である第2剤との混合物に所望の粘度を付与することができる。
【0057】
(2剤式の酸化染毛剤組成物の第2剤)
第2剤は、酸化剤の他、上述した可溶化剤等を配合する。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性をより向上させる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。第2剤中における酸化剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。酸化剤の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下である。酸化剤の含有量が15質量%以下の場合、毛髪の損傷等をより抑制することができる。
【0058】
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばスズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、酸化染毛剤組成物に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
【0059】
第2剤の剤型は、25℃における剤型が、水溶液や乳液等の液状である。クリーム状の剤型である第1剤との混合性を向上させる観点から乳液等の液状の剤型であることが好ましい。
【0060】
<3剤式以上の酸化染毛剤組成物>
例えば、2剤式の酸化染毛剤組成物の第1剤について、アルカリ剤を含有する剤と、アルカリ剤以外の組成を有する剤の2つに分け、3剤式の酸化染毛剤組成物として構成してもよい。この場合、3剤式の酸化染毛剤組成物は良好な製剤安定性を有する。このようにして、製剤安定性等の観点から、第1剤又は第2剤に含有される各成分を、複数剤に分けて保存してもよい。酸化染毛剤組成物を3剤式以上に構成した場合であっても、本発明の効果を奏する限りにおいて依然として本発明に含まれるものとする。
【0061】
<酸化染毛剤組成物の混合物の調製>
酸化染毛剤組成物は、使用時に上述した各剤を混合して混合物が調製される。混合物の調製は、所定容量の密閉容器内に各剤を所定量投入し、振とう混合することにより調製してもよく、トレー等の器内に各剤を投入し、刷毛、撹拌棒等を用いて撹拌混合により調製してもよい。混合操作のしやすさから、好ましくは100〜300mLの筒状の密閉可能な容器が用いた振とう混合が好ましい。また、容器内における混合物の総量は、混合性向上の観点から密閉容器の内容量に対して20〜80容量%であることが好ましい。各剤が投入された密閉容器による振とう混合は、手動で上下・左右の往復運動や回転運動等により行ってもよく、加振機等を用いて機械的に行ってもよい。得られた酸化染毛剤組成物の混合物は、必要量だけ薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛、吐出口を有する蓋若しくは櫛付き容器等により毛髪に塗布される。
【0062】
使用時における混合物の25℃における粘度は、3000〜10000ミリパスカル秒(mPa・s)であり、好ましくは4000〜9000mPa・sである。特に、内径1.2〜2.5mmの吐出流路又は吐出口を有する蓋又は櫛付き容器により、混合物が毛髪に塗布される場合、吐出口からの吐出性及び塗布性を向上できる。なお、粘度は、例えばB型粘度計を用い、25℃及び1分間の測定条件で求めることができる。B型粘度計の具体例としては、例えばBL型粘度計VISCOMETER(東機産業社製)を挙げることができる。使用するロータ及び回転速度は、測定機器の測定可能な粘度範囲に従い適宜選択される。例えば、3号ロータを用い、120rpmの条件で求めることができる。混合物の粘度は、上述した可溶化剤、水溶性高分子、油性成分、界面活性剤等の配合割合を変化させることによって適宜調節することができる。
【0063】
本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は、複数剤から構成され、酸付加塩の酸化染料を使用する酸化染毛剤組成物において、(B)カチオン性界面活性剤を0.15質量%以上、(C)HLBが17〜20である非イオン性界面活性剤、及び(D)HLBが11以下である非イオン性界面活性剤を併用した。したがって、混合物に対して所望の粘度を付与することができる。また、使用時においてクリーム状の剤型である第1剤と、液状の第2剤との混合性を向上できる。
【0064】
(2)本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は、25℃における粘度が3000〜10000mPa・sである。したがって、垂れ落ち等を生ずることなく、良好な塗布性を有する。特に、内径1.2〜2.5mmの吐出流路又は吐出口を有する蓋又は櫛付き容器により、混合物が毛髪に塗布される場合、吐出口からの吐出性及び塗布性を向上できる。
【0065】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の酸化染毛剤組成物では、(A)〜(D)成分が、使用時において、混合物中に含有されていれば、本発明の効果を奏することができる。したがって、酸化染毛剤組成物が複数剤型として構成される場合、保存時において、(A)〜(D)成分はいずれの剤中に含有されてもよい。
【0066】
・上記実施形態において、酸化染毛剤組成物を構成する第1剤、第2剤、又は第3剤に含有される各成分の一部を別剤として構成し、剤型の数を増やしてもよい。
・第1剤又は第2剤の粘度範囲は、特に限定されないが、例えば乳液の剤型の場合、25℃における粘度が好ましくは3000〜10000ミリパスカル秒(mPa・s)、クリーム状又はゲル状の剤型の場合、25℃における粘度が好ましくは10000〜50000mPa・sである。粘度は、例えばB型粘度計を用い、上記と同様の方法により測定することができる。
【0067】
・上記実施形態において、上述した酸化染料以外の染料として、本発明の効果を阻害しない範囲内において、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された直接染料を適宜含有してもよい。
【実施例】
【0068】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
酸化染毛剤組成物として、表1〜3に示す各成分を含有する、クリーム状の剤型の第1剤と乳液の剤型である第2剤をそれぞれ調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。表中「成分」欄における(A)〜(E)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。一方、表中「成分」欄における「c」の表記は、本願請求項記載の各成分の対比化合物を示す。
【0069】
上記のように調製した第1剤の粘度を測定した。粘度は、B型粘度計としてBL型粘度計VISCOMETER(東機産業社製)及び3号ロータを使用し、25℃、120rpmの条件で求めることができる。また、第1剤について、製剤安定性について下記に示す方法により評価した。
【0070】
次に、各例において、表1,2に示される酸化染毛剤組成物の第1剤及び表3に示される第2剤を2:3の比率で混合し、酸化染毛剤組成物の混合物を調製した。第1剤及び第2剤の混合操作は、高さ12cm、直径4.5cmの円筒状の蓋付き密閉容器(内容量200mL)を用い、第1剤と第2剤を合計量が表1,2に示す容量で充填した後、上下方向へ30回往復運動により振とう混合した。得られた混合物の粘度を上記と同じ条件で測定した。また、第1剤と第2剤を混合する際の混合性について下記に示す方法により評価した。
【0071】
(第1剤の製剤安定性)
各例の第1剤について、ガラス瓶に入れ、60℃の恒温漕中で24時間保存した後、第1剤の分離状態を目視にて評価することによりクリーム状の第1剤の保持効果が良いか否かを判断した。分離が認められないものを評価5、分離がやや認められるもの評価3、分離がかなり認められるものを評価1、各評価の中間のものをそれぞれ評価4,2とした。結果を下記表に示す。
【0072】
(混合性)
パネラー5名が、第1剤と第2剤を蓋付き密閉容器内に充填し、容器を上下方向に10回穏やかに振とうした際の振とう後の混合物の状態をパネラーが目視にて混合度合いを以下の基準で評価することにより、混合性を判断した。不均一な部分が全くないものを評価5、不均一な部分がほぼないものを評価4、不均一な部分がやや残っているものを評価3、不均一な部分が残っていると容易に判断できるものを評価2、不均一な部分が多く残っているものを評価1の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を下記表に示す。
【0073】
(混合物の粘度値評価)
第1剤と第2剤とを混合することにより得られた混合物について、以下のように評価した。混合物の粘度が4000〜6000mPa・sの場合を評価5、3500mPa・s以上且つ4000mPa・s未満の場合、又は6000mPa・sより大きく且つ8000mPa・s以下の場合を評価4、3000mPa・s以上且つ3500mPa・s未満の場合、又は8000mPa・sより大きく且つ10000mPa・s以下の場合を評価3、2500mPa・s以上且つ3000mPa・s未満の場合、又は10000mPa・sより大きく且つ12000mPa・s以下の場合を評価2、2500mPa・s未満、又は12000mPa・sより大きく場合を評価1とした。結果を下記表に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
表1,2に示されるように、各実施例は、各評価項目について3以上の評価結果であることが確認された。実施例7に示されるように、容器内の混合物の充填率が20容量%の場合、混合操作の際、混合液の内壁への当接力が弱く、混合性が実施例1(充填率60容量%)に対して評価が劣る結果となった。一方、容器内の混合物の充填率が80容量%の場合、混合操作の際、混合液中への空気の分散性が弱く、混合性が実施例1(充填率60容量%)に対して評価が劣る結果となった。
【0077】
表2に示されるように、(B)成分の含有量が低い比較例1は、各実施例に対して、第1剤の製剤安定性及び混合物の粘度値の評価が劣ることが確認された。(C)成分の代わりにHLBが13.5の非イオン性界面活性剤を使用する比較例2は、各実施例に対して、混合物の粘度値の評価が劣ることが確認された。(D)成分を含有しない比較例3は、各実施例に対して、混合性の評価が劣ることが確認された。