(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899626
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】小物類の収納ケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20210628BHJP
B43K 23/00 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
A45C11/34 B
B43K23/00 200F
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-185690(P2015-185690)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-56125(P2017-56125A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年8月9日
【審判番号】不服2020-4682(P2020-4682/J1)
【審判請求日】2020年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽芳
(72)【発明者】
【氏名】花川 陽一
【合議体】
【審判長】
小川 恭司
【審判官】
岡澤 洋
【審判官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3171817(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3165818(JP,U)
【文献】
特開2002−320513(JP,A)
【文献】
特開平8−146355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する内面間に小物類を収納するための収納空間を形成する対をなす平面状の側面壁体と、これら側面壁体が接近する収縮姿勢及び上下全域に亘って拡開する拡張姿勢を選択的に採り得るようこれら側面壁体の前縁部及び後縁部をそれぞれ連結する前後の連結部とを具備してなり、前記拡張姿勢をなす前記側面壁体を、その前縁部及び後縁部が起立する態様で自立させることが可能にすべく、これら側面壁体が平面状で前記自立を可能にするだけの剛性を有した下側領域を備えている小物類の収納ケースであって、
一方の連結部が、前記側面壁体の前縁部同士を接離可能に連結し前記収縮姿勢において内側に折り込むことが出来る変形可能な壁状のものであるとともに、他方の連結部が、前記側面壁体の後縁部同士を回動可能に連結するヒンジ状のものであり、
前記対をなす側面壁体のそれぞれが芯材を備え、前記芯材同士が前記ヒンジ状の他方の連結部を介して分かれており、
前記収納空間が収納物の量が多くなるにつれて大きくなるとともに、
前記対をなす側面壁体の少なくとも前記前縁部間及び上縁部間に、ファスナが設けられており、
前記対をなす側面壁体の下縁部間に、可撓性を有する底面壁体が設けられている小物類の収納ケース。
【請求項2】
前記側面壁体がたわみ変形可能である請求項1記載の小物類の収納ケース。
【請求項3】
前記自立状態において前記側面壁体と前記一方の連結部とが、平面視において略三角形をなすように配される請求項1又は2記載の小物類の収納ケース。
【請求項4】
前記側面壁体及び前記一方の連結部が、略同一の横幅寸法を有したものであり、前記自立状態において前記側面壁体と前記一方の連結部とが、平面視において略正三角形をなすように配される請求項3記載の小物類の収納ケース。
【請求項5】
前記側面壁体が、前記下側領域と、この下側領域に仮想境界線を介して連続する上側領域とを備えたものであり、前記仮想境界線部分を折り曲げて前記上側領域を前記下側領域の外面側に折り返すことができるように構成されている請求項1、2、3又は4記載の小物類の収納ケース。
【請求項6】
前記下側領域の内面側に内ポケットを添設している請求項5記載の小物類の収納ケース。
【請求項7】
前記他方の連結部が、前記側面壁体の下側領域に対応する下連結領域と、前記側面壁体の上側領域の全部又は一部に対応する上連結領域とを備えたものであり、前記上連結領域は、前記側面壁体の上側領域とともに前記下連結領域の外面側に折り返すことができるように構成されている請求項5又は6記載の小物類の収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯可能であり且つ机上或いはテーブル面等に自立した姿勢で使用することが可能な小物類の収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペン等やスティック状の文具製品を好適に収納することができる袋状をなす所謂ペンケースと称されるものが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。これら特許文献記載のものは単に小物類の一態様であるペン、スティック状の文具製品を収容できるのみならず、メイクブラシといったスティック状の化粧用具等の棒状の小物類をも好適に収納することができる。また勿論棒状の小物類であれば、フォークやスプーン等のカトラリーも好適に収納し得る。それ故、これら特許文献に記載のものは、小物類の収納ケースの一態様としての、棒状小物類の収納ケースと称することもできる。
【0003】
さらに当該特許文献に記載したものは、単に小物類を収納するのみならず、小物類の少なくとも一端を外方へ開放させつつ、当該一端を上側とし且つ当該小物類を覆っている壁体を自立させた自立状態をすることができる。当該自立状態とすることにより、小物類の容易な視認並びに出し入れを可能としている。
【0004】
そして上記特許文献のものはさらに、安定した自立状態を実現するために、当該自立状態で机上等に接地する下側が小物類の収納時に概略筒状をなす硬質の壁体が構成されている。斯かる構成により、安定した自立状態を実現することができるとともに、小物類を収納しているときには収納する小物類の量や形状が違っても全体の外形があまり変化しないという、所謂保形性が高いものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3473507号公報
【特許文献2】特許第4617597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の通り保形性が高いということは、収納する小物類が少ないときであっても同じ外形を有することとなり、不要に嵩張っているという見方もすることができる。また小物類を許容容量よりも少ない量収容した状態でも収納空間に不要な隙間が形成されてしまい、小物類が運搬時に内部で不要に動かされてしまうことも考え得る。
【0007】
そして現在、小物類の出し入れの行い易さと安定した自立状態を実現した上で、しかもコンパクトな状態で小物類を収納でき、且つ小物類の量に拘わらず当該小物類を有効に保護し得るものが求められている。
【0008】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、小物類の出し入れも容易で且つ安定した自立状態を実現し、且つ小物類収納時のコンパクトさをも実現させた小物類の収納ケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち請求項1の発明に係る小物類の収納ケースは、対向する内面間
に小物類を収納するための収納空間を形成する対をなす平面状の側面壁体と、これら側面壁体
が接近する収縮姿勢及
び上下全域に亘って拡開する拡張姿勢を選択的に採り得るようこれら側面壁体の前縁部及び後縁部をそれぞれ連結する前後の連結部とを具備してなり、前記拡張姿勢をなす前記側面壁体を、その前縁部及び後縁部が起立する態様で自立させることが可能
にすべく、これら側面壁体が平面状で前記自立を可能にするだけの剛性を有した下側領域を備えている小物類の収納ケースであって
、一方の連結部が、前記側面壁体の前縁部同士を接離可能に連結し前記収縮姿勢において内側に折り込むことが出来る変形可能な壁状のものであるとともに、他方の連結部が、前記側面壁体の後縁部同士を回動可能に連結するヒンジ状のものであり、前記対をなす側面壁体のそれぞれが芯材を備え、前記芯材同士が前記ヒンジ状の他方の連結部を介して分かれており、前記収納空間が収納物の量が多くなるにつれて大きくなる
とともに、前記対をなす側面壁体の少なくとも前記前縁部間及び上縁部間に、ファスナが設けられており、前記対をなす側面壁体の下縁部間に、可撓性を有する底面壁体が設けられていることを特徴とする。
【0011】
ここで、「側面壁体」には、途中で折り曲げることができないものも含まれ、さらには、「平面状の側面壁体」には、完全な平面状のみならず若干湾曲したものも含まれるが、小物類を挟持するように接近する収縮姿勢を採れないものは含まれない概念である。加えて、「平面状の側面壁体」は、平らな樹脂板を全域又は一部の領域に用い、当該樹脂板を布などの外装材で被覆したものに限らず、例えば、ワイヤフレームの外側を外装材で覆ったものを上記樹脂板同様に作用させるようにした態様等を適用してもよい。
【0012】
このようなものであれば、対をなす平面状の側面壁体が収縮姿勢において小物類を隙間無く挟持することができるので、コンパクトな収縮姿勢を実現することができる。また、上記特許文献のものと同様、拡張姿勢を取るときには対をなす平面状の側面壁体が前後の連結部を介して上下全域に亘って拡開することにより、安定した自立状態を実現できる。すなわち本発明によれば、小物類の出し入れも容易で且つ安定した自立状態を実現し、且つ小物類収納時のコンパクトさをも実現させた小物類の収納ケースを提供することができる。
【0013】
このような小物類の収納ケースの好適な一例として、側面壁体がたわみ変形可能であり、前記収納空間が収納物の量が多くなるにつれて大きくなるものが挙げられる。
【0014】
ここで、「変形可能な壁状」のものには、二つ折り可能な壁のみならず、蛇腹状の壁なども含まれる。また、「ヒンジ状」のものには、可撓性のある外装材によりヒンジを構成したものだけでなく、側面壁体の芯材同士を樹脂ヒンジ(二本線が望ましい)により一体的に連結したものなども含まれる。
【0015】
また、安定した自立状態の実現並びに自立状態における小物類の視認性の高さを両立させるためには、前記自立状態において前記側面壁体と前記一方の連結部とが、平面視において略三角形をなすように配されるようにすることが望ましい。また、さらに安定した自立状態の実現のために更に望ましくは、側面壁体及び一方の連結部を、略同一の横幅寸法を有したものとし、自立状態において側面壁体と一方の連結部とを、平面視において略正三角形をなすように配されるようにしたものを挙げることができる。
【0016】
また、小物類の視認性をより高めた自立状態を行わせるためには、側面壁体を、
前記下側領域と、この下側領域に仮想境界線を介して連続する上側領域とを備えたものとし、仮想境界線部分を折り曲げて上側領域を下側領域の外面側に折り返すことができるように構成することが好ましい。
【0017】
ここで上述した通り、「平面状」には、完全な平面に沿ったものだけでなく、穏やかに湾曲しているようなものも含まれる。すなわち、「側面壁体の下側領域」は、平らな樹脂板を布などの外装材で被覆したものに限らず、例えば、ワイヤフレームの外側を外装材で覆ったもの等でもよい。
【0018】
そして、下側領域の内面側に内ポケットを添設しているものであれば、剛性を有した下側領域に沿って配されることで自ずと平面的なものになる。そのため、カード類の出し入れが容易になるとともに変形も防止でき、当該カード類を有効に保護し得るポケットが実現できる。
【0019】
また、より安定した拡張状態を維持した自立状態を行わせるための構成として、他方の連結部が、側面壁体の下側領域に対応する下連結領域と、側面壁体の上側領域の全部又は一部に対応する上連結領域とを備えたものであり、上連結領域は、側面壁体の上側領域とともに下連結領域の外面側に折り返すことができるように構成されているという構成を挙げることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、小物類の出し入れも容易で且つ安定した自立状態を実現し、且つ小物類収納時のコンパクトさをも実現させた小物類の収納ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る拡張姿勢を示す外観図。
【
図6】同実施形態に係る拡張姿勢を、一部を破断して示す左側面図。
【
図8】同実施形態に係る他の拡張姿勢を示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
本実施形態に係る小物類の収納ケースの一態様である筆記具ケースAは、例えばペンPや図示しない鉛筆といった筆記具を主に収納しつつ、図示しない消しゴム等の筆記具と共に使用する他の小物類をも好適に収納し得るものである。すなわち本実施形態に係る小物類の収納ケースである筆記具ケースAは、「小物類」の一態様としてのペンPを収納するものとして説明するが勿論、小物類の一態様であるペン、スティック状の文具製品を収容できるのみならず、メイクブラシといったスティック状の化粧用具等の棒状の小物類をも好適に収納することができる。また勿論棒状の小物類であれば、フォークやスプーン等のカトラリーも好適に収納し得る。つまり当該筆記具ケースAは、「小物類の収納ケース」の一態様としての、棒状「小物類の収納ケース」と称することもできる。
【0026】
この筆記具ケースAは、主に合成繊維素材を主体とし適宜縫合されているものであり、
図1〜
図8に示すように、正面及び背面を構成する側面壁体1と、この側面壁体1同士を前後で連結する前連結部2及び後連結部3と、側面壁体1の下縁部1d同士を連結する底面壁体4と、側面壁体1の少なくとも前縁部1a並びに上縁部1e全域に亘って配されるファスナ5とを有している。
【0027】
ファスナ5は、側面壁体1の前縁部1a並びに上縁部1e全域及び後縁部の上縁部1e近傍に亘って配されている。このファスナ5は、側面壁体1に基端側が直接縫合されているテープ53と、このテープ53の先端側に設けられ互いに接離し得る務歯50と、スライド動作によりこれら務歯50の接離を操作するための第一スライダ51並びに第二スライダ52とを有するものである。本実施形態ではテープ53及び務歯50の両端を側面壁体1側に折り込むように縫合することにより第一スライダ51並びに第二スライダ52の動作端としているが勿論、当該第一スライダ51並びに第二スライダ52の動作を規制するためのストッパ等の別異の部材を務歯50の両端に固定しても良い。なお当該ファスナ5の構成は本実施形態の他、既存の適宜のものを使用し得るために詳細な説明を省略する。
【0028】
ここで、本実施形態に係る筆記具ケースAは、対向する内面間にペンP等の小物類を収納するための収納空間Sを形成する対をなす平面状の側面壁体1と、これら側面壁体1がペンP等を挟持するように接近する収縮姿勢(C)及びペンP等を遊動させ得るように上下全域に亘って拡開する拡張姿勢(E)を選択的に採り得るようこれら側面壁体1の前縁部1a及び後縁部1bをそれぞれ連結する前連結部2、後連結部3とを具備してなり、拡張姿勢(E)をなす側面壁体1を、その前縁部1a及び後縁部1bが起立する態様で自立させることが可能なものであることを特徴とするものである。なお
図6においては、一部を破断することにより当該破断した箇所の向こう側の構成を図示している。
【0029】
以下、斯かる筆記具ケースAの構成について、具体的に説明する。
【0030】
側面壁体1は、外方に表出する外装材13とペンP等の収容物に直接接し得る内装材14とを縫合したものを主体としている。この側面壁体1は、上縁部1e及び前縁部1aはファスナ5を介して接離可能に構成されている。そしてこの対をなす平面状の側面壁体1は、下縁部1d、前縁部1aの下側の一部はそれぞれ折り畳み可能な前連結部2及び底面壁体4を介して接離可能に接続されている。また同様に対をなす側面壁体1は後縁部1b間を、後連結部3を介して接続している。これにより側面壁体1の前縁部1aを接離動作させる際には後連結部3の可撓性を利用し当該後連結部3を所謂ヒンジとして作用させている。また側面壁体1は、平面状で自立を可能にするだけの剛性を有した下側領域11と、この下側領域11に仮想境界線を介して連続する上側領域12と、下側領域11の剛性を確保すべく外装材13、内装材14間に配された芯材15と、下側領域11の内面たる挟持面1c側に配された内ポケット16とを有している。
【0031】
本実施形態では芯材15の図示を
図2〜
図5において外形を想像線で示すとともにパタンを付して示している。すなわち本実施形態では、側面壁体1におけるこの芯材15を配した部分が、剛性を有する下側領域11に相当する。加えて本実施形態では、内ポケット16は芯材15を設けた箇所に沿って配されることで平面的なものになる。このため、カード類の出し入れが容易になるとともに変形も防止でき、当該カード類を有効に保護し得る。また本実施形態では、内方に表出する内装材14と当該内ポケット16により、収納物に直接接する側面壁体1の内面たる挟持面1cを構成している。
【0032】
また本実施形態では上側領域12には芯材15が配されていないために上側領域12を下側領域11の外面11a側に折り返すことができるように構成されている。具体的には、芯材15の位置が上下方向にずれないように外装材13、内装材14を縫い合わせた折り返し縁17としている。この上側領域12は可撓性を有するため、どの部位からでも折り返すことができる。本実施形態では、この側面壁体1を上下に二分する位置にある折り返し縁17が、折り返し可能な位置の内の下端位置である仮想境界部分に相当する。なお芯材15の形状を適宜変更することによりこの折り返し縁17すなわち仮想境界部分の位置は側面壁体1の下縁と平行な図示の態様のみならず、傾斜させて設けることも可能である。
【0033】
前連結部2は、側面壁体1の前縁部1a同士を接離可能に連結し収縮姿勢(C)において内側に折り込むことが出来る変形可能な壁状のものである。この前連結部2は、側面壁体1の前縁部1a、後縁部1b間の寸法と略同一の寸法を有することにより、拡張姿勢(E)では対をなす側面壁体1及び当該前連結部2により、概略正三角形を形成し得る。しかしながら拡張姿勢(E)の平面視形状は概略正三角形に限られることはなく、二等辺三角形状であっても良いことは言うまでもない。
【0034】
この前連結部2は、底面壁体4と一体に構成された前布21と、この前布21の一部に別異の布を縫合することにより設けられた前ポケット22とを有している。前布21は、上端を補強すべく別異の布材を縫合した倒れ止め縁23と、収縮姿勢(C)にて収納空間Sへ織り込まれることを助長するための中央に縦方向に設けられた中折り線24とを有している。
【0035】
そして本実施形態では、倒れ止め縁23を設けた位置すなわち高さ寸法を、側面壁体1を自立させた自立状態(T)においてペンPの上端側が露出するのを許容しつつ当該ペンPが外部にこぼれるのを防止し得る寸法に設定してある。具体的には当該高さ寸法である倒れ止め縁23の位置は、上述した芯材15の上縁と略同じかやや低い位置である側面壁体1の半分程度の位置としているが勿論、当該高さ位置は適宜変更可能である。
【0036】
後連結部3は、本実施形態では側面壁体1の後縁部1b同士を回動可能に連結するヒンジ状のものとしている。この後連結部3は、側面壁体1を構成している布材である外装材13に一体に構成された外面材33と、内装材14に一体に構成された内面材34とを主体としている。そしてこの後連結部3は、側面壁体1の下側領域11に対応する下連結領域31と、側面壁体1の上側領域12の全部又は一部に対応する上連結領域32とを備えたものであり、上連結領域32は、側面壁体1の上側領域12とともに下連結領域31の外面側に折り返すことができるように構成されている。
【0037】
底面壁体4は、対をなす側面壁体1の下縁部1d間に設けられた可撓性を有するものである。この底面壁体4は前連結部2と一体に形成された概略正三角形状をなす三角布41を主体とする。そしてこの三角布41には、収縮姿勢(C)において収納空間S側へ折り畳まれることを助長するための折り畳み線42が設けられている。
【0038】
しかして本実施形態では、
図1及び
図6に示す拡張姿勢(E)では側面壁体1の前縁部1a並びに後縁部1bを自立させ得る自立状態(T)を安定してとり得るとともに、
図2〜
図5に示す収縮姿勢(C)では、ペンP等の収納物の量に応じてコンパクトさを維持しつつ収納することができる。
【0039】
図1及び
図6に示す拡張姿勢(E)では、前連結部2の倒れ止め縁23の所でペンPが適宜凭れ掛かることにより、収納していたペンPが使用者にとって見易くなるとともに、前連結部2の上部からペンPがこぼれるように倒れてしまうことを有効に回避している。
【0040】
図2〜
図5に示す収縮姿勢(C)では、収納空間Sに収納されているペンPの量に応じて収納空間Sの容量が適宜変更可能になっている。すなわち側面壁体1に設けられた同図では平面状をなす芯材15は、図示の通り収納しているペンPの量が少ないときは変形せず、挟持面1cがペンPに密着する姿勢を保持するとともに、ペンP等の収納物の量が多くなるにつれて芯材15が外方へ向けて適宜撓み変形することで、挟持面1cがペンPに密着する姿勢を維持しつつ収納空間SがペンP等の収納物の量に応じて大きくなる。
【0041】
そして本実施形態では、上述した
図1及び
図6に示すような状態から更にペンPの視認性を向上させることが可能である。すなわち本実施形態では
図8に示すように、折り返し縁17の位置で上側領域12を下側領域11の外面11aまで折り返すことにより、ペンPの視認性をさらに向上させた自立状態(T)を実現している。しかも同図に示す自立状態(T)では、上側領域12とともに折り返された後連結部3の上連結部分が左右の側面壁体1と互いに引っ張り合う。これにより側面壁体1の前縁部1a同士がさらに離間するような力が作用する。その結果、前連結部2は側面壁体1により両側から引っ張られ緊張する。このとき、外方からのペンPの視認性がさらに向上するとともに、倒れ止め縁23に図示以上に多くのペンPが凭れ掛かっても前連結部2が緊張した状態が維持されて視認性や自立状態(T)の安定性が損なわれることは無い。
【0042】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る小物類の収納ケースたる筆記具ケースAは、対をなす側面壁体1が収縮姿勢(C)においてペンPを隙間無く挟持することができるので、コンパクトな収縮姿勢(C)を実現している。また拡張姿勢(E)を取るときには対をなす側面壁体1が前連結部2、後連結部3を介して上下全域に亘って拡開することにより、安定した自立状態(T)を実現している。すなわち実施形態によれば、ペンPの出し入れも容易で且つ安定した自立状態(T)を実現し、且つペンP収納時はペンPの量に応じて最もコンパクトな外形となる。
【0043】
そして、より安定した自立状態(T)を実現できる一態様として本実施形態では、一方の連結部たる前連結部2が、側面壁体1の前縁部1a同士を接離可能に連結し収縮姿勢(C)において内側に折り込むことが出来る変形可能な壁状のものであるとともに、他方の連結部たる後連結部3が、側面壁体1の後縁部1b同士を回動可能に連結するヒンジ状のものである態様を適用している。
【0044】
また、安定した自立状態(T)の実現並びに自立状態(T)における小物類の視認性の高さを両立させるために本実施形態では、側面壁体1及び一方の連結部を、略同一の横幅寸法を有したものとし、自立状態(T)において側面壁体1と前連結部2とが、平面視において略正三角形をなすように配するようにしている。
【0045】
また、ペンP等の小物類の視認性をより高めた自立状態(T)を行わせるために本実施形態では、側面壁体1を、平面状で自立を可能にするだけの剛性を有した下側領域11と、この下側領域11に仮想境界線を介して連続する上側領域12とを備えたものとし、仮想境界線部分を折り曲げて上側領域12を下側領域11の外面11a側に折り返すことができるように構成している。
【0046】
そして本実施形態では、下側領域11の内面側に内ポケット16を添設しているので、芯材15により剛性を有した下側領域11に沿って配されることで自ずと平面的なものになる結果、カード類の出し入れが容易になるとともに変形も防止でき、当該カード類を有効に保護し得るものとなっている。
【0047】
また、より安定した拡張状態を維持した自立状態(T)を行わせるための構成として本実施形態では、後連結部3を、側面壁体1の下側領域11に対応する下連結領域31と、側面壁体1の上側領域12の全部又は一部に対応する上連結領域32とを備えたものとし、上連結領域32を、側面壁体1の上側領域12とともに下連結領域31の外面側に折り返すことができるように構成している。
【0048】
拡張姿勢(E)における小物類の出し入れのし易さと収縮姿勢(C)における小物類の安定した収納とを両立させるために本実施形態では、対をなす側面壁体1の少なくとも前縁部1a間及び上縁部1e間に、ファスナ5を設けている。
【0049】
収縮姿勢(C)におけるコンパクトさと自立状態(T)における小物類の安定した支持とを両立するための構成として本実施形態では、対をなす側面壁体1の下縁部1d間に、可撓性を有する底面壁体4を設けている。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0051】
まず、「前後の連結部」は、両側面壁体に収縮姿勢と拡張姿勢の両方を採らせ得るものであれば変形可能な壁状やヒンジ状、或いは蛇腹状といったようにどのようなものあっても良い。一例として、上記実施形態では他方の連結部である後連結部をヒンジ状としたが、前連結部同様の変形可能な壁状や蛇腹状とすることにより、拡張姿勢並びに自立状態へ平面視矩形状をなすように構成しても良い。
【0052】
また上記実施形態において剛性を有する下側領域を平面状に成形した態様を開示したが勿論、平面視若干湾曲形状に成形し、その曲率は収縮姿勢において最低限の小物類を収納しても対をなす側面壁体が当該小物類を挟持し得る態様であれば、適宜の曲率を設定し得る。
【0053】
さらに、上記実施形態では上下全域に亘って拡開する拡張姿勢をとり得る対をなす側面壁体として、上方向で拡開する領域が上縁部にまで及んでいる態様を開示したが勿論、拡張姿勢において上方向で拡開する領域が上縁部に及ばない拡張姿勢をとる態様としても良い。斯かる一例として例えば、対をなす側面壁体の上縁部に底面壁体と同様の構成を適用したものが挙げられる
加えて全体を構成する素材の種類や全体のサイズの具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0054】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は携帯可能であり且つ机上或いはテーブル面等に自立した姿勢で使用することが可能な小物類の収納ケースとして利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
A…小物類の収納ケース(筆記具ケース)
1…側面壁体
1a…前縁部
1b…後縁部
1c…内面(挟持面)
1d…下縁部
1e…上縁部
11a…下側領域の外面(外面)
17…仮想境界線部分の下縁(折り返し縁)
2…一方の連結部(前連結部)
24…中折り線
3…他方の連結部(後連結部)
31…下連結領域
32…上連結領域
4…底面壁体
5…ファスナ
C…収縮姿勢
E…拡張姿勢
S…収納空間
T…自立状態
P…小物類(ペン)