(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)成分の外層部がウレタン樹脂マトリックスで形成されており、かつ、前記複合樹脂の内層部が(メタ)アクリル樹脂マトリックスで形成されている、請求項1記載の皮膚外用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、含有量の単位「w/w%」は、「g/100g」のw/w%と同義である。
【0012】
本明細書において、「油溶性」とは、水への溶解度が1w/w%以下であることをいい、「水溶性」とは、水への溶解度が1w/w%より大きいことをいう。
【0013】
本明細書で「皮膚外用組成物」とは、皮膚に適用できる外用組成物をいう。特に限定はされないが、皮膚外用組成物には、紫外線吸収能を有する日焼け止め組成物が含まれる。ここで、「日焼け止め組成物」は、たとえば、製品において日焼け止めを明示する形態を含むが、明示がない場合でも、そのような機能を有する皮膚外用組成物であれば、本明細書でいう「日焼け止め組成物」に含まれる。
【0014】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有する、皮膚外用組成物である。
【0015】
[(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂]
本明細書において、(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂とは、ウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂から構成される複合樹脂(成分)をいう。本明細書において、 外層部とは、(A)成分がエマルジョン等の粒子状である場合、当該粒子等の外側(表面層側)の部分(外殻部等)をいい、コア―シェル構造におけるシェル部であってもよい。また、本明細書において、内層部とは、(A)成分がエマルジョン等の粒子状である場合、当該粒子等の内側(中心層側)の部分(内殻部等)をいい、コア―シェル構造におけるコア部であってもよい。
【0016】
なお、本願明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリルまたはメタクリル」をいう。
【0017】
(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂として、(A)成分の外層部がウレタン樹脂マトリックスで形成されており、かつ、前記複合樹脂の内層部が(メタ)アクリル樹脂マトリックスで形成されているものが好ましい。また、上記ウレタン樹脂マトリックスとは、ウレタン樹脂成分が主成分として存在している層をいい、他の樹脂(たとえば、(メタ)アクリル樹脂)が一部混在している場合を含んでいてもよい。また、ウレタン樹脂成分が、海島型の相分離構造を形成している場合における海部であってもよい。また、上記(メタ)アクリル樹脂マトリックスとは、(メタ)アクリル樹脂成分が主成分として存在している層をいい、他の樹脂(たとえば、ウレタン樹脂)が一部混在している場合を含んでいてもよい。また、(メタ)アクリル樹脂成分が、海島型の相分離構造を形成している場合における海部であってもよい。
【0018】
なお、本願明細書において、他に別途記載のないものに関しては、「主成分として存在する」とは、たとえば、50重量%以上含まれることをいい、60重量%以上含まれることであってもよく、70重量%以上含まれることであってもよく、80重量%以上含まれることであってもよく、90重量%以上含まれることであってもよく、95重量%以上含まれることであってもよく、98重量%以上含まれることであってもよく、99重量%以上含まれることであってもよい。また、3種類以上の樹脂を用いる場合、その中で最も使用量が多いものをいう。
【0019】
また、(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂として、(A)成分の外層部がウレタン樹脂であり、かつ、前記複合樹脂の内層部が(メタ)アクリル樹脂であるものが好ましい。また、外層部と内層部は連続的であってもよく、その間にさらに単層または複数の層を有していてもよい。また、上記(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂において、ウレタン樹脂部と(メタ)アクリル樹脂部とは、両者が、たとえば、分子間力や疎水性・親水の作用、またはイオン結合等の非共有結合で複合樹脂を形成していてもよく、あるいは、両者が共有結合で結合されていてもよい。
【0020】
また、(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂として、たとえば、乳化重合体、あらかじめウレタン樹脂と(メタ)アクリル樹脂とを各々重合した後に混合した複合樹脂、デンドリマー等があげられる。また、上記(A)成分が乳化重合体であることが好ましい。
【0021】
本発明における(A)ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂として、たとえば、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂エマルジョンを用いることが好ましい。上記(A)成分としてウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂エマルジョンを用いる場合、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液として調整または使用することが好ましい。
【0022】
ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液を用いる場合、たとえば、1種又は複数種の(メタ)アクリル系モノマーを予め分散した原料乳化液を、水系媒体の存在する反応容器中に逐次的又は連続的に添加することにより、ウレタン樹脂の存在下で、上記1種又は複数種の(メタ)アクリル系モノマーを乳化重合することにより得ることができる。
【0023】
上記(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル基を有する単量体である。なかでも、主成分として用いるモノマーとしては、公知の(メタ)アクリル基を有する単官能系モノマーを使用することが好ましい。
【0024】
なお、モノマーに関しての主成分とは、その使用量が全モノマー量の50%を超えるか、または3種類以上のモノマーを用いる場合、その中で最も使用量が多いものをいう。
【0025】
上記(メタ)アクリル系モノマーのうち(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等があげられる。なかでも、アルキル基の炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、特に、アルキル基の炭素原子数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましいものとしてをあげることができる。
【0026】
これらのモノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0027】
また、上記(メタ)アクリル系モノマーを含む原料乳化液には、(メタ)アクリル系モノマーに加えて、重合性二重結合を有するその他のモノマーを含んでいてもよい。上記その他のモノマーとしては、エステル基含有ビニルモノマー、スチレン誘導体、ビニルエーテル系モノマーをあげることができる。
【0028】
上記エステル基含有ビニルモノマーとしては、たとえば、炭素原子数が1〜8の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル類、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸ビニル等の疎水性ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等の不飽和基含有マクロモノマー等をあげることができる。
【0029】
また、上記スチレン誘導体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられる。さらに、上記ビニルエーテル系モノマーとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等をあげることができる。
【0030】
また、上記(メタ)アクリル系モノマーは、使用する(メタ)アクリル系モノマーから得られる重合体のガラス転移温度(Tg )が、−80℃以上となるように選択するのが好ましく、−65℃以上となるように選択するのがより好ましく、−40℃以上となるように選択するのが更に好ましく、−20℃以上となるように選択するのが更により好ましく、0℃以上となるように選択するのが特に好ましい。一方、ガラス転移温度(Tg)の上限は、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下、更により好ましくは30℃以下、特に好ましくは10℃以下である。上記ガラス転移温度以下とすることで、より一層効果的に紫外線吸収能を増強すること、水処理後の残存率を高めること、及び/又は二次付着性を抑制することが可能となる。ガラス転移温度(Tg)は、後述の試験例に示すように示差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。
【0031】
上記ウレタン樹脂は、ジオール成分と多価イソシアネート化合物とを反応させた重合体であって、上記(メタ)アクリル系モノマーと混合可能な平均粒子径および分子量を有するものであり、水分散性のものが好ましい。
【0032】
上記ウレタン樹脂としては、公知のポリウレタン樹脂を用いることができる。上記ウレタン樹脂として、たとえば、ポリウレタン−1、ポリウレタン−4、ポリウレタン−2、ポリウレタン−6、ポリウレタン−7、ポリウレタン−8、ポリウレタン−9、ポリウレタン−10、ポリウレタン−11、ポリウレタン−14、ポリウレタン−15、ポリウレタン−21、ポリウレタン−23、ポリウレタン−24、ポリウレタン−26、ポリウレタン−27、ポリウレタン−32、ポリウレタン−33、ポリウレタン−34、ポリウレタン−35、ポリウレタン−39、ポリウレタン−40、ポリウレタン−42、ポリウレタン−43、ポリウレタン−44、ポリウレタン−45、ポリウレタン−46、ポリウレタン−48、ポリウレタン−51、ポリウレタン−59、ポリウレタン−62、ポリウレタン−64等をあげることができる。ポリウレタン−1は、イソフタル酸、アジピン酸、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロピオン酸、及びジイソシアン酸イソホロンからなる共重合体として公知である。ポリウレタン−4は、PPG−17、PPG−34、ジイソシアン酸イソホロン、及びジメチロールプロピオン酸からなる共重合体として公知である。上記のようなウレタン樹脂は、合成して用いてもよいし、または市販品(例えば、市販のウレタン水性エマルジョン)をそのまま用いることができる。上記ウレタン樹脂は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
上記ウレタン樹脂における、ジオール成分と多価イソシアネート化合物との配合割合は、特に限定されるものではないが、当量比で、ジオール成分:多価イソシアネート化合物=1:0.5〜2.5であることが好ましく、1:1〜2であることがより好ましい。
【0034】
上記ウレタン樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。重量平均分子量の上限も特に限定されず、例えば、50万以下であることが好ましく、10万以下であることがより好ましい。
【0035】
たとえば、上記ウレタン樹脂を後述する水系媒体に分散させて、ウレタン樹脂エマルジョンを生成させることにより、上記(メタ)アクリル系モノマー混合液を系中に添加等した際に好適に水分散液とすることができる。 上記水分散液は、(メタ)アクリル系モノマーの乳化重合反応にそのまま供与することができ、乳化重合時の反応系をより安定させることが可能となり、安定化されたウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂エマルジョンの分散系を得ることができる。
【0036】
上記ウレタン樹脂エマルジョンを生成する場合、ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入しておくことが好ましい。このようにウレタン樹脂にカルボキシル基を導入することにより、より一層効果的に本願発明の効果を奏することができる。また、必要に応じて、乳化剤を用いると、エマルジョンをより安定化させることができうる。
【0037】
上記乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両イオン性の界面活性剤を用いることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。乳化剤を用いる場合の添加量は特に限定されないが、一例として、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%程度とすることができる。
【0038】
上記ウレタン樹脂エマルジョンの水分散体の平均粒子径は、5nm以上であることが好ましく、30nm以上であってもよく、50nm以上であってもよい。5nm未満では、水分散液の粘度が高くなり、流動性が低下するおそれがある。一方、2000nm以下であることが好ましく、1500nm以下であってもよく、1000nm以下であってもよい。2000nmを超えると、得られるウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂の平均粒子径が大きくなり、保存中に分離・沈降するおそれがある。上記ウレタン樹脂エマルジョンとして、たとえば、上記の市販されている水分散性ウレタン樹脂等があげられる。
【0039】
上記水系媒体として、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等を用いることができる。なかでも、水を用いるのが好ましい。
【0040】
上記ウレタン樹脂エマルジョンの固形分含有率は、特に限定されないが、例えば、10重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましい。10重量%より少なくなると、(メタ)アクリル系モノマーとの分散液の濃度が低くなり、結果として得られる複合樹脂分散液の濃度が低くなってしまうおそれがある。上限もまた、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、70重量%以下であることが好ましく、60重量%以下であることがより好ましい。70重量%より多くなると、分散液の粘度が高くなり、製剤上の取扱いや使用感が劣り易い傾向がある。
【0041】
なお、上記ウレタン樹脂の生成を有機溶媒環境下で行った場合、有機溶媒から上記水系媒体に転相させて、有機溶媒を除去しておくことが好ましい。
【0042】
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液は、たとえば、上記の通り、水系媒体の存在する反応容器中に原料乳化液を逐次的または連続的に添加することにより、ウレタン樹脂の存在下において上記1種又は複数種の(メタ)アクリル系モノマーを乳化重合することにより得ることができる。
【0043】
上記原料乳化液とは、たとえば、上記1種または複数種の(メタ)アクリル系モノマーを水系媒体に乳化分散した(メタ)アクリル系モノマーのエマルジョンをあげることができる。そして、最初に反応器中に添加する原料乳化液には、ウレタン樹脂が含有される。上記原料分散液をエマルジョンとすることにより、後述する乳化重合反応において、(メタ)アクリル系モノマーの水系媒体中への分散がより容易となり、分散系を安定させることができる。
【0044】
上記の分散を行う場合、分散性を向上させるため、乳化剤を用いることができるが、適宜乳化剤を用いずに行ってもよい。上記乳化剤としては、上述の乳化剤と同様の乳化剤を用いることができる。
【0045】
上記水系媒体中には、予め乳化剤を含ませておくと、乳化重合の反応系を安定させることができるので好ましい。ここで用いる乳化剤としても、前記と同様のものを用いることができる。
【0046】
上記の反応容器中の水系媒体に含まれる上記乳化剤の量は、特に限定されないが、上記(メタ)アクリル系モノマーに対して0.05重量%であること好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。反応容器中の水系媒体に含まれる上記乳化剤の量の上限値もまた、特に限定されないが、上記(メタ)アクリル系モノマーに対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
【0047】
上記乳化重合反応においては、重合開始剤を用いることが、反応効率の点から好ましい。上記重合開始剤としては、たとえば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイドやジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系開始剤を用いることができる。また、これらの過酸化物系開始剤(過硫酸塩系開始剤を含む)と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤も低温での反応性が良好であり、好ましく用いられる。上記還元剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、二酸化チオ尿素、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等をあげることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記(メタ)アクリル系モノマー及び上記その他のモノマーの合計量に対して、0.01〜5重量%程度、好ましくは0.1〜2重量%程度とすることができる。
【0048】
上記重合開始剤の添加は、上記の種々の方法があげられるが、上記重合開始剤は、反応の一定期間にわたり連続的に添加されることが好ましい。例えば、少なくとも反応期間の50%以上の間にわたり連続的に添加されることが好ましく、70%以上の間にわたり連続的に添加されることがより好ましい。このように一定期間にわたり連続的に添加することで、重合反応を安定的に進行させることができる。
【0049】
上記乳化重合における反応系の温度は、特に限定されない。一例として、上記乳化重合における反応系の温度は10〜80℃とすることができ、20〜75℃とすることが好ましく、30〜70℃とすることが好ましい。上記重合は、通常、発熱が終了した後、40〜70℃程度に30分〜3時間程度維持することによってほぼ完了する。これにより、ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂の水性分散液が得られる。
【0050】
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液中の複合樹脂に含まれる上記ウレタン樹脂の含有量は、例えば、5重量%以上がよく、10重量%以上が好ましい。上記含有量の上限は、特に限定されないが、85重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。
【0051】
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液中の複合樹脂の平均粒子径は、5nm以上であること好ましく、30nm以上であってもよく、50nm以上であってもよい。5nm未満では、エマルジョンが高粘度となって、製剤の安定性や使用感が劣り易い傾向となる。一方、平均粒子径の上限は、2000nm(2.0μm)がよく、1500nm以下であってもよく、1000nm以下であってもよい。1500nmより大きいと、得られる複合樹脂水性分散液の安定性が低下することがある。
【0052】
なお、上記平均粒子径測定の測定は、たとえば、以下のように行うことができる。ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂水性分散液を、フィルター(アドバンテック社製:DISMIC−25cs)でろ過したイオン交換水で10000倍に希釈する。それを測定用セルに充填し、動的光散乱法(大塚電子(株)製:DLS−8000を使用)にて、平均粒子径を測定して求めることができうる。また、ウレタンの水分散液についても、同様の方法で平均粒子径を測定により求めることができうる。
【0053】
また、上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂エマルジョンとして、アニオン性アイオノマー型エマルジョンであることが好ましい。
【0054】
また、上記(A)成分におけるウレタン樹脂が、カルボキシル基含有ポリウレタンであることが好ましい。
【0055】
また、上記(A)成分における(メタ)アクリル樹脂が、アクリル酸アルキルコポリマー(別名:アクリル酸アルキル共重合体ともいう)であることが好ましい。
【0056】
上記ウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂としては、たとえば、ウレタン水性エマルジョン製品をそのまま用いてもよい。上記ウレタン水性エマルジョンとして、たとえば、ジャパンコーティングレジン(株)社製:リカボンドFS−1000、リカボンドFHT−2000、リカボンドSS−3000等の製品をあげることができる。
【0057】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する(A)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。皮膚外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは0.001w/w%以上であり、より好ましくは、0.01w/w%以上、さらに好ましくは0.1w/w%以上、最も好ましくは0.2w/w%以上である。皮膚外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは20w/w%以下であり、より好ましくは10w/w%以下、さらに好ましくは5w/w%以下、最も好ましくは3w/w%以下である。皮膚外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは0.001w/w%〜20w/w%、より好ましくは、0.01w/w%〜10w/w%、さらに好ましくは0.1w/w%〜5w/w%、最も好ましくは、0.2w/w%〜3w/w%である。
【0058】
[(B)紫外線吸収剤または紫外線散乱剤]
本明細書において、紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収する性質を有する化合物(成分)をいう。
【0059】
上記紫外線吸収剤としては、たとえば、
(a)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル(別名:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル等ともいう)、メトキシ桂皮酸イソプロピル、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、シノキサート、DEAメトキシシンナマート、フェルラ酸、および、メトキシ桂皮酸イソアミルなどの桂皮酸誘導体;
(b)パラ−アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG−25PABA、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、および、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル(別名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等ともいう)などの安息香酸誘導体;
(c)ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、TEAサリチラート、サリチル酸エチレングリコール、および、ジプロピレングリコールサリチラートなどのサリチル酸誘導体;
(d)ジヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−1)、テトラヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−2)、2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(ベンゾフェノン−4)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−5)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−6)、2,2‘−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−8)、および、3,3’−カルボニルビス[4−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼンスルホン酸]ジナトリウム(ベンゾフェノン−9)などのベンゾフェノン誘導体;
(e)3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、および、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウなどのベンジリデンショウノウ誘導体;
(f)アニソトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(別名:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等ともいう)、および、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン誘導体;
(g)フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、および、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムなどのフェニルベンゾイミダゾール誘導体;
(h)ドロメトリゾールトリシロキサン、および、2,2’―メチレンビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール]などのフェニルベンゾトリアゾール誘導体;
(i)アントラニル酸メンチルなどのアントラニル誘導体;
(j)ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルなどのイミダゾリジン誘導体;
(k)ジメチコジエチルベンザルマロナートなどのベンザルマロナート誘導体;
(l)1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエンなどの4,4−ジアリールブタジエン誘導体;ならびに
(m)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンのようなジベンゾイルメタン誘導体;
などをあげることができる。
【0060】
本発明において、紫外線吸収剤としては、油溶性紫外線吸収剤が好ましい。油溶性紫外線吸収剤を用いることで、本発明の皮膚外用組成物は、汗水に強くなり、日焼け止めの塗布後の落ちが抑制されると共に、他の成分と相俟って、皮脂なじみがよい均一膜を形成しやすい優れた効果を発揮する組成物となる。
【0061】
ここで、油溶性紫外線吸収剤としては、
(a)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸イソプロピル、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、シノキサート、DEAメトキシシンナマート、フェルラ酸、および、メトキシ桂皮酸イソアミル;
(b)PABA、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG−25PABA、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、および、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル;
(c)エチルヘキシルサリチラート、TEAサリチラート、および、ジプロピレングリコールサリチラート;
(d)ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−6)、(e)ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ;
(f)アニソトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、および、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン;
(h)ドロメトリゾールトリシロキサン;
(i)アントラニル酸メンチル;
(j)ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル;
(k)ジメチコジエチルベンザルマロナート;
(l)1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン;ならびに
(m)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;
などをあげることができる。
【0062】
これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。紫外線吸収剤は、合成して用いること、または市販品をそのまま用いることができる。
【0063】
本発明の皮膚外用組成物において、紫外線吸収剤として、刺激感やにおいを低減させたり、使用感や溶解性を向上させたりするために、1種または2種以上の上記紫外線吸収剤を、マイクロカプセルに内包させる等の製剤修飾を加えた原料を用いることもできる。具体的には、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、またはポリ(ジビニルベンゼン)からなるポリマー成分で実質的に構成されたシェルに紫外線吸収剤を内包し、平均粒子径を0.4〜10μmとしたマイクロカプセル(紫外線吸収剤内包カプセル)や、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタンをゾル−ゲルシリカガラスで内包し、水に分散させたマイクロカプセル(たとえば、Eusolex UV−Pearls OB−S(商品名)、Eusolex UV−Pearls OB−S2(商品名);メルク社製)や同様にメトキシケイヒ酸エチルヘキシルをゾル−ゲルシリカガラスに内包し、水に分散させたマイクロカプセル(たとえば、Eusolex UV−Pearls 2292(商品名)、Eusolex UV−Pearls OMC(商品名);メルク社製)、また、紫外線吸収剤(オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、t−ブチル−メトキシジベンゾイルメタン等)をシリコーン−レジン化加水分解シルク(ポリシリコーン−14)で内包し、平均粒子2μmのマイクロカプセルとし、水に分散させたもの(たとえば、Silasoma(登録商標) ME、Silasoma MEA、Silasoma MEA(S)、Silasoma MEA(V)、Silasoma MEA(L)、Silasoma MFA(S)、Silasoma MFA(LS)、Silasoma EP(S)、Silasoma REA(S)等のSilasomaシリーズ(商品名);成和化成社製)などが例示できる。これらの原料は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0064】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する紫外線吸収剤の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。皮膚外用組成物の全量に対して、紫外線吸収剤の総含有量は、好ましくは0.01w/w%以上であり、より好ましくは0.1w/w%以上、さらに好ましくは0.5w/w%以上、さらにより好ましくは1.0w/w%以上、最も好ましくは3.0w/w%以上である。また、皮膚外用組成物の全量に対して(B)成分の総含有量は、好ましくは25w/w%以下であり、より好ましくは20w/w%以下、さらに好ましくは15w/w%以下である。皮膚外用組成物の全量に対して、(B)成分の総含有量は、好ましくは0.01w/w%〜25w/w%、より好ましくは、0.1w/w%〜20w/w%、さらに好ましくは0.5w/w%〜15w/w%である。
【0065】
本発明における紫外線散乱剤は、紫外線を散乱する性質を有する化合物(成分)をいう。紫外線散乱剤としては、酸化金属粉や粘土質の粒子などを例示することができる。たとえば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、および酸化ジルコニウムのような金属酸化物;ケイ酸チタン、ケイ酸亜鉛、およびケイ酸セリウムのようなケイ酸金属;無水ケイ酸、および含水ケイ酸のようなケイ酸;チタン、亜鉛、鉄のような金属等の無機化合物があげられる。また、それらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカ、若しくはタルク等の無機粉体で表面を被覆したもの、それらの無機化合物をポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、若しくはナイロン等の樹脂粉体と複合化し又はこれらで表面を被覆したもの、およびそれらの無機化合物をシリコーン油、又は脂肪酸アルミニウム塩等で処理し又はこれらで表面を被覆したものなどがあげられる。限定はされないが、紫外線散乱剤としては、微粒子無機粉体が好ましく用いられ、微粒子金属酸化物がより好ましく、微粒子酸化チタン又は微粒子酸化亜鉛が更に好ましい。更に、それらの微粒子無機粉体を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカ、若しくはタルク等の無機粉体で表面を被覆したもの、又はそれらの微粒子無機粉体をシリコーン油、若しくは脂肪酸アルミニウム塩等で処理し若しくは表面を被覆して疎水化処理を施したものが好ましい。
【0066】
紫外線散乱剤の平均粒子径は、特に限定はされないが、約1〜500nmであることが好ましい。なかでも、紫外線散乱剤の平均粒子径は、微粒子である約2〜200nmであることが好ましく、約3〜100nmであることがより好ましく、約5〜50nmであることが更に好ましい。
【0067】
これらの紫外線散乱剤は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。紫外線散乱剤は、合成して用いること、または市販品をそのまま用いることができる。
【0068】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する紫外線散乱剤の総含有量は、たとえば、0.1w/w%以上40w/w%以下の含有量とすることができ、0.5w/w%以上35w/w%以下であってもよく、1.0w/w%以上30w/w%以下であってもよい。
【0069】
本発明においては、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤とを併用することも可能である。本発明の皮膚外用組成物は、より一層高い紫外線吸収機能が期待できるという観点から、(B)成分として、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含むことが好ましく、紫外線吸収剤および紫外線散乱剤を両方含むことがより好ましい。
【0070】
また、本発明においては、上記構成を有することにより紫外線A波(UV−A、315〜400nm)吸収剤および散乱剤、ならびに、紫外線B波(UV−B、280〜315nm)吸収剤および散乱剤のいずれにおいても、高い紫外線吸収機能および/または紫外線散乱機能を発揮することができ、とりわけ高い紫外線吸収機能を発揮できる。
【0071】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、たとえば、0.01w/w%以上50w/w%以下の含有量とすることができ、0.1w/w%以上45w/w%以下であってもよく、1w/w%以上40w/w%以下であってもよい。
【0072】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.0005〜25000重量部が好ましく、0.01〜2000重量部がより好ましく、0.1〜150重量部がさらに好ましく、0.5〜50重量部が最も好ましい。
【0073】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)成分および(B)成分を含有することにより、高い紫外線吸収機能および/または紫外線散乱機能を発揮することができ、とりわけ高い紫外線吸収機能を発揮できる。紫外線吸収能は、後述の試験例で説明するような手法で紫外線吸収スペクトルを測定することにより評価することができる。すなわち、具体的には、本発明の皮膚外用組成物は、(B)紫外線吸収剤および/または紫外線散乱剤単独で奏される値よりも増強された紫外線吸収能を有することができる。さらに、本発明の皮膚外用組成物は、汗や塩分濃度の高い海水などの水中でも良好に保持され得る。ここで、塩は、限定はされないが、塩化物または硫酸化物である。塩化物または硫酸化物としては、たとえば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどが含まれる。また、本発明の皮膚外用組成物は、二次付着性も効果的に抑制されるので、ティッシュペーパーやハンカチ、タオル等で汗などの水分を拭ったり、衣服で擦ってしまったりした場合であっても、皮膚上に残存して紫外線吸収能を良好に保持し得る。
【0074】
本発明の皮膚外用組成物は、上記(A)および(B)成分以外の他の成分を任意に含んでいても良い。このような成分として、たとえば、好ましくは、(C)分子内にエステル基を3つ以上有するエステル油、及び/又は(D)増粘剤があげられる。
【0075】
[(C)エステル油]
本発明の皮膚外用組成物が、さらに、(C)分子内にエステル基を3つ以上有するエステル油を含むことが好ましい。上記エステル油を含むことにより、本発明の(A)および(B)成分がより一層効果を発揮しやすい状態に保つことができる。本明細書において、(C)分子内にエステル基を3つ以上有するエステル油とは、同一分子内にエステル結合を3つ以上有するエステル油(成分)をいう。好ましくは、25℃で液状である
【0076】
(C)分子内にエステル基を3つ以上有するエステル油としては、たとえば、トリエステル油、テトラエステル油、ペンタエステル油、ヘキサエステル油、ヘプタエステル油等のポリエステル油をあげることができる。好ましくは、トリエステル油、テトラエステル油、ペンタエステル油等であることが好ましく、トリエステル油、テトラエステル油がより好ましい。なお、本願発明の効果を損なわない範囲で、モノエステル油、ジエステル油を適宜含んでいてもよい。
【0077】
トリエステル油としては、分子内にエステル基を3つ有するエステル油をいうが、たとえば、分子内に3つの水酸基を有する多価アルコールと一塩基酸とから得られるエステル油である。トリエステル油として、たとえば、トリエチルヘキサノイン、トリメリト酸トリエチルヘキシル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、クエン酸トリエチルヘキシル等があげられる。
【0078】
テトラエステル油としては、分子内にエステル基を4つ有するエステル油をいうが、たとえば、分子内に4つの水酸基を有する多価アルコールと一塩基酸とから得られるエステル油である。テトラエステル油として、たとえば、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトラ2−エチルヘキサン酸デカグリセリル等があげられる。
【0079】
分子内にエステル基を複数(たとえば、5以上)有するポリエステル油としては、たとえば、ポリグリセリン脂肪酸エステルであるイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−3、オクタカプリン酸ポリグリセリル−6等があげられる。
【0080】
これらの(C)分子内にエステル基を3つ以上有するエステル油は、単独で使用しても良く、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのエステル油を使用した場合には、より優れた紫外線吸収スペクトルの増強能を発揮できる皮膚外用組成物の調製が可能となる。
【0081】
また、これらは市販品として、たとえば、Neosolue−MCT、IOTG、NS−308、NS−408(日本精化社製)、NIKKOL Trifat S−308、NIKKOL トリエスター F−810、NIKKOL TOC、NIKKOL DGTIS(日光ケミカルズ社製)、T.I.O、O.D.O、サラコス 6318V、サラコス 5408、サラコス 5418V、サラコス HG−8、コスモール 43V、コスモール 43N、コスモール 44V(日清オイリオグループ社製)、TOG、KAK TTO、KAK TTI、KAK PTI、TCG−M、リソレックス PGIS21、リソレックス PGIS22、リソレックス PGIS23、リソレックス PGIS32(高級アルコール工業社製)、SRクロダモルTOTM、クロダモルPTIS(クローダジャパン社製)等があげられる。
【0082】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する(C)分子内にエステル基を3つ以上有するエステル油の含有量は、好ましくは、0.00001w/w%以上、より好ましくは、0.0001w/w%以上、さらに好ましくは、0.001w/w%以上、最も好ましくは0.1w/w%以上である。皮膚外用組成物の全量に対して、(C)成分の総含有量は、好ましくは、20w/w%以下、より好ましくは、15w/w%以下、さらに好ましくは、10w/w%以下、特に好ましくは7w/w%以下である。皮膚外用組成物の全量に対して、(C)成分の総含有量は、好ましくは、0.00001w/w%〜20w/w%、より好ましくは、0.0001w/w%〜15w/w%、さらに好ましくは、0.001w/w%〜10w/w%、最も好ましくは、0.1w/w%〜7w/w%である。
【0083】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(C)成分の総含有量が0.00001〜500重量部が好ましく、0.0001〜200重量部がより好ましく、0.001〜100重量部がさらに好ましく、0.01〜25重量部が最も好ましい。
【0084】
[(D)増粘剤]
本発明の皮膚外用組成物が、さらに増粘剤を含むことが好ましい。本発明の皮膚外用組成物を水中油型(O/W型)乳化組成物として調製する場合には、このように増粘剤を含むことにより、乳化組成物の安定性が高められるので、本発明の(A)および(B)成分がより一層効果を発揮しやすい状態に保つことができる。本明細書において、(D)増粘剤とは、加えた組成物の粘度を増加させる性質を有する薬剤(成分)をいう。好ましくは、増粘剤は、水に溶ける水溶性増粘剤である。
【0085】
水溶性増粘剤は、水溶性アニオン性重合体系増粘剤、アクリル酸系増粘剤、セルロース系増粘剤、ムコ多糖系増粘剤、アミノ酸系増粘剤、海藻類系増粘剤、微生物由来増粘剤、ポリエチレングリコール系増粘剤、またはデンプン系増粘剤であることが好ましい。
【0086】
水溶性増粘剤としては、具体的には、たとえば
(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体、ポリアクリル酸、またはそれらの塩等のアクリル酸系増粘剤;
(b)メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤;
(c)ヒアルロン酸・ヒアルロン酸誘導体・およびこれらの塩、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖系増粘剤;
(d)コラーゲン等のアミノ酸系増粘剤;
(e)カラギーナン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天のような海藻類系増粘剤;
(f)キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、デキストラン、スクレロチウムガム、ジェランガム等の微生物由来増粘剤;
(g)ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、(PEG−240/デシルテトレデセス−20/HDI)コポリマー、ベヘン酸グリセリル・オクタステアリン酸ポリグリセリル−6等のポリエチレングリコール系増粘剤;
(h)ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、コーンスターチ等のデンプン系増粘剤;および
(i)カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の陰イオン性基を有するモノマーを構成単位として含む水溶性アニオン性重合体(コポリマー、ホモポリマー、クロスポリマーを含む)系増粘剤;
が例示される。
【0087】
この他に、トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド、ベントナイト、マクロゴール、ガゼインナトリウムなどのその他の水溶性高分子などをあげることができる。
【0088】
本発明に好ましく用いられる(D)増粘剤としては、アクリル酸系増粘剤もあげられる。アクリル酸系増粘剤として特に好ましいのは、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)クロスポリマーナトリウム、ポリアクリレート−6、ポリアクリレート−13、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ステアレス−10アリルエーテル・アクリレーツコポリマー、カルボキシビニルポリマーおよびポリアクリルアミドからなる群より選択される1種以上である。なかでも、本発明に用いられる(D)増粘剤は、水溶性アニオン性であるアクリル酸系増粘剤であることが好ましい。
【0089】
本発明に好ましく用いられる(D)増粘剤としては、アクリル酸系増粘剤があげられる。アクリル酸系増粘剤として特に好ましいのは、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)クロスポリマーナトリウム、ポリアクリレート−6、ポリアクリレート−13、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ステアレス−10アリルエーテル・アクリレーツコポリマー、カルボキシビニルポリマーおよびポリアクリルアミドからなる群より選択される1種以上である。
【0090】
その他に、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸誘導体またはこれらの塩、コラーゲン、カンテン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、マクロゴール、などの使用も好ましい。
【0091】
これらの(D)増粘剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの増粘剤を使用した場合には、特に、水感の多いジェル製剤の作成が可能となり、適度な皮膜感と製剤安定性を有し、使用感のよい、軽いジェル製剤を作ることができる。
【0092】
また、これらは市販品として、PEMULEN(商標)TR−1、TR−2(Lubrizol Advanced Materials社製);カーボポール(商標)ETD2020、Ultrez20Polymer、Ultrez21Polymer、Ultrez10Polymer(Lubrizol Advanced Materials社製)、STRUCTURE(商標)2001(アクゾノーベル社製)、Aristoflex(商標)AVC、HMB(クラリアントジャパン社製)などを使用できる。上記ポリビニルアルコールとしては、たとえば、市販品のゴーセノール(商標)EG−05、EG−40(日本合成化学工業社製)などを使用できる。また、スクワラン等の油剤、非イオン性界面活性剤、および、水などと混合した混合物として使用してもよい。このような混合物として、具体的には、たとえば、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体を含有する市販品であるSIMULGEL(商標)FL、NS(セピック社製);アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体を含有する市販品であるSIMULGEL(商標)EG(セピック社製)、SIMULGEL(商標)EPG(セピック社製);ステアレス−10アリルエーテル・アクリレーツ共重合体を含有する市販品であるSALCARE(商標)SC80(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);アクリル酸ナトリウム・アクリル酸メタクリルナトリウム・メタクリル酸ナトリウムメタクリル酸アルキル共重合体を含有する市販品であるSALCARE(商標)SC91(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマーを含有する市販品であるSEPINOV(商標)P88(セピック社製)、アデカノール(商標)GT−700(旭電化工業社製);および、ポリアクリルアミドを含有する市販品であるSEPIGEL(商標)305(成和化成)などをあげることができる。上記ポリアクリル酸アミドとしては、たとえば、市販品のSEPIGEL(商標)305(成和化成社製)などを使用できる。上記カルボキシビニルポリマーとしては、カーボポール(商標)940、941、980、981、ETD2050、Ultrez10Polymer、(Lubrizol Advanced Materials社製);シンタレンKシンタレンL(3V SIGMA社製);AQUPEC(商標)HV−501E、HV−504E、HV−505E(住友精化社製);ハイビスワコー103、104、105(和光純薬工業社製);ジュンロンPW−110(日本純薬社製)、アリストフレックスAVC(クラリアントジャパン社製)などを使用できる。
【0093】
その他、(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーを含有する市販品であるアデカノール(商標)GT−700(旭電化工業社製)、上記デンプン系増粘剤としては、たとえば、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有する市販品であるSTRUCTURE(商標)XL(アクゾノーベル社製)などをあげることができる。
【0094】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する(D)増粘剤の含有量は、好ましくは、0.00001w/w%以上、より好ましくは、0.0001w/w%以上、さらに好ましくは、0.001w/w%以上、最も好ましくは0.1w/w%以上である。皮膚外用組成物の全量に対して、(D)成分の総含有量は、好ましくは、20w/w%以下、より好ましくは、10w/w%以下、さらに好ましくは、5w/w%以下である。皮膚外用組成物の全量に対して、(D)成分の総含有量は、好ましくは、0.00001w/w%〜20w/w%、より好ましくは、0.0001w/w%〜10w/w%、さらに好ましくは、0.001w/w%〜5w/w%、最も好ましくは、0.1w/w%〜5w/w%である。
【0095】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(D)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(D)成分の総含有量が0.0000005〜20000重量部が好ましく、0.000001〜2000重量部がより好ましく、0.00002〜100重量部がさらに好ましく、0.0005〜25重量部が最も好ましい。
【0096】
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)成分〜(D)成分の他に、たとえば、抗酸化剤、美白有効成分、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。
【0097】
[抗酸化剤]
本発明における抗酸化剤(抗酸化成分)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の抗酸化剤を使用できる。なお、本発明において、抗酸化剤(抗酸化成分、酸化防止成分)とは、活性酸素種等による酸化を阻害、低減、抑制する性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0098】
上記抗酸化剤としては、たとえば、
(a)トコフェロール類およびその誘導体またはそれらの塩(たとえば、α−トコフェロール、δ−トコフェロール、酢酸−α−トコフェロール、トコトリエノール)、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、ユビキノン類およびその誘導体またはそれらの塩、レチノール類およびその誘導体またはそれらの塩、パントテン酸およびその誘導体またはその塩、エリソルビン酸またはそれらの塩、などのビタミン系抗酸化剤;
(b)チオタウリン、システイン、ホモシステイン、アセチルシステイン、メチオニン、チオグリセロール、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムピロ亜硫酸ナトリウム、チオレドキシン、ジチオスレイトール、αリポ酸、エルゴチオネイン、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、などの含硫系抗酸化剤;
(c)ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、没食子酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、クロロゲン酸およびその誘導体またはそれらの塩、などのフェノール系抗酸化剤;
(d)植物(たとえば、ブドウ、オタネニンジン、コンフリーなど)に由来する成分(たとえば、ブドウ種子エキス、ブドウ葉エキス、オタネニンジンエキス、コンフリー葉エキスなど);プロアントシアニジン、へスペリジン、グルコシルヘスペリジン、フラボノイド、などのポリフェノール系抗酸化剤などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0099】
本発明の皮膚外用組成物において、上記抗酸化剤が、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルおよびその誘導体、マロン酸およびその誘導体、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体、トコフェロール類およびその誘導体、チオタウリンおよびその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエンおよびその誘導体、没食子酸またはその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、へスペリジンおよびその誘導体、グルコシルヘスペリジンおよびその誘導体、エルゴチオネインおよびその誘導体、フラボノイドおよびその誘導体、または、ジブチルヒドロキシアニソールおよびその誘導体、ならびに、塩の形態をとり得る場合、前記いずれかの化合物の塩および前記いずれかの誘導体の塩等であることが好ましい。なかでも、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、トコフェロール類およびその誘導体またはそれらの塩、チオタウリン、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸およびその誘導体またはそれらの塩、クロロゲン酸およびその誘導体またはそれらの塩、または、ジブチルヒドロキシアニソールがより好ましい。また、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、トコフェロールおよびその誘導体またはそれらの塩、チオタウリン、ジブチルヒドロキシトルエン、または、没食子酸およびその誘導体またはそれらの塩がさらにより好ましい。
【0100】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する抗酸化剤の含有量は、0.00001w/w%以上20w/w%以下の含有量とすることができ、0.0001w/w%以上10w/w%以下であってもよく、0.001w/w%以上7w/w%以下であってもよく、0.05w/w%以上5w/w%以下であってもよく、0.03w/w%以上3w/w%以下であってもよく、0.02w/w%以上1w/w%以下であってもよく、0.01w/w%以上0.5w/w%以下であってもよい。
【0101】
[美白有効成分]
本発明における美白有効成分(美白剤)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の美白有効成分を使用できる。なお、本発明において、美白有効成分(美白剤)とは、肌のくすみやしみ、肝斑等に特に関係しているメラニン色素等による肌の色素沈着を改善、抑制・低減・防止、予防、または遅延させる性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0102】
上記美白有効成分としては、たとえば、
(a)ハイドロキノンおよびその誘導体またはそれらの塩(たとえばα−アルブチン、β−アルブチン);コウジ酸;エラグ酸;フィチン酸;ルシノール;アスコルビン酸およびその誘導体またはそれらの塩(たとえば、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、2−O−エチルアスコルビン酸、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシドなど)、4−メトキシサリチル酸カリウム塩、トラネキサム酸およびその誘導体またはそれらの塩などのようなチロシナーゼ阻害剤;
(b)カモミラETのようなエンドセリン−1受容体阻害剤;
(c)遊離リノール酸のようなチロシナーゼタンパク質分解促進剤;
(d)アデノシン1リン酸2ナトリウム塩のようなメラニン排出促進剤;
(e)ナイアシンアミドのようなメラニン輸送阻害剤;
(f)その他、美白作用を有する植物成分(たとえば、植物エキスや精油);
をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0103】
本発明の皮膚外用組成物において、上記美白有効成分が、ハイドロキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、アスコルビン酸およびその誘導体またはそれらの塩、トラネキサム酸およびその誘導体またはそれらの塩、エラグ酸、ナイアシンアミド等であることが好ましい。なかでも、ハイドロキノン、アルブチン、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、トラネキサム酸などがより好ましい。
【0104】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する美白有効成分の含有量は、0.00001w/w%以上20w/w%以下の含有量とすることができ、0.00001w/w%以上10w/w%以下であってもよく、0.001w/w%以上7w/w%以下であってもよく、0.05w/w%以上5w/w%以下であってもよく、0.03w/w%以上3w/w%以下であってもよく、0.02w/w%以上1w/w%以下であってもよく、0.01w/w%以上0.5w/w%以下であってもよい。
【0105】
[抗炎症成分]
本発明における抗炎症成分(抗炎症剤)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の抗炎症成分を使用できる。なお、本発明において、抗炎症成分(抗炎症剤)とは、表皮等の細胞の炎症を阻害、低減、抑制する性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0106】
上記抗炎症成分としては、たとえば、植物(たとえば、コンフリー葉エキスなど)に由来する成分;アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸およびその誘導体またはそれらの塩(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ナトリウムなど)、グリチルレチン酸およびその誘導体またはそれらの塩(グリチルレチン酸ステアリル、18α‐ヒドロキシグリチルレチン酸など)、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸およびその誘導体などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0107】
本発明の皮膚外用組成物において、上記抗炎症成分が、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体またはそれらの塩、グリチルレチン酸およびその誘導体またはそれらの塩、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、または、サリチル酸およびその誘導体またはそれらの塩等であることが好ましい。なかでも、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、メントール、カンフル、インドメタシン、サリチル酸がより好ましい。
【0108】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する上記抗炎症成分の含有量は、0.00001w/w%以上20w/w%以下の含有量とすることができ、0.0001w/w%以上10w/w%以下であってもよく、0.001w/w%以上5w/w%以下であってもよく、0.05w/w%以上3w/w%以下であってもよく、0.03w/w%以上1w/w%以下であってもよく、0.02w/w%以上0.5w/w%以下であってもよく、0.01w/w%以上0.1w/w%以下であってもよい。
【0109】
[その他の基剤または担体]
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬部外品に使用される公知の基剤または担体を含むことができる。基剤または担体は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0110】
基剤または担体としては、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、白ロウ、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、セレシン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィンのような炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸のような脂肪酸;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールのような高級アルコール;メチルポリシロキサン、ジデカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルシロキサン網状重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコンのようなシリコーン類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスエリット、トリメリト酸トリエチルヘキシルのようなエステル類;デキストリン、マルトデキストリンのような多糖類;エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル;水などの水系基剤などをあげることができる。
【0111】
なかでも、本発明の皮膚外用組成物は水および/または低級アルコールを含むものとすることが好ましく、水を含むものとすることがより好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、限定はされないが、皮膚外用組成物の全量に対する水の含有量は、30w/w%以上99w/w%以下が好ましく、40w/w%以上95w/w%以下がより好ましく、50w/w%以上90w/w%以下がさらに好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、最も好ましくは50w/w%以上の水を含有するO/W型組成物である。
【0112】
[添加剤]
本発明の皮膚外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬部外品に添加される公知の添加剤、たとえば、界面活性剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤などを添加することができる。添加剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0113】
界面活性剤としては、たとえば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸のようなグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリルのようなポリグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(PEG−40水添ヒマシ油、HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(PEG−50水添ヒマシ油、HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(PEG−60水添ヒマシ油、HCO−60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80(PEG−80水添ヒマシ油、HCO−80)などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジメチルシリコーンオイル、ポリグリセリン変性シリコーン(例えば、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン等も含む)のようなシリコーン系界面活性剤などをあげることができる。
【0114】
なかでも、グリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸グリセリル)、ポリグリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸ポリグリセリル、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル)、硬化ヒマシ油誘導体(特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(PEG−50水添ヒマシ油、HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(PEG−60水添ヒマシ油、HCO−60))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(特に、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60))、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(特に、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、シリコーン系界面活性剤(特に、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジメチルシリコーンオイル、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)が好ましい。
【0115】
保存剤、防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなどをあげることができる。なかでも、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノールが好ましい。
【0116】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)などをあげることができる。なかでも、コハク酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0117】
キレート剤としては、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA−2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸などをあげることができる。なかでも、エデト酸ナトリウムが好ましい。
【0118】
安定化剤としては、ブチルヒドロキシアニソールなどをあげることができる。
【0119】
刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウム、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどをあげることができる。
【0120】
着色剤としては、無機顔料、天然色素などをあげることができる。
【0121】
使用感改良剤としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリレーツコポリマー、アクリレーツクロスポリマー、(アクリル酸ブチル/ジメタクリル酸グリコール)クロスポリマー、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(メタクリル酸メチル/ジメタクリル酸グリコール)クロスポリマー、(スチレン/ジビニルベンゼン)クロスポリマー、ラウロイルリシン、ナイロン−12が挙げられる。
【0122】
[その他の活性成分]
本発明において、皮膚外用組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、抗シワ・老化防止成分、角質柔軟成分、細胞賦活化成分、ビタミン類、保湿成分、DNAの損傷の予防および、/または修復作用を有する成分、抗菌成分、収斂成分などの、化粧品や医薬部外品に添加しうる他の活性成分を配合することができる。他の活性成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0123】
抗シワ、老化防止成分としては、加水分解大豆タンパク、レチノイド(レチノールおよびその誘導体、レチノイン酸、レチナールなど)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトンなどをあげることができる。なかでも、アルテミアエキス、加水分解大豆タンパク、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールが好ましい。
【0124】
角質柔軟成分としては、ラノリン、尿素、αヒドロキシ酸(フィチン酸、乳酸、乳酸塩、グリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸など)、クエン酸などをあげることができる。なかでも、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、サリチル酸、フィチン酸が好ましい。
【0125】
細胞賦活化成分としては、植物(たとえば、ビルベリー)に由来する成分;γ−アミノ酪酸、ε−アミノプロン酸などのアミノ酸類;グリコール酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などをあげることができる。なかでも、ビルベリー葉エキスが好ましい。
【0126】
ビタミン類としては、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、β−トコフェリルレチノエートなどのビタミンA類;β−カロチン、α−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノンなどのプロビタミンA類;δ−トコフェロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、δ−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステルなどのビタミンB2類;ニコチン酸メチル、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、などのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノンなどのビタミンK類;ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩などのビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミンなどのビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミンなどのビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸などの葉酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテテイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテルなどのパントテン酸類;ビオチン、ビオシチンなどのビオチン類;そのほか、カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸、γ−オリザノールなどのビタミン様作用因子などをあげることができる。
【0127】
なかでも、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのビタミンA類;アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、2−O−エチルアスコルビン酸、3−O−エチルアスコルビン酸などのビタミンC類;δ−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類が好ましい。
【0128】
保湿成分としては、植物(たとえば、チガヤ)に由来する成分;アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンのようなアミノ酸およびその誘導体;コラーゲン、ゼラチン、エラスチンのようなタンパク質やペプチド、その加水分解物;グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコール;ソルビトールのような糖アルコール;レシチン、水素添加レシチンのようなリン脂質;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素のようなNMF由来成分;ポリグルタミン酸;MPCポリマー(たとえば、LIPIDURE(商標)など)などのリン脂質極性基を有する高分子;ポリオキシプロピレンメチルグルコシド;PPG−10メチルグルコース(たとえば、マクビオブライド MG(商標)シリーズ(日油株式会社製)等)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン(たとえば、ウィルブライド(商標)S−753(日油株式会社製));トリメチルグリシン(ベタイン);ヒドロキシエチルウレア;アクリル酸・アクリルアミド・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体;ソルビトールなどをあげることができる。なかでも、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、MPCポリマーグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、トリメチルグリシン(ベタイン)、ヒドロキシエチルウレア、水素添加レシチン、ソルビトールが好ましい。
【0129】
DNAの損傷の予防および、/または修復作用を有する成分としては、動物(たとえば、アルテミア)に由来する成分;植物(たとえば、キャッツクロー)に由来する成分;DNA、DNA塩、RNA、RNA塩などの核酸成分をあげることができる。なかでも、アルテミアエキス、DNA−Naが好ましい。
【0130】
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸およびその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシンなどをあげることができる。なかでも、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸およびその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシンが好ましく、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸およびその誘導体、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノールがより好ましい。
【0131】
収斂成分としては、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウムなどの金属塩;タンニン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸などの有機酸をあげることができる。なかでも、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸アルミニウムカリウム、タンニン酸が好ましい。
【0132】
[製剤形態]
また、本発明における皮膚外用組成物は、各成分を常法に従って、たとえば、混合撹拌することにより調製できる。
【0133】
本発明における皮膚外用組成物は、薬剤の形態は特に限定されず、化粧品または医薬部外品の形態として公知の形態を採ることができる。このような公知の形態の中でも、たとえば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、パウダー剤、パップ剤、不織布などのシートに薬液を含浸させたシート剤、リップ用乳化物などをあげることができる。なかでも、使用感が良い点で、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤が好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、水中油型(O/W)の組成物であっても油中水型(W/O)の組成物であってもよい。ここで、O/W型の組成物とは、水性成分が連続相であり、油性成分が分散相である、乳化組成物を意味する。また、W/O型の組成物とは、油性成分が連続相であり、水性成分が分散相である、乳化組成物を意味する。本発明の皮膚外用組成物が水中油型(O/W)の組成物である場合は、水系乳液、水性ジェル、水系ローションの製剤形態が好適である。また、本発明の皮膚外用組成物が油中水型(W/O)の組成物である場合は、乳剤、クリーム剤の製剤形態が好適である。本発明の皮膚外用組成物が乳化組成物である場合、O/W型またはW/O型のいずれの乳化組成物であってもよいが、より一層高い紫外線吸収能増強効果を得られるという観点から、なかでもO/W型の乳化組成物が好ましい。
【0134】
本発明の皮膚外用組成物は、好ましくは、リップ用乳化物、乳液、乳化型の化粧水、ボディローションのような基礎化粧品の形態で用いられ得る。また、本発明の皮膚外用組成物は、ファンデーション、口紅、ほお紅、アイメイク、おしろい、マニキュア、ペディキュア等のメークアップ化粧料の形態でも用いられ得る。
【0135】
本発明により紫外線吸収機能を増強させることができるので、本発明の皮膚外用組成物は、紫外線B波(UV−B)に対する防御指数であるSPF(Sun Protection Factor)の値や、紫外線A波(UV−A)に対する防御指数であるPA(Protection Grade of UVA)の値が高い皮膚外用組成物とすることができる。たとえば、本発明の皮膚外用組成物は、SPF値が、SPF10以上、好ましくはSPF20以上、より好ましくはSPF30以上、更に好ましくはSPF40以上、特に好ましくはSPF50以上であり得る。またたとえば、本発明の皮膚外用組成物は、PA値がPA+、好ましくはPA++、より好ましくはPA+++、更に好ましくはPA++++であり得る。
【実施例】
【0136】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表1〜6における各成分量の単位は、w/w%である。
【0137】
表1〜6に示す組成の皮膚外用組成物を常法に従って調製した。具体的には、油相成分と水相成分をそれぞれ秤量し、必要に応じ加熱溶解させた。その後、O/W型組成物の場合は、水相へ油相を投入し、ホモミキサーで撹拌し調製し均一なO/W型組成物を調製した(表1、表5)。W/O型組成物の場合は、油相へ水相を投入し、ホモミキサーで撹拌し調製し均一なW/O型組成物を調製した(表2〜4、表6)。また、必要に応じ、撹拌後に中和剤を添加して均一な組成物を調製した。
【0138】
〔試験例1〕紫外線防御効果試験
表1〜表4に記載の各皮膚外用組成物を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)製の板に1.3mg/cm
2になるように均一に塗布し、暗所で15分間放置して乾燥させた後、紫外線吸収スペクトルを、紫外可視分光光度計(UV−2450:島津製作所社製)を用いて測定した。290〜400nmにおける吸光度曲線下面積(AUC)をブランク処方((A)成分を含まない処方)のものと比較することで、紫外線吸収スペクトルの増加率(増強効果)を算出した。算出式は下記式1の通りである。
[式1]
紫外線吸収スペクトルの増加率=[(実施例の各AUC)/(比較例の各AUC)]×100 (%)
なお、紫外線吸収スペクトルは同一のPMMA板内の異なる5点を測定し、それらの平均値を採った。また、本試験例で用いた(A)成分(表1の*1原料、*2原料)について、アクリル酸アルキルコポリマーのガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量測定装置(DSC823e装置、メトラー・トレド社製)を用いて測定した。具体的には、乾燥減量後の試料約30mgを用意し、昇温速度10℃/分で−40℃から40℃まで昇温させて測定し、得られたDSC曲線において、ベースラインの変化の開始点(onset)と終点(offset)との間の中間点(midpoint)をガラス転移温度(Tg)として求めた。その結果、*1原料及び*2原料のアクリル酸アルキルコポリマー部分のガラス転移温度(Tg)は共に0〜10℃の範囲内にあることが確認された。
【0139】
【表1】
表中*1の原料名は、リカボンドFS−1000(ジャパンコーティングレジン社製)であり、*2の原料名は、リカボンドSS−3000(ジャパンコーティングレジン社製)である。
【0140】
【表2】
表中*1の原料名は、リカボンドSS−3000であり、*2の原料名は、リカボンドFS−1000である。
【0141】
【表3】
表中*1の原料名は、リカボンドSS−3000であり、*2の原料名は、リカボンドFS−1000である。
【0142】
【表4】
表中*1の原料名は、リカボンドSS−3000であり、*2の原料名は、リカボンドFS−1000である。
【0143】
【表5】
表中*1の原料名は、Simulgel NS(セピック社製)であり、*2の成分名は、リカボンドSS−3000である。
【0144】
【表6】
表中*1の原料名は、リカボンドSS−3000である。
【0145】
表1の処方での試験例1の結果を
図1〜2に示す。(B)成分のみの比較例1に比べて、(A)成分および(B)成分を含む実施例1および実施例2は、紫外線吸収スペクトルが増加することが確認された。
【0146】
表2〜4の処方での試験例1の結果を
図3に示す。(B)成分のみの比較例4−1および比較例5−1に比べて、(A)成分および(B)成分を含む実施例4−1、実施例4−2、実施例5−1、実施例5−2、実施例6−1および実施例6−2は、紫外線吸収スペクトルが増加することが確認された。また、モノエステル油またはジエステル油を用いた実施例1−1、2−1、3−1、及び3−2に対し、トリエステル油またはテトラエステル油を用いた実施例4−1、実施例4−2、実施例5−1、実施例5−2、実施例6−1および実施例6−2は、紫外線吸収スペクトルがより顕著に増加することが確認された。
【0147】
表5の処方での試験例1の結果を
図4〜5に示す。(B)成分のみの比較例2に比べて、(A)成分および(B)成分を含む実施例3は、紫外線吸収スペクトルが増加することが確認された。
【0148】
表6の処方での試験例1の結果を
図6〜7に示す。(B)成分のみの比較例3に比べて、(A)成分および(B)成分を含む実施例4は、紫外線吸収スペクトルが増加することが確認された。
【0149】
〔試験例2〕水処理後の残存試験
表1に記載の皮膚外用組成物について、試験例1にて紫外線吸収スペクトルを測定した後、水処理を行い、再度、同様の方法にて紫外線吸収スペクトルを測定して、水処理前後での290−400nmにおける吸光度曲線下面積(AUC)を比較し、残存率を算出した。計算式は以下に示す通りである。
水処理による残存率=[(水処理後のAUC)/(水処理前のAUC)]×100 (%)
なお、本試験例において水処理とは、組成物を塗布したPMMA製の板を、水浴の攪拌羽根の一端に取り付け、撹拌羽根ごと20〜25℃の水浴(水道水)に浸し、5分間水浴を攪拌し続け、その後、PMMA製板をゆっくり取り外し、暗所で30分放置して乾燥させることを指す。
また、紫外線吸収スペクトルは同一のPMMA板内の異なる5点を測定し、それらの平均値を採った。
【0150】
試験例2の結果を
図8に示す。(B)成分のみの比較例に比べて、(A)成分を含む実施例1および実施例2は、水処理後の残存率が良好である。
【0151】
〔試験例3〕二次付着性評価試験
表1の実施例1〜2及び比較例1の各皮膚外用組成物(試料)を、PMMA板上に、2mg/cm
2として均一に塗布し、乾燥させた。試料乾燥後、紫外可視分光光度計(UV-2450;島津製作所社製)にて、各PMMA板における紫外線吸収スペクトルを測定し、290-400nmにおける吸光度曲線下面積(AUC)を求めた。その後、ティッシュペーパー上にPMMA板の塗布面を下にして置き、500gの負荷をPMMA板の上から10分間かけてティッシュペーパーに付着させた後、再び紫外線吸収スペクトルを測定して、290-400nmにおけるAUCを求め、付着前後でのAUCの差を比較することで、紫外線吸収能の残存率を算出した。算出式は式2の通りである。
[式2]
紫外線吸収能の残存率=[(付着後の各AUC)/(付着前の各AUC)]×100(%)
なお、紫外線吸収スペクトルは同一のPMMA板内の異なる5点を測定し、それらの平均値を採った。
この結果を
図9に示す。本発明の皮膚外用組成物は、二次付着しにくいことが確認された。
【0152】
〔製剤例〕
下記表7及び表8に記載の製剤を調製する。製剤例1〜8は、いずれもO/W型ゲル剤の皮膚外用組成物であり、製剤例9〜16は、いずれもW/O型乳剤の皮膚外用組成物である。
【0153】
【表7】
【0154】
なお、表7中*1の原料名は、リカボンドSS−3000であり、*2の原料名は、リカボンドFS−1000であり、*3の原料名は、Simulgel NSであり、*4の原料名は、Aristoflex AVCである。
【0155】
【表8】
【0156】
なお、表8中*1の原料名は、リカボンドFS−1000であり、*2の原料名は、リカボンドSS−3000である。