(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固体物(2)に導入される前記レーザービームを提供するための前記少なくとも1つのレーザーの放射線源(18)は、照射された前記レーザービームが前記固体物(2)内の所定の位置に前記ディフェクトを生成するように構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
前記固体物(2)内の前記ストレスは、前記クラックの開始及び/又は前記クラックの伝播がクラック面に製造された表面の所定のトポグラフィを生成するように制御され得るように設定されることを特徴とする、
請求項1乃至6の何れかに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
様々な技術分野(例えば、マイクロエレクトニクス又は光起電技術)における材料、例えばシリコン、ゲルマニウム又はサファイアなどは、しばしば、薄い円盤状且つ板状(いわゆるウェハー)の形で必要とされる。一般的には、かかるウェハーは、現在のところ、インゴットからの切断により製造されており、相対的に大きな材料の損失(“カーフ・ロス”、切り代)が発生している。使用される原材料は、しばしばとても高価であるため、より少ない材料消費で、より効率的且つ安価にウェハーを製造できるように、多大な努力が払われている。
【0003】
例えば、現在の通常法の方法によれば、太陽電池用のシリコンウェハーを製造する際に、使用された材料のうち略50%が“カーフ・ロス”として失われる。総体的に考えると、これは年間で20億ユーロ以上の損失に相当する。完成された太陽電池の費用のうち最も高い割合(40%以上)をウェハーの費用が占めるので、ウェハー製造を適切に改善することにより、太陽電池の費用は大いに減少され得るだろう。
【0004】
例えば温度誘導ストレスを用いることなど、従来知られる、厚い加工対象物から直接的に切断加工無しで薄いウェハーを分離できる方法は、この種のカーフロス無しのウェハー製造(“カーフロス無しウェハー成形”)にとって、とりわけ魅力的であるように思われる。これらは、特に、例えば国際公開/米国第2008/012140号、及び、国際公開/欧州第2009/067539号に開示された方法に含まれており、そこにおいては、加工対象物に対して適用されたポリマー層が、ストレスを生み出すために使用されている。
【0005】
上述の方法において、ポリマー層は、加工対象物と比較して、おおよそ2桁ほど高い熱膨張率を持つ。また、ガラス転移を利用することにより、比較的高い弾性率が前記ポリマー層において達成され得る。そのため、加工対象物からウェハーの分離を可能とするための冷却により、十分に大きいストレスがポリマー層‐加工対象物の層システムに誘導され得る。
【0006】
加工対象物からウェハーを分離すると、上述の方法では、ポリマーは、なおも、ウェハーの各面に付着する。ウェハーは、ここで、ポリマー層の方へとても強く曲がる。このことは、制御された方法で前記分離を実行することを困難にし、且つ、例えば分離されたウェハーにおける厚みの変化をもたらすだろう。また、強い屈曲は、後に続く処理を困難にし、ひいては、ウェハーの粉砕をもたらすだろう。
【0007】
上記の従来技術に係る方法を使用する際、製造された複数ウェハーは、一般に、各々、より大きい厚み変化を持ち、空間的な厚さ分布はしばしば4回転対称パターンを成す。ウェハー全体に見られる厚さ変化の総量(“総厚さ変化(total thickness variation)”、TTV)は、上記の方法を使用した場合、しばしばウェハー厚さの平均の100%よりも大きくなる(例えば100μmの平均厚さを持つウェハーであって、例えば最も薄い位置で50μm、最も厚い位置で170μmの厚さを持つウェハーは、170−50=120μmのTTVを持ち、それは、その平均的厚さに足しいて120%の総厚さ変化に相当する。)これらの激しい厚さ変化は、多くの利用にとって不適当である。また、最も頻繁に生じる4回転対称パターンのために、最も大きな変化を持つ個々の領域が、不幸にもウェハーの中央に横たわってしまい、最大の崩壊を引き起こす。
【0008】
また、前記の従来技術に従う方法では、分離における切断伝播の間に、関連する複数の層システム内の不所望な振動が発生する。それら振動は、切断最前部の進展に悪い影響を持ち、且つ、特に、分離されたウェハーの著しい厚さ変化をもたらす。
【0009】
更に、前記の方法では、ポリマー層の表明全体にわたり、良好な熱接触を再現性良く保証することが難しい。部分的に不十分な熱接触は、使用されたポリマーの低い熱伝導性のため、層システムにおいて、不所望な著しい部分的温度変化をもたらし、このことは、製造されるストレス領域に対して悪い影響を持ち、且つ、ウェハー製造の品質にも悪い影響を持つ。
【0010】
更に、独国特許出願公開第19640594A1号明細書より、光誘発性界面分解によって半導体材料を分離する方法、並びに、この方法で製造された装置、例えば構造化及び自立半導体層及びコンポーネントなどが、知られる。独国特許出願公開第19640594A1号明細書に従う方法は、基盤と半導体層の間の、又は、複数半導体層の間の界面の照明を含み、これにより、界面上の光吸収、又は、この目的で提供された吸収層内の光吸収は、材料の分解をもたらす。分解を引き起こす界面又は半導体層の選択は、材料製造の間の、波長と、光度、照射方向又は薄い犠牲層の挿入の選択により為される。この方法の不都合は、層全体を破壊するために大量のエネルギーを使用しなければならないことであり、そのため、エネルギーの要求及び処理コストが高くなることである。
【0011】
また、欧州特許出願公開第000002390044B1号明細書、欧州特許出願公開第000001498215B1号明細書、欧州特許出願公開第000001494271B1号明細書、及び、欧州特許出願公開第000001338371B1号明細書は、加工対象物の垂直分離のためにレーザーが使用される方法を開示している。
【0012】
また、ウェハー内にダメージ領域を生成するためのレーザー支持方法が知られる。集光レーザーを用いて、多光子励起が深みで達成され、これにより、材料入口に損傷を引き起こすことなく深みでダメージを引き起こすことができる。
【0013】
典型的には、加熱された材料とレーザーの強力な相互作用が行われるように、nsパルス幅(ナノ秒パルス幅)のレーザーが使用される。典型的には、このことは、多光子励起よりも明らかに高い吸収を持つ光子/光子相互作用により起こる。
【0014】
この種の方法は、例えばオームラ及びその他(ジャーナルオブアチーブメントインマテリアルズアンドマニュファクチュアリングエンジニアリング(Journal of Achievements in Materials and Manufacturing Engineering)、2006年、17巻、381頁ff)より知られる。オームラ及びその他により提案されたウェハー処理は、ウェハー板のウェハー要素を分離することにより部分的に製造され得るように、ウェハー内にディフェクト(傷)を生成することにより、クラック(ひび割れ)管理線を生成する働きを持つ。この方法により生成されたディフェクトは垂直方向に延びる。これにより、個別のウェハー要素間の接続構造が、ウェハー要素の主表面に対して直角な縦方向の弱体化を被りやすい。これら縦方向の弱体化は、50μmより大きい延長を持つ。
【0015】
ウェハー要素を分離するために使用された利点、すなわち、50μmより大きい垂直な延長の生成は、固体物から1又は複数のウェハー層を分離するための方法に対する、この種のディフェクト生成の適用を妨げる。一方、ウェハー表面に広がったこれら縦方向のディフェクトの生成とともに、固体物内に材料層が作成される。これは、クラックを管理することに利用されるのみであって、その後の使用には不適切であり、従って廃棄物を構成する。他方、この廃棄物は、例えば研磨工程により取り除かれねばならず、それにより追加的なコストがかかる。したがって、この発明の目的は、クラック面により垂直方向の損傷が最小になる、固形板又は所望の厚さ分布を持つ平坦でない個体の安価な製造を可能とするような、固形材料又は固体物の層を製造するための方法を提供することである。
【0016】
従って、この発明の目的は、均一な厚さ、特に120μmより小さいTTVを持つ固形板又はウェハーの安価な製造を可能とする固体物の製造方法を提供することである。この発明の別の観点によれば、この発明の目的は、固形材料の1又は複数の層の製造方法を提供することであり、該方法において、レーザーによって固体物内にクラック伝播面が生成され、個々のディフェクトが50μmより小さい垂直方向の延長を持つ前記クラック伝播面を形成する。
【0017】
前述の目的は、請求項1に従う固形材料の1又は複数の層の製造方法により達成される。この方法は、好ましくは、固形材料の少なくとも1層を分離するための加工対象物又は固体物を提供することと、前記固体物から前記固形材料の層が分離される分離面を決定するために、少なくとも1つの放射線源(18)、特に1つのレーザー、によって該固体物の内部構造にディフェクトを生成することと、前記固体物上に前記固形材料の層を保持するための受容層を設けることと、前記固体物内にストレスを特に機械的に発生するために、前記受容層に対して熱を適用することであって、該ストレスにより前記固体物内にクラックが前記分離面に沿って伝播し、該クラックが前記固体物から前記固形材料の層を分離するものとを、少なくとも備える。
【0018】
この解決手段は、放射線源の効力のため、前記分離層又はディフェクト層が固体物内に生成され得るという点で有利であり、それにより、クラック伝播の間にクラックが管理又は監督される。そして、このことは、とても小さいTTV、とりわけ、200μmより小さい、又は、100μmより小さい、又は80μmより小さい、又は、60μmより小さい、又は、40μmより小さい、又は、20μmより小さい、又は、10μmより小さい、又は、5μmより小さい、特に、4、3、2、1μmのTTVを製造することを可能とする。ウェハーを光線に晒すことは、したがって、第1のステップにおいて、固体物内に穿孔を生成し、第2のステップにおいて、それに沿って前記クラック伝播が行われるか又は固形材料の層が固体物から分離される。
【0019】
更なる好適な実施形態は、以下の説明及び/または従属項の主題である。
【0020】
この発明の好ましい一実施形態によれば、レーザーは、10psより小さいパルス幅を持ち、特に好ましくは、1psより小さいパルス幅、最良では500fsよりも小さいパルス幅を持つ。
【0021】
この発明の好ましい一実施形態によれば、前記固形材料の層を分離させるためのストレスは、受容層、特にポリマー層に対する熱の適用により、前記固体物により発生される。前記熱の適用は、気温、又は、気温より低い温度、好ましくは摂氏10度よりも低温、とりわけ好ましくは摂氏0度よりも低温、より好ましくは摂氏マイナス10度よりも低温で、前記受容層又はポリマー層を冷却することからなる。極めて好ましいポリマー層の冷却は、該ポリマー層の少なくとも一部、好ましくはPDMSで出来ている部分が、カラス転移を受けるように行われる。これに関連して、冷却は、例えば液体窒素により引き起こされ得る、摂氏マイナス100度よりも低温に冷却することであり得る。この実施形態は、ポリマー層が温度変化によって収縮し、及び/又は、ガラス転移を受け、且つ、このようにして前記個体に対して生じた力を転移するので、有利であり、これによりクラックの開始及び/又はクラックの伝播をもたらす機械的ストレスが固体物内に発生され、前記クラックは第一に、固形材料の層を切り離すように、初めの分離面に沿って伝播する。
【0022】
この発明の好ましい一実施形態によれば、前記固体物は、該固体物を保持するための保持層に配置され、該保持層は該固体物の第1
平面部分に配置され、前記固体物の第1
平面部分は該固体物の第2
平面部分から間隔を空けられており、前記ポリマー層は前記固体物の第2
平面部分に配置され、且つ、前記分離層は前記第1
平面部分、及び/又は、前記第2
平準面部分に平行に配列されるか又は平行に生成される。
【0023】
この実施形態は、前記固体物が少なくとも部分的に、そして、好ましくは、前記保持層と前記ポリマー層の間の全体に配置されるという点で好ましい。前記保持層と前記ポリマー層は、クラックを生成又はクラックを伝播するためのストレスを、これら層の1つによって又はこれら層の両方によって前記固体物に導入するものである。
【0024】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、固体物に導入される放射線を提供するための少なくとも1つ又はまさに1つの放射線源は、照射された光線が前記固体物内の所定の位置にディフェクトを生成するように構成される。この実施形態は、放射線源により、特にレーザーにより、極めて正確に前記固体物内にディフェクトを生成できるという点で有利である。
【0025】
特に、前記方法のために、以下において“ウェハリング(wafering、ウェハー成形)”と“薄化(thinning)”と呼ばれる2つの適用がある。“ウェハリング”では、方法は一般的に、均一な厚さの半導体ブロックから薄い層を、典型的にはインゴットからウェハー(業界特有の厚さのもの)を引き離すに使用される。“薄化”では、方法は、ウェハーからとても薄い層を分離するために使用され、これは今日の研磨(グラインド)工程に対応するが、要求されない材料が無傷のままであり再使用できるという点で有利である。“ウェハリング”と“薄化”との間の区別を明確にすることは困難である。というのも、例えば“薄化”はまた、薄い層が生成されるようにウェハーの後側で振舞うことにより実行され得るが、レーザーは材料を深く貫くからである。
【0026】
"薄化"の場合
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記放射線源は、前記分離面を生成するために照射された光線が、前記固体物の中に、所定の深さに、特に100μmより浅く、貫通するように構成される。好ましくは、前記分離面は、前記固体物の外面及び好ましくは
平らな表面から隔たって、並行して形成される。好ましくは、前記分離面は、好ましくは100μmより小さく、そして好ましくは50μmよりも小さく、そして特に好ましくは、20、10、5又は2μmよりも小さく若しくは正に20、10、5又は2μmだけ、前記固体物の
平らな表面から離れている。したがって、前記分離面は、好ましくは、ディフェクトから生成された面形状で作られており、該ディフェクトは、好ましくは100μmより小さく、そして好ましくは50μmよりも小さく、そして特に好ましくは、20、10又は2μmよりも小さく若しくは正に20、10、5又は2μmだけ、前記固体物の
平らな表面から離れている。
【0027】
"ウェハリング"の場合
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記放射線源は、前記分離面を生成するために照射された光線が、前記固体物の中に、所定の深さに、特に100μmより深く、貫通するように構成される。好ましくは、前記分離面は、前記固体物の外面及び好ましくは
平らな表面から隔たって、並行して形成される。好ましくは、前記分離面は、好ましくは100μmより大きく、そして好ましくは200μmよりも大きく、そして特に好ましくは、400又は700μmよりも大きく、前記固体物の
平らな表面から離れている。したがって、前記分離面は、好ましくは、ディフェクトから生成された面形状で作られており、該ディフェクトは、好ましくは100μmより大きく、そして好ましくは200μmよりも大きく、そして特に好ましくは400又は700μmよりも大きく、前記固体物の
平らな表面から離れている。
【0028】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記固体物は、所定の波長及び/又は出力に晒され、該所定の波長は好ましくは各材料又は基板に適合される。この実施形態は、ディフェクトのサイズが前記波長及び/又は出力に影響されるという点で好ましい。
【0029】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記固体物は、シリコン及び/又はガリウム又はペロブスカイトを含み、前記ポリマー層及び/又は保持層は少なくとも部分的に、そして好ましくは全体に又は75%以上のポリジメチルシロキサン(PDMS)により形成されており、前記保持層は、安定化装置の
少なくとも部分的に平らな表面上に配置され、該安定化装置は少なくとも部分的に少なくとも1つの金属より作られている。前記安定化装置は、好ましくはプレートであり、特に、アルミニウムを含むプレート若しくはアルミニウム製のプレートである。この実施形態は、前記安定化装置及び保持層により、固体物が安全に規定されるか若しくは保持され、それによりストレスが固体物内にとても正確に発生され得る、という点で有利である。
【0030】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記固体物内の前記ストレスは、前記クラックの開始及び/又は前記クラックの伝播がクラック面に生成される表面のトポグラフィを生成するように制御され得るように、調整又は発生され得る。したがって、前記ストレスは、好ましくは、少なくとも時々は異なる強さとなるように、前記固体物の異なる領域に発生され得る。この実施形態は、前記クラックの開始及び/又は前記クラックの伝播を制御することにより、発生又は分離された固体物の層のトポグラフィが有利に影響され得るという点で有利である。
【0031】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記ディフェクト(傷)は、少なくとも1つのクラック
ガイド層を規定し、該少なくとも1つのクラック
ガイド層は、
平らな形状とは異なる形状である。この解決手段は、生成された前記固形材料の層又は生成された前記固体物が、
平らな層とは異なる形状を持ち得るという点で有利である。したがって、クラック伝播により加工対象物から、もはや複数の
平らな層だけが形成又は生成されるのではなく、3次元体もまた形成又は生成される。当該製造方法に基づいて、この方法により製造された固体物は、ごく少ない程度の再加工のみでよいか全く再加工が不要な、極めて有利な表面を有する。したがって、例えば、プリズム又はレンズなどの光学要素は、1段階又は多段階、特に2又は3段階の分割工程で製造され得る。
【0032】
そこで、この発明の好ましい一実施形態によれば、前記1つのクラック管理層の形状は、特定のレンズ又はプリズムにおいて、3次元的対象物の輪郭を少なくとも部分的に持つ。
【0033】
この発明の好ましい一実施形態によれば、ディフェクトは、ディフェクト生成装置又は前記放射線源により生成され、前記ディフェクト生成装置は、該ディフェクトが加工対象物内において該ディフェクト生成装置から一定距離離れて生成されるように構成される。前記加工対象物及び前記ディフェクト生成装置は、前記ディフェクト生成装置により生成されたディフェクトが前記層を案内するクラック内に発生するように互いに傾斜し、前記ディフェクト生成装置及び前記加工対象物は、ディフェクト生成の間、互いに関して、二次元的に再配置されるだけである。したがって、好ましくは、前記ディフェクト生成装置が前記加工対象物に対して再配置されるか、若しくは、前記加工対象物が前記ディフェクト生成装置に対して再配置されるか、若しくは、前記ディフェクト生成装置及び前記加工対象物の双方が互いに対して再配置される。
【0034】
この実施形態は、前記放射線源又は前記ディフェクト生成装置がディフェクトを生成するために再配置されるだけでよく、該ディフェクト生成装置に対して何ら変更が為されなくて良く、特にディフェクト導入深さの変更が定義又は設定されなくて良い、という点で有利である。
【0035】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、ディフェクトは、前記ディフェクト生成装置又は前記放射線源によって生成される。該ディフェクト生成装置は、ディフェクトが加工対象物内において該ディフェクト生成装置から時々変更される距離離れて生成されるように構成され、前記ディフェクト生成装置の変更は、該ディフェクト生成装置と生成されるべきディフェクトの間の距離に応じて、少なくとも時々引き起こされ、特に変更されたディフェクト導入深さが定義され且つ設定される。この実施形態は、好ましくは、加工対象物を傾けるために傾斜装置が提供される必要がない、という点で有利である。
【0036】
前記固体物は、好ましくは、例えば、Si、SiC、SiGe、Ge、GaAs、InP、GaN、Al2O3(サファイア)、AlNなど、元素周期表の第3、第4及び第5メイングループ内の材料若しくはそれらグループ内の材料の組み合わせを含む。特に好ましくは、前記固体物は、元素周期表の第3及び第5のグループ内に存在する複数元素の組み合わせを持つ。ここで考えられる材料又は材料の組み合わせは、例えばヒ化ガリウム、シリコン、シリコンカーバイドなどである。更に、前記固体物は、セラミック(例えば、Al2O3‐酸化アルミニウム)を含むか又はセラミックにより形成されてよく、ここで好ましいセラミックは、特に、例えばペロブスカイトセラミクス(例えばPb、O、Ti/Zrを含むセラミクス)一般、及び、マグネシウムニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、イットリウムアルミニウムガーネット特に固体物レーザー適用のためのイットリウムアルミニウムガーネット結晶、SAW(表面弾性波)セラミクス、例えばニオブ酸リチウム、オルトリン酸ガリウム、石英、チタン酸カルシウムなどである。したがって、前記固体物は、好ましくは半導体材料又はセラミック材料を含み、若しくは、特に好ましくは、前記固体物は、少なくとも半導体材料又はセラミック材料から成るものである。更に、前記固体物にとって、透明材料を含むこと若しくは例えばサファイアなど透明材料から成ること又は部分的に透明材料から製造されることは想定され得る。ここで、それ自身で又は他の材料との組み合わせで固形材料とみなされ得る追加的材料は、例えば、“ワイドバンドギャップ”材料、InAlSb、高温超電導体、特にレアアース銅酸化物(例えばYBa2Cu3O7)である。
【0037】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記放射線源又は該放射線源の一部分は、フェムト秒レーザー(fsレーザー)の形式である。この解決手段は、fsレーザーを使うことにより、ディフェクトの材料の垂直方向の伝播が最小化されるという点で有利である。fsレーザーを使うことにより、ディフェクトを加工対象物内に極めて正確に導入すること、及び、加工対象物内にディフェクトを生成することが可能となる。fsレーザーの波長及び/又はエネルギーは、好ましくは、材料に応じて選択されるものである。
【0038】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、前記放射線源、特にレーザービーム、特にfsレーザーのエネルギーは、前記固体物内又は石英内のダメージ伝播がレイリー長の3倍よりも小さくなるように、好ましくはレイリー長よりも小さく、そして特に好ましくはレイリー長の3分の1よりも小さくなるように選択される。
【0039】
前記レーザービーム、特にfsレーザーの波長は、この発明の別の好ましい実施形態により、前記固体物又は材料の吸収が10cm
-1未満、好ましくは1cm
-1未満、特に好ましくは0.1cm
-1未満になるように、選択される。
【0040】
この発明の別の好ましい実施形態によれば、個々のディフェクトは、それぞれ、前記放射線源、特に前記レーザー、特にfsレーザーにより引き起こされた多光子励起に起因する。
【0041】
また、この発明は、請求項1乃至12の何れかに従う方法により製造されたウェハーに関するものである。
【0042】
また、国際公開/米国第2008/012140号、及び、国際公開/欧州2009/067539号の主題は、この特許出願の主題に対して、参照によって追加される。同様に、この特許出願の出願日に出願人により提出された、固形材料の層の製造の分野に関連する他の全ての特許出願の主題は、この特許出願の主題に含まれる。
【0043】
この発明のその他の利点、目的及び性質は、以下の添付図面の詳細説明により説明される。そこにおいて、この発明に従うウェハー製造が一例として示されている。図面において、少なくとも実質的にそれぞれの機能に関しては対応する、この発明に従うウェハー製造の複数の構成要素又は要素は、ここでは同じ参照符号により識別され、それら構成要素又は要素は全ての図において番号付け又は説明される必要はない。
【0044】
後述する個々の又は全ての図面説明は、好ましくは設計図と見なされる。すなわち、1又は複数の図面に示された寸法、比率、機能関係及び/又は配置は、この発明に従う装置又はこの発明に従う製品のそれらに、好ましくは正確に又は好ましくは実質的に、対応する。