(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1に係る端子金具の接続構造によれば、複数枚の端子金具を重ねる必要がないため、端子金具の重量の増加を抑制できるが、1枚の端子金具における同一平面内で複数の端子接続部が放射線状に並ぶことから、加締めスペースが大きくなる。その結果、加締め型が大型となる。近年、車両においては電装品が益々増加の傾向にあり、電線配索スペースのコンパクト化が求められている。そのため、端子金具の接続構造においても、電線配索スペースを小さくし、同一平面内における電線の拡がりを抑制して、更に省スペース化を図りたい要請がある。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、端子接続部の加締めスペースの集約と搭載スペースの省スペース化が可能となる端子金具の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 端子本体と、前記端子本体から延在する複数の端子接続部と、を有する端子金具と、電線の端部に接続された接続端子と、を備え、前記接続端子は、一対の締結加締め片が形成され、前記端子接続部は、第1同一平面内において互いに間隔をあけて前記接続端子に接続された前記電線の引出方向に延在する複数の第1端子接続部と、前記第1同一平面と交差する第2同一平面内において互いに間隔をあけて前記接続端子に接続された前記電線の引出方向に延在する複数の第2端子接続部と、を有し、前記一対の締結加締め片それぞれは、前記第1端子接続部及び前記第2端子接続部における両側部の外側を巻き込むように加締められて前記端子金具に前記接続端子が加締め締結され、前記端子金具が、前記接続端子を介して前記電線に接続されることを特徴とする端子金具の接続構造。
【0010】
上記(1)の構成の端子金具の接続構造によれば、複数の第1端子接続部と第2端子接続部とが、互いに交差する第1同一平面内と第2同一平面内において互いに間隔をあけて配設される。即ち、第2端子接続部は、第1端子接続部が並ぶ第1同一平面に対して交差する第2同一平面において並ぶことから、第1端子接続部に対して立体的に配置される。これら第1端子接続部及び第2端子接続部は、電線の引出方向に延在する。従って、加締めスペースは、電線を束ねる方向に小さくできる。これにより、同一数の端子接続部を同一平面内で並べる構造に比べ、端子接続部の加締めスペースを集約することができる。また、第1端子接続部及び第2端子接続部を、電線を束ねる方向に集約して配置できるので、搭載スペースの省スペース化を実現できる。
【0011】
(2) 前記第1端子接続部が、前記端子本体に一体形成された第1接続板部に複数設けられ、前記第2端子接続部が、前記第1接続板部に固定された第2接続板部に複数設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の端子金具の接続構造。
【0012】
上記(2)の構成の端子金具の接続構造によれば、予め第1端子接続部が複数設けられた第1接続板部に、予め第2端子接続部が複数設けられた第2接続板部を溶接等により固定する。これにより、第1端子接続部及び第2端子接続部が立体的に配置される端子接続部を少ない曲げ加工工程で、容易に形成することができる。
【0013】
(3) 前記第1端子接続部に対する前記接続端子の
前記第1同一平面内における加締め締結方向と、前記第2端子接続部に対する前記接続端子の
前記第2同一平面内における加締め締結方向とが、互いに直交していることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の端子金具の接続構造。
【0014】
上記(3)の構成の端子金具の接続構造によれば、接続端子に接続された電線の引出方向に平行な回転軸を中心として端子本体を90度回転させることで、第1端子接続部と第2端子接続部に対して接続端子を連続して加締め締結することができるので、加締め作業性がよい。そして、立体的に配置された複数の端子接続部が、端子本体を回転させながら複数回に分けて加締められるので、同数の端子接続部を一度に加締める加締め型に比べ、加締め型を小型化できる。
【0015】
(4) 前記複数の第2端子接続部のピッチ間隔が、前記複数の第1端子接続部のピッチ間隔と同じであることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の端子金具の接続構造。
【0016】
上記(4)の構成の端子金具の接続構造によれば、複数の第1端子接続部と、複数の第2端子接続部とが、接続端子に接続された電線の引出方向に平行な回転軸を中心として端子本体を90度回転させることにより、同一の加締め位置に配置させることができる。その結果、同一の加締め型(複数のアンビル及びクリンパのピッチ間隔が同じ加締め型)により、第1端子接続部と、第2端子接続部とのそれぞれを一括して加締め締結することができるので、加締め作業性がよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る端子金具の接続構造によれば、端子接続部の加締めスペースの集約と搭載スペースの省スペース化が可能となる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る端子金具の接続構造を備える端子金具11及びそれに接続された電線の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る端子金具の接続構造は、端子金具11と、複数の接続端子13と、を有する。本実施形態の端子金具の接続構造では、端子金具11の複数の端子接続部15(
図2参照)に、接地用電線(電線)17の端部に接続された接続端子13がそれぞれ接続される。端子接続部15は、後述する第1端子接続部33と、第2端子接続部41とを有する。
【0021】
端子金具11は、車両のボディ等の接地面と導通接続される。この端子金具11に接続される接続端子13は、車載の回路(補機)の接地用電線17の端部に設けられている。接地用電線17は、外被の端から露出された導体部に接続端子13が導通される。接地用電線17は、車両のボディ等の接地面に端子金具11を介して導通される。接地用電線17には、例えば、8sqサイズのものが用いられる。
【0022】
図2は
図1に示した端子金具11の斜視図である。
端子金具11は、端子本体19と、複数の第1端子接続部33(端子接続部15)を有する接続板部21と、を有する。端子金具11は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体19は、平面視円形状の固定板部23を有している。この固定板部23には、その中央に円形の取付孔25が形成される。端子本体19は、固定板部23の取付孔25を挿通する取付ボルト(不図示)によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔25は、固定板部23の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。
【0023】
固定板部23の一部には、回り止め片27が形成されている。回り止め片27は、端子本体19をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片27が接地面の周囲の段差や孔部に係合することで、接地面に対する端子金具11の回動を規制する。
【0024】
本構成例において、接続板部21は、取付孔25を挟んで回り止め片27の反対側に配置される。なお、接続板部21の位置は、これに限定されない。接続板部21は、第1接続板部29と、第2接続板部31と、を有する。
本実施形態の第1接続板部29は、円形状の固定板部23の周縁に突設された平板部分を固定板部23に対して垂直に折り曲げて形成される。即ち、第1接続板部29は、固定板部23と一体成形される。この第1接続板部29には、複数(本実施形態では1対)の第1端子接続部33が形成される。つまり、端子接続部15を構成する第1端子接続部33は、端子本体19に一体形成された第1接続板部29に複数設けられている。
【0025】
一対の第1端子接続部33は、固定板部23の表面と平行な第1同一平面44内において互いに間隔をあけて接続端子13に接続された接地用電線17の引出方向へ平行に延在している。
【0026】
本実施形態の第1接続板部29は、円形状の固定板部23の弦を折り曲げ部として起立した略矩形板状に形成される。第1接続板部29は、この折り曲げ部が長辺部となる。折り曲げ部と反対側の長辺部には山形延出部35が形成される。本構成例では、この長辺部に、山形延出部35を挟んで一対の第1端子接続部33が形成されている。
【0027】
それぞれの第1端子接続部33は、その両側部に、被締結加締め片である係合壁37を有している。これにより、それぞれの第1端子接続部33は、正面視でU字状に形成されている。この係合壁37は、接続端子13の締結加締め片39(
図6参照)により外側から包囲されて加締められることになる。
【0028】
図3は
図2に示した端子金具11の分解斜視図である。
第1接続板部29の中央部分には、固定板部23に垂直な方向が長手方向となる矩形状の第2接続板部31が、山形延出部35に重なって固定される。第2接続板部31は、第1接続板部29と同様の金属板からなり、例えば抵抗溶接やレーザ溶接等の溶接や、加締め固定等により第1接続板部29に固定される。この第2接続板部31には、複数(本実施形態では1対)の第2端子接続部41が形成される。つまり、端子接続部15を構成する第2端子接続部41は、第1接続板部29に固定された第2接続板部31に複数設けられている。
【0029】
第2端子接続部41は、上記の第1同一平面44と直交する第2同一平面46内において互いに間隔をあけて接続端子13に接続された接地用電線17の引出方向に延在する。
【0030】
それぞれの第2端子接続部41は、第1端子接続部33と同様に、その両側部に被締結加締め片である係合壁37を有し、正面視で横向きのU字状に形成されている。この係合壁37も、第1端子接続部33と同様に、接続端子13の締結加締め片39により外側から包囲されて加締められることになる。
【0031】
図4は、回転軸43を中心に
図2に示した端子金具11を反時計回りに90度回転させた斜視図である。
本実施形態に係る端子金具の接続構造は、第1端子接続部33に対する接続端子13の加締め締結方向と、第2端子接続部41に対する接続端子13の加締め締結方向とが、互いに直交している。具体的には、第1端子接続部33の加締め方向が
図2の上下方向であるのに対し、第2端子接続部41の加締め方向が
図2の左右方向となる。そこで、端子金具11は、第1端子接続部33に対して接続端子13を
図2の上下方向に加締めた後、
図4に示すように、接続端子13に接続された接地用電線17の引出方向に平行な回転軸43を中心に端子金具11を反時計回りに90度回転させることで、第2端子接続部41に対して接続端子13を
図4の上下方向に加締めることができ、第1端子接続部33と第2端子接続部41の双方を、同一の上下方向のみで加締めることが可能となる。
【0032】
また、本構成例において、端子金具11の接続構造は、一対の第2端子接続部41のピッチ間隔S2が、一対の第1端子接続部33のピッチ間隔S1と同じである。また、一対の第1端子接続部33の中間点と、一対の第2端子接続部41の中間点とは、共に同一の回転軸43と一致している。これにより、第1端子接続部33と第2端子接続部41は、回転軸43を中心に90度回転させても、加締め位置が一致する。従って、一対の第1端子接続部33又は一対の第2端子接続部41を同時に加締める同じ加締め型45(
図7参照)が使用できるようになっている。
【0033】
図5の(a)に示すように、第1端子接続部33及び第2端子接続部41により構成される端子接続部15は、上記のように、それぞれ両側部に係合壁37を有する。この係合壁37は、そのU字の開放側先端に、内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合片47を有する。以下の図例では、主にこの係合片47を有する係合壁37の場合を説明する。なお、この係合片47は、端子接続部15の必須構成ではなく、
図5の(b)に示す端子接続部15Aのように、係合片47を有しない係合壁37のみでもよい。
【0034】
図6は
図1に示した端子接続部15(第1端子接続部33)及び接続端子13の接続前の斜視図である。
本実施形態の接続端子13は、電線接続部49と、締結接続部51とを有する。電線接続部49には、接地用電線17が接続される。接地用電線17に設けられた接続端子13は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。締結接続部51は、端子金具11の端子接続部15に加締め締結される。
【0035】
電線接続部49は、導体加締め部53と被覆加締め部55とを有している。導体加締め部53は、一対の導体加締め片57を有したU字状に形成されており、これらの導体加締め片57を加締めることで、接地用電線17の導体部が導体加締め部53に加締められて固定される。これにより、接地用電線17の導体部と接続端子13とが導通される。また、導体加締め部53には、その内面に、加工によって粗面化された粗面部(セレーション59)が設けられている。これにより、導体加締め部53に加締められた接地用電線17の導体部が接続端子13に対して確実に導通される。なお、粗面部は、図示される形状に限定されない。
【0036】
本実施形態の接続端子13の締結接続部51には、締結加締め片39で囲われた保持空間Sが形成されている。この保持空間Sの両側面は、上方へ立ち上げられた締結加締め片39によって略垂直面とされており、この両側面は、回転規制面61とされている。また、保持空間Sを形成する底面63は、下方へ僅かに膨出するように湾曲されている。
【0037】
被覆加締め部55は、一対の被覆加締め片65を有したU字状に形成されており、これらの被覆加締め片65を加締めることで、接地用電線17の外被の先端部分が被覆加締め部55に加締められて固定される。
【0038】
図7は
図1に示した接続端子13及び端子接続部15(第1端子接続部33)がセットされた圧着機67の概略断面図である。
接続端子13を端子接続部15(第1端子接続部33及び第2端子接続部41)に圧着して加締め締結させる圧着機67は、アンビル69と、アンビル69に対して近接離間可能なクリンパ71とを二組有する加締め型45を備えている。これにより、圧着機67は、
図7に示すように、一対の接続端子13の締結接続部51を一対の第1端子接続部33に同時に加締め締結でき、その後、回転軸43を中心に端子金具11を
図7の反時計回りに90度回転することにより、一対の接続端子13の締結接続部51を一対の第2端子接続部41に同時に加締め締結できるように構成されている。
【0039】
アンビル69は、その上面が載置面73とされており、この載置面73に接続端子13の締結接続部51が載置される。載置面73は下方へ僅かに円弧状に凹んだ形状とされている。これにより、載置面73に載置された接続端子13がアンビル69上に配置される。クリンパ71は、アンビル69へ向かって緩やかに広がる誘い面75を有する凹状に形成されており、凹状部分の上部には、それぞれの締結加締め片39を内側へ向かって案内しながら押圧する押圧面77を有している。
【0040】
次に、端子金具11の端子接続部15へ接続端子13を加締め締結する場合について説明する。
図8は端子金具11の端子接続部15(第1端子接続部33及び第2端子接続部41)に対する締結加締め片39の締結状態を示す図であって、(a)は締結加締め片39の締結前の断面図、(b)は締結加締め片39の締結過程の断面図、(c)は締結加締め片39の締結後の断面図である。
端子金具11の端子接続部15に接続端子13を締結するには、先ず、
図8の(a)に示すように、接続端子13の締結接続部51と端子金具11の端子接続部15(第1端子接続部33及び第2端子接続部41)とを仮固定する。具体的には、接続端子13における締結接続部51の保持空間Sへ端子金具11の端子接続部15を挿入する。このように、保持空間Sへ端子接続部15を挿入すると、端子接続部15は、その両側部が保持空間Sの両側面からなる回転規制面61に当接することで、挿入方向に沿う軸線を中心とした回転が規制された状態で、接続端子13の締結接続部51に保持される。これにより、端子接続部15は、接続端子13に対して所定の姿勢に維持される。
【0041】
また、保持空間Sは、その底面63が下方へ凹状に湾曲されているので、保持空間Sに挿入された端子接続部15は、底面上で安定した姿勢となる。特に、端子接続部15は、その底部が外側へ膨出するように湾曲されているので、保持空間Sの底面63に嵌り込んで安定する。
【0042】
図7に示したように、端子接続部15を仮固定した接続端子13の締結接続部51を圧着機67における加締め型45のアンビル69の載置面73に載置させる。この状態においても、端子接続部15は、保持空間Sに挿入されているので、挿入方向に沿う軸線を中心とした回転が規制され、接続端子13の締結接続部51に対して所定の姿勢に維持される。
【0043】
圧着機67を作動させて圧着を開始させ、加締め型45のクリンパ71を下降させる。すると、接続端子13の締結接続部51が、クリンパ71の誘い面75によって凹状部分に案内される。このときも、端子接続部15は、保持空間S内で接続端子13の締結接続部51に対して所定の姿勢に維持される。その後、クリンパ71の押圧面77が締結接続部51の締結加締め片39の上部に当接し、これにより、締結加締め片39が押し潰されて加締めが開始される。
【0044】
すると、
図8の(b)に示すように、締結加締め片39が端子接続部15の両側部を巻き込み、その後、締結加締め片39は、端子接続部15の係合壁37及びその上端の係合片47を外側から巻き込むように加締められる。
【0045】
これにより、
図8の(c)に示すように、係合片47を有する係合壁37が締結加締め片39の内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部51に端子接続部15が充填された状態となる。従って、端子接続部15(第1端子接続部33及び第2端子接続部41)に対して締結接続部51が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具11と接続端子13とが確実に導通される。
【0046】
上記の加締め締結工程によって端子金具11のそれぞれの端子接続部15(第1端子接続部33及び第2端子接続部41)と接続端子13とを締結して接続すると、複数本の接地用電線17は、端子金具11に一括して導通される。そして、この端子金具11を、車両の接地面に取付ボルトで固定することで、複数本の接地用電線17が接地される。
【0047】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る端子金具11の接続構造では、複数の端子接続部15である第1端子接続部33と第2端子接続部41とが、互いに直交する第1同一平面44内と第2同一平面46内において互いに間隔をあけて配設される。即ち、第2端子接続部41は、第1端子接続部33が並ぶ第1同一平面44に対して直交する第2同一平面46において並ぶことから、第1端子接続部33に対して立体的に配置される。
【0048】
これら第1端子接続部33及び第2端子接続部41は、接地用電線17の引出方向に延在する。従って、加締めスペースは、複数本の接地用電線17を束ねる方向に小さくできる。これにより、同数の端子接続部15を同一平面内で並べた従来構造に比べ、本実施形態に係る端子金具11の接続構造は、端子接続部15の加締めスペースを集約することができる。その結果、加締め型45を小型化して型費を削減することもできる。
【0049】
更に、第1端子接続部33及び第2端子接続部41を、複数本の接地用電線17を束ねる方向に集約して配置できる。これにより、複数本の接地用電線17の直線方向の取り付けを容易にして、搭載スペースの省スペース化を実現できる。
【0050】
また、本実施形態に係る端子金具11の接続構造では、端子接続部15の加締めスペースを集約することにより、端子金具11と接続端子13との配置密度が高まる。即ち、コンパクトな接続構造とすることができる。このため、同数の接続端子13を接続する従来構造に比べ、本実施形態の端子金具11の接続構造は、端子金具11を小さく形成できる。その結果、端子金具11の小型化による材料削減も可能となる。
【0051】
また、本実施形態に係る端子金具11の接続構造では、予め第1端子接続部33が複数設けられた第1接続板部29に、予め第2端子接続部41が複数設けられた第2接続板部31を溶接等により固定する。これにより、第1端子接続部33及び第2端子接続部41が立体的に配置される端子接続部15を少ない曲げ加工工程で、容易に形成することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る端子金具11の接続構造では、接続端子13に接続された接地用電線17の引出方向に平行な回転軸43を中心として端子本体19を90度回転させることで、第1端子接続部33と第2端子接続部41に対して接続端子13を連続して加締め締結することができるので、加締め作業性がよい。そして、立体的に配置された複数の端子接続部15が、端子本体19を回転させながら複数回に分けて加締められるので、例えば同一平面内で並べた同数の端子接続部を一度に加締める従来の加締め型に比べ、本実施形態に係る加締め型45を小型化できる。
【0053】
また、本実施形態に係る端子金具11の接続構造では、一対の第1端子接続部33と、一対の第2端子接続部41とが、回転軸43を中心として端子本体19を90度回転させることにより、同一の加締め位置に配置させることができる。その結果、
図7に示した同一の加締め型45(一対のアンビル69及びクリンパ71のピッチ間隔が、第1端子接続部33のピッチ間隔S1及び第2端子接続部41のピッチ間隔S2と同じ加締め型45)を用いることにより、第1端子接続部33と、第2端子接続部41とのそれぞれを一括して加締め締結することができるので、加締め作業性がよい。
【0054】
次に、上記構成の他の実施形態を説明する。
図9は本発明の他の実施形態に係る端子金具79の要部正面図である。
他の実施形態に係る端子金具79は、一対の第1端子接続部33Bが、
図9の上下逆向きで形成され、一対の第2端子接続部41Bが、
図9の左右逆向きで形成されている。また、端子金具79は、回転軸43を中心として90度回転されたとき、これら一対の第1端子接続部33Bと第2端子接続部41Bとが重なる位置で形成されている。
【0055】
これにより、圧着機としては、例えば、アンビル69と、アンビル69に対して近接離間可能なクリンパ71とを一組だけ有する加締め型(図示略)を用いることができる。この場合、
図9に示す左側の第1端子接続部33Bを加締めた加締め型は、回転軸43を中心として端子金具79を反時計方向に90度回転させて上側の第2端子接続部41Bを加締める。次いで、端子金具79を更に反時計方向に90度回転させて右側の第1端子接続部33Bを加締める。最後に、端子金具79を更に反時計方向に90度回転させて下側の第2端子接続部41Bを加締める。即ち、端子金具79を90度ごとに3回転させることにより、4つの第1端子接続部33B及び第2端子接続部41Bを接続端子13と加締め締結することができる。
【0056】
この他の実施形態に係る端子金具79によれば、
図7に示した圧着機67の半分の大きさの加締め型を用いることができ、加締め型を更に小型化することができる。
【0057】
図10は端子接続部と締結加締め片の変形例に係る締結状態を示す図であって、(a)は締結加締め片の締結前の断面図、(b)は締結加締め片の締結過程の断面図、(c)は締結加締め片の締結後の断面図である。
上記の
図8に示した構成例では、接続端子13の締結接続部51に対する端子接続部15の挿入向きは、クリンパ71にU字開放側が向く向きとしたが、本実施形態に係る端子金具の接続構造は、端子接続部の向きがこの逆であってもよい。
【0058】
図10の(a)に示すように、端子接続部81は、逆U字状となって締結接続部51の保持空間Sに挿入される。保持空間Sに端子接続部81を配置させた状態で、締結接続部51の締結加締め片39を加締めると、その加締め開始時に、
図10の(b)に示すように、締結加締め片39が端子接続部81のU字状開放の反対側である底壁部83から外側を巻き込む。
【0059】
その後、
図10の(c)に示すように、締結加締め片39は、端子接続部81の底壁部83を押し潰すとともに、両側の係合壁37を開放端部側が接近するように外側から巻き込むように加締める。これにより、一対の係合壁37が締結加締め片39の内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部51の内方に端子接続部81が充填された状態となる。従って、端子接続部81に対して締結接続部51が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具11と接続端子13とがバランス良く圧着されて確実に導通される。
【0060】
更に、一対の締結加締め片39の開放端部85が内側へ折り返されて互いに当接するように加締めることによって、開放端部85が互いに当接する方向の残留応力によって圧着部の開きを抑えて接続強度を更に高めることができる。
【0061】
従って、本実施形態に係る端子金具の接続構造によれば、端子接続部15,81の加締めスペースの集約と搭載スペースの省スペース化が可能となる。
【0062】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0063】
例えば上記の構成例では、第1端子接続部33及び第2端子接続部41がそれぞれ一対である場合を例に説明したが、本発明の構成は、第1端子接続部及び第2端子接続部が2つ以上の複数であってもよい。また、上記の構成例では、第1同一平面44と第2同一平面46とが直交する場合を例に説明したが、第1同一平面と第2同一平面とは、90度以外の角度で交差してもよい。
【0064】
ここで、上述した本発明に係る端子金具の接続構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 端子本体(19)と、前記端子本体から延在する複数の端子接続部(15)と、を有する端子金具(11)と、
電線(接地用電線17)の端部に接続された接続端子(13)と、
を備え、
前記接続端子は、一対の締結加締め片(39)が形成され、
前記端子接続部(15)は、第1同一平面(44)内において互いに間隔をあけて前記接続端子に接続された前記電線の引出方向に延在する複数の第1端子接続部(33)と、前記第1同一平面と交差する第2同一平面(46)内において互いに間隔をあけて前記接続端子に接続された前記電線の引出方向に延在する複数の第2端子接続部(41)と、を有し、
前記一対の締結加締め片それぞれは、前記第1端子接続部及び前記第2端子接続部における両側部の外側を巻き込むように加締められて前記端子金具に前記接続端子が加締め締結され、
前記端子金具が、前記接続端子を介して前記電線に接続される
ことを特徴とする端子金具の接続構造。
[2] 前記第1端子接続部(33)が、前記端子本体(19)に一体形成された第1接続板部(29)に複数設けられ、
前記第2端子接続部(41)が、前記第1接続板部に固定された第2接続板部(31)に複数設けられている
ことを特徴とする上記[1]に記載の端子金具の接続構造。
[3] 前記第1端子接続部(33)に対する前記接続端子(13)の加締め締結方向と、前記第2端子接続部(41)に対する前記接続端子(13)の加締め締結方向とが、互いに直交している
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の端子金具の接続構造。
[4] 前記複数の第2端子接続部(41)のピッチ間隔(S2)が、前記複数の第1端子接続部(33)のピッチ間隔(S1)と同じである
ことを特徴とする上記[1]〜[3]の何れか1つに記載の端子金具の接続構造。