特許第6899713号(P6899713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899713
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/58 20060101AFI20210628BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20210628BHJP
【FI】
   B60N2/58
   B60N2/90
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-125447(P2017-125447)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-6319(P2019-6319A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宮口 聖士
(72)【発明者】
【氏名】野嶋 紘之
(72)【発明者】
【氏名】田子 友樹
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−320881(JP,A)
【文献】 実開昭63−052447(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部及び背凭れ部を有する車両用シートであって、
前記背凭れ部の側面フレームを車両用シートの外側方向に挿通し、前記背凭れ部の側面フレームを座部のフレームに対し回動させるための回動軸と、
前記回動軸の車両用シートの外側を覆う軸カバーと、
前記背凭れ部の表面を覆う表面カバーと、
前記表面カバーの車両用シートの内側に配置されたプレートと、を備え、
前記表面カバーと前記プレートの少なくとも一部が、互いに重ねられた状態で固定され、前記軸カバーと前記背凭れ部の側面フレームとの間に挿入され
前記表面カバーと前記プレートの少なくとも一部が、互いに分離され、前記分離した表面カバーの一部が、前記背凭れ部のバックパッドにおける車両用シートの外側に配置され、前記分離したプレートの一部が、前記バックパッドにおける車両用シートの内側に配置されている、車両用シート。
【請求項2】
前記表面カバーと前記プレートは、縫合されて互いに固定されている、請求項1に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部及び背凭れ部を有する車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両用シートは、背凭れ部を座部に対し前後に回動させるリクライニング機能を有する。このリクライニング機能は、背凭れ部のフレームと座部のフレームを回動軸により回動自在に連結することにより実現している(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−013594号公報
【特許文献2】特開2016−088255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の回動軸は、軸カバーにより覆われ、その周囲の背凭れ部の表面は表面カバーにより覆われることになるが、例えば背凭れ部が大きく前傾したときに、回動軸の後方側の周辺に表面カバーと軸カバーのどちらにも覆われない領域が生じ、内部のフレームが露出することがあり得る。内部のフレームが露出すると、外観上好ましくない。
【0005】
本出願はかかる点に鑑みてなされたものであり、背凭れ部と座部の回動軸周辺のフレームの露出を防止できる車両用シートを提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両用シートは、座部及び背凭れ部を有する車両用シートであって、前記背凭れ部の側面フレームを外側方向に挿通し、前記背凭れ部の側面フレームを座部のフレームに対し回動させるための回動軸と、前記回動軸の外側を覆う軸カバーと、前記背凭れ部の表面を覆う表面カバーと、前記表面カバーの内側に配置されたプレートと、を備え、前記表面カバーと前記プレートの少なくとも一部が、互いに重ねられた状態で固定され、前記軸カバーと前記背凭れ部の側面フレームとの間に挿入されている。
【0007】
この態様によれば、表面カバーとプレートの少なくとも一部が、互いに重ねられた状態で固定され、軸カバーと背凭れ部の側面フレームとの間に挿入されているので、例えば背凭れ部が大きく前傾したときにも、回動軸の後方側の周辺に表面カバーと軸カバーのどちらにも覆われない領域が生じることがなく、内部のフレームが露出することを防止できる。
【0008】
前記表面カバーと前記プレートの少なくとも一部が、互いに分離され、前記分離した表面カバーの一部が前記背凭れ部のバックパッドの外側に配置され、前記分離したプレートの一部が前記バックパッドの内側に配置されていてもよい。かかる場合、プレートが背凭れ部にしっかり固定されるので、表面カバーもしっかり固定され、例えば複数回の回動軸の回動により表面カバーが軸カバーと側面フレームとの間から外れることを防止できる。
【0009】
前記表面カバーと前記プレートは、縫合されて互いに固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両用シートにおいて、背凭れ部と座部の回動軸周辺のフレームが露出することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両用シートの構成の一例を示す斜視図である。
図2】背凭れ部と座部との回動部分の拡大図である。
図3】背凭れ部と座部との回動部分のA−A断面の説明図である。
図4】表面カバーを外した状態の背凭れ部と座部との回動部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は車両用シート1の構成の一例を示す。例えば車両用シート1は、着座者が座る座部10と、着座者が背中を凭れかける背凭れ部11と、ヘッドレスト12等を有している。車両用シート1は、背凭れ部11を座部10に対し前後に回動可能とするリクライニング機能を有する。図2は、背凭れ部11と座部10との回動部分の拡大図である。図3は、背凭れ部11と座部10との回動部分のA−A断面の説明図である。
【0014】
背凭れ部11は、内部の左右の両側面に側面フレームを有し、座部10は、内部の左右の両側面に側面フレームを有している。図3に示すように背凭れ部11の側面フレーム20と座部10の側面フレーム21が回動軸30により回動自在に連結されている。回動軸30は、側面フレーム20、21を外側方向(車両用シート1の左右方向の外側方向(図3の右方向))に挿通している。回動軸30の外側には、回動軸30を覆う軸カバー31が設けられている。軸カバー31は、例えば樹脂により成形されている。図2に示すように軸カバー31は、その上部に、上方に凸で略三角形状の突出部31aを備えている。
【0015】
図1及び図2に示すように背凭れ部11の表面は、表面カバー(トリムカバー)40により覆われている。表面カバー40は、例えば伸縮性、弾性のある素材、例えば化学繊維や合皮、本皮により形成されている。表面カバー40の内側には、クッション部としてのバックパッド41が設けられている。バックパッド41は、例えばウレタンなどの素材により形成されている。
【0016】
座部10の表面は、表面カバー(トリムカバー)70により覆われている。表面カバー70は、例えば伸縮性、弾性のある素材、例えば化学繊維や合皮、本皮により形成されている。表面カバー70の内側には、クッションパッド71が設けられている。クッションパッド71は、例えばウレタンなどの素材により形成されている。
【0017】
図3に示すように回動軸30の周辺において、回動軸30及び軸カバー31の上方には、背凭れ部11の側面形状を規定する、断面が略方形のバックパッド41が配置されている。表面カバー40は、このバックパッド41の外側面41aと底面41bを通り、軸カバー31と側面フレーム20との間に挿入されている。これにより、図2に示すように背凭れ部11と座部10の回動部分において、背凭れ部11が前方に回動したときにできる軸カバー31の後方側の領域R1が表面カバー40により覆われる。
【0018】
図3に示すように表面カバー40の内側(図3の左側)には、プレート50が配置されている。プレート50は、例え表面カバー40よりも硬い(剛性の高い)材質、例えば樹脂や金属により形成されている。プレート50は、上下方向に長い薄板状に形成されている。プレート50の上部は、背凭れ部11のバックパッド41と側面フレーム20との間(バックパッド41の内側)に挿入されている。プレート50の下部は、図3及び図4に示すように軸カバー31と側面フレーム20との間に挿入されている。図4に示すようにプレート50の下部は、背凭れ部11が前方に回動したときにできる軸カバー31の後方側の領域R1を覆っている。
【0019】
表面カバー40とプレート50の下部は、互いに縫合されている(図3に縫合部60を示す。)。すなわち表面カバー40とプレート50の下部は、互いに重ねられた状態で固定され、上方から軸カバー31と側面フレーム20との間に挿入され、挟み込まれている。なお、さらに表面カバー40とプレート50の下端部は、側面フレーム20と側面フレーム21の間に挟まれていてもよい。
【0020】
本実施の形態によれば、表面カバー40とプレート50の下部が、互いに重ねられた状態で固定され、軸カバー31と側面フレーム20との間に挿入されているので、背凭れ部11と座部10の回動部分において、背凭れ部11が前方に回動したときにできる軸カバー31の後方側の領域R1が表面カバー40により覆われる。そして、プレート50により表面カバー40がしっかり押さえられるので、背凭れ部11が前方に回動したときに表面カバー40が軸カバー31等により押されて軸カバー31と側面フレーム20との隙間から外れることを防止できる。よって、背凭れ部11と座部10の回動軸30の周辺のフレーム20、21が露出することを防止できる。また、表面カバー40がプレート50に固定されていることにより表面カバー40にシワが発生することを抑制できる。この結果、車両用シート1の外観が向上する。
【0021】
表面カバー40とプレート50の上部が、互いに分離され、分離した表面カバー40の上部が背凭れ部11のバックパッド41の外側に配置され、分離したプレート50の上部がバックパッド41の内側に配置されている。この結果、プレート50が背凭れ部11にしっかり固定されるので、表面カバー40が軸カバー31と側面フレーム20の隙間から外れることをより十分に防止できる。
【0022】
表面カバー40とプレート50は、縫合されて互いに固定されているので、表面カバー40とプレート50を固定する工程を簡単に行うことができる。
【0023】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0024】
例えば上記実施の形態で記載した側面フレーム20、21、回動軸30、軸カバー31、表面カバー40、バックパッド41、プレート50等の形状、構造はこれに限られない。座部10、背凭れ部11の構成や、車両用シート1の全体構成も上記実施の形態のものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、背凭れ部と座部の回動軸周辺のフレームの露出を防止できる車両用シートを実現する際に有用である。
【符号の説明】
【0026】
1 車両用シート
10 座部
11 背凭れ部
20 側面フレーム
21 側面フレーム
30 回動軸
31 軸カバー
40 表面カバー
41 バックパッド
71 クッションパッド
50 プレート
R1 領域
図1
図2
図3
図4