特許第6899726号(P6899726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899726
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】不正開封防止キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 50/06 20060101AFI20210628BHJP
   B65D 50/04 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   B65D50/06
   B65D50/04
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-146409(P2017-146409)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2019-26304(P2019-26304A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−097350(JP,U)
【文献】 実開昭52−133752(JP,U)
【文献】 実開昭51−141651(JP,U)
【文献】 米国特許第04570809(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着され、前記口部に対するキャップ軸回りの回転に伴い前記口部から離脱可能とされた内キャップと、
前記内キャップを覆う被覆部を有するとともに、前記内キャップに対して前記キャップ軸回りに回転可能に組み合わされた外キャップと、
前記被覆部に形成された外側係合部と、
前記内キャップのうち前記被覆部との対向位置に形成された内側係合部と、を備え、
前記外キャップは、
前記外側係合部及び前記内側係合部がキャップ周方向で係合して、前記内キャップに対する前記外キャップの回転を規制する係合位置と、
前記外側係合部及び前記内側係合部の係合が解除され、前記内キャップに対する前記外キャップの回転が許容される非係合位置と、の間を前記内キャップに対して前記キャップ軸方向に移動可能に構成され、
前記外キャップを前記非係合位置に向けて付勢する付勢部材を備え
前記内キャップは、前記付勢部材に対してキャップ径方向の内側に配置されるとともに、前記口部に装着される装着筒を備え、
前記外キャップは、前記付勢部材に対して前記キャップ径方向の外側に配置され、前記装着筒を取り囲む囲繞筒を備えていることを特徴とする不正開封防止キャップ。
【請求項2】
前記内キャップと前記外キャップとの間には、前記口部に対する締め込み側に向けて前記外キャップを前記キャップ軸回りに回転させたときに、前記内キャップと前記外キャップとの相対回転を規制し、かつ前記口部に対する緩み側に向けて前記外キャップを前記キャップ軸回りに回転させたときに、前記内キャップと前記外キャップとの相対回転を許容するラチェット機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の不正開封防止キャップ。
【請求項3】
前記ラチェット機構は、
前記外キャップから前記内キャップに向けて突出するとともに、前記締め込み側を向く面に外係合面を有する外ラチェット部と、
前記内キャップから前記外キャップに向けて突出するとともに、前記緩み側を向く面に前記外係合面に係合する内係合面を有する内ラチェット部と、を有し、
前記付勢部材が、前記内ラチェット部を構成していることを特徴とする請求項2に記載の不正開封防止キャップ。
【請求項4】
容器本体の口部に装着され、前記口部に対するキャップ軸回りの回転に伴い前記口部から離脱可能とされた内キャップと、
前記内キャップを覆う被覆部を有するとともに、前記内キャップに対して前記キャップ軸回りに回転可能に組み合わされた外キャップと、
前記被覆部に形成された外側係合部と、
前記内キャップのうち前記被覆部との対向位置に形成された内側係合部と、を備え、
前記外キャップは、
前記外側係合部及び前記内側係合部がキャップ周方向で係合して、前記内キャップに対する前記外キャップの回転を規制する係合位置と、
前記外側係合部及び前記内側係合部の係合が解除され、前記内キャップに対する前記外キャップの回転が許容される非係合位置と、の間を前記内キャップに対して前記キャップ軸方向に移動可能に構成され、
前記外キャップを前記非係合位置に向けて付勢する付勢部材を備え、
前記内キャップは、前記付勢部材に対してキャップ径方向の内側に配置されるとともに、前記口部に装着される装着筒を備え、
前記外キャップは、
前記装着筒に対して前記キャップ径方向の外側に配置され、前記装着筒を取り囲む囲繞筒と、
前記囲繞筒に対してキャップ径方向の外側に配置され、前記囲繞筒を取り囲む外筒体と、を備え、
前記付勢部材は、前記囲繞筒と前記外筒体との間で前記囲繞筒及び前記外筒体同士を接続していることを特徴とする不正開封防止キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正開封防止キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
収容容器の不正開封を防止するために、容器本体の口部に不正開封防止キャップが取り付けられる場合がある。不正開封防止キャップでは、特定の使用対象者(以下、「対象者」という。)による開封を許容した上で、例えば乳幼児や子供等の開封を意図していない者(以下、「非対象者」という。)による開封を防止できることが好ましい。
【0003】
上述した不正開封防止キャップとして、例えば下記特許文献1には、口部に装着されるとともに、外周面に逆止歯列が形成された内キャップと、弾性変形可能な操作片を有するとともに、内キャップを取り囲む外キャップと、を備えた構成が開示されている。
特許文献1における不正開封防止キャップでは、外キャップの操作片を弾性変形させることで、操作片に形成された爪部が内キャップの逆止歯列に噛み合う。この状態で、外キャップを内キャップの緩み側に回転させることで、外キャップ及び内キャップが緩み側に一体に回転して、収容容器が開封される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−104408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の不正開封防止キャップでは、操作片が外部に露出しているため、非対象者であっても開封方法が容易に判断できてしまうおそれがあった。
また、非対象者が外キャップを握りながら回転操作する際に、操作片を指先等で押さえてしまった場合には、爪部と逆止歯列とが噛み合い収容容器が開封されるおそれがあった。すなわち、従来の不正開封防止キャップでは、外キャップの回転操作を行うときに、意図しなくても操作片を押さえてしまうことがある。そのため、非対象者であっても開封できてしまう場合があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、非対象者による開封を防止できる不正開封防止キャップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る不正開封防止キャップは、容器本体の口部に装着され、前記口部に対するキャップ軸回りの回転に伴い前記口部から離脱可能とされた内キャップと、前記内キャップを覆う被覆部を有するとともに、前記内キャップに対して前記キャップ軸回りに回転可能に組み合わされた外キャップと、前記被覆部に形成された外側係合部と、前記内キャップのうち前記被覆部との対向位置に形成された内側係合部と、を備え、前記外キャップは、前記外側係合部及び前記内側係合部がキャップ周方向で係合して、前記内キャップに対する前記外キャップの回転を規制する係合位置と、前記外側係合部及び前記内側係合部の係合が解除され、前記内キャップに対する前記外キャップの回転が許容される非係合位置と、の間を前記内キャップに対して前記キャップ軸方向に移動可能に構成され、前記外キャップを前記非係合位置に向けて付勢する付勢部材を備え、前記内キャップは、前記付勢部材に対してキャップ径方向の内側に配置されるとともに、前記口部に装着される装着筒を備え、前記外キャップは、前記付勢部材に対して前記キャップ径方向の外側に配置され、前記装着筒を取り囲む囲繞筒を備えている。
【0008】
この構成によれば、内側係合部及び外側係合部が被覆部に覆われているため、内側係合部及び外側係合部が外キャップの外部からは視認できないようになっている。また、内側係合部及び外側係合部が被覆部に覆われることで、通常のキャップ(不正開封防止機能を有していないキャップ)と外観を同等にすることができる。そのため、開封方法の判断を難しくすることができる。
また、付勢部材がキャップ径方向に弾性変形しようとした場合に、付勢部材と、装着筒及び囲繞筒の何れかと、が接触することになる。これにより、付勢部材のキャップ径方向への移動を規制することができ、付勢部材によって外キャップを非係合位置に安定して付勢することができる。
【0009】
特に、本発明の構成では、内キャップに対する外キャップのキャップ軸方向の移動に伴い係合位置及び非係合位置が切り替わる。そのため、内キャップに対して外キャップを下方に押し込みながら、外キャップを緩み側に回転させることで、不正開封防止キャップを開封できる。すなわち、外キャップを緩み側に回転させるだけでは、不正開封防止キャップが開封できないようになっている。そのため、非対象者による開封を防止できる。
しかも、本発明の構成では、外キャップが付勢部材によって非係合位置に向けて付勢されている。そのため、外キャップが係合位置にある状態で、外キャップの下方への押し込みを解除すると、内キャップに対して外キャップが上方に移動する。そして、外キャップの上方移動に伴い、外側係合部が内側係合部から離脱することで、非係合位置に復帰する。そのため、例えば係合位置の状態で開封操作を終了した場合に、非対象者が外キャップを緩み側に回転させたとしても、内キャップが回転しないようになっている。その結果、非対象者による開封をより確実に防止できる。
【0010】
本発明に係る不正開封防止キャップにおいて、前記内キャップと前記外キャップとの間には、前記口部に対する締め込み側に向けて前記外キャップを前記キャップ軸回りに回転させたときに、前記内キャップと前記外キャップとの相対回転を規制し、かつ前記口部に対する緩み側に向けて前記外キャップを前記キャップ軸回りに回転させたときに、前記内キャップと前記外キャップとの相対回転を許容するラチェット機構が設けられていてもよい。
この構成によれば、口部に対する締め込み側に向けて外キャップをキャップ軸回りに回転させたときに、内キャップと外キャップとの相対回転を規制する。そのため、容器本体の口部に対して不正開封防止キャップを装着するときに、外キャップが非係合位置にある状態であっても、口部に対する不正開封防止キャップの装着を行うことができる。つまり、内キャップと外キャップとの間にラチェット機構が設けられているので、口部に対して外キャップを締め込み側に回転させると、内キャップ及び外キャップが一体になって締め込み側に回転する。これにより、口部に対して不正開封防止キャップの全体を締め込むことができ、口部に対する装着を行うことができる。
一方、口部に対する緩み側に向けて外キャップをキャップ軸回りに回転させたときに、内キャップと外キャップとの相対回転を許容する。そのため、口部に対して外キャップを緩み側に回転させた場合には、ラチェット機構によって外キャップが空転するので、外キャップの回転力が内キャップに伝わることを防止することができる。したがって、外キャップを緩み側に回転させるだけでは、不正開封防止キャップが開封されるのを防止できる。
【0011】
本発明に係る不正開封防止キャップにおいて、前記ラチェット機構は、前記外キャップから前記内キャップに向けて突出するとともに、前記締め込み側を向く面に外係合面を有する外ラチェット部と、前記内キャップから前記外キャップに向けて突出するとともに、前記緩み側を向く面に前記外係合面に係合する内係合面を有する内ラチェット部と、を有し、前記付勢部材が、前記内ラチェット部を構成していてもよい。
この構成によれば、付勢部材が内ラチェット部を構成しているので、ラチェット機構とは別に付勢部材を設ける場合に比べて部品点数の削減や構成の簡素化を図ることができる。
【0012】
本発明に係る不正開封防止キャップは、容器本体の口部に装着され、前記口部に対するキャップ軸回りの回転に伴い前記口部から離脱可能とされた内キャップと、前記内キャップを覆う被覆部を有するとともに、前記内キャップに対して前記キャップ軸回りに回転可能に組み合わされた外キャップと、前記被覆部に形成された外側係合部と、前記内キャップのうち前記被覆部との対向位置に形成された内側係合部と、を備え、前記外キャップは、前記外側係合部及び前記内側係合部がキャップ周方向で係合して、前記内キャップに対する前記外キャップの回転を規制する係合位置と、前記外側係合部及び前記内側係合部の係合が解除され、前記内キャップに対する前記外キャップの回転が許容される非係合位置と、の間を前記内キャップに対して前記キャップ軸方向に移動可能に構成され、前記外キャップを前記非係合位置に向けて付勢する付勢部材を備え、前記内キャップは、前記付勢部材に対してキャップ径方向の内側に配置されるとともに、前記口部に装着される装着筒を備え、前記外キャップは、前記装着筒に対して前記キャップ径方向の外側に配置され、前記装着筒を取り囲む囲繞筒と、前記囲繞筒に対してキャップ径方向の外側に配置され、前記囲繞筒を取り囲む外筒体と、を備え、前記付勢部材は、前記囲繞筒と前記外筒体との間で前記囲繞筒及び前記外筒体同士を接続している
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る不正開封防止キャップによれば、非対象者による開封を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る収容容器(未開封状態)の半断面図である。
図2】実施形態に係る収容容器(開封操作時)の半断面図である。
図3】ラチェット機構を示す内キャップ及び外キャップの展開図である。
図4】外キャップの空転時を示す図であって、図3に相当する展開図である。
図5】実施形態の他の構成に係る収容容器(未開封状態)の半断面図である。
図6】実施形態の他の構成に係る収容容器(未開封状態)の平面図である。
図7】実施形態の他の構成に係る収容容器(開封操作時)の半断面図である。
図8】実施形態の他の構成に係る不正開封防止キャップにおいて、図5のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図9】実施形態の他の構成に係る収容容器において、外キャップの空転時を示す図であって、図5のVIII−VIII線に相当する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、実施形態に係る不正開封防止キャップ1が容器本体2に取り付けられて構成された収容容器3を例にして説明する。
図1に示すように、本実施形態の収容容器3は、内容物が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部5に装着された有頂筒状の不正開封防止キャップ1と、を備えている。なお、本実施形態において、容器本体2内に収容される内容物としては、例えば、誤飲や誤食を防止する必要のある薬剤等が挙げられる。但し、内容物は、適宜変更が可能である。
【0016】
不正開封防止キャップ1は、内キャップ10と、外キャップ11と、を主に備えている。本実施形態において、内キャップ10及び外キャップ11は、有頂筒状に形成されている。また、内キャップ10及び外キャップ11の中心軸は、それぞれ同軸に配置されている。したがって、以下の説明では、内キャップ10及び外キャップ11の中心軸をキャップ軸Oという。この場合、収容容器3において、容器本体2の底部(不図示)に対して外キャップ11側を上側とし、外キャップ11に対して容器本体2の底部側を下側とする。また、キャップ軸O回りに周回する方向をキャップ周方向とし、キャップ軸O方向から見た平面視においてキャップ軸Oに直交する方向をキャップ径方向とする。周方向のうち、収容容器3の上面視でキャップ軸Oを時計回りに周回する方向を第1回転方向L1といい、その逆方向を第2回転方向L2という。
【0017】
内キャップ10は、口部5に着脱可能に装着されている。具体的に、内キャップ10は、口部5に装着される装着筒22と、装着筒22の上端開口部を閉塞する内天壁部23と、を主に有している。
【0018】
装着筒22の内周面には、雌ねじ部25が形成されている。雌ねじ部25は、口部5の外周面に形成された雄ねじ部6に螺着されている。雄ねじ部6は、口部5に対して内キャップ10を第1回転方向L1に回転させた際に、内キャップ10が締め込まれるように螺旋状に形成されている。そのため、周方向のうち、第1回転方向L1が、内キャップ10の口部5に対する締め込み側となる。第2回転方向L2が、内キャップ10の口部5に対する緩み側となる。なお、装着筒22と口部5は、口部5に対する装着筒22のキャップ軸O回りの回転に伴い、着脱される構成であれば、雌ねじ部25及び雄ねじ部6以外の構成で装着されていても構わない。
装着筒22の下端部には、キャップ径方向の外側に張り出すフランジ部28が形成されている。フランジ部28は、装着筒22の全周に亘って形成されている。なお、フランジ部28は、周方向に間欠的に形成されていても構わない。
【0019】
内天壁部23において、口部5に対してキャップ径方向の内側に位置する部分には、シール筒29が形成されている。シール筒29は、内キャップ10が口部5に装着された状態において、口部5の内周面に密接している。
【0020】
外キャップ11は、内キャップ10に対してキャップ軸O回りに回転可能に、かつ内キャップ10に対してキャップ軸O方向に移動可能に、内キャップ10に組み合わされている。具体的に、外キャップ11は、外天壁部31と、囲繞筒32と、を備えている。
【0021】
外天壁部31は、内天壁部23の上面全体を内天壁部23の上方から覆っている。
囲繞筒32は、外天壁部31の外周縁から下方に延設されている。囲繞筒32は、装着筒22の外周面全体を装着筒22に対してキャップ径方向の外側から取り囲んでいる。このように、本実施形態の外キャップ11の外天壁部31及び囲繞筒32は、内キャップ10の全体を内キャップ10の上方及びキャップ径方向の外側から覆っている。すなわち、外天壁部31及び囲繞筒32は、本実施形態の被覆部を構成している。
【0022】
囲繞筒32は、下方に位置するものほど拡径された多段筒状に形成されている。具体的に、囲繞筒32は、小径部33及び大径部34と、小径部33の下端部及び大径部34の上端部間を接続する接続部35と、を有している。
【0023】
小径部33は、外天壁部31の外周縁から下方に延設されている。小径部33の内周面は、外キャップ11が内キャップ10に対してキャップ軸O方向に移動する際、装着筒22の外周面に摺動可能に支持されていることが好ましい。但し、小径部33の内周面は、装着筒22の外周面に対して離間していても構わない。
【0024】
小径部33の外周面には、キャップ径方向の外側に突出するとともに、キャップ軸O方向に延びるリブ41が形成されている。リブ41は、キャップ周方向に間隔をあけて複数形成されている。各リブ41の下端面は、接続部35の上面に連なっている。各リブ41におけるキャップ径方向の外側端面は、大径部34の外周面と面一、若しくは大径部34の外周面よりもキャップ径方向の内側に位置している。
【0025】
接続部35は、小径部33の下端部からキャップ径方向の外側に向けて張り出している。
大径部34は、接続部35の外周縁から下方に延設されている。大径部34の内周面は、外キャップ11が内キャップ10に対してキャップ軸O方向に移動する際、フランジ部28の外周面に摺動可能に支持されていることが好ましい。但し、大径部34の内周面は、フランジ部28の外周面に対して離間していても構わない。
【0026】
大径部34の下端は、上述したフランジ部28よりも下方に位置している。大径部34の下端部(フランジ部28よりも下方に位置する部分)には、キャップ径方向の内側に突出する係止突起42が形成されている。係止突起42は、フランジ部28にアンダーカット嵌合している。これにより、内キャップ10に対する外キャップ11の上方移動が規制されている。なお、係止突起42は、大径部34の全周に亘って形成されていても、キャップ周方向に間欠的に形成されていても構わない。
【0027】
ここで、内キャップ10において、内天壁部23の外周縁部(内天壁部23と装着筒22との境界部分)には、内側係合部45が形成されている。内側係合部45は、内天壁部23の上面及び装着筒22の外周面で開口している。内側係合部45は、キャップ周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0028】
外キャップ11において、外天壁部31の外周縁部(外天壁部31と小径部33との境界部分)には、外側係合部48が形成されている。外側係合部48は、外天壁部31から下方に突出している。外側係合部48におけるキャップ径方向の外側端面は、小径部33の内周面に連なっている。外側係合部48は、キャップ周方向に間隔をあけて複数形成されている。このように、本実施形態では、内側係合部45及び外側係合部48が、外天壁部31及び囲繞筒32に覆われた位置に形成されている。すなわち、内側係合部45及び外側係合部48は、外キャップ11の外部に露出していない。
【0029】
外側係合部48は、内側係合部45とキャップ軸O方向で対向する位置にあるとき、内キャップ10に対する外キャップ11のキャップ軸O方向の移動に伴い、内側係合部45に係脱可能に構成されている。具体的に、外キャップ11は、外側係合部48が内側係合部45内に収容された係合位置(図2参照)と、係合位置に対して上方に位置して外側係合部48が内側係合部45から離脱した非係合位置(図1参照)と、の間を移動する。
【0030】
図2に示す係合位置において、外側係合部48は、内側係合部45にキャップ周方向で係合する。これにより、内キャップ10に対する外キャップ11のキャップ軸O回りの回転が規制される(外キャップ11の回転に伴い、内キャップ10及び外キャップ11が一体で回転可能となる。)。
一方、図1に示す非係合位置では、外側係合部48と内側係合部45との係合が解除される。これにより、内キャップ10に対する外キャップ11の回転が許容される(内キャップ10に対して外キャップ11が空転する。)。
【0031】
なお、本実施形態のように、内側係合部45が窪み、外側係合部48が突出する構成に限らず、例えば内側係合部が突出し、外側係合部が窪む構成でもよく、両係合部が互いに突出する構成であっても構わない。すなわち、内側係合部45及び外側係合部48は、内キャップ10に対する外キャップ11のキャップ軸O方向の移動に伴い、係合位置及び非係合位置が切り替わる構成であれば構わない。また、内側係合部45及び外側係合部48は、少なくとも1つずつ形成されていれば構わない。さらに、非係合位置から係合位置への移行時に外キャップ11の下方移動を阻害しない構成であれば、内側係合部45及び外側係合部48は異数であっても構わない。
【0032】
図3に示すように、フランジ部28と接続部35との間には、ラチェット機構51が配設されている。ラチェット機構51は、内キャップ10に対する外キャップ11の第1回転方向L1への回転を規制し、内キャップ10に対する外キャップ11の第2回転方向L2への回転を許容する。
【0033】
ラチェット機構51は、フランジ部28に形成された内ラチェット部54と、接続部35に形成された外ラチェット部55と、を有している。
【0034】
内ラチェット部54は、キャップ径方向から見た側面視において、上方に向かうに従い第2回転方向L2に向けて湾曲しながら延在する板ばね状に形成されている。内ラチェット部54は、内ラチェット部54の下端部(フランジ部28との接続部分)を起点に、内ラチェット部54の延在方向に直交する方向に弾性変形可能に構成されている。内ラチェット部54は、非係合位置において、下方に弾性変形した状態で、フランジ部28と接続部35との間に介在している。これにより、内ラチェット部54は、外キャップ11を上方(非係合位置)に向けて付勢している。なお、内ラチェット部54は、少なくとも係合位置において外キャップ11を上方に付勢する構成であれば、外キャップ11が非係合位置にあるときには自然長の状態であってもよい。
【0035】
内ラチェット部54の上面は、内摺動面54aを構成している。内摺動面54aは、第2回転方向L2に向かうに従い上方に延びる湾曲面とされている。非係合位置において、内摺動面54aの少なくとも先端部は、接続部35の下面に接触している。
一方、内ラチェット部54において、第2回転方向L2を向く端面は、外ラチェット部55との内係合面54bを構成している。内係合面54bは、キャップ周方向に直交する平坦面とされている。
【0036】
外ラチェット部55は、キャップ径方向から見た側面視において、接続部35から下方に突出する三角形状に形成されている。内ラチェット部54及び外ラチェット部55は、キャップ周方向に間隔をあけて複数形成されている。この場合、内ラチェット部54及び外ラチェット部55は、異数であっても構わない。
【0037】
外ラチェット部55は、第1回転方向L1に向かうに従い下方に延びる外摺動面55aと、外摺動面55aの下端縁から上方に延びる外係合面55bと、を有している。外係合面55bは、第1回転方向L1を向き、かつキャップ周方向に直交する平坦面とされている。外ラチェット部55の外係合面55bは、内キャップ10に対する外キャップ11の第1回転方向L1への回転に伴い、内ラチェット部54の内係合面54bにキャップ周方向で係合する。
【0038】
図1に示すように、ラチェット機構51は、内キャップ10の装着筒22にキャップ径方向の内側から囲まれ、外キャップ11の大径部34にキャップ径方向の外側から囲まれている。これにより、内ラチェット部54のキャップ径方向への弾性変形が、装着筒22及び大径部34によって規制されている。
【0039】
次に、上述した収容容器3の作用について説明する。
まず、外キャップ11が非係合位置にある状態で、外キャップ11を第2回転方向L2に回転操作した場合の作用について説明する。図4に示すように、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させると、外ラチェット部55の外摺動面55a及び内ラチェット部54の内摺動面54a同士が摺接する。すると、内キャップ10及び外キャップ11の第2回転方向L2への相対回転に伴い、内ラチェット部54が下方に弾性変形しながら、外ラチェット部55の外摺動面55aを乗り越える。これにより、内キャップ10及び外キャップ11同士が係合することなく、外キャップ11のみが内キャップ10に対して第2回転方向L2に相対回転する。すなわち、外キャップ11が内キャップ10に対して空転するだけで、内キャップ10が第2回転方向L2に回転することはない。その結果、内キャップ10と口部5との螺着が解除されることはなく、収容容器3が閉塞状態を維持する。
【0040】
次に、収容容器3の開封方法について説明する。
収容容器3を開封するには、まず外キャップ11を係合位置に移動させる。具体的には、図2に示すように、外キャップ11を下方に押し込みながら、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させる。内側係合部45及び外側係合部48がキャップ軸O方向で対向していない場合、外キャップ11の下方移動に伴い、外側係合部48の下端面が内天壁部23の上面に内天壁部23の上方から当接する。これにより、内キャップ10に対する外キャップ11の下方移動が規制される。この状態で、内側係合部45及び外側係合部48がキャップ軸O方向で対向する位置まで、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させる。すると、外キャップ11は、外側係合部48の下端面が内天壁部23の上面を摺接しながら第2回転方向L2に回転する。
【0041】
一方、外キャップ11の下方移動に伴い、外ラチェット部55が内ラチェット部54を下方に押さえ付ける。これにより、内ラチェット部54が下端部を起点にして第2回転方向L2に倒れ込む(弾性変形する)。また、外キャップ11が第2回転方向L2に回転する際、上述したように外キャップ11が内キャップ10に対して空転することで、内キャップ10が第2回転方向L2に回転することはない。
【0042】
外キャップ11が内キャップ10に対して第2回転方向L2に回転する過程において、内側係合部45及び外側係合部48がキャップ軸O方向で対向する位置に到達すると、内キャップ10に対する外キャップ11の下方移動が許容される。すなわち、外キャップ11が内キャップ10に対してさらに下方に移動することで、外側係合部48が内側係合部45内に進入する。これにより、内側係合部45及び外側係合部48同士がキャップ周方向で係合する係合位置となる。
【0043】
外キャップ11が係合位置にある状態で、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させると、外キャップ11の回転力が外側係合部48及び内側係合部45を介して内キャップ10に伝達される。これにより、内キャップ10及び外キャップ11が一体になって第2回転方向L2に回転する。その結果、口部5に対する内キャップ10の螺着が解除され、収容容器3が開封される。
【0044】
なお、外キャップ11は内ラチェット部54の復元力によって上方に付勢されている。そのため、外キャップ11が係合位置にある状態で、外キャップ11の下方への押し込みを解除すると、内キャップ10に対して外キャップ11が上方に移動する。そして、外キャップ11の上方移動に伴い、外側係合部48が内側係合部45から離脱することで、非係合位置に復帰する。
【0045】
続いて、不正開封防止キャップ1の閉塞操作について説明する。
内キャップ10を口部5に組み合わせた状態で、外キャップ11を第1回転方向L1に回転させる。すると、図3に示すように、外キャップ11の第1回転方向L1への回転に伴い、内ラチェット部54の内係合面54b及び外ラチェット部55の外係合面55b同士がキャップ周方向で係合する。この状態でさらに外キャップ11を第1回転方向L1に回転させると、外キャップ11の回転力がラチェット機構51を介して内キャップ10に伝達される。これにより、内キャップ10及び外キャップ11が一体になって第1回転方向L1に回転する。その結果、内キャップ10が口部5に螺着され、収容容器3が閉塞される。
【0046】
このように、本実施形態では、外天壁部31及び囲繞筒32に覆われた位置に内側係合部45及び外側係合部48が形成されている。そのため、内側係合部45及び外側係合部48が不正開封防止キャップ1の外部からは視認できない。また、内側係合部45及び外側係合部48が外キャップ11に覆われることで、通常のキャップ(不正開封防止機能を有していないキャップ)と外観を同等にすることができる。これにより、開封方法の判断を難しくすることができる。
【0047】
特に、本実施形態では、内キャップ10に対する外キャップ11のキャップ軸O方向の移動に伴い係合位置及び非係合位置が切り替わる構成とした。
この構成によれば、内キャップ10に対して外キャップ11を下方に押し込みながら、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させることで、収容容器3を開封できる。すなわち、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させるだけでは、収容容器3が開封できないようになっている。そのため、非対象者による開封を防止できる。
しかも、本実施形態では、外キャップ11が内ラチェット部54によって上方に付勢されている構成とした。
この構成によれば、外キャップ11が係合位置にある状態で、外キャップ11の下方への押し込みを解除すると、内キャップ10に対して外キャップ11が上方に移動する。そして、外キャップ11の上方移動に伴い、外側係合部48が内側係合部45から離脱することで、非係合位置に復帰する。そのため、例えば係合位置の状態で開封操作を終了した場合に、非対象者が外キャップ11を第2回転方向L2に回転させたとしても、内キャップ10が回転しないようになっている。その結果、非対象者による開封をより確実に防止できる。
【0048】
本実施形態では、内キャップ10に対する外キャップ11の第1回転方向L1への回転時に内キャップ10及び外キャップ11の相対回転を規制し、内キャップ10に対する外キャップ11の第2回転方向L2への回転時に内キャップ10及び外キャップ11の相対回転を許容するラチェット機構51を備える構成とした。
この構成によれば、容器本体2の口部5に対して不正開封防止キャップ1を装着するときに、外キャップ11が非係合位置にある状態であっても、口部5に対する不正開封防止キャップ1の装着を行うことができる。つまり、内キャップ10と外キャップ11との間にラチェット機構51が設けられているので、口部5に対して外キャップ11を第1回転方向L1に回転させると、内キャップ10及び外キャップ11が一体になって第1回転方向L1に回転する。これにより、口部5に対して不正開封防止キャップ1の全体を締め込むことができ、口部5に対する装着を行うことができる。
一方、口部5に対して外キャップ11を第2回転方向L2に回転させた場合には、ラチェット機構51によって外キャップ11が空転するので、外キャップ11の回転力が内キャップ10に伝わることを防止することができる。したがって、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させるだけでは、収容容器3が開封されるのを防止できる。
【0049】
本実施形態では、内ラチェット部54によって外キャップ11を非係合位置に付勢する構成とした。
この構成によれば、ラチェット機構51とは別に付勢部材を設ける場合に比べて部品点数の削減や構成の簡素化を図ることができる。
【0050】
本実施形態では、内ラチェット部54が装着筒22及び囲繞筒32によってキャップ径方向の両側から取り囲まれる構成とした。
この構成によれば、内ラチェット部54がキャップ径方向に弾性変形しようとした場合に、内ラチェット部54と、装着筒22及び囲繞筒32の何れかと、が接触することになる。これにより、内ラチェット部54のキャップ径方向への移動を規制することができ、内ラチェット部54によって外キャップ11を非係合位置に安定して付勢することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上述した実施形態では、内ラチェット部54が付勢部材として機能する場合について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、図5図6に示すように、付勢部材100をラチェット機構51とは別に設けても構わない。具体的に、図5図6に示す不正開封防止キャップ1において、囲繞筒32の下端部には、囲繞筒32をキャップ径方向の外側から取り囲む外筒体101が配設されている。外筒体101の下端面は、容器本体2の肩部7に形成された当接面8(平坦面)に、当接面8の上方から当接している。
【0052】
囲繞筒32の下端部と外筒体101の上端部との間は、付勢部材100によって接続されている。付勢部材100は、囲繞筒32と外筒体101との隙間をキャップ周方向に延在している。付勢部材100におけるキャップ周方向の第1端部は、キャップ径方向の内側に屈曲されて囲繞筒32に接続されている。付勢部材100におけるキャップ周方向の第2端部は、キャップ径方向の外側に屈曲されて外筒体101に接続されている。図示の例において、付勢部材100は、キャップ周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0053】
付勢部材100は、外キャップ11(囲繞筒32)と外筒体101との間に介在して、外キャップ11を非係合位置に向けてキャップ軸O方向に付勢している。図示の例において、付勢部材100は、囲繞筒32が非係合位置にあるとき自然長の状態である。但し、付勢部材100は、外キャップ11が非係合位置にあるときにおいても、外キャップ11を上方に付勢する構成でもよい。この場合には、装着筒22の下端縁に係止突起42が装着筒22の下方から係止されることで、内キャップ10に対する外キャップ11の上方移動が規制される。
【0054】
図7に示すように、収容容器3の開封操作時に外キャップ11を下方に押し込むと、付勢部材100が下方に弾性変形することで、外キャップ11が内キャップ10に対して下方に移動する。そして、内側係合部45及び外側係合部48がキャップ軸O方向で対向する位置にあるとき、外キャップ11の下方移動に伴い、外側係合部48が内側係合部45内に進入する。これにより、内側係合部45及び外側係合部48がキャップ周方向で係合する。
【0055】
なお、外キャップ11は付勢部材100の復元力によって上方に付勢されている。そのため、外キャップ11が係合位置にある状態で、外キャップ11の下方への押し込みを解除すると、内キャップ10に対して外キャップ11が上方に移動する。そして、外キャップ11の上方移動に伴い、外側係合部48が内側係合部45から離脱することで、非係合位置に復帰する。
【0056】
上述した実施形態では、フランジ部28と接続部35との間にラチェット機構51を配設した場合について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、図8に示すように、装着筒22と囲繞筒32との間にラチェット機構51を配設しても構わない。具体的に、ラチェット機構51は、装着筒22の外周面に形成された内ラチェット部54と、囲繞筒32の内周面に形成された外ラチェット部55と、を有している。
【0057】
内ラチェット部54は、キャップ軸O方向から見た平面視において、第2回転方向L2に向かうに従い装着筒22から膨出量が大きくなっている。具体的に、内ラチェット部54は、第2回転方向L2に向かうに従いキャップ径方向の外側に延びる内摺動面54aと、内摺動面54aにおけるキャップ径方向の外側端縁からキャップ径方向の内側に延びる内係合面54bと、を有している。図示の例において、内摺動面54aは、キャップ径方向の外側に突の湾曲面とされている。
【0058】
外ラチェット部55は、キャップ軸O方向から見た平面視において、第1回転方向L1に向かうに従い囲繞筒32からの膨出量が大きくなっている。具体的に、外ラチェット部55は、第1回転方向L1に向かうに従いキャップ径方向の内側に延びる外摺動面55aと、外摺動面55aにおける第1回転方向L1の端縁からキャップ径方向の外側に延びる外係合面55bと、を有している。
【0059】
図8の構成において、外キャップ11を第2回転方向L2に回転させると、外ラチェット部55の外摺動面55a及び内ラチェット部54の内摺動面54a同士が摺接する。すると、図9に示すように、内キャップ10及び外キャップ11の第2回転方向L2への相対回転に伴い、外キャップ11の囲繞筒32がキャップ径方向に弾性変形しながら、内ラチェット部54の外摺動面55aを乗り越える。これにより、内キャップ10及び外キャップ11同士が係合することなく、外キャップ11のみが内キャップ10に対して第2回転方向L2に相対回転する。その結果、内キャップ10と口部5との螺着が解除されることはなく、収容容器3が閉塞状態を維持する。
【0060】
一方、不正開封防止キャップ1を口部5に装着する際は、内キャップ10を口部5に組み合わせた状態で、外キャップ11を第1回転方向L1に回転させる。すると、図8に示すように、外キャップ11の第1回転方向L1への回転に伴い、内ラチェット部54の内係合面54b及び外ラチェット部55の外係合面55b同士がキャップ周方向で係合する。この状態でさらに外キャップ11を第1回転方向L1に回転させると、外キャップ11の回転力がラチェット機構51を介して内キャップ10に伝達される。これにより、内キャップ10が口部5に螺着され、収容容器3が閉塞される。
【0061】
上述した実施形態及び変形例では、付勢部材が内キャップ10及び外キャップ11の何れかに一体に形成した場合について説明したが、この構成のみに限らず、付勢部材を別途設けても構わない。
【0062】
上述した実施形態では、内側係合部45及び外側係合部48が各天壁部23,31にそれぞれ形成されている構成について説明したが、この構成のみに限られない。すなわち、各係合部は、外キャップ11により覆われている部分にさえ形成されていれば、各係合部の形成位置は適宜変更が可能である。この場合、内側係合部は、例えば内天壁部23の上面のみや装着筒22の外周面のみに形成されていても構わない。また、外側係合部は、外天壁部31の下面のみや囲繞筒32の内周面のみに形成されていても構わない。仮に、内側係合部が装着筒22の外周面に形成され、外側係合部が囲繞筒32の内周面に形成されている場合には、外キャップの下方移動に伴い、外側係合部が内キャップ10の内天壁部23と装着筒22との境界部分を乗り越えることで、係合位置になる。
【0063】
このように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…不正開封防止キャップ
2…容器本体
5…口部
10…内キャップ
11…外キャップ
22…装着筒
31…外天壁部(被覆部)
32…囲繞筒(被覆部)
45…内側係合部
48…外側係合部
51…ラチェット機構
54…内ラチェット部(付勢部材)
54b…内係合面
55…外ラチェット部
55b…外係合面
100…付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9