特許第6899747号(P6899747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899747
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】カメラの取付機構及びその取付方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20210628BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20210628BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20210628BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20210628BHJP
【FI】
   H04N5/222 100
   G02B7/02 Z
   G03B17/14
   G03B17/56 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-182000(P2017-182000)
(22)【出願日】2017年9月22日
(65)【公開番号】特開2019-57865(P2019-57865A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−003771(JP,A)
【文献】 特開2017−161679(JP,A)
【文献】 特開昭57−186696(JP,A)
【文献】 特開2014−095785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222
G02B 7/02
G03B 17/14
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルカメラと大型箱レンズとがバヨネットマウント方式で結合され、前記ポータブルカメラをスタジオアダプタに固定するカメラ取付機構であって、
前記スタジオアダプタに固定され、前記ポータブルカメラの垂直位置を調整する上下移動機構と、
前記上下移動機構に接続し、前記ポータブルカメラを搭載して前記大型箱レンズに導くよう水平方向に移動させ、前記ポータブルカメラを固定するカメラ搭載機構とを有し、
前記上下移動機構では、前記大型箱レンズの近辺で前記ポータブルカメラと前記カメラ搭載機構とのスキマを約1mm程度設けるよう調整することを特徴とするカメラ取付機構。
【請求項2】
上下移動機構は、左右方向に移動する左右移動ブロックと、前記左右移動ブロックの移動を調整する調整ロッドと、上下方向に移動する上下移動ブロックと、前記左右移動ブロックにおける左右方向の移動を前記上下移動ブロックの上下方向の移動に変換する変換部と、前記上下移動ブロックを固定する固定部とを備えることを特徴とする請求項1記載のカメラ取付機構。
【請求項3】
カメラ搭載機構は、ポータブルカメラを大型箱レンズに導くガイドと、上下移動機構に接続する側とは反対側の端部に、ポータブルカメラを押し込んでロックするロック機構を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のカメラ取付機構。
【請求項4】
ポータブルカメラと大型箱レンズとがバヨネットマウント方式で結合され、前記ポータブルカメラをスタジオアダプタに固定するカメラ取付機構の取付方法であって、
前記スタジオアダプタに固定された上下移動機構で、前記大型箱レンズの近辺では前記ポータブルカメラとカメラ搭載機構とのスキマを約1mm程度設けるよう、前記ポータブルカメラの垂直位置を調整し、
前記上下移動機構に接続する前記カメラ搭載機構で、搭載した前記ポータブルカメラを前記大型箱レンズに導くよう水平方向に移動させ、前記ポータブルカメラと前記大型箱レンズの結合後に前記ポータブルカメラを固定することを特徴とするカメラ取付機構の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送・業務用ポータブルカメラをスタジオアダプタに取り付ける取付機構に係り、特に、短時間で取り付けが可能で取り外しも容易なカメラの取付機構及びその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、放送・業務用のポータブルカメラ(以下、単に「カメラ」とする)をスタジオで使用する際に、カメラをカメラ取付ユニットに搭載して大型箱レンズに結合し、スタジオアダプタに固定するようになっている。
つまり、カメラをカメラ取付ユニットに装着することで、カメラとスタジオアダプタとが機械的、電気的に接続するものである。
【0003】
[従来の大型箱レンズとカメラ取付ユニットとの接続:図16
従来の大型箱レンズとカメラ取付ユニットの接続状態について図16を参照しながら説明する。図16は、従来の大型箱レンズとカメラ取付ユニットの接続を示す概略図である。
図16に示すように、スタジオアダプタ40に対して大型箱レンズ3が設けられ、カメラ取付ユニット41が取り付けられている。
【0004】
カメラ取付ユニット41には、後述するカメラ1を固定するカメラ固定バー42が設けられ、カメラ1及びカメラ取付ユニット41を垂直・水平方向に移動させることが可能となる移動可能ボタン43を備え、カメラ取付ユニット41の位置を固定するユニット固定バー44が設けられている。
また、スタジオアダプタ40には、カメラ取付ユニット41をスタジオアダプタ40に固定する固定レバー45を備えている。
【0005】
そして、スタジオアダプタ40に設けられたカメラ取付ユニット41にカメラを搭載し、大型箱レンズ3の方向(X軸方向)にスライドさせ、大型箱レンズ3とバヨネットマウント方式によってカメラを結合させ、その後に、カメラ取付ユニット41を上下、左右のロックバーにてスタジオアダプタ40に固定する。
【0006】
[従来のカメラの取付方法:図17
従来のカメラの取付方法について図17を参照しながら説明する。図17は、従来のカメラの取付方法を示す概略図である。図中の(1)〜(6)は、取付の手順を示している。
図17に示すように、カメラ1をカメラ取付ユニット41に搭載し(1)、カメラ固定バー42を回転させて(2)カメラ1をカメラ取付ユニット41に固定する。
【0007】
次に、カメラ1を搭載したカメラ取付ユニット41を水平・垂直方向へ移動可能にする移動可能ボタン43を押しながら(3)、カメラ1の垂直方向及び水平方向の位置を調整し、カメラ1を大型箱レンズ3のレンズ口にスライドさせて接近させる(4)。移動可能ボタン43から指を離せば、カメラ取付ユニット41のスライドの動きは停止する。
【0008】
そして、カメラ1と大型箱レンズ3をバヨネットマウント方式によって結合する(5)。
その後、カメラ取付ユニット41の位置を、ユニット固定バー44を回転させて固定する(6)。更に、固定レバー45を回転させて、カメラ取付ユニット41をスタジオアダプタ40に固定する。
【0009】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2010−050543号公報「スタジオアダプタ用ビデオカメラ支持ユニット」(特許文献1)、特開2010−130489号公報「スタジオアダプタ用ビデオカメラ支持ユニット」(特許文献2)がある。
【0010】
特許文献1には、ハンディ型ビデオカメラをスタジオアダプタに簡単に組み込むために、コネクタを備えた第1の可動部材を、第2の可動部材のレバー部材を操作して偏心カムを回転させ、移動変位させてカメラに押圧力を与える支持ユニットが示されている。
【0011】
特許文献2には、ハンディ型ビデオカメラをスタジオアダプタに簡単に組み込むために、カメラロック部を備える第1の可動部材とコネクタを備えた第2の可動部材に対して、第1の可動部材に移動変位を与える第1の偏心カムと第2の可動部材に移動変位を与える第2の偏心カムをレバー部材で回転させ、カメラに押圧力を与える支持ユニットが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−050543号公報
【特許文献2】特開2010−130489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来のカメラの取付機構では、カメラ取付ユニットにカメラを固定した後に大型箱レンズにカメラをバヨネットマウント方式で結合させ、続いてカメラ取付ユニットをスタジオアダプタに固定レバーにより固定するようになっているため、スタジオアダプタを運用(使用)後に、カメラとレンズがバヨネットマウントにて強固にかみ合い、カメラがスタジオアダプタから外せなくなることが発生するという問題点があった。
【0014】
これは、カメラ取付ユニットとスタジオアダプタとの固定が浅い場合に、外部からカメラに力が加わって、カメラ取付ユニットがスタジオアダプタに対してズレが生じてしまうときなどに起こるものである。
【0015】
カメラ取付ユニットにはバネを利用してカメラの重量の軽減を行っているが、カメラ取付ユニットを介してカメラをレンズマウントに位置合わせを行うため、取り付けるカメラの重量が増えてしまい、カメラとレンズとを正常に結合するには操作上の慣れが必要となっていた。
【0016】
尚、特許文献1,2には、バヨネットマウント結合の大型箱レンズとカメラについて、その結合部分に重量が加わらないようにして、容易にカメラを取り外すことができる構成についての記載がない。
【0017】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、バヨネットマウント方式による強固なかみ合いでカメラが取り外せなくなることを防止し、また、電気コネクタの接続を短時間に容易に行うことができるカメラの取付機構及びその取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ポータブルカメラと大型箱レンズとがバヨネットマウント方式で結合され、ポータブルカメラをスタジオアダプタに固定するカメラ取付機構であって、スタジオアダプタに固定され、ポータブルカメラの垂直位置を調整する上下移動機構と、上下移動機構に接続し、ポータブルカメラを搭載して大型箱レンズに導くよう水平方向に移動させ、ポータブルカメラを固定するカメラ搭載機構とを有し、上下移動機構では、大型箱レンズの近辺でポータブルカメラとカメラ搭載機構とのスキマを約1mm程度設けるよう調整することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記カメラ取付機構において、上下移動機構が、左右方向に移動する左右移動ブロックと、左右移動ブロックの移動を調整する調整ロッドと、上下方向に移動する上下移動ブロックと、左右移動ブロックにおける左右方向の移動を上下移動ブロックの上下方向の移動に変換する変換部と、上下移動ブロックを固定する固定部とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記カメラ取付機構において、カメラ搭載機構が、ポータブルカメラを大型箱レンズに導くガイドと、上下移動機構に接続する側とは反対側の端部に、ポータブルカメラを押し込んでロックするロック機構を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明は、ポータブルカメラと大型箱レンズとがバヨネットマウント方式で結合され、ポータブルカメラをスタジオアダプタに固定するカメラ取付機構の取付方法であって、スタジオアダプタに固定された上下移動機構で、大型箱レンズの近辺ではポータブルカメラとカメラ搭載機構とのスキマを約1mm程度設けるよう、ポータブルカメラの垂直位置調整、上下移動機構に接続するカメラ搭載機構で、搭載したポータブルカメラを大型箱レンズに導くよう水平方向に移動させ、ポータブルカメラと大型箱レンズの結合後にポータブルカメラを固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ポータブルカメラと大型箱レンズとがバヨネットマウント方式で結合され、ポータブルカメラをスタジオアダプタに固定するカメラ取付機構であって、スタジオアダプタに固定され、ポータブルカメラの垂直位置を調整する上下移動機構と、上下移動機構に接続し、ポータブルカメラを搭載して大型箱レンズに導くよう水平方向に移動させ、ポータブルカメラを固定するカメラ搭載機構とを有し、上下移動機構では、大型箱レンズの近辺でポータブルカメラとカメラ搭載機構とのスキマを約1mm程度設けるよう調整するカメラ取付機構としているので、大型箱レンズからポータブルカメラを取り外すときに、ポータブルカメラに重量が加わらず、大型箱レンズ3とポータブルカメラがバヨネットマウントのみで接続された状態になるため、ポータブルカメラから大型箱レンズを容易に外すことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本取付機構の概略図である。
図2】カメラ取付ユニットASSYの概略図である。
図3】カメラ本体とカメラ取付ユニットASSYの関係を示す概略図である。
図4】上下移動ブロックの概略図である。
図5】上下移動ブロックの正面図である。
図6】上下移動ブロックの左側面図である。
図7図6のA−A部分の断面説明図である。
図8】カメラリリース状態の断面説明図である。
図9】カメラロック状態の断面説明図である。
図10】リリース状態の平面説明図である。
図11図10のA−A部分の断面説明図である。
図12図10のB−B部分の断面説明図である。
図13】ロック状態の平面説明図である。
図14】リリース状態からロック状態への変化を示す平面説明図である。
図15】カム軸の概略図である。
図16】従来の大型箱レンズとカメラ取付ユニットの接続を示す概略図である。
図17】従来のカメラの取付方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るカメラの取付機構は、放送・業務用ポータブルカメラ(カメラ)と大型箱レンズ(レンズ)との結合はバヨネットマウント方式を採用し、カメラとレンズを結合後にカメラをスタジオアダプタに固定するために、スタジオアダプタに取り付けられ、カメラの垂直位置を調整するボトムガイド(上下移動機構)と、上下移動機構に接続し、カメラを搭載してカメラをレンズバヨネットに導く水平ガイド(カメラ搭載機構)とを備えるものとしているので、レンズからカメラを取り外すときに、カメラに余計な重量が加わらず、レンズとカメラがバヨネットマウントのみで接続された状態になるため、容易にレンズを外すことができるものである。
【0026】
[本取付機構:図1
本発明の実施の形態に係るカメラの取付機構(本取付機構)について図1を参照しながら説明する。図1は、本取付機構の概略図である。
本取付機構(カメラ取付ユニットASSY/本取付ユニット)4は、図1に示すように、スタジオアダプタ2に固定され、放送用・業務用のポータブルカメラ(カメラ)1が搭載され、カメラ1と大型箱レンズ(レンズ)3とを結合させ、レンズ3に結合されたカメラ1を固定するものである。
【0027】
ここで、従来のカメラの取付手順と本実施形態の取付手順との違いを簡単に説明する。
従来のカメラの取付手順は、第1に、カメラを取付ユニットに固定し、第2に、カメラを大型箱レンズにバヨネットマウントで固定し、第3に、取付ユニットをスタジオアダプタ2に固定するものである。
これに対して、本実施形態では、予めスタジオアダプタに固定されている本取付ユニットに対し、第1に、カメラを本取付ユニットに固定せず、単に搭載した状態で大型箱レンズにバヨネットマウントで固定し、第2に、カメラを本取付ユニットに固定するものである。
【0028】
つまり、従来のカメラの固定手順を逆にしたものであり、従って、取り外す手順も従来と本実施形態では逆になる。
具体的には、本実施形態では、取り外しの手順は、カメラから本取付ユニットをリリースし、カメラを本取付ユニットに搭載したままバヨネットリングを緩めて大型箱レンズからリリースする。あえて、本取付ユニットをスタジオアダプタからリリースする必要はない。
【0029】
従って、本実施形態では、大型箱レンズからカメラを外す時は、カメラは本取付ユニットに搭載されているものの、レンズとバヨネットマウントのみで結合されている状態となるので、カメラとレンズがバヨネットマウントにて強固にかみ合った場合でも、カメラはバヨネットマウント以外に固定されていないため、カメラを外すことが容易になる。
また、大型箱レンズの近辺で、ポータブルカメラとのスキマを約1mm程度設けるよう調整することで、カメラとレンズがバヨネットマウント以外に接触するものがなく、カメラの取り付け、取り外しが容易に行える。
【0030】
[カメラ取付ユニットASSY:図2
次に、本取付機構(カメラ取付ユニットASSY/本取付ユニット)について図2を参照しながら説明する。図2は、カメラ取付ユニットASSYの概略図である。
本取付ユニット4は、上下方向(垂直方向)の調整を行う上下移動機構と、搭載されたカメラ1を水平方向に移動させるカメラ搭載機構とから基本的に構成されている。
上下移動機構は、レンズ3側(前方側)でスタジオアダプタ2に固定され、カメラ搭載機構の上下位置を調整し、上下移動ブロック5を有している。
カメラ搭載機構は、カメラベース20を有し、後述する通り、後方(レンズ3に接続する側とは反対の端部)にカメラ1を押し込んでロックするロック機構を備えている。
【0031】
カメラ搭載機構のカメラベース20は、カメラ1が左右方向(Y軸方向)にはみ出さないようにガイドする凸形状のカメラ左右ガイド17を備え、大型箱カメラ3側(前方側)の端部(一方の端部)で上下移動ブロック5に接続し、その端部とは反対側の端部(他方の端部)側(後方側)に電気コネクタ27を備え、更に、その他方の端部からカメラロックブロックASSY21が押し込まれる構成となっている。
【0032】
ここで、カメラベース20のY軸方向の幅は、カメラ1をY軸方向にスライドさせてレンズ3との位置合わせできる程度に余裕があるものである。
また、カメラベース20は、X軸方向にカメラ1をスライドさせてレンズ3に接近させることができるものとなっている。
【0033】
上下移動機構は、カメラ搭載機構を上下方向(Z軸方向)に移動させる上下移動ブロック5と、左右方向(Y軸方向)に位置を移動させる左右移動ブロック9と、左右方向の移動の調整を行う調整ロッド12と、その調整ロッド12をスタジオアダプタ2に固定する調整ロッド固定ブロック13と、上下方向(Z軸方向)の位置を固定する上下固定レバー15とを備えている。上下移動機構の詳細な構成は後述する。
【0034】
[カメラ本体とカメラ取付ユニットASSYの関係:図1,3]
次に、カメラ1の本体とカメラ取付ユニットASSYとの関係について図3を参照しながら説明する。図3は、カメラ本体とカメラ取付ユニットASSYの関係を示す概略図である。
図1,3に示すように、本取付ユニット4は、スタジオアダプタ2に取り付けられており、具体的には、上下移動機構側とカメラ搭載機構の後方側でスタジオアダプタ2に固定されるものである。
尚、カメラ1が搭載される場合を想定して、レンズ3との接続を行う準備として、予め上下の位置を調整しておく。左右方向の位置の調整は、カメラベース20の幅に余裕があるため、カメラ1をカメラベース20に搭載した後に左右方向の調整を行う。
【0035】
そして、本取付ユニット4にカメラ1が搭載された状態で、レンズ3と結合するために微調整を行い、カメラ1を、カメラベース20上をレンズ3側にスライドさせてレンズ3とバヨネットマウントにより結合させる。その後に、カメラ1と本取付ユニット4とをカメラロックブロックASSY21で固定する。
【0036】
[上下移動機構:図4図7
次に、本取付ユニットにおける上下移動機構について図4〜7を参照しながら説明する。図4は、上下移動機構の概略図であり、図5は、上下移動機構の正面図であり、図6は、上下移動機構の左側面図であり、図7は、図6のA−A部分の断面説明図である。
本取付ユニット4における上下移動機構は、スタジオアダプタ2に取り付けられており、カメラ搭載機構のカメラベース20を上下方向に移動してカメラ1とレンズ3を接続しやすくするものである。
【0037】
上下移動機構は、図4〜7に示すように、上下移動ブロック5と、上下スライドガイド6と、スライドロッド7と、ロッドバネ8と、左右移動ブロック9と、移動ブロックピン10と、左右移動ガイドミゾ11と、調整ロッド12と、調整ロッド固定ブロック13と、調整ロッドバネ14と、上下固定レバー15と、ブレーキバネカナグ16とを備えている。
【0038】
上下移動ブロック5は、調整ロッド12により、接続するカメラベース20を上下方向(Z軸方向)に移動し、カメラベース20に搭載されるカメラ1と接続するカメラベース20とのスキマを調整するものである。上下移動の動作は後述する。
【0039】
上下スライドガイド6は、スタジオアダプタ2に固定され、ロッドバネ8を介してスライドロッド7が下側からはめ込まれて挿入されている。この構成が、ガタつきのない上下移動を可能にしている。
【0040】
スライドロッド7は、ロッドバネ8が装着されている側とは反対側の端部で上下移動ブロック5のピンに接続している。当該ピンは、上下移動ブロック5の2箇所の垂直方向に形成された貫通孔に挿入されて設けられている。
【0041】
上下スライドガイド6とスライドロッド7との間にロッドバネ8を挿入することで、移動ブロックピン10と左右移動ガイドミゾ11との移動時に必要な隙間(ガタ)を吸収し、スムーズに上下移動ブロック5を可動できる。
【0042】
左右移動ブロック9は、移動ブロックピン10が圧入されており、左右移動ブロック9と同時に移動ブロックピン10が左右に移動する。
そして、上下移動ブロック5は、左右移動ガイドミゾ11を備えている。
【0043】
左右移動ガイドミゾ11は、右上がりに斜めに加工されており、挿入されている移動ブロックピン10が左右に移動する。この左右移動ガイドミゾ11の斜め加工によって上下移動ブロック5を上下に移動させる。上下移動をスムーズに行うため、上下移動ブロック5の左右にスライドロッド7が設けられている。
つまり、移動ブロックピン10と左右移動ガイドミゾ11が、左右方向の移動を上下方向の移動に変換する変換部となる。
【0044】
調整ロッド12は、調整ロッド固定ブロック13に固定されており、回転動作のみを行うことができる。
調整ロッド固定ブロック13は、スタジオアダプタ2に固定されている。
調整ロッド12を外部から回転させることで、左右移動ブロック9が左右に移動する。
【0045】
更に、調整ロッド12の先端のネジが加工されており、雌ネジが加工されている左右移動ブロック9とかみ合い、調整ロッド12が送りネジとなり、左右移動ブロック9が左右に移動する。
【0046】
このとき、調整ロッド12と左右移動ブロック9との間に調整ロッドバネ14が挿入されており、常に調整ロッド12と左右移動ブロック9とを突っ張る力を発生させ、ネジによるガタを吸収している。
【0047】
ブレーキバネカナグ16は、スタジオアダプタ2に固定され、上下固定レバー15と上下移動ブロック5との間に設置されている。
上下固定レバー15は、レバー操作によって、ブレーキバネカナグ16に上下移動ブロック5を固定させる固定部である。固定方法は後述する。
【0048】
そして、上下移動ブロック5にカメラベース20が接続されており、具体的には、上下移動ブロック5の凹部にカメラベース20の凸部を、上下移動ブロック5の凸部をカメラベース20の凹部にはめ込み、その状態で側面から貫通している貫通孔にピンが挿入されて接続されるものである。よって、上下移動ブロック5とカメラベース20は、接続部を支点に回転自在となっている。
【0049】
尚、カメラ1とレンズ3とが結合する付近では、カメラ1と本取付ユニット4のカメラベース20との間に、上下スキマを設けるよう調整を行うのがよい。無論、カメラ1の後方側(レンズ3と結合する側とは反対側)では本取付ユニット4に接触するものである。
【0050】
具体的には、レンズ3との結合部分の近辺では、カメラ1と本取付ユニット4の上下間に約1mm程度のスキマを形成するよう調整する。これは、運用終了時にカメラ1をレンズ3から取り外す場合に、レンズ3とバヨネットリング18が強固にかみ合っていても、この上下のスキマが遊びとなって容易に取り外すことが可能とするためである。
【0051】
上下固定レバー15は、上下移動ブロック5にネジ接続されている。上下移動機構により本取付ユニット4の上下方向の調整を行った後に、上下固定レバー15を操作して、上下移動ブロック5をスタジオアダプタ2に固定する。
【0052】
スタジオアダプタ2に固定されたブレーキバネカナグ16が上下固定レバー15と上下移動ブロック5との間に設置されており、上下固定レバー15でブレーキバネカナグ16を上下移動ブロック5に挟み込むことで、ブレーキバネカナグ16と上下移動ブロック5との間に摩擦が生じ、上下移動ブロック5がスタジオアダプタ2に固定される。
尚、ブレーキバネカナグ16は、小さな力で大きな摩擦を発生させるためには、挟み込む板厚は薄い方が望ましい。
【0053】
[上下移動機構の調整方法]
本取付ユニット4における上下移動機構では、調整ロッド12を回転させると、左右移動ブロック9が左右方向(Y軸方向)に移動し、その移動に伴い、左右移動ブロック9に形成された移動ブロックピン10が、上下移動ブロック5に斜め方向に形成された左右移動ガイドミゾ11内を移動し、上下移動ブロック5を上下に移動させる。
【0054】
具体的には、左右移動ガイドミゾ11内を移動ブロックピン10が右側に移動すると、上下移動ブロック5は下側に移動し、左右移動ガイドミゾ11内を移動ブロックピン10が左側に移動すると、上下移動ブロック5は上側に移動することになる。
【0055】
上記の調整方法によって、本取付ユニット4の上下方向の位置が調整されると、上下固定レバー15を回転させて締め付け、上下移動ブロック5をブレーキバネカナグ16に固定して、本取付ユニット4をスタジオアダプタ2に固定する。
【0056】
[カメラのリリース状態とロック状態:図8,9]
次に、カメラ1と本取付ユニット4のリリース状態とロック状態について図8,9を参照しながら説明する。図8は、カメラリリース状態の断面説明図であり、図9は、カメラロック状態の断面説明図である。尚、図8,9では、全てを断面説明図とすると複雑となるため、カメラ1を除いた部分を断面説明図としている。
【0057】
図8では、カメラリリース状態が示されており、その状態からバヨネットリング18で大型箱レンズ3にカメラ1を接続した後、スタジオアダプタ2の後部に設置されているスライドスペース19を前方(カメラ1側)に押し込む。
スライドスペース19は、カメラベース20のアリミゾ加工された部分にはめ込まれ、ガタがなくスムーズに移動することができる。
【0058】
そのとき、スライドスペース19に固定されている電気コネクタ27と、カメラ1に設けられたカメラコネクタ28とが接続され、カメラ1とスタジオアダプタ2とが電気的に通電できる状態となる。これが、図9に示すカメラロック状態である。
【0059】
図9のカメラロック状態から、スライドスペース19を後方に引き出して、電気的に不通状態にすると、カメラリリース状態に戻る。その後に、バヨネットリング18を緩めて大型箱レンズ3からカメラ1を取り外すことになる。
【0060】
[カメラベースのリリース状態とロック状態:図10図15
次に、カメラベース20とカメラロックブロックASSY21とのリリース状態とロック状態について図10〜15を参照しながら説明する。図10は、リリース状態の平面説明図であり、図11は、図10のA−A部分の断面説明図であり、図12は、図10のB−B部分の断面説明図であり、図13は、ロック状態の平面説明図であり、図14は、リリース状態からロック状態への変化を示す平面説明図であり、図15は、カム軸の概略図である。
【0061】
[カメラベースとスライドベースの平面:図10
図10に示すように、カメラベース20の後方からスライドベース19が挿入され、スライドベース19の後方にはカメラロックブロックASSY21が形成されている。
また、カメラベース20の後方には、カメラロックブロックASSY21をロックするためのスパナ型ロックレバー22が形成されている。
スパナ型ロックレバー22は、スパナミゾ23を備えている。
カメラロックブロックASSY21は、カム軸24とカメラ押付バネ25(図14に図示)を備えている。
カメラロックブロックASSY21とスパナ型ロックレバー22が基本的に本取付ユニット4におけるロック機構となっている。
【0062】
具体的には、カメラベース20に固定され、回転動作のみを行うスパナ型ロックレバー22にスパナミゾ23が加工されており、スライドベース19が前方にスライドしたとき、カメラロックブロックASSY21、カム軸24が同時に前方に移動し、カム軸24の軸部分がスパナ型ロックレバー22のスパナミゾ23にはめ込まれる。
【0063】
[カメラベースとスライドベースのA−A断面:図11
図11では、図10のA−A部分の断面を示しており、左側がZ軸方向の上で、右側がZ軸方向の下となっており、カメラベース20にスライドベース19を挿入する溝(アリミゾ)が形成されている。
アリミゾは、スライドベース19が下方向に落ちないように、カメラベース20には押さえ部20aが形成されている。
【0064】
[カメラベースとスライドベースのB−B断面:図12
図12では、図10のB−B部分の断面を示し、更にカメラ1との電気的な接続が明確になるように、必要な構成を表示している。
図12に示すように、カメラ1側には、カメラツメ26とカメラコネクタ28とが示されており、スライドベース19には、カム軸24と電気コネクタ27とが示されており、カメラベース20には、スパナ型ロックレバー22とスパナミゾ23とが示されている。
【0065】
図12ではカメラの解放状態(リリース状態)であるので、スライドベース19をカメラ1側に押し込んでカメラコネクタ28に電気コネクタ27を接続させる。このとき、電気コネクタ27の下側のツメがカメラ1側のカメラツメ26に接触することになる。
その後に、スパナ型ロックバー22を操作して締付状態(ロック状態)にする。
【0066】
[ロック状態の平面:図13
ロック状態は、図13に示すように、スライドベース19がカメラベース20に完全に押し込まれた状態になると、カメラベース20のスパナミゾ23にカム軸24が納まり、スパナ型ロックバー22を90度回転させると、扁形したカム軸24の突出部がカメラ押付バネ25をカメラ1側に押し付ける。これにより、スライドベース19をカメラ1に強固に固定できる。
【0067】
[リリース状態からロック状態への変化:図14
図14(a)では、スライドベース19がカメラベース20に押し込まれているが、まだリリース状態であり、図14(b)では、スパナ型ロックレバー22を90度回転させてロック状態としたものである。
ロック状態では、カム軸24が回転して、その突出部でカメラ押付バネ25を押して、僅かではあるがカメラ1側に移動する。図中に移動量を示す。
【0068】
[カム軸:図15
カム軸24は、図15に示すように、下側の軸部分が、軸の一部に軸円上下を平行にカット(ダブルDカット)加工を施しており、スパナミゾ23にはまり込むようにできている。
それにより、スパナ型ロックレバー22を回転させると、スパナミゾ23にはまり込んだカム軸24が同時に回転運動をする。これにより、スパナミゾ23の開口部が挿入方向とは直交することになるので、カム軸24は挿入方向に戻ることができなくなり、スライドベース19は前後移動が抑制される。
【0069】
更に、カム軸24の上側は、円形ではなく、楕円等の扁平した形状(扁形)となっており、カムの偏心分(突出部)だけカメラロックブロックASSY21に設置されているカメラ押付バネ25を押すことになる。その結果、カメラロックブロックASSY21は、カメラ1の後部にあるカメラツメ26を大型箱レンズ3に押し込むことになる。
この押し込みの量、押し込み力をカメラ押付バネ25で発生させて、本取付ユニット4を介してスタジオアダプタ2にカメラ1を固定させる。
【0070】
[実施の形態の効果]
本取付ユニットによれば、カメラ1とレンズ3との結合はバヨネットマウント方式を採用し、カメラ1とレンズ3を結合後にカメラ1をスタジオアダプタ2に固定するために、スタジオアダプタ2に取り付けられ、カメラ1の垂直位置を調整する上下移動機構と、上下移動機構に前方で接続し、カメラ1を搭載してカメラ1をバヨネットレンズ18に導き、後方でカメラ1をレンズ3に押し込んで固定するロック機構を有するカメラ搭載機構とを備えるものとしているので、レンズ3からカメラ1を取り外すときに、カメラ1に余計な重量が加わらず、レンズ3とカメラ1がバヨネットマウントのみで接続された状態になるため、容易にレンズ3を外すことができる効果がある。
【0071】
本取付ユニットの取付方法によれば、カメラ1とレンズ3との結合はバヨネットマウント方式を採用し、カメラ1とレンズ3を結合後にカメラ1をスタジオアダプタ2に固定するために、本取付ユニットをスタジオアダプタ2に固定し、上下移動機構でカメラ1の垂直位置を調整し、上下移動機構に接続するカメラ搭載機構にカメラ1を搭載してカメラ1をバヨネットレンズ18に導いてカメラ1をレンズ3に接続し、カメラ1をカメラ搭載機構のロック機構により本取付ユニットに固定するようにしているので、レンズ3からカメラ1を取り外すときに、カメラ1が本取付ユニットから解放された状態となり、カメラ1に余計な重量が加わらず、レンズ3とカメラ1がバヨネットマウントのみで接続された状態になるため、容易にレンズ3を外すことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、バヨネットマウント方式による強固なかみ合いでカメラが取り外せなくなることを防止し、また、電気コネクタの接続を短時間に容易に行うことができるカメラの取付機構及びその取付方法に好適である。
【符号の説明】
【0073】
1…カメラ、 2…スタジオアダプタ、 3…大型箱レンズ、 4…カメラ取付ユニットASSY(本取付機構/本取付ユニット)、 5…上下移動ブロック、 6…上下スライドガイド、 7…スライドロッド、 8…ロッドバネ、 9…左右移動ブロック、 10…移動ブロックピン、 11…左右移動ガイドミゾ、 12…調整ロッド、 13…調整ロッド固定ロッド、 14…調整ロッドバネ、 15…上下固定レバー、 16…ブレーキバネカナグ、 17…カメラ左右ガイド、 18…バヨネットリング、 19…スライドスペース、 20…カメラベース、 20a…押さえ部、 21…カメラロックブロックASSY、 22…スパナ型ロックレバー、 23…スパナミゾ、 24…カム軸、 25…カメラ押付バネ、 26…カメラツメ、 27…電気コネクタ、 28…カメラコネクタ、 40…スタジオアダプタ、 41…カメラ取付ユニット、 42…カメラ固定バー、 43…移動可能ボタン、 44…ユニット固定バー、 45…固定レバー
図1
図2
図3
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