特許第6899752号(P6899752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6899752タイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出する方法、システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899752
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】タイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出する方法、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20210628BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20210628BHJP
   B60W 40/064 20120101ALI20210628BHJP
【FI】
   G01M17/02
   B60C19/00 Z
   B60C19/00 H
   B60W40/064
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-200832(P2017-200832)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-74414(P2019-74414A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 明大
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−21012(JP,A)
【文献】 特開2002−82004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/02
B60C 19/00
B60W 40/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する方法であって、
タイヤが接触する路面に設けられた力センサによって3分力が計測された計測点を複数有する圧力分布データを取得するステップと、
各々の計測点における3分力に基づき摩擦係数μを算出するステップと、
1つの計測点における接地圧と前記接地圧にて発揮された摩擦係数μとを1つの実例とし、複数事例に基づいて、接地圧と前記接地圧で発揮可能な最大摩擦係数μMAXとを対応付けた関連データを生成するステップと、
各々の計測点における接地圧に対応する最大摩擦係数μMAXを前記関連データに基づき特定するステップと、
各々の計測点における最大摩擦係数μMAXと摩擦係数μとの差値である摩擦係数の余裕度を算出するステップと、
を含む、タイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出する方法。
【請求項2】
前記摩擦係数の余裕度に関する情報を出力するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タイヤが接触する路面に設けられた力センサによって3分力が計測された計測点を複数有する圧力分布データを取得する圧力分布データ取得部と、
各々の計測点における3分力に基づき摩擦係数μを算出するμ算出部と、
1つの計測点における接地圧と前記接地圧にて発揮された摩擦係数μとが1つの実例であり、複数事例に基づいて、接地圧と前記接地圧で発揮可能な最大摩擦係数μMAXとを対応付けた関連データを生成する関連データ生成部と、
各々の計測点における接地圧に対応する最大摩擦係数μMAXを前記関連データに基づき特定する最大値特定部と、
各々の計測点における最大摩擦係数μMAXと摩擦係数μとの差値である摩擦係数の余裕度を算出する余裕度算出部と、
を備える、タイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出するシステム。
【請求項4】
前記摩擦係数の余裕度に関する情報を出力する余裕度情報出力部を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ接地面における改良の余裕度を算出する方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
転動するタイヤの接地特定を測定する方法として、例えば特許文献1には、力センサを設けた回転ドラムにタイヤを接地させ、回転ドラムとタイヤを共に回転させ、センサとタイヤを接触させて、センサによりタイヤの接地特性を測定する方法が開示されている。力センサとして、3分力センサが用いられ、タイヤの接地圧、タイヤ幅方向のせん断応力、及びタイヤ周方向のせん断応力が測定される。これら3分力の分布を相互に関連させることにより任意の部位における摩擦係数μを算出でき、摩擦係数μの分布を知ることができるとの記載がある。
【0003】
別の測定方法として、特許文献2には、測定器が3分力センサではないが、測定器が設けられた平板状の台にタイヤを接地させ、測定器上を転動するタイヤの接地特性を計測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−21012号公報
【特許文献2】特開平9−26382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にはタイヤの摩擦係数μの分布を知ることができるとの記載がある。しかし、摩擦係数μの分布を見たとしても、タイヤの接地面全体のうちどの部位に改良する余地があるかをタイヤ設計者が即座に知ることができない。或る接地圧において発揮可能な最大摩擦係数μMAXが実際に発揮されるのが好ましいが、実際に発揮される摩擦係数μが最大摩擦係数μMAXよりも低い場合がある。この場合、最大摩擦係数と摩擦係数の差値が存在し、この差値は摩擦係数の余裕度を示すため、当該部位は改良の余地があるといえる。
【0006】
本開示は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、タイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出する方法、システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0008】
すなわち、本開示のタイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出する方法は、
コンピュータが実行する方法であって、
タイヤが接触する路面に設けられた力センサによって3分力が計測された計測点を複数有する圧力分布データを取得するステップと、
各々の計測点における3分力に基づき摩擦係数μを算出するステップと、
1つの計測点における接地圧と前記接地圧にて発揮された摩擦係数μとを1つの実例とし、複数事例に基づいて、接地圧と前記接地圧で発揮可能な最大摩擦係数μMAXとを対応付けた関連データを生成するステップと、
各々の計測点における接地圧に対応する最大摩擦係数μMAXを前記関連データに基づき特定するステップと、
各々の計測点における最大摩擦係数μMAXと摩擦係数μとの差値である摩擦係数の余裕度を算出するステップと、
を含む。
【0009】
このように、摩擦係数の余裕度μを算出し、余裕度μが大きいほど、改善の余地が高いことを意味する。よって、余裕度μの大きさによって改善の余地がある部位を設計者が直感的に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示におけるタイヤの接地特性測定装置及び摩擦係数の余裕度を算出するシステムを示す側面図及びブロック図。
図2】システムが実行するμ余裕度算出処理ルーチンを示すフローチャート。
図3】接地圧Pzの分布図。
図4】幅方向圧力Pyの分布図。
図5】摩擦係数μの分布図。
図6】摩擦係数μ及び接地圧Pzをプロットした図。
図7】関連データに関する説明図。
図8】最大摩擦係数μMAXの分布図。
図9】摩擦係数の余裕度μの分布図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
[タイヤの接地特性測定装置]
図1に示すように、タイヤの接地特性測定装置は、タイヤTを走行させるための走行面1と、走行面1にタイヤTを接地させ且つ転動させるタイヤ駆動装置2と、走行面1に設けられる力センサ3と、コンピュータで実現される測定制御部4と、を有する。
【0013】
走行面1は、平面視で矩形状であり、平坦面である。力センサ3は、出領域を有し、検出領域にタイヤTが接触したときに、検出領域を一つの計測点として力を測定する。力センサ3は、3分力センサであり、タイヤと接触した部位の接地圧Pz[kPa]、幅方向せん断圧力Py[kPa]、及び周方向せん断圧力Px[kPa]が測定可能である。力センサ3は所定の配列方向に沿って複数配列されてセンサ群を構成している。
【0014】
図1に示すように、タイヤ駆動装置2は、タイヤTを走行面1に押圧して接地させ、タイヤ進行方向MDに沿ってスライド移動することで、タイヤTを転動させる。力センサ3とタイヤTの接触位置は、タイヤTの転動を開始する位置を異ならせることで調整可能である。
【0015】
測定制御部4は、タイヤ駆動装置2の駆動を制御するタイヤ駆動制御部40と、力センサ3からの信号を受けて、センサの検出結果を記憶する検出結果記憶部41と、を有する。
【0016】
[摩擦係数の余裕度を算出するシステム]
図1に示すように、システム5は、接地特性測定装置が計測した圧力分布データに基づき、タイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出する。具体的に、システム5は、圧力分布データ取得部50と、μ算出部51と、関連データ生成部52と、最大値特定部53と、余裕度算出部54と、を有する。システム5は、余裕度情報出力部55を更に有してもよい。これら各部50〜55は、CPU、メモリ、各種インターフェイス等を備えたコンピュータにおいてCPUが、予め記憶されているμ余裕度算出処理ルーチンを実行することによりソフトウェア及びハードウェアが協働して実現される。
【0017】
図1に示す圧力分布データ取得部50は、接地特性測定装置が計測した圧力分布データD1を取得する。圧力分布データD1は、3分力(周方向圧力Px、幅方向圧力Py、接地圧Pz)が計測された計測点を複数有する。計測点の個数はN個である。圧力分布データD1のうち全ての計測点の接地圧Pzをプロットすれば、図3に示す接地圧Pzの分布図が得られる。圧力分布データD1のうち全ての計測点の幅方向圧力Pyをプロットすれば、図4に示す幅方向圧力Pyの分布図が得られる。図3及び図4は、縦がタイヤ周方向CDを示し、横がタイヤ幅方向WDを示す。圧力を色で示している。ここでは、周方向圧力Pxの分布図の図示は省略している。ここで図示する圧力分布データD1は、横溝及びサイプを有する基礎パターンを有し、サイズが205/60R15であり、荷重が3.64[kN]であり、内圧が230[kPa]であり、SAを約1.1°として加速度が0.4Gとなるコーナリング状態での計測結果である。
【0018】
図1に示すμ算出部51は、各々の計測点における3分力(Px、Py、Pz)に基づいて、当該計測点において発揮されている摩擦係数μを算出する。摩擦係数μの算出結果は、ワークデータD2としてメモリに記憶される。全ての計測点について摩擦係数μを算出する。摩擦係数μは、周方向圧力Pxと幅方向圧力Pyの合力を接地圧Pzで割ることで算出できる。算出した摩擦係数μをプロットすれば、図5に示す摩擦係数μの分布図が得られる。図5は、縦がタイヤ周方向CDを示し、横がタイヤ幅方向WDを示す。摩擦係数μを色で示している。
【0019】
図1に示す関連データ生成部52は、1つの計測点における接地圧Pzと接地圧Pzにて発揮された摩擦係数μとを1つの実例とし、複数事例に基づいて、関連データD3を生成する。関連データD3は、接地圧Pzと接地圧Pzで発揮可能な最大摩擦係数μMAXとを対応付けたデータである。生成した関連データD3はメモリに記憶される。本実施形態において関連データD3は、接地圧Pzを引数として最大摩擦係数μMAXを出力する式[μMAX=f(Pz)]であるが、これに限定されない。例えば、接地圧Pzと対応する最大摩擦係数μMAXの組を複数組保持するテーブルを設け、入力値としての接地圧Pzに対応する最大摩擦係数μMAXを検索して出力するようにしてもよい。入力値としての接地圧Pzがテーブルにない場合には、補間法により補間した最大摩擦係数μMAXを出力するようにすればよい。その他種々の方法で関連データを実現可能である。
【0020】
本実施形態では、図6に示すように、縦軸を摩擦係数μ、横軸を接地圧Pzとして1つの計測点を1点としてプロットし、図7に示すように、最大摩擦係数μMAXを接地圧Pzを異ならせて複数抽出し、複数の最大摩擦係数μMAXを近似式で近似している。
【0021】
具体的には、着目接地圧に対応する複数の摩擦係数μのうち、値が大きい順に所定数の値を抽出する処理を前記着目接地圧を異ならせて複数回実行し、抽出した摩擦係数に対して式をフィティングすることで近似式を生成している。更に具体的には、複数の計測点を、所定範囲(本実施形態では10kPa)の接地圧Pz毎に区画し、1つの区画(10kPa)毎に、摩擦係数μの値が大きい順に所定数(本実施形態では2つ)の値を抽出した。図7に示すように抽出した値に対して所定の式(本実施形態では5次式)をフィティングし、近似式[μMAX=f(Pz)]を得た。フィティングの方法は、最小二乗法を用いた。これはデータ処理の一例であって、これに限定されない。
【0022】
図1に示す最大値特定部53は、各々の計測点における接地圧Pzに対応する最大摩擦係数μMAXを関連データD3に基づき特定する。接地圧Pzが存在する全ての計測点について、関連データD3である近似式[μMAX=f(Pz)]を用いて、最大摩擦係数μMAXを算出する。算出した最大摩擦係数μMAXは、ワークデータD2としてメモリに記憶される。算出した最大摩擦係数μMAXをプロットすれば、図8に示す最大摩擦係数μMAXの分布図が得られる。図8は、縦がタイヤ周方向CDを示し、横がタイヤ幅方向WDを示す。最大摩擦係数μMAXを色で示している。
【0023】
図1に示す余裕度算出部54は、各々の計測点における最大摩擦係数μMAXと摩擦係数μとの差値[μMAX−μ]である摩擦係数の余裕度μを算出する。算出した摩擦係数の余裕度μは、ワークデータD2としてメモリに記憶される。算出した摩擦係数の余裕度μをプロットすれば、図9に示す摩擦係数の余裕度μの分布図が得られる。図9は、縦がタイヤ周方向CDを示し、横がタイヤ幅方向WDを示す。摩擦係数の余裕度μを色で示している。
【0024】
図1に示す余裕度情報出力部55は、摩擦係数の余裕度μに関する情報を出力する。出力の一形態としては、図9に示す摩擦係数の余裕度μの分布図が挙げられる。また、摩擦係数の余裕度μの分布図に加えて、図5に示す発揮された摩擦係数μの分布図及び図8に示す最大摩擦係数μMAXの分布図の少なくとも一方を出力するようにしてもよい。
出力態様としては、ディスプレイに表示してもよいし、画像データを外部に出力するようにしてもよい。
また、余裕度情報出力部55は、摩擦係数の余裕度μに関する情報として、余裕度μが所定閾値以上である部位のみを表示するようにしてもよい。
【0025】
[摩擦係数の余裕度を算出する方法]
上記システムの動作について図1、2を参照しつつ説明する。
【0026】
まず、ステップST1において、圧力分布データ取得部50は、タイヤが接触する路面に設けられた力センサ3によって3分力(Px、Py、Pz)が計測された計測点を複数有する圧力分布データD1を取得する。
【0027】
次のステップST2において、μ算出部51は、各々の計測点における3分力(Px、Py、Pz)に基づき摩擦係数μを算出する。
【0028】
次のステップST3において、関連データ生成部52は、1つの計測点における接地圧Pzと接地圧Pzにて発揮された摩擦係数μとを1つの実例とし、複数事例に基づいて、接地圧Pzと接地圧Pzで発揮可能な最大摩擦係数μMAXとを対応付けた関連データD3を生成する。
【0029】
次のステップST4において、最大値特定部53は、各々の計測点における接地圧Pzに対応する最大摩擦係数μMAXを関連データD3に基づき特定する。
【0030】
次のステップST5において、余裕度算出部54は、各々の計測点における最大摩擦係数μMAXと摩擦係数μとの差値[μMAX−μ]である摩擦係数の余裕度μを算出する。
【0031】
次のステップST6において、余裕度情報出力部55は、摩擦係数の余裕度μに関する情報を出力する。
【0032】
以上のように、本実施形態のタイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出する方法は、
コンピュータが実行する方法であって、
タイヤが接触する路面に設けられた力センサ3によって3分力(Px、Py、Pz)が計測された計測点を複数有する圧力分布データD1を取得するステップ(ST1)と、
各々の計測点における3分力(Px、Py、Pz)に基づき摩擦係数μを算出するステップ(ST2)と、
1つの計測点における接地圧Pzと接地圧Pzにて発揮された摩擦係数μとを1つの実例とし、複数事例に基づいて、接地圧Pzと接地圧Pzで発揮可能な最大摩擦係数μMAXとを対応付けた関連データD3を生成するステップ(ST3)と、
各々の計測点における接地圧Pzに対応する最大摩擦係数μMAXを関連データD3に基づき特定するステップ(ST4)と、
各々の計測点における最大摩擦係数μMAXと摩擦係数μとの差値[μMAX−μ]である摩擦係数の余裕度μを算出するステップ(ST5)と、
を含む。
【0033】
本実施形態のタイヤ接地面における摩擦係数の余裕度を算出するシステムは、
タイヤが接触する路面に設けられた力センサ3によって3分力(Px、Py、Pz)が計測された計測点を複数有する圧力分布データD1を取得する圧力分布データ取得部50と、
各々の計測点における3分力(Px、Py、Pz)に基づき摩擦係数μを算出するμ算出部51と、
1つの計測点における接地圧Pzと接地圧Pzにて発揮された摩擦係数μとを1つの実例とし、複数事例に基づいて、接地圧Pzと接地圧Pzで発揮可能な最大摩擦係数μMAXとを対応付けた関連データD3を生成する関連データ生成部52と、
各々の計測点における接地圧Pzに対応する最大摩擦係数μMAXを関連データD3に基づき特定する最大値特定部53と、
各々の計測点における最大摩擦係数μMAXと摩擦係数μとの差値[μMAX−μ]である摩擦係数の余裕度μを算出する余裕度算出部54と、
を備える。
【0034】
このように、摩擦係数の余裕度μを算出し、余裕度μが大きいほど、改善の余地が高いことを意味する。よって、余裕度μの大きさによって改善の余地がある部位を設計者が直感的に知ることができる。
【0035】
本実施形態の方法において、摩擦係数の余裕度μに関する情報を出力するステップ(ST6)を含む。
本実施形態のシステムにおいて、摩擦係数の余裕度μに関する情報を出力する余裕度情報出力部55を備える。
このように構成すれば、改善の余地がある部位を設計者が直感的に知ることができる。
【0036】
本実施形態のプログラムは、上記方法を構成する各ステップをコンピュータに実行させる。
これらプログラムを実行することによっても、上記方法の奏する作用効果を得ることが可能となる。言い換えると、上記方法を使用しているとも言える。
【0037】
上記測定装置は、タイヤを微転動させて計測している。摩擦係数μは接地圧Pzとすべり速度に応じて変化する。よって、微転動であればすべり速度を無視できるので、精度を向上させることができる。逆に、微転動ではなくすべり速度が存在する場合には、その大きさに応じて精度が低下するものの、摩擦係数の余裕度μを算出することができ、本開示の方法は有用である。
【0038】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0039】
例えば、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現できる。特許請求の範囲、明細書、および図面中のフローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【0040】
例えば、図1に示す各部50〜55は、所定プログラムをコンピュータのCPUで実行することで実現しているが、各部を専用メモリや専用回路で構成してもよい。
【0041】
本実施形態のシステムは、一つのコンピュータに各部50〜55が実装されているが、各部50〜55を分散させて、複数のコンピュータで実装してもよい。
【0042】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0043】
50…圧力分布データ取得部
51…μ算出部
52…関連データ生成部
53…最大値特定部
54…余裕度算出部
55…余裕度情報出力部
D1…圧力分布データ
D3…関連データ
Pz…接地圧
μ…摩擦係数
μMAX…最大摩擦係数
μ…摩擦係数の余裕度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9