(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基準マークが付設され、部品を保持する保持具を有し、前記保持具により前記部品を保持した状態で所定の部品搭載位置に移動し、前記部品搭載位置において前記部品を基板に搭載するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットの前記部品搭載位置への移動中において、前記部品を保持した前記保持具と前記基準マークとが視野内に収まる被写体として撮像し、前記被写体からの反射光に基づく撮像画像を取得する撮像装置と、
前記撮像画像に基づき、前記保持具に対する前記部品の保持状態を認識する部品認識部と、を備え、
前記撮像装置は、
前記基準マークに対応した画素からなるマーク領域と前記部品に対応した画素からなる部品領域とが、所定値よりも明るい明領域とされた第1撮像画像と、
前記マーク領域が所定値よりも暗い暗領域とされ、前記部品領域が所定値よりも明るい明領域とされた第2撮像画像と、を取得し、
前記部品認識部は、
前記ヘッドユニットが静止し、前記保持具が前記部品を保持していない状態において、前記撮像装置により撮像された初期画像を予め記憶する記憶部と、
前記初期画像に基づき、前記基準マークの初期位置を表す初期マーク位置情報を取得するとともに、前記第1撮像画像に基づき、前記部品を保持した前記保持具における前記基準マークの位置を表すマーク位置情報を取得し、前記初期マーク位置情報と前記マーク位置情報との差を参照することにより、前記ヘッドユニットの移動に伴う前記保持具の振動変位量を算出する振動量算出部と、
前記第2撮像画像に基づき、前記保持具に保持された前記部品の位置を表す部品位置情報を取得し、前記部品位置情報と前記振動変位量とを参照することにより、前記保持具の部品保持面の中心に対する前記部品の位置を算出する部品位置算出部と、を含む、部品実装装置。
前記被写体からの反射光において、前記基準マークからの反射光は三原色のうちのいずれかの色の第1色成分光であり、前記部品の少なくとも一部の領域からの反射光は三原色の各色成分光である前記第1色成分光、第2色成分光及び第3色成分光をそれぞれ含む白色光であり、
前記撮像装置は、カラー画像撮像用の第1撮像素子と、所定の信号処理を行う第1信号処理部とを含む第1撮像部からなり、
前記第1撮像素子は、前記被写体からの反射光を受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより、前記第1色成分光に対応した第1色成分信号、前記第2色成分光に対応した第2色成分信号、及び前記第3色成分光に対応した第3色成分信号をそれぞれ含む第1電気信号を生成し、
前記第1信号処理部は、前記第1電気信号に前記信号処理を施すことにより、前記第1撮像画像を表す第1画像信号と、前記第2撮像画像を表す第2画像信号とを生成する、請求項1に記載の部品実装装置。
前記第1信号処理部は、前記信号処理として、前記第1電気信号に含まれる前記第1色成分信号、前記第2色成分信号及び前記第3色成分信号の各々にゲイン係数を乗じるゲイン調整処理を行うように構成され、
前記ゲイン調整処理において、前記第1信号処理部は、
前記第1色成分信号に対して前記第2色成分信号及び前記第3色成分信号よりも大きな値のゲイン係数を乗じることにより、前記第1画像信号を生成し、
前記第1色成分信号に対して前記第2色成分信号及び前記第3色成分信号よりも小さな値のゲイン係数を乗じることにより、前記第2画像信号を生成する、請求項2に記載の部品実装装置。
前記被写体からの反射光において、前記基準マークからの反射光は三原色のうちのいずれかの色の第1色成分光であり、前記部品の少なくとも一部の領域からの反射光は三原色の各色成分光である前記第1色成分光、第2色成分光及び第3色成分光をそれぞれ含む白色光であり、
前記撮像装置は、前記第1撮像画像を取得する第2撮像部と、前記第2撮像画像を取得する第3撮像部とからなり、
前記第2撮像部は、
前記第1色成分光を受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより第2電気信号を生成するモノクロ画像撮像用の第2撮像素子と、
前記第2電気信号に所定の信号処理を施すことにより、前記第1撮像画像を表す第1画像信号を生成する第2信号処理部と、を含み、
前記第3撮像部は、
前記第2色成分光又は前記第3色成分光を受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより第3電気信号を生成するモノクロ画像撮像用の第3撮像素子と、
前記第3電気信号に所定の信号処理を施すことにより、前記第2撮像画像を表す第2画像信号を生成する第3信号処理部と、を含む、請求項1に記載の部品実装装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る部品実装装置について図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X方向は水平面と平行な方向であり、Y方向は水平面上でX方向と直交する方向であり、Z方向はX、Y両方向に直交する上下方向である。また、X方向の一方向側を「+X側」と称し、X方向の一方向側とは反対の他方向側を「−X側」と称する。また、Y方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y方向の一方向側とは反対の他方向側を「−Y側」と称する。また、Z方向の一方向側を「+Z側」と称し、Z方向の一方向側とは反対の他方向側を「−Z側」と称する。
【0023】
<部品実装装置の構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装装置1の構成を示す平面図である。部品実装装置1は、基板Kに部品を搭載(実装)して電子回路基板を生産する装置である。部品実装装置1は、装置本体1aと、移動フレーム2と、コンベア3と、部品供給装置5が装着される部品供給ユニット4と、ヘッドユニット6と、第1駆動機構7と、第2駆動機構8と、部品認識装置9とを備える。
【0024】
装置本体1aは、部品実装装置1を構成する各部が配置される構造体であり、Z方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア3は、X方向に延び、装置本体1aに配置される。コンベア3は、基板KをX方向に搬送する。基板Kは、コンベア3上を搬送されて、所定の部品搭載位置(基板K上に部品が搭載される位置)に位置決めされるようになっている。
【0025】
部品供給ユニット4は、装置本体1aにおけるY方向の+Y側及び−Y側の領域部分にそれぞれ、X方向に2箇所ずつ合計4箇所に配置される。部品供給ユニット4は、装置本体1aにおいて、部品供給装置5が複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット6に備えられる保持具である吸着ノズル63による吸着対象の部品毎に、各部品供給装置5のセット位置が区画されている。
【0026】
部品供給装置5は、装置本体1aの部品供給ユニット4に着脱自在に装着されている。部品供給装置5は、テープを担体(キャリア)として、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品(以下、単に部品と称す)を供給するテープフィーダーである。この部品供給装置5について、
図2乃至
図4を参照して説明する。
図2は、部品実装装置1に備えられる部品供給装置5を概略的に示す図である。
図3は、部品供給装置5に備えられるテープガイド45の構成を示す図である。
図4は、部品供給装置5に装着される部品収納テープ100の斜視図である。
【0027】
部品供給装置5は、部品供給ユニット4に設けられた取付部31に取り付けられている。取付部31には、X方向に一定間隔で並びかつY方向に互いに平行に延びる複数のスロット32と、これらスロット32よりも前側の位置でX方向に伸びる固定台33とが設けられている。そして、各スロット32に部品供給装置5がセットされ、各部品供給装置5が固定台33に固定されている。これにより、部品供給ユニット4に、複数の部品供給装置5がX方向に横並びに整列して配置されている。
【0028】
部品供給装置5は、前後方向(Y方向)に細長い形状をなす本体部41を備えている。部品供給装置5は、前記スロット32に本体部41が挿入(セット)された状態で、固定台33に固定されている。
【0029】
部品供給装置5は、さらに、本体部41の前端部分に備えられた第1テープ送出部42と、本体部41の後端部分に備えられた第2テープ送出部43と、本体部41に設けられたテープ通路44と、テープガイド45とを備えている。
【0030】
前記テープ通路44は、部品収納テープ100を案内するための通路である。テープ通路44は、本体部41の後端部から前側上部に向かって斜め上方に延びている。部品収納部材としての部品収納テープ100は、本体部41の後端部からその内部に導入され、テープ通路44を通じて本体部41の上面前部に案内されている。
【0031】
部品収納テープ100は、
図4に示すように、テープ本体101とカバーテープ102とで構成された長尺のテープである。テープ本体101には、上部に開口した多数の部品収納部103(凹部)が長手方向(テープ送り方向)に一定間隔で形成されており、各部品収納部103に部品Eが収納されている。テープ本体101の上面には、前記カバーテープ102が接着されており、これにより各部品収納部103がカバーテープ102により閉鎖されている。また、テープ本体101のうち部品収納部103の側方には、長手方向に一定間隔で並びかつテープ本体101をその厚み方向に貫通する複数の嵌合孔104が設けられている。
【0032】
部品供給装置5において、前記テープガイド45は、本体部41の前部上面に設けられている。テープガイド45は、テープ通路44を通過した部品収納テープ100を覆い、当該部品収納テープ100を本体部41の上面に沿って略水平に部品供給位置P1まで案内するものである。部品供給位置P1は、前記ヘッドユニット6に部品の取り出しを行わせる位置であり、本体部41の上面前端に近い位置に設定されている。
【0033】
図3に示すように、テープガイド45のうち、部品供給位置P1に対応する位置には開口部45Aが設けられ、この開口部45Aよりも後方側の位置には、部品露出部451が設けられている。部品露出部451は、テープガイド45によりガイドされる部品収納テープ100の部品収納部103内において、部品Eを露出させる。部品露出部45は、挿入部4511と、刃部4512と、カバーテープ後処理部4513とを含む。
【0034】
部品露出部451において挿入部4511は、先細状に形成された薄板状の部分であり、テープガイド45によりガイドされ、先端が自由端とされた状態の部品収納テープ100に対し、テープ本体101とカバーテープ102との間に挿入される。部品露出部451において刃部4512は、挿入部4511に対してテープ送り方向の下流側に配置され、部品収納テープ100の走行に応じてカバーテープ102を、テープ送り方向に沿った直線状に切断する。部品露出部451においてカバーテープ後処理部4513は、刃部4512に対してテープ送り方向の下流側に配置され、刃部4512により切断されたカバーテープ102を押し広げる処理を行う。これにより、部品収納テープ100の部品収納部103内において、部品Eを露出させることができる。このようにして部品収納部103内において露出された部品Eは、部品供給位置P1において、テープガイド45の開口部45Aを介して、部品実装装置1におけるヘッドユニット6の吸着ノズル63により吸着されて取り出される。
【0035】
部品供給装置5において、前記第1テープ送出部42は、テープガイド45の下方に配置される第1スプロケット51と、第1モーター52と、第1モーター52の駆動力を第1スプロケット51に伝達する、複数枚の伝動ギヤからなる第1ギヤ群53とを備えている。第1スプロケット51は、テープガイド45に沿って案内される部品収納テープ100の嵌合孔104に嵌合する歯を有している。つまり、第1テープ送出部42は、第1スプロケット51を第1モーター52により回転駆動することにより、部品収納テープ100を部品供給位置P1に向かって送出する。
【0036】
部品供給装置5において、第2テープ送出部43は、本体部41の後端部に配置される第2スプロケット54と、第2モーター55と、第2モーター55の駆動力を第2スプロケット54に伝達する、複数枚の伝動ギヤからなる第2ギヤ群56とを備えている。第2スプロケット54は、上方から前記テープ通路44内に臨んでおり、当該テープ通路44に沿って案内される部品収納テープ100の嵌合孔104に嵌合する歯を有している。つまり、第2テープ送出部43は、第2スプロケット54を第2モーター55により回転駆動することにより、部品収納テープ100を前方(部品供給位置P1)に向かって送出する。
【0037】
部品収納テープ100は、各送出部42、43により部品供給位置P1に向かって間欠的に送出され、部品供給位置P1でテープガイド45の開口部45Aを通じて部品Eの取り出しが行われる。
【0038】
次に、
図1を参照して部品実装装置1に備えられる移動フレーム2は、X方向に延び、装置本体1aに、所定の移動方向(Y方向)に移動可能に支持される。この移動フレーム2にヘッドユニット6が搭載されている。ヘッドユニット6は、X方向に移動可能となるように、移動フレーム2に搭載される。すなわち、ヘッドユニット6は、移動フレーム2の移動に伴ってY方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム2に沿ってX方向に移動可能である。ヘッドユニット6は、部品供給ユニット4に装着された部品供給装置5の部品供給位置P1と、コンベア3により搬送された基板Kの所定の部品搭載位置とにわたって移動可能とされ、部品供給位置P1において部品供給装置5から部品Eを取り出すとともに、その取り出した部品Eを部品搭載位置において基板K上に搭載(実装)する。ヘッドユニット6の詳細については、後述する。
【0039】
第1駆動機構7は、装置本体1aの+X側及び−X側の端部に配設される。第1駆動機構7は、移動フレーム2をY方向に移動させる機構である。第1駆動機構7は、例えば、駆動モーターと、Y方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム2に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構7は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム2をY方向に移動させる。
【0040】
第2駆動機構8は、移動フレーム2に配設される。第2駆動機構8は、ヘッドユニット6を移動フレーム2に沿ったX方向に移動させる機構である。第2駆動機構8は、第1駆動機構7と同様に、例えば、駆動モーターと、X方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、ヘッドユニット6に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構8は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、ヘッドユニット6をX方向に移動させる。
【0041】
なお、第1駆動機構7及び第2駆動機構8は、当例では、駆動モーターによりボールねじ軸を介して移動フレーム2及びヘッドユニット6を移動させる構成である。しかし、例えばリニアモーターを駆動源として移動フレーム2やヘッドユニット6をダイレクトに駆動する構成であってもよい。
【0042】
ヘッドユニット6について、
図1に加えて
図5乃至
図7を参照して説明する。
図5はヘッドユニット6の側面図であり、
図6はヘッドユニット6を下方から見た平面図である。また、
図7は、ヘッドユニット6に備えられる吸着ノズル63を下方から見た平面図である。
【0043】
ヘッドユニット6は、ヘッド本体61と、回転体62と、吸着ノズル63とを含む。ヘッド本体61は、ヘッドユニット6の本体部分を構成する。回転体62は、円柱状に形成され、回転体駆動機構65(後記の
図13参照)により鉛直軸(Z方向に延びる軸)を回転中心として回転可能に、ヘッド本体61に設けられる。
【0044】
回転体62の外周縁端部には、複数の吸着ノズル63が、周方向に所定の間隔をおいて配設されている。吸着ノズル63は、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eを吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル63は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル63に負圧が供給されることで当該吸着ノズル63による部品Eの吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品Eの吸着保持が解除される。なお、本実施形態では、吸着ノズル63以外の保持具として、例えば部品Eを把持して保持するチャックなどであってもよい。
【0045】
吸着ノズル63は、ノズル昇降駆動機構66(後記の
図13参照)により上下方向(Z方向)に昇降可能に、回転体62に設けられる。吸着ノズル63は、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eの保持が可能な保持位置と、保持位置に対して上方側の退避位置との間で、Z方向(上下方向)に沿って移動可能である。つまり、部品供給位置P1に供給された部品Eを保持するときには、吸着ノズル63は、ノズル昇降駆動機構66によって退避位置から保持位置へ向かって下降し、当該保持位置において部品Eを吸着保持する。一方、部品Eの吸着保持後の吸着ノズル63は、ノズル昇降駆動機構66によって保持位置から退避位置へ向かって上昇する。
【0046】
また、
図7に示すように、吸着ノズル63には、基準マークMが付設されている。基準マークMは、吸着ノズル63において部品Eを保持する部品保持面632の中心の近傍となる、吸着ノズル63の先端部631に付設される。基準マークMの形状は特に限定されるものではないが、
図7に示す例では、2本の線状部M1、M2が部品保持面632の中心で交差するような十字状である。基準マークMは、青色(B)、緑色(G)及び赤色(R)からなる三原色のうちのいずれかの第1の色に着色されている。なお、基準マークMは、後述の部品認識装置9の撮像装置92により撮像された画像において、第1の色であると認識可能であればよく、第1の色に着色されていなくても、例えば第1の色で発光するように構成されていてもよい。本実施形態では、基準マークMの色となる第1の色は、青色(B)である。
【0047】
また、
図5及び
図6に示すように、ヘッドユニット6のヘッド本体61の下面には、基板認識カメラ64が設けられている。基板認識カメラ64は、基板Kの品種の識別や位置決めのために、ヘッドユニット6と共に移動して、基板Kの上面に記された各種マークを上方から撮像するものである。
【0048】
更に、本実施形態に係る部品実装装置1は、部品認識装置9を備えている。この部品認識装置9について、
図1に加えて
図8を参照して説明する。
図8は、部品認識装置9の構成を説明するための図である。
【0049】
部品認識装置9は、装置本体1a上の各部品供給ユニット4とコンベア3との間の位置にそれぞれ配設される(
図1参照)。部品認識装置9は、部品供給装置5の部品供給位置P1から、コンベア3により搬送された基板Kの部品搭載位置へ向かってヘッドユニット6が移動している間において、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの保持状態を認識するための装置である。部品認識装置9は、光源装置91と撮像装置92とを含む。
【0050】
部品認識装置9において、光源装置91は、ヘッドユニット6の部品搭載位置への移動中において、部品Eを保持した吸着ノズル63に向けて光を照射する装置である。光源装置91から出射された光は、ハーフミラー97により反射されて、部品Eを保持した吸着ノズル63に向けて照射される。
図8に示す例では、光源装置91による、部品Eを保持した吸着ノズル63に対する照射光ILは、三原色の各色成分光である、第1照射色成分光(青色成分光)BIL、第2照射色成分光(緑色成分光)GIL、及び第3照射色成分光(赤色成分光)RILをそれぞれ含む白色光である。
【0051】
光源装置91による照射光ILの照射に応じて、部品Eを保持した吸着ノズル63から反射される反射光RLは、ハーフミラー97を透過して撮像装置92に入射する。部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLは、三原色の各色成分光である、第1色成分光(青色成分光)BRL、第2色成分光(緑色成分光)GRL、及び第3色成分光(赤色成分光)RRLをそれぞれ含む。吸着ノズル63の先端部631に付設され、青色(B)に着色された基準マークMからの反射光は、第1色成分光BRLである。また、吸着ノズル63に保持された部品Eの少なくとも一部の領域からの反射光は、第1色成分光BRL、第2色成分光GRL、及び第3色成分光RRLをそれぞれ含む白色光である。
【0052】
部品認識装置9において、撮像装置92は、ヘッドユニット6の部品搭載位置への移動中であり、且つ、光源装置91が照射光ILを照射した状態において、部品Eを保持した吸着ノズル63を被写体として下方から撮像する。撮像装置92は、部品Eを保持した吸着ノズル63の先端部631と基準マークMとが視野内に収まるように撮像し、被写体からの反射光RLに基づく撮像画像を取得する。
【0053】
図8に示す例では、撮像装置92は、第1撮像部93からなる。第1撮像部93は、第1レンズ94と、カラー画像撮像用の第1撮像素子95と、所定の信号処理を行う第1信号処理部96とを含む。第1レンズ94は、部品Eを保持した吸着ノズル63(以下、「被写体」という場合がある)からの反射光RLを集光し、第1撮像素子95に導く光学レンズである。
【0054】
第1撮像素子95は、
図9の分解斜視図で示されるように、カラーフィルタ951を有するカラー画像撮像用の撮像素子である。撮像素子としては、CCD(Charged−coupled devices)やCMOS(Complementary metal−oxide−semiconductor)を挙げることができる。第1撮像素子95は、被写体からの反射光RLを受光する複数の画素Pがマトリクス状に配列され、三原色それぞれの色成分光である第1色成分光BRL、第2色成分光GRL、及び第3色成分光RRLを透過するカラーフィルタ951が前記各画素P上に個別に配置されてなる。第1撮像素子95の各画素P上に配置されたカラーフィルタ951は、第1色成分光BRLを透過するフィルタBFと、第2色成分光GRLを透過するフィルタGFと、第3色成分光RRLを透過するフィルタRFとが、所定の規則に従って配列されてなる。カラーフィルタ951における各フィルタBF,GF,RFの配列は、例えば、ベイヤー配列とされる。
【0055】
第1撮像素子95は、第1レンズ94を介して入射された、被写体からの反射光RLを受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより、第1電気信号ES1を生成する。第1撮像素子95により生成される第1電気信号ES1は、反射光RLに含まれる第1色成分光BRLに対応した第1色成分信号(青色成分信号)BES、第2色成分光GRLに対応した第2色成分信号(緑色成分信号)GES、及び、第3色成分光RRLに対応した第3色成分信号(赤色成分信号)RESをそれぞれ含む。
【0056】
第1信号処理部96は、第1撮像素子95により生成された第1電気信号ES1に所定の信号処理を施すことにより、第1画像信号IS1と第2画像信号IS2とを生成する。第1画像信号IS1及び第2画像信号IS2は、表示や記録が可能となるようにA/D変換されたデジタル信号である。第1画像信号IS1は、第1撮像画像の表示や記録を可能とする信号であり、第2画像信号IS2は、第2撮像画像の表示や記録を可能とする信号である。
【0057】
ここで、第1レンズ94、第1撮像素子95及び第1信号処理部96を含む第1撮像部93からなる撮像装置92により撮像された撮像画像について、
図10乃至
図12を参照して説明する。
図10は、撮像装置92により撮像された初期画像J1を示す図である。
図11は、撮像装置92により撮像された第1撮像画像J2を示す図である。
図12は、撮像装置92により撮像された第2撮像画像J3を示す図である。
【0058】
図10に示す初期画像J1は、ヘッドユニット6が静止し、吸着ノズル63が部品Eを保持していない状態において、撮像装置92により撮像された撮像画像である。この初期画像J1は、後記の
図13に示す記憶部133に予め記憶されている。初期画像J1は、当該画像のフレームV内に、基準マークMに対応した画素からなるマーク領域J11と、吸着ノズル63の先端部631に対応した画素からなるノズル先端領域J12とを含んでいる。初期画像J1において、ノズル先端領域J12の中心S1は、フレームVの中心V1と一致した位置に配置されている。初期画像J1におけるノズル先端領域J12の中心S1は、吸着ノズル63の部品保持面632の中心に対応している。つまり、初期画像J1は、吸着ノズル63の部品保持面632の中心が画像の中央に位置するような画像である。また、初期画像J1において、マーク領域J11上には、基準マークMにおいて予め設定されたマーク基準位置に対応したマーク基準点S2が存在する。
【0059】
図11に示す第1撮像画像J2は、ヘッドユニット6の部品搭載位置への移動中において、撮像装置92の第1撮像部93により撮像された撮像画像であって、第1信号処理部96により生成された第1画像信号IS1で表される画像である。第1撮像画像J2では、基準マークMに対応した画素からなるマーク領域J21(
図11においてハッチングを付した領域)と部品Eに対応した画素からなる部品領域J23とが、所定値よりも明るい明領域とされ、吸着ノズル63の先端部631に対応した画素からなるノズル先端領域J22が所定値よりも暗い暗領域とされている。
【0060】
ヘッドユニット6が部品搭載位置へ向けて移動しているときには、吸着ノズル63は振動している。このため、第1撮像画像J2は、吸着ノズル63の部品保持面632の中心が画像の中央からずれた位置に配置されるような画像となる。つまり、第1撮像画像J2において、部品保持面632の中心に対応したノズル先端領域J22の中心は、画像のフレームVの中心V1からずれた位置に配置されている。但し、第1撮像画像J2が撮像されるタイミングにおいては、吸着ノズル63の部品保持面632には部品Eが保持されているので、第1撮像画像J2では部品保持面632が部品Eで隠れて、当該部品保持面632の中心の位置を認識することはできない。すなわち、第1撮像画像J2では、部品保持面632の中心に対応したノズル先端領域J22の中心の位置を認識することはできない。
【0061】
なお、第1撮像画像J2において、マーク領域J21は明領域とされているので、基準マークMのマーク基準位置に対応したマーク領域J21上のマーク基準点S21は、認識することができる。この第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21は、初期画像J1におけるマーク領域J11上のマーク基準点S2に対して、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動変位量H1に応じて、ずれた位置に配置されている。つまり、初期画像J1におけるマーク領域J11上のマーク基準点S2の位置と、第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21の位置との差を参照することにより、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動変位量H1を算出することが可能となる。この振動変位量H1の算出方法の詳細については、後述する。
【0062】
図12に示す第2撮像画像J3は、ヘッドユニット6の部品搭載位置への移動中において、撮像装置92の第1撮像部93により、前記第1撮像画像J2と同時に撮像された撮像画像であって、第1信号処理部96により生成された第2画像信号IS2で表される画像である。第2撮像画像J3では、基準マークMに対応した画素からなるマーク領域J31と吸着ノズル63の先端部631に対応した画素からなるノズル先端領域J32とが、所定値よりも暗い暗領域とされ、部品Eに対応した画素からなる部品領域J33が所定値よりも明るい明領域とされている。
【0063】
第2撮像画像J3は、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動時に、第1撮像画像J2と同時に撮像された画像であるので、第1撮像画像J2と同様に、吸着ノズル63の部品保持面632の中心が画像の中央からずれた位置に配置されるような画像となる。つまり、第2撮像画像J3において、部品保持面632の中心に対応したノズル先端領域J32の中心S11は、画像のフレームVの中心V1からずれた位置に配置されている。第2撮像画像J3では、部品保持面632が部品Eで隠れており、部品保持面632の中心に対応したノズル先端領域J32の中心S11の位置を直接的に認識することはできないが、上記の第1撮像画像J2に基づき算出可能な振動変位量H1を参照し、画像のフレームVの中心V1に振動変位量H1を加味することにより、ノズル先端領域J32の中心S11の位置を間接的に算出することができる。この部品保持面632の中心に対応したノズル先端領域J32の中心S11の位置の算出方法の詳細については、後述する。
【0064】
また、第2撮像画像J3において、部品領域J33は明領域とされているので、部品Eの中心に対応した部品領域J33の中心S3は、認識することができる。このため、ノズル先端領域J32の中心S11からの、部品領域J33の中心S3のずれ量H2を、第2撮像画像J3に基づき算出することができる。つまり、上記のずれ量H2を参照し、吸着ノズル63の部品保持面632の中心に対する部品Eの位置を算出することができる。この部品保持面632の中心に対する部品Eの位置の算出方法の詳細については、後述する。
【0065】
次に、
図8を参照し、第1撮像部93において、第1撮像素子95により生成された第1電気信号ES1に対する第1信号処理部96の信号処理について、詳しく説明する。
【0066】
第1信号処理部96は、ベイヤー配列のカラーフィルタ951が配置されたカラー画像撮像用の第1撮像素子95により生成された第1電気信号ES1を、ベイヤー変換する信号処理を行うことによって、1回の撮像動作で、第1撮像画像J2及び第2撮像画像J3の各々を取得することができる。ベイヤー変換とは、第1撮像素子95の各画素Pについて、各画素Pの周囲にある画素から色成分を補間する処理を行うことにより、画素PごとにR(赤)、G(緑)、B(青)の輝度情報を求めて画像信号を生成する処理のことである。このベイヤー変換において、第1電気信号ES1に基づき第1撮像画像J2を表す第1画像信号IS1と第2撮像画像J3を表す第2画像信号IS2とを生成するに際し、第1信号処理部96は、ゲイン調整処理を行うように構成される。
【0067】
ゲイン調整処理において、第1信号処理部96は、第1電気信号ES1に含まれる第1色成分信号BES、第2色成分信号GES、及び第3色成分信号RESの各々に、ゲイン係数を乗じる。具体的には、ゲイン調整処理において、第1信号処理部96は、第1色成分信号BESに対して第2色成分信号GES及び第3色成分信号RESよりも大きな値のゲイン係数を乗じることにより、第1撮像画像J2を表す第1画像信号IS1を生成する。第1電気信号ES1において、第1色成分信号BESは、基準マークM及び部品Eからの反射光に含まれる第1色成分光BRLに対応した色成分信号である。このため、第1色成分信号BESに対して大きな値のゲイン係数を乗じるゲイン調整処理を第1電気信号ES1に施すことによって、第1信号処理部96は、基準マークM及び部品Eの各々に対応したマーク領域J21及び部品領域J23が明領域とされた、第1撮像画像J2を表す第1画像信号IS1を生成することができる。
【0068】
また、ゲイン調整処理において、第1信号処理部96は、第1色成分信号BESに対して第2色成分信号GES及び第3色成分信号RESよりも小さな値のゲイン係数を乗じることにより、第2撮像画像J3を表す第2画像信号IS2を生成する。具体的には、第1信号処理部96は、第1色成分信号BESとは異なる第2色成分信号GES及び第3色成分信号RESのうちの一方の色成分信号(例えば第3色成分信号RES)に対して、第1色成分信号BES及び第2色成分信号GESよりも大きな値のゲイン係数を乗じる、換言すると、第1色成分信号BESに対して第3色成分信号RESよりも小さな値のゲイン係数を乗じることにより、第2画像信号IS2を生成する。第1電気信号ES1において、第1色成分信号BESは、基準マークM及び部品Eからの反射光に含まれる第1色成分光BRLに対応した色成分信号であり、且つ、第3色成分信号RESは、部品Eからの反射光に含まれる第3色成分光RRLに対応した色成分信号である。このため、第1色成分信号BESに対して小さな値のゲイン係数を乗じ、且つ、第3色成分信号RESに対して大きな値のゲイン係数を乗じるゲイン調整処理を第1電気信号ES1に施すことによって、第1信号処理部96は、基準マークMに対応したマーク領域J31が暗領域とされ、部品Eに対応した部品領域J33が明領域とされた、第2撮像画像J3を表す第2画像信号IS2を生成することができる。
【0069】
第1信号処理部96は、第1撮像素子95からの第1電気信号ES1にゲイン調整処理を施して第1画像信号IS1及び第2画像信号IS2を生成する構成とすることによって、各画像信号IS1,IS2に対応した第1撮像画像J2及び第2撮像画像J3において、画像分解能を高く維持できる。
【0070】
また、第1信号処理部96は、第1電気信号ES1に基づき第1画像信号IS1と第2画像信号IS2とを生成するに際し、抽出処理を行うように構成されていてもよい。抽出処理において、第1信号処理部96は、第1電気信号ES1から所定の色成分信号を抽出することにより、第1画像信号IS1と第2画像信号IS2とを生成する。
【0071】
具体的には、抽出処理において、第1信号処理部96は、第1電気信号ES1に含まれる第1色成分信号BESを抽出することにより、第1撮像画像J2を表す第1画像信号IS1を生成する。第1電気信号ES1において、第1色成分信号BESは、基準マークM及び部品Eからの反射光に含まれる第1色成分光BRLに対応した色成分信号である。このため、第1色成分信号BESを抽出する抽出処理を第1電気信号ES1に施すことによって、第1信号処理部96は、基準マークM及び部品Eの各々に対応したマーク領域J21及び部品領域J23が明領域とされた、第1撮像画像J2を表す第1画像信号IS1を生成することができる。
【0072】
また、抽出処理において、第1信号処理部96は、第1電気信号ES1に含まれる、第1色成分信号BES以外の第2色成分信号GES又は第3色成分信号RESを抽出することにより、第2撮像画像J3を表す第2画像信号IS2を生成する。本実施形態では、抽出処理において、第1信号処理部96は、第1電気信号ES1に含まれる第3色成分信号RESを抽出することにより、第2画像信号IS2を生成する。第1電気信号ES1において、第2色成分信号GES又は第3色成分信号RESは、基準マークMからの反射光には含まれておらず、部品Eからの反射光に含まれる色成分光GRL,RRLに対応した色成分信号である。このため、第2色成分信号GES又は第3色成分信号RESを抽出する抽出処理を第1電気信号ES1に施すことによって、第1信号処理部96は、基準マークMに対応したマーク領域J31が暗領域とされ、部品Eに対応した部品領域J33が明領域とされた、第2撮像画像J3を表す第2画像信号IS2を生成することができる。
【0073】
<部品実装装置の制御系>
次に、部品実装装置1の制御系について、
図13のブロック図を用いて説明する。部品実装装置1は、制御部10を備えている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部10は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、部品実装装置1の動作を統括的に制御する。制御部10は、
図13に示すように、部品供給制御部11と、ヘッド駆動制御部12と、部品認識部13とを含む。
【0074】
部品供給制御部11は、部品供給装置5による部品供給位置P1への部品Eの供給動作を制御する。
【0075】
ヘッド駆動制御部12は、第1駆動機構7及び第2駆動機構8によるヘッドユニット6のX方向及びY方向に関する水平面上の移動を制御する。また、ヘッド駆動制御部12は、ノズル昇降駆動機構66による吸着ノズル63の昇降動作を制御する。更に、ヘッド駆動制御部12は、回転体駆動機構65による回転体62の回転動作を制御する。
【0076】
部品認識部13は、第1撮像部93からなる撮像装置92により取得された第1撮像画像J2及び第2撮像画像J3に基づき、吸着ノズル63に対する部品Eの保持状態を認識する部品認識処理を行う。部品認識部13は、振動量算出部131と、部品位置算出部132と、記憶部133とを含む。
【0077】
部品認識部13において、記憶部133は、ヘッドユニット6が静止し、吸着ノズル63が部品Eを保持していない状態において、第1撮像部93からなる撮像装置92により撮像された、上記の初期画像J1(
図10参照)を、予め記憶する。
【0078】
部品認識部13において、振動量算出部131は、初期画像J1に基づき、基準マークMの初期位置を表す初期マーク位置情報を取得するとともに、上記の第1撮像画像J2(
図11参照)に基づき、部品Eを保持した吸着ノズル63における基準マークMの位置を表すマーク位置情報を取得する。そして、振動量算出部131は、前記初期マーク位置情報と前記マーク位置情報との差を参照することにより、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動変位量H1(
図11参照)を算出する。
【0079】
具体的には、振動量算出部131は、ヘッドユニット6の静止状態における、吸着ノズル63の部品保持面632の中心の位置を表す情報として、初期画像J1におけるノズル先端領域J12の中心S1の位置を取得する。更に、振動量算出部131は、ヘッドユニット6の静止状態における、基準マークMの初期位置を表す初期マーク位置情報として、初期画像J1におけるマーク領域J11上のマーク基準点S2の位置を取得する。更に、振動量算出部131は、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動時における、基準マークMの位置を表すマーク位置情報として、第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21の位置を取得する。そして、振動量算出部131は、初期画像J1におけるマーク領域J11上のマーク基準点S2の位置と、第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21の位置との差を参照することにより、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動変位量H1を算出する。
【0080】
ここで、振動量算出部131による振動変位量H1の算出時に参照される第1撮像画像J2は、吸着ノズル63の先端部631に付設された基準マークMに対応したマーク領域J21が明領域とされた画像である。このため、振動量算出部131は、第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21の位置を高精度に取得することができる。この結果、第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21の位置を参照して算出される吸着ノズル63の振動変位量H1は、高精度なものとなる。
【0081】
部品認識部13において、部品位置算出部132は、上記の第2撮像画像J3(
図12参照)に基づき、吸着ノズル63に保持された部品Eの位置を表す部品位置情報を取得する。そして、部品位置算出部132は、その取得した部品位置情報と、振動量算出部131により算出された振動変位量H1とを参照することにより、ヘッドユニット6の移動中における吸着ノズル63の部品保持面632の中心に対する部品Eの位置を算出する。
【0082】
具体的には、部品位置算出部132は、第2撮像画像J3のフレームVの中心V1に、振動量算出部131により算出された振動変位量H1を加味することにより、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動時における、部品保持面632の中心の位置を表す情報として、第2撮像画像J3におけるノズル先端領域J32の中心S11の位置を算出する。更に、部品位置算出部132は、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動時における、当該吸着ノズル63に保持された部品Eの位置を表す部品位置情報として、第2撮像画像J3における部品領域J33の中心S3の位置を取得する。更に、部品位置算出部132は、第2撮像画像J3を参照し、ノズル先端領域J32の中心S11からの、部品領域J33の中心S3のずれ量H2を算出する。そして、部品位置算出部132は、上記のずれ量H2を参照し、吸着ノズル63の部品保持面632の中心に対する部品Eの位置を算出することができる。
【0083】
ここで、部品位置算出部132による部品Eの位置の算出時に参照される第2撮像画像J3は、基準マークMに対応したマーク領域J31が暗領域とされ、且つ部品Eに対応した部品領域J33が明領域とされた画像である。このため、部品位置算出部132が第2撮像画像J3における部品領域J33の中心S3の位置を取得する際に、基準マークMを部品Eであると認識する誤認識の発生を可及的に回避することができる。この結果、部品位置算出部132は、第2撮像画像J3における部品領域J33の中心S3の位置を高精度に取得し、その部品領域J33の中心S3の位置に関する情報と前記振動変位量H1とを参照することにより、吸着ノズル63の部品保持面632の中心に対する部品Eの位置を高精度に算出することができる。従って、部品位置算出部132により算出された部品Eの位置を用いることによって、ヘッド駆動制御部12の制御に基づくヘッドユニット6の駆動動作による、基板Kに対する部品Eの搭載精度の向上が図られる。
【0084】
また、第2撮像画像J3が、マーク領域J31が暗領域とされ、且つ部品領域J33が明領域とされた画像であるから、吸着ノズル63において部品Eと基準マークMとが近接した状態であったとしも、基準マークMを部品Eであると認識する誤認識の発生が回避される。従って、吸着ノズル63において、基準マークMを部品保持面632の中心から十分に離れた位置に付設する必要がない。これにより、吸着ノズル63において部品保持面632の中心の近傍に基準マークMを付設することができ、部品保持面632の中心と基準マークMとの間の距離を十分に確保する必要がないから、吸着ノズル63の小型化が図られる。更に、吸着ノズル63において部品保持面632の中心の近傍に基準マークMを付設することができるから、撮像装置92による撮像の視野を狭くすることができる。これにより、撮像装置92が取得した撮像画像J2,J3に基づく、部品認識部13の振動量算出部131及び部品位置算出部132による算出処理の負荷を、軽減することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態に係る部品実装装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
【0086】
上記の実施形態においては、部品認識装置9が、白色光からなる照射光ILを照射する光源装置91と、カラー画像撮像用の第1撮像素子95を含む第1撮像部93からなる撮像装置92とを備える構成について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。部品認識装置9の変形例について、
図14及び
図15を参照して説明する。
【0087】
図14は、第1変形例に係る部品認識装置9Aの構成を示す図である。部品認識装置9Aは、前述した部品認識装置9と同様に、部品供給装置5の部品供給位置P1から、コンベア3により搬送された基板Kの部品搭載位置へ向かってヘッドユニット6が移動している間において、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの保持状態を認識するための装置である。部品認識装置9Aは、光源装置91Aと撮像装置92Aとを含む。
【0088】
部品認識装置9Aにおいて、光源装置91Aは、ヘッドユニット6の部品搭載位置への移動中において、部品Eを保持した吸着ノズル63に向けて光を照射する装置である。光源装置91Aから出射された光は、第1ハーフミラー97により反射されて、部品Eを保持した吸着ノズル63に向けて照射される。光源装置91Aによる、部品Eを保持した吸着ノズル63に対する照射光ILは、基準マークMの色に対応した色成分光を少なくとも含む光であればよい。このような照射光ILとしては、第1照射色成分光(青色成分光)BIL、第2照射色成分光(緑色成分光)GIL、及び第3照射色成分光(赤色成分光)RILをそれぞれ含む白色光であってもよいし、基準マークMの色に対応した第1照射色成分光BILと、その他の色成分光(例えば、第3照射色成分光RIL)とを含む2色の光であってもよい。以下では、光源装置91Aが白色光からなる照射光ILを照射するように構成されているものとして説明する。
【0089】
光源装置91Aによる照射光ILの照射に応じて、部品Eを保持した吸着ノズル63から反射される反射光RLは、第1ハーフミラー97を透過し、第2ハーフミラー98を介して撮像装置92Aに入射する。部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLは、三原色の各色成分光である、第1色成分光(青色成分光)BRL、第2色成分光(緑色成分光)GRL、及び第3色成分光(赤色成分光)RRLをそれぞれ含む。吸着ノズル63の先端部631に付設され、青色(B)に着色された基準マークMからの反射光は、第1色成分光BRLである。また、吸着ノズル63に保持された部品Eの少なくとも一部の領域からの反射光は、第1色成分光BRL、第2色成分光GRL、及び第3色成分光RRLをそれぞれ含む白色光である。
【0090】
部品認識装置9Aにおいて、撮像装置92Aは、第2撮像部93Aと第3撮像部93Bとの2つの撮像部からなる。部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLは、第2ハーフミラー98に反射されて第2撮像部93Aに向けて導かれ、第2ハーフミラー98を透過して第3撮像部93Bに向けて導かれる。
【0091】
第2ハーフミラー98と第2撮像部93Aとの間には、第1フィルタF1が配置されている。第1フィルタF1は、部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLのうち、第1色成分光BRLを透過し、第2色成分光GRL及び第3色成分光RRLの透過を規制する光学フィルタである。つまり、第2撮像部93Aには、部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLのうち、第1フィルタF1を透過した第1色成分光BRLのみが入射する。
【0092】
また、第2ハーフミラー98と第3撮像部93Bとの間には、第2フィルタF2が配置されている。第2フィルタF2は、部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLのうち、第3色成分光RRLを透過し、第1色成分光BRL及び第2色成分光GRLの透過を規制する光学フィルタである。つまり、第3撮像部93Bには、部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLのうち、第2フィルタF2を透過した第3色成分光RRLのみが入射する。
【0093】
第2撮像部93Aは、部品Eを保持した吸着ノズル63の先端部631と基準マークMとが視野内に収まるように撮像し、第1フィルタF1を介して入射した第1色成分光BRLに基づく第1撮像画像J2(
図11参照)を取得する。第2撮像部93Aは、第2レンズ94Aと、モノクロ画像撮像用の第2撮像素子95Aと、所定の信号処理を行う第2信号処理部96Aとを含む。第2レンズ94Aは、第1フィルタF1を介して入射した第1色成分光BRLを集光し、第2撮像素子95Aに導く光学レンズである。
【0094】
第2撮像素子95Aは、CCDやCMOS等からなるモノクロ画像撮像用の撮像素子である。第2撮像素子95Aは、第2レンズ94Aを介して入射された、第1色成分光BRLを受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより、第2電気信号ES2を生成する。第2撮像素子95Aにより生成される第2電気信号ES2は、第1色成分光BRLに対応した第1色成分信号(青色成分信号)BESを含む。
【0095】
第2信号処理部96Aは、第2撮像素子95Aにより生成された第2電気信号ES2に所定の信号処理を施すことにより、第1画像信号IS1を生成する。第1画像信号IS1は、表示や記録が可能となるようにA/D変換されたデジタル信号である。第1画像信号IS1は、第1撮像画像J2の表示や記録を可能とする信号である。
【0096】
第3撮像部93Bは、部品Eを保持した吸着ノズル63の先端部631と基準マークMとが視野内に収まるように撮像し、第2フィルタF2を介して入射した第3色成分光RRLに基づく第2撮像画像J3(
図12参照)を取得する。第3撮像部93Bの撮像タイミングは、第2撮像部93Aの撮像タイミングと同時である。第3撮像部93Bは、第3レンズ94Bと、モノクロ画像撮像用の第3撮像素子95Bと、所定の信号処理を行う第3信号処理部96Bとを含む。第3レンズ94Bは、第2フィルタF2を介して入射した第3色成分光RRLを集光し、第3撮像素子95Bに導く光学レンズである。
【0097】
第3撮像素子95Bは、CCDやCMOS等からなるモノクロ画像撮像用の撮像素子である。第3撮像素子95Bは、第3レンズ94Bを介して入射された、第3色成分光RRLを受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより、第3電気信号ES3を生成する。第3撮像素子95Bにより生成される第3電気信号ES3は、第3色成分光RRLに対応した第3色成分信号(赤色成分信号)RESを含む。
【0098】
第3信号処理部96Bは、第3撮像素子95Bにより生成された第3電気信号ES3に所定の信号処理を施すことにより、第2画像信号IS2を生成する。第2画像信号IS2は、表示や記録が可能となるようにA/D変換されたデジタル信号である。第2画像信号IS2は、第2撮像画像J3の表示や記録を可能とする信号である。
【0099】
第2撮像部93Aにより取得された第1撮像画像J2と、第3撮像部93Bにより取得された第2撮像画像J3とは、部品認識部13により参照される。部品認識部13の振動量算出部131は、初期画像J1(
図10参照)におけるマーク領域J11上のマーク基準点S2の位置と、第2撮像部93Aにより取得された第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21の位置との差を参照することにより、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動変位量H1を算出する(
図11参照)。また、部品認識部13の部品位置算出部132は、第3撮像部93Bにより取得された第2撮像画像J3に基づき、ノズル先端領域J32の中心S11からの、部品領域J33の中心S3のずれ量H2を算出し、吸着ノズル63の部品保持面632の中心に対する部品Eの位置を算出する(
図12参照)。部品位置算出部132により算出された部品Eの位置を用いることによって、ヘッド駆動制御部12の制御に基づくヘッドユニット6の駆動動作による、基板Kに対する部品Eの搭載精度の向上が図られる。
【0100】
図15は、第2変形例に係る部品認識装置9Bの構成を示す図である。部品認識装置9Bは、前述した部品認識装置9と同様に、部品供給装置5の部品供給位置P1から、コンベア3により搬送された基板Kの部品搭載位置へ向かってヘッドユニット6が移動している間において、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの保持状態を認識するための装置である。部品認識装置9Bは、光源装置91Bと撮像装置92Bとを含む。
【0101】
部品認識装置9Bにおいて、光源装置91Bは、ヘッドユニット6の部品搭載位置への移動中において、部品Eを保持した吸着ノズル63に向けて光を照射する装置である。光源装置91Bから出射された光は、第1ハーフミラー97により反射されて、部品Eを保持した吸着ノズル63に向けて照射される。光源装置91Bは、部品Eを保持した吸着ノズル63に対し、基準マークMの色に対応した第1照射色成分光(青色成分光)BILと、その他の色成分光(例えば、第3照射色成分光(赤色成分光)RIL)とを、所定の時間間隔をおいてそれぞれ個別に照射する。光源装置91Bによる、第1照射色成分光BILの照射と、第3照射色成分光RILの照射との間の時間間隔は、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動に関する振動周期よりも、十分に短い時間間隔に設定される。
【0102】
光源装置91Bによる照射光ILの照射に応じて、部品Eを保持した吸着ノズル63から反射される反射光RLは、第1ハーフミラー97を透過し、第2ハーフミラー98を介して撮像装置92Bに入射する。部品Eを保持した吸着ノズル63からの反射光RLは、光源装置91Bにより第1照射色成分光BILが照射された場合には第1色成分光(青色成分光)BRLであり、光源装置91Bにより第3照射色成分光RILが照射された場合には第3色成分光(赤色成分光)RRLである。
【0103】
部品認識装置9Bにおいて、撮像装置92Bは、第2撮像部93Aと第3撮像部93Bとの2つの撮像部からなる。部品Eを保持した吸着ノズル63からの、第1照射色成分光BILの照射に応じた反射光である第1色成分光BRLは、第2ハーフミラー98に反射されて第2撮像部93Aに向けて導かれる。一方、部品Eを保持した吸着ノズル63からの、第3照射色成分光RILの照射に応じた反射光である第3色成分光RRLは、第2ハーフミラー98を透過して第3撮像部93Bに向けて導かれる。
【0104】
第2撮像部93Aは、光源装置91Bによる第1照射色成分光BILの照射と同期して、部品Eを保持した吸着ノズル63の先端部631と基準マークMとが視野内に収まるように撮像し、第1照射色成分光BILの照射に応じた反射光である第1色成分光BRLに基づく第1撮像画像J2(
図11参照)を取得する。第2撮像部93Aは、第2レンズ94Aと、モノクロ画像撮像用の第2撮像素子95Aと、所定の信号処理を行う第2信号処理部96Aとを含む。第2レンズ94Aは、第1照射色成分光BILの照射に応じて入射した第1色成分光BRLを集光し、第2撮像素子95Aに導く光学レンズである。
【0105】
第2撮像素子95Aは、CCDやCMOS等からなるモノクロ画像撮像用の撮像素子である。第2撮像素子95Aは、第2レンズ94Aを介して入射された、第1色成分光BRLを受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより、第2電気信号ES2を生成する。第2撮像素子95Aにより生成される第2電気信号ES2は、第1色成分光BRLに対応した第1色成分信号(青色成分信号)BESを含む。
【0106】
第2信号処理部96Aは、第2撮像素子95Aにより生成された第2電気信号ES2に所定の信号処理を施すことにより、第1画像信号IS1を生成する。第1画像信号IS1は、表示や記録が可能となるようにA/D変換されたデジタル信号である。第1画像信号IS1は、第1撮像画像J2の表示や記録を可能とする信号である。
【0107】
第3撮像部93Bは、光源装置91Bによる第3照射色成分光RILの照射と同期して、部品Eを保持した吸着ノズル63の先端部631と基準マークMとが視野内に収まるように撮像し、第3照射色成分光RILの照射に応じた反射光である第3色成分光RRLに基づく第2撮像画像J3(
図12参照)を取得する。第3撮像部93Bは、第3レンズ94Bと、モノクロ画像撮像用の第3撮像素子95Bと、所定の信号処理を行う第3信号処理部96Bとを含む。第3レンズ94Bは、第3照射色成分光RILの照射に応じて入射した第3色成分光RRLを集光し、第3撮像素子95Bに導く光学レンズである。
【0108】
第3撮像素子95Bは、CCDやCMOS等からなるモノクロ画像撮像用の撮像素子である。第3撮像素子95Bは、第3レンズ94Bを介して入射された、第3色成分光RRLを受光し、その受光した光に対して光電変換を行うことにより、第3電気信号ES3を生成する。第3撮像素子95Bにより生成される第3電気信号ES3は、第3色成分光RRLに対応した第3色成分信号(赤色成分信号)RESを含む。
【0109】
第3信号処理部96Bは、第3撮像素子95Bにより生成された第3電気信号ES3に所定の信号処理を施すことにより、第2画像信号IS2を生成する。第2画像信号IS2は、表示や記録が可能となるようにA/D変換されたデジタル信号である。第2画像信号IS2は、第2撮像画像J3の表示や記録を可能とする信号である。
【0110】
第2撮像部93Aにより取得された第1撮像画像J2と、第3撮像部93Bにより取得された第2撮像画像J3とは、部品認識部13により参照される。部品認識部13の振動量算出部131は、初期画像J1(
図10参照)におけるマーク領域J11上のマーク基準点S2の位置と、第2撮像部93Aにより取得された第1撮像画像J2におけるマーク領域J21上のマーク基準点S21の位置との差を参照することにより、ヘッドユニット6の移動に伴う吸着ノズル63の振動変位量H1を算出する(
図11参照)。また、部品認識部13の部品位置算出部132は、第3撮像部93Bにより取得された第2撮像画像J3に基づき、ノズル先端領域J32の中心S11からの、部品領域J33の中心S3のずれ量H2を算出し、吸着ノズル63の部品保持面632の中心に対する部品Eの位置を算出する(
図12参照)。部品位置算出部132により算出された部品Eの位置を用いることによって、ヘッド駆動制御部12の制御に基づくヘッドユニット6の駆動動作による、基板Kに対する部品Eの搭載精度の向上が図られる。