特許第6899802号(P6899802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899802
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】乗用型作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/30 20060101AFI20210628BHJP
   B62D 7/18 20060101ALI20210628BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   B60K17/30 B
   B62D7/18 A
   B62D49/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-122206(P2018-122206)
(22)【出願日】2018年6月27日
(65)【公開番号】特開2020-1533(P2020-1533A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2020年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小谷 伸介
(72)【発明者】
【氏名】今西 亮太
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−102813(JP,A)
【文献】 実開平04−074106(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/30
B62D 7/18
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体に、車体フレームと、複数の走行車輪とが備えられ、
前記走行車輪が、上下方向に延びる筒状の支持部材を介して前記車体フレームに支持されている乗用型作業車であって、
前記支持部材が、上下方向に伸縮可能に構成され、
前記支持部材を伸縮操作して前記走行車輪の前記車体フレームに対する相対高さを複数段階に切り換え可能な油圧操作式の車高調節機構が備えられ、
前記車高調節機構に、前記支持部材の伸縮方向に沿って伸縮操作可能な複数の油圧シリンダが備えられ、
前記複数の油圧シリンダは、前記支持部材の外周側において周方向に異なる位置であって且つ前記支持部材を挟んで対向する位置に配置されており、
前記車高調節機構に、前記支持部材における上下方向の中間部に対応する箇所に位置して前記複数の油圧シリンダの一端部を支持するベース部材が備えられ、
前記支持部材は、外筒部材と、前記外筒部材に挿入された内筒部材とを備え、前記外筒部材と前記内筒部材とが軸心方向に相対的に移動することで伸縮し、
前記支持部材が最も伸長した状態において前記内筒部材と前記外筒部材とが重なり合う重合部の外周側が前記ベース部材により支持されている乗用型作業車。
【請求項2】
走行車体に、車体フレームと、複数の走行車輪とが備えられ、
前記走行車輪が、上下方向に延びる筒状の支持部材を介して前記車体フレームに支持されている乗用型作業車であって、
前記支持部材が、上下方向に伸縮可能に構成され、
前記支持部材を伸縮操作して前記走行車輪の前記車体フレームに対する相対高さを複数段階に切り換え可能な油圧操作式の車高調節機構が備えられ、
前記車高調節機構に、前記支持部材の伸縮方向に沿って伸縮操作可能な複数の油圧シリンダが備えられ、
前記複数の油圧シリンダは、前記支持部材の外周側において周方向に異なる位置であって且つ前記支持部材を挟んで対向する位置に配置され、
前記車高調節機構に、前記支持部材における上下方向の中間部に対応する箇所に位置して前記複数の油圧シリンダを支持するベース部材が備えられ、
前記複数の油圧シリンダとして、前記ベース部材に対して上方側に向けて伸長操作可能な上側油圧シリンダと、前記ベース部材に対して下方側に向けて伸長操作可能な下側油圧シリンダとが備えられ、
前記上側油圧シリンダと前記下側油圧シリンダとが前記周方向に位置を異ならせて配置されている乗用型作業車。
【請求項3】
前記車高調節機構は、
前記上側油圧シリンダの油室と前記下側油圧シリンダの油室とを接続する連通油路を備え、
前記連通油路を閉状態に切り換えている状態で前記上側油圧シリンダの油室に作動油を供給して前記上側油圧シリンダを伸長操作させたのちに、前記連通油路を開状態に切り換えて前記下側油圧シリンダの油室に作動油を供給する順次作動モードと、
前記連通油路を開状態に切り換えている状態で前記上側油圧シリンダの油室及び前記下側油圧シリンダの油室に同時に作動油を供給する同時作動モードと、に切り換え可能に構成されている請求項2に記載の乗用型作業車。
【請求項4】
前記連通油路が、前記ベース部材の内部を挿通する状態で形成されている請求項3に記載の乗用型作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体に、車体フレームと、複数の走行車輪とが備えられ、前記走行車輪が、上下方向に延びる筒状の支持部材を介して前記車体フレームに支持されている乗用型作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の乗用型作業車において、従来では、縦向き伝動軸及びその縦向き伝動軸を覆う筒状の支持部材としての縦向きケースが上下方向に長く設けられ、走行車体の地上高を大きくしてハイクリアランス仕様に構成されたものがあり、縦向きケースの上下長さは予め定められた一定の長さに設定されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この構成であれば、例えば、走行車体の後部に施肥装置や薬剤散布装置を装着して、左右の走行車輪が畝を跨いで圃場を走行しながら、肥料や除草剤等の薬剤を作物に供給する作業を行うような場合に、走行車体の地上高を高くして、圃場に形成された畝や、植え付けられた作物に車体が接触しない状態で走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−94907号公報
【特許文献2】特開平7−195902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、縦向きケースの上下長さが一定に固定されているので、作物の生育状態や種類の違い又は作業状況の違い等により、走行車体の地上高に過不足が生じる不利があった。例えば、作物の生育がよく背高であれば、そのままの地上高では作物に車体が接触するおそれがある。それ以外にも、作業車が圃場に出入りする際に、畦を乗り越えて走行するときに、そのままの地上高では走行車体の地上高が高すぎて姿勢が不安定になる等のおそれもある。
【0006】
ところで、走行車体の地上高を変更するための構成として、走行車輪を支持する筒状の支持部材としての縦向き伝動ケースに、走行車輪の回転軸を支持する車輪支持ケースの取付位置を変更させて走行車体の地上高を変更できるようにする構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、縦向き伝動ケースの出力軸に対して、走行車輪の回転軸を偏心させた状態で且つ出力軸の軸芯周りで回動して位置変更可能な状態で車輪支持ケースを取り付け、車輪支持ケースの回動位置を変更させてボルトで位置固定することで、走行車体の地上高を変更するようにしたものである。
【0007】
しかし、このように車輪支持ケースの取付位置を変更させる構成では、縦向き伝動ケースと車輪支持ケースとの間の摺動抵抗が大きくなり、車輪支持ケースの回動操作が円滑に行えなくなるおそれがあり、ボルトによる固定作業等の煩わしい作業が必要であった。さらには、走行車体の地上高を変更可能な調節量も十分ではなく、使い勝手が良くない不利があった。
【0008】
そこで、煩わしい手間を掛けることなく且つ円滑に、作物の生育状態や作物の種類の違い又は作業状況の違い等に応じて、走行車体の地上高を最適な高さに設定できるようにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る乗用型作業車の特徴構成は、走行車体に、車体フレームと、複数の走行車輪とが備えられ、前記走行車輪が、上下方向に延びる筒状の支持部材を介して前記車体フレームに支持されているものであって、前記支持部材が、上下方向に伸縮可能に構成され、前記支持部材を伸縮操作して前記走行車輪の前記車体フレームに対する相対高さを複数段階に切り換え可能な油圧操作式の車高調節機構が備えられ、前記車高調節機構に、前記支持部材の伸縮方向に沿って伸縮操作可能な複数の油圧シリンダが備えられ、前記複数の油圧シリンダは、前記支持部材の外周側において周方向に異なる位置であって且つ前記支持部材を挟んで対向する位置に配置されており、前記車高調節機構に、前記支持部材における上下方向の中間部に対応する箇所に位置して前記複数の油圧シリンダの一端部を支持するベース部材が備えられ、前記支持部材は、外筒部材と、前記外筒部材に挿入された内筒部材とを備え、前記外筒部材と前記内筒部材とが軸心方向に相対的に移動することで伸縮し、前記支持部材が最も伸長した状態において前記内筒部材と前記外筒部材とが重なり合う重合部の外周側が前記ベース部材により支持されている点にある。
【0010】
本構成によれば、複数の油圧シリンダを備えた車高調節機構によって支持部材が上下方向に伸縮操作されると、走行車輪の車体フレームに対する相対高さを複数段階に切り換えることができる。複数の油圧シリンダは、支持部材の外周側において周方向に異なる位置であって且つ支持部材を挟んで対向する位置に配置されているから、支持部材は複数の油圧シリンダによって均等に操作力を受けるので、偏荷重が掛かって拗れる等の不利のない状態で円滑に支持部材を伸縮させることができる。しかも、油圧シリンダが伸縮操作することで対応できるので、手動による位置固定用の連結作業等は不要であり、煩わしい手間を掛ける必要はない。
【0011】
従って、煩わしい手間を掛けることなく且つ円滑に、作物の生育状態や作物の種類の違い又は作業状況の違い等に応じて、走行車体の地上高を最適な高さに設定できるようにすることが可能となった。
【0012】
別の本発明に係る乗用型作業車の特徴構成は、走行車体に、車体フレームと、複数の走行車輪とが備えられ、前記走行車輪が、上下方向に延びる筒状の支持部材を介して前記車体フレームに支持されているものであって、前記支持部材が、上下方向に伸縮可能に構成され、前記支持部材を伸縮操作して前記走行車輪の前記車体フレームに対する相対高さを複数段階に切り換え可能な油圧操作式の車高調節機構が備えられ、前記車高調節機構に、前記支持部材の伸縮方向に沿って伸縮操作可能な複数の油圧シリンダが備えられ、前記複数の油圧シリンダは、前記支持部材の外周側において周方向に異なる位置であって且つ前記支持部材を挟んで対向する位置に配置され、前記車高調節機構に、前記支持部材における上下方向の中間部に対応する箇所に位置して前記複数の油圧シリンダを支持するベース部材が備えられ、前記複数の油圧シリンダとして、前記ベース部材に対して上方側に向けて伸長操作可能な上側油圧シリンダと、前記ベース部材に対して下方側に向けて伸長操作可能な下側油圧シリンダとが備えられ、前記上側油圧シリンダと前記下側油圧シリンダとが前記周方向に位置を異ならせて配置されている点にある。
【0013】
本構成によれば、車高調節機構は、上側油圧シリンダが伸縮すると、ベース部材よりも上側の領域が伸縮し、下側油圧シリンダが伸縮すると、ベース部材よりも下側の領域が伸縮する。上側油圧シリンダと下側油圧シリンダとが共に伸長作動すると、車高調節機構全体が上下方向に長い最長状態に切り換えることができる。上側油圧シリンダと下側油圧シリンダとが共に縮退作動すると、車高調節機構全体が上下方向に短い最短状態に切り換えることができる。そして、上側油圧シリンダ又は下側油圧シリンダのいずれか一方が伸長作動し、他方が縮退作動すると、車高調節機構全体が最短状態と最長状態との中間に位置する中間長状態に切り換えることができる。
【0014】
このように構成することで、夫々の油圧シリンダとして伸縮操作量が短い小型のものを使用しながらも、車高調節機構全体の伸縮調節量を長くすることができる。しかも、複数の油圧シリンダに対して、最大状態まで作動油を供給する状態と、作動油を排出する状態とを選択することで、特別な位置制御を行うことなく、作動油を供給する状態と作動油を排出する状態とに切り換えるという簡単な油圧供給構成によって、車高調節機構を、最短状態、中間長状態、最長状態の3段階に切り換えることが可能となる。
【0015】
本発明においては、前記車高調節機構は、前記上側油圧シリンダの油室と前記下側油圧シリンダの油室とを接続する連通油路を備え、前記連通油路を閉状態に切り換えている状態で前記上側油圧シリンダの油室に作動油を供給して前記上側油圧シリンダを伸長操作させたのちに、前記連通油路を開状態に切り換えて前記下側油圧シリンダの油室に作動油を供給する順次作動モードと、前記連通油路を開状態に切り換えている状態で前記上側油圧シリンダの油室及び前記下側油圧シリンダの油室に同時に作動油を供給する同時作動モードと、に切り換え可能に構成されていると好適である。
【0016】
本構成によれば、作動油供給源から作動油を上側油圧シリンダに供給すると、上側油圧シリンダだけでなく連通油路を通して下側油圧シリンダにも作動油を供給することができる。そして、連通油路の開閉状態を切り換えることで、上側油圧シリンダと下側油圧シリンダとを順次作動させるようにしたり、上側油圧シリンダと下側油圧シリンダとを同時に作動させるようにする等、作業状況の違いによって使い分けすることが可能であり、使い勝手が向上する。
【0017】
本発明においては、前記連通油路が、前記ベース部材の内部を挿通する状態で形成されていると好適である。
【0018】
本構成によれば、連通油路がベース部材の内部に形成されており、外部を迂回するように特別な油圧配管を設ける必要がないので、伸縮作動の際に配管が邪魔になったり、配管の耐久性が低下する等の不利のない状態で、良好に車高調節機構を作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】作業車の全体側面図である。
図2】作業車の車輪支持構造を示す平面図である。
図3】車輪支持構造を示す正面図である。
図4】車輪支持構造の一部の斜視図である。
図5】車輪支持構造の一部の斜視図である。
図6】作動アームの係合状態を示す平面図である。
図7】最大伸長状態の車高調節機構の横断正面図である。
図8】中間伸長状態の車高調節機構の横断正面図である。
図9】最短状態の車高調節機構の横断正面図である。
図10】ベース部材を示す図である。
図11】ベース部材の横断平面図である。
図12】ストロークセンサの構造を示す断面図である。
図13】別実施形態のストロークセンサの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に本発明に係る乗用型作業車が示されている。この作業車は、4輪走行型の走行車体1の後部に作業装置としての薬剤散布装置2が備えられている。この作業車は、既に作物が植え付けられている圃場において、作物の植付条を跨いで走行しながら作物に対して薬剤を散布する作業を行うものである。
【0021】
走行車体1の前部の左右両側に旋回操作可能な走行車輪Sとしての一対の前輪3が備えられ、走行車体1の後部の左右両側に旋回操作可能な走行車輪Sとしての一対の後輪4が備えられている。このように4輪が全て旋回可能であり、例えば、2つの前輪3だけを旋回させる2輪操舵状態と、前輪3と後輪4とを逆方向に旋回させて小さい旋回半径で走行する4輪操舵状態とに切り換え可能である。
【0022】
前輪3及び後輪4は、作物条の間に位置する条間を走行することができるように幅狭に形成されている。走行車体1の前部にエンジン5が搭載され、走行車体1の後部に運転部6が備えられている。走行車体1の下部には、エンジン5の動力を変速する図示しない変速装置を内装するミッションケース7が備えられている。ミッションケース7は、エンジン5の後下部から側面視で後輪4に対応する箇所まで前後方向に延びる状態で設けられている。エンジン5の下部側には外周部を覆う状態で前部側フレーム体8が備えられている。ミッションケース7と前部側フレーム体8とが一体的に連結されており、これらにより車体全体を支持する車体フレームFが構成されている。運転部6には、運転者が着座する運転座席9と、運転座席9の前方に位置してステアリング操作を行うステアリングハンドル10とが備えられている。運転部6には、それ以外に、作業装置を昇降するための昇降レバー11や変速レバー12等も備えられている。
【0023】
走行車体1は、エンジン5の動力が、ミッションケース7内の変速装置にて変速されたのち、左右の前輪3及び左右の後輪4に伝達される。従って、走行車体1は、4つの走行車輪Sが駆動される4輪駆動型に構成されている。図2に示すように、ミッションケース7の左右両側に連結された筒状の後部横向き伝動ケース13(車体側ケースの一例)の内部に横向き伝動軸14が備えられ、変速後の動力が横向き伝動軸14を介して左右両側の後輪4に伝達される。後部横向き伝動ケース13は、ミッションケース7すなわち車体フレームFに支持されている。
【0024】
図2に示すように、左右の前輪3の左右中間部に、筒状の前部横向き伝動ケース15(車体側ケースの一例)が備えられ、ミッションケース7からの動力が前後向きの中間軸16、横向き伝動ケース15内に備えられた差動機構(図示せず)と横向き伝動軸18とを介して左右の前輪3に伝達される。前部横向き伝動ケース15は、車体フレームFに対して中間軸16と同一軸芯である前後軸芯X周りでローリング自在に支持されている。
【0025】
図3に示すように、前部横向き伝動ケース15の左右方向両側端部には、支持部材としての縦向き伝動ケース19が接続されている。そして、図7に示すように、縦向き伝動ケース19内には縦向き伝動軸20が備えられている。前部横向き伝動ケース15に備えられた横向き伝動軸18の軸端部と縦向き伝動軸20の上端部とが上側のベベルギア機構21を介して連動連結されている。縦向き伝動軸20の下端部と前輪3の回転軸3aとが下側のベベルギア機構22を介して連動連結されている。
【0026】
そして、走行車輪Sは車体フレームFに対して縦向き伝動軸20の回転軸芯Y周りで向き変更可能に支持されている。縦向き伝動ケース19と縦向き伝動軸20を有する車輪の支持構造は、4個の走行車輪Sの夫々について同じ構成であるから、そのうちの1つである一方の前輪3の支持構造について、以下に説明する。
【0027】
〔車輪支持構造〕
図4,5,7に示すように、前部横向き伝動ケース15の端部は、上側のベベルギア機構21を覆う状態で正面視で湾曲状に折れ曲がる形状となっており、下向きに開放する開口が形成されている。縦向き伝動ケース19の上端部に一体的に連結された上部接続体23が、開口を覆うように前部横向き伝動ケース15の端部に、縦向き伝動軸20の回転軸芯Y周りで回動可能に嵌合接続されている。図7に示すように、縦向き伝動ケース19の下端部には、下側のベベルギア機構22を覆うとともに、前輪3の回転軸3aを支持するための車輪支持ケース24が連結されている。
【0028】
上部接続体23が嵌合接続されている状態で抜け外れるのを防止する抜け止め具25が備えられている。図5に示すように、抜け止め具25は、帯板状の部材からなり、一端部が上部接続体23の外周部にボルト連結され、他端部が前部横向き伝動ケース15の端部に形成された段差部26に係合して抜け外れを防止する。
【0029】
図2,3,4に示すように、前部横向き伝動ケース15の前方に位置して前部横向き伝動ケース15に対して平行な姿勢で、ステアリング操作用の複動型の油圧シリンダ27(以下、ステアリングシリンダと称する)が備えられている。ステアリングシリンダ27のシリンダチューブ28がブラケット29を介して前部横向き伝動ケース15に連結されている。ステアリングシリンダ27のピストンロッド30がボールジョイント31を介してタイロッド32の一端部に連動連結され、タイロッド32の他端部がボールジョイント33を介して上部接続体23に設けられたナックルアーム34に連動連結されている。
【0030】
ステアリングシリンダ27が作動することにより、ナックルアーム34と上部接続体23を介して、縦向き伝動ケース19、車輪支持ケース24及び前輪3の夫々が一体的に縦向き伝動軸20の回転軸芯Y周りで回動して、前輪3が向き変更操作される。ステアリングシリンダ27は、ステアリングハンドル10の操作に応じて、図示しない制御装置によって油圧制御弁が切り換え操作されて、直進走行用の中立位置から左方向あるいは右方向に油圧によってスライド操作される。
【0031】
前部横向き伝動ケース15の端部の上部には、上部接続体23の回動角すなわち前輪3の回動角を検出する回動角検出装置35が備えられている。回動角検出装置35は、前部横向き伝動ケース15の上部に固定状態で備えられたポテンショメータ式の検出装置本体36と、帯板状の作動アーム37とを備えている。作動アーム37は、一端部が上部接続体23の外周部にボルト連結され、他端部が検出装置本体36から下方に突出する回動軸38に一体回動可能に係合連係されている。
【0032】
図3,4に示すように、検出装置本体36は、ケーシング39により外周部が覆われており、ケーシング39は前部横向き伝動ケース15の端部の上部に連結されている。作動アーム37は、上部接続体23に対する連結箇所から斜め上方に延びる状態で備えられている。図6に示すように、回動軸38は、断面が矩形状になるように加工されており、作動アーム37の他端部に形成された矩形状の係合溝40が係合して、作動アーム37と一体回動する状態で連動連係されている。
【0033】
前部横向き伝動ケース15の端部には、上部接続体23の回動操作の範囲を規制する回動規制部41が形成されている。上部接続体23に形成された上方突出部42が回動規制部41にて設定された範囲内で回動することを許容する構成となっている。
【0034】
ステアリングシリンダ27の作動によって、上部接続体23すなわち縦向き伝動ケース19及び前輪3が、回動規制部41によって規制された作動範囲内で回動することができる。上部接続体23の回動操作角が回動角検出装置35によって検出され、図示しない制御装置にフィードバックされて、ステアリングハンドル10の操作に対応する旋回角になるようにステアリングシリンダ27が制御される。
【0035】
〔車高調節機構〕
縦向き伝動軸20及び縦向き伝動ケース19の夫々が、縦向き伝動軸20の軸芯方向に摺動しながら伸縮可能な内外二重構造に構成されている。図7,8,9に示すように、縦向き伝動ケース19は、外筒部材19Aと内筒部材19Bとを有し、それらが摺動しながら伸縮可能となるように構成されている。縦向き伝動ケース19は、外筒部材19Aが下側に位置し、内筒部材19Bが上側に位置する状態で備えられ、外筒部材19Aの下端部が車輪支持ケース24に一体的に連結され、内筒部材19Bの上端部が上部接続体23に一体的に連結されている。
【0036】
図7,8,9に示すように、縦向き伝動軸20は、筒軸20Aと、筒軸20Aの内部にスプライン嵌合して一体回転する状態を維持しながら軸芯方向にスライド可能な内軸20Bとを有している。内軸20Bの上端部が上側のベベルギア機構21に一体回転可能に連結されている。筒軸20Aの下端部が下側のベベルギア機構22に一体回転可能に連結されている。
【0037】
縦向き伝動軸20及び縦向き伝動ケース19を、縦向き伝動軸20の回転軸芯Y方向に伸縮操作して、前輪3の車体フレームFに対する相対高さを複数段階に切り換え可能な油圧操作式の車高調節機構43が備えられている。図3,7,8,9に示すように、車高調節機構43に、縦向き伝動軸20の軸芯方向に沿って延びる複数の油圧シリンダ44と、複数の油圧シリンダ44を支持するベース部材45とが備えられている。複数の油圧シリンダ44は、縦向き伝動ケース19の外周側において周方向に異なる位置であって且つ縦向き伝動ケース19を挟んで対向する位置に配置されている。
【0038】
説明を加えると、複数の油圧シリンダ44として、ベース部材45に対して上方側に向けて伸長操作可能な2個の上側油圧シリンダ44aと、ベース部材45に対して下方側に向けて伸長操作可能な2個の下側油圧シリンダ44bとが備えられている。2個の上側油圧シリンダ44aは、縦向き伝動ケース19の外周側において周方向に異なる位置であって且つ縦向き伝動ケース19を挟んで対向する位置に配置されている。2個の下側油圧シリンダ44bも同様に、縦向き伝動ケース19の外周側において周方向に異なる位置であって且つ縦向き伝動ケース19を挟んで対向する位置に配置されている。
【0039】
上側油圧シリンダ44aと下側油圧シリンダ44bとが、周方向に位置を異ならせて配置されている。すなわち、図10に示すように、軸芯方向視で2個の上側油圧シリンダ44aの周方向の略中間部に位置する状態で下側油圧シリンダ44bが位置している。
【0040】
上側油圧シリンダ44aは、ピストンロッド46が上側に位置し、シリンダチューブ47が下側に位置する状態で設けられ、下側油圧シリンダ44bは、ピストンロッド48が下側に位置し、シリンダチューブ49が上側に位置する状態で設けられている。2個の上側油圧シリンダ44aのピストンロッド46の先端部が上部接続体23に一体的に連結され、2個の下側油圧シリンダ44bのピストンロッド48の先端部が車輪支持ケース24に一体的に連結されている。2個の上側油圧シリンダ44aのシリンダチューブ47及び2個の下側油圧シリンダ44bのシリンダチューブ49は、ベース部材45と一体的に連結されている。従って、上側油圧シリンダ44aはベース部材45に対して上方側に位置し、下側油圧シリンダ44bはベース部材45に対して下方側に位置することになる。
【0041】
縦向き伝動ケース19の上端部及び2つの上側油圧シリンダ44aの上端部が上部接続体23に一体的に連結され、2つの下側油圧シリンダ44bの下端部が車輪支持ケース24に一体的に連結されている。又、2つの上側油圧シリンダ44aのシリンダチューブ47と、2つの下側油圧シリンダ44bのシリンダチューブ49とがベース部材45に一体的に連結されている。従って、上部接続体23と車輪支持ケース24とが、4つの油圧シリンダ44とベース部材45を介して一体的に連結されており、ステアリングシリンダ27が作動すると、それらの部材が一体的に回動して、前輪3が旋回操作される。
【0042】
4つの油圧シリンダ44を伸長操作して、図7に示すように、縦向き伝動ケース19が最も伸長した状態において、内筒部材19Aと外筒部材19Bとが重なり合う重合部50の外周側がベース部材45により支持されている。このように、縦向き伝動ケース19が伸長することにより重合部50の上下幅が狭い場合であっても、ベース部材45によって外周側を支持することにより、支持強度の低下を防止している。
【0043】
図7,8,9に示すように、上部接続体23が回動可能に接続される横向き伝動ケース15の端部に、縦向き伝動ケース19の内部を回動可能に支持する支持ボス部51が、縦向き伝動ケース19の径方向内方側に位置して、回転軸芯Y方向に沿って下方に延びる状態で設けられている。すなわち、横向き伝動ケース15の端部において、ベアリング52を介して上部接続体23の内周側を回動可能に支持する支持ボス部51が、縦向き伝動軸20の軸芯方向に沿って一体的に下方に延びる状態で延長形成されている。支持ボス部51は、ベアリング53を介して内周側に位置する縦向き伝動軸20を回動可能に支持している。
【0044】
支持ボス部51は、内筒部材19Bの上下方向の中間部よりも下方側に至るまで下方に長く延びる状態で設けられている。このように上下方向に長い支持ボス部51により内周側から縦向き伝動ケース19を支持することにより、縦向き伝動ケース19の支持強度の低下を防止している。
【0045】
車高調節機構43に、ベース部材45の内部を挿通する状態で、上側油圧シリンダ44aの油室54と下側油圧シリンダ44bの油室55とを接続する連通油路56が形成されている。そして、連通油路56を閉状態に切り換えている状態で上側油圧シリンダ44aの油室54に作動油を供給して上側油圧シリンダ44aを伸長操作させたのちに、連通油路56を開状態に切り換えて下側油圧シリンダ44bの油室55に作動油を供給する順次作動モードと、連通油路56を開状態に切り換えている状態で上側油圧シリンダ44aの油室54及び下側油圧シリンダ44bの油室55に同時に作動油を供給する同時作動モードと、に切り換え可能に構成されている。
【0046】
説明を加えると、図7,8,9に示すように、上部接続体23に一体的に連結された上側油圧シリンダ44aのピストンロッド46の軸内部に軸芯方向に沿って延びる内部油路57が形成されている。上部接続体23に作動油供給口58が形成され、作動油供給口58は内部油路57に連通接続されている。図示はしていないが、走行車体1に備えられた油圧ポンプから油圧制御弁を介して作動油が作動油供給口58に供給される。このように、ピストンロッド46の軸内部に内部油路57が形成されているから、この内部油路57を利用して作動油を油室内に供給することができ、作動油供給口58から特別な外部配管等を設ける必要がなく、油圧配管の簡素化を図ることができる。
【0047】
図11に示すように、ベース部材45の上下中間位置において、上側油圧シリンダ44aのシリンダチューブ47の内部の油室54と下側油圧シリンダ44bのシリンダチューブ49の内部の油室55とを連通する連通油路56が、ベース部材45に一体形成されている。連通油路56の経路中間部に電磁操作式の開閉弁59が備えられている。
【0048】
図9に示すように、4つの油圧シリンダ44が全て縮退している最短状態から、開閉弁59を閉状態に切り換えて連通油路56を遮断して、2つの上側油圧シリンダ44aに対して作動油供給口58から作動油を供給する。そうすると、2つの上側油圧シリンダ44aだけが伸長状態に切り換わり、2つの下側油圧シリンダ44bが縮退状態を維持する中間伸長状態となる(図8参照)。
【0049】
次に、開閉弁59を開操作して、作動油供給口58から作動油をさらに供給すると、上側油圧シリンダ44aのシリンダチューブ47の油室54から連通油路56を通して下側油圧シリンダ44bのシリンダチューブ49の油室55に作動油が供給される。そうすると、2つの上側油圧シリンダ44a及び2つの下側油圧シリンダ44bが夫々、伸長状態に切り換わる最大伸長状態となる(図7参照)。このように最短状態から中間伸長状態を介して最大伸長状態に切り換わる作動モードが、順次作動モードである。従って、順次作動モードでは、走行車体1の地上高(車高)を、低位置(最短状態)、中間位置(中間伸長状態)、高位置(最大伸長状態)の3段階に切り換えることができる。
【0050】
図9に示すように、4つの油圧シリンダ44が全て縮退している最短状態から、開閉弁59を開状態に切り換えて連通油路56を開放させて、2つの上側油圧シリンダ44aに対して作動油供給口58から作動油を供給すると、内部油路57及び連通油路56を介して作動油が供給され、2つの上側油圧シリンダ44a及び2つの下側油圧シリンダ44bが夫々、同時に伸長状態になり、最大伸長状態に切り換わる(図7参照)。このような最短状態から最大伸長状態に切り換わる作動モードが、同時作動モードである。従って、同時作動モードでは、走行車体1の地上高(車高)を、低位置(最短状態)、高位置(最大伸長状態)の2段階に切り換えることができる。
【0051】
図示はしていないが、順次作動モードと同時作動モードの切り換えは、運転部6に備えられたモード切換操作具により行い、車高変更操作は、運転部6に備えられた車高切換操作具により行うことが可能であり、図示しない制御装置が、モード切換操作具と車高切換操作具の操作に応じて、油圧制御弁と開閉弁59とを対応する状態に切り換えるように作動を制御する。尚、順次作動モードと同時作動モードとを夫々備える構成に限らず、いずれか一方のモードを備える構成としてもよい。
【0052】
図3に示すように、縦向き伝動ケース19における車体横幅方向の内方側に位置して、縦向き伝動ケース19の延設方向に沿って上下に延びる状態で操作量検出手段としてのストロークセンサ60が備えられている。このストロークセンサ60は、上部接続体23と車輪支持ケース24の下部に設けられた支持ブラケット61とに亘って設けられている。
【0053】
図12に示すように、4つの油圧シリンダ44の伸縮操作に伴って相対移動する第1部材としての外筒62と、外筒62に摺動可能に内嵌される第2部材としての内筒63とを備えるとともに、外筒62及び内筒63の外方に臨む端部が閉塞されて、内部に閉塞空間が形成されたシリンダ構造の筒状摺動部材64が備えられている。筒状摺動部材64は、外筒62の上端部が上部接続体23に連結され、内筒63の下端部が支持ブラケット61に連結されている。
【0054】
図12に示すように、筒状摺動部材64の内部にストロークセンサ60が収納されている。ストロークセンサ60は、外筒62に一体的に移動する状態で備えられ且つ外周部に螺旋羽根65が一体的に形成されているスクリュー軸66と、内筒63に備えられ且つ内筒63と外筒62との相対移動に伴って螺旋羽根65に摺接作用してスクリュー軸66を回転するように案内する摺接部材67と、スクリュー軸66の回転数を検知可能な回転検出センサとしての電磁式のピックアップセンサ68とを有している。
【0055】
スクリュー軸66は、外筒62の上側端部に設けられた支持部69により、軸芯方向に沿って一体的に移動する状態で、且つ、周方向に回動可能に支持されている。スクリュー軸66は内筒63の内部に沿って延設されている。内筒63の上側端部には、スクリュー軸66に外挿され且つ螺旋羽根65に摺接作用する摺接部材67が備えられている。スクリュー軸66において、摺接部材67よりも上側に延びる箇所に検出用ギア70が備えられている。外筒62には、検出用ギア70の外周部に対応する箇所に周知構成の電磁式のピックアップセンサ68が備えられている。ピックアップセンサ68は、例えば、農業機械やその他の装置に幅広く用いられており、回転数を的確に検出することができる。
【0056】
4つの油圧シリンダ44の伸縮操作に伴って外筒62と内筒63とが軸芯方向に相対移動すると、スクリュー軸66の螺旋羽根65が摺接部材67の摺接作用を受けて、移動量に相当する回転量だけスクリュー軸66が回転する。ピックアップセンサ68は、スクリュー軸66の回転に伴う検出用ギア70の歯が通過するときに発生する電流の波形に基づいてスクリュー軸66の回転数を検出することができる。そして、回転を開始してから停止するまでのスクリュー軸66の回転数をカウントすることにより、スクリュー軸66の軸芯方向の移動量(4つの油圧シリンダ44の伸縮操作に伴う伸縮操作量)を求めることができる。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、支持部材としての縦向き伝動ケース19に内部に、縦向き伝動軸20が備えられ、縦向き伝動ケース19と縦向き伝動軸20の夫々が、縦向き伝動軸20の軸芯方向に摺動しながら伸縮可能な内外二重構造に構成されるものを示したが、この構成に代えて、縦向き伝動ケース19の内部には、伝動軸が備えられていない構成としてもよい。すなわち、走行車輪は、非駆動状態で自由回動する状態である。
【0058】
(2)上記実施形態では、車高調節機構43に、軸芯方向に沿って延びる複数の油圧シリンダとして、2つの上側油圧シリンダ44aと2つの下側油圧シリンダ44bとが備えられる構成としたが、この構成に代えて、上側油圧シリンダ44a及び下側油圧シリンダ44bが3つ以上備えられ、それらが周方向に均等に振り分け配置される構成としてもよく、あるいは、軸芯方向に沿って上下方向に長い油圧シリンダを複数(2個以上)備え、それらが周方向に均等に振り分け配置される構成としてもよい。
【0059】
(3)上記実施形態では、車高調節機構43が、順次作動モードと同時作動モードとに切り換え可能に構成されるものを示したが、このような構成に代えて、順次作動モードと同時作動モードのうちのいずれか一方だけを実行する構成としてもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、ベース部材の内部を挿通する状態で連通油路が形成される構成としたが、この構成に代えて、連通油路をホースや外部配管によって構成してもよい。又、このような連通油路を設けることなく、上側油圧シリンダ44aと2つの下側油圧シリンダ44bとに作動油を供給する配管を各別に備える構成としてもよい。
【0061】
(5)上記実施形態では、ストロークセンサ60を収容する筒状摺動部材64の外筒62の上側端部に、スクリュー軸66を軸芯方向に一体移動可能に且つ周方向に回動可能に支持する支持部69が備えられ、スクリュー軸66において、摺接部材67よりも上側に延びる箇所に検出用ギア70が備えられる構成としたが、この構成に代えて、次のように構成してもよい。
図13に示すように、スクリュー軸66が支持部69よりも外方側に延出され、その延出した箇所に検出用ギア70が備えられ、それに対応する箇所にピックアップセンサ68を備える構成としてもよい。この構成では、検出用ギア70やピックアップセンサ68のメンテナンス処理を容易に行える。
【0062】
(6)上記実施形態では、油圧制御弁と開閉弁とを作動制御する制御装置、及び、ストロークセンサ60等を備えて、ストロークセンサ60の検出結果に基づいて、車高変更操作を実行するように車高調節機構43の作動を制御する構成としたが、このような複雑な制御を実行する構成に代えて、ストロークセンサ60を設けることなく、手動指令に基づいて、上側油圧シリンダ44aと2つの下側油圧シリンダ44bを、単に、作動油供給状態と排油状態とに切り換えるだけの簡素な油圧回路構成にしてもよい。
【0063】
(7)上記実施形態では、複数の油圧シリンダ44を支持するベース部材45が備えられ、縦向き伝動ケース19が最も伸長した状態において、内筒部材19Aと外筒部材19Bとが重なり合う重合部50の外周側がベース部材45により支持される構成としたが、この構成に代えて、ベース部材45とは別に縦向き伝動ケース19の重合部50を支持する専用の支持部材を備える構成としてもよい。
【0064】
(8)上記実施形態では、横向き伝動ケース15に、縦向き伝動ケース19の内部を回動可能に支持する支持ボス部51が設けられる構成としたが、この構成に代えて、縦向き伝動ケース19自体の剛性を高いものにして支持ボス部51を設けない構成としてもよい。
【0065】
(9)上記実施形態では、作業装置として薬剤散布装置2が備えられる構成としたが、作業装置としては、施肥装置や他の種類の作業装置を備える構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、複数の走行車輪を備えた乗用型作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 走行車体
19 支持部材(縦向き伝動ケース)
43 車高調節機構
44 油圧シリンダ
44a 上側油圧シリンダ
44b 下側油圧シリンダ
45 ベース部材
54,55 油室
56 連通油路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13