【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項記載の特徴を備えた装置および方法により解決される。本発明の好適な別の構成は従属請求項に記載されている。明細書、請求の範囲、および/または図面に記載された少なくとも2つの特徴から成る全ての組み合わせも本発明の範囲である。記載された数値範囲においては、上記範囲内にある値も、限界値として開示されたものとみなされ、任意の組み合わせで特許請求することができる。
【0007】
本発明によれば、第1の基板を第2の基板に、これら基板の互いに向かい合う接触面で接合する方法であって、以下のステップ、特に以下のシーケンス、すなわち、
第1の基板を第1の保持装置の第1の保持面で保持し、第2の基板を第2の保持装置の第2の保持面で保持するステップ、
基板を保持面に固定エレメントによって取り付けるステップ、
接触面同士の接触前に接触面のうちの少なくとも1つを湾曲させるステップ、を有している方法において、接触後にまずは、ただ1つの接触軸線に沿って一軸的に配置されている固定エレメントだけを停止させ、その他の固定エレメントは作動させたままにし、これにより基板をまずはこの接触軸線に沿って一軸的にのみ互いに接続させ、その後、その他の固定エレメントを停止させ、これにより基板を全面的に互いに接続させる、方法が提案されている。
【0008】
本発明による方法によれば好適には、まずは接触軸線に沿ってのみ基板を接合し、これにより一軸的な歪みしか生じ得ないので、基板の接合の際の歪みを減じることができる。
【0009】
好適な実施形態では、固定エレメントは格子状に配置されており、好適には隣接する固定エレメント間の間隔は一定であるようになっている。好適には固定エレメントを均一に分配することができるので、接触軸線に沿った接合のより良好なコントロールを達成することができる。
【0010】
さらに好適には、固定エレメントは長方形に形成されていて、かつ/または基板の表面に位置する互いに合同とすべき構造体の形状を有している。固定エレメントは特に円形に形成されていてよい。
【0011】
別の好適な実施形態では、固定エレメントを所定のシーケンスで停止させ、好適には内側から外側に向かって、かつ/または同じ時間間隔で停止させるようになっている。好適にはこれにより、保持装置からの基板の解除を特に良好に制御することができ、これにより特に良好な歪みの低減が可能である。
【0012】
好適な選択的な実施形態では、固定エレメントを1つの曲線に沿って、特に1つの直線に沿って、同時に停止させるようになっている。これにより好適には、基板の特に均一な解除が可能であり、これにより歪みは曲線に沿って均一に形成されている。
【0013】
別の好適な実施形態によれば、湾曲を、接触軸線に沿って縦長に形成された1つの変形エレメントによって、かつ/または接触軸線に沿って配置された複数の変形エレメントによって形成するようになっている。このことは好適には、1つのもしくは複数の変形エレメントが接触軸線に適合することにより可能である。これにより特に好適には歪みは接触軸線に沿って均一に形成され得る。特に、基板の特に中心に接触することができる個々の変形エレメントの使用が考えられる。
【0014】
別の好適な実施形態では、湾曲を、対向する基板から見て凸状に形成するようになっている。好適には、凸状の湾曲により、基板を、対向する基板の方向に湾曲させることができる。これにより基板の特に正確な接触が可能であるので、歪みの大幅な低減、もしくは接触軸線に沿った歪みの同心化も可能である。
【0015】
別の好適な実施形態では、両基板の湾曲を互いに鏡像対称的に形成するようになっている。鏡像対称的とは、基板間にある平面に関して鏡像を成すこと意味する。この平面は特に、接合後に生じる接合平面に対して平行である。両基板が互いに鏡像対称的に湾曲されていると、基板はそれぞれの隆起した個所で正確に接触することができるので、特に正確な接触が可能である。
【0016】
別の好適な対応では、接触軸線は、基板のうちの一方の中心を通って、好適には両基板の中心を通って、延在するようになっている。好適にはこの実施形態により、接触軸線が中心で基板を通って延在することができる。これにより好適には、歪みは中心に延在することができ、これにより歪みは均一に形成され得る。
【0017】
別の好適な実施形態では、基板の接触を基板の中心で開始し、好適には基板の接触を、接触軸線に沿って完全に基板の外縁まで行うようになっている。接触が接触軸線に沿って完全に基板の外縁まで行われることにより、基板の全幅に沿って一軸的な接触を行うことができる。これにより歪みは、できるだけ正確に接触軸線に沿って形成され得る。
【0018】
別の好適な実施形態では、両基板の固定を、基板の外縁でのみ行うようになっている。これにより好適には、基板の中心における固定は不要であり、これにより固定は著しく簡単にすることができる。さらにこれにより、解除は中心で制御する必要がない、または極めて僅かにしか制御する必要がないので、解除は容易になる。
【0019】
別の好適な実施形態では、固定エレメントは複数の区域にまとめられており、これら複数の区域は別個に作動および停止させることができ、かつ/または基板の外縁に配置されており、これら複数の区域は好適には互いに均一な間隔で分配されて、基板の外縁に配置されているようになっている。好適にはこれら区域によって、比較的大きな領域を停止および作動させることができる。これにより、解除もしくは固定エレメントの制御を簡単にすることができる。これらの区域が特に互いに均一な間隔で分配されて基板の外縁に配置されているならば、停止すべき区域を相応に選択することにより、解除に特に良好に影響を与えることができる。基板の中心に関して互いに対向する区域が停止される場合には特に、基板の一軸的な解除を行うことができる。
【0020】
本発明によればさらに、第1の基板を第2の基板に、これら基板の互いに向かい合う接触面で接合する装置であって、
第1の基板を第1の保持面で保持する第1の保持装置および第2の基板を第2の保持面で保持する第2の保持装置と、
接触面同士の接触前に接触面のうちの少なくとも1つを湾曲させる湾曲手段と、を有している装置において、
この装置は制御手段を有しており、これにより接触後にまずは、ただ1つの接触軸線に沿って一軸的に配置されている固定エレメントだけを停止させることができ、その他の固定エレメントは作動させたままにすることができ、これにより基板をまずは接触軸線に沿って一軸的にのみ互いに接続させることができ、
その後、その他の固定エレメントを停止させることができ、これにより基板を全面的に互いに接続させることができる、装置が設けられている。
【0021】
本発明の根底を成す思想は、基板がまずはただ1つの軸線に沿って、もしくはただ1つの方向に沿って解除されるように、固定エレメント、特に吸い付けエレメントを停止させる、ということにある。これにより基板は、この軸線もしくはこの方向のみに沿って変形もする。接合ウェーブは実質的に長方形の形状となる。基板はまずはこの軸線もしくはこの方向にのみ沿って、特に基板の中心から外縁へと接合される。これにより好適には基板の歪みを最小にすることができ、これにより接合精度を著しく改善することができる。
【0022】
この方法に関する特徴、実施形態、定義、態様は、装置にも該当し、逆に装置に関する特徴等も方法に関して該当する。
【0023】
好適な実施形態では、かつ/または独立的な発明として、固定エレメントを含む区域を、単数もしくは複数の基板の湾曲に目標通りの影響を与えることができるように、作動もしくは停止させることができる。この場合、これらの区域は、特に基板の外縁にのみ配置されている。
【0024】
特に、湾曲は、基板の対称的な湾曲の偏差が生じるように、これらの区域の切換により影響を与えられる。特に湾曲の対称性は減少する。複数の区域を停止させたときに、基板の湾曲が行われることが考えられ、この湾曲は、
・線的もしくは一軸的な、
・n角形型の、特に
・三角形の、
・四角形の、
・五角形、
・六角形の、
・七角形の、
・八角形の、
・星形の、
対称性を有している。湾曲の対称性は、接合ウェーブが進行する際にできるだけ小さい「ランアウト」が生じるように調節することができる。
【0025】
さらに本発明の根底を成す思想は特に、基板のうちの少なくとも1つを接触前に、または接合前に、特に一軸的に湾曲させ、両基板の少なくとも一方のこの湾曲を、接合中に、特に接合ウェーブの経過中に、好適には溶融接合の際に、湾曲の制御により変更するというものである。他方の(好適には上側の)基板の湾曲も、好適には変更されるが、特に湾曲変更の正確な制御はなく、好適にはこの基板の自動的な接触によって行われる。自動的な接触は特に、基板に作用する重力、および/または基板間のその他の引力によって行われる。一方の(特に下側の)基板の湾曲変更の制御は、特に他方の(特に上側の)基板の湾曲変更と同様に、好適には(好適には測定および制御により)その湾曲変更に依存して行われる。両基板のうちの一方が、特に下側の基板が、他方の、特に上側の基板に対して鏡像対称的ではない湾曲を有している、特に完全に平らに固定されていることも考えられる。
【0026】
湾曲変更とは、特に、基板の出発状態(特に接触前に存在している湾曲)から逸れた状態を意味する。本発明によれば、接触面の接触後の接合は、特に基板の固定のコントロールされた制御により制御される。相応の固定手段は、装置として特に設けられている。
【0027】
本発明の、特に独立した別の態様は、特に個別に切換可能な固定手段の使用にあり、これらの固定手段により、接触面間に進行する接合ウェーブをコントロールして閉ループ制御または開ループ制御することができる。
【0028】
特に接合ウェーブが基板の縁部の全ての点で同時に生じるならば、特に良好な成果が得られる。特にこれには、このような成果が得られる固定と区域の切換とが必要である。
【0029】
好適には、所定の曲線、特に直線に沿った、切換可能な複数の固定手段が同時に停止され、これにより基板は一軸的に湾曲される。
【0030】
湾曲は、重力および/または少なくとも1つの変形エレメントによって形成されてよい。
【0031】
特に独立した、または上記のものと組み合わせ可能な本発明による別の思想は、特にガス流出開口として形成される湾曲手段および/または湾曲変更手段としての少なくとも1つの変形エレメントの使用にある。これにより、基板に対する機械的な接触が回避される。湾曲のコントロールは、上記特徴の組み合わせにより、より正確に行われる。
【0032】
基板は本発明によれば一軸的に湾曲されるのが望ましいので、本発明によれば変形エレメントも細長く形成することができる。しかしながら基板を点状に負荷することができる変形手段の使用も考えられる。別の可能性は、サンプルホルダ内に1つの曲線、特に直線に沿って設けられた複数の変形手段である。
【0033】
本発明は特に、互いに位置合わせされる2つの基板を互いに最適に接合することのできる方法および装置を記載している。この場合、とりわけ根底を成す思想は、両基板の少なくとも一方の湾曲、固定、および/または解放を目的に応じてコントロール、閉ループ制御、または開ループ制御することにより、進行している接合ウェーブを、コントロール、閉ループ制御、または開ループ制御して、接触面に沿って両基板の、特に1つの方向に沿って進行する連続的で最適な接触を行わせる、というものである。したがって、従来技術とは異なり、固定手段は、基板の一軸的な湾曲が生じるように切り換えられる。最適な接触とは、特に、両基板の間の接触面の各個所における「ランアウト」誤差が最小限である、または最良の場合にはなくなることを意味する。
【0034】
1つの構成によれば、基板の固定は、特に複数の区域に分割された複数の固定手段によって行われる。
【0035】
別の構成によれば、少なくとも一方の基板の湾曲は正圧によって行われる。
【0036】
出発状態では、場合によっては設けられている接触面から突出する構造(マイクロチップ、機能部品)や、曲げおよび/または厚さ変動のような基板許容誤差を除くと、基板は通常、特に接触面で概ね平坦である。しかしながら基板は出発状態で多くの場合、ゼロとは異なる曲率を有している。300mmのウェハの場合、100μm未満の曲率が一般的である。数学的に見て、曲率は、その平面状態からの曲線の局所的な偏差の尺度とみなすことができる。具体的には、厚さが直径に比べて小さい基板が考慮される。したがって、良好に近似された場合、平面の曲率と呼ぶことができる。平面の場合、最初に述べた平面状態は、曲率が観測される点における曲線の接線方向平面である。
【0037】
一般的に、物体は、特に基板は、均一な曲率を有しないので、曲率は位置の明示的な関数である。したがって、一例としては、非平面基板が中央では凹状の湾曲を有するが、別の個所では凸状の湾曲を有していることが挙げられる。本発明によれば、湾曲または湾曲変更とは、特記しない限り、巨視的な、すなわち基板全体もしくは接触面に関する湾曲または湾曲変更を意味する。
【0038】
一軸的な湾曲とは、基板を1つの次元もしくは軸線のみに沿って湾曲させる湾曲を意味している。相応にこれにより、単純化された、特に一軸的な延伸状態および引張り状態も生じる(基板の法線方向での引張り状態はこの場合、無視することができる)。特に基板上の構造体が矩形の場合には、「ランアウト」誤差は、1つの次元に沿ってのみ補正されればよいので、「ランアウト」誤差の低減に対して一軸的な延伸状態は極めて良好に作用する。
【0039】
本発明によれば、それぞれ対向する基板から見て凸状の湾曲が好適である。両基板の湾曲が互いに鏡像対称的であるならばさらに好適である。
【0040】
所定の点での湾曲を示す別の可能性は、曲率半径を示すことにある。曲率半径は、表面に接していて、当該表面の点を含む円の半径である。
【0041】
したがって、本発明の主要な実施形態において特に独立的な思想の中心は、互いに接合すべき2つの基板の曲率半径は少なくとも基板の接触領域で、すなわち接合ウェーブの接合フロントで、もしくは接合線で、同じであり、または少なくとも僅かにだけ互いに異なっている、ということにある。基板の接合フロント/接合線における両曲率半径の差は、10m未満であり、好適には1m未満であり、さらに好適には1cm未満であり、さらに好適には1mm未満であり、さらに好適には0.01mm未満であり、最も好適には1μm未満である。一般的に、曲率半径R1,R2を最小にする本発明による全ての実施形態が有利である。
【0042】
上記本発明による実施形態に関する別の重要な中心的思想は、固定手段の停止が、1つの特に直線的な線に沿って行われるので、一般的に多軸的な基板の引張り状態もしくは延伸状態が、一軸的な引張り状態もしくは延伸状態へと移行することにある。多軸的な引張り状態もしくは延伸状態の一軸的な引張り状態もしくは延伸状態への変換により、ランアウトは、あとは1つの次元に関してのみ補正すればよい。
【0043】
換言すると:本発明は、「ランアウト」誤差と呼ばれる局所的な位置合わせ誤差が最小限となるように2つの基板を互いに接合させることができる方法および装置に関する。様々な「ランアウト」誤差については、国際公開第2014/191033号(WO2014191033A1)に詳しく記載されており、これが参照される。
【0044】
この場合、さらに特に本発明の根底を成す思想は、互いに接合させたい両基板の湾曲/湾曲変更を、特に固定、特に広い面部分にわたってコントロール可能な固定により、生じる接合ウェーブに対する影響ファクタが、両基板が接合中に局所的に互いにスライドすることなく、すなわち正確に位置合わせされたままであるように選択されるように、制御することにある。さらに本発明は、本発明により低減された「ランアウト」誤差を含む互いに接合される2つの基板から成る物品を記載する。
【0045】
接合、特に永久接合、好適には溶融接合の際の本発明による特徴的な過程は、基板の両接触面ができるだけ曲線状に、特に直線状に接触することである。好適には接触線もしくは接触軸線は、基板のうちの少なくとも1つの基板の中心に一致する。単数もしくは複数の基板の接触線もしくは接触軸線と中央との間の間隔は本発明によれば特に、100mm未満であり、好適には10mm未満であり、さらに好適には1mm未満であり、さらに好適には0.1mm未満であり、最も好適には0.01mm未満である。以降の記載においては、接触は、通常、線状の接触を意味する。線とは、拡大解釈では、好適には任意の1次元的な輪郭を意味する。
【0046】
特に線状の接触の開始を保証するために、本発明の実施形態によれば、中央の穴および、この穴内を並進運動することができるピンが湾曲手段および/または湾曲変更手段として設けられている保持装置(基板ホルダ)が設けられている。湾曲手段および/または湾曲変更手段として、ピンの代わりに流体を、好適にはガスを、基板に、特に直接、流体加圧するために使用するノズルを使用することも考えられる(流体加圧手段)。さらに両基板が、特に重力および/または予荷重に基づき他方の基板の方向に押される湾曲を有しているという別の前提のもとで、両基板を並進運動により互いに接近させることのできる装置を設けるならば、このような形式のエレメントの使用を完全に省くことすらできる。基板は、並進接近の際に、対応する第2の基板に対して十分僅かな間隔のもとで自動的に接触する。
【0047】
固定エレメントは、本発明の実施形態によれば、設けられた排気穴、1つ以上の円形の排気リップ、またはウェハを固定することができる匹敵する排気エレメントである。静電気的な複数の固定エレメント(固定手段)の使用も考えられる。導入されたガスによる正圧を基板ホルダと基板との間に生成することができる中央の穴または管路におけるピンは、固定された基板の制御可能な曲げのために用いられる(湾曲手段および/または湾曲変更手段)。
【0048】
両基板の中央が接触した後、保持装置の固定手段は、特に、少なくとも一方の基板のコントロールされた変形/湾曲変更が行われるように駆動制御される。本発明によれば、この場合、固定エレメントの停止は、1つの、特にまっすぐな線に沿って行われるので、一軸的な引張り状態もしくは延伸状態が生じる。上側の基板は、一方では重力により、他方では接合ウェーブに沿って両基板の間に作用する接合力により、コントロールされて下方へ引っ張られる。したがって、上側の基板は、停止された固定手段によって規定される線に沿って、中心から下側の基板に接合される。こうして、特に中心から始まる、一般的には非半径方向対称的でない接合ウェーブの本発明による形成が行われる。接合過程の間、両基板は、両基板の間に存在するガス、特に空気を、接合ウェーブの前方に押し出し、これによってガス封入物のない接合境界面を生ぜしめる。上側の基板は、完全に落下される場合には、実際には一種のガスクッション上に位置する。規定された時点を過ぎると、基板ホルダの全ての固定エレメントを停止することができるので、上側の基板は、重力および/または基板自体の間の引力の影響下に任せられる。この時点で、上側の基板の湾曲変更はもはや開ループ制御または閉ループ制御されないが、まわりの条件が既知であるか、または経験的に求められるので、依然としてコントロールされて進行する。このようなコントロールされた湾曲変更および接合ウェーブの進行に基づき、下側の基板の湾曲変更は開ループ制御または閉ループ制御される。しかしながら本発明による好適な構成は、上側の基板を放置するのではなく、接合ウェーブが少なくとも基板面積の10%以上にわたって、好適には20%以上にわたって、さらに好適には30%以上にわたって、さらに好適には50%以上にわたって、最も好適には75%以上にわたって広がるまでは、両基板を完全にコントロールすることにある。
【0049】
上側の保持装置の全ての固定エレメントが停止された上記の時点以降は、特別な付加的な固定は必要ない。すなわち上側の基板は、接合開始個所における固定を除いては自由に動くことができ、歪む場合もある。本発明により進行する接合ウェーブ、接合ウェーブフロントで生じる引張り状態、および存在している幾何学的縁部条件により、半径方向の厚さに比べて無限に小さい各円セグメントは歪みを受ける。しかし、基板は剛性的な物体であるので、歪みは中心からの距離の関数として合算される。このことは、本発明による方法および本発明による装置によって取り除かれる「ランアウト」誤差を招く。接合ウェーブが進行する時間区分全体の間に上側の基板は固定されて保持され、接合ウェーブの進行は、固定エレメントの連続的なスイッチオフにより、特に基板ホルダの内部の固定エレメントから開始することにより進展することができることも考えられる。接合ウェーブの進行は、特に、接合ウェーブの進行中に、両基板ホルダが互いに対して相対的に接近することにより、良好にすすめることもできる。
【0050】
接触前の基板間の間隔は、0〜10mm、好適には0〜1000μm、さらに好適には0〜500μm、最も好適には0〜100μmである。
【0051】
本発明による別の実施形態では、特に上側の基板は、本発明による区域の固定エレメントを介して有限数の位置でのみ固定されるので、特に重力および/または変形エレメントによって、半径方向の対称性とは著しく逸れている、対称性の低い曲げが生じる。この場合、間隔とは、基板間の最小の距離を意味する。
【0052】
したがって、本発明は特に、接合される2つの基板の間の「ランアウト」誤差を、特に熱動力学的な、かつ/または機械的な補償機構により、接合の際に減じる、または完全になくしさえするための方法および装置に関する。
【0053】
さらに、本発明は、本発明による装置および本発明による方法を用いて製造される、相応する物品に関する。
【0054】
保持装置/基板ホルダ
本発明による基板ホルダは、固定手段、特に複数の固定エレメントを有している。固定エレメントは区域ごとにグループ化されてよい。区域ごとの固定エレメントのグループ化により、形状的、または光学的、または好適には機能的な課題も満たされる。機能的な課題とは例えば、1つの区域の全ての固定エレメントを同時に切り換えることができることを意味する。1つの区域の全ての固定エレメントを個々に切り換えることができることも考えられる。したがって、複数の固定エレメントを同時に、基板の固定もしくは解放を行うために、区域の内側で駆動制御することができ、または個別に駆動制御することもできるが、区域内で、極めて固有の基板の変形特性が生じる。区域は特に次のようなジオメトリであってよい。
・片面、
・円セグメント、
・特に三角形、四角形、または六角形としての、タイル張りのような区域、
・円環セグメント。
【0055】
特に、区域間に、固定エレメントを有さない面が存在していてもよい。このような区域間の間隔は特に、150mm未満、好適には50mm未満、さらに好適には20mm未満、さらに好適には10mm未満、最も好適には5mm未満である。区域が円セグメントとして形成されている場合、このような間隔は、外側の円セグメントの内側の円環と、内側の円セグメントの外側の円環と、の間の距離である。
【0056】
中央近くに位置する円環セグメントは、好適には縁部における円環セグメントよりも小さく構成される。
【0057】
1つの区域における固定エレメントの数は任意である。特に、1つの区域には1つよりも多くの固定エレメントが、好適には10よりも多くの、さらに好適には50よりも多くの、さらに好適には100よりも多くの、さらに好適には200よりも多くの、最も好適には500よりも多くの固定エレメントが存在している。
【0058】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の保持装置および/または第2の保持装置は、基板を保持するための第1の保持装置および/または第2の保持装置の保持面の周囲に特にリング状に、好適には円環状に、特に専ら基板の側縁の領域に配置された固定手段を有している。
【0059】
固定手段は、特に均一に保持面に分配された、好適には同心的に配置された、複数の区域に分割された、特に個別に制御可能な固定エレメントとして形成されている。好適には、固定手段は、特に保持面の縁部領域に専ら配置されている。縁部領域は、特に、保持面の半径の半分まで、好適には半径の1/4まで延在している。
【0060】
1つの区域において固定エレメントが半径方向対称に配置されている場合、所定の横断面当たりにおける固定エレメントの数も考慮することができる。横断面における固定エレメントの数は、20未満、好適には10未満、さらに好適には5未満、さらに好適には3未満、最も好適には1である。
【0061】
固定エレメントは、固定のために負圧を供給することができ、基板の解放のために正圧を負荷することもできる。
【0062】
本発明による第1の実施形態では、固定エレメントは、特に穿孔、または火花浸食により形成される単純な穴から成る。特別な実施形態では、固定エレメントはリング状に、特に円環状に、特にフライス加工により形成されたスリットである。別の構成では、固定エレメントには排気リップが設けられていてよい。固定エレメントが排気エレメントとして設けられている場合、この固定エレメントは、200mbar未満の、好適には100mbar未満の、さらに好適には50mbar未満の、さらに好適には10mbar未満の、最も好適には1mbar未満の圧力を発生させることができる。
【0063】
圧力の制御の他に、質量流量も排気エレメントによって制御することができる。質量流量とは、単位時間当たりに所定の横断面を通過する質量である。質量は、排気エレメントによって吸い込まれる、かつ/または圧送される分子と原子の個々の質量から成る。個々の排気エレメントにおける質量流量は、0kg/s〜1kg/s、好適には0kg/s〜0.5kg/s、さらに好適には0kg/s〜0.1kg/s、極めて好適には0kg/s〜0.01kg/s、最も好適には0kg/s〜0.001kg/sである。
【0064】
本発明による第2の実施形態では、固定エレメントは、静電気固定として使用される導電性プレートから成っている。導電性プレートは単極に、好適には双極に接続することができる。双極回路の場合、2つのプレートは相反する電位に置かれる。したがって、本発明による基板ホルダは、プレートの数に依存した、高解像度の静電固定特性を有する静電気基板ホルダとして、その区域内で機能する。
【0065】
単位面積あたりの固定エレメント数が増えるほど、基板のための基板ホルダの固定特性の制御は良好になる。
【0066】
好適には、第1の保持面および/または第2の保持面は、特に、第1の保持面の第1の保持平面、および第2の保持面の第2の保持平面を形成する隆起部から成っている。
【0067】
隆起部としては、特に螺旋状に延在する軌道が考えられる。
【0068】
2つの別の実施形態によれば、隆起部を備えた保持装置、特に突起基板ホルダが記載される。このような基板ホルダは、特に対称的に配置された複数の支持体(英語ではpillars)を有する基板ホルダを意味する。これらの支持体は特に突起として形成される。突起は任意の形状を有していてよい。特に突起は以下の形状で設けられている。
・ピラミッド、特に三角錐または四角錐
・円筒、特に平坦なまたは丸み付けされた頭部を備えた円筒
・直方体
・円錐
・球シェル。
【0069】
球シェル突起、円錐突起、円筒突起は製造に手間がかかるのに対して、ピラミッド状または直方体状の突起はエッチング加工および/またはフライス加工により比較的簡単に製造することができ、したがって本発明によれば好適である。
【0070】
上記の突起基板サンプルホルダは、その周縁領域で、縁部エレメントを介して閉鎖されていてよいので、突起間の空間領域は凹部として解釈されてよい。しかしながら、突起は、全ての突起がその平面上に位置する突起平面に関して、ただ1つの隆起部を成していてもよい。
【0071】
本発明の第3の好適な実施形態では、基板ホルダは、ウェブを備えた突起基板ホルダとして構成されている。この場合、個々の区域はウェブによって中断される。各区域の内側には、突起間の空間の排気を行う少なくとも1つの管路が終端している。特に個別に駆動制御可能な複数の通路を使用することにより、場所に依存した異なる強度の空間の排気が可能である。
【0072】
さらに好適な第4の実施形態では、基板ホルダは、完全な突起基板ホルダとして、すなわちウェブを備えずに構成されている。
【0073】
隆起部、特に突起の幅もしくは直径は特に、5mm未満、好適には1mm未満、さらに好適には500μm未満、最も好適には200μm未満である。
【0074】
隆起部、特に突起の高さは特に、2mm未満、好適には1mm未満、さらに好適には500μm未満、最も好適には200μm未満である。
【0075】
特に隆起部の幅もしくは直径と隆起部の高さとの間の比は、0.01よりも大きく、好適には1よりも大きく、さらに好適には2よりも大きく、さらに好適には10よりも大きく、最も好適には20よりも大きい。
【0076】
上述した全ての本発明の実施形態は、互いに任意に組み合わされてもよい。したがって、第1の区域は静電的に機能する固定エレメントから成っていて、第2の区域がバキューム固定を有していることも考えられる。
【0077】
本発明による基板ホルダは特に穴を、本明細書のこれ以降では、測定穴とも記載される穴を有していてよく、この穴により、固定された基板表面を、基板ホルダの背面から観察することができる。これにより、この領域で固定された基板表面の測定が可能である。測定穴を、カバーによって閉鎖することもできる。特に好適な実施形態では、測定穴はカバーにより全自動的に開閉可能である。
【0078】
本発明の好適な構成によれば、保持装置は、湾曲を測定するための湾曲測定手段を有している。
【0079】
本発明による基板ホルダは、選択的または付加的に、固定された基板と基板サンプルホルダとの間の物理的かつ/または化学的特性を測定することができるセンサを有していてよい。これらのセンサは好適には、
・温度センサおよび/または
・圧力センサおよび/または
・距離センサ、である。
【0080】
特に好適な距離センサは、湾曲測定手段として使用可能である。この場合、基板と保持装置との間の距離により、特に支持個所間の、基板の湾曲が求められ、補間され、かつ/または計算される。
【0081】
本発明によれば好適には、湾曲および/または湾曲変更の良好な閉ループ制御または開ループ制御を可能にするために、特に保持面に沿って分配された距離センサが使用される。
【0082】
特に好適な実施形態では、複数のセンサはとりわけ、接合過程前に、かつ/または接合過程中に1つの平面に関する基板の距離を測定するために、距離センサとして形成されている。この平面とは好適には、保持面、および/または特に隆起部により形成された平面の保持面である。
【0083】
複数のセンサが異なる平面に位置していることも考えられる。好適にはセンサは特に専ら、好適には接触面に対して横方向の距離の変化を測定するので、1つの、および/または複数の平面に対する関係は重要ではない。この場合、基板の、特に場所的に異なる相対的な距離変化だけを検出すればよい。
【0084】
距離の測定はとりわけ、プロセス制御に役立つ。単数または複数の基板の正確な湾曲状態を知ることにより、基板の最適な、特に段階的な解放のために、本発明による固定エレメントの駆動制御/調節が特に効率的に行われる。
【0085】
異なる形式の複数のセンサが組み込まれることも考えられる。特に好適な実施形態では、距離測定および圧力測定のためのセンサは特に、基板ホルダに対称的に均一に分布されて組み込まれている。これにより、離散的ではあるが、表面をカバーする距離測定および圧力測定が可能である。変形エレメントが、管路を介してもたらされる流体、特にガス、またはガス混合物である場合、圧力測定は特に有利である。
【0086】
一方または両方の保持装置が湾曲測定手段なしで、かつ/またはセンサなしで形成されているならば、湾曲および/または湾曲変更の調節および/または制御は、経験により求められたパラメータに基づき行われてよい。
【0087】
本発明による第1および第2の基板ホルダは、好適には少なくとも1つの、特に中央に構成された、基板の湾曲/湾曲変更のための変形エレメント(湾曲手段および/または湾曲変更手段)を有している。
【0088】
本発明による第1の実施形態によれば、湾曲エレメントはピン(英語:pin)である。このピンは、保持面または保持平面に対する法線に沿った並進運動の少なくとも1つの、好適にはちょうど1つの自由度を有している。x方向および/またはy方向で較正するために、ピンが保持面に沿った自由度を有していることも考えられる。好適にはピンはx方向および/またはy方向で固定可能である。ピンは、0.01N〜1000Nの、好適には0.1N〜500Nの、さらに好適には0.25〜100Nの、最も好適には0.5〜10Nの力を加えることができる。
【0089】
本発明による第2の実施形態では、湾曲および/または湾曲変更のための変形エレメントは、基板と保持面との間に流体、特にガスまたはガス混合物を供給することのできる流体流出開口(流体加圧手段)である。極めて好適な本発明による実施形態では、流体流出開口は、固有の、特にx方向および/またはy方向で移動可能な部分エレメントに組み込まれているので、流体流出開口のx方向の位置決めおよび/またはy方向の位置決めを行うことができる。これにより、流体流出の位置が正確に規定され、このことは、最適な、本発明による接合結果にも効果を有することができる。流体流出開口は、最も簡単な場合には、管路の端部を成す開口である。極めて特に好適な実施形態では、流体流出開口はノズルである。好適にはこのノズルは電子的に制御することができ、これにより各時点で、流出する流体の流体圧および/または流出速度を開ループ制御かつ/または閉ループ制御することができる。基板サンプルホルダと基板との間の複数の個所で圧力形成を変化させるために複数のノズルの使用も考えられる。1つのノズルについての全ての記述は、複数のノズルにも同様に当てはまる。流体流出開口、特にノズルを介して、基板と基板ホルダとの間に、1mbarよりも大きな、好適には10mbarよりも大きな、さらに好適には100mbarよりも大きな、さらに好適には200mbarよりも大きな、最も好適には500mbarよりも大きな圧力を形成することができる。
【0090】
本発明による全ての基板ホルダは、ローディングピン(英語:loading pins)を有していてよい。ローディングピンは、本発明による基板ホルダに基板をロードするために用いられる。ローディングピンは特に、保持装置に設けられた穴を通してガイドされる。この場合、この穴は好適にはローディングピンに対して密に形成される。
【0091】
第1のプロセスステップでは、ローディングピンが外部に出される。第2のプロセスステップでは、基板が、特に全自動でローディングピン上に置かれる。第3のプロセスステップでは、ローディングピンが内部に戻され、基板を保持面に接触させる。第4のプロセスステップでは、基板を固定エレメントにより固定する。ローディングピンは、接合された基板積層体のアンロードのためにも用いられる。この場合、プロセスステップの順番は相応に逆に行われる。ローディングピンは特に、内部でローディングピンが動く穴に対してシールされないならば、減圧体を成していてよい。この場合、バキューム固定エレメントを介して行われる負圧の静的な維持、および/またはガス流出開口による正圧の静的な維持は不可能である。相応に、バキューム固定エレメントを介した継続的な排気および/または、好適には静的な、特に層状の流れを特徴とするガス流出開口を介した継続的な正圧の形成が開示される。しかしながら、シールの使用も考えられ、これにより、流れを形成することなく静的な圧力を形成することができる。
【0092】
基板ホルダは基本的には、それぞれ任意の材料により製造することができる。以下の材料のうちの1つ、または複数が特に好適である。
・金属、特に
・純金属、特に
・アルミニウム
・合金、特に
・鋼、特に
・低合金鋼、
・セラミック、特に
・ガラスセラミック、特に
・ゼロデュア、
・窒化物セラミック、特に
・窒化ケイ素、
・炭化物セラミック、特に
・炭化ケイ素、
・ポリマ、特に
・高温ポリマ、特に
・テフロン、
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)。
【0093】
極めて好適な実施形態では、本発明による突起基板サンプルホルダは、特許文献、欧州特許第2655006号明細書(EP2655006B1)により公知の方法で製造される。この場合、好適な材料は炭化ケイ素または窒化ケイ素である。この場合、好適な突起構造は四角錐である。
【0094】
保持装置は、本発明の実施形態によれば好適には加熱可能かつ/または冷却可能に形成されている。この場合、温度制御機構により、−50℃〜500℃の、好適には−25℃〜300℃の、さらに好適には0℃〜200℃の、最も好適には10℃〜100℃の基板の熱処理が可能である。
【0095】
本発明の別の実施形態では、基板ホルダは次のように形成されている。すなわち、基板が、まだ接触される前に、加熱手段および/または冷却手段によって意図的に変形させられ、特に横方向に圧縮または延伸され、しかも後からの接触の際に、発生した「ランアウト」誤差をできるだけ良好に、理想的には完全に、補償するために必要となる量だけ変形させられるように形成される。この実施形態では、下側の/第1の基板の固定が、相応の変形の後で初めて行われるので、下側の/第1の基板もしくは下側の/第1の保持装置の熱膨張係数を特に重要視する必要はない。突起基板ホルダの特に好適な本発明による実施形態では、基板を、突起間の空間領域を介して加熱/冷却ガスに接触させることができる。固定エレメントの固定可能性を維持するために、基板を区域の領域で基板ホルダに押し付ける加熱ガスの圧力は、周囲ガスよりも低くなければならない。
【0096】
接合機
本発明による装置は、本発明による2つの保持装置および/または基板ホルダから成る。好適には、少なくとも上側の基板ホルダは測定穴を有している。測定穴は特に閉鎖可能、かつ/またはガス密に形成されている。
【0097】
本発明による実施形態は、好適には規定された、特に制御可能な雰囲気内で、特に常圧で作動する。
【0098】
上で述べた本発明の全ての実施形態は、特別な変化実施態様において、低真空中で、より有利には高真空中で、さらに有利には超高真空中で実行することができ、特に100mbarよりも低い周囲の圧力、有利には10
−1mbarよりも低い周囲の圧力、より有利には10
−3mbarよりも低い周囲の圧力、さらに有利には10
−5mbarよりも低い周囲の圧力、最も有利には10
−8mbarよりも低い周囲の圧力で実行することができる。しかしながら真空が高いほど、もしくは周囲の圧力が低いほど、排気穴による基板の固定、および/または本発明による基板の湾曲の調節および/または制御は困難になる。
【0099】
プロセス
本発明による第1のプロセスの本発明による第1のプロセスステップでは、第1の基板を第1の基板ホルダに、第2の基板を第2の基板ホルダにロードし、特に少なくとも周囲の区分で固定する。
【0100】
この場合、固定は、いくつかの僅かな、特に10よりも少ない、さらに好適には5よりも少ない、より好適には3よりも少ない、最も好適には2よりも少ない区域のみが作動されるように行われる。作動される区域は特に、1つの円環に沿って対称的に分配されている。
【0101】
本発明による第1のプロセスの本発明による第2のプロセスステップでは、両基板を互いに位置合わせする。基板の位置合わせについては、本明細書では詳しくは説明しない。それについては、文献、米国特許第6214692号明細書(US6214692B1)、国際公開第2015/082020号(WO2015082020A1)、国際公開第2014/202106号(WO2014202106A1)が参照される。基板は、接合過程の前に特に互いに対して位置合わせされ、これによって、その表面上の対応する構造体の重なり性(特に2μm未満の、好適には250nm未満の、さらに好適には150nm未満の、さらに好適には100nm未満の、最も好適には50nm未満の精度を有する正確な位置合わせ)が保証される。
【0102】
本発明による第1のプロセスの本発明による第3の付加的なプロセスステップでは、両基板ホルダの互いに向かって行われる相対運動により両基板の接近が行われる。これにより、基板表面間の良好に規定された間隔(英語:gap)が形成される。このような間隔を位置合わせプロセス前に既に、または位置合わせプロセス中に調節することも考えられる。この間隔は、特に1000μmよりも小さく、好適には500μmよりも小さく、さらに好適には250μmよりも小さく、最も好適には100μmよりも小さい。
【0103】
本発明によれば特に好適には、特に接合フロント部で、両基板の曲率半径の互いのずれが15%未満であり、好適には10%未満であり、さらに好適には5%未満であり、さらに好適には2%未満であり、最も好適には両基板の曲率半径が同じである。
【0104】
本発明による第1のプロセスの本発明による第4のプロセスステップでは、第1のおよび/または第2の基板の湾曲が行われる。同時に、第1のおよび/または第2の基板の湾曲をセンサによって測定し、監視することができる。調整ループにより、下側および/または上側の基板における特に所望の湾曲を自動的に調節することができる。目標値が設定される。調整ループは、所望の湾曲プロファイルが調節されるまで、固定エレメントおよび/または変形エレメントを制御する。この場合、重力が1つの方向に作用し、したがって基板の変形に様々に作用を及ぼすことがあることが述べられる。上側の固定された基板が重力により、所望の接触点の方向にさらに変形される間、この重力は、下側の基板の湾曲とは逆に作用する。しかしながら重力の影響は、考慮しなくてもよいほど小さい。本発明により、自動的に開ループ制御される、または閉ループ制御される湾曲手段または湾曲変更手段、固定エレメント、およびセンサを使用することにより、両基板のそれぞれのために、特に調整ループの一部として、所望の湾曲プロファイルを調節することができる。両基板が互いに十分近くに接近されると、両基板の接触が行われる。接触は、常に増加する湾曲によって、かつ/または両基板ホルダの互いに向かう相対的な接近により行われてよい。すなわち本発明による接合方法では、基板が平坦に重ね合わされるのではなく、まず中心Mにおいて互いに接触させられる(接合開始個所)。これは、湾曲された両基板の一方が第2の基板に対して軽度に押圧されるか、もしくは向かい合って位置する基板の方向に相応に変形させられることによって行われる。変形させられ、(向かい合って位置する基板の方向に)湾曲された基板が解放された後に、接合ウェーブの前進によって、最小限の力を伴った、ひいては主として水平方向の最小限の歪みを伴った、特に少なくとも部分的な、好適には大部分の、自動的な、接合フロントに沿った連続的でかつ均一な接合が行われる。
【0105】
特に、基板の対称的な湾曲の偏差が生じるように、これらの区域を作動もしくは停止させることができる。特に湾曲の対称性は減少する。複数の区域を停止させたときに、基板の湾曲が行われることが考えられ、この湾曲は、
・線的もしくは一軸的な、
・n角形型の、特に
・三角形の、
・四角形の、
・五角形の、
・六角形の、
・七角形の、
・八角形の、
・星形の、
対称性を有している。湾曲の対称性は、接合ウェーブが進行する際にできるだけ小さい「ランアウト」が生じるように調節することができる。
【0106】
本発明による第1のプロセスの本発明による第5のプロセスステップでは、接合ウェーブの進行、監視および制御が行われる。接合開始個所が基板の接触面の中央に配置され、この中央に関して対向する2つの区域のみが固定のために用いられる場合には、接合ウェーブの均一な、特に線的な経過が実現可能となる。理想的には、正確に2つの接合ウェーブが各側に1つずつ存在する。
【0107】
第1の基板および/または第2の基板の変形、好適には湾曲が、凸状にかつ/または凹状に行われるならば特に有利であり、さらに好ましくは鏡像対称的に行われる。換言すれば、変形は本発明によれば、特に第1の基板および/または第2の基板の延伸および/または圧縮および/または湾曲により行われる。
【0108】
好適には基板はほぼ同じ直径D1,D2を有していて、これらの直径の互いのずれは特に5mm未満、好適には3mm未満、さらに好適には1mm未満である。
【0109】
特に独立的な本発明の別の態様によれば、変形、好適には湾曲は、変形手段または湾曲手段および/または湾曲変更手段により、かつ/または第1のおよび/または第2の保持装置の温度制御により行われる。
【0110】
別の独立的な本発明による態様では、文献、国際公開第2014/191033号(WO2014191033A1)に記載の実施形態と似たように、保持装置自体が湾曲可能に構成されていてよい。
【0111】
第1の基板および/または第2の基板を、第1の基板ホルダおよび/または第2の基板ホルダの、または第1のおよび/または第2の基板の周辺または全周の領域で専ら固定することにより、本発明による変形/湾曲/湾曲変更を比較的容易に実現することができる。
【0112】
固定は、「ランアウト」誤差を、特に互いに結合される基板の各位置において最小にする湾曲の所望の対称性が得られる条件に相応するように切り換えられる区域を介して行われる。
【0113】
特に変形手段、または湾曲手段および/または湾曲変更手段、および/または固定手段の上述したステップおよび/または動きおよび/または経過の制御、基板の相互の接近、温度のコントロール、圧力のコントロール、およびガス組成のコントロールは、有利には、中央の制御ユニットを介して、特に制御ソフトウェアを備えたコンピュータを介して行われる。開ループ制御および/または閉ループ制御のためには、上述したセンサが使用される。
【0114】
基板に、固定部内でできる限りのフレキシブル性および延伸自由度を与えるために、基板が、側縁部の領域において、できるだけ離れて外側に位置する円セグメントでのみ固定されることが有利である。
【0115】
第1の基板および/または第2の基板は、有利には半径方向対称である。基板は任意のいかなる直径をも有することができるが、基板直径は特に1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、18インチであり、または18インチよりも大きい。第1の基板および/または第2の基板の厚さは、1μm〜2000μm、有利には10μm〜1500μm、さらに有利には100μm〜1000μmである。
【0116】
特別な実施形態では、基板が、方形の形状を、または少なくとも円形の形状とは異なる形状を有していてもよい。基板としては好適にはウェハが使用される。
【0117】
特に有利には、可変の全てのパラメータは、接合ウェーブが、存在する初期条件および周辺条件に関してできるだけ最適の速度で伝播するように選択される。とりわけ存在する雰囲気、特に常圧においては、接合ウェーブのできるだけ緩慢な速度が有利である。接合ウェーブの平均速度は特に、200cm/sよりも遅く、より有利には100cm/sよりも遅く、より有利には50cm/sよりも遅く、極めて有利には10cm/sよりも遅く、最も有利には1cm/sよりも遅い。特に接合ウェーブの速度は0.1cm/sよりも速い。特に接合ウェーブの速度は、接合フロントに沿って一定である。真空雰囲気中では、接合ウェーブの速度が自動的に、より速くなる。なぜなら、接合線に沿って結合する基板が、ガスによる抵抗を克服しなくて済むからである。
【0118】
別の、特に独立的な本発明の態様は、基板のうち少なくとも一方に、基板の接触面の中心Mに対して特に同心的に半径方向外側に向かって延在する予荷重を、接触前にかけ、次いで接触の開始にだけ影響を与え、基板の1つの区分の、特に中心Mの接触後には基板は解放され、その予荷重に基づき自動的にコントロールされて、対向する基板に接合されることにより、できるだけ調整され、同時にほぼ自動的に接触させることにある。予荷重は、変形手段、特に湾曲手段および/または湾曲変更手段による第1の基板の変形、特に湾曲により得られる。この場合、変形手段は、特にその形状に基づき、接合側とは反対側に作用し、変形は相応に、様々な(特に交換可能な)変形手段の使用により制御可能である。制御は、変形エレメントを基板に作用させる圧力または力によっても行われる。この場合、基板を有する基板保持の有効保持面積は減じられ、これにより基板は部分的にのみ保持装置によって支持されるのが有利である。このようにして、小さな接触面により、基板と基板保持体間の付着は僅かになる。固定は、本発明によれば特に、基板の全周の領域で行われるので、効果的な固定が行われ、同時に基板保持体の保持輪郭と基板との間のできるだけ僅かな有効保持面積が生じる。したがって、基板の剥離のために必要な解除力は最小限であるので、きれいで確実な基板の剥離が可能である。剥離は、特に保持面における負圧の低減により、とりわけコントロール可能である。コントロール可能とは、基板が第2の基板に接触した後、その基板がサンプルホルダになお固定されたままであり、所望の(制御された)保持面における負圧の低減により初めて、サンプルホルダ(保持装置)からの基板(ウェハ)の解放が、特に内側から外側へと行われることを意味する。本発明による実施形態はとりわけ、極めて僅かな力による剥離を実施できることに通じる。特に、様々な解放の方法が複数開示されている。
・変形手段の停止中における、基板の突然の完全な解放、
・変形手段が自然に出発状態に置かれ、ひいてはすぐに基板への作用をやめるときの、基板の突然の完全な解放、
・変形手段が段階的に、しかしながら継続的に基板への作用をやめるときの、基板の突然の完全な解放、
・変形手段が基板に作用している間に行われる、固定の段階的な停止による、段階的に、特に区域ごとに、好適には内側から外側に向かって行われる基板の解放、
・上記方法の組み合わせ。
【0119】
本発明による実施形態は、最適な形態で、両基板が湾曲されている接合過程を開示している。しかしながら一般的には少なくとも一方の基板は変形されていなくてもよい。上記の解放メカニズムとの組み合わせにおいて、以下の表が示される。
【0120】
【表1】
【0121】
本発明による方法および装置により、「ランアウト」誤差の最適な補償が行われるように、基板上の全ての構造体は設計され、計算され、形成され得る。例えば、方形の構造体を、これらの構造体が「ランアウト」誤差により歪む方向で、所定のファクタ分だけ小さく設計することが考えられる。このファクタは特に、0〜3であり、好適には0〜2であり、さらに好適には0〜1であり、より好適には0〜0.1であり、最も好適には0〜0.001である。例えば、測定および/または計算に基づき、「ランアウト」誤差が基板の所定の位置でx方向に1.021倍(ファクタ)だけ歪むことがわかっている場合、構造体はx方向で同じファクタだけコンピュータで拡大される。したがって、ファクタが1の場合(1倍)、構造体の寸法は歪まないままである。ファクタが1よりも小さい場合は、構造体は所定の寸法において縮小されていて、ファクタが1よりも大きい場合には、相応に拡大されている。したがって構想体は、このファクタ分だけx方向で拡大されて製作される。
【0122】
乗法的ファクタを使用するのではなく、構造体の1つの方向の寸法の変化を加算もしくは減算により表すために、プラスおよびマイナスの被加数を使用することもできる。この場合、数値範囲の記載は省略する。
【0123】
通常の状態では構造体をコンピュータで設計することが考えられるが、例えばリソグラフィ装置のような製造装置によって構造体を、以前に計算された、かつ/または求められたファクタに相応にスケーリングして製造することも考えられる。製造装置としては特に、
・リソグラフィ装置、特に、
・フォトリソグラフィ装置、特に
・ステッパ
・インプリントリソグラフィ装置、
・ステッパ
・放射線リソグラフィ装置、特に
・電子ビームリソグラフィ
・イオンビームリソグラフィ
・レーザリソグラフィ
が挙げられる。
【0124】
したがって、本発明による方法および設備は、結合すべき構造体のための正しい設計工程および/または計算工程および/または製造工程と組み合わされて、さらなる最適化された接合品質をもたらし、ひいてはさらに改善された結果をもたらす。すなわち、本発明による方法および/または装置によって接合ウェーブに影響を与えることによってもはやそれ以上減じることができない「ランアウト」誤差が生じることが見込まれるまたは測定される場合、そのさらなる低減のために上記方法を利用することができる。
【0125】
装置について開示された特徴は、方法について開示されたものとして同様に該当し、方法について開示された特徴も、装置について開示されたものとして同様に該当する。
【0126】
本発明のその他の利点、特徴、詳細は、以下の好適な実施例の説明および図面により明らかである。