特許第6899961号(P6899961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899961
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】調理器具及びその調理制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20210628BHJP
【FI】
   A47J27/00 109G
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-515818(P2020-515818)
(86)(22)【出願日】2018年6月5日
(65)【公表番号】特表2020-521610(P2020-521610A)
(43)【公表日】2020年7月27日
(86)【国際出願番号】CN2018089986
(87)【国際公開番号】WO2019001232
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2019年11月27日
(31)【優先権主張番号】201710514792.8
(32)【優先日】2017年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515117198
【氏名又は名称】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN SHUNDE MIDEA ELECTRICAL HEATING APPLIANCES MANUFACTURING CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 化勇
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ ▲飛▼▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲韋▼▲銘▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 志佳
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 利
(72)【発明者】
【氏名】瞿 月▲紅▼
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第106551612(CN,A)
【文献】 特開2004−344568(JP,A)
【文献】 特開2015−058108(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/029976(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00−27/13
A47J 27/20−29/06
A47J 33/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具の調理制御方法であって、
前記調理器具は、釜体、蓋体、負圧装置及び正圧装置を含み、
前記釜体は、上部が開放している調理キャビティを有し、前記蓋体は、閉鎖位置と開放位置との間に移動可能に前記釜体に取り付けられ、前記負圧装置は、前記調理キャビティの密閉時に前記調理キャビティを真空引きして前記調理キャビティ内を負圧にすることに用いられ、前記正圧装置は、前記調理キャビティを密閉して前記調理器具の加熱動作時に前記調理キャビティ内を正圧にすることに用いられ、前記負圧装置と前記正圧装置は、同時に起動せず、前記調理制御方法は、
前記調理器具の調理中、前記調理器具の現在の調理段階を判断するステップであって、前記調理器具の調理段階は加熱段階、沸騰段階及び蒸らし段階を含むステップと、
前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記負圧装置と前記正圧装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、前記調理キャビティ内にバンピング現象を発生させるステップであって、前記第1圧力は前記第2圧力よりも小さく、前記第2圧力は標準大気圧であるステップと、を含み、
前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記調理キャビティ内の米・水温度が所定温度である際に、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引きし、
前記調理器具が沸騰段階、若しくは蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記正圧装置と前記調理器具の加熱装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第2圧力と第3圧力の間で変化させるように制御し、前記第2圧力は前記第3圧力よりも小さい、
前記所定温度は65〜75℃であり、前記第1圧力は60〜80KPaであり、前記第3圧力は105〜130KPaである、
ことを特徴とする調理器具の調理制御方法。
【請求項2】
前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引き、前記調理キャビティ内の圧力が前記第1圧力に達した際に、前記負圧装置を制御して真空引きを停止し、且つ前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで向上させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具の調理制御方法。
【請求項3】
前記調理器具が前記沸騰段階、若しくは前記蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記調理キャビティ内の圧力が前記第3圧力に達するまで前記加熱装置を制御して加熱動作を実行し、前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで低下させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させる、
ことを特徴とする請求項に記載の調理器具の調理制御方法。
【請求項4】
調理器具であって、
上部が開放している調理キャビティを有する釜体と、
閉鎖位置と開放位置との間に移動可能に前記釜体に取り付けられる蓋体と、
前記調理キャビティの密閉時に前記調理キャビティを真空引きして前記調理キャビティ内を負圧にするための負圧装置と、
前記調理器具を加熱するための加熱装置と、
前記負圧装置と同時に起動しなく、前記調理キャビティを密閉して、前記加熱装置の加熱動作時に前記調理キャビティ内を正圧にするための正圧装置と、
前記調理器具の調理中、前記調理器具の現在の調理段階を判断し、且つ前記調理器具が加熱段階にある時、前記負圧装置と前記正圧装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、前記調理キャビティ内にバンピング現象を発生させるための制御モジュールであって、前記第1圧力は前記第2圧力よりも小さく、前記第2圧力は標準大気圧である制御モジュールと、
前記調理キャビティ内の米・水温度を検出するための温度検出モジュールと、を含み、 前記制御モジュールはさらに、前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記米・水温度が所定温度である際に、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引きすることに用いられ、
前記調理器具が沸騰段階、若しくは蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記制御モジュールは、さらに、前記正圧装置と前記加熱装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第2圧力と第3圧力の間で変化させるように制御することに用いられ、前記第2圧力は前記第3圧力よりも小さい、
前記所定温度は65〜75℃であり、前記第1圧力は60〜80KPaであり、前記第3圧力は105〜130KPaである、
ことを特徴とする調理器具。
【請求項5】
前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記制御モジュールは、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引き、且つ前記調理キャビティ内の圧力が前記第1圧力に達した際に、前記負圧装置を制御して真空引きを停止し、且つ前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで向上させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させることに用いられる、
ことを特徴とする請求項に記載の調理器具。
【請求項6】
前記調理器具が前記沸騰段階、若しくは前記蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記制御モジュールは、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記調理キャビティ内の圧力が前記第3圧力に達するまで前記加熱装置を制御して加熱動作を実行し、前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで低下させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させることに用いられる、
ことを特徴とする請求項に記載の調理器具。
【請求項7】
記憶媒体であって、
請求項1〜のいずれかに記載の調理器具の調理制御方法を実行するためのアプリケーションプログラムが記憶されている、
ことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は仏山市順徳区の美的電熱電器製造有限公司が2017年06月29日に提出した発明名称が「調理器具及びその調理制御方法」、中国特許出願番号が「201710514792.8」の優先権を主張する。
【0002】
本願は、キッチン家電の技術分野に関し、特に調理器具の調理制御方法及び調理器具に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、炊飯器などの調理器具のような関連技術では、蒸気出口は通常直接大気と連通し、炊飯中に飯の水分が蒸気出口から流出する蒸気によって空気中に逸散しやすいため、飯が収縮して硬くなり、ふんわり食感が低下し、飯の味に影響を与える。
【0004】
また、飯を調理する際に米がくっつく問題を引き起こし、飯の味にも影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、少なくともある程度まで、上記技術の技術課題の1つを解決しようとする。そのために、本願の第1の目的は、調理器具が調理する飯の味を大幅に向上させ、ユーザーのニーズを完全に満たすことができるように、調理器具の調理制御方法を提供することである。
【0006】
本願の第2の目的は、調理器具を提供することである。
【0007】
本願の第3の目的は、記憶媒体を提供することである。
【0008】
上記目的を実現するために、本願の第1実施形態は、調理器具の調理制御方法を提供し、前記調理器具は釜体、蓋体、負圧装置及び正圧装置を含み、前記釜体は上部が開放している調理キャビティを有し、前記蓋体は閉鎖位置と開放位置との間に移動可能に前記釜体に取り付けられ、前記負圧装置は前記調理キャビティの密閉時に前記調理キャビティを真空引きして前記調理キャビティ内を負圧にすることに用いられ、前記正圧装置は前記調理キャビティを密閉して前記調理器具の加熱動作時に前記調理キャビティ内を正圧にすることに用いられ、前記負圧装置と前記正圧装置は同時に起動せず、前記調理制御方法は、前記調理器具の調理中、前記調理器具の現在の調理段階を判断し、前記調理器具の調理段階は加熱段階、沸騰段階及び蒸らし段階を含むステップと、前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記負圧装置と前記正圧装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、前記調理キャビティ内にバンピング現象を発生させ、前記第1圧力は前記第2圧力よりも小さく、前記第2圧力は標準大気圧であるステップと、を含む。
【0009】
本願の実施例による調理器具の調理制御方法では、調理器具の調理中、調理器具の現在の調理段階を判断し、調理器具が加熱段階にある時、負圧装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させ、それにより加熱段階から圧力差及び外部気流によって調理キャビティ内におけるバンピングを実現でき、調理中に米と米がくっつく問題を解決し、飯の塊りを効果的に防止し、飯の味を向上させることができ、また、さらに負圧装置と正圧装置を利用して調理キャビティ内の気圧を制御することによって、食物の調理中の吸水、沸騰及び蒸らし段階に必要な気圧要件を満たすことができるだけでなく、調理キャビティ内の気圧を2種の状態に交互に切り替え、それによりさらに飯のふんわり食感を向上させ、飯の味を改善し、さらに蒸気の逸散による食物の水分不足を軽減させることができ、ユーザーのニーズを完全に満たす。
【0010】
前記調理器具が沸騰段階、若しくは蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記正圧装置と前記調理器具の加熱装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第2圧力と第3圧力の間で変化させるように制御し、前記第2圧力は前記第3圧力よりも小さい
【0011】
前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記調理キャビティを真空引き、前記調理キャビティ内の圧力が前記第1圧力に達した際に、前記負圧装置を制御して真空引きを停止し、且つ前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで向上させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させる。
【0012】
前記調理器具が前記沸騰段階、若しくは前記蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記調理キャビティ内の圧力が前記第3圧力に達するまで前記加熱装置を制御して加熱動作を実行し、前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで低下させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させる。
【0013】
前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記調理キャビティ内の米・水温度が所定温度に達すると、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引きする。
【0014】
前記所定温度は65〜75℃であり、前記第1所定圧力は60〜80KPaであり、前記第3所定圧力は105〜130KPaである。
【0015】
上記目的を実現するために、本願の第2実施形態に提供された調理器具は、上部が開放している調理キャビティを有する釜体と、閉鎖位置と開放位置との間に移動可能に前記釜体に取り付けられる蓋体と、前記調理キャビティの密閉時に前記調理キャビティを真空引きして前記調理キャビティ内を負圧にすることに用いられる負圧装置と、前記調理器具を加熱するための加熱装置と、前記負圧装置と同時に起動しなく、前記調理キャビティを密閉して、前記加熱装置の加熱動作時に前記調理キャビティ内を正圧にする正圧装置と、前記調理器具の調理中、前記調理器具の現在の調理段階を判断し、且つ前記調理器具が加熱段階にある時、前記負圧装置と前記正圧装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、前記調理キャビティ内にバンピング現象を発生させることに用いられ、前記第1圧力は前記第2圧力よりも小さく、前記第2圧力は標準大気圧である制御モジュールと、を含む。
【0016】
本願の実施例による調理器具では、調理器具の調理中、制御モジュールにより調理器具の現在の調理段階を判断し、且つ調理器具が加熱段階にある時、負圧装置と正圧装置を制御することによって調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力との間で変化させるように制御し、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させ、それにより加熱段階から圧力差及び外部気流によって調理キャビティ内におけるバンピングを実現でき、調理中に米と米がくっつく問題を解決し、飯の塊りを効果的に防止し、飯の味を向上させることができ、また、さらに負圧装置と正圧装置を利用して調理キャビティ内の気圧を制御することによって、食物の調理中の吸水、沸騰及び蒸らし段階に必要な気圧要件を満たすことができるだけでなく、調理キャビティ内の気圧を2種の状態に交互に切り替え、それによりさらに飯のふんわり食感を向上させ、飯の味を改善し、さらに蒸気の逸散による食物の水分不足を軽減させることができ、ユーザーのニーズを完全に満たす。
【0017】
前記調理器具が沸騰段階、若しくは蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記制御モジュールはさらに、前記正圧装置と前記加熱装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第2圧力と第3圧力の間で変化させるように制御することに用いられ、前記第2圧力は前記第3圧力よりも小さい。
【0018】
前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記制御モジュールは、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引き、且つ前記調理キャビティ内の圧力が前記第1圧力に達した際に、前記負圧装置を制御して真空引きを停止し、且つ前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで向上させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させることに用いられる。
【0019】
前記調理器具が前記沸騰段階、若しくは前記蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記制御モジュールは、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記調理キャビティ内の圧力が前記第3圧力に達するまで前記加熱装置を制御して加熱動作を実行し、前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで低下させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させることに用いられる。
【0020】
前記調理キャビティ内の米・水温度を検出することに用いられる温度検出モジュールをさらに含み、前記制御モジュールはさらに、前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記米・水温度が所定温度に達すると、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引きすることに用いられる。
【0021】
前記所定温度は65〜75℃、前記第1所定圧力は60〜80KPa、前記第3所定圧力は105〜130KPaである。
【0022】
上記目的を実現するために、本願の第3実施形態の記憶媒体は、本発明の第1実施形態の調理器具の調理制御方法を実行するためのアプリケーションプログラムを記憶することに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願の実施例による調理器具の構造概略図である。
図2】本願の実施例による調理器具の蓋体の局部の構造概略図である。
図3図2中の構造の断面図である。
図4】本願の一実施例による調理器具の断面図である。
図5】本願の一実施例による調理器具の調理中の概略図である。
図6】本願の実施例による調理器具の調理制御方法のフローチャートである。
図7】本願の一実施例による調理器具の加熱段階での調理制御方法のフローチャートである。
図8】本願の一実施例による調理器具の沸騰段階での調理制御方法のフローチャートである。
図9】本願の一実施例による調理器具の蒸らし段階での調理制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例は、図面に示され、同一又は類似する符号は、常に同一又は類似する素子又は同一又は類似する機能を有する素子を示す。以下、図面を参照しながら説明する実施例は、例示的なものであり、本願を解釈することを意図し、本願を制限するものとして理解すべきではない。
【0025】
以下、図面を参照しながら本願の実施例の調理器具の調理制御方法及び調理器具を説明する。
【0026】
以下、まず図1図4を参照しながら、本願の実施例による調理器具100を説明する。ここでの調理器具100は、炊飯器、電気圧力鍋、スロークッカー等であってもよい。
【0027】
図1図4に示すように、本願による調理器具100は、釜体10、蓋体20、負圧装置40及び正圧装置30を備える。
【0028】
釜体10は上面(図1に示される上側面)が開放している調理キャビティ11を画定し、すなわち、釜体10は上部が開放している調理キャビティ11を有する。蓋体20は釜体10に枢動可能に接続され、且つ閉鎖位置と開放位置との間を移動して調理キャビティ11を開閉する。蓋体20には、気体抜き口21、排気口22及び吸気口23が設けられ、気体抜き口21と吸気口23がそれぞれ調理キャビティ11と連通し、排気口22が気体抜き口21と連通している。
【0029】
負圧装置40及び正圧装置30はともに蓋体20内に設けられ、負圧装置40は調理キャビティ11の密閉時に調理キャビティ11を真空引きして調理キャビティ11内を負圧にすることに用いられ、且つ正圧装置30と同時に起動しない。気体抜きを必要とする時、負圧装置40が気体抜き口21及び排気口22と連通し、負圧装置40が気体抜き口21から調理キャビティ11中の気体を排出し、且つ排気口22によって調理キャビティ11外に排出する。増圧を必要とする時、正圧装置30が吸気口23と連通し、調理キャビティ11外の空気を吸気口23によって調理キャビティ11内に導入し、それにより調理キャビティ11の気圧を増加させ、且つ蓋体20内の凝縮水が高速気流の衝撃作用によりミストになり調理キャビティ11内に入って米の表面を洗い流し、飯の湿度を維持する。
【0030】
それにより、本願の実施例による調理器具100は、負圧装置40と正圧装置30を利用して調理キャビティ11内の気圧を制御することによって、食物の調理中の吸水、沸騰及び蒸らし段階に必要な気圧要件を満たすことができるだけでなく、調理キャビティ11内で2種の気圧を交互に切り替えることができ、それにより飯のふんわり食感を向上させ、飯の味を改善し、さらに蒸気の逸散による食物の水分不足を軽減させることができる。
【0031】
図2に示すように、本願に係る正圧装置30は閉鎖部材31を含み、閉鎖部材31は閉鎖位置と開放位置との間に移動可能に蓋体20の吸気口23に設けられる。閉鎖部材31が閉鎖位置にある時、吸気口23を閉鎖し、閉鎖部材31が開放位置にある時、吸気口23を開放する。
【0032】
閉鎖部材31を利用して吸気口23の開閉を制御することによって、調理キャビティ11外の空気を吸気口23によって調理キャビティ11内に導入して調理キャビティ11の気圧を上げることができるだけでなく、負圧装置40の動作時に気体が吸気口23から調理キャビティ11に入ることを防止し、負圧装置40の動作状態で調理キャビティ11を負圧状態にすることを確保する。
【0033】
図2及び図3に示すように、本願のさらなる実施例において、正圧装置30は駆動ユニット32をさらに含み、駆動ユニット32は蓋体20に設けられ且つ閉鎖部材31に接続され、それにより閉鎖部材31を閉鎖位置と開放位置との間を移動駆動し、駆動ユニット32を利用して閉鎖部材31の移動を制御することによって、調理器具100の自動化を向上させることができるだけでなく、閉鎖部材31を手動で操作することに起因するユーザーのやけどを防止でき、ユーザーの操作体験の向上に寄与する。
【0034】
いくつかの具体的な実施例では、駆動ユニット32は電磁石321及びプッシュロッド322を含む。電磁石321は蓋体20に設けられ、プッシュロッド322は水平方向(図3に示される前後方向)に移動可能に電磁石321に設けられ、プッシュロッド322の一端(例えば、図3に示される後端)は閉鎖部材31を移動駆動することができる。
【0035】
図3に示すように、いくつかの例では、蓋体20に取付カバー24が設けられ、閉鎖部材31は球状としており、取付カバー24は蓋体20に接続され、且つ吸気口23の上方を覆うように設けられる。取付カバー24は閉鎖部材31の一側(例えば、図3に示される後側)を覆うように設けられ、閉鎖部材31を制限し、保護するという役割を果たす。
【0036】
球状閉鎖部材31は取付カバー24内に移動可能に設けられ、重力及びプッシュロッド322の作用下で吸気口23上に落ちて吸気口23を閉鎖する。球状閉鎖部材31は製造プロセスが簡単で、製造コストが低く、且つ吸気口23との密封効果が良好であり、吸気口23を閉鎖する時の密封性の向上に寄与する。
【0037】
いくつかの例では、正圧装置30は支持部材33をさらに含む。支持部材33は蓋体20に設けられ、且つ支持部材33には、吸気口23に沿って支持部材33を軸方向に貫通する気体通過孔が設けられ、支持部材33の一端が吸気口23内に挿入され、且つ支持部材33の外周縁が吸気口23の内周縁に密封嵌合される。閉鎖部材31が閉鎖位置にある時、閉鎖部材31が支持部材33の他端の内周縁に当接し且つ密封嵌合され、吸気口23に支持部材33が設けられることによって、閉鎖部材31による吸気口23の密封効果を効果的に向上させることができる。
【0038】
さらに、図3に示すように、支持部材33は環状部材331及び支持台332を含み、環状部材331は吸気口23に周設され、且つ環状部材331の中部に環状部材331に沿って環状部材331を軸方向に貫通する気体通過孔が形成されている。環状部材331の上面に下へ凹む凹部を有し、支持台332が環状部材331の凹部内に取り付けられ、且つ環状部材331の外周縁に接続される。支持台332は環状部材331の外周縁の周方向に沿って延びている環状としてもよい。
【0039】
図2に示すように、本願において、負圧装置40は真空装置であり、真空ポンプ41及び接続管42を含み得る。真空ポンプ41は蓋体20内に設けられ、接続管42によってそれぞれ気体抜き口21及び排気口22と連通する。真空ポンプ41の動作時、調理キャビティ11内の気体が真空ポンプ41の吸引作用下で、接続管42によって調理キャビティ11外に排出され、それにより調理キャビティ11内を負圧にし、すなわち、負圧装置は前記調理キャビティの密閉時に前記調理キャビティを真空引きして前記調理キャビティ内を負圧にすることに用いられる。調理キャビティ11内の気体が排出される時、接続管42内の気体中の水蒸気が凝縮して液体水になり調理キャビティ11内に還流し、それにより水分逸散を減少させる。
【0040】
真空ポンプ41を利用して調理キャビティ11の負圧を調節する場合、制御可能性が高く、且つ接続管42を利用して真空ポンプ41と気体抜き口21及び排気口22とを連通させることによって、負圧装置40の密閉性の向上に寄与し、気体漏れによる調理キャビティ11内の負圧への影響を回避する。
【0041】
本願の一具体的な実施例において、図2に示すように、負圧装置40は電磁弁43をさらに含み、電磁弁43は蓋体20に接続され且つ接続管42によって気体抜き口21と真空ポンプ41を連通させる。電磁弁43を利用して真空ポンプ41と気体抜き口21との連通及び遮断を制御することによって、真空ポンプ41が蒸気をスムーズに排出できることを確保できるだけでなく、正圧装置30の動作時に蒸気が気体抜き口21によって漏れることを防止でき、調理キャビティ11内の気圧制御に寄与する。
【0042】
以下、図1図4を参照して本願の実施例による調理器具100の一具体的な実施例及び調理器具100の動作プロセスを説明する。
【0043】
図1図4に示すように、本願に係る調理器具100は炊飯器であり、炊飯器は釜体10、蓋体20、負圧装置40、正圧装置30、加熱装置50、及び制御モジュール60例えば、炊飯器の電子制御盤を含む。
【0044】
蓋体20に気体抜き口21、排気口22及び吸気口23が設けられ、負圧装置40、例えば真空装置及び正圧装置30はともに蓋体20に設けられる。負圧装置40は気体抜き口21及び排気口22と連通し、正圧装置30は吸気口23と連通する。
【0045】
正圧装置30は球状閉鎖部材31、駆動ユニット32及び支持部材33を含む。駆動ユニット32は電磁石321及びプッシュロッド322を含む。支持部材33は吸気口23に設けられ、電磁石321は蓋体20に設けられ、プッシュロッド322の一端が電磁石321に移動可能に接続され、それにより他端が球状閉鎖部材31に当接又は分離可能になる。正圧装置30は前記調理キャビティを密閉して前記加熱装置50の加熱動作時に前記調理キャビティ内を正圧にすることに用いられる。
【0046】
負圧装置40、例えば真空装置は真空ポンプ41、接続管42及び電磁弁43を含む。真空ポンプ41は接続管42によって電磁弁43及び排気口22と連通し、電磁弁43は接続管42によって気体抜き口21と連通する。負圧装置40は前記調理キャビティの密閉時に前記調理キャビティを真空引きして前記調理キャビティ内を負圧にすることに用いられる。
【0047】
炊飯器は炊飯する時に、通常、吸水段階、加熱段階、沸騰段階、蒸らし段階等のいくつかの段階を含む。
【0048】
制御モジュール60は前記調理器具の調理中に前記調理器具の現在の調理段階を判断し、前記調理器具が加熱段階にある時、負圧装置40と正圧装置30を制御して前記調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、前記調理キャビティ内にバンピング現象を発生させることに用いられ、前記第1圧力は前記第2圧力よりも小さく、前記第2圧力は標準大気圧である。
【0049】
なお、本願の実施例では、バンピング現象とは、調理キャビティ内の圧力が突然変化して調理キャビティ内が突然沸騰する現象である。
【0050】
本願において、前記調理器具が沸騰段階、若しくは蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記制御モジュールはさらに、前記正圧装置と前記加熱装置を制御して前記調理キャビティ内の圧力を第2圧力と第3圧力の間で変化させるように制御することに用いられ、前記第2圧力は前記第3圧力よりも小さい。
【0051】
具体的には、第1圧力は負圧であり、すなわち、標準大気圧よりも小さい圧力であり、例えば60〜80KPaであり、第2圧力は標準大気圧の圧力であり、例えば100KPaであり、第3圧力は正圧であり、すなわち標準大気圧よりも大きい圧力であり、例えば105〜130KPaである。
【0052】
つまり、本願の実施例では、制御モジュール60は負圧装置40と正圧装置30をそれぞれ所定時間に起動又はオフするように制御して、調理キャビティ内の圧力を突然変化させる。例えば、負圧装置40を利用して調理キャビティ11を負圧状態にする時、まず、電磁石321がプッシュロッド322を移動駆動して閉鎖部材31から分離し、閉鎖部材31が重力作用下で気体通過孔を密閉し、この時、吸気口23が密閉状態にあり、調理キャビティが密封状態にあり、その後、電磁弁43を開放するように制御し、真空ポンプ41が動作を開始し、調理キャビティ11が負圧状態になるまで調理キャビティ11内の気体を吸引し、接続管42及び排気口22によって調理キャビティ11外に排出し、正圧装置30を利用して調理キャビティ11の気圧を増加する必要がある場合、まず、電磁弁43を閉鎖するように制御し、負圧装置が真空引きを停止し、駆動ユニット32によって閉鎖部材31を支持部材33から分離駆動して吸気口23を開放し、調理キャビティ11外の空気を吸気口23によって調理キャビティ11内に導入し、調理キャビティ11内の気圧を標準大気圧に上げ、その後、電磁石321によってプッシュロッド322を移動駆動して閉鎖部材31から分離し、閉鎖部材31が重力作用下で気体通過孔を密閉し、この時、吸気口23が密閉状態にあり、調理キャビティが密封状態にあるとともに、加熱装置50が加熱動作を行い、調理キャビティ内の圧力を正圧にさらに上げる。
【0053】
本願において、図5に示すように、前記調理器具が前記加熱段階にある時、制御モジュール60は、正圧装置30を制御して前記調理キャビティ11を密封状態にし、負圧装置40を制御して前記調理キャビティを真空引き、且つ前記調理キャビティ内の圧力が前記第1圧力、例えば70KPaである際に、負圧装置40を制御して真空引きを停止し、且つ正圧装置30を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、すなわち、駆動ユニット32によって閉鎖部材31を支持部材33から分離駆動して吸気口23を開放し、調理キャビティ11外の空気を吸気口23によって調理キャビティ11内に導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで向上させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させることに用いられる。
【0054】
つまり、加熱段階では、負圧装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を負圧とゼロ圧の間に交互に変化させ、それにより調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止する。
【0055】
図5に示すように、本願では、前記調理器具が前記沸騰段階、若しくは前記蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、制御モジュール60は前記正圧装置30を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ加熱装置50を制御して加熱動作を実行し、調理キャビティ内の水を加熱して水蒸気を発生させ、調理キャビティ内を正圧にし、すなわち、前記調理キャビティ内の圧力を前記第3圧力にすることに用いられる。制御モジュール60はさらに、前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで低下させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させることに用いられる。
【0056】
つまり、沸騰段階では、加熱装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を正圧とゼロ圧の間に交互に変化させることによって、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止し、又は、蒸らし段階では、加熱装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を正圧とゼロ圧の間に交互に変化させることによって、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止し、さらに又は、沸騰段階及び蒸らし段階では、加熱装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を正圧とゼロ圧の間に交互に変化させることによって、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止する。
【0057】
従って、本願では、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させるように制御することは、加熱段階、沸騰段階及び蒸らし段階のうちのいずれかの段階で実行されてもよく、これら3つの段階のうちの任意の2つの段階で実行されてもよく、3つの段階のすべてで実行されてもよい。
【0058】
本願において、上記調理器具は前記調理キャビティ内の米・水温度を検出することに用いられる温度検出モジュールをさらに含み、制御モジュールはさらに、調理器具が前記加熱段階にある時、前記米・水温度が所定温度、例えば70℃以上である場合、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引きすることに用いられる。
【0059】
具体的には、所定温度は65〜75℃であってもよく、好ましくは、70℃であってもよい。
【0060】
図5に示すように、調理器具が動作開始又は所定時間の吸水段階完了後、加熱段階に入り、前記米・水温度が第2所定温度、例えば100℃以上になると、前記調理器具が前記沸騰段階に入ると判断し、調理キャビティの底部温度が第3所定温度になると、前記調理器具が前記蒸らし段階に入ると判断する。
【0061】
本願の実施例では、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させるように制御ことは、米・水温度が70℃に達し、すなわち米が糊化を開始する時から開始してもよく、つまり、米の糊化から飯塊り防止制御を開始し、及び複数の調理段階では米塊りを防止することと組み合わせることによって、飯の塊り問題を効果的に解決し、調理された飯の効果を向上させることができる。
【0062】
また、本願の実施例による調理器具100のほかの構成及び操作は当業者にとって公知のものであるため、ここでは詳細説明を省略する。
【0063】
本願の実施例の調理器具では、調理器具の調理中、制御モジュールにより調理器具の現在の調理段階を判断し、且つ調理器具が加熱段階にある時、負圧装置と正圧装置を制御することによって調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力との間で変化させるように制御し、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させ、それにより加熱段階から圧力差及び外部気流によって調理キャビティ内におけるバンピングを実現でき、調理中に米と米がくっつく問題を解決し、飯の塊りを効果的に防止し、飯の味を向上させることができ、また、さらに負圧装置と正圧装置を利用して調理キャビティ内の気圧を制御することによって、食物の調理中の吸水、沸騰及び蒸らし段階に必要な気圧要件を満たすことができるだけでなく、調理キャビティ内の気圧を2種の状態に交互に切り替え、それによりさらに飯のふんわり食感を向上させ、飯の味を改善し、さらに蒸気の逸散による食物の水分不足を軽減させることができ、ユーザーのニーズを完全に満たす。
【0064】
図6は本願の実施例による調理器具の調理制御方法のフローチャートである。該調理器具は上記実施例に記載の調理器具、例えば炊飯器であってもよく、該調理器具は釜体、蓋体、負圧装置及び正圧装置を含み、前記釜体は上部が開放している調理キャビティを有し、前記蓋体は閉鎖位置と開放位置の間に移動可能に前記釜体に取り付けられ、前記負圧装置は前記調理キャビティの密閉時に前記調理キャビティを真空引きして前記調理キャビティ内を負圧にすることに用いられ、前記正圧装置は前記調理キャビティを密閉して前記調理器具の加熱動作時に前記調理キャビティ内を正圧にすることに用いられ、前記負圧装置と前記正圧装置は同時に起動しない。
【0065】
図6に示すように、該調理器具の調理制御方法はステップS1〜S2を含む。
【0066】
S1、調理器具の調理中、調理器具の現在の調理段階を判断し、調理器具の調理段階は加熱段階、沸騰段階及び蒸らし段階を含む。
【0067】
本願によれば、図5に示すように、調理器具が動作開始又は所定時間の吸水段階完了後、加熱段階に入り、前記米・水温度が第2所定温度、例えば100℃以上になると、前記調理器具が前記沸騰段階に入ると判断し、調理キャビティの底部温度が第3所定温度になると、前記調理器具が前記蒸らし段階に入ると判断する。
【0068】
S2、調理器具が加熱段階にある時、負圧装置と正圧装置を制御することによって調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させ、前記第1圧力は前記第2圧力よりも小さく、前記第2圧力は標準大気圧である。
【0069】
なお、本願の実施例では、バンピング現象とは、調理キャビティ内の圧力が突然変化して調理キャビティ内が突然沸騰する現象である。
【0070】
本願において、第1圧力は負圧であり、すなわち、標準大気圧よりも小さい圧力であり、例えば60〜80KPaであり、第2圧力はゼロ圧であり、すなわち標準大気圧の圧力であり、例えば100KPaであり、第3圧力は正圧であり、すなわち標準大気圧よりも大きい圧力であり、例えば105〜130KPaである。
【0071】
本願によれば、図5に示すように、前記調理器具が前記加熱段階にある時、正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引き、前記調理キャビティ内の圧力が前記第1圧力、例えば70KPaである際に、負圧装置を制御して真空引きを停止し、正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、すなわち、駆動ユニットによって閉鎖部材を支持部材から分離駆動して吸気口を開放し、調理キャビティ外の空気を吸気口によって調理キャビティ内に導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで向上させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させる。
【0072】
つまり、加熱段階では、負圧装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を負圧とゼロ圧の間に交互に変化させ、それにより調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止する。
【0073】
具体的には、図7に示すように、上記調理器具が加熱段階に入った後の調理制御方法は、ステップS11〜S18を含む。
【0074】
S11、調理器具が加熱段階に入る。
【0075】
S12、加熱装置を制御して加熱動作を実行する。
【0076】
S13、米・水温度を検出する。
【0077】
S14、米・水温度が所定温度、例えば70℃に達するか否かを判断する。YESであると、ステップS15を実行し、NOであると、ステップS12に戻る。
【0078】
S15、負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引きする。
【0079】
つまり、前記調理器具が前記加熱段階にある時、前記米・水温度が所定温度、例えば70℃に達すると、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ前記負圧装置を制御して前記調理キャビティを真空引きする。
【0080】
S16、調理キャビティ内の圧力が第1圧力、例えば80KPaに達すると、調理キャビティ内が負圧になる。
【0081】
S17、正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、すなわち、駆動ユニットによって閉鎖部材を支持部材から分離駆動して吸気口を開放し、調理キャビティ外の空気を吸気口によって調理キャビティ内に導入する。
【0082】
S18、調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力、例えばゼロ圧に上げ、調理キャビティ内に負圧バンピング現象を発生させ、米の糊化開始時から、調理された飯の塊りを効果的に防止する。
【0083】
本願において、前記調理器具が沸騰段階、若しくは蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記正圧装置と前記調理器具の加熱装置を制御することによって前記調理キャビティ内の圧力を第2圧力と第3圧力の間で変化させるように制御し、前記第2圧力は前記第3圧力よりも小さい。
【0084】
図5に示すように、前記調理器具が前記沸騰段階、若しくは前記蒸らし段階、又はその両方の段階にある時、前記正圧装置を制御して前記調理キャビティを密封状態にし、且つ加熱装置を制御して加熱動作を実行し、調理キャビティ内の水を加熱して水蒸気を発生させ、調理キャビティ内を正圧にし、すなわち前記調理キャビティ内の圧力を前記第3圧力にし、前記正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、前記調理キャビティ内の圧力を前記第2圧力まで低下させることを繰り返すことにより、前記調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させる。
【0085】
つまり、沸騰段階では、加熱装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を正圧とゼロ圧の間に交互に変化させることによって、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止し、又は、蒸らし段階では、加熱装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を正圧とゼロ圧の間に交互に変化させることによって、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止し、さらに、又は、沸騰段階及び蒸らし段階では、加熱装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を正圧とゼロ圧の間に交互に変化させることによって、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、調理された飯の塊りを効果的に防止する。
【0086】
具体的には、図8に示すように、上記調理器具が沸騰段階に入った後の調理制御方法はステップS21〜S26を含む。
【0087】
S21、調理器具が沸騰段階に入る。
【0088】
S22、加熱装置を制御して加熱動作を実行する。
【0089】
S23、米・水温度を検出する。
【0090】
S24、米・水温度が105℃に達するか否かを判断し、米・水温度が105℃に達すると、調理キャビティ内の圧力が130KPa程度に達する。YESであると、ステップS25を実行し、NOであると、ステップS22に戻る。
【0091】
S25、調理キャビティ内を正圧にし、正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、すなわち、駆動ユニットによって閉鎖部材を支持部材から分離駆動して吸気口を開放し、調理キャビティ外の空気を吸気口によって調理キャビティ内に導入する。
【0092】
S26、調理キャビティ内の圧力を第2圧力、例えばゼロ圧に下げ、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、沸騰段階では、調理された飯の塊りを効果的に防止する。
【0093】
図9に示すように、上記調理器具が沸騰段階に入った後の調理制御方法は、ステップS31〜S36を含む。
【0094】
S31、調理器具が蒸らし段階に入る。
【0095】
S32、加熱装置を制御して加熱動作を実行する。
【0096】
S33、米・水温度を検出する。
【0097】
S34、米・水温度が101℃に達するか否かを判断し、米・水温度が101℃程度になると、調理キャビティ内の圧力が105KPa程度に達する。YESであると、ステップS35を実行し、NOであると、ステップS32に戻る。
【0098】
S35、調理キャビティ内を正圧にし、正圧装置を制御して空気を前記調理キャビティに導入し、すなわち、駆動ユニットによって閉鎖部材を支持部材から分離駆動して吸気口を開放し、調理キャビティ外の空気を吸気口によって調理キャビティ内に導入する。
【0099】
S36、調理キャビティ内の圧力を第2圧力、例えばゼロ圧に下げ、調理キャビティ内に正圧バンピング現象を発生させ、蒸らし段階では、調理された飯の塊りを効果的に防止する。
【0100】
なお、本願では、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させるように制御することは、加熱段階、沸騰段階及び蒸らし段階のうちのいずれかの段階で実行されてもよく、これら3つの段階のうちの任意の2つの段階で実行されてもよく、3つの段階のすべてで実行されてもよい。
【0101】
また、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させるように制御ことは、米・水温度が70℃に達し、すなわち米が糊化を開始する時から開始してもよく、つまり、米の糊化から飯塊り防止制御を開始し、及び複数の調理段階では米塊りを防止することと組み合わせることによって、飯の塊り問題を効果的に解決し、調理された飯の効果を向上させることができる。
【0102】
本願の実施例による調理器具の調理制御方法では、調理器具の調理中、調理器具の現在の調理段階を判断し、調理器具が加熱段階にある時、負圧装置と正圧装置を制御して調理キャビティ内の圧力を第1圧力と第2圧力の間で変化させるように制御し、調理キャビティ内にバンピング現象を発生させ、それにより加熱段階から圧力差及び外部気流によって調理キャビティ内におけるバンピングを実現でき、調理中に米と米がくっつく問題を解決し、飯の塊りを効果的に防止し、飯の味を向上させることができ、また、さらに負圧装置と正圧装置を利用して調理キャビティ内の気圧を制御することによって、食物の調理中の吸水、沸騰及び蒸らし段階に必要な気圧要件を満たすことができるだけでなく、調理キャビティ内の気圧を2種の状態に交互に切り替え、それによりさらに飯のふんわり食感を向上させ、飯の味を改善し、さらに蒸気の逸散による食物の水分不足を軽減させることができ、ユーザーのニーズを完全に満たす。
【0103】
また、本発明は記憶媒体をさらに提供し、上記実施例のいずれか一項に記載の調理器具の調理制御方法を実行するためのアプリケーションプログラムを記憶することに用いられる。
【0104】
さらに、「第1」、「第2」という用語は、説明のためのものにすぎず、相対的な重要性を示すもしくは暗示する、または示された技術的特徴の数を暗黙的に示めるものとして理解されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」が限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴が明示的または暗黙的に含まれる。本願の説明において、「複数」の意味は、特に明記しない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0105】
フローチャート、又はここで別の形態で説明されたあらゆるプロセスあるいは方法の説明は、指定された論理機能またはプロセスのステップを実現することに使われる1つ以上の実行可能な命令のコードのモジュール、セグメント、または一部を含むと理解され得る。また、本願の好適な実施形態の範囲はほかの実装を含み、示された又は議論された順番に従わずに、関連機能に基づいてほぼ同時の形態又は反対の順番に従うことを含み、機能を実行できることを表すことと理解されてもよい。これは本発明の実施例の当業者に理解されるべきである。
【0106】
フローチャートで示される、又は、ここで別の形態で説明された論理、若しくはステップ、又はその両方は、たとえば、論理機能を実装するための実行可能な命令の定配列表だと思われてもよく、あらゆるコンピューター可読媒体において具体的に実現されて、命令実行システム、装置又はデバイス(例えばコンピューターによるシステム、プロセッサを含むシステム又は、命令実行システム、装置又はデバイスから命令を読み出すとともに、命令を実行することができる他のシステム)により使用され、又はこれらの命令実行システム、装置又はデバイスに合わせて使用されてもよい。本明細書について、「コンピューター可読媒体」は、プログラムを包括、記憶、通信、伝播又は伝送して、命令実行システム、装置又はデバイス又はこれらの命令実行システム、装置又はデバイスに合わせて使用されるあらゆる装置であってもよい。コンピューター可読媒体は、さらに具体的な例(包括的でないリスト)で示すと、1つ又は複数の配線を有する電気的接続部(電子装置)、携帯式コンピュータディスクカートリッジ(磁気装置)と、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)と、読み出し専用メモリー(ROM)と、消去可能編集可能な読み出し専用メモリー(EPROM又はフラッシュメモリー)と、光ファイバー装置と、携帯式ディスク読み出し専用メモリー(CDROM)と、を含む。なお、コンピューター可読媒体は、さらに、その上に前記プログラムがプリントされる紙、又は他の適切な媒体であってもよい。これは、例えば、紙又はその他の媒体を光学的にスキャンし、次に編集、解釈し、又は必要な時に他の適切な方式で処理することにより、電子方式で前記プログラムを取得してコンピュータメモリーに記憶するからである。
【0107】
本願の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせにより実装できることを理解されたい。上記実施形態では、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶され、適切な命令実行システムで実行されるソフトウェア又はファームウェアにより実装できる。たとえば、ハードウェアで実装すると、別の実施形態と同様に、本分野の公知の下記技術のうちのいずれか又はそれらの組み合わせにより実装できる:データ信号に論理機能を実装するための論理ゲート回路を備えたディスクリート論理回路、適切な組み合わせ論理ゲート回路を備えた専用集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など。
【0108】
当業者であれば理解できるように、上記実施例方法のステップのすべてまたは一部は、プログラム命令に関連するハードウェアによって実装され得て、前記プログラムがコンピューター可読記憶媒体に記憶でき、該プログラムを実行する場合、方法実施例のステップの一つ又はそれらの組み合わせの実行を含む。
【0109】
加えて、本願の各実施例における各機能ユニットは、一つの処理モジュールに統合されてもよいし、ユニットの各々が物理的に単体で存在してよく、または二つ以上のユニットが一つのモジュールに統合されてもよい。上述の統合されたモジュールは、ハードウェアとして実装されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールとして実装されてもよい。前記統合されたモジュールは、ソフトウェア機能モジュールとして実装され、別個な製品として販売又は使用されていると、一つのコンピューター可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0110】
上述した記憶媒体は、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、または光ディスクなどであってもよい。以上、本願の実施例を示して説明したが、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものと理解してはいけない。当業者は、本願の範囲内で上記実施例に対して変更、修正、取り替え及び変形を行うことができる。
【0111】
なお、本願の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「逆時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本願を便利に又は簡単に説明するためのものであり、指定された装置又は部材が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本願を限定するものと理解してはいけない。
【0112】
本願において、明確な規定と限定がない限り、「取り付ける」、「互いに接続する」、「接続する」、「固定する」などの用語の意味は広義に理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、又は一体的な接続でも可能である。機械的な接続や、電気的な接続も可能である。直接的に接続することや、その間に媒体を介して間接的に接続することや、二つの部材の内部が連通することや、あるいは二つの部材の間に相互の作用関係があることも可能である。当業者であれば、具体的な場合に応じて上記用語の本願においての具体的な意味を理解することができる。
【0113】
本願において、明確な規定と限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでも良いし、又は第1特徴と第2特徴とが、その間に媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「以上」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上にあることを含むか、又は、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表す。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「以下」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下又は斜め下にあることを含むか、又は、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことだけを表す。
【0114】
以上、本願の実施例を示して説明したが、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものと理解してはいけない。当業者は、本願の範囲内で上記実施例に対して変更、修正、取り替え及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0115】
100 調理器具
10 釜体
11 調理キャビティ
20 蓋体
21 気体抜き口
22 排気口
23 吸気口
24 取付カバー
30 正圧装置
31 閉鎖部材
32 駆動ユニット
321 電磁石
322 プッシュロッド
33 支持部材
331 環状部材
332 支持台
40 負圧装置
41 真空ポンプ
42 接続管
43 電磁弁
50 加熱装置
60 制御モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9