特許第6899962号(P6899962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899962
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】作業機および作業機の使用方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20210628BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20210628BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
   F16F15/02 C
   B23Q11/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-517002(P2020-517002)
(86)(22)【出願日】2018年5月2日
(86)【国際出願番号】JP2018017546
(87)【国際公開番号】WO2019211911
(87)【国際公開日】20191107
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻山 岳史
(72)【発明者】
【氏名】山田 一智
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−027533(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/066949(WO,A1)
【文献】 特開2015−082059(JP,A)
【文献】 特開2010−173026(JP,A)
【文献】 特開2010−010463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30,13/00−13/08
F16F 15/02
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作部と、
表示部と、
記憶部と、
制御部と、を備えている作業機であって、
前記作業機に少なくとも1個の動吸振器が取り付けられている状態で前記動作部が動作することによって前記作業機が振動するときの前記作業機の特定位置の振幅が所定の閾値振幅以下になる場合における前記少なくとも1個の動吸振器の取り付け位置を示す位置情報および/または前記少なくとも1個の動吸振器の種類を示す種類情報が前記記憶部に記憶されており、
前記制御部が、前記記憶部に記憶されている前記位置情報および/または前記種類情報を前記表示部に表示する、作業機。
【請求項2】
前記作業機に前記動吸振器が取り付けられていない状態で前記動作部が動作することによって前記作業機が振動するときの前記作業機の前記特定位置の振幅に基づいて前記所定の閾値振幅が決定されている、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記制御部が、前記位置情報と前記種類情報を対応付けて前記表示部に表示する、請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記作業機が、基板に部品を実装する部品実装装置である、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記部品実装装置が、前記基板に対して上下に移動するノズルを備えており、
前記特定位置が、前記ノズルの先端部の位置である、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記特定位置の振幅が、前記特定位置にレーザーを照射するレーザー変位計によって測定された振幅である、請求項1から5のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記特定位置の振幅が、前記特定位置を示すことができる移動子を備えているエンコーダーによって測定された振幅である、請求項1から5のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項8】
動作部と、表示部と、記憶部と、を備えている作業機の使用方法であって、
前記作業機に少なくとも1個の動吸振器が取り付けられている状態で前記動作部が動作することによって前記作業機が振動するときの前記作業機の特定位置の振幅が所定の閾値振幅以下になる場合における前記少なくとも1個の動吸振器の取り付け位置を示す位置情報および/または前記少なくとも1個の動吸振器の種類を示す種類情報を前記記憶部に記憶させる工程と、
前記記憶部に記憶させた前記位置情報および/または前記種類情報を前記表示部に表示させる工程と、を備えている使用方法。
【請求項9】
機台と、
動吸振器を取り付け可能な少なくとも1個の取付部と、
前記動吸振器の取付部および前記動吸振器の種類の少なくとも一方を示す情報を表示する表示部と、
前記動吸振器を取り付けることで前記機台の振動を抑制しながら作業を行うために必要な動作を前記機台上で行う動作部と、を備えている作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、作業機および作業機の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に部品を実装する部品実装装置が開示されている。特許文献1の部品実装装置は、基板に部品を実装するときに動作する動作部を備えている。動作部が動作すると部品実装装置が振動する。また、特許文献1の部品実装装置には、振動を抑制するための動吸振器が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−27533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装装置に動吸振器が取り付けられる場合は、動吸振器の取り付け位置や、取り付ける動吸振器の種類によって、部品実装装置の動作部が動作したときの振動状態が異なってくる。動吸振器の取り付け位置や、取り付ける動吸振器の種類によって、部品実装装置の振動が十分に抑制されることもあれば、振動がそれほど抑制されないこともある。部品実装装置に動吸振器が取り付けられたとしても、部品実装装置の振動が抑制されなければ基板に部品を実装するときに問題が生じることもある。そこで本明細書は、振動を抑制することができる動吸振器に関する情報をユーザーに知らせることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する作業機は、動作部と、表示部と、記憶部と、制御部と、を備えている。前記作業機に少なくとも1個の動吸振器が取り付けられている状態で前記動作部が動作することによって前記作業機が振動するときの前記作業機の特定位置の振幅が所定の閾値振幅以下になる場合における前記少なくとも1個の動吸振器の取り付け位置を示す位置情報および/または前記少なくとも1個の動吸振器の種類を示す種類情報が前記記憶部に記憶されている。前記制御部が、前記記憶部に記憶されている前記位置情報および/または前記種類情報を前記表示部に表示する。
【0006】
この構成によれば、作業機の特定位置の振幅が所定の閾値振幅以下になる場合における動吸振器の位置情報および/または種類情報が表示部に表示されるので、作業機の振動を抑制するための動吸振器に関する情報をユーザーに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に係る部品実装装置の概略構成を示す図である。
図2】実施例に係る部品実装装置の使用方法の第1工程を示すフローチャートである。
図3】吸着ノズルの先端部の位置の振幅を測定する方法を説明する図である。
図4】動吸振器無しの場合での吸着ノズルの先端部の位置の振幅の一例を示す図である。
図5】動吸振器有りの場合での吸着ノズルの先端部の位置の振幅の一例を示す図である。
図6】実施例に係る部品実装装置の使用方法の第2工程を示すフローチャートである。
図7】表示部での表示の一例を示す図である。
図8】動吸振器としてのダンパーの一部を分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例に係る作業機について説明する。実施例に係る作業機は、部品実装装置であり、部品実装の作業をおこなう機械である。部品実装装置は、回路基板に複数の電子部品を実装する装置である。部品実装装置は、表面実装装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装装置は、はんだ印刷装置、他の部品実装装置及び基板検査装置とともに併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0009】
図1に示すように、部品実装装置1は、動作部10と、制御部30とを備えている。動作部10は、複数の部品フィーダ12(図2には代表として1つの部品フィーダ12を示す。)と、フィーダ保持部14と、実装ヘッド16と、撮像ユニット20と、実装ヘッド16及び撮像ユニット20を移動させる移動機構18と、搬送装置26と、を備えている。また、部品実装装置1は、機台41と、支持部42と、フード43と、操作パネル28を備えている。
【0010】
部品実装装置1は、工場等の床100に設置されている。例えば、部品実装装置1を製造している自社の工場の床に部品実装装置1が設置されている。また、自社の工場で製造された部品実装装置1が、自社の工場から出荷された後、出荷先の他社の工場の床に設置されることもある。
【0011】
部品実装装置1の各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。各々の部品フィーダ12は、回路基板2に実装するための複数の電子部品4を供給する装置である。各々の部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取付けられ、実装ヘッド16へ電子部品4を供給する。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ状に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダである。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4が並んで配置されているテープを送り出すことによって電子部品4を供給することができる。各々の部品フィーダ12は、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、または、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。
【0012】
移動機構18は、部品フィーダ12と回路基板2との間で実装ヘッド16及び撮像ユニット20を移動させる。本実施例の移動機構18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットである。移動機構18は、移動ベース18aを案内するガイドレールや、移動ベース18aをガイドレールに沿って移動させる移動機構や、その移動機構を駆動するモーター等によって構成されている。移動機構18は、部品フィーダ12及び回路基板2の上方に配置されている。移動ベース18aに対して実装ヘッド16及び撮像ユニット20が取付けられている。実装ヘッド16及び撮像ユニット20は、移動機構18によって部品フィーダ12の上方及び回路基板2の上方を移動する。
【0013】
実装ヘッド16は、電子部品4を吸着する吸着ノズル6を備えている。吸着ノズル6の先端部61には、後述するチップ62(図1では図示省略)が取り付けられている。吸着ノズル6は、実装ヘッド16に対して着脱可能である。吸着ノズル6は、Z方向(図面上下方向)に移動可能に実装ヘッド16に取付けられている。吸着ノズル6は、実装ヘッド16に収容されたアクチュエータ(図示省略)によって上下方向に昇降すると共に、電子部品4を吸着可能に構成されている。実装ヘッド16により電子部品4を回路基板2に実装するには、まず、移動機構18により実装ヘッド16を部品吸着位置に移動させる。次に、吸着ノズル6の先端部61が部品フィーダ12に収容された電子部品4に当接するまで、吸着ノズル6を下方に移動させる。次いで、吸着ノズル6に電子部品4を吸着し、吸着ノズル6を上方に移動させる。次いで、移動機構18により実装ヘッド16を部品実装位置に移動させ、回路基板2に対して位置決めする。次いで、吸着ノズル6を回路基板2に向かって下降させることで、回路基板2に電子部品4を実装する。
【0014】
撮像ユニット20は、移動ベース18aに取付けられている。このため、実装ヘッド16が移動すると、撮像ユニット20も一体となって移動する。撮像ユニット20は、カメラ支持部22とカメラ24を備えている。カメラ支持部22は、移動ベース18aに取付けられている。カメラ支持部22には、カメラ24が取付けられている。
【0015】
カメラ24は、回路基板2の表面21を撮像する装置である。撮像ユニット20が移動機構18によって回路基板2の上方(図面Z方向)まで移動したときに、カメラ24が回路基板2の上方に配置される。カメラ24は、回路基板2の上方から回路基板2の表面21の全体を撮像範囲に入れた状態で回路基板2の表面21を撮像する。カメラ24が撮像した回路基板2の表面21の画像データは制御部30に送信される。カメラ24は、カメラ24の動作を制御するカメラ制御部(図示省略)を備えている。カメラ24の動作は、カメラ制御部によって制御される。
【0016】
搬送装置26は、回路基板2の部品実装装置1への搬入、部品実装位置への搬送及び位置決め、部品実装装置1からの搬出を行う装置である。搬送装置26は、例えば、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取付けられると共に回路基板2を下方から支持する支持装置32と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成することができる。回路基板2は、図面X方向に搬送される。
【0017】
支持装置32は、支持テーブル38と、複数の支持ピン34を備えている。支持テーブル38と複数の支持ピン34は、回路基板2の下方に配置されている。支持テーブル38は、上下に昇降可能に構成されている。複数の支持ピン34は、支持テーブル38に固定されており、上方に突出している。この支持装置32では、ベルトコンベアによって回路基板2が所定の作業位置まで搬送されると、回路基板2の下方に配置されている支持テーブル38が上昇する。支持テーブル38が上昇することによって、支持テーブル38に固定されている複数の支持ピン34が回路基板2を上方に持ち上げる。
【0018】
部品実装装置1の機台41は、工場等の床100に配置されている。機台41には、フィーダ保持部14と搬送装置26が固定されている。また、機台41には、支持部42が固定されている。支持部42は、機台41とフード43の間に配置されている。支持部42は、フード43を支持している。支持部42は、柱状に形成されている。フード43は、動作部10を覆っている。
【0019】
支持部42は、複数の取付部60(601、602)を備えている。また、フード43は、複数の取付部60(603、604)を備えている。各取付部60(601、602、603、604)には、動吸振器50(201、502、503、504)が取り付けられている。各取付部60は、例えば金属製のホルダー(図示省略)を備えており、各動吸振器50を保持可能に構成されている。
【0020】
各動吸振器50は、例えば円柱状のウェイトである。本実施例では、複数の種類の動吸振器50が存在している。例えば、100g、200g、300g、400gの4種類の動吸振器501、502、503、504が存在している。各動吸振器50は、例えばネジ等によって、各取付部60に取り付け可能に構成されている。各動吸振器50の構成は特に限定されるものではない。
【0021】
部品実装装置1の操作パネル28は、支持部42には操作パネル28が固定されている。操作パネル28は、作業者の指示を受け付ける入力装置である。操作パネル28は、液晶表示部29を備えている。液晶表示部29には、各種の情報が表示される。例えば、部品実装装置1に取り付けられる動吸振器50に関する情報が液晶表示部29に表示される。
【0022】
部品実装装置1の制御部30は、CPU(図示省略)と、メモリ31(記憶部の一例)とを備えたコンピュータを備えている。図示はしていないが、制御部30には、部品フィーダ12と、実装ヘッド16と、移動機構18と、操作パネル28と、が通信可能に接続されている。制御部30は、これら各部(12,16,18,28,32等)を制御することで、電子部品4の回路基板2への実装の制御を行う。また、メモリ31には、各種の情報が記憶されている。例えば、部品実装装置1に取り付けられる動吸振器50に関する情報がメモリ31に記憶される。
【0023】
上記の部品実装装置1では、回路基板2に複数の電子部品4を実装するときに、移動機構18や実装ヘッド16等が動作することによって、部品実装装置1が振動することがある。このときに、上記の構成では、動吸振器50によって部品実装装置1の振動が抑制されることがある。動作部10が動作するときに動吸振器50によって機台41の振動が抑制される。
【0024】
次に、上記の部品実装装置1の使用方法について説明する。まず、部品実装装置1の使用方法の第1工程について説明する。第1工程は、部品実装装置1が例えば自社の工場に設置されているときに実行される。
【0025】
図2に示すように、第1工程のS11では、部品実装装置1の第1テスト動作を実行する。第1テスト動作では、部品実装装置1の動作部10を動作させる。例えば、部品実装装置1の移動ベース18aをX方向及びY方向に動作させる。また、部品実装装置1の実装ヘッド16と吸着ノズル6をZ方向に動作させる。S11の第1テスト動作は、動吸振器50無しの状態で実行される。したがって、第1テスト動作では、部品実装装置1の取付部60に動吸振器50が取り付けられていない状態で動作部10が動作する。動作部10が動作することによって部品実装装置1が振動する。そのため、部品実装装置1の吸着ノズル6が例えばY方向に振動する。
【0026】
続いてS12では、吸着ノズル6の先端部61の位置(特定位置の一例)の振幅を測定する。本実施例では、吸着ノズル6の先端部61の位置のY方向における振幅を測定する。S12では、電子部品4が吸着ノズル6に吸着されていない状態で振幅を測定する。ここで、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅を測定する方法について説明する。図3に示すように、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅は、レーザー変位計200によって測定される。レーザー変位計200は、測定対象の位置が変位したときの変位量を測定する装置である。
【0027】
上記の部品実装装置1では、吸着ノズル6の先端部61にセラミックス製のチップ62が取り付けられている。吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅を測定する場合は、レーザー変位計200が、吸着ノズル6の先端部61に取り付けられているチップ62にレーザーLを照射する。レーザーLの照射方向とY方向との角度はθであるとする。レーザー変位計200から照射されたレーザーLは、吸着ノズル6の先端部61に取り付けられているチップ62に当たって反射する。チップ62によって反射されたレーザーLは、レーザー変位計200に向かって進行してレーザー変位計200に入射する。レーザー変位計200は、レーザー変位計200に入射したレーザーLに基づいて、レーザーLの照射方向における吸着ノズル6の先端部61の位置の変位量ΔL1を計算する。また、レーザー変位計200は、変位量ΔL1に基づいて、吸着ノズル6の先端部61の位置のY方向における変位量ΔL2を計算する。具体的には、ΔL2=ΔL1×cosθである。レーザー変位計200が計算した変位量ΔL2は、吸着ノズル6の先端部61の位置のY方向における振幅に相当する。
【0028】
図4に示すように、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅は、例えば吸着ノズル6の振動における周波数成分に応じて測定される。例えば、25Hzの周波数成分の振幅は、2.5μmである。
【0029】
図2に示すように、続いて第1工程のS13では、上記のS12で測定した振幅に基づいて、所定の閾値振幅を決定する。例えば、S12で測定した振幅の最大値の50%の値を所定の閾値振幅とする。所定の閾値振幅は特に限定されるものではない。
【0030】
続いてS14では、複数の動吸振器50の取り付け位置を仮決定する。また、仮決定した取り付け位置に対する動吸振器50の種類を仮決定する。すなわち、部品実装装置1のどの取付部60にどの動吸振器50を取り付けるのかを仮決定する。複数の取付部60と複数の動吸振器50との組み合わせを仮決定する。例えば、図1に示す取付部601に動吸振器501(100g)を取り付け、取付部602に動吸振器502(200g)を取り付け、取付部603に動吸振器503(300g)を取り付け、取付部604に動吸振器504(400g)を取り付けると仮決定する。そして、仮決定した各取り付け位置に仮決定した各種類の動吸振器50を取り付ける。
【0031】
続いてS15では、部品実装装置1の第2テスト動作を実行する。第2テスト動作では、上記の第1テスト動作(S11)と同様に、部品実装装置1の動作部10を動作させる。例えば、部品実装装置1の移動ベース18aをX方向及びY方向に動作させる。また、部品実装装置1の実装ヘッド16と吸着ノズル6をZ方向に動作させる。S15の第2テスト動作は、動吸振器50有りの状態で実行される。したがって、第2テスト動作では、部品実装装置1の各取付部60に各動吸振器50が取り付けられている状態で動作部10が動作する。動作部10が動作することによって部品実装装置1が振動する。そのため、部品実装装置1の吸着ノズル6が例えばY方向に振動する。
【0032】
続いてS16では、上記のS12と同様に、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅を測定する。本実施例では、吸着ノズル6の先端部61の位置のY方向における振幅を測定する。S16では、電子部品4が吸着ノズル6に吸着されていない状態で振幅を測定する。吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅は、レーザー変位計200によって測定される。吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅を測定する方法については、上記のS12と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0033】
図5に示すように、動吸振器50有りの場合(S15)は、動吸振器50無しの場合(S11、図4参照)よりも振幅が小さくなる。吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅は、例えば吸着ノズル6の振動における周波数成分に応じて測定される。例えば、25Hzの周波数成分の振幅は、1.2μmである。
【0034】
図2に示すように、続いて第1工程のS17では、上記のS16で測定した吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅が、上記のS13で決定した所定の閾値振幅以下であるか否かを判断する。S16で測定した振幅がS13で決定した閾値振幅以下である場合は(S17でYES)、S18に進む。そうでない場合は(S17でNO)、上記のS14に戻る。
【0035】
S17でNOと判断した後のS14では、複数の動吸振器50の取り付け位置を再び仮決定する。また、仮決定した取り付け位置に対する動吸振器50の種類を再び仮決定する。すなわち、部品実装装置1のどの取付部60にどの動吸振器50を取り付けるのかを再び仮決定する。複数の取付部60と複数の動吸振器50との組み合わせを再び仮決定する。S17でNOと判断した後のS14では、上記のS14で仮決定した組み合わせとは異なる組み合わせを仮決定する。例えば、取付部601に動吸振器504(400g)を取り付け、取付部602に動吸振器503(300g)を取り付け、取付部603に動吸振器502(200g)を取り付け、取付部604に動吸振器501(100g)を取り付けると仮決定する。そして、仮決定した各取り付け位置に仮決定した各種類の動吸振器50を取り付ける。その後、上記のS15からS17の工程を再び実行する。
【0036】
一方、S17でYESと判断した後のS18では、複数の動吸振器50の取り付け位置を決定する。S18では、複数の動吸振器50の取り付け位置を、上記のS14で仮決定してS17でYESと判断した場合の取り付け位置に決定する。また、S18では、決定した取り付け位置に対する動吸振器50の種類を決定する。S18では、動吸振器50の種類を、上記のS14で仮決定してS17でYESと判断した場合の種類に決定する。例えば、部品実装装置1の取付部601に動吸振器501(100g)を取り付け、取付部602に動吸振器502(200g)を取り付け、取付部603に動吸振器503(300g)を取り付け、取付部604に動吸振器504(400g)を取り付けると決定する。
【0037】
続いてS19では、上記のS18で決定した複数の動吸振器50に関する動吸振器情報をメモリ31に記憶させる。動吸振器情報は、上記のS18で決定した複数の動吸振器50の取り付け位置を示す位置情報を含んでいる。また、動吸振器情報は、上記のS18で決定した複数の動吸振器50の種類を示す種類情報を含んでいる。すなわち、動吸振器情報は、どの取付部60にどの動吸振器50を取り付けるのかを示す情報を含んでいる。動吸振器情報は、複数の取付部60と複数の動吸振器50との組み合わせを示す情報を含んでいる。例えば、動吸振器情報は、取付部601に動吸振器501(100g)を取り付け、取付部602に動吸振器502(200g)を取り付け、取付部603に動吸振器503(300g)を取り付け、取付部604に動吸振器504(400g)を取り付けることを示す情報を含んでいる。動吸振器情報に含まれている位置情報と種類情報は、互いに対応付けられている。以上で第1工程が終了する。
【0038】
第1工程が終了した後に、部品実装装置1が例えば自社の工場から他社の工場に出荷されることがある。したがって、第1工程が終了した後に部品実装装置1が他社の工場に設置されることがある。
【0039】
次に、部品実装装置1の使用方法の第2工程について説明する。第2工程を実行するときは、上記の第1工程を実行するときとは異なる場所に部品実装装置1が設置されている。第2工程は、部品実装装置1が例えば他社の工場に設置されているときに実行される。
【0040】
図6に示すように、第2工程のS21では、部品実装装置1の第1実動作を実行する。第1実動作では、上記の第1テスト動作(S11)と同様に、部品実装装置1の動作部10を動作させる。例えば、部品実装装置1の移動ベース18aをX方向及びY方向に動作させる。また、部品実装装置1の実装ヘッド16と吸着ノズル6をZ方向に動作させる。S21の第1実動作は、動吸振器50無しの状態で実行される。したがって、第1実動作では、部品実装装置1の取付部60に動吸振器50が取り付けられていない状態で動作部10が動作する。動作部10が動作することによって部品実装装置1が振動する。そのため、部品実装装置1の吸着ノズル6が例えばY方向に振動する。
【0041】
続いてS22では、上記のS12と同様に、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅を測定する。本実施例では、吸着ノズル6の先端部61の位置のY方向における振幅を測定する。S22では、電子部品4が吸着ノズル6に吸着されていない状態で振幅を測定する。吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅は、レーザー変位計200によって測定される。吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅を測定する方法については、上記のS12と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0042】
続いてS23では、上記のS22で測定した吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅が、上記のS13で決定した所定の閾値振幅以下であるか否かを判断する。S22で測定した振幅がS13で決定した閾値振幅以下である場合は(S17でYES)、続くS24とS25をスキップして第2工程を終了する。そうでない場合は(S17でNO)、S24に進む。
【0043】
続いてS24では、上記の第1工程のS19でメモリ31に記憶させた動吸振器情報を操作パネル28の液晶表示部29に表示させる。S24では、部品実装装置1の制御部30が、メモリ31に記憶されている動吸振器情報を液晶表示部29に表示する。図7に示すように、制御部30は、動吸振器情報に含まれている位置情報および種類情報を液晶表示部29に表示する。制御部30は、位置情報と種類情報を対応付けて液晶表示部29に表示する。すなわち、制御部30は、どの取付部60にどの動吸振器50を取り付けるのかを示す情報を液晶表示部29に表示する。制御部30は、複数の取付部60と複数の動吸振器50との組み合わせを示す情報を液晶表示部29に表示する。例えば、制御部30は、取付部601に動吸振器501(100g)を取り付け、取付部602に動吸振器502(200g)を取り付け、取付部603に動吸振器503(300g)を取り付け、取付部604に動吸振器504(400g)を取り付けることを示す情報を液晶表示部29に表示する。
【0044】
続いてS25では、上記のS24で液晶表示部29に表示された各取り付け位置に各種類の動吸振器50を取り付ける。そして、部品実装装置1の第2実動作を実行する。第2実動作では、上記の第1実動作(S21)と同様に、部品実装装置1の動作部10を動作させる。例えば、部品実装装置1の移動ベース18aをX方向及びY方向に動作させる。また、部品実装装置1の実装ヘッド16と吸着ノズル6をZ方向に動作させる。S15の第2実動作は、動吸振器50有りの状態で実行される。したがって、第2実動作では、部品実装装置1の各取付部60に各動吸振器50が取り付けられている状態で動作部10が動作する。動作部10が動作することによって部品実装装置1が振動する。そのため、部品実装装置1の吸着ノズル6が例えばY方向に振動する。
【0045】
第2実動作(S25)では、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅が、第1実動作(S21)での振幅よりも小さくなる。動吸振器50有りの場合(S25)は、動吸振器50無しの場合(S21)よりも振幅が小さくなる。
【0046】
上記の説明から明らかなように、実施例に係る部品実装装置1は、動作部10と、液晶表示部29と、メモリ31と、制御部30と、を備えている。メモリ31には、部品実装装置1に複数の動吸振器50が取り付けられている状態で動作部10が動作することによって部品実装装置1が振動するときの吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅が所定の閾値振幅以下になる場合における動吸振器情報が記憶されている(S17‐S19)。動吸振器情報には、複数の動吸振器50の取り付け位置を示す位置情報および複数の動吸振器50の種類を示す種類情報が含まれている。制御部30は、メモリ31に記憶されている位置情報および種類情報を液晶表示部29に表示する(S24)。
【0047】
この構成によれば、部品実装装置1の吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅が所定の閾値振幅以下になる場合における動吸振器情報が操作パネル28の液晶表示部29に表示されるので、部品実装装置1の振動を抑制するための情報(複数の動吸振器50の位置情報および種類情報)をユーザーに知らせることができる。ユーザーが動吸振器情報に基づいて複数の動吸振器50を部品実装装置1に取り付けることによって、部品実装装置1の振動を抑制することができる。
【0048】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。上記の実施例では、部品実装装置1に複数の動吸振器50が取り付けられていたが、動吸振器50の個数は限定されるものではない。部品実装装置1に1個の動吸振器50が取り付けられている構成であってもよい。少なくとも1個の動吸振器50が部品実装装置1に取り付けられている。
【0049】
上記の実施例では、部品実装装置1における全ての取付部60に動吸振器50が取り付けられていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、部品実装装置1における複数の取付部60のうち、一部の取付部60のみに動吸振器50が取り付けられている構成であってもよい。また、上記の実施例では、部品実装装置1が複数の取付部60を備えている構成であったが、この構成に限定されるものではない。例えば、取付部60の個数が1個であってもよい。
【0050】
上記の実施例では、メモリ31に記憶される動吸振器情報に位置情報および種類情報が含まれていたが、この構成に限定されるものではない。動吸振器情報に位置情報および種類情報のいずれか一方のみが含まれている構成であってもよい。すなわち、メモリ31に動吸振器50の位置情報または種類情報が記憶される構成であってもよい。また、液晶表示部29に動吸振器50の位置情報または種類情報が表示される構成であってもよい。
【0051】
上記の実施例では、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅がレーザー変位計200によって測定されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅がリニアエンコーダーによって測定されてもよい。リニアエンコーダーは、スケールヘッドと、リニアスケール(移動子)とを備えている。リニアスケールは、吸着ノズル6の先端部61の位置を示すことができる。スケールヘッドがリニアスケールの位置情報を取得することによって、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅を測定する。リニアエンコーダーは、リニアスケールの位置情報を高速フーリエ変換することによって、吸着ノズル6の振動における周波数成分に応じた振幅を測定することができる。また、リニアエンコーダーに代えて、ロータリーエンコーダーによって、吸着ノズル6の先端部61の位置の振幅が測定されてもよい。ロータリーエンコーダーもリニアエンコーダーと同様にスケールヘッドと、リニアスケール(移動子)とを備えている。
【0052】
上記の実施例では、第2工程のS21‐S23を実行していたが、これらの工程を省略することもできる。
【0053】
上記の実施例では、作業機が部品実装装置1であったが、この構成に限定されるものではなく、作業機は、例えば他の工作機械であってもよい。
【0054】
上記の実施例では、動吸振器50が円柱状のウェイトの構成であったが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、図8に示すように、動吸振器50が鈴状のダンパーであってもよい。複数の種類の動吸振器50として、複数の種類のダンパー50が存在している(図8には1個のダンパー50を示す。)。例えば、100g、200g、300g、400gの4種類のダンパー50が存在している。各ダンパー50は、例えばネジ等によって、各取付部60に取り付け可能に構成されている。各ダンパー50は、外側部51と、内側部52とを備えている。外側部51は、内側部52を覆っている。外側部51は、球状部材から形成されている。外側部51は、中空に形成されている。内側部52は、球状部材から形成されている。内側部52は、中実に形成されている。内側部52は、外側部51の内部に配置されている。内側部52は、外側部51の内部で自由に動くことができる。外側部51の内表面と内側部52の外表面との間には空間55が形成されている。各ダンパー50は、所定の重量を有している。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0056】
1:部品実装装置、2:回路基板、4:電子部品、6:吸着ノズル、10:動作部、12:部品フィーダ、14:フィーダ保持部、16:実装ヘッド、18:移動機構、18a:移動ベース、20:撮像ユニット、21:表面、22:カメラ支持部、24:カメラ、26:搬送装置、28:操作パネル、29:液晶表示部、30:制御部、31:メモリ、32:支持装置、34:支持ピン、38:支持テーブル、41:機台、42:支持部、43:フード、50:動吸振器、60:取付部、61:先端部、62:チップ、100:床、200:レーザー変位計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8