【実施例1】
【0022】
[構成の説明]
(1)全体の構成について
図1に示すように、本実施例のパチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51によって構成の各部を保持する構造を有している。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、ヒンジ53により、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52および後述の内枠が、外枠51に対して開閉可能に構成される。また、前枠52の板ガラス61の奥には、内枠に取り付けられた遊技盤2(
図2)が配設されている。
【0023】
前枠52の上部の左右両側には、スピーカ66が配設されており、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向性を向上させる。また、前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLEDが配設されている。
【0024】
前枠52の下部には、上皿55と下皿63とが一体的に設けられている。また、下皿63の右方には発射ハンドル64が配設されており、該発射ハンドル64が遊技者により時計回りに回動操作されることによって、図示しない発射装置が作動し、上皿55から供給された遊技球を遊技盤2の遊技領域3に向かって発射する。
【0025】
下皿63は、上皿55から溢れた賞球を受けるよう構成されており、球抜きレバー(図示せず)が遊技者により操作されることで、下皿63に貯まった遊技球をドル箱に移すことができる。また、上皿55の中央部には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68、および決定スイッチ69が設けられている。
【0026】
本実施例のパチンコ機1は、所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きなどを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が隣接されていると共に、上皿55の右側には、球貸ボタン57、精算ボタン58、および残高表示装置59が設けられている。
【0027】
なお、
図1の39は、前枠52および前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入して鍵を時計回りに操作すると、内枠が開放され、反時計回りに操作すると、前枠52が開放される。
【0028】
また、
図2に示すように、遊技盤2には、外レール2a,2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が形成されている。遊技領域3には、その中央部にセンターケース5が装着され、センターケース5の左横には、普通図柄作動ゲート17が設置されている。普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過すると、普通図柄の当否抽選用の複数種類の乱数が抽出され、抽出された乱数に基づく当否判定(普通図柄抽選)が行われる。また、遊技盤2の遊技領域3には多数の遊技釘が植設されており、盤面最下部にはアウト口16が設けられている。
【0029】
センターケース5の直下には、遊技球の入球に起因して、特別図柄(特図とも記載)の変動表示を伴う大当り抽選が行われる第一始動口11および第二始動口12が上下に並んで配設されている。上側の第一始動口11は、常時遊技球を入球可能に構成されている一方、下側の第二始動口12は、普通図柄抽選での当選により開放される普通電動役物として構成されており、普通図柄抽選での当選時のみ入球可能となっている。
【0030】
第一,第二始動口11,12に遊技球が入球すると、複数種類の乱数が抽出され、保留記憶として記憶される。
【0031】
普通電動役物として構成された第二始動口12は、普通図柄抽選での当選時に、所定の回数にわたり、所定時間の開放が行われる。具体的には、後述する時短モードでない状態(非時短モード時)であれば、一回の当選により約2.6秒の開放が二回行われる。
【0032】
第二始動口12の直下には、後述する大当り遊技又は小当り遊技の際に開放される特別電動役物からなる大入賞口14が配設されている。また、第一,第二始動口11,12の左方には、複数の一般入賞口20が配設されている。
【0033】
遊技盤2における向かって右下の領域には、複数個のLEDからなる第一特図表示装置9および第二特図表示装置10と、7セグメントの第一特図保留数表示装置18および第二特図保留数表示装置19と、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、7セグメントの普図保留数表示装置8とが設置されている。
【0034】
図2に示す遊技盤2のセンターケース5には、中央に演出図柄表示装置6(全体の図示は省略)が配設され、該演出図柄表示装置6の表示画面(LCDパネル)では、演出図柄の変動表示等を行うことで大当り抽選の結果を報知する大当り演出が行われる。
【0035】
また、センターケース5には、前記した演出図柄表示装置6の表示画面の下部前方に、遊技球を振り分ける振分装置21を備え、さらに、該振分装置21へ遊技球を案内するワープ通路22が設けられている。そして、センターケース5の左上部に、前記ワープ通路22へ遊技球を流入可能なワープ入口22aが設けられており、前記振分装置21の近傍に、ワープ通路22から遊技球が流出するワープ出口22bが設けられている。前記振分装置21は、前記したワープ通路22を流下した遊技球を、前記第一始動口11へ誘導するか否かのいずれかに振り分けるものであり、本発明の要部であることから、詳細は後述する。
【0036】
(2)電気的構成について
次に、パチンコ機1の電気的構成について説明する。このパチンコ機1は、
図3のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するいわゆる中継基板や電源基板等は記載されていない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。また、発射制御装置84と電源基板とにはCPU、ROM、RAMは設けられていないが、これに限るわけではなく、発射制御装置84等にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0037】
主制御装置80には、第一始動口11に入球した遊技球を検出する第一始動口SW11a、第二始動口12に入球した遊技球を検出する第二始動口SW12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動SW17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントSW14a、一般入賞口20に入球した遊技球を検出する一般入賞口SW20a等からの検出信号が入力される。
【0038】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。これにより、主制御装置80は、当該パチンコ機1全体の制御を司るよう構成されている。
【0039】
また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板89を介して接続されている第一特図表示装置9、第二特図表示装置10、第一特図保留数表示装置18、第二特図保留数表示装置19、普通図柄表示装置7、普図保留数表示装置8の表示を制御する。
【0040】
さらに、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普電役物ソレノイド12bを制御することで第二始動口12の開閉を制御する。
【0041】
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力されるほか、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0042】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ90を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出SW91の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出SW91の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0043】
なお、払出制御装置81は、ガラス枠開放SW76、内枠開放SW77、球切れSW93、払出SW91、および満杯SW92からの信号が入力され、満杯SW92により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合や、球切れSW93により球タンク71に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力された場合には、払出モータ90を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。また、満杯SW92および球切れSW93も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ90の駆動を再開させる。
【0044】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板94を介してCRユニット56と交信することで払出モータ90を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出SW91に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。また、CRユニット端子板94は精算表示装置95とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置95には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン57、精算を要求するための精算ボタン58が設けられている。
【0045】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠70、前枠52)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
【0046】
なお、本実施例では遊技球を払出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。発射制御装置84は、発射モータ99を制御して、遊技領域3に遊技球を発射させる。
【0047】
なお、発射制御装置84には、払出制御装置81以外に、発射ハンドル64からの回動量信号、タッチSW98からのタッチ信号、発射停止SW97から発射停止信号が入力される。
【0048】
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止SW97を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0049】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。
【0050】
そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部は、ランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ65を制御する。
【0051】
また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67とジョグダイヤル68とが接続されており、遊技者が演出ボタン67とジョグダイヤル68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0052】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄を表示させる。このように、サブ統合制御装置83、演出図柄制御装置82、および演出図柄表示装置6は、主制御装置80からのデータ及びコマンド(信号、或いは通知)に基づいて、各種演出を実行するよう構成されている。
【0053】
[動作の説明]
本実施例のパチンコ機1の動作について説明する。
【0054】
パチンコ機1は、常時入賞が可能な第一始動口11と、上述した普通図柄抽選での当選により一定期間にわたり開放され、入賞が可能となる第二始動口12が設けられており、第一,第二始動口11,12への入賞に起因して抽出された乱数によって、大当りと小当りとの当否抽選が行われる。そして、第一始動口11への入球により抽出された乱数を当否抽選する際には、第一特図表示装置9で第一特別図柄の変動表示が行われ、該第一特別図柄を停止表示することで抽選結果が報知される。同様に、第二始動口12への入球により抽出された乱数を当否抽選する際には、第二特図表示装置10で第二特別図柄の変動表示が行われ、該第二特別図柄を停止表示することで抽選結果が報知される。さらに、こうした第一特図表示装置9と第二特図表示装置10での変動表示と並行して、演出図柄表示装置6の表示画面上で、各特別図柄に対応した演出図柄を変動表示させた後にこれらを停止表示させ、抽選の結果を報知する演出が行われる。
【0055】
また、パチンコ機1では、第一,第二始動口11,12への入賞により抽出された乱数(数値データ)が、それぞれ最大四個まで保留記憶として記憶され、第一特図保留数表示装置18と第二特図保留数表示装置19で夫々の保留記憶の数が表示される。そして、この保留記憶が消化されることによって、上述した大当りと小当りとの当否抽選を行う。この当否抽選の結果が大当りであると、第一,第二特図表示装置9,10で大当りを示す図柄を確定表示すると共に、演出図柄表示装置6で大当りを示す演出図柄を確定表示する。さらに、この大当りに伴って、大入賞口14を開閉する開閉ラウンドを所定数繰り返す大当り遊技が実行される。また、前記抽選結果が小当りであると、第一,第二特図表示装置9,10で小当りを示す図柄を確定表示すると共に、演出図柄表示装置6で小当りを示す演出図柄を表示する。さらに、小当りに伴って、大入賞口14を一回開閉する小当り遊技が実行される。
【0056】
大当り遊技の終了後は、一定期間(所定回数の上記当否抽選が行われるまでの期間)にわたり、当否抽選での大当りの当選確率が上昇する確変モードとなり、また、これと同時に、普通図柄の抽選での当選確率が上昇すると共に、普通図柄の当選時の第二始動口12の開放時間が延長され、さらに普通図柄の変動時間が短縮される時短モードとなる。尚、普通図柄の抽選における当選確率の上昇、第二始動口12の開放時間の延長、および普通図柄の変動時間の短縮などの機能を、電チューサポート(所謂、電サポ)機能とも呼称する。
【0057】
本実施例のパチンコ機1では、遊技状態が、大入賞口14を閉鎖したままの通常遊技と、該大入賞口14を開閉する大当り遊技および小当り遊技とに大別され、通常遊技状態で、前記確変モードと時短モードとが実行され得る。また、通常遊技状態では、確変モードの一定期間が終了すると、当否抽選での大当りの当選確率が該確変モードよりも低い非確変モードに移行する。同様に、時短モードが終了すると、前記の電サポ機能の無い非時短モードに移行する。尚、本実施例にあって、こうした通常遊技状態を、大当りの当選確率の高低と上記電サポ機能の有無とに関してカテゴリー分けすると、非確変モード/非時短モードの状態、非確変モード/時短モードの状態、確変モード/非時短モードの状態、および確変モード/時短モードの状態、の四種類の状態に分類される。
【0058】
本実施例にあって、大当りの当選確率は、非確変モードで1/300に設定され、確変モードで1/50に設定されている。尚、本実施例では、大当りの抽選確率を、第一始動口11と第二始動口12とのいずれに入球した場合も同じとしている。また、小当りの当選確率は、第一始動口11への入賞に伴う第一特別図柄の変動の場合に1/285であり、第二始動口12への入賞に伴う第二特別図柄の変動の場合に1/14である。
尚、本実施例では、小当りの当選確率を、非確変モードと確変モードとのいずれの場合も同じとしている。こうした大当りの当選確率や小当りの当選確率は、本実施例に限らず、適宜設定することができる。大当りの当選確率を、第一始動口11と第二始動口12との入賞で相互に異なるように設定されていても良いし、小当り当選確率を、非確変モードと確変モードとで相互に異なるように設定されていても良い。
【0059】
また、大当り遊技では、上述したように、大入賞口14を開閉する開閉ラウンドが所定回数繰り返される。本実施例では、一回の大当り遊技で16回の開閉ラウンドが行われる。そして、一回の開閉ラウンドでは、大入賞口14を開放し、所定の閉鎖条件の成立により該大入賞口14を閉鎖する。すなわち、開閉ラウンドの開放状態は、前記閉鎖条件の成立により終了する。この閉鎖条件は、大入賞口14の開放開始から所定の開放制限時間(例えば、28秒)が経過するか、又は、該開放制限時間内で大入賞口14に所定の規定入賞数(例えば、10個)を入賞したかのいずれかを満足することに、設定されている。
【0060】
また、本実施例のパチンコ機1では、上述したように、第一特図表示装置9と第二特図表示装置10での特別図柄の変動に対応させて、演出図柄表示装置6の画面上で演出表示を実行する。具体的には、前記特別図柄の変動開始に伴って、演出図柄表示装置6で、該特別図柄に対応する擬似特別図柄を変動表示し、その後、該特別図柄の変動停止に伴って、該特別図柄の停止態様に対応した図柄態様で該擬似特別図柄を停止表示する。このように特別図柄の変動に対応して、演出図柄表示装置6で一連の演出が実行される。さらに、こうした特別図柄の変動に伴って実行される演出では、特別図柄の停止態様によって確定する大当り発生への遊技者の期待感を煽るリーチ演出(通常リーチ演出、ロングリーチ演出、又はスペシャルリーチ演出など)が選択的に表示実行される。
【0061】
次に、本実施例のパチンコ機1の動作について詳細に説明する。
(1)メインルーチンについて
先ず、主制御装置80におけるメインルーチンを、
図4のフローチャートを用いて説明する。メインルーチンは、約2ms周期のタイマ割り込み処理として定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S70までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS75の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
【0062】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、正常なタイマ割り込みであるか否かが判定される(S10)。この判定で、肯定判定が得られた場合には(S10:Yes)、初期値乱数更新処理(S20)に移行する一方、否定判定が得られた場合には(S10:No)、初期設定の処理(S15)に移行する。S15の処理では、主制御装置80がCPUやI/O等の初期設定を行う。その後、初期値乱数更新の処理(S75)に移行する。
【0063】
S10で肯定判定が得られた場合には、主制御装置80は、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)、当り決定用乱数更新処理(S35)、リーチ判定用乱数更新処理(S40)、変動パターン決定用乱数更新処理(S45)を行うことで、各種乱数(数値データ)を更新する。さらに、始動口等の入賞口への遊技球の入賞を検出する入賞確認処理(S50)と、始動口への入賞を契機として大当り抽選を行う当否判定処理(S55)と、大当り遊技や小当り遊技を実行する特別遊技処理(S60)と、遊技者の不正行為を検出する不正監視処理(S65)と、ホールコンピュータ等に各種情報を送信する各出力処理(S70)とを実行する。尚、入賞確認処理(S50)では、始動口11,12、大入賞口14、一般入賞口20に遊技球が入賞する毎に、入賞を示す信号をサブ統合制御装置83に送信する処理も行う。
【0064】
また、S75では、次のタイマ割り込みが発生してメインルーチンが起動されるまで、初期値乱数の更新を繰り返し行う。
【0065】
また、上記の初期値乱数更新処理(S20)の初期値乱数は、「0」〜「3999」までの4000個の整数をとり、この処理の実行毎に+1されて、該整数の昇順に作成される。尚、初期値乱数が「3999」のときに、この処理が実行された場合には、「0」に戻す。
【0066】
また、大当り決定用乱数更新処理(S25)の大当り決定用乱数は、前記初期値乱数と同様に、「0」〜「3999」までの4000個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。
ここで、「0」〜「3999」の中で大当りとなる整数値が、非確変モードと確変モードとで夫々設定されている。具体的には、非確変モードの場合に大当りとなる13個の整数値が設定され(大当りの当選確率=1/300)、確変モードの場合に大当りとなる80個の整数値が設定されている(大当りの当選確率=1/50)。
さらに、第一特別図柄で小当りとなる14個の整数値が設定され(小当りの当選確率=1/285)、第二特別図柄で小当りとなる285個の整数値が設定されている(小当りの当選確率=1/14)。尚、こうした小当りとなる整数値は、上記した大当りとなる整数値と異なる値に設定されている。
【0067】
また、大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)の乱数は、「0」〜「59」までの60個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。また、当り決定用乱数更新処理(S35)の乱数は、「0」〜「996」までの997個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。また、リーチ判定用乱数更新処理(S40)の乱数は、「0」〜「228」までの229個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。また、変動パターン決定用乱数更新処理(S45)の乱数は、「0」〜「1020」までの1021個の整数をとり、この処理の実行毎に昇順に作成される。
【0068】
(2)始動入賞処理について
次に、第一,第二始動口11,12への入賞を検知して、該入賞に応じて保留記憶の生成等を行う始動入賞処理を、
図5のフローチャートを用いて説明する。尚、始動入賞処理は、主制御装置80で実行される処理であり、上記のメインルーチンで実行される入賞確認処理(S50)からコールされるサブルーチンとして構成されている。
【0069】
始動入賞処理では、
図5に示すように、第一始動口スイッチ11aの検知信号に基づいて、第一始動口11への遊技球の入賞が発生したか否かを判定する(S100)。そして、肯定判定の場合には(S100:Yes)、S105に移行し、否定判定の場合には(S100:No)、S120に移行する。S105では、第一保留記憶の数が上限値(例えば、4個)に達しているか否かを判定し、肯定判定の場合には(S105:Yes)、S120に移行し、否定判定の場合には(S105:No)、S110に移行する。S110では、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、第一保留記憶として記憶すると共に、第一特図保留数表示装置18の点灯数を1増加させる。このS110の処理後に、S120に移行する。
【0070】
S120では、主制御装置80が、第二始動口スイッチ12aの検知信号に基づいて、第二始動口12への遊技球の入賞が発生したか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S120:Yes)、S125に移行し、否定判定の場合には(S120:No)、始動入賞処理を終了する。S125では、第二保留記憶の数が上限値(例えば、4個)に達しているか否かを判定し、肯定判定の場合には(S125:Yes)、始動入賞処理を終了し、否定判定の場合には(S125:No)、S130に移行する。S130では、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、第二保留記憶として記憶すると共に、第二特図保留数表示装置19の点灯数を1増加させる。このS130の後に、始動入賞処理を終了する。
【0071】
尚、始動入賞処理は、上述の処理内容に限定されず、他の処理内容とすることも可能である。例えば、第一,第二始動口11,12への遊技球の入賞が発生したか否かを判定して、入賞した場合には、上述した各乱数を抽出し、次に保留記憶の数が上限値に達しているか否かを判定して、上限値に達していない場合に、抽出した各乱数を記憶するようにしても良い。
【0072】
(3)当否判定処理について
次に、上記の始動入賞確認処理で記憶された第一,第二保留記憶の大当り決定用乱数により、大当りと小当りとの抽選を行う当否判定処理について、
図6〜
図9のフローチャートを用いて説明する。尚、当否判定処理は、メインルーチンから実行される処理である。
【0073】
当否判定処理では、
図6に示すように、主制御装置80が、先ず、特別電動役物の作動中(すなわち、大当り遊技または小当り遊技の実行中)であるか否かを判定する(S150)。そして、肯定判定の場合には(S150:Yes)、当否判定処理を終了し、否定判定の場合には(S150:No)、S155に移行する。S155では、第一,第二特別図柄の変動表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S155:Yes)、
図8のS300に移行し、否定判定の場合には(S155:No)、S160に移行する。S160では、第一,第二特別図柄の確定表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S160:Yes)、
図9のS350に移行し、否定判定の場合には(S160:No)、S165に移行する。
【0074】
S165では、第二保留記憶があるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S165:Yes)、S170に移行し、否定判定の場合には(S165:No)、S175に移行する。S170では、第二保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い第二保留記憶を選択し、後述するS190、S195、S205、S210、S215、S225、S230、S235、S240、及びS245等にて参照するために、当該第二保留記憶に記憶された情報(乱数値等の数値データ)を大当り判定用の所定のバッファに移動処理して、S185に移行する。
【0075】
S175では、第一保留記憶があるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S175:Yes)、S180に移行し、否定判定の場合には(S175:No)、当否判定処理を終了する。S180では、第一保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い第一保留記憶を選択し、上記S170と同様に、当該第一保留記憶に記憶された情報を大当り判定用の所定のバッファに移動処理して、S185に移行する。尚、本実施例の当否判定処理では、第一保留記憶よりも第二保留記憶を優先して、当否判定の対象とする。そのため、第一保留記憶は、第二保留記憶が無い場合にのみ、当否判定の対象となる。
【0076】
S185では、確変モードであることを示す確変フラグが1か否かを判定し、肯定判定の場合には(S185:Yes)、S190に移行し、否定判定の場合には(S185:No)、S195に移行する。
【0077】
S190では、確変モードに対応する当否判定用テーブル(確変テーブル)を選択し、該確変テーブルに基づいて、大当り判定用のバッファに移動された大当り判定用乱数を、大当りか否か判定し、当該大当り判定用乱数に係る保留記憶を消化する。ここで、本実施例では、確変テーブルに基づいて、大当り判定用乱数が、小当りか否かも判定する。このS190の処理後に、
図7のS200に移行する。
【0078】
一方、S195では、非確変モードに対応する当否判定用テーブル(通常テーブル)を選択し、該通常テーブルに基づいて、大当り判定用のバッファに移動された大当り判定用乱数を、大当りか否か判定し、当該大当り判定用乱数に係る保留記憶を消化する。ここで、本実施例では、通常テーブルに基づいて、大当り判定用乱数が、小当りか否かも判定する。このS195の処理後に、
図7のS200に移行する。
【0079】
図7のS200では、S190又はS195の判定結果に基づいて、大当りか否かを判定し、肯定判定の場合には(S200:Yes)、S205に移行し、否定判定の場合には(S200:No)、S220に移行する。
【0080】
S205では、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定する。そして、S210に移行する。S210では、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定し、S215に移行する。S215では、大当り遊技のラウンド数、大入賞口の開放パターン、大当り遊技に係る演出時間、及びインターバル時間等を設定し、S250に移行する。
【0081】
S220では、S190又はS195の判定結果に基づいて、小当りか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S220:Yes)、S225に移行し、否定判定の場合には(S220:No)、S240に移行する。
【0082】
S225では、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき小当り図柄を決定し、S230に移行する。S230では、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定し、S235に移行する。S235では、小当り遊技における大入賞口の開放パターンや小当り遊技に係る演出時間などを設定し、S250に移行する。尚、S235では、後述するS245と同様に、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタや、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタの更新も行う。
【0083】
さらに、上記したS220での否定判定により実行されるS240では、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定すると共に、これに先だって、ハズレ図柄を決定する処理を行う。このS240の後に、S245に移行する。S245では、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタや、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタの更新などを行う。そして、S250に移行する。尚、本実施例では、S240でハズレ図柄を決定する処理を行うようにしたが、これに限らず、S240の前に、ハズレ図柄を決定する処理を備えた構成であっても良い。
【0084】
S250では、上記したS170およびS180でデクリメントした保留記憶の数を示す保留数コマンド、特別図柄の変動時間、大当り抽選の結果、および特別図柄の停止態様等を含む変動開始コマンド等をサブ統合制御装置83に送信すると共に、特別図柄の変動を開始させ、当否判定処理を終了する。この変動開始コマンドでは、大当り抽選により消化された保留記憶が、第一始動口11への入賞により生成されたものであるか、第二始動口12への入賞により生成されたものであるかを示しても良い。
尚、サブ統合制御装置83は、こうした変動開始コマンドを受信すると、該コマンドに示された情報(保留記憶数、特別図柄の変動時間、大当り抽選結果、特別図柄の停止態様など)を所定のバッファに記憶する。そして、サブ統合制御装置83は、前記変動開始コマンドの受信に伴って、大当り抽選結果と特別図柄の変動時間とに基づいて、特別図柄の変動に対応する擬似特別図柄の変動停止演出とリーチ演出等を決定し、決定した演出を演出図柄表示装置6で表示制御する。
【0085】
上記した
図6のS155において特別図柄の変動中と判定された場合には(S155:Yes)、
図8のS300に移行し、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S300:Yes)、S305に移行し、否定判定の場合には(S300:No)、当否判定処理を終了する。S305では、特別図柄の変動表示を終了し、特別図柄の確定図柄(すなわち、上記したS205で決定した大当り図柄、S225で決定した小当り図柄、又はS240で決定したハズレ図柄)を表示させると共に、サブ統合制御装置83に、擬似特別図柄の確定表示を実行させる図柄確定コマンドを送信し、本処理を終了する。
【0086】
また、上記した
図6のS160において確定図柄の表示中と判定された場合には(S160:Yes)、
図9のS350に移行する。S350では、特別図柄の確定表示の継続時間が終了したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S350:Yes)、S355に移行し、否定判定の場合には(S350:No)には、当否判定処理を終了する。S355では、特別図柄の確定表示を終了し、S360に移行する。S360では、確定表示された特別図柄が大当りになる図柄か否かを判定し、肯定判定の場合には(S360:Yes)、S365に移行すると共に、否定判定の場合には(S360:No)、S410に移行する。S365では、確変モードであることを示す確変フラグを参照すると共に、確変フラグ=1である場合には確変フラグをクリアし(S370)、S375に移行する。S375では、時短モードであることを示す時短フラグを参照すると共に、時短フラグ=1である場合には時短フラグをクリアし(S380)、S390に移行する。その後、状態指定コマンド送信処理(S390)、条件装置作動開始処理(S395)、役物連続作動装置作動開始処理(S400)、大当り開始演出処理(S405)を順次実行することで、大当り遊技の態様を示すコマンドや、大当り遊技の開始を指示するコマンド等をサブ統合制御装置83に送信する等して大当り遊技を開始し、当否判定処理を終了する。
【0087】
一方、上記のS360での否定判定により実行されるS410では、確変フラグを参照し、該フラグ=1である場合には(S410:Yes)、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数(確変回数)を参照する(S415)。そして、確変回数=0である場合には(S415:Yes)、確変フラグをクリアし(S420)、S425に移行する。S425では、時短フラグを参照し、該フラグ=1である場合には(S425:Yes)、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数(時短回数)を参照する(S430)。そして、時短回数=0である場合には(S430:Yes)、時短フラグをクリアし(S435)、S440に移行する。S440では、状態指定コマンド送信処理を実行し、S445に移行する。
【0088】
S445では、確定表示された特別図柄が小当りになる図柄か否かを判定し、肯定判定の場合には(S445:Yes)、S450に移行し、特別電動役物作動開始処理(S450)、小当り開始演出処理(S455)を順次実行することで、小当り遊技の態様を示すコマンドや、小当り遊技の開始を指示するコマンド等をサブ統合制御装置83に送信する等して小当り遊技を開始し、当否判定処理を終了する。また、S445で否定判定の場合(S445:No)には、当否判定処理を終了する。
【0089】
(4)大当り遊技処理について
次に、大当り遊技の進行を制御する大当り遊技処理について、
図10〜12のフローチャートを用いて説明する。尚、本処理は、上記のメインルーチンで実行される特別遊技処理(S60)からコールされるサブルーチンとして構成されている。
【0090】
大当り遊技処理では、
図10に示すように、主制御装置80が、先ず、役物連続作動装置の作動中(すなわち、大当り遊技の実行中)であるか否かを判定する(S500)。ここで、肯定判定の場合には(S500:Yes)、S505に移行し、否定判定の場合には(S500:No)、大当り遊技処理を終了する。
【0091】
S505では、大入賞口14の開放中であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S505:Yes)、
図11のS550に移行し、否定判定の場合には(S505:No)、S510に移行する。S510では、大当り遊技における各開閉ラウンドのインターバル中であるか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S510:Yes)、
図11のS570に移行し、否定判定の場合には(S510:No)、S515に移行する。S515では、大当り遊技の終了演出中であるか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S515:Yes)、
図12のS600に移行し、否定判定の場合には(S515:No)、S520に移行する。
【0092】
S520では、大当り遊技における開始演出時間が経過したか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S520:Yes)、S525に移行し、否定判定の場合には(S520:No)、大当り遊技処理を終了する。
【0093】
S525では、大入賞口14を開放させる大入賞口開放処理を実行する。この大入賞口開放処理では、大入賞口14の開放開始と同期して、一回の開閉ラウンドにおける大入賞口14の最大開放時間として予め設定された上記の開放制限時間(例えば、28秒)の時間消化を開始する。この大入賞口開放処理の後に、大当り遊技処理を終了する。ここで、開放制限時間の時間消化は、開放制限タイマの減算処理により行う。具体的には、開放制限タイマは、開放制限時間(28秒)に相当するカウンタ値が予め設定されており、大当り遊技処理の実行毎に(タイマ割り込み処理毎に)当該カウンタ値を減算する処理を実行し、当該カウンタ値=0となった時点で開放制限時間が経過したとするものである。尚、当然ながら、開放制限時間の計測手段は、こうした開放制限タイマの減算処理に限らず、他の手段を用いることも可能である。
【0094】
上記のS505の肯定判定により実行される
図11のS550では、大入賞口14に入賞した遊技球の数が10個(規定入賞数)となったか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S550:Yes)、S560に移行し、否定判定の場合には(S550:No)、S555に移行する。S555では、上記した開放制限時間の時間消化により該開放制限時間が経過したか否か(すなわち、大入賞口14の開放時間が終了したか否か)を判定する。ここで、肯定判定の場合には(S555:Yes)、S560に移行し、否定判定の場合には(S555:No)、大当り遊技処理を終了する。S560では、大入賞口14を閉鎖させる大入賞口閉鎖処理を実行し、S565に移行する。この大入賞口閉鎖処理では、上記した開放制限時間(開放制限時間のカウンタ値)をリセットする。S565では、大当り遊技の各ラウンドのインターバルを設定する大当りインターバル処理を実行し、大当り遊技処理を終了する。
【0095】
一方、上記のS510の肯定判定により実行されるS570では、大当り遊技のインターバル時間が経過したか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S570:Yes)、S575に移行し、否定判定の場合には(S570:No)、大当り遊技処理を終了する。S575では、最終ラウンド(16ラウンド)の終了か否かを判定し、肯定判定の場合には(S575:Yes)、S580に移行し、否定判定の場合には(S575:No)、S585に移行する。S580では、大当り遊技を終了させる際の演出を行う大当り終了演出処理を実行し、大当り遊技処理を終了する。
【0096】
S585の大入賞口開放処理では、大入賞口14を開放させる処理を実行すると共に、今回の大入賞口14の開放により開始される開閉ラウンドが最終ラウンド(16ラウンド目)であるか否かを判定する処理を実行して、最終ラウンド開始の場合に、最終ラウンド開始を示すコマンドをサブ統合制御装置83に送信する。このS585の後に、大当り遊技処理を終了する。
【0097】
また、上記のS515の肯定判定により実行される
図12のS600では、終了演出の時間が終了したか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S600:Yes)、S605に移行して、該S605とS610とを順次実行する一方、否定判定の場合には(S600:No)、大当り遊技処理を終了する。S605とS610とでは、役物連続作動装置と条件装置とを停止させ、S615に移行する。S615では、大当り遊技後に確変モードに移行するか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S615:Yes)、確変モード中に実行可能な大当り抽選の回数(確変回数)を設定し(S620)、確変フラグをセットし(S625)、S630に移行する。S630では、大当り遊技後に時短モードに移行するか否かを判定し、肯定判定の場合には(S630:Yes)、時短モード中に実行可能な大当り抽選の回数(時短回数)を設定すると共に(S635)、時短フラグをセットし(S640)、S645に移行する。S645とS650とでは、サブ統合制御装置83に対して、大当り遊技に関する演出を終了させる大当り終了コマンドを送信する処理と、状態指定コマンド送信処理とを実行し、大当り遊技処理を終了する。
【0098】
[要部の説明]
本発明の要部について説明する。
【0099】
(1)構造の説明
前述したように、センターケース5の下部には、ステージ部材25とベルト回動装置31とを備えてなる振分装置21が配設されており(
図2参照)、前記ワープ通路22を流下した遊技球が、該振分装置21によって、前記第一始動口11の直上に設けられた誘導口28と、該誘導口28の左右両側方に夫々設けられたケース内アウト口29,29とに振り分けられる(
図13(A)参照)。そして、振分装置21により誘導口28に導かれた遊技球は、該誘導口28を通過して第一始動口11へ入球する一方、該振分装置21によりケース内アウト口29に導かれた遊技球は、機台内部に取り込まれる。ここで、誘導口28とケース内アウト口29,29とは、ステージ部材25の下方に夫々配設されている。詳述すると、誘導口28は、後述する誘導可能状態でステージ部材25と無端ベルト41の始動誘導孔48とにより形成される始動誘導空隙46の直下に配設される。また、ケース内アウト口29,29は、後述する誘導可能状態でステージ部材25と無端ベルト41のアウト誘導孔49,49とにより夫々形成されるアウト誘導空隙47,47の直下に夫々配設される。
尚、誘導口28には、遊技球の通過を検出する誘導口SW28a(
図3参照)が配設され、ケース内アウト口29には、遊技球を検出するアウト口SW29a(
図3参照)が配設されている。そして、誘導口SW28aとアウト口SW29aとは、
図3に示すように主制御装置80に接続されており、夫々が遊技球を検出すると、その検出信号を主制御装置80に出力する。
【0100】
ベルト回動装置31は、
図13〜15に示すように、前後方向に所定間隔をおいて並設された二個のプーリ32,33と、該プーリ32,33に掛け渡された無端ベルト41と、前方のプーリ32を回転駆動して前記無端ベルト41を回動させる電動モータ36(
図3参照)とを備えている。ここで、前後のプーリ32,33は、後方のプーリ33が、前方のプーリ32よりも上方に配設されており、両プーリ32,33に掛け渡された無端ベルト41は、後方へ上り勾配で傾斜するように設けられる。そして、前方のプーリ32の直前方に、前記したステージ部材25が配設されている。尚、電源モータ36は、
図3に示すようにサブ統合制御装置83に接続されており、該サブ統合制御装置83により駆動制御される。
【0101】
ステージ部材25は、遊技球を遊動可能なステージ26と、該ステージ26の前縁および左右側縁から起立する壁部27とより構成されており、該ステージ26の後縁と無端ベルト41との間に遊技球を通過不能な間隙を介して、前記した前方のプーリ32に対向配置されている。そして、ステージ部材25は、ステージ26が前記プーリ32に向かって(後方に向かって)下方傾斜するように配設されており、ステージ26上の遊技球を、無端ベルト41の外表面(後述する意匠フィルム43の外表面)と共同して支持する。ここで、ステージ26は、その幅(左右横方向の長さ)が、後述する意匠フィルム43よりも短い寸法に設定されている。これにより、ステージ26上では、その幅方向のいずれの位置であっても、無端ベルト41と共同して遊技球を支持できると共に、該幅方向の全てに亘って遊技球を遊動させることができる。尚、本実施例にあって、ステージ26の前後方向長が遊技球の直径よりも若干大きく設定されていることから、遊技球は、ステージ26上で前後方向にも遊動可能である(
図19参照)。
【0102】
一方、プーリ32,33は、
図16〜18に示すように、所定間隔をおいて対設された一対のベルト掛部34,34と、一対のベルト掛部34,34に連結されたシャフト部35とを備える。両ベルト掛部34,34は、夫々の中央部にシャフト部35が連結されており、該シャフト部35により軸支されている。ベルト掛部34は、無端ベルト41の側部が掛けられる円筒状の索輪部34aと、該索輪部34aの一端部に連結された円板状のフランジ部34bとから構成されており、フランジ部34bの外径が索輪部34aの外径よりも大きく設定されている。このフランジ部34bにより、無端ベルト41がプーリ32から外れてしまうことを防止できる。
【0103】
シャフト部35は、その外径が前記した索輪部34aの外径よりも小さく設定されており、該シャフト部35の両端部が両ベルト掛部34,34の外方へ突出するように設けられている。そして、前方のプーリ32は、シャフト部35の一側端部が、前記電動モータ36の駆動軸に同心状に連結され、他側端部が遊転可能に支持されている。これにより、前方のプーリ32では、電動モータ36の駆動によってシャフト部35と両ベルト掛部34,34とが一体的に回転する。一方、後方のプーリ33では、シャフト部35の両端部が遊転可能に支持されており、前方のプーリ32が回動されると、無端ベルト41を介して従動回転する。こうした前後のプーリ32,33の回動により、無端ベルト41が回動される。
【0104】
前方のプーリ32は、そのシャフト部35とベルト掛部34,34に掛け渡された無端ベルト41の内周面(後述する駆動ベルト42の内周面)との間隔が遊技球の直径よりも短く、かつ該シャフト部35と前記ステージ部材25のステージ26の後縁との間隔が遊技球の直径以上となるように、該シャフト部35の外径と配設位置とが設定されている。これにより、後述する無端ベルト41の始動誘導孔48やアウト誘導孔49がステージ部材25に対向する状態で、ステージ26上の遊技球が、該無端ベルト41の内側に入ってしまうことを防止でき、後述の始動誘導空隙46やアウト誘導空隙47を通過して流下できる。
尚、本実施例にあって、後方のプーリ33のシャフト部35は、前方のプーリ32のシャフト部35と同じ外径のものである。
【0105】
こうした前後のプーリ32,33に掛け渡される前記無端ベルト41は、
図13〜18に示すように、無端状の駆動ベルト42と、該駆動ベルト42の外周面に巻回された意匠フィルム43とから構成されている。ここで、駆動ベルト42は、可撓性を有する材料(例えば、合成ゴム等の高分子材料)により形成されており、意匠フィルム43は、柔軟性を有する薄厚なものである。
【0106】
駆動ベルト42には、
図16〜18に示すように、複数の凸部44aを備えた凸部取付部材44が、無端ベルト41の回転方向に所定間隔をおいて複数配設されている。凸部取付部材44は、略矩形薄板状の外側板片44bと内側板片44cとを備え、外側板片44bに山形状の凸部44aが突成されている。そして、凸部取付部材44は、駆動ベルト42の外周面に配した外側板片44bと、該駆動ベルト42の内周面に配した内側板片44cとにより該駆動ベルト42を挟み、図示しない複数の取付螺子によって外側板片44bと内側板片44cとが締結されることで該駆動ベルト42に固定されている。ここで、外側板片44bと内側板片44cとは、その長手方向が駆動ベルト42の幅方向に沿うように配設されている。そして、外側板片44bと内側板片44cとの長手方向寸法は、各プーリ32,33を構成する索輪部34a,34aの間隔よりも短く設定されており、凸部取付部材44は、両索輪部34a,34aの間に位置する。これにより、駆動ベルト42は、各凸部取付部材44の内側板片44cがプーリ32,33に接触せず、円滑に回転できるようになっている。さらに、凸部44aは、外側板片44bの長手方向に沿って複数並設されており、配設個数や配設位置が、全て又は一部の凸部取付部材44で夫々異なっている。ここで、凸部44aは、ステージ26の後縁と無端ベルト41との間隙を通過可能であると共に、前記したステージ部材25に対向する位置で、ステージ26上で無端ベルト41の外表面(意匠フィルム43の外表面)に支持された遊技球と接触可能とするように、その高さ寸法が設定されている(
図19,21参照)。
【0107】
尚、外側板片44bと内側板片44cとは、可撓性を有する材料(例えば、合成ゴム等)から構成され、さらに、短手方向(無端ベルト41の回動方向)の寸法が短く設定されている。これにより、前後のプーリ32,33を回る際に、各凸部取付部材44の取付箇所での剛性増加による湾曲変形不足を抑制でき、駆動ベルト42を円滑に回転させ得る。
【0108】
前記意匠フィルム43は、該意匠フィルム43を構成する矩形状のフィルムが駆動ベルト42の外側で巻回されて、巻回方向の両端部が貼り合わされて無端状に形成されたものであり、意匠フィルム43の内周面が各凸部取付部材44の外側板片44bの表面に貼着されることによって、駆動ベルト42に一体的に取り付けられる。ここで、意匠フィルム43には、駆動ベルト42に配設された凸部取付部材44の各凸部44aに対向する位置に、該凸部44aを貫通する貫通口(図示せず)が形成されており、各貫通口を介して凸部44aが該意匠フィルム43の外側へ突出される。
尚、この意匠フィルム43の外表面には、機種のモチーフに適合する意匠図柄(図示せず)が描かれており、前後のプーリ32,33間を移動することによって、該意匠図柄による演出効果が生ずる。
【0109】
また、前記駆動ベルト42には、
図14〜17と
図19とに示すように、前記凸部取付部材44を配設しない領域に、ベルト厚方向に貫通する長孔状の第一内孔48aと第二内孔49a,49aとが夫々開口形成されている。第一内孔48aは、ベルト幅方向の中央部に設けられ、第二内孔49a,49aは、該第一内孔48aの左右両側に設けられている。そして、第一内孔48aと第二内孔49a,49aとは、同形状であり、夫々の長手方向が駆動ベルト42の回動方向に沿うようにして、該駆動ベルト42に並設されている。ここで、本実施例にあっては、第一内孔48aと第二内孔49aとは、幅方向の寸法が、遊技球の直径よりも若干大きく設定されていると共に、長手方向の寸法が、前記プーリ32,33を構成する索輪部34aの円周長の略3/8(1/4〜1/2の範囲内)に設定されている。
さらに、意匠フィルム43には、前記第一内孔48aと内外方向で重なるように、該第一内孔48aと同形状の第一外孔48bが開口形成されていると共に、前記各第二内孔49a,49aと内外方向で夫々重なるように、該第二内孔49aと同形状の第二外孔49b,49bが夫々開口形成されている。
こうした駆動ベルト42の第一内孔48aと意匠フィルム43の第一外孔48bとによって、駆動ベルト42と意匠フィルム43とからなる無端ベルト41を内外方向に貫通する始動誘導孔48が構成されている。同様に、第二内孔49aと第二外孔49bとによって、無端ベルト41を内外方向に貫通するアウト誘導孔49が構成されている。すなわち、本実施例の無端ベルト41には、一個の始動誘導孔48と二個のアウト誘導孔49,49とが、該無端ベルト41の幅方向に所定間隔をおいて並設されている。
【0110】
本実施例の振分装置21は、電動モータ36を駆動することによって無端ベルト41を回動させ、ステージ26上で遊技球30を遊動可能に保持する遊動状態(
図19、
図21(A)参照)と、該遊技球30をステージ26から流下可能な誘導可能状態(
図20、
図21(B),(C)参照)とを生じさせる。
ここで、電動モータ36は、ベルト回動装置31を右側面視した場合(
図13(B))に前方のプーリ32が左回転するように、サブ統合制御装置83によって駆動制御される。これにより、無端ベルト41が、ステージ部材25に対向する位置で上方から下方へ回動する(換言すると、無端ベルト41が、前方のプーリ32を上方から下方へ回り込むように回動する)。そして、無端ベルト41の、前後のプーリ32,33間で斜め上側に位置する部分(前方から視認可能な部分)が、後方から前方へ移動する。遊技者は、こうした無端ベルト41の回動によって、前記凸部44a、始動誘導孔48、及びアウト誘導孔49,49が後方から前方へ移動することを視認できる。
【0111】
遊動状態は、
図14〜17と
図19とに示すように、無端ベルト41の始動誘導孔48とアウト誘導孔49,49とがステージ部材25に対向していない状態であり、ステージ26上の遊技球30は、該ステージ26の下方傾斜によって無端ベルト41の外表面(意匠フィルム43の外表面)に当接して支持される。そして、前述したようにステージ26と無端ベルト41の外表面との間隙が遊技球30を通過不能であることから、ステージ26上の遊技球30は、該無端ベルト41の外表面に当接した状態(以下、共同支持状態という)で安定する(
図17参照)。さらに、遊動状態では、
図19に示すように、無端ベルト41の凸部44aがステージ26上の遊技球30に接触して、該凸部44aと接触した遊技球30が該ステージ26上で遊動する。本実施例では、凸部44aが山形状であることから、該凸部44aに接触した遊技球30がステージ26上で左右方向(無端ベルト41の幅方向)に動き易い。そして、この動きにより、遊技球30は、凸部44aの接触前と異なる左右方向位置で前記共同支持状態となるため、該凸部44aと接触毎に左右方向位置が変化する。このように遊動状態では、ステージ26上の遊技球30が、回動する無端ベルト41の凸部44aとの接触による遊動と、該無端ベルト41の外表面に当接した共同支持状態とが繰り返されて、該ステージ26上で左右方向位置を変えながら保持される。
【0112】
前記の誘導可能状態は、
図20および
図21(B),(C)に示すように、無端ベルト41の始動誘導孔48とアウト誘導孔49,49とがステージ部材25に対向する状態であり、ステージ26の後縁と該始動誘導孔48との間に遊技球30を通過可能な始動誘導空隙46が形成されると共に、該ステージ26の後縁と該アウト誘導孔49との間に遊技球30を通過可能なアウト誘導空隙47が形成される。誘導可能状態では、ステージ26上で始動誘導孔48と対向する位置にある遊技球30が、無端ベルト41の外表面との当接(前記共同支持状態)が解除されて、始動誘導空隙46を流下する。そして、始動誘導空隙46を通過した遊技球30は、該始動誘導空隙46の直下に設けられた前記誘導口28(
図13(A)参照)を通過して、該誘導口28の直下に位置する第一始動口11に入球する。一方、ステージ26上でアウト誘導孔49に対向する位置にある遊技球30は、無端ベルト41の外表面との当接(前記共同支持状態)が解除されて、アウト誘導空隙47を流下する。そして、左右のアウト誘導空隙47、47を流下した遊技球30は、各アウト誘導空隙47、47の直下に夫々位置する前記ケース内アウト口29,29(
図13(A)参照)に流入する。さらに、ステージ26上で始動誘導孔48とアウト誘導孔49,49とのいずれにも対向しない位置にある遊技球30は、無端ベルト41の外表面に当接した共同支持状態が維持されることから、該ステージ26上で保持される。このように誘導可能状態では、ステージ26上における遊技球30の左右方向位置によって、該遊技球30が、始動誘導空隙46を介した第一始動口11への入球、アウト誘導空隙47を介したケース内アウト口29への入球、該ステージ26での保持とのいずれかとなる。
【0113】
このように振分装置21は、無端ベルト41の回動により前記遊動状態と誘導可能状態とを繰り返すことから、該遊動状態での遊技球30の遊動による位置変化によって、該誘導可能状態で該遊技球30が第一始動口11へ入球するか否かが決まる。すなわち、振分装置21は、ステージ26上での遊技球30の動きによって、遊技球30を第一始動口11またはケース内アウト口29とのいずれかに振り分けるものである。
【0114】
(2)振分装置21による遊技球30の振り分け
遊技領域3に発射された遊技球30がセンターケース5のワープ入口22aに入球すると、該遊技球30は、ワープ通路22を流下してワープ出口22bから排出され、振分装置21のステージ部材25のステージ26上に導かれる。
【0115】
ここで、本実施例にあっては、サブ統合制御装置83により、振分装置21の電動モータ36を機台の電源ONから電源OFFまでの間で常時駆動するように制御しており、前述したように、無端ベルト41の斜め上側に位置する部分が後方から前方へ移動するように、該電動モータ36を一定速度で回転させている。そして、無端ベルト41の回動により、意匠フィルム43に描かれた意匠図柄が変動表示されることから、振分装置21による遊技球30の振り分けを行っていない状態(遊技球30がステージ26上に無い状態)であっても、遊技者を惹き付けることができ、遊技の興趣を向上できるという作用効果を奏し得る。
【0116】
ワープ通路22を介してステージ26上に導かれた遊技球30は、ワープ出口22bから流出した勢いや無端ベルト41の凸部44aとの接触などによって、ステージ26上で左右方向に動いた後に、該無端ベルト41の外表面に当接して支持される(前記共同支持状態となる)。一方で、前述したように無端ベルト41は一定速度で回動していることから、該回動によって前記遊動状態と誘導可能状態とが繰り返し生ずる。遊動状態では、
図17に示すように、ステージ26上の遊技球30が無端ベルト41の外表面に当接して支持されることから、該遊技球が該ステージ26上で保持される。さらに、この遊動状態では、
図19および
図21(A)に示すように、無端ベルト41の回動に伴ってステージ部材25に対向する位置に変位した凸部44aが、ステージ26上の遊技球30に接触すると、該遊技球30がステージ26上で移動する。これにより、ステージ26上で、遊技球30の左右方向位置が変わる。そして、遊技球30が凸部44aと接触する毎に、ステージ26上で移動し、前記共同支持状態となる左右方向位置が変化する。
【0117】
無端ベルト41の回動により始動誘導孔48とアウト誘導孔49,49とがステージ部材25に対向する位置に変位すると、前記誘導可能状態となる。この誘導可能状態となった際に、
図20および
図21(B),(C)に示すように前記共同支持状態の遊技球30が前記始動誘導孔48と対向する位置にあると、該遊技球30は、無端ベルト41の外表面による支持が解除され、該始動誘導孔48とステージ26の後縁とにより形成される始動誘導空隙46を流下する。そして、始動誘導空隙46の直下に設けられた誘導口28を通過して、第一始動口11に入球する。
尚、第一始動口11に入球すると、前述したように、第一始動口SW11aにより検出された信号が主制御装置80へ出力される。そして、主制御装置80では、前記始動入賞処理(
図5)により、各種乱数が抽出されて第一保留記憶が生成される。
【0118】
誘導可能状態となった際に、共同支持状態の遊技球がアウト誘導孔49,49と対向する位置にある場合には、無端ベルト41の外表面による該遊技球の支持が解除されて、アウト誘導孔49とステージ26の後縁とにより形成されるアウト誘導空隙47(
図20,21参照)を流下する。そして、アウト誘導空隙47の直下に設けられたケース内アウト口29に入球し、前記アウト口16への入球と同様に遊技から取り除かれる。尚、本実施例にあっては、ケース内アウト口29へ入球すると、アウト口SW29aに検出され、この検出信号が主制御装置80へ出力される。
【0119】
さらに、誘導可能状態となった際に、遊技球が、始動誘導孔48とアウト誘導孔49,49とのいずれとも対向しない位置にあると、無端ベルト41の外表面による該遊技球の支持が保たれることから、該遊技球が該ステージ26上で保持される。こうしたステージ26上で保持された遊技球は、誘導可能状態の次の遊動状態で、前述したように左右方向位置が変化し、当該遊動状態の次の誘導可能状態で、始動誘導空隙46への流下、アウト誘導空隙47への流下、又はステージ26上での保持のいずれかとなる。
【0120】
このようにセンターケース5のワープ通路22を流下した遊技球は、ステージ26上に導かれ、振分装置21によって第一始動口11とケース内アウト口29とのいずれかに振り分けられる。振分装置21は、無端ベルト41の回動により前記遊動状態と誘導可能状態とを繰り返し生じさせることによって、該遊動状態で左右方向位置を様々に変化する遊技球を、始動誘導孔48による始動誘導空隙46とアウト誘導孔49によるアウト誘導空隙47とのいずれかに流下させる。すなわち、遊動状態におけるステージ26上での遊技球の動きによって、誘導可能状態で該遊技球が始動誘導空隙46とアウト誘導空隙47とのいずれに流下するかが決まる。始動誘導空隙46を流下した場合には、第一始動口11に入球して第一保留記憶を生ずるという利得が得られる。
【0121】
尚、ワープ出口22bからステージ26へ遊技球が降りた際に、タイミング良く始動誘導孔48やアウト誘導孔49,49がステージ26に対向する状態となると、当該遊技球が無端ベルト41の外表面に支持されること無く、始動誘導空隙46やアウト誘導空隙47、47を流下してしまう場合もあり得る。
【0122】
[実施例1の特徴]
実施例1の特徴を、以下にまとめて説明する。
実施例1の振分装置21は、二個のプーリ32,33に掛け渡された無端ベルト41が前方へ向かって下り勾配で傾斜するように設けられ、前方のプーリ32の直前方に、該プーリ32に向かって下方傾斜する前記ステージ26を備えたステージ部材25が、遊技球を通過不能な間隙を介して対向配設されたものであり、無端ベルト41の回動によって、該無端ベルト41の外表面に突成された凸部44aとの接触によりステージ26上で遊技球の左右方向位置を変化させる遊動状態と、該ステージ26上の遊技球を始動誘導空隙46又はアウト誘導空隙47に流下可能な誘導可能状態とが繰り返される。そして、前記遊動状態で、ステージ26上の遊技球が、始動誘導空隙46に流下可能な位置またはアウト誘導空隙47に流下可能な位置に移動でき、これらいずれかの位置で、誘導可能状態を迎えることにより、該遊技球を始動誘導空隙46又はアウト誘導空隙47に流下させ、該始動誘導空隙46を介した第一始動口11への入球と該アウト誘導空隙47を介したケース内アウト口29への入球とに振り分ける。
かかる構成にあっては、遊動状態での遊技球の動きによって誘導可能状態で第一始動口11へ入球するか否かが決まることから、ステージ26上での遊技球の動きに遊技者を注視させることができ、第一始動口11への入球を望む遊技者の感情を、該遊技球の動きにより一喜一憂させることができる。特に、遊動状態では、ステージ26上の遊技球が、無端ベルト41に突成された凸部44aとの接触によって様々に変位することから、該遊技球の動きが遊技者に予測しづらく、該遊技者の興味を強く惹き付けることができる。したがって、本実施例1の振分装置21によれば、第一始動口11に入球するか否かに振り分ける遊技球の動きによって、従来に無い斬新かつ刺激的な面白さを遊技者に提供でき、該振り分けによる興趣を飛躍的に向上できる。
【0123】
また、本実施例1の構成にあっては、前方のプーリ32のシャフト部35と無端ベルト41の内周面(駆動ベルト42の内周面)との間隔が遊技球の直径よりも短く、且つ該シャフト部35とステージ26の後縁との間隔が遊技球の直径以上となるように、該シャフト部35の直径と配設位置とを定めている。これにより、誘導可能状態で始動誘導空隙46やアウト誘導空隙47を流下する遊技球が、無端ベルト41の内側に入って排出不能となることを防止できる。したがって、誘導可能状態で、ステージ26上の遊技球を、始動誘導空隙46やアウト誘導空隙47を介して、第一始動口11又はケース内アウト口29へ円滑かつ安定して入球させることができるため、遊技球を振り分ける機能が正常かつ安定して発揮される。
【0124】
また、前後のプーリ32,33は、無端ベルト41を構成する駆動ベルト42の内周面に配設された複数の内側板片44cと干渉しないように、一対のベルト掛部34,34とシャフト部35とにより構成されていることから、該無端ベルト41を円滑に回動できる。さらに、複数の凸部44aを駆動ベルト42に配設するための外側板片44bと内側板片44cとを、該駆動ベルト42の回動方向幅を比較的短くし且つ可撓性を有する材料により形成したから、該外側板片44bと内側板片44cとの配設箇所での剛性増加を可及的に抑制でき、プーリ32,33を回る際に比較的スムーズに湾曲変形させ得る。これにより、無端ベルト41の回動を一層円滑に行うことができる。
【0125】
また、本実施例1の無端ベルト41は、駆動ベルト42の外側に意匠フィルム43が巻回されてなるものであり、該意匠フィルム43の外表面に意匠図柄が描かれている。本構成では、無端ベルト41の回動により、意匠フィルム43の意匠図柄がプーリ32,33の上側で後方から前方へ移動し、該意匠図柄の移動による演出効果が生ずる。こうした意匠図柄による演出効果により、ステージ26上で遊技球の有無に関わらず(遊技球を振り分けしているか否かに関わらず)、遊技者の興味を惹き付けることができる。そのため、ステージ26上に遊技球が無い状態(遊技球を振り分けしていない状態)で、遊技の興趣向上効果が期待できる。遊技の興趣を向上できる。さらに、この意匠図柄の演出により遊技者の注意を振分装置21に惹き付けることができるため、該振分装置21での遊技球の振り分けを遊技者が見逃してしまうことを抑制するという優れた利点も生じ得る。
【実施例4】
【0149】
実施例4の振分装置121は、
図28〜30に示すように、円筒状のローラー体132を回動させるローラー回動装置131と、該ローラー体132の直前方に対向配置されたステージ部材25とを備えたものであり、実施例1と同様に、センターケース5の下部に配設されている。そして、ローラー体132の回動により、ステージ26上の遊技球を第一始動口11またはケース内アウト口29に振り分ける。以下で、実施例1と相違するローラー回動装置131を中心に説明する。尚、実施例1と同じ構成要素には同じ符号を記して説明を適宜省略する。
【0150】
(1)構造の説明
ローラー回動装置131は、ローラー体132と該ローラー体132を周方向に回転させる電動モータ(図示せず)とを備え、該ローラー体132の長手方向(軸方向)が機台の左右方向に沿うように配設されている。ローラー体132は、円筒形のシェル部136と、該シェル部136の両端に配設された円板状のフランジ部137,137と、該フランジ部137,137の中央部に連結されたシャフト部135と備え、該シェル部136がシャフト部135により軸支されている。シャフト部135は、両端部がフランジ部137,137から側方へ突出しており、一方の端部が前記電動モータの駆動軸に連結され、他方の端部が遊転可能に支持されている。このローラー回動装置131は、前記電動モータの駆動により、シャフト部135とシェル部136とが一体的に回動する。
【0151】
ローラー体132には、シェル部136の外表面に、周方向に所定長さで窪む始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149,149とが、該ローラー体132の長手方向に並設されている。ここで、始動誘導凹部148は、シェル部136の長手方向中央部に設けられ、アウト誘導凹部149,149は、該始動誘導凹部148の左右両側に所定間隔をおいて夫々設けられている。そして、始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149とは、その長手方向の寸法が、前記シェル部136の外周長の約3/8(1/4〜1/2の範囲)に設定されている。
こうした始動誘導凹部148は、ローラー体132の直前方に配設されたステージ部材25に対向する状態で、該ステージ部材25のステージ26の後縁との間に、遊技球を流下可能な始動誘導空隙146を形成する。同様に、アウト誘導凹部149,149は、前記ステージ部材25に対向する状態で、ステージ26の後縁との間に、遊技球を流下可能なアウト誘導空隙147,147を夫々形成する。尚、始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149とは、前述したように、シェル部136の外表面に設けられた窪みであり、該シェル部136を貫通していない。すなわち、始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149とがシェル部136に凹設されている。
【0152】
さらに、ローラー体132の外表面には、前記始動誘導凹部148およびアウト誘導凹部149の前後領域に、径方向外方へ突出する略山形状の凸部144が複数設けられている。本実施例4にあっては、複数個の凸部144がローラー幅方向に所定間隔おいて一列状に配置され、さらに、この列が周方向に所定間隔をおいて複数並設されるように、各凸部144が配設されている。そして、各列の全てまたは一部は、凸部144のローラー幅方向位置が相互に異なっている。こうした凸部144は、ステージ26の後縁とローラー体132との間隙を通過可能とすると共に、該ステージ26に対向した状態で該ステージ26上の遊技球に接触可能とするように、ローラー体132の外表面に突成されている。尚、各凸部144は、図示しない取付螺子によって前記シェル部136に直接取り付けられている。
【0153】
ステージ部材25は、実施例1と同様の構成であり、ステージ26の後縁と前記ローラー体132の外周面との間に遊技球を通過不能な間隙を介して、該ローラー体132の直前方で対向配置されている。ここで、ステージ部材25は、実施例1と同様に、ステージ26がローラー体132に向かって(後方に向かって)下方傾斜するように設けられており、ステージ26上の遊技球を該ローラー体132の外表面と共に支持する。こうしたステージ部材25のステージ26上にある遊技球は、ローラー体132の外表面に当接した状態(以下、共同支持状態という)で安定する。
【0154】
また、ステージ部材25の下方には、
図28に示すように、誘導口28とケース内アウト口29,29とが配設されている。詳述すると、誘導口28は、誘導可能状態で形成される前記始動誘導空隙146の直下に配設され、ケース内アウト口29,29は、誘導可能状態で形成される前記アウト誘導空隙147,147の直下に夫々配設される。これにより、前記始動誘導空隙146を流下した遊技球が該誘導口28を介して第一始動口11へ入球する一方、前記アウト誘導空隙147を流下した遊技球が該ケース内アウト口29に流入する。
【0155】
本実施例の振分装置121は、ローラー回動装置131の電動モータを駆動することによってローラー体132を回動させることにより、ステージ26上で遊技球を保持する遊動状態と、該遊技球をステージ26上から流下可能な誘導可能状態とを繰り返し生じさせる。ここで、電動モータは、ローラー体132の前面側が上方から下方へ回動するように、サブ統合制御装置83によって駆動制御される。すなわち、ローラー体132の回転方向は、右側面視した場合での左回転である。
【0156】
遊動状態は、ローラー体132の始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149,149とがステージ部材25と対向していない状態であり、ステージ26上の遊技球が前記共同支持状態で安定する一方、該遊技球にローラー体132の凸部144が接触する毎に、該遊技球が左右方向に移動して該共同支持状態となる位置が変化する。また、誘導可能状態は、前記始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149,149とがステージ部材25と対向する状態であり、ステージ26上の遊技球が、該始動誘導凹部148により形成された始動誘導空隙146や該アウト誘導凹部149により形成されたアウト誘導空隙147に流下可能である。
【0157】
(2)振分装置121による遊技球の振り分け
実施例4の振分装置121は、前述したように電動モータの駆動によりローラー体132を回転させることによって、前記遊動状態と誘導可能状態とを繰り返し生じさせる。
【0158】
遊技領域3に発射された遊技球は、センターケース5のワープ入口22aに入球すると、ワープ通路22を流下してステージ26上に導かれる。遊動状態では、前述したように、ステージ26上で支持された遊技球が、ローラー体132の凸部144と接触する毎に遊動して左右方向位置を変える。そして、誘導可能状態となった際に、遊動状態で遊動した遊技球30が始動誘導凹部148に対向する位置にあると、
図29および
図30(B),(C)に示すように、該遊技球30が、始動誘導凹部148により形成される始動誘導空隙146を流下して、誘導口28を介して第一始動口11へ入球する。一方、誘導可能状態となった際に、遊動状態で誘導した遊技球30がアウト誘導凹部149と対向する位置にあると、該遊技球30が、アウト誘導凹部149により形成されるアウト誘導空隙147を流下して、ケース内アウト口29に流入する。
尚、誘導可能状態となった際に、始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149とのいずれにも対向しない位置にある遊技球30は、ローラー体132の外表面による支持が保たれることから、ステージ26上で保持される。
【0159】
[実施例4の特徴]
実施例4の振分装置121は、複数の凸部144と始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149とを外表面に設けたローラー体132と、該ローラー体132の直前方に遊技球を通過不能な間隙を介して対向配置されたステージ部材25とを備えたものであり、ローラー体132の回動により繰り返し生ずる遊動状態と誘導可能状態とによって、ステージ26上で支持された遊技球を、第一始動口11またはケース内アウト口29に振り分ける。ここで、遊動状態におけるステージ26上での遊技球の動きにより、誘導可能状態で、該遊技球が、第一始動口11へ入球する始動誘導空隙146またはケース内アウト口29へ流入するアウト誘導空隙147を流下する。したがって、実施例4の構成によれば、ステージ26上の遊技球の動きにより、第一始動口11への入球を望む遊技者の感情を一喜一憂させることができ、従来に無い斬新かつ刺激的な面白さを遊技者に提供できるという、前述の実施例1と同様の作用効果を奏し得る。
【0160】
また、実施例4の構成は、ローラー体132の回動によって前記遊動状態と誘導可能状態とを繰り返し生ずるものであり、前述した実施例1〜3のベルト回動装置(前後のプーリや無端ベルトによる構成)に比して、構造が簡単である。そのため、実施例1〜3の構成に比して、トラブル発生の低減が期待できる。さらに、メンテナンス作業を簡略化できるため、該メンテナンスに要する時間や費用を軽減できるという優れた利点もある。
【0161】
また、実施例4のローラー体132は、始動誘導凹部148とアウト誘導凹部149とをシェル部136に凹設したものであるから、前記誘導案内状態で始動誘導空隙146やアウト誘導空隙147を介してシェル部136の内部に遊技球が入ってしまうことが無い。そのため、実施例1〜3のように、ローラー体132を構成するシャフト部135の外径や配設位置を、遊技球の直径に基づいて定めることを要しないという利点がある。
【0162】
[特許請求の範囲との対応]
上記の実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲に記載した用語との対応を以下に示す。
パチンコ機1が、弾球遊技機の一例に相当する。
第一始動口11が、有利領域の一例に相当し、該第一始動口11への入球により発生する賞球と第一保留記憶(大当りの抽選)とが、有利領域への遊技球通過により発生される所定利得の一例に相当する。
ケース内アウト口29が、非有利領域の一例に相当する。
実施例1〜3の電動モータ36が、第一発明の駆動手段の一例に相当する。
実施例1,3の始動誘導孔48が、無端ベルト41に穿設された第一発明の有利通過部の一例に相当し、実施例1の始動誘導空隙46と実施例3の始動誘導空隙113とが、第一発明の球通過空隙(有利通過部により形成される球通過空隙)の一例に相当する。
実施例1,3のアウト誘導孔49が、無端ベルト41に穿設された第三発明の非有利通過部の一例に相当し、実施例1のアウト誘導空隙47と実施例3のアウト誘導空隙114とが、第三発明の球通過空隙(非有利通過部により形成される球通過空隙)の一例に相当する。
実施例2の始動誘導孔108が、無端ベルト41に穿設された有利通過部の一例に相当し、実施例2の始動誘導空隙106が、第一発明の球通過空隙(有利通過部により形成される球通過空隙)の一例に相当する。
実施例2のアウト誘導孔109が、無端ベルト41に穿設された非有利通過部の一例に相当し、実施例2のアウト誘導空隙107が、第三発明の球通過空隙(非有利通過部により形成される球通過空隙)の一例に相当する。
実施例4のローラー回動装置131の電動モータが、第五発明の駆動手段の一例に相当する。
実施例4の始動誘導凹部148が、ローラー体132に凹設された第五発明の有利通過部の一例に相当し、実施例4の始動誘導空隙146が、第五発明の球通過空隙(有利通過部により形成される球通過空隙)の一例に相当する。
【0163】
[実施形態の別例について]
以下に、本実施例の別例を説明する。
実施例1〜3の構成は、無端ベルトに一個の始動誘導孔と二個のアウト誘導孔とを設けた構成であるが、これに限らず、始動誘導孔とアウト誘導孔との配設個数は適宜変更することが可能である。例えば、始動誘導孔とアウト誘導孔とを一個ずつ設けた構成とすることもできる。同様に、実施例4の構成にあっても、ローラー体に設けた始動誘導凹部とアウト誘導凹部との配設個数を適宜変更することが可能である。
【0164】
さらに、実施例1〜3の構成は、始動誘導孔の左右両側にアウト誘導孔を配設した構成であるが、配設位置は適宜変更することが可能である。例えば、始動誘導孔を無端ベルトの左側部に設け、その右方にアウト誘導孔を配設する構成としても良い。また、始動誘導孔とアウト誘導孔との配設位置を、無端ベルトの回動方向にずらして設けても良い。同様に、実施例4の構成にあっても、始動誘導凹部とアウト誘導凹部との配設位置を適宜変更することができる。
【0165】
また、実施例1〜3の構成にあって、始動誘導孔とアウト誘導孔との寸法形状は適宜変更して設定可能である。さらに、実施例1〜3では、始動誘導孔とアウト誘導孔とを同じ寸法形状としたが、これに限らず、相互に異なる寸法形状とすることも可能である。例えば、長孔状の始動誘導孔が、長孔状のアウト誘導孔に比して、無端ベルトの回動方向の長さが短いものとすることができる。または、長孔状の始動誘導孔と円形状のアウト誘導孔とを備え、該アウト誘導孔を、無端ベルトの回動方向に沿って複数並設する構成としても良い。また、実施例4の構成にあっても、同様に、始動誘導凹部とアウト誘導凹部との寸法形状は適宜変更して設定可能であると共に、該始動誘導凹部とアウト誘導凹部とを相互異なる寸法形状としても良い。
【0166】
また、実施例1〜3の無端ベルトは、ベルト厚み方向に貫通する始動誘導孔とアウト誘導孔とが穿設された構成であるが、これに限らず、実施例4のようにベルト厚み方向に貫通しない始動誘導凹部とアウト誘導凹部とを設けた構成とすることができる。具体的には、実施例2にあって、無端ベルトの外表面に窪む始動誘導凹部とアウト誘導凹部とが凹設され、該始動誘導凹部とステージの後縁との間に始動誘導空隙を形成し、該アウト誘導凹部とステージの後縁との間にアウト誘導空隙を形成する構成とする。一方、実施例1,3にあっては、駆動ベルトに窪む第一凹部と意匠フィルムに開口形成された第一外孔とによって、始動誘導凹部を構成し、駆動ベルトに窪む第二凹部と意匠フィルムに開口形成された第二外孔とによって、アウト誘導凹部を構成するものとできる。尚、こうした始動誘導凹部とアウト誘導凹部とが無端ベルトに設けられた構成では、遊技球が該無端ベルトの内側に入ってしまうことが無い。そのため、無端ベルトのシャフト部の配設位置や外径を遊技球の直径に基づいて定めることを要しない。
【0167】
また、実施例4のローラー体は、シェル部に窪む始動誘導凹部とアウト誘導凹部とが凹設された構成であるが、これに限らず、実施例2のようにシェル部の厚み方向に貫通する始動誘導孔とアウト誘導孔とが穿設された構成とすることができる。この構成では、始動誘導孔とステージの後縁との間に始動誘導空隙が形成され、アウト誘導孔とステージの後縁との間にアウト誘導空隙が形成される。尚、この構成では、誘導可能状態で前記始動誘導空隙やアウト誘導空隙を介してシェル部の内側に遊技球が入ってしまうことを防止するために、ローラー体は、シャフト部とシェル部の内周面との間隔が遊技球の直径よりも短く、かつ該シャフト部とステージの後縁との間隔が遊技球の直径以上するように、該シャフト部の外径と配設位置とを定める。
【0168】
また、実施例1〜3の構成は、無端ベルトを前後二個のプーリに掛け渡したものであるが、該無端ベルトが掛け渡されるプーリの個数は適宜変更することが可能である。例えば、三個や四個のプーリに無端ベルトを掛け渡した構成とすることが可能である。ここで、プーリの配設個数が多くなるにつれて、無端ベルトの回動方向長さが長くなる。これにより、実施例1,3のように意匠フィルムを備えた構成では、相対的に該意匠フィルムに描く意匠図柄の数量を増加できるため、該意匠図柄による演出効果を向上できる。
【0169】
また、実施例2は、無端ベルト103が意匠フィルムを備えないものであるが、該無端ベルト103の外表面に意匠図柄を直接的に描いたものとすることも可能である。この構成によれば、実施例1,3と同様、意匠図柄の回動による演出効果が得られる。さらに、プーリの配設個数を増加することにより、前述したように演出効果を向上することもできる。
また、実施例4にあって、シェル部の外側に意匠フィルムを巻回したローラー体を備えた構成とすることも可能である。又は、シェル部の外表面に意匠図柄を直接描いたローラー体を備えた構成することもできる。これら構成によれば、実施例1,3と同様に、意匠図柄による演出効果が得られる。
【0170】
また、実施例1〜4の構成にあって、無端ベルト又はローラー体の外表面に突成された凸部の配設位置や配設個数は適宜変更することが可能である。例えば、実施例1〜4では、無端ベルトやローラー体の幅方向に一列状に設けた複数の凸部が、回動方向に所定間隔をおいて並設されたものとしたが、複数の凸部が、無端ベルトやローラー体の外表面にランダム配設された構成としても良い。さらに、実施例1〜3の構成にあって、始動誘導孔とアウト誘導孔との間に、凸部を設けることも可能である。実施例4の構成にあっても、同様に、始動誘導凹部とアウト誘導凹部との間に、凸部を設けても良い。
また、実施例1〜4の構成にあっては、山形状の凸部を設けた構成であるが、これに限らず、様々な形態の凸部を設けることが可能である。例えば、円柱形や半球形の凸部を設けた構成としても良いし、異なる形態の凸部を設けた構成とすることもできる。
【0171】
また、実施例1〜4の構成は、振分装置によって第一始動口(有利領域)とケース内アウト口(非有利領域)とのいずれかに振り分ける構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、第一始動口に代えて、遊技球入球により確変遊技状態や時短遊技状態への移行を決定する特定口(有利領域)に振り分ける構成とすることができる。又は、第一始動口に代えて、大当り遊技中における開放ラウンドを継続させるラウンド継続口(有利領域)に振り分ける構成としても良い。さらに、ケース内アウト口に代えて、遊技領域へ戻す排出口(非有利領域)に振り分ける構成とすることもできる。ここで、排出口(非有利領域)は、該排出口から排出された遊技球が少なくとも第一始動口(有利領域)へ入球不能とする位置に設けることが好適である。
【0172】
また、実施例1,2の構成は、センターケースのワープ通路を流下した遊技球がステージ部材のステージ上に直接導かれるようにした構成であるが、これに限らず、例えば、回動中の無端ベルト上に、前記ワープ通路を流下した遊技球が導かれる構成とすることもできる。この構成では、ワープ出口から無端ベルト上に降りた遊技球が、該無端ベルト上を凸部に当りながら転動流下して、ステージ上に至る。そのため、該無端ベルト上を転動流下する際における遊技球の動きでも、遊技者の感情を一喜一憂させることができ、興趣を一層向上できる。そして、無端ベルトを回動させる意義を高めることもでき得る。尚、この構成では、無端ベルト上に降りた遊技球がステージに至る前に、始動誘導孔やアウト誘導孔に入ってしまうこともあり得る。そのため、前後のプーリ間に、始動誘導孔に入った遊技球を誘導口へ導く流路と、アウト誘導孔に入った遊技球をケース内アウト口へ導く流路とを備えた構成とすることが好適である。又は、無端ベルト上を転動流下する遊技球が始動誘導孔やアウト誘導孔に入らないように、無端ベルトを停止又は回動制御する構成としても良い。
【0173】
また、実施例3の構成は、ステージ上の遊技球を始動誘導空隙またはアウト誘導空隙から流下させて振り分ける構成であるが、これに限らず、例えば、ステージ上の遊技球を始動誘導孔またはアウト誘導孔から無端ベルトの内側へ流入させ、該無端ベルトの内側に設けられた誘導通路(誘導口へ誘導する通路)またはアウト通路(ケース内アウト口へ誘導する通路)を流入させる構成とすることもできる。ここで、始動誘導孔へ流入した遊技球は前記誘導通路へ入って、該誘導通路から誘導口を介して第一始動口へ入球する一方、アウト誘導孔へ流入した遊技球は前記アウト通路へ入って、該アウト通路を介してケース内アウト口へ流入する。尚、この構成の場合には、後方のプーリのシャフト部が、該シャフト部と無端ベルトの内周面との間隔が遊技球の直径以上、かつ該シャフト部とステージ部材の前縁との間隔が遊技球の直径以上となるように、配設位置と外径とを定めることが必要である。
【0174】
また、実施例1〜3の構成にあって、ステージ部材が、無端ベルトとの間に遊技球を通過不能な間隙を形成する支持位置と、該無端ベルトとの間に遊技球を通過可能な拡幅間隙を形成する不支持位置とに位置変換可能とし、所定の不支持条件が成立すると、該ステージ部材を不支持位置に位置変換作動するものとできる。そして、ステージ部材を不支持位置に位置変換した際には、ステージ上の遊技球がケース内アウト口に流入する構成とする(すなわち、前記不支持条件が成立すると、ステージ上の遊技球が第一始動口に入球することが無い)。また、前記不支持条件としては、例えば、ステージ上に遊技球が所定時間を超えて保持されることに設定できる。この場合には、ステージ上で遊技球が所定時間以内に始動誘導空隙またはアウト誘導空隙を流下しなければ、該遊技球を確実にケース内アウト口へ流入させる。こうした構成によれば、ステージ上で振り分けられる時間が制限されることから、遊技者の緊張感を効果的に高めることができ、遊技者の感情を一喜一憂させるという作用効果を向上できる。尚、不支持条件は、ステージ上で保持される遊技球の数が増加すること、大当りを発生すること等のように、様々に設定することが可能である。
このようにステージ部材を支持位置と不支持位置とに位置変換する具体的な構成(別例1)としては、
図31に示すように、ステージ部材25を、前方のプーリ32の直前方で遊技球を通過不能な間隙を介して対向する支持位置(
図31(A))と、遊技球を通過可能な拡幅間隙を形成する不支持位置(
図31(B))とに回動制御する。ここで、不支持位置では、ステージ26の傾斜角(水平方向に対する勾配)が支持位置よりも大きくなる。尚、この別例1は、ステージ部材25を支持位置と不支持位置とに回動させる以外は前記実施例1と同じである。
尚、前記別例1の構成は、ステージ部材を支持位置と不支持位置とに回動させる構成であるが、これに限らず、ステージ部材を前後方向移動可能に設け、支持位置と該支持位置よりも前方の不支持位置とに進退作動制御する構成としても良い。また、ベルト回動装置を、ステージ部材との間に遊技球を通過不能な間隙を形成する支持位置と、該ステージ部材との間に遊技球を通過可能な間隙を形成する不支持位置とに位置変換可能な構成としても良い。この構成は、ベルト回動装置を回動可能または前後方向に移動可能に設け、前記支持位置と不支持位置とに位置変換させる構成とすることにより実現できる。さらにまた、ステージ部材とベルト回動装置との両方を回動または前後方向に移動させることによって、前記支持位置と不支持位置とに位置変換する構成とすることもできる。
【0175】
同様に、実施例4の構成にあっても、ステージ部材とローラー回動装置との一方または両方を、該ステージ部材とローラー体との間に遊技球を通過不能な間隙を形成する支持位置と、遊技球を通過可能な拡幅間隙を形成する不支持位置とに位置変換させる構成とすることもできる。そして、前記不支持位置に位置変換させる不支持条件は、前記と同様に設定可能である。また、支持位置と不支持位置との位置変換としては、ステージ部材とローラー回動装置との一方又は両方を前後方向へ移動させる構成、又はステージ部材を回動させる構成とすることにより実現できる。
【0176】
また、実施例1〜3の構成は、無端ベルトに始動誘導孔とアウト誘導孔とを設け、いずれか一方を介して遊技球を第一始動口(有利領域)とケース内アウト口(非有利領域)とに振り分ける構成としたが、これに限らず、無端ベルトにアウト誘導孔を設けずに始動誘導孔のみを設けた構成とすることもできる。そして、この構成では、ステージ部材とベルト回動装置との少なくとも一方を前述した支持位置と不支持位置とに位置変換させ、不支持位置とすることでステージ上の遊技球をケース内アウト口へ流入させるようにする。
具体的な構成(別例2)の振分装置151としては、
図32に示すように、始動誘導孔48を設けた無端ベルト41を回動させることにより、遊動状態と誘導可能状態とを繰り返し生じさせる一方、前後方向に移動可能に設けたステージ部材25を、不支持条件の成立により支持位置(
図32(A))から不支持位置(
図32(B))に位置変換させる。すなわち、
図32(A)に示すようにステージ部材25を支持位置とする状態で、無端ベルト41の回動により遊動状態と誘導可能状態とが繰り返されることで、遊技球がステージ26上を動き、該誘導可能状態で始動誘導空隙を介して第一始動口11へ入球可能である。一方、不支持条件の成立により、
図32(B)に示すようにステージ部材25が不支持位置に位置変換されると、遊技球がステージ26上から落下してケース内アウト口へ入球する。こうした別例2の構成にあっても、遊動状態で遊技球の動きにより、該遊技球が始動誘導空隙を流下できるか否かが決まることから、前述の実施例1〜3と同様の作用効果を奏し得る。尚、別例2の構成では、ステージ部材を前後方向に移動させることにより支持位置と不支持位置とに位置変換させる構成としたが、ステージ部材を回動させることにより位置変換させる構成(
図31参照)としても良い。
同様に、実施例4の構成にあっても、ローラー体にアウト誘導凹部を設けずに始動誘導凹部のみを設け、ステージ部材を支持位置と不支持位置とに位置変換する構成とすることができる。
【0177】
また、実施例1〜3の構成は、無端ベルトを前後方向で傾斜するように設けた構成であるが、これに限らず、該無端ベルトを様々な向きに傾斜させて配設する構成としても良い。例えば、無端ベルトを左右横方向で傾斜するように設けた構成としても良いし、無端ベルトを斜め前後方向で傾斜するように設けた構成としても良い。
同様に、実施例4の構成にあって、ローラー体のシャフト部を前後方向とするように設けた構成や、該シャフト部が斜め前後方向とするように設けた構成とすることも可能である。
【0178】
また、実施例1〜3の構成にあって、無端ベルトの傾斜角は適宜変更することが可能である。さらに、無端ベルトを水平方向または垂直方向に配設することも可能である。
【0179】
また、実施例1〜3の構成は、一対のベルト回動装置とステージ部材とを備えた構成であるが、これに限らず、複数対のベルト回動装置とステージ部材とを備えた構成とすることも可能である。例えば、二対のベルト回動装置とステージ部材とを上下方向に配設した構成とすることができる。この場合には、上側のベルト回動装置とステージ部材とによって、遊技球を下側のステージ部材(ステージ)とケース内アウト口とのいずれかに遊技球を振り分け、下側のベルト回動装置とステージ部材とによって、第一始動口とケース内アウト口とのいずれかに振り分ける構成とすることができる。同様に、三対のベルト回動装置とステージ部材とを上下方向に設け、三段階で振り分けるようにしても良い。
また、二対のベルト回動装置とステージ部材とを左右横方向に並設した構成とすることもできる。この構成としては、例えば、左右二対のベルト回動装置とステージ部材とが、それぞれ第一始動口とケース内アウト口とのいずれかに遊技球を振り分ける構成とすることができる。そして、左右のベルト回動装置が、第一始動口へ遊技球を振り分ける確率が異なるベルト回動装置を、左右に配設し、左右いずれか一方のステージ部材へ遊技球を導く構成とすることが好適である。さらに別の構成として、左右のベルト回動装置を、左右の無端ベルトが中央に向かって下り勾配で傾斜するように対向配設し、両無端ベルトの間に配設される左右のステージ上を遊技球が往来可能な構成とすることもできる。この構成では、一方のステージ上で無端ベルトの凸部に接触した遊技球が、他方のステージへ移動可能であることから、左右のステージ上で遊技球の動きが一層様々に変化する。かかる構成によれば、遊技球の振り分けによる興趣をさらに向上できる。
【0180】
同様に、実施例4の構成にあって、複数対のローラー回動装置とステージ部材とを備えた構成とすることも可能である。
【0181】
また、実施例1〜4の構成は、センターケース内に振分装置を備えた構成であるが、これに限らず、例えば、大入賞口の内部に振分装置を設けた構成とすることも可能である。この場合には、振分装置により、大当り遊技後に確変遊技状態や時短遊技状態へ移行する特定口と通常遊技状態へ移行する通常口とに遊技球を振り分ける構成が好適である。又は、振分装置により、大入賞口の次の開放ラウンドを実行するラウンド継続口と大当り遊技を終了する終了口とに遊技球を振り分ける構成とすることもできる。
又は、遊技球を入球可能な入球口を設け、該入球口の内部に、前記実施例1〜4の振分装置を配設した構成とすることもできる。
【0182】
また、実施例1,2の構成にあって、無端ベルトの回動方向を逆方向(実施例3と同じ方向)とすることが可能である。同様に、実施例3の構成にあって、無端ベルトの回動方向を逆方向(実施例1と同じ方向)とすることが可能である。このように無端ベルトの回動方向を逆方向としても、繰り返し生ずる遊動状態と誘導可能状態とにより、ステージ上の遊技球を同様に振り分けることが可能である。さらに、実施例1〜3の構成にあって、無端ベルトの回動方向を所定条件の成立に応じて変更する構成としても良いし、所定条件の成立毎に無端ベルトの回動方向を選択する構成とすることもできる。ここで、所定条件は、所定時間の経過、所定賞球数の発生、大当りの発生、所定回数の大当り発生などが設定できる。
また、同様に、実施例4の構成にあって、ローラー回転体の回転方向を逆方向とすることが可能である。さらに、所定条件の成立により回転方向を変更可能とする構成とすることもできる。