(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相補性決定領域CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、
(a)CDRH1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号3に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号6に記載のアミノ酸配列である、
(b)CDRH1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号3に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号29に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号32に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号36に記載のアミノ酸配列である、
(c)CDRH1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号3に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号29に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号33に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号37に記載のアミノ酸配列である、
(d)CDRH1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号3に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号30に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号31に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号6に記載のアミノ酸配列である、
(e)CDRH1が、配列番号27に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号28に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号6に記載のアミノ酸配列である、
(f)CDRH1が、配列番号27に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号28に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号29に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号32に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号36に記載のアミノ酸配列である、
(g)CDRH1が、配列番号27に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号28に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号29に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号33に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号37に記載のアミノ酸配列である、または
(h)CDRH1が、配列番号27に記載のアミノ酸配列であり、CDRH2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列であり、CDRH3が、配列番号28に記載のアミノ酸配列であり、CDRL1が、配列番号29に記載のアミノ酸配列であり、CDRL2が、配列番号35に記載のアミノ酸配列であり、CDRL3が、配列番号37に記載のアミノ酸配列である、
前記抗体。
CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された抗体。
重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号7および配列番号8;配列番号7および配列番号44;配列番号7および配列番号45;配列番号39および配列番号43;配列番号40および配列番号8;配列番号40および配列番号44;配列番号41および配列番号8;配列番号41および配列番号44;配列番号41および配列番号45;または配列番号41および配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項1または2に記載の単離された抗体。
【発明を実施するための形態】
【0069】
5.詳細な説明
本開示は、ヒトCTLA−4に特異的に結合し、CTLA−4機能、例えば、CTLA−4媒介性免疫抑制に拮抗する抗体を提供する。また、これらの抗体、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞を含む医薬組成物、ならびにこれらの抗体を使用して対象を処置する方法も提供される。本明細書に開示される抗体は、抗原(例えば、腫瘍抗原)に応答したT細胞活性化を増加させる、したがって、対象におけるがんを処置する、または感染症を防止する、もしくは処置するのに特に有用である。本明細書に開示される抗体は、がんを処置するため、または感染症を防止する、もしくは処置するための医薬組成物における使用にとって、またはそのための医薬の製造においても有用である。
【0070】
5.1 定義
本明細書で使用される用語「約」および「およそ」は、数値または数値範囲を修飾するために使用される場合、その値または範囲の5%〜10%上および5%〜10%下の偏差が、記載される値または範囲の意図される意味の範囲内に依然としてあることを示す。
【0071】
本明細書で使用される用語「CTLA−4」とは、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4を指す。CTLA−4ヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、当業界で周知である。例示的なヒトCTLA−4アミノ酸配列は、GenBank預託GI:15778585に記載され、例示的なマウスCTLA−4アミノ酸配列は、GenBank預託GI:15778586に記載されている。
【0072】
本明細書で使用される用語「抗体」および「複数の抗体」は、完全長抗体、抗体の抗原結合断片、および抗体CDR、VH領域またはVL領域を含む分子を含む。抗体の例としては、モノクローナル抗体、組換え産生された抗体、一特異的抗体、多特異的抗体(二特異的抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2個の重鎖分子と2個の軽鎖分子とを含むテトラマー抗体、および抗体軽鎖モノマー、抗体重鎖モノマー、抗体軽鎖ダイマー、抗体重鎖ダイマー、抗体軽鎖−抗体重鎖対、イントラボディ、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)
2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、上記のいずれかの抗原結合断片が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAもしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1もしくはIgA
2)、または任意のサブクラス(例えば、IgG
2aもしくはIgG
2b)のものであってよい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、IgG抗体、またはそのクラス(例えば、ヒトIgG
1もしくはIgG
4)またはサブクラスである。特定の実施形態では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。別の特定の実施形態では、抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、IgG
1またはIgG
2抗体である。
【0073】
本明細書で使用される用語「VH領域」および「VL領域」は、それぞれ、FR(フレームワーク領域)1、2、3および4ならびにCDR(相補性決定領域)1、2および3を含む、単一抗体重鎖および軽鎖可変領域を指す(Kabatら(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest.(NIH Publication No.91−3242、Bethesda)を参照されたい)。
【0074】
本明細書で使用される用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖と軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に認められる非連続的抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、Kabatら、J.Biol.Chem.252、6609〜6616頁(1977)およびKabatら、Sequences of protein of immunological interest.(1991)、ならびにChothiaら、J.Mol.Biol.196:901〜917頁(1987)およびMacCallumら、J.Mol.Biol.262:732〜745頁(1996)により記載されており、その定義は、互いに比較した場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。上記の引用文献のそれぞれによって定義されたCDRを包含するアミノ酸残基は、比較のために記載される。好ましくは、用語「CDR」は、配列比較に基づいて、Kabatにより定義されたCDRである。CDRH1、CDRH2およびCDRH3は、重鎖CDRを示し、CDRL1、CDRL2およびCDRL3は、軽鎖CDRを示す。
【0075】
本明細書で使用される用語「EUナンバリングシステム」とは、Edelman,G.M.ら、Proc.Natl.Acad.USA、63、78〜85頁(1969)およびKabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、U.S.Dept.Health and Human Services、第5版、1991に記載された、抗体の定常領域のEUナンバリング慣例を指す。
【0076】
本明細書で使用される用語「フレームワーク(FR)アミノ酸残基」とは、免疫グロブリン鎖のフレームワーク領域中のアミノ酸を指す。本明細書で使用される用語「フレームワーク領域」または「FR領域」は、可変領域の部分であるが、CDRの部分ではない(例えば、CDRのKabat定義を使用する)アミノ酸残基を含む。
【0077】
Fcの文脈において本明細書で使用される用語「非フコシル化」または「非フコシル化された」とは、EU指数(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991))に従って番号付けられた、ヒトIgG1 Fc領域の残基297、または非IgG1もしくは非ヒトIgG1免疫グロブリン中の対応する残基に直接または間接に共有結合したフコースの実質的な欠如を指す。かくして、複数の非フコシル化抗体を含む組成物中では、抗体の少なくとも70%が、抗体のFc領域の残基297において直接または間接に(例えば、介在する糖により)フコシル化されておらず、一部の実施形態では、少なくとも80%、85%、90%、95%または99%が、Fc領域の残基297において直接または間接にフコシル化されていない。
【0078】
本明細書で使用される用語「特異的に結合する」とは、少なくとも約1x10
−6M、1x10
−7M、1x10
−8M、1x10
−9M、1x10
−10M、1x10
−11M、1x10
−12M、もしくはそれ以下の解離定数(Kd)で抗原に結合する、および/または非特異的抗原に対するその親和性よりも少なくとも2倍高い親和性で抗原に結合する抗体の能力を指す。
【0079】
本明細書で使用される「エピトープ」は、当業界における用語であり、抗体が特異的に結合することができる、抗原の局部領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの連続的アミノ酸であってよく(線状もしくは連続エピトープ)、またはエピトープは、例えば、ポリペプチド(複数可)の2つ以上の非連続領域と一緒になってもよい(立体的、非線状、不連続、もしくは非連続エピトープ)。ある特定の実施形態では、抗体が結合するエピトープを、例えば、NMR分光法、X線回折結晶試験、ELISAアッセイ、質量分析(例えば、液体クロマトグラフィー、電子スプレー質量分析)と組み合わせた水素/重水素交換、アレイに基づくオリゴペプチド走査アッセイ、および/または突然変異誘発マッピング(例えば、部位特異的突然変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶学については、結晶化を、当業界で公知の方法のいずれかを使用して達成することができる(例えば、Giege Rら(1994) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4):339〜350頁;McPherson A(1990) Eur J Biochem 189:1〜23頁;Chayen NE(1997) Structure 5:1269〜1274頁;McPherson A(1976)J Biol Chem 251:6300〜6303頁)。抗体:抗原結晶を、周知のX線回折技術を使用して試験し、X−PLOR(Yale University、1992、Molecular Simulations,Inc.により配布;例えば、Meth Enzymol (1985) volumes 114 & 115、Wyckoff HWら(編);U.S.2004/0014194を参照されたい)、およびBUSTER(Bricogne G(1993) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1):37〜60頁;Bricogne G(1997) Meth Enzymol 276A:361〜423頁、Carter CW(編);Roversi Pら(2000) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt10):1316〜1323頁)などのコンピュータソフトウェアを使用して精緻化することができる。突然変異誘発マッピング試験を、当業者には公知の任意の方法を使用して達成することができる。アラニン走査突然変異誘発技術などの突然変異誘発技術の説明については、例えば、Champe Mら(1995) J Biol Chem 270:1388〜1394頁およびCunningham BC & Wells JA(1989) Science 244:1081〜1085頁を参照されたい。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片のエピトープは、アラニン走査突然変異誘発試験を使用して決定される。
【0080】
本明細書で使用される用語「処置する」、「処置すること」および「処置」とは、本明細書に記載される治療または防止手段を指す。「処置」の方法は、疾患もしくは障害の1もしくはそれ以上または再発疾患もしくは障害の1もしくはそれ以上の症状を防止する、治癒させる、遅延させる、その重症度を低下させる、もしくはそれを改善するため、またはそのような処置の非存在下で予想されるものを超えて対象の生存を延長させるために、疾患もしくは障害を有する、またはそのような疾患もしくは障害を有する素因がある対象への抗体の投与を用いる。
【0081】
対象への療法の投与の文脈において本明細書で使用される用語「有効量」とは、所望の予防または治療効果を達成する療法の量を指す。
【0082】
本明細書で使用される用語「対象」は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。
【0083】
水素−重水素交換は、以下のステップ:(a)水性バッファー中のCTLA−4のみ、または抗体と組み合わせたCTLA−4の溶液を取得し、この溶液を約90%体積/体積過剰の重水標識バッファー中で、例えば、0、60、300、1800、および7200秒間希釈するステップ;(b)pHを低下させることにより水素と重水素との交換をクエンチするステップ;(c)試料をプロテアーゼ消化および質量分析にかけるステップ;ならびに(d)CTLA−4タンパク質分解ペプチド中への重水素取込みを算出し、抗体の存在下または非存在下での重水素取込みを比較するステップを含むアッセイを使用して評価される。抗CTLA−4抗体の存在下での水素/重水素交換が、前記アッセイによってアセスメントされた場合、抗体の非存在下での水素/重水素交換と比較して少なくとも10%減少する場合、CTLA−4タンパク質分解ペプチド中での水素と重水素との交換は「減少する」。
【0084】
5.2 抗CTLA−4抗体
一態様では、本開示は、ヒトCTLA−4に特異的に結合し、CTLA−4機能に拮抗する抗体を提供する。例示的抗体のアミノ酸配列を、本明細書の表1〜6に記載する。
【0100】
ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、
(a)SYX
1MX
2(配列番号22)(式中、X
1はSまたはAであり;X
2はNまたはSである)のアミノ酸配列を含むCDRH1;および/または
(b)SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDRH2;および/または
(c)VGLMGPFXI(配列番号23)(式中、XはDまたはNである)のアミノ酸配列を含むCDRH3;および/または
(d)RASQSVX
1X
2YLX
3(配列番号24)(式中、X
1はSまたはGであり;X
2はR、S、またはTであり;X
3はGまたはAである)のアミノ酸配列を含むCDRL1;および/または
(e)X
1X
2SX
3RAT(配列番号25)(式中、X
1はGまたはAであり;X
2はAまたはTであり;X
3はT、S、R、またはNである)のアミノ酸配列を含むCDRL2;および/または
(f)QQYGX
1SPX
2T(配列番号26)(式中、X
1はSまたはTであり、X
2はWまたはFである)のアミノ酸配列を含むCDRL3
を含む前記抗体を提供する。
【0101】
ある特定の実施形態では、抗体は、上記のVH CDRのうちの1つ、2つ、または3つ全部を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表2中の抗体の1つのCDRH1を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表2中の抗体の1つのCDRH2を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表2中の抗体の1つのCDRH3を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表2中の抗体の1つの1つ、2つ、または3つ全部のVH CDRを含む(例えば、表2の1行中のVH CDR、例えば、VH CDRの全部が抗体AGEN1884wに由来する)。ある特定の実施形態では、抗体は、本明細書に記載のVHフレームワークを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表4に記載の抗体のVHフレームワーク領域(例えば、表4の1行中のフレームワーク領域の1つ、2つ、3つ、または4つ)を含む。
【0102】
ある特定の実施形態では、抗体は、上記のVL CDRの1つ、2つ、または3つ全部を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表3中の抗体の1つのCDRL1を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表3中の抗体の1つのCDRL2を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表3中の抗体の1つのCDRL3を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表3中の抗体の1つの1つ、2つ、または3つ全部のVL CDRを含む(例えば、表3中の1行中のVL CDR、例えば、VL CDRの全部が抗体AGEN1884wに由来する)。ある特定の実施形態では、抗体は、本明細書に記載のVLフレームワーク領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表5に記載の抗体のVLフレームワーク領域(FR)(例えば、表5の1行中のフレームワーク領域の1つ、2つ、3つ、または4つ)を含む。
【0103】
ある特定の実施形態では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、
(a)CDRH1が、SYX
1MX
2(配列番号22)(式中、X
1はSまたはAであり;X
2はNまたはSである)のアミノ酸配列を含む;
(b)CDRH2が、SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含む;
(c)CDRH3が、VGLMGPFXI(配列番号23)(式中、XはDまたはNである)のアミノ酸配列を含む;
(d)CDRL1が、RASQSVX
1X
2YLX
3(配列番号24)(式中、X
1はSまたはGであり;X
2はR、S、またはTであり;X
3はGまたはAである)のアミノ酸配列を含む;
(e)CDRL2が、X
1X
2SX
3RAT(配列番号25)(式中、X
1はGまたはAであり;X
2はAまたはTであり;X
3はT、S、R、またはNである)のアミノ酸配列を含む;ならびに
(f)CDRL3が、QQYGX
1SPX
2T(配列番号26)(式中、X
1はSまたはTであり、X
2はWまたはFである)のアミノ酸配列を含む、
前記抗体を提供する。
【0104】
ある特定の実施形態では、CDRH1は、配列番号1〜27からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CDRH3は、配列番号3および配列番号28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CDRL1は、配列番号4、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CDRL2は、配列番号5および配列番号31〜35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CDRL3は、配列番号6、配列番号36、および配列番号37からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、表2中の抗体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、表3中の抗体のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0105】
ある特定の実施形態では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、CDRH1、CDRH2およびCDRH3が、それぞれ、配列番号1、配列番号2、および配列番号3;配列番号27、配列番号2、および配列番号3;または配列番号27、配列番号2、および配列番号28に記載のCDRH1、CDRH2およびCDRH3アミノ酸配列を含む、前記抗体を提供する。
【0106】
ある特定の実施形態では、本開示は、相補性決定領域CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号4、配列番号5、および配列番号6;配列番号29、配列番号32、および配列番号36;配列番号29、配列番号33、および配列番号37;配列番号30、配列番号31、および配列番号6;配列番号29、配列番号34、および配列番号6;または配列番号29、配列番号35、および配列番号37に記載のCDRL1、CDRL2およびCDRL3アミノ酸配列を含む、前記抗体を提供する。
【0107】
ある特定の実施形態では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6;配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号29、配列番号32、および配列番号36;配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号29、配列番号33、および配列番号37;配列番号27、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6;配列番号27、配列番号2、配列番号3、配列番号29、配列番号33、および配列番号37;配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号30、配列番号31、および配列番号6;配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号29、配列番号34、および配列番号6;配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号29、配列番号35、および配列番号37;配列番号27、配列番号2、配列番号28、配列番号4、配列番号5、および配列番号6;配列番号27、配列番号2、配列番号28、配列番号29、配列番号32、および配列番号36;配列番号27、配列番号2、配列番号28、配列番号29、配列番号33、および配列番号37;または配列番号27、配列番号2、配列番号28、配列番号29、配列番号35、および配列番号37に記載のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2およびCDRL3アミノ酸配列を含む、前記抗体を提供する。
【0108】
ある特定の実施形態では、抗体は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域とを含み、ここで、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0109】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRを、免疫グロブリン構造ループの位置を指す、Chothiaのナンバリングスキームに従って決定することができる(例えば、Chothia C & Lesk AM(1987)、J Mol Biol 196:901〜917頁;Al−Lazikani Bら(1997) J Mol Biol 273:927〜948頁;Chothia Cら(1992) J Mol Biol 227:799〜817頁;Tramontano Aら(1990) J Mol Biol 215(1):175〜82頁;および米国特許第7,709,226号を参照されたい)。典型的には、Kabatのナンバリング慣例を使用する場合、ChothiaのCDRH1ループは、重鎖アミノ酸26〜32、33、または34に存在し、ChothiaのCDRH2ループは、重鎖アミノ酸52〜56に存在し、ChothiaのCDRH3ループは、重鎖アミノ酸95〜102に存在するが、ChothiaのCDRL1ループは、軽鎖アミノ酸24〜34に存在し、ChothiaのCDRL2ループは、軽鎖アミノ酸50〜56に存在し、ChothiaのCDRL3ループは、軽鎖アミノ酸89〜97に存在する。Kabatのナンバリング慣例を使用してナンバリングされた場合、ChothiaのCDRH1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34との間で変化する(これは、KabatのナンバリングスキームがH35AおよびH35Bに挿入を置くためである;35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終わる;35Aのみが存在する場合、ループは33で終わる;35Aと35Bの両方が存在する場合、ループは34で終わる)。
【0110】
ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、本明細書の表6に開示された抗体(例えば、AGEN1884wまたはAGEN2041w)のVLのChothiaのVL CDRを含む前記抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、本明細書の表6に開示された抗体(例えば、AGEN1884wまたはAGEN2041w)のChothiaのVH CDRを含む前記抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、本明細書の表6に開示された抗体(例えば、AGEN1884wまたはAGEN2041w)のChothiaのVH CDRおよびChothiaのVL CDRを含む前記抗体を提供する。ある特定の実施形態では、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する抗体は、ChothiaおよびKabatのCDRが同じアミノ酸配列を有する、1またはそれ以上のCDRを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合し、KabatのCDRとChothiaのCDRとの組合せを含む、単離された抗体を提供する。
【0111】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRを、Lefranc M−P(1999) The Immunologist 7:132〜136頁およびLefranc M−Pら(1999) Nucleic Acids Res 27:209〜212頁に記載のIMGTナンバリングシステムに従って決定することができる。IMGTナンバリングスキームによれば、CDHR1は26〜35位にあり、CDRH2は51〜57位にあり、CDRH3は93〜102位にあり、CDRL1は27〜32位にあり、CDRL2は50〜52位にあり、CDRL3は89〜97位にある。特定の実施形態では、本開示は、例えば、Lefranc M−P(1999)上掲およびLefranc M−Pら(1999)上掲に記載のようなIMGTナンバリングシステムにより決定される、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合し、本明細書の表6に開示された抗体(例えば、AGEN1884wまたはAGEN2041w)のCDRを含む抗体を提供する。
【0112】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRを、MacCallum RMら(1996) J Mol Biol 262:732〜745頁に従って決定することができる。例えば、Martin A.、「Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains」、Antibody Engineering、KontermannおよびDubel(編)、Chapter 31、422〜439頁、Springer−Verlag、Berlin(2001)も参照されたい。特定の実施形態では、本開示は、MacCallum RMらの方法により決定される、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合し、本明細書の表6に開示された抗体(例えば、AGEN1884wまたはAGEN2041w)のCDRを含む抗体を提供する。
【0113】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRを、KabatのCDRとChothiaの構造ループとの妥協であり、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウェア(Oxford Molecular Group,Inc.)により使用される、AbM超可変領域を指す、AbMナンバリングスキームに従って決定することができる。特定の実施形態では、本開示は、AbMナンバリングスキームにより決定される、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合し、本明細書の表6に開示された抗体(例えば、AGEN1884wまたはAGEN2041w)のCDRを含む抗体を提供する。
【0114】
したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号7に記載のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8に記載のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域アミノ酸配列とを含み、それぞれのCDRが、Kabatの定義、Chothiaの定義、Kabatの定義とChothiaの定義との組合せ、IMGTナンバリングシステム、AbMの定義、またはCDRの接触定義に従って定義される、前記抗体を提供する。
【0115】
ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体であって、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域とを含み、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域が、それぞれ、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む、前記抗体を提供する。
【0116】
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号72のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0117】
ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトIGHV3−21生殖系列配列に由来するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1、およびCDRH2から選択される1またはそれ以上の領域(例えば、これらの領域の2、3、4または5つ)は、ヒトIGHV3−21生殖系列配列に由来してもよい。一実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1、およびCDRH2は、全てヒトIGHV3−21生殖系列配列に由来する。
【0118】
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号7および配列番号38〜42からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号7および配列番号38〜42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号93に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号14に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号94に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号76に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号97に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号73のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0120】
ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトIGKV3−20またはIGKV3−11生殖系列配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1、およびCDRL2から選択される1またはそれ以上の領域(例えば、これらの領域の2、3、4または5つ)は、ヒトIGKV3−20またはIGKV3−11生殖系列配列に由来してもよい。一実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1、およびCDRL2は全てヒトIGKV3−20またはIGKV3−11生殖系列配列に由来する。
【0121】
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号8および配列番号43〜47からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号8および配列番号43〜47からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号13に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0122】
ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトIGHV3−21生殖系列配列に由来するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、ヒトIGKV3−20またはIGKV3−11生殖系列配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1、およびCDRH2から選択される1またはそれ以上の領域(例えば、これらの領域の2、3、4または5つ)は、ヒトIGHV3−21生殖系列配列に由来してもよい。一実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1、およびCDRH2は全てヒトIGHV3−21生殖系列配列に由来する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1、およびCDRL2から選択される1またはそれ以上の領域(例えば、これらの領域の2、3、4または5つ)は、ヒトIGKV3−20またはIGKV3−11生殖系列配列に由来してもよい。一実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1、およびCDRL2は全てヒトIGKV3−20またはIGKV3−11生殖系列配列に由来する。
【0123】
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号7および配列番号38〜42からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8および配列番号43〜47からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトCTLA−4タンパク質に特異的に結合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号7および配列番号38〜42からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8および配列番号43〜47からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号7および配列番号8;配列番号7および配列番号44;配列番号7および配列番号45;配列番号38および配列番号8;配列番号38および配列番号45;配列番号39および配列番号43;配列番号39および配列番号45;配列番号39および配列番号46;配列番号39および配列番号47;配列番号40および配列番号43;配列番号40および配列番号8;配列番号40および配列番号44;配列番号40および配列番号45;配列番号41および配列番号8;配列番号41および配列番号44;配列番号41および配列番号45;配列番号41および配列番号47;配列番号42および配列番号43;または配列番号42および配列番号45に記載の重鎖可変領域および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0124】
ある特定の実施形態では、本開示は、ヒトCTLA−4タンパク質への結合について、それぞれ、配列番号7および配列番号8に記載の重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と交差競合する単離された抗体を提供する。
【0125】
ある特定の実施形態では、本開示は、それぞれ、配列番号7および配列番号8に記載の重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトCTLA−4タンパク質上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0126】
任意のIg定常領域を、本明細書に開示される抗体において使用することができる。ある特定の実施形態では、Ig領域は、ヒトIgG
1またはヒトIgG
2重鎖定常領域である。
【0127】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のIgG領域は、例えば、野生型Fc領域を有する抗体、例えば、IgG
1 Fcと比較して、CD32B(FcγRIIBまたはFCGR2Bとしても知られる)に対する増大した親和性を有する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、CD32A(FcγRIIA)とCD16(FcγRIIIA)の両方よりもCD32B(FcγRIIB)に対する選択的に増大した親和性を有する。CD32Bに対する親和性の増大をもたらす配列変化は、当業界で公知であり、例えば、Mimotoら、Protein Engineering, Design & Selection 10:589〜598頁(2013)、Chuら、Molecular Immunology 45:3926〜3933頁(2008)、およびStrohl、Current Opinion in Biology 20:685〜691頁(2009)(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはEU指数(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S. Department of Health and Human Services、Bethesda(1991))に従ってナンバリングされた、G236D、P238D、S239D、S267E、L328F、およびL328Eからなる群から選択される突然変異、ならびにその組合せを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはS267EおよびL328F置換を含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはP238DおよびL328F置換を含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはP238D置換ならびにE233D、G237D、H268D、P271G、A330R、およびその組合せからなる群から選択される置換を含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはP238D、E233D、G237D、H268D、P271G、およびA330R置換を含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはG236DおよびS267Eを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはS239DおよびS267Eを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはV262E、S267E、およびL328Fを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはV264E、S267E、およびL328Fを含むその断片を含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のIgG領域は、例えば、野生型Fc領域を有する抗体、例えば、IgG
1 Fcと比較して、FcγRIIIAに対する増大した親和性を有する。FcγRIIIAに対する親和性の増大をもたらす配列変化は、当業界で公知であり、例えば、Kellnerら、Methods 65:105〜113頁(2014)、Lazarら、Proc Natl Acad Sci 103:4005〜4010頁(2006)、Shieldsら、J Biol Chem.276(9):6591〜6604頁(2001)(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、またはEU指数(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S. Department of Health and Human Services、Bethesda(1991))に従ってナンバリングされた、G236A、S239D、F243L、T256A、K290A、R292P、S298A、Y300L、V305I、A330L、I332E、E333A、K334A、A339T、およびP396L、ならびにその組合せからなる群から選択される突然変異を含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはS239Dを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはT256Aを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはK290Aを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはS298Aを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはI332Eを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはE333Aを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはK334Aを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはA339Tを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはS239DおよびI332Eを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはS239D、A330L、およびI332Eを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはS298A、E333A、およびK334Aを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはG236A、S239D、およびI332Eを含むその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、またはF243L、R292P、Y300L、V305I、およびP396Lを含むその断片を含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、抗体依存的細胞性細胞傷害(ADCC)活性を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ナチュラルキラー細胞媒介性細胞枯渇を開始させる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ナチュラルキラー細胞が浸潤した腫瘍を処置するために使用される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、抗体依存的細胞性貪食(ADCP)活性を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、マクロファージ媒介性細胞枯渇を開始させる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、マクロファージが浸潤した腫瘍を処置するために使用される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、腫瘍内調節性T細胞を選択的に枯渇させる。
【0130】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、活性化状態で、ヒトCTLA−4タンパク質に結合する活性化可能抗体である。ある特定の実施形態では、活性化可能抗体は、非切断状態の抗体の、ヒトCTLA−4タンパク質への結合を阻害するマスキング部分と、抗体にカップリングした少なくとも1つの切断性部分とを含み、例えば、切断性部分は腫瘍微小環境中で富化されるプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。例示的な活性化可能抗体は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第8,513,390号および第8,518,404号、ならびに米国特許出願第2014/0255313号、第2014/0010810号、第2014/0023664号に記載されている。ある特定の実施形態では、活性化可能抗体は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域のバリアントであるヒトIgG重鎖定常領域を含み、バリアントヒトIgG重鎖定常領域は、ヒトFcγRIIIAに結合する野生型ヒトIgG重鎖定常領域よりも高い親和性で、ヒトFcγRIIIAに結合する。
【0131】
5.3 医薬組成物
生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.、Easton、PA)中に所望の純度を有する本明細書に記載の抗CTLA−4抗体を含む組成物が本明細書に提供される。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる用量および濃度でレシピエントにとって非毒性的であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸のようなバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンのようなアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールのような糖;ナトリウムのような塩形成性対抗イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤を含む。
【0132】
特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体と、場合により、1またはそれ以上のさらなる予防剤または治療剤とを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に、有効量の本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片と、場合により、1またはそれ以上のさらなる予防剤または治療剤とを含む。一部の実施形態では、抗体は、医薬組成物中に含まれる唯一の活性成分である。本明細書に記載の医薬組成物は、CTLA−4活性を阻害し、がんまたは感染症のような状態を処置するのに有用であってよい。
【0133】
一態様では、医薬としての使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0134】
一態様では、がんの処置のための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0135】
非経口調製物において使用される薬学的に許容される担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、バッファー、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤ならびに他の薬学的に許容される物質が挙げられる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロースおよび乳酸化リンゲル注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルとしては、植物起源の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油およびピーナッツ油が挙げられる。静菌性または静真菌性濃縮液中の抗微生物剤を、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムを含む、複数用量容器中に包装された非経口調製物に添加することができる。等張剤としては、塩化ナトリウムおよびデキストロースが挙げられる。バッファーとしては、リン酸バッファーおよびクエン酸バッファーが挙げられる。酸化防止剤としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁剤および分散剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤としては、EDTAが挙げられる。薬学的担体としては、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;およびpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も挙げられる。
【0136】
医薬組成物を、対象への任意の投与経路のために製剤化することができる。投与経路の特定例としては、鼻内、経口、肺、経皮、皮内、および非経口が挙げられる。皮下、筋肉内または静脈内注射のいずれかを特徴とする非経口投与も、本明細書で企図される。注射液を、液体溶液もしくは懸濁液としての従来の形態、注射前の液体中の溶液もしくは懸濁液にとって好適な固体形態で、またはエマルジョンとして調製することができる。また、注射液、溶液およびエマルジョンは、1またはそれ以上の賦形剤を含有する。好適な賦形剤は、例えば、水、塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールである。さらに、必要に応じて、投与される医薬組成物はまた、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度増強剤、ならびに例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンのような他のそのような薬剤のような少量の非毒性補助物質も含有してもよい。
【0137】
抗体の非経口投与のための調製物は、即時注射可能な滅菌溶液、皮下注射錠剤を含む、使用直前に溶媒とすぐに混合される、凍結乾燥粉末のような滅菌乾燥可溶性生成物、注射可能な滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルとすぐに混合される滅菌乾燥不溶性生成物ならびに滅菌エマルジョンが挙げられる。溶液は、水性または非水性であってもよい。
【0138】
静脈内投与される場合、好適な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールおよびその混合物のような、増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
【0139】
抗体を含む局所混合物は、局部および全身投与について記載されるように調製される。得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであってよく、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、気泡、エアロゾル、潅注、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチまたは局部投与にとって好適な任意の他の製剤として製剤化することができる。
【0140】
本明細書に記載の抗CTLA−4抗体を、吸入などによる、局所適用のためにエアロゾルとして製剤化することができる(例えば、炎症疾患、特に、喘息の処置にとって有用なステロイドの送達のためのエアロゾルを記載する、米国特許第4,044,126号、第4,414,209号および第4,364,923号を参照されたい)。気道への投与のためのこれらの製剤は、単独で、またはラクトースのような不活性担体と共に、ネブライザのためのエアロゾルもしくは溶液の形態で、または送気のための超微粒粉末として存在してもよい。そのような事例では、製剤の粒子は、一実施形態では、50μm未満、一実施形態では、10μm未満の直径を有する。
【0141】
本明細書に記載の抗CTLA−4抗体を、眼中、ゲル、クリーム、およびローションの形態などでの、皮膚および粘膜への局所適用のため、ならびに眼への適用のため、または嚢内もしくは髄腔内適用のためのような、局部または局所適用のために製剤化することができる。局所投与は、経皮送達のため、また、眼もしくは粘膜への投与のために、または吸入療法のために企図される。抗体の鼻溶液を、単独で、または他の薬学的に許容される賦形剤と共に投与することもできる。
【0142】
イオントフォレーゼおよび電気泳動デバイスを含む、経皮パッチは、当業者には周知であり、抗体を投与するために使用することができる。例えば、そのようなパッチは、米国特許第6,267,983号、第6,261,595号、第6,256,533号、第6,167,301号、第6,024,975号、第6,010,715号、第5,985,317号、第5,983,134号、第5,948,433号、および第5,860,957号に開示されている。
【0143】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、溶液、エマルジョンおよび他の混合物としての投与のために復元することができる凍結乾燥粉末である。それはまた、固体またはゲルとして復元および製剤化することもできる。凍結乾燥粉末は、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または薬学的に許容されるその誘導体を、好適な溶媒中に溶解することによって調製される。一部の実施形態では、凍結乾燥粉末は、滅菌される。溶媒は、安定性を改善する賦形剤または粉末もしくは粉末から調製された、復元された溶液の他の薬学的成分を含有してもよい。使用することができる賦形剤としては、限定されるものではないが、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の好適な薬剤が挙げられる。溶媒はまた、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウムのようなバッファー、または一実施形態では、ほぼ中性のpHの当業者には公知の他のそのようなバッファーを含有してもよい。その後の溶液の滅菌濾過、次いで、当業者には公知の標準的な条件下での凍結乾燥により、所望の製剤が得られる。一実施形態では、得られる溶液を、凍結乾燥のためのバイアルに分配する。それぞれのバイアルは、単一用量またはそれ以上用量の化合物を含有する。凍結乾燥粉末を、約4℃から室温までのような、適切な条件下で保存することができる。この凍結乾燥粉末の、注射用水による復元により、非経口投与における使用のための製剤が得られる。復元のために、凍結乾燥粉末を、滅菌水または他の好適な担体に添加する。正確な量は、選択される化合物に依存する。そのような量を、経験的に決定することができる。
【0144】
本明細書に記載の抗CTLA−4抗体および本明細書に提供される他の組成物を、処置される対象の特定の組織、受容体、または身体の他の領域に標的化されるように製剤化することもできる。多くのそのような標的化方法が当業者には周知である。そのような標的化方法は全て、本発明の組成物中での使用について本明細書で企図される。標的化方法の非限定例については、例えば、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号、および第5,709,874号を参照されたい。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、腫瘍に標的化される。
【0145】
in vivoでの投与のために使用される組成物は、滅菌されていてもよい。これは、例えば、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
【0146】
5.4 使用方法
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体を使用して対象を処置する方法を提供する。CTLA−4機能の阻害から利益を得る対象における任意の疾患または障害を、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体を使用して処置することができる。本明細書に開示される抗CTLA−4抗体は、腫瘍に対する免疫系の寛容性を阻害するのに特に有用であり、したがって、がんを有する対象のための免疫療法として使用することができる。例えば、ある特定の実施形態では、本開示は、対象における抗原に応答したT細胞活性化を増加させる方法であって、対象に、有効量の本明細書に開示される抗CTLA−4抗体またはその医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、対象におけるがんを処置する方法であって、対象に有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。ある特定の実施形態では、対象は、免疫療法を以前に受けたことがある。ある特定の実施形態では、対象は、いかなる免疫療法も以前に受けたことがない。ある特定の実施形態では、がんは進行性または転移性のがんである。本明細書に開示される抗CTLA−4抗体または医薬組成物を用いて処置することができるがんとしては、限定されるものではないが、固形がん(例えば、再発性または不応性固形がん、および進行性または転移性固形がん)、癌腫、肉腫、メラノーマ(例えば、ステージIIIまたはステージIVのメラノーマ)、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、尿路上皮がん、卵巣がん、前立腺がん(例えば、転移性ホルモン不応性前立腺がんおよび進行性転移性前立腺がん)、膵臓がん、乳がん(例えば、HER2
+乳がん(例えば、再発性/不応性HER2
+乳がん))、頭頸部がん(例えば、再発性/不応性頭頸部扁平上皮癌(HNSCC))、グリオーマ、悪性グリオーマ、多形成グリア芽細胞腫、脳転移、メルケルがん、胃がん、胃食道がん、腎細胞癌、ブドウ膜メラノーマ、結腸がん、子宮頸がん、リンパ腫(例えば、再発性または不応性リンパ腫)、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、および多発性骨髄腫が挙げられる。ある特定の実施形態では、がんは、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体または医薬組成物の腫瘍内投与を用いて処置される。本明細書に開示される抗CTLA−4抗体または医薬組成物の腫瘍内投与を用いて処置することができるがんとしては、限定されるものではないが、固形腫瘍(例えば、進行性または転移性固形腫瘍)、頭頸部がん(例えば、再発性/不応性頭頸部扁平上皮癌(HNSCC))、および乳がん(例えば、HER2
+乳がん(例えば、再発性/不応性HER2
+乳がん))が挙げられる。
【0147】
本明細書に開示される抗CTLA−4抗体または医薬組成物を用いて処置することができるさらなるがんとしては、限定されるものではないが、B細胞リンパ腫(例えば、B細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、基底細胞癌、膀胱がん、芽腫、脳転移、乳がん、バーキットリンパ腫、癌腫(例えば、腺癌(例えば、胃食道接合部の))、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん(結腸がんおよび直腸がん)、子宮内膜癌、食道がん、ユーイング肉腫、濾胞性リンパ腫、胃がん、胃食道接合部癌、胃腸がん、グリア芽細胞腫(例えば、新しく診断された、または再発した、例えば、多形成グリア芽細胞腫)、グリオーマ、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肝転移、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、腎臓がん(例えば、腎細胞癌およびウィルムス腫瘍)、喉頭がん、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病)、肝臓がん(例えば、肝癌およびヘパトーマ)、肺がん(例えば、非小細胞肺がんおよび小細胞肺がん)、リンパ芽球性リンパ腫、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、転移性脳腫瘍、転移性がん、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、神経芽腫、眼メラノーマ、口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん(例えば、膵管腺癌)、前立腺がん(例えば、ホルモン不応性(例えば、去勢抵抗性)、転移性、転移性ホルモン不応性(例えば、去勢抵抗性、アンドロゲン非依存性))、腎細胞癌(例えば、転移性)、唾液腺癌、肉腫(例えば、横紋筋肉腫)、皮膚がん(例えば、メラノーマ(例えば、転移性メラノーマ))、軟組織肉腫、固形腫瘍、扁平上皮癌、滑膜肉腫、精巣がん、甲状腺がん、移行上皮がん(尿路上皮細胞がん)、ブドウ膜メラノーマ(例えば、転移性)、いぼ状癌、外陰部がん、ならびにヴァルデンストレームマクログロブリン血症が挙げられる。
【0148】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、ヒト肉腫または癌腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌(例えば、転移性)、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、グリオーマ、多形成グリア芽細胞腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽腫、または網膜芽腫である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、急性リンパ球性白血病もしくは急性骨髄性白血病(例えば、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病);慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病もしくは慢性リンパ球性白血病);ホジキン病;非ホジキン病;急性骨髄性白血病;B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;未分化大細胞リンパ腫;眼内リンパ腫;濾胞性リンパ腫;小腸リンパ腫;または脾性辺縁帯リンパ腫である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖疾患、消化管間質腫瘍、頭部および/もしくは頸部がん(例えば、下咽頭扁平上皮癌、喉頭扁平上皮癌、中咽頭扁平上皮癌、もしくは喉頭いぼ状癌)、子宮内膜間質肉腫、マスト細胞肉腫、成人軟部肉腫、子宮肉腫、メルケル細胞癌、尿路上皮癌、脳転移を伴うメラノーマ、ブドウ膜メラノーマ、肝臓転移を伴うブドウ膜メラノーマ、非小細胞肺がん、直腸がん、または骨髄異形成症候群である。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、転移性である。
【0149】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんとして、前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、メラノーマ、気管支がん、膀胱がん、脳もしくは中枢神経系のがん、末梢神経系のがん、子宮もしくは子宮内膜がん、口腔もしくは咽頭のがん、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、腎臓がん、胆道がん、小腸もしくは虫垂がん、唾液腺がん、甲状腺がん、副腎がん、扁平上皮がん、中皮腫、骨癌、胸腺腫(thyoma)/胸腺癌、グリア芽細胞腫、骨髄異形成症候群、軟部組織肉腫、DIPG、腺癌、骨肉腫、軟骨肉腫、白血病、または膵臓がんが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんとして、癌腫(例えば、腺癌)、リンパ腫、芽腫、メラノーマ、肉腫、または白血病が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんとして、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胃腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、グリア芽細胞腫、グリオーマ、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん(例えば、肝癌およびヘパトーマ)、膀胱がん、乳がん、炎症性乳がん、メルケル細胞癌、結腸がん、結腸直腸がん、胃がん、膀胱がん、子宮内膜癌、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、唾液腺癌、腎臓がん(例えば、腎細胞癌およびウィルムス腫瘍)、基底細胞癌、メラノーマ、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、精巣がん、食道がん、漿液性腺癌または様々な型の頭頸部がんが挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんとして、線維形成性メラノーマ、炎症性乳がん、胸腺腫、直腸がん、肛門がん、または外科的に処置可能な、もしくは外科的に処置不可能な脳幹グリオーマが挙げられる。特定の実施形態では、がんは、固形腫瘍である。別の特定の実施形態では、がんは、多形成グリア芽細胞腫である。一部の実施形態では、多形成グリア芽細胞腫は再発性である。一部の実施形態では、多形成グリア芽細胞腫は、新しく診断されたものである。一部の実施形態では、多形成グリア芽細胞腫は、非メチル化MGMTプロモーターを有する対象におけるものである。一部の実施形態では、多形成グリア芽細胞腫は、ベバシズマブ療法に対して不応性である。一部の実施形態では、多形成グリア芽細胞腫は、ベバシズマブ療法を受けたことがない対象におけるものである。
【0150】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、転移性メラノーマ(例えば、抵抗性転移性メラノーマ)、転移性卵巣がん、または転移性腎細胞癌である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、イピリムマブに対して耐性であるメラノーマである。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、ニボルマブまたはペンブロリズマブに対して耐性であるメラノーマである。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置されるがんは、イピリムマブおよびニボルマブまたはペンブロリズマブに対して耐性であるメラノーマである。
【0151】
ある特定の実施形態では、本開示は、対象における感染症を防止または処置する方法であって、対象に、有効量の本明細書に開示される抗CTLA−4抗体またはその医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。一実施形態では、感染(例えば、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原生動物感染、または寄生虫感染)を防止および/または処置するための方法が本明細書で提供される。前記方法に従って防止および/または処置される感染は、本明細書で同定される感染性因子により引き起こされる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその組成物は、対象に投与される唯一の活性薬剤である。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその組成物は、感染症の処置のために抗感染介入(例えば、抗ウイルス剤、抗細菌剤、抗真菌剤、または抗蠕虫剤)と共に使用される。
【0152】
本明細書に開示される抗CTLA−4抗体または医薬組成物によって処置および/または防止することができる感染症は、限定されるものではないが、細菌、寄生虫、真菌、原生動物、およびウイルスなどの感染性因子によって引き起こされる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体または医薬組成物によって処置および/または防止される感染症は、ウイルスによって引き起こされる。本明細書に記載の方法に従って防止および/または処置することができるウイルス疾患またはウイルス感染としては、限定されるものではないが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ(例えば、インフルエンザAまたはインフルエンザB)、水痘ウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV−I)、単純ヘルペスII型(HSV−II)、牛疫ウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘、エプスタインバーウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV−I)、ヒト免疫不全ウイルスII型(HIV−II)、およびウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱または天然痘のようなウイルス疾患の因子によって引き起こされるものが挙げられる。
【0153】
防止および/または処置することができる細菌感染としては、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、スタフィロコッカス・ビリダンス(Staphylococcus viridans)、およびシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)により引き起こされる感染が挙げられる。本明細書に記載の方法に従って防止および/または処置することができる細菌(例えば、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカリス、プロテウス・ブルガリス、スタフィロコッカス・ビリダンス、およびシュードモナス・エルギノーサ)により引き起こされる細菌疾患としては、限定されるものではないが、マイコバクテリア・リケッチア(Mycobacteria rickettsia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、ナイセリア(Neisseria)、S.ニューモニア(S.pneumonia)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)(ライム病)、バチルス・アントラシス(Bacillus antracis)(炭疽病)、破傷風、連鎖球菌(Streptococcus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、マイコバクテリウム、百日咳(pertissus)、コレラ、伝染病、ジフテリア、クラミジア、黄色ブドウ球菌、およびレジオネラが挙げられる。
【0154】
本明細書に記載の方法に従って防止および/または処置することができる原生動物によって引き起こされる原生動物疾患または原生動物感染としては、限定されるものではないが、リーシュマニア症、コクシジウム症、トリパノソーマ住血吸虫またはマラリアが挙げられる。本明細書に記載の方法に従って防止および/または処置することができる寄生虫によって引き起こされる寄生虫疾患または寄生虫感染としては、限定されるものではないが、クラミジアおよびリケッチアが挙げられる。
【0155】
本明細書に記載の方法に従って防止および/または処置することができる真菌疾患または真菌感染としては、限定されるものではないが、カンジダ(Candida)感染、接合菌症、カンジダ乳腺炎、潜在性トリコスポロン血症を伴う進行性播種性トリコスポロン症、播種性カンジダ症、肺パラコクシジオイデス症、肺アスペルギルス症、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)肺炎、クリプトコックス髄膜炎、コクシジオイデス性髄膜脳炎および脳脊髄血管炎、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)感染、フサリウム・ケラティティス(Fusarium keratitis)、副鼻腔真菌症、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)心内膜炎、脛骨軟骨発育不全症、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)膣炎、口腔咽頭カンジダ症、X連鎖慢性肉芽腫症、足白癬、皮膚カンジダ症、真菌性胎盤炎、播種性トリコスポロン症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、真菌性角膜炎、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)感染、真菌性腹膜炎、クルブラリア・ゲニクラタ(Curvularia geniculata)感染、ブドウ球菌性眼内炎、スポロトリクム症、および皮膚糸状菌症によって引き起こされるものが挙げられる。
【0156】
ある特定の実施形態では、感染症は急性である。ある特定の実施形態では、感染症は慢性である。ある特定の実施形態では、感染症は、フラビウイルス、例えば、西ナイルウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ポーワッサンウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、デングウイルス、ジカウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、黄熱病ウイルス、およびチクングンヤ熱ウイルスによって引き起こされる。ある特定の実施形態では、感染症は、エボラウイルスによって引き起こされる。ある特定の実施形態では、感染症は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる。ある特定の実施形態では、感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体またはその医薬組成物は、ウイルス制御を促進する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体またはその医薬組成物は、ウイルス保有を除去する。
【0157】
本発明は、一態様では、医薬としての使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物に関する。
【0158】
本発明は、一態様では、本発明の抗CTLA−4抗体、および/または免疫療法(例えば、対象における抗原に応答したT細胞活性化を増加させる、がんを処置する、または感染症を処置もしくは防止するための免疫療法)のための医薬組成物または医薬を調製するための、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と組み合わせたその使用に関する。
【0159】
本発明は、一態様では、がんの処置のための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物に関する。
【0160】
本発明は、一態様では、腫瘍に対する免疫系の寛容性を阻害するため、および/またはがんを有する対象のための免疫療法のための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物に関する。
【0161】
本発明は、一態様では、感染症の処置のための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物に関する。
【0162】
ある特定の実施形態では、これらの方法は、さらなる治療剤を対象に投与することをさらに含む。ある特定の実施形態では、さらなる治療剤は、化学療法剤またはチェックポイント標的剤である。ある特定の実施形態では、チェックポイント標的剤は、アンタゴニスト抗PD−1抗体、アンタゴニスト抗PD−L1抗体、アンタゴニスト抗PD−L2抗体、アンタゴニスト抗CTLA−4抗体、アンタゴニスト抗TIM−3抗体、アンタゴニスト抗LAG−3抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アゴニスト抗GITR抗体、アゴニスト抗OX40抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アゴニスト抗DR3抗体、アゴニスト抗TNFSF14抗体、およびアゴニスト抗CD27抗体からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、チェックポイント標的剤は、アンタゴニスト抗PD−1抗体である。ある特定の実施形態では、チェックポイント標的剤は、アンタゴニスト抗PD−L1抗体である。ある特定の実施形態では、チェックポイント標的剤は、アンタゴニスト抗LAG−3抗体である。ある特定の実施形態では、さらなる治療剤は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバーに対するアゴニストまたは腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバーである。
【0163】
ある特定の実施形態では、本発明は、医薬としての使用のための、(a)本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物ならびに(b)さらなる治療剤に関する。好ましい実施形態では、さらなる治療剤は、化学療法剤またはチェックポイント標的剤である。
【0164】
ある特定の実施形態では、本発明は、がんの処置のための方法における使用のための、(a)本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物ならびに(b)さらなる治療剤に関する。
【0165】
ある特定の実施形態では、本発明は、感染症の処置のための方法における使用のための、(a)本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物ならびに(b)さらなる治療剤に関する。
【0166】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体は、IDO(インドールアミン−(2,3)−ジオキシゲナーゼ)および/またはTDO(トリプトファン2,3−ジオキシゲナーゼ)のような免疫調節酵素を標的とする化合物と共に対象に投与される。ある特定の実施形態では、そのような化合物は、エパカドスタット(Incyte Corp;例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2010/005958を参照されたい)、F001287(Flexus Biosciences)、インドキシモッド(NewLink Genetics)、およびNLG919(NewLink Genetics)からなる群から選択される。一実施形態では、化合物は、エパカドスタットである。別の実施形態では、化合物は、F001287である。別の実施形態では、化合物は、インドキシモッドである。別の実施形態では、化合物は、NLG919である。
【0167】
ある特定の実施形態では、本発明は、医薬としての使用のための、(a)本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物ならびに(b)免疫調節酵素を標的とする化合物に関する。好ましい実施形態では、化合物は、IDOおよび/またはTDOを標的とする。
【0168】
ある特定の実施形態では、本発明は、がんの処置のための方法における使用のための、(a)本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物ならびに(b)免疫調節酵素を標的とする化合物に関する。好ましい実施形態では、化合物は、IDOおよび/またはTDOを標的とする。
【0169】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体は、ワクチンと共に対象に投与される。ある特定の実施形態では、ワクチンは、熱ショックタンパク質に基づく腫瘍ワクチンまたは熱ショックタンパク質に基づく病原体ワクチンである。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体は、熱ショックタンパク質に基づく腫瘍ワクチンと共に対象に投与される。熱ショックタンパク質(HSP)は、全ての種にわたって遍在的に認められる高度に保存されたタンパク質のファミリーである。熱ショックまたは、毒素への曝露、酸化ストレスもしくはグルコース除去などの他の形態のストレスの結果として、それらの発現をはるかにより高いレベルまで強力に誘導することができる。分子量に従って5つのファミリーが分類されている:HSP−110、−90、−70、−60および−28。HSPは、マクロファージおよび樹状細胞(DC)のような抗原提示細胞(APC)中で交差提示経路により免疫原性ペプチドを送達し、T細胞活性化をもたらす。HSPは、腫瘍特異的免疫を誘導することができる腫瘍関連抗原性ペプチド形成複合体のシャペロン担体として機能する。死滅しつつある腫瘍細胞からの放出の際に、HSP−抗原複合体は抗原提示細胞(APC)によって取り込まれ、そこで、抗原はMHCクラスIおよびクラスII分子に結合するペプチドにプロセシングされ、抗腫瘍CD8+およびCD4+T細胞の活性化をもたらす。腫瘍調製物に由来するHSP複合体によって惹起される免疫は、それぞれの対象のがんによって発現されるユニークな抗原性ペプチドレパートリーを特異的に指向する。
【0170】
熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)は、抗原性ペプチドと非共有的に複合体化された熱ショックタンパク質からなるタンパク質ペプチド複合体である。HSPPCは、自然免疫応答と適応免疫応答の両方を惹起する。特定の実施形態では、抗原性ペプチドは、処置されるがんに対する抗原性を示す。HSPPCは、膜受容体(主にCD91)を介してAPCによって、またはToll様受容体への結合によって効率的に捕捉される。HSPPCの内在化は、ケモカインおよびサイトカイン産生と共にAPCの機能的成熟をもたらし、ナチュラルキラー細胞(NK)、単球ならびにTh1およびTh2媒介性免疫応答の活性化をもたらす。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される方法において使用されるHSPPCは、抗原性ペプチドと複合体化したストレスタンパク質のhsp60、hsp70、またはhsp90ファミリーに由来する1またはそれ以上の熱ショックタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、HSPPCは、hsc70、hsp70、hsp90、hsp110、grp170、gp96、カルレチクリン、またはその2つ以上の組合せを含む。
【0171】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体は、がんを処置するために、熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)、例えば、熱ショックタンパク質ペプチド複合体−96(HSPPC−96)と共に対象に投与される。HSPPC−96は、抗原性ペプチドと複合体化した、96kDaの熱ショックタンパク質(Hsp)、gp96を含む。HSPPC−96は、対象の腫瘍から製造されたがん免疫療法であり、がんの抗原性「フィンガープリント」を含有する。ある特定の実施形態では、このフィンガープリントは、その特定の対象の特定のがん細胞にのみ存在するユニークな抗原を含有し、ワクチンの注射は、特定のがんフィンガープリントを有する細胞を認識および攻撃するように対象の免疫系を刺激することを意図する。
【0172】
ある特定の実施形態では、HSPPC、例えば、HSPPC−96は、対象の腫瘍組織から産生される。特定の実施形態では、HSPPC(例えば、HSPPC−96)は、処置されるがんまたはその転移の型の腫瘍から産生される。別の特定の実施形態では、HSPPC(例えば、HSPPC−96)は、処置される対象にとって自己由来のものである。ある特定の実施形態では、腫瘍組織は、非壊死性腫瘍組織である。ある特定の実施形態では、ワクチンレジメンを産生するために、少なくとも1グラム(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10グラム)の非壊死性腫瘍組織が使用される。ある特定の実施形態では、外科的切除後、非壊死性腫瘍組織は、ワクチン調製における使用の前に凍結される。一部の実施形態では、HSPPC、例えば、HSPPC−96は、精製技術によって腫瘍組織から単離され、濾過され、注射可能なワクチンのために調製される。ある特定の実施形態では、対象は、6〜12用量のHSPPC、例えば、HSPPC−96を投与される。そのような実施形態では、HSPPC、例えば、HSPPC−96の用量を、最初の4用量については毎週、次いで、2〜8のさらなる用量については2週毎に投与することができる。
【0173】
本明細書に記載の方法に従って使用することができるHSPPCのさらなる例は、以下の特許および特許出願:米国特許第6,391,306号、第6,383,492号、第6,403,095号、第6,410,026号、第6,436,404号、第6,447,780号、第6,447,781号、第6,610,659号に開示され、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0174】
ある特定の実施形態では、本発明は、医薬としての使用のための、(a)本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物ならびに(b)ワクチンに関する。好ましい実施形態では、ワクチンは、熱ショックタンパク質に基づく腫瘍ワクチンまたは熱ショックタンパク質に基づく病原体ワクチンである。好ましい実施形態では、ワクチンは、熱ショックタンパク質に基づくウイルスワクチンである。
【0175】
ある特定の実施形態では、本発明は、がんの処置のための方法における使用のための、(a)本発明の抗CTLA−4抗体および/または本発明の抗CTLA−4抗体と、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む本発明の医薬組成物ならびに(b)ワクチンに関する。好ましい実施形態では、ワクチンは、熱ショックタンパク質に基づく腫瘍ワクチンである。
【0176】
抗CTLA−4抗体およびさらなる治療剤(例えば、化学療法剤、チェックポイント標的剤、IDO阻害剤、および/またはワクチン)を、別の剤形として別々に、連続的に、または同時に投与することができる。一実施形態では、抗CTLA−4抗体は非経口的に投与され、IDO阻害剤は経口的に投与される。
【0177】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体は、対象に腫瘍内投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗CTLA−4抗体は、さらなる治療剤と共に対象に腫瘍内投与される。ある特定の実施形態では、さらなる治療剤は、全身投与される。ある特定の実施形態では、対象は固形腫瘍を有する。ある特定の実施形態では、対象は頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を有する。ある特定の実施形態では、対象はHER2
+乳がんを有する。ある特定の実施形態では、全身投与されるさらなる治療剤は、抗PD−1抗体(例えば、ペンブロリズマブまたはニボルマブ)である。ある特定の実施形態では、全身投与されるさらなる治療剤は、抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ)である。ある特定の実施形態では、全身投与されるさらなる治療剤は、抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)である。ある特定の実施形態では、全身投与されるさらなる治療剤は、化学療法剤(例えば、ゲムシタビン)である。ある特定の実施形態では、対象は固形腫瘍を有し、全身投与されるさらなる治療剤は抗PD−1抗体(例えば、ペンブロリズマブまたはニボルマブ)である。ある特定の実施形態では、対象は頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を有し、全身投与されるさらなる治療剤は抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ)である。ある特定の実施形態では、対象はHER2
+乳がんを有し、全身投与されるさらなる治療剤は抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ)である。ある特定の実施形態では、対象は化学療法剤(例えば、ゲムシタビン)をさらに受けていた。一態様では、本発明は、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物が対象に腫瘍内投与される、がんの処置のための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物と、場合により、さらなる治療剤とに関する。1つの好ましい実施形態では、さらなる治療剤は、対象に投与され、より好ましくは、さらなる治療剤は対象に全身投与される。
【0178】
ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、本明細書に開示される方法において使用される。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、Bristol−Myers Squibbにより開発された、BMS−936558またはMDX1106としても知られる、ニボルマブである。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、Merck & Co.により開発された、ラムブロリズマブまたはMK−3475としても知られる、ペンブロリズマブである。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、CureTechにより開発された、CT−011としても知られる、ピジリズマブである。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、Medimmuneにより開発された、AMP−514としても知られる、MEDI0680である。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、Novartis Pharmaceuticalsにより開発された、PDR001である。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、Regeneron Pharmaceuticalsにより開発された、REGN2810である。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、Pfizerにより開発されたPF−06801591である。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、BeiGeneにより開発されたBGB−A317である。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、AnaptysBioおよびTesaroにより開発されたTSR−042である。ある特定の実施形態では、抗PD−1抗体は、Hengruiにより開発されたSHR−1210である。
【0179】
本明細書に開示される処置方法において使用することができる抗PD−1抗体のさらなる非限定例は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられる以下の特許および特許出願に開示されている:米国特許第6,808,710号;米国特許第7,332,582号;米国特許第7,488,802号;米国特許第8,008,449号;米国特許第8,114,845号;米国特許第8,168,757号;米国特許第8,354,509号;米国特許第8,686,119号;米国特許第8,735,553号;米国特許第8,747,847号;米国特許第8,779,105号;米国特許第8,927,697号;米国特許第8,993,731号;米国特許第9,102,727号;米国特許第9,205,148号;米国特許出願公開第2013/0202623 A1号;米国特許出願公開第2013/0291136 A1号;米国特許出願公開第2014/0044738 A1号;米国特許出願公開第2014/0356363 A1号;米国特許出願公開第2016/0075783 A1号;ならびにPCT公開第WO2013/033091 A1号;PCT公開第WO2015/036394 A1号;PCT公開第WO2014/179664 A2号;PCT公開第WO2014/209804 A1号;PCT公開第WO2014/206107 A1号;PCT公開第WO2015/058573 A1号;PCT公開第WO2015/085847 A1号;PCT公開第WO2015/200119 A1号;PCT公開第2016/015685 A1号;およびPCT公開第WO2016/020856 A1号。
【0180】
ある特定の実施形態では、抗PD−L1抗体が本明細書に開示される方法において使用される。ある特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、Genentechにより開発されたアテゾリズマブである。ある特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、AstraZeneca、CelgeneおよびMedimmuneにより開発されたデュルバルマブである。ある特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、Merck SeronoおよびPfizerにより開発された、MSB0010718Cとしても知られるアベルマブである。ある特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、Bristol−Myers Squibbにより開発されたMDX−1105である。ある特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、AmplimmuneおよびGSKにより開発されたAMP−224である。
【0181】
本明細書に開示される処置方法において使用することができる抗PD−L1抗体の非限定例は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられる以下の特許および特許出願に開示されている:米国特許第7,943,743号;米国特許第8,168,179号;米国特許第8,217,149号;米国特許第8,552,154号;米国特許第8,779,108号;米国特許第8,981,063号;米国特許第9,175,082号;米国特許出願公開第2010/0203056 A1号;米国特許出願公開第2003/0232323 A1号;米国特許出願公開第2013/0323249 A1号;米国特許出願公開第2014/0341917 A1号;米国特許出願公開第2014/0044738 A1号;米国特許出願公開第2015/0203580 A1号;米国特許出願公開第2015/0225483 A1号;米国特許出願公開第2015/0346208 A1号;米国特許出願公開第2015/0355184 A1号;ならびにPCT公開第WO2014/100079 A1号;PCT公開第WO2014/022758 A1号;PCT公開第WO2014/055897 A2号;PCT公開第WO2015/061668 A1号;PCT公開第WO2015/109124 A1号;PCT公開第WO2015/195163 A1号;PCT公開第WO2016/000619 A1号;およびPCT公開第WO2016/030350 A1号。
【0182】
ある特定の実施形態では、抗LAG−3抗体が、本明細書に開示される方法において使用される。ある特定の実施形態では、抗LAG−3抗体は、Bristol−Myers Squibbにより開発されたBMS−986016である。ある特定の実施形態では、抗LAG−3抗体は、Novartisにより開発されたLAG525である。ある特定の実施形態では、抗LAG−3抗体は、GSKにより開発されたGSK2831781である。
【0183】
本明細書に開示される処置方法において使用することができる抗LAG−3抗体の非限定例は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられる以下の特許および特許出願に開示されている:米国特許第9,244,059号;米国特許出願公開第2011/0150892 A1号;米国特許出願公開第2014/0093511 A1号;米国特許出願公開第2014/0286935 A1号;米国特許出願公開第2015/0259420 A1号;ならびにPCT公開第WO2015/042246 A1号;PCT公開第WO2015/116539 A1号;PCT公開第WO2015/200119 A1号;およびPCT公開第WO2016/028672 A1号。
【0184】
ある特定の実施形態では、抗EGFR抗体が本明細書に開示される方法において使用される。ある特定の実施形態では、抗EGFR抗体は、Bristol−Myers SquibbおよびImCloneにより開発されたセツキシマブ、AbgenixおよびAmgenにより開発されたパニツムマブ、CMI CubaおよびYM BioSciencesにより開発されたニモツズマブ、ImCloneにより開発されたネシツムマブ、Genmabにより開発されたザルツムマブ、Takedaにより開発されたマツズマブ、Merck SeronoおよびSymphogenにより開発されたSym004、GlycartおよびRocheにより開発されたイムガツズマブ、GenentechおよびRocheにより開発されたデュリゴツマブ、Abbottにより開発されたデパツキシズマブ、Abbvieにより開発されたデパツキシズマブマホドチン、AdimabおよびMerrimackにより開発されたMM−151、Green Crossにより開発されたGC1118、AmgenおよびImmunoGenにより開発されたAMG595、Glycotopeにより開発されたCetuGEX、ImmunoGenにより開発されたラプリツキシマブ、GenmabおよびJanssen Biotechにより開発されたJNJ−61186372、Sinocelltechにより開発されたSCT200、Lillyにより開発されたLY3164530、Shanghai Henliusにより開発されたHLX07、またはSynermoreにより開発されたSYN004である。
【0185】
ある特定の実施形態では、抗HER2抗体が本明細書に開示される方法において使用される。ある特定の実施形態では、抗HER2抗体は、GenentechおよびRocheにより開発されたトラスツズマブ、GenentechおよびRocheにより開発されたトラスツズマブエムタンシン、Genentechにより開発されたペルツズマブ、Freseniusにより開発されたエルツマキソマブ、MacroGenicsにより開発されたマルゲツキシマブ、Merrimackにより開発されたMM−111、Celltrionにより開発されたCT−P06、Pfizerにより開発されたPF−05280014、Merrimackにより開発されたMM−302、Merck & Co.により開発されたSB3、Shanghai CP Guojianにより開発されたCMAB302、Glycotopeにより開発されたTrasGEX、AmbrxおよびZhejiang Medicineにより開発されたARX788、Synthonにより開発されたSYD985、Bristol−Myers Squibbおよびf−starにより開発されたFS102、Biocadにより開発されたBCD−022、Amgenにより開発されたABP980、Daiichi Sankyoにより開発されたDS−8201a、Shanghai Henliusにより開発されたHLX02、またはBioconおよびMylanにより開発されたCANMAbである。
【0186】
本明細書に記載の抗体または医薬組成物を、様々な経路によって対象に送達することができる。これらのものとしては、限定されるものではないが、非経口、鼻内、気管内、経口、皮内、局所、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、腫瘍内、結膜および皮下経路が挙げられる。また、例えば、吸入器またはネブライザ、およびスプレーとしての使用のためのエアロゾル化剤を含む製剤の使用による、肺投与を用いることもできる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または医薬組成物は、皮下的または静脈内的に送達される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または医薬組成物は、腫瘍内的に送達される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、腫瘍流入領域リンパ節に送達される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体または医薬組成物は、局部投与(例えば、皮下投与)により送達される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、全身的に送達される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、局部的に送達される。
【0187】
一態様では、本発明は、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物が腫瘍内的に対象に送達される、対象の腫瘍流入領域リンパ節に送達される、または局部投与(例えば、皮下投与)により対象に投与される、がんの処置のための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物と、場合により、さらなる治療剤とに関する。
【0188】
状態の処置および/または防止において有効である抗体または組成物の量は、疾患の性質に依存し、標準的な臨床技術により決定することができる。
【0189】
組成物中で用いられる正確な用量はまた、投与経路、およびそれにより引き起こされる感染または疾患の重症度に依存し、医師の判断およびそれぞれの対象の環境に従って決定するべきである。例えば、有効用量もまた、投与の手段、標的部位、患者の生理的状態(年齢、体重および健康を含む)、患者がヒトであるか、もしくは動物であるかどうか、投与される他の医薬、または処置が予防的であるか、もしくは治療的であるかどうかに応じて変化してもよい。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も処置することができる。安全性および効能を最適化するために、処置用量は最適に滴定される。
【0190】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約6mg/kg、または約10mg/kgで対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、上記の用量で、3週毎に対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。
【0191】
一態様では、本発明は、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物が、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約6mg/kg、または約10mg/kgで、より好ましくは、3週毎に、対象に投与される、がんの処置のための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物と、場合により、さらなる治療剤とに関する。
【0192】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgで、3週毎に対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgで、3週毎に対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、1mg/kgまたは約1mg/kgで、3週毎に対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、3mg/kgまたは約3mg/kgで、3週毎に対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、6mg/kgまたは約6mg/kgで、3週毎に対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、10mg/kgまたは約10mg/kgで、3週毎に対象に(例えば、静脈内注射により)投与される。
【0193】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、または約3mg/kgで腫瘍内注射により対象に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、上記の用量で3週毎に腫瘍内注射により対象に投与される。
【0194】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.01mg/kgまたは約0.01mg/kgで3週毎に腫瘍内注射により対象に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.03mg/kgまたは約0.03mg/kgで3週毎に腫瘍内注射により対象に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgで3週毎に腫瘍内注射により対象に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgで3週毎に腫瘍内注射により対象に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、1mg/kgまたは約1mg/kgで3週毎に腫瘍内注射により対象に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、3mg/kgまたは約3mg/kgで3週毎に腫瘍内注射により対象に投与される。
【0195】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または医薬組成物は、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、または約3mg/kgで局部投与(例えば、皮下投与)により対象に投与される。
【0196】
本明細書に記載の抗CTLA−4抗体を使用して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、またはウェスタンブロッティングのようなイムノアッセイを含む当業者には公知の古典的な免疫組織学的方法を使用して生物試料中のCTLA−4タンパク質レベルをアッセイすることもできる。好適な抗体アッセイ標識は、当業界で公知であり、グルコースオキシダーゼのような酵素標識;ヨウ素(
125I、
121I)、炭素(
14C)、硫黄(
35S)、トリチウム(
3H)、インジウム(
121In)、およびテクネチウム(
99Tc)のような放射性同位体;ルミノールのような発光標識;ならびにフルオレセインおよびローダミンのような蛍光標識、ならびにビオチンが挙げられる。そのような標識を使用して、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を標識することがで
きる。あるいは、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片を認識する第2抗体を標識し、抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片と共に使用して、CTLA−4タンパク質レベルを検出することができる。一実施形態では、本発明は、in vitroで生物試料中のCTLA−4タンパク質レベルをアッセイおよび/または検出するための、本発明の抗CTLA−4抗体の使用に関する。
【0197】
CTLA−4タンパク質の発現レベルについてアッセイすることは、第1の生物試料中のCTLA−4タンパク質のレベルを、直接的に(例えば、絶対タンパク質レベルを決定するか、もしくは見積もることにより)または相対的に(例えば、第2の生物試料中の疾患関連タンパク質レベルと比較することにより)、定性的または定量的に測定するか、または見積もることを含むことが意図される。第1の生物試料中のCTLA−4ポリペプチド発現レベルを、測定するか、または見積もり、標準が、障害を有さない個体から得られる第2の生物試料から取られるか、または障害を有さない個体の集団に由来するレベルを平均化することによって決定される、標準的なCTLA−4タンパク質レベルと比較することができる。当業界で理解されるように、一度、「標準」CTLA−4ポリペプチドレベルが既知となれば、それを比較のための標準として繰り返し使用することができる。
【0198】
本明細書で使用される用語「生物試料」とは、CTLA−4を発現する可能性がある対象、細胞株、組織、または他の細胞源から得られる任意の生物試料を指す。動物(例えば、ヒト)から組織生検および体液を取得するための方法は、当業界で周知である。生物試料は、末梢単核血液細胞を含む。
【0199】
本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片を、当業者には周知であり、標準的であり、本明細書に基づくin vitroおよびin vivoでの適用を含む、予後診断、診断、モニタリングおよびスクリーニング適用のために使用することができる。免疫系の状態および/または免疫応答のin vitroでのアセスメントおよび評価のための予後診断、診断、モニタリングおよびスクリーニングアッセイおよびキットを使用して、免疫系の機能障害を有する、もしくは有すると疑われることが既知のものを含む患者の試料を評価するため、または予測される、もしくは所望の免疫系応答、抗原応答もしくはワクチン応答に関して評価するために予測、診断およびモニタリングすることができる。免疫系の状態および/または免疫応答のアセスメントおよび評価はまた、異なる薬剤または抗体もしくはその抗原結合断片に対する、薬物の臨床試験について、あるいは特定の化学療法剤または抗体もしくはその抗原結合断片、例えば、その組合せの投与についての患者の好適性を決定するのにも有用である。この型の予後診断的および診断的モニタリングおよびアセスメントは、乳がんにおけるHER2タンパク質に対する抗体(HercepTest(商標)、Dako)を使用して既に実用化されており、このアッセイはHerceptin(登録商標)を使用する抗体療法について患者を評価するためにも使用されている。in vivoでの適用は、指向性細胞療法および免疫系の調節および免疫応答の放射イメージングを含む。
【0200】
一態様では、本発明は、診断剤としての使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物に関する。
【0201】
一態様では、本発明は、免疫系の機能障害および/またはがんの予測、診断および/またはモニタリングのための方法における使用のための、本発明の抗CTLA−4抗体および/または医薬組成物に関する。
【0202】
一実施形態では、本発明は、in vitroの対象の生物試料中のCTLA−4タンパク質レベルをアッセイおよび/または検出することにより、対象における免疫系の機能障害および/またはがんを予測、診断および/またはモニタリングするための、本発明の抗CTLA−4抗体の使用に関する。
【0203】
一実施形態では、抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片を、生検試料の免疫組織化学分析において使用することができる。別の実施形態では、抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片を使用して、CTLA−4のレベル、または膜表面上にCTLA−4を含有する細胞のレベルを検出した後、そのレベルをある特定の疾患症状に関連付けることができる。本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片は、検出可能なレベルまたは機能的レベルを担持してもよい。蛍光標識を使用する場合、当業界で公知の現在利用可能な顕微鏡および蛍光活性化細胞選別分析(FACS)または両方法手順の組合せを使用して、特異的結合メンバーを同定し、定量することができる。本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片は、蛍光標識を担持してもよい。例示的な蛍光標識としては、例えば、反応性およびコンジュゲート化プローブ、例えば、アミノクマリン、フルオレセインおよびテキサスレッド、Alexa Fluor色素、Cy色素およびDyLight色素が挙げられる。抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片は、同位体
3H、
14C、
32P、
35S、
36Cl、
51Cr、
57Co、
58Co、
59Fe、
67Cu、
90Y、
99Tc、
111In、
117Lu、
121I、
124I、
125I、
131I、
198Au、
211At、
213Bi、
225Acおよび
186Reのような放射性標識を担持してもよい。放射性標識を使用する場合、当業界で公知の現在利用可能な計測手順を使用して、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)への抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片の特異的結合を同定および定量することができる。標識が酵素である例では、当業界で公知の現在利用されている比色分析、分光測光、蛍光分光測光、電流測定または気体定量技術のいずれかによって、検出を達成することができる。試料または対照試料と、抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片とを、抗体またはその抗原結合断片と、CTLA−4との間での複合体の形成を可能にする条件下で接触させることにより、これを達成することができる。抗体またはその抗原結合断片と、CTLA−4との間で形成される任意の複合体を、試料および対照中で検出および比較する。CTLA−4への本明細書に記載の抗体の特異的結合を考慮して、抗体またはその抗原結合断片を使用して、細胞表面上でのCTLA−4発現を特異的に検出することができる。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を使用して、免疫親和性精製によりCTLA−4を精製することもできる。また、例えば、CTLA−4またはCTLA−4/CTLA−4リガンド複合体の存在の程度の定量的分析のための試験キットの形態で調製することができるアッセイシステムも本明細書に含まれる。システムまたは試験キットは、標識された成分、例えば、標識された抗体と、1またはそれ以上のさらなる免疫化学試薬とを含んでもよい。
【0204】
一実施形態では、本発明は、(1)試料および場合により、対照試料と、本発明の抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片とを、抗体またはその抗原結合断片とCTLA−4との間での複合体の形成を可能にする条件下で接触させること、ならびに(2)試料および場合により、対照中で形成された複合体を検出および比較することを含む、生物試料中のCTLA−4タンパク質レベルをアッセイおよび/または検出するためのin vitroでの方法に関する。
【0205】
5.5 抗CTLA−4抗体を産生するポリヌクレオチド、ベクターおよび方法
別の態様では、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)抗原に特異的に結合する本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびにベクター、例えば、宿主細胞(例えば、大腸菌および哺乳動物細胞)中での組換え発現のためのそのようなポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書で提供される。本明細書で提供される抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびにそのようなポリヌクレオチド配列を含むベクター、例えば、宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞中でのその効率的な発現のための発現ベクターが本明細書で提供される。
【0206】
本明細書で使用される場合、「単離された」ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の天然の供給源(例えば、マウスまたはヒト)中に存在する他の核酸分子から分離されたものである。さらに、cDNA分子のような、「単離された」核酸分子は、組換え技術により産生される場合、他の細胞材料、もしくは培養培地を実質的に含まなくてもよい、または化学的に合成される場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。例えば、「実質的に含まない」の用語は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満(特に、約10%未満)の他の材料、例えば、細胞材料、培養培地、他の核酸分子、化学的前駆体および/または他の化学物質を有するポリヌクレオチドまたは核酸分子の調製物を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体をコードする核酸分子は単離または精製される。
【0207】
特定の態様では、CTLA−4ポリペプチド(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合し、本明細書に記載のアミノ酸配列を含む抗体またはその抗原結合断片、ならびにCTLA−4ポリペプチドへの結合についてそのような抗体と競合する(例えば、用量依存的様式で)か、もしくはそのような抗体のエピトープと同じエピトープに結合する抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書で提供される。
【0208】
ある特定の態様では、本明細書に記載の抗体の軽鎖または重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書で提供される。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体のVL FRおよびCDRを含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい(例えば、表1を参照されたい)。
【0209】
また、例えば、コドン/RNA最適化、異種シグナル配列との置き換え、およびmRNA不安定エレメントの除去により最適化される抗CTLA−4抗体をコードするポリヌクレオチドも本明細書で提供される。mRNA中にコドン変化を導入すること、および/または阻害領域を除去することにより組換え発現のための抗CTLA−4抗体またはその断片(例えば、軽鎖、重鎖、VHドメイン、もしくはVLドメイン)をコードする最適化された核酸を生成する方法を、例えば、米国特許第5,965,726号;第6,174,666号;第6,291,664号;第6,414,132号;および第6,794,498号に記載の最適化方法を適応することによって実行することができる。例えば、RNA内の潜在的なスプライス部位および不安定エレメント(例えば、A/TまたはA/Uリッチエレメント)を、組換え発現のためにRNAの安定性を増加させるための核酸配列によりコードされるアミノ酸を変化させることなく突然変異させることができる。変化は、例えば、同一のアミノ酸のための代替的なコドンを使用して、遺伝子コードの縮重性を使用する。一部の実施形態では、保存的突然変異、例えば、元のアミノ酸と類似する化学構造および特性および/または機能を有する類似アミノ酸をコードする1またはそれ以上のコドンを変化させることが望ましい。そのような方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによりコードされる抗CTLA−4抗体の発現と比較して少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、もしくは100倍またはそれ以上、抗CTLA−4抗体またはその断片の発現を増加させることができる。
【0210】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその断片(例えば、VLドメインおよび/またはVHドメイン)をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその断片(例えば、VLドメインおよび/またはVHドメイン)をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、相補性)ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体または断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー条件下で、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその断片をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその断片をコードする最適化されていないヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション条件に関する情報は記載されており、例えば、参照により本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2005/0048549号(例えば、段落72〜73)を参照されたい。
【0211】
当業界で公知の任意の方法によって、ポリヌクレオチドを取得し、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。本明細書に記載の抗体、例えば、表1に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列、および改変型のこれらの抗体を、当業界で周知の方法を使用して決定することができる、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られるヌクレオチドコドンを、抗体をコードする核酸を生成するような方法でアセンブリする。抗体をコードするそのようなポリヌクレオチドを、化学的に合成されたオリゴヌクレオチド(例えば、Kutmeier Gら(1994)、BioTechniques 17:242〜6頁に記載)からアセンブリすることができ、簡潔に述べると、抗体をコードする配列の部分を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、次いで、PCRによるライゲートしたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
【0212】
あるいは、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを、当業界で周知の方法(例えば、PCRおよび他の分子クローニング法)を使用して、好適な供給源(例えば、ハイブリドーマ)に由来する核酸から生成することができる。例えば、既知の配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅を、目的の抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られるゲノムDNAを使用して実施することができる。そのようなPCR増幅法を使用して、抗体の軽鎖および/または重鎖をコードする配列を含む核酸を取得することができる。そのようなPCR増幅法を使用して、抗体の可変軽鎖領域および/または可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を取得することができる。増幅された核酸を、宿主細胞中での発現のため、およびさらなるクローニングのためにベクター中にクローニングして、例えば、キメラおよびヒト化抗体を生成することができる。
【0213】
特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手可能でないが、抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸を化学的に合成するか、または配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅により、もしくは例えば、抗体をコードするcDNAライブラリーに由来するcDNAクローンを同定するために特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用してクローニングすることにより、もしくは好適な供給源(例えば、本明細書に記載の抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞のような、抗体を発現する任意の組織または細胞から生成された抗体cDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリー、またはそれから単離された核酸、好ましくは、ポリA+RNA)から取得することができる。次いで、PCRにより生成された増幅された核酸を、当業界で周知の任意の方法を使用して複製可能なクローニングベクター中にクローニングすることができる。
【0214】
本明細書に記載の抗CTLA−4抗体をコードするDNAを、従来の手順を使用して(例えば、抗CTLA−4抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離し、配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源として役立ち得る。一度単離されたら、DNAを発現ベクター中に入れた後、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)からのCHO細胞)、またはそうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないミエローマ細胞のような宿主細胞中にトランスフェクトして、組換え宿主細胞中での抗CTLA−4抗体の合成を得ることができる。
【0215】
全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローン中でVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者には公知のクローニング技術を使用して、PCR増幅されたVHドメインを、重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ4定常領域を発現するベクター中にクローニングし、PCR増幅されたVLドメインを、軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。ある特定の実施形態では、VHまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、EF−1αプロモーター、分泌シグナル、可変領域、定常ドメインのためのクローニング部位、およびネオマイシンのような選択マーカーを含む。VHおよびVLドメインを、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。次いで、当業者には公知の技術を使用して、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞株中に同時トランスフェクトして、完全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な、または一過的な細胞株を生成する。
【0216】
また、例えば、マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより、または免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部もしくは一部を共有的に連結することにより、DNAを改変することもできる。
【0217】
また、高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドも提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に提供されるVHドメインおよび/またはVLドメインをコードするポリヌクレオチドをハイブリダイズする。
【0218】
ハイブリダイゼーション条件は、当業界で記載されており、当業者には公知である。例えば、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、約45℃、6x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルターに結合したDNAへのハイブリダイゼーション、次いで、約50〜65℃での0.2xSSC/0.1%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄を含んでもよい;高ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、約45℃、6xSSC中でのフィルターに結合した核酸へのハイブリダイゼーション、次いで、約68℃、0.1xSSC/0.2%SDS中での1回またはそれ以上の洗浄を含んでもよい。他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは、当業者には公知であり、例えば、Ausubel FMら(編)(1989) Current Protocols in Molecular Biology、Vol.I、Green Publishing Associates, Inc.およびJohn Wiley & Sons, Inc.、New York 6.3.1〜6.3.6頁および2.10.3頁に記載されており、参照されたい。
【0219】
ある特定の態様では、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体(またはその抗原結合断片)ならびに関連するポリヌクレオチドおよび発現ベクターを発現する(例えば、組換え的に)細胞(例えば、宿主細胞)が本明細書で提供される。宿主細胞、好ましくは、哺乳動物細胞中での組換え発現のための抗CTLA−4抗体または断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)が本明細書で提供される。また、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体(例えば、ヒトまたはヒト化抗体)を組換え的に発現させるためのそのようなベクターを含む宿主細胞も本明細書で提供される。特定の態様では、宿主細胞からそのような抗体を発現させることを含む、本明細書に記載の抗体を産生させるための方法が本明細書で提供される。
【0220】
CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体(例えば、完全長抗体、抗体の重鎖および/もしくは軽鎖、または本明細書に記載の単鎖抗体)の組換え発現は、該抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を含む。一度、本明細書に記載の抗体分子、抗体の重鎖および/もしくは軽鎖、またはその断片(例えば、重鎖および/もしくは軽鎖可変領域)をコードするポリヌクレオチドが得られたら、抗体分子の産生のためのベクターを、当業界で周知の技術を使用して組換えDNA技術により産生させることができる。かくして、ヌクレオチド配列をコードする抗体または抗体断片(例えば、軽鎖もしくは重鎖)を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製するための方法は、本明細書に記載される。当業者には周知である方法を使用して、抗体または抗体断片(例えば、軽鎖もしくは重鎖)をコードする配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、in vitroでの組換えDNA技術、合成技術、およびin vivoでの遺伝子組換えが挙げられる。また、プロモーターに作動可能に連結された、本明細書に記載の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体もしくはその断片の重鎖もしくは軽鎖可変領域、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターも提供される。そのようなベクターは、例えば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含んでもよく(例えば、国際公開第WO86/05807号および第WO89/01036号;ならびに米国特許第5,122,464号を参照されたい)、抗体の可変領域を、全重鎖、全軽鎖、または全重鎖と全軽鎖の両方の発現のためにそのようなベクター中にクローニングすることができる。
【0221】
従来の技術によって発現ベクターを細胞(例えば、宿主細胞)に導入した後、得られる細胞を従来の技術によって培養して、本明細書に記載の抗体またはその断片を産生させることができる。かくして、宿主細胞中での本明細書に記載の抗体もしくはその断片、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはその断片、または本明細書に記載の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドであって、そのような配列の発現のためのプロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、二重鎖抗体の発現のために、重鎖と軽鎖の両方をコードするベクターを、個別に、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のための宿主細胞中で同時発現させることができる。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載の抗体、またはその断片の重鎖と軽鎖の両方をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する。特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載の抗体、またはその断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に記載の抗体、またはその断片の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターの2つの異なるベクターを含有する。他の実施形態では、第1の宿主細胞は、本明細書に記載の抗体、またはその断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターを含み、第2の宿主細胞は、本明細書に記載の抗体の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。特定の実施形態では、第1の細胞により発現される重鎖/重鎖可変領域は、第2の細胞の軽鎖/軽鎖可変領域と結合して、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片を形成した。ある特定の実施形態では、そのような第1の宿主細胞と、そのような第2の宿主細胞とを含む宿主細胞の集団が本明細書で提供される。
【0222】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体の軽鎖/軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体の重鎖/重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを含むベクターの集団が本明細書で提供される。
【0223】
様々な宿主発現ベクター系を使用して、本明細書に記載の抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたい)。そのような宿主発現系は、目的のコード配列を産生した後、精製することができるビヒクルであるが、適切なヌクレオチドコード配列を形質転換またはトランスフェクトした場合、in situで本明細書に記載の抗体分子を発現することができる細胞でもある。これらのものとしては、限定されるものではないが、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターを形質転換した細菌(例えば、大腸菌およびB.サブチリス(B.subtilis))のような微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターを形質転換した酵母(例えば、サッカロミセス・ピチア(Saccharomyces Pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた、もしくは抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)を形質転換した植物細胞系(例えば、クラミドモナス・レインハルドティ(Chlamydomonas reinhardtii)のような緑藻類);または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を担持する哺乳動物細胞系(例えば、COS(例えば、COS1もしくはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、およびNIH3T3、HEK−293T、HepG2、SP210、R1.1、B−W、L−M、BSC1、BSC40、YB/20およびBMT10細胞)が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を発現させるための細胞は、CHO細胞、例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)からのCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体を発現させるための細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株である。特定の実施形態では、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に、全組換え抗体分子の発現のための大腸菌などの細菌細胞、または真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)を、組換え抗体分子の発現のために使用する。例えば、ヒトサイトメガロウイルスに由来する主要最初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと共に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳動物細胞は、抗体のための有効な発現系である(Foecking MK & Hofstetter H (1986) Gene 45:101〜5頁;およびCockett MIら(1990) Biotechnology 8(7):662〜7頁)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、CHO細胞またはNS0細胞によって産生される。特定の実施形態では、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導的プロモーターまたは組織特異的プロモーターによって調節される。
【0224】
細菌系では、発現される抗体分子のために意図される使用に応じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、大量のそのような抗体を産生させようとする場合、抗体分子の医薬組成物の生成のために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指令するベクターが望ましい。そのようなベクターとしては、限定されるものではないが、抗体コード配列をlacZコード領域と読み枠を合わせたベクター中に個別にライゲートして、融合タンパク質を産生させることができる大腸菌発現ベクターpUR278(Ruether U & Mueller−Hill B (1983) EMBO J 2:1791〜1794頁);pINベクター(Inouye S & Inouye M (1985) Nuc Acids Res 13:3101〜3109頁;Van Heeke G & Schuster SM (1989) J
Biol Chem 24:5503〜5509頁)などが挙げられる。例えば、pGEXベクターを使用して、グルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合、次いで、遊離グルタチオンの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされる標的遺伝子産物をGST部分から遊離させることができるように、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
【0225】
昆虫系では、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)の核多角体病ウイルス(AcNPV)を、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用することができる。このウイルスはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体コード配列を、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリへドリン遺伝子)中に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリへドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0226】
哺乳動物宿主細胞中で、いくつかのウイルスに基づく発現系を使用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、目的の抗体コード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三部分リーダー配列にライゲートすることができる。次いで、このキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivoでの組換えにより、アデノウイルスゲノム中に挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、E1またはE3領域)中への挿入は、感染した宿主中で生存でき、抗体分子を発現することができる組換えウイルスをもたらす(例えば、Logan J & Shenk T (1984) PNAS 81(12):3655〜9頁を参照されたい)。また、挿入される抗体コード配列の効率的な翻訳のためには、特異的開始シグナルも必要である。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確保するために所望のコード配列の読み枠と同調しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の、様々な起源のものであってもよい。適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの含有により、発現の効率を増強することができる(例えば、Bitter Gら(1987) Methods Enzymol.153:516〜544頁を参照されたい)。
【0227】
さらに、挿入される配列の発現を調節するか、または望ましい特定の様式で遺伝子産物を改変およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のそのような改変(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび改変のための特徴および特異的機構を有する。発現される外来タンパク質の正確な改変およびプロセシングを確保するために、適切な細胞株または宿主系を選択することができる。この目的のために、一次転写物の適切なプロセシング、グリコシル化、および遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、限定されるものではないが、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因的に産生しないマウスミエローマ細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK−293T、HepG2、SP210、R1.1、B−W、L−M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10およびHsS78Bst細胞が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体を、CHO細胞のような哺乳動物細胞中で産生させる。
【0228】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、フコース含量が減少しているか、またはフコース含量がない。そのような抗体を、当業者には公知の技術を使用して産生させることができる。例えば、抗体を、フコシレートの能力が欠損した、またはそれを欠く細胞中で発現させることができる。特定の例では、α1,6−フコシルトランスフェラーゼの両対立遺伝子のノックアウトを有する細胞株を使用して、フコース含量が減少した抗体またはその抗原結合断片を産生することができる。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、フコース含量が減少した抗体またはその抗原結合断片を産生するために使用することができるそのようなシステムの例である。
【0229】
組換えタンパク質の長期的、高収率の産生のために、安定な発現細胞を生成することができる。例えば、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその抗原結合断片を安定に発現する細胞株を遺伝子操作することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供される細胞は、軽鎖/軽鎖可変領域と、重鎖/重鎖可変領域とを安定に発現し、これらは結合して本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を形成する。
【0230】
ある特定の態様では、ウイルスの複製起点を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、および選択マーカーにより制御されるDNAで形質転換することができる。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入後、遺伝子操作された細胞を、富化培地中で1〜2日間増殖させた後、選択培地に切り替えることができる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞に、その染色体中にプラスミドを安定に組み込ませ、増殖させてフォーカスを形成させ、次いで、細胞株中でクローニングおよび増殖させることができる。この方法を有利に使用して、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体またはその断片を発現する細胞株を遺伝子操作することができる。そのような遺伝子操作された細胞株は、抗体分子と直接または間接に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価において特に有用であり得る。
【0231】
限定されるものではないが、それぞれ、tk−、hgprt−またはaprt−細胞中の単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler Mら(1977) Cell 11(1):223〜32頁)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH & Szybalski W(1962) PNAS 48(12):2026〜2034頁)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy Iら(1980) Cell 22(3):817〜23頁)遺伝子などの、いくつかの選択系を使用することができる。また、代謝拮抗物質耐性を、以下の遺伝子のための選択の基礎として使用することもできる:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler Mら(1980) PNAS 77(6):3567〜70頁;O’Hare Kら(1981) PNAS 78:1527〜31頁);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan RC & Berg P (1981) PNAS 78(4):2072〜6頁);アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するneo(Wu GY & Wu CH(1991) Biotherapy 3:87〜95頁;Tolstoshev P (1993) Ann Rev Pharmacol Toxicol 32:573〜596頁;Mulligan RC (1993) Science 260:926〜932頁;およびMorgan RA & Anderson WF (1993) Ann Rev Biochem 62:191〜217頁;Nabel GJ & Felgner PL(1993) Trends Biotechnol 11(5):211〜5頁);およびヒグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre RFら(1984) Gene 30(1−3):147〜56頁)。組換えDNA技術の当業界で一般に公知の方法を日常的に適用して、所望の組換えクローンを選択することができ、そのような方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Ausubel FMら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(1993);Kriegler M、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990);ならびにDracopoli NCら(編)、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley & Sons、NY(1994)、12および13章;Colbere−Garapin Fら(1981) J Mol Biol 150:1〜14頁に記載されている。
【0232】
抗体分子の発現レベルを、ベクター増幅によって増加させることができる(概説については、Bebbington CR & Hentschel CCG、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、Vol.3(Academic Press、New York、1987)を参照されたい)。抗体を発現するベクター系中のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させる。増幅される領域は抗体遺伝子と関連するため、抗体の産生も増加する(Crouse GFら(1983)Mol Cell Biol 3:257〜66頁)。
【0233】
宿主細胞に、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターと、軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターとの、本明細書に記載の2つ以上の発現ベクターを同時トランスフェクトすることができる。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含有してもよい。宿主細胞に、異なる量の2つ以上の発現ベクターを同時トランスフェクトすることができる。例えば、宿主細胞に、以下の比のいずれか1つ:1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50の第1の発現ベクターと第2の発現ベクターをトランスフェクトすることができる。
【0234】
あるいは、重鎖と軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、それを発現することができる単一のベクターを使用することができる。そのような状況では、軽鎖を、重鎖の前に置いて、過剰の毒性遊離重鎖を回避するべきである(Proudfoot NJ(1986) Nature 322:562〜565頁;およびKohler G(1980) PNAS 77:2197〜2199頁)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでもよい。発現ベクターは、単シストロン性または多シストロン性であってもよい。多シストロン性核酸構築物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上、または2〜5、5〜10もしくは10〜20個の範囲の遺伝子/ヌクレオチド配列をコードしてもよい。例えば、二シストロン性核酸構築物は、以下の順序で、プロモーター、第1の遺伝子(例えば、本明細書に記載の抗体の重鎖)、および第2の遺伝子(例えば、本明細書に記載の抗体の軽鎖)を含んでもよい。そのような発現ベクター中、両遺伝子の転写をプロモーターにより誘導することができるが、第1の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存的走査機構によるものであってよく、第2の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ非依存的機構、例えば、IRESによるものであってもよい。
【0235】
一度、本明細書に記載の抗体分子が組換え発現によって産生されたら、それを、免疫グロブリン分子の精製のための当業界で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ、特に、プロテインA、およびサイジングカラムクロマトグラフィー後の特異的抗原に対するアフィニティによる)、遠心分離、分別溶解(differential solubility)、またはタンパク質の精製のための他の任意の標準的な技術により精製することができる。さらに、本明細書に記載の抗体を、本明細書に記載の、またはそうでなければ当業界で公知の異種ポリペプチド配列に融合して、精製を容易にすることができる。
【0236】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、単離または精製される。一般に、単離された抗体は、単離された抗体とは異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まないものである。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体の調製は、細胞材料および/または化学的前駆体を実質的に含まない。「細胞材料を実質的に含まない」という用語は、抗体が、それが単離または組換え産生される細胞の細胞成分から分離された抗体の調製物を含む。かくして、細胞材料を実質的に含まない抗体は、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、もしくは0.1%未満(乾燥重量で)の異種タンパク質(本明細書では「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)および/または抗体のバリアント、例えば、異なる翻訳後改変型の抗体もしくは他の異なるバージョンの抗体(例えば、抗体断片)を有する抗体の調製物を含む。抗体が組換え産生される場合、それはまた、一般的には培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容量の約20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、もしくは0.1%未満である。抗体が化学合成により産生される場合、それは一般的には、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、それはタンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離される。したがって、抗体のそのような調製物は、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量で)未満の、目的の抗体以外の化学的前駆体または化合物を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、単離または精製される。
【0237】
CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合する抗体またはその断片を、抗体の合成のための当業界で公知の任意の方法により、例えば、化学合成または組換え発現技術により産生させることができる。本明細書に記載の方法は、別途指摘しない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成および改変、核酸ハイブリダイゼーション、ならびに当業界の技術の範囲内にある関連分野における従来の技術を用いる。これらの技術は、例えば、本明細書に引用される参考文献に記載されており、文献中で完全に説明されている。例えば、Maniatis Tら(1982) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook Jら(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook Jら(2001) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Ausubel FMら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons(1987および年次更新);Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons (1987および年次更新) Gait(編)(1984) Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach、IRL Press;Eckstein(編)(1991) Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、IRL Press;Birren Bら(編)(1999) Genome Analysis:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0238】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、例えば、DNA配列の合成、遺伝子操作による作出を含む任意の手段によって調製、発現、作出または単離された抗体(例えば、組換え抗体)である。ある特定の実施形態では、そのような抗体は、in vivoで動物または哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しない配列(例えば、DNA配列またはアミノ酸配列)を含む。
【0239】
一態様では、本明細書に記載の細胞または宿主細胞を培養することを含む、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を作製する方法が本明細書で提供される。ある特定の態様では、本明細書に記載の細胞または宿主細胞(例えば、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞または宿主細胞)を使用して、抗体またはその抗原結合断片を発現させること(例えば、組換え的に発現させること)を含む、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を作製する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、細胞は、単離された細胞である。特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、細胞中に導入されている。特定の実施形態では、方法は、細胞または宿主細胞から単離された抗体またはその抗原結合断片を精製するステップをさらに含む。好ましくは、方法は、in vitroで実施される。
【0240】
ポリクローナル抗体を産生するための方法は、当業界で公知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology(2002)の第11章、第5版、Ausubel FMら(編)、John Wiley and Sons、New Yorkを参照されたい)。
【0241】
ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはその組合せの使用を含む、当業界で公知の様々な技術を使用して、モノクローナル抗体を調製することができる。例えば、当業界で公知であり、例えば、Harlow E & Lane D、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Hammerling GJら、Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas 563 681(Elsevier、N.Y.、1981)に教示されたものを含む、ハイブリドーマ技術を使用して、モノクローナル抗体を産生させることができる。本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術により産生される抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体を、本明細書に記載の抗体またはその断片、例えば、そのような抗体の軽鎖および/または重鎖を外因的に発現する宿主細胞から組換え的に産生させることができる。
【0242】
特定の実施形態では、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、単一の細胞(例えば、組換え抗体を産生するハイブリドーマまたは宿主細胞)によって産生される抗体であって、例えば、ELISAまたは当業界で公知の、もしくは本明細書に提供される実施例に記載の他の抗原結合アッセイもしくは競合結合アッセイにより決定された場合、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合する前記抗体である。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体であってもよい。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、一価抗体または多価(例えば、二価)抗体である。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、一特異的または多特異的抗体(例えば、二特異的抗体)である。本明細書に記載のモノクローナル抗体を、例えば、Kohler G & Milstein C(1975)Nature 256:495頁に記載のハイブリドーマ法によって作製することができる、または例えば、本明細書に記載の技術を使用してファージライブラリーから、例えば、単離することができる。クローン細胞株およびそれにより発現されるモノクローナル抗体の調製のための他の方法は、当業界で周知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology(2002)、第5版、Ausubel FMら、上掲の第11章を参照されたい)。
【0243】
ハイブリドーマ技術を使用して特異的抗体を産生させ、スクリーニングするための方法は、当業界で日常的であり、周知である。例えば、ハイブリドーマ法では、マウス、またはヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスターもしくはマカクザルのような他の適切な宿主動物を免疫して、免疫化のために使用されるタンパク質(例えば、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4))に特異的に結合する抗体を産生する、または産生することができるリンパ球を惹起する。あるいは、リンパ球を、in vitroで免疫することができる。次いで、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような好適な融合剤を使用してミエローマ細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding JW(編)、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、59〜103頁(Academic Press、1986))。さらに、RIMMS(反復免疫多部位)技術を使用して、動物を免疫することができる(その全体が参照により組み入れられるKilpatrick KEら(1997) Hybridoma 16:381〜9頁)。
【0244】
一部の実施形態では、マウス(またはラット、サル、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、もしくはイヌのような他の動物)を、抗原(例えば、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4))で免疫し、一度、免疫応答が検出されたら、例えば、抗原に特異的な抗体がマウス血清中で検出されたら、マウス脾臓を取り出し、脾細胞を単離する。次いで、脾細胞を、任意の好適なミエローマ細胞、例えば、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))(Manassas、VA)から入手可能な細胞株SP20に由来する細胞に、周知の技術によって融合させて、ハイブリドーマを形成させる。ハイブリドーマを、限界希釈によって選択およびクローニングする。ある特定の実施形態では、免疫したマウスのリンパ節を取り出し、NS0ミエローマ細胞と融合させる。
【0245】
かくして調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは、融合していない親ミエローマ細胞の増殖または生存を阻害する1またはそれ以上の物質を含有する好適な培養培地中に播種し、増殖させる。例えば、親ミエローマ細胞がヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)酵素を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的には、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)を含む。
【0246】
特定の実施形態は、効率的に融合し、選択される抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの産生を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性であるミエローマ細胞を用いる。これらのミエローマ細胞株は、NS0細胞株またはSalk Institute Cell Distribution Center、San Diego、CA、USAから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection、Rockville、MD、USAから入手可能なSP−2またはX63−Ag8.653細胞のようなマウスミエローマ株である。ヒトミエローマおよびマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor D(1984) J Immunol 133:3001〜5頁;Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987))。
【0247】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性を、当業界で公知の方法、例えば、免疫沈降、またはラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のようなin vitro結合アッセイによって決定する。
【0248】
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、クローンを、限界希釈手順によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding JW(編)、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、上掲)。この目的のための好適な培養培地としては、例えば、D−MEMまたはRPMI1640培地が挙げられる。さらに、ハイブリドーマ細胞を、動物における腹水腫瘍としてin vivoで増殖させることができる。
【0249】
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体を、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティクロマトグラフィーのような従来の免疫グロブリン精製手順により、培養培地、腹水、または血清から好適に分離する。
【0250】
本明細書に記載の抗体は、特異的なCTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)を認識する抗体断片を含み、当業者には公知の任意の技術によって生成することができる。例えば、本明細書に記載のFabおよびF(ab’)
2断片を、パパイン(Fab断片を産生するため)またはペプシン(F(ab’)
2断片を産生するため)のような酵素を使用する、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって産生することができる。Fab断片は、抗体分子の2つの同一のアームの一方に対応し、重鎖のVHおよびCH1ドメインと対形成した完全な軽鎖を含有する。F(ab’)
2断片は、ヒンジ領域中のジスルフィド結合によって連結された抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0251】
さらに、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を、当業界で公知の様々なファージディスプレイ法を使用して生成することもできる。ファージディスプレイ法では、機能的抗体ドメインを、それらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面上に展示させる。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列を、動物cDNAライブラリー(例えば、罹患した組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅させる。VHおよびVLドメインをコードするDNAを、PCRによりscFvリンカーと一緒に組み換え、ファージミドベクター中にクローニングする。ベクターを大腸菌中にエレクトロポレーションし、大腸菌にヘルパーファージを感染させる。これらの方法において使用されるファージは、典型的には、fdおよびM13を含む線維性ファージであり、VHおよびVLドメインを、通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換え的に融合させる。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージを、例えば、標識された抗原または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して、抗原を用いて選択または同定することができる。本明細書に記載の抗体を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例としては、Brinkman Uら(1995) J Immunol Methods 182:41〜50頁;Ames RSら(1995) J Immunol Methods 184:177〜186頁;Kettleborough CAら(1994) Eur J Immunol 24:952〜958頁;Persic Lら(1997) Gene 187:9〜18頁;Burton DR & Barbas CF(1994) Advan Immunol 57:191〜280頁;PCT出願第PCT/GB91/001134号;国際公開第WO90/02809号、第WO91/10737号、第WO92/01047号、第WO92/18619号、第WO93/11236号、第WO95/15982号、第WO95/20401号、および第WO97/13844号;ならびに米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号、および第5,969,108号に開示されたものが挙げられる。
【0252】
上記参考文献に記載されたように、ファージ選択後、ファージ由来抗体コード領域を単離し、これを使用して、ヒト抗体、または他の任意の所望の抗原結合断片を含む全抗体を生成し、例えば、以下に記載のような、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主中で発現させることができる。Fab、Fab’およびF(ab’)
2断片のような抗体断片を組換え産生するための技術を、PCT公開第WO92/22324号;Mullinax RLら(1992) BioTechniques 12(6):864〜9頁;Sawai Hら(1995) AM J Reprod Immunol 34:26〜34頁;およびBetter Mら(1988) Science 240:1041〜1043頁に開示されたもののような当業界で公知の方法を使用して用いることもできる。
【0253】
ある特定の実施形態では、全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを使用して、鋳型、例えば、scFvクローンからVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者には公知のクローニング技術を使用して、PCR増幅されたVHドメインを、VH定常領域を発現するベクター中にクローニングし、PCR増幅されたVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。VHおよびVLドメインを、必須の定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。次いで、当業者には公知の技術を使用して、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞株中に同時トランスフェクトして、完全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な、または一過的な細胞株を生成する。
【0254】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分枝に由来する分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合したマウスまたはラットモノクローナル抗体の可変領域を含有してもよい。キメラ抗体を産生するための方法は、当業界で公知である。例えば、Morrison SL(1985) Science 229:1202〜7頁;Oi VT & Morrison SL(1986) BioTechniques 4:214〜221頁;Gillies SDら(1989) J Immunol Methods 125:191〜202頁;ならびに米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、第4,816,397号、および第6,331,415号を参照されたい。
【0255】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、実質的に非ヒト免疫グロブリン(例えば、マウス免疫グロブリン)のアミノ酸配列を有するCDRとを含む。特定の実施形態では、ヒト化抗体はまた、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものの、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4領域を含んでもよい。ヒト化抗体を、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む免疫グロブリンの任意のクラス、ならびにIgG
1、IgG
2、IgG
3およびIgG
4を含む任意のアイソタイプから選択することができる。ヒト化抗体を、限定されるものではないが、CDR移植(欧州特許第EP239400号;国際公開第WO91/09967号;および米国特許第5,225,539号、第5,530,101号および第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフェシング(欧州特許第EP592106号および第EP519596号;Padlan EA(1991) Mol Immunol 28(4/5):489〜498頁;Studnicka GMら(1994) Prot Engineering 7(6):805〜814頁;およびRoguska MAら(1994) PNAS 91:969〜973頁)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開第WO93/17105号;Tan Pら(2002) J Immunol 169:1119〜25頁;Caldas Cら(2000) Protein Eng.13(5):353〜60頁;Morea Vら(2000) Methods 20(3):267〜79頁;Baca Mら(1997) J Biol Chem 272(16):10678〜84頁;Roguska MAら(1996) Protein Eng 9(10):895〜904頁;Couto JRら(1995) Cancer Res.55(23 Supp):5973s〜5977s頁;Couto JRら(1995) Cancer Res 55(8):1717〜22頁;Sandhu JS(1994) Gene 150(2):409〜10頁およびPedersen JTら(1994) J Mol Biol 235(3):959〜73頁に開示された技術を含む、当業界で公知の様々な技術を使用して産生することができる。また、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第US2005/0042664 A1号(2005年2月24日)も参照されたい。
【0256】
多特異的(例えば、二特異的)抗体を作製するための方法は記載されており、例えば、米国特許第7,951,917号;第7,183,076号;第8,227,577号;第5,837,242号;第5,989,830号;第5,869,620号;第6,132,992号および第8,586,713号を参照されたい。
【0257】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体を、当業界で周知の方法によって産生することができる。Riechmann L & Muyldermans S(1999) J Immunol 231:25〜38頁;Nuttall SDら(2000) Curr Pharm Biotechnol 1(3):253〜263頁;Muyldermans S(2001) J Biotechnol 74(4):277〜302頁;米国特許第6,005,079号;ならびに国際公開第WO94/04678号、第WO94/25591号および第WO01/44301号を参照されたい。
【0258】
さらに、CTLA−4抗原に特異的に結合する抗体を、順に使用して、当業者には周知の技術を使用して抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成することができる(例えば、Greenspan NS & Bona CA(1989) FASEB J 7(5):437〜444頁;およびNissinoff A (1991) J Immunol 147(8):2429〜2438頁を参照されたい)。
【0259】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CTLA−4抗体と同じCTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)のエピトープに結合する本明細書に記載の抗体は、ヒト抗体またはその抗原結合断片である。特定の実施形態では、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)への結合から、本明細書に記載の抗体のいずれか1つを競合的に遮断する(例えば、用量依存的様式で)本明細書に記載の抗体は、ヒト抗体またはその抗原結合断片である。ヒト抗体を、当業界で公知の任意の方法を使用して産生することができる。例えば、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用することができる。特に、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、マウス胚性幹細胞中に無作為に、または相同組換えにより導入することができる。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および送達領域を、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚性幹細胞中に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を、相同組換えにより、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別々に、または同時に非機能的にすることができる。特に、J
H領域の同型欠失は、内因性抗体産生を防止する。改変された胚性幹細胞を増殖させ、胚盤胞にマイクロインジェクションして、キメラマウスを産生する。次いで、キメラマウスを育種して、ヒト抗体を発現する同型子孫を産生する。トランスジェニックマウスを、選択された抗原、例えば、抗原(例えば、CTLA−4)の全部または一部で正常な様式で免疫する。抗原に対するモノクローナル抗体を、従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫されたトランスジェニックマウスから取得することができる。トランスジェニックマウスにより担持されるヒト免疫グロブリントランスジーンは、B細胞分化の間に再配列し、続いて、クラススイッチングおよび体細胞突然変異を受ける。かくして、そのような技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することができる。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概説については、Lonberg N & Huszar D(1995) Int Rev Immunol 13:65〜93頁を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術ならびにそのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な考察については、例えば、国際公開第WO98/24893号、第WO96/34096号および第WO96/33735号;ならびに米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、第5,814,318号、および第5,939,598号を参照されたい。ヒト抗体を産生することができるマウスの例としては、Xenomouse(商標)(Abgenix,Inc.;米国特許第6,075,181号および第6,150,184号)、HuAb−Mouse(商標)(Mederex,Inc./Gen Pharm;米国特許第5,545,806号および第5,569,825号)、Trans Chromo Mouse(商標)(Kirin)およびKM Mouse(商標)(Medarex/Kirin)が挙げられる。
【0260】
CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4)に特異的に結合するヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用する上記のファージディスプレイ法を含む当業界で公知の様々な方法によって作製することができる。米国特許第4,444,887号、第4,716,111号、および第5,885,793号;ならびに国際公開第WO98/46645号、第WO98/50433号、第WO98/24893号、第WO98/16654号、第WO96/34096号、第WO96/33735、および第WO91/10741号も参照されたい。
【0261】
一部の実施形態では、ヒト抗体を、マウス−ヒトハイブリドーマを使用して産生することができる。例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)を形質転換したヒト末梢血リンパ球を、マウスミエローマ細胞と融合させて、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマを産生し、これらのマウス−ヒトハイブリドーマをスクリーニングして、標的抗原(例えば、CTLA−4(例えば、ヒトCTLA−4))に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものを決定することができる。そのような方法は、当業界で公知であり、例えば、Shinmoto Hら(2004) Cytotechnology 46:19〜23頁;Naganawa Yら(2005) Human Antibodies 14:27〜31頁に記載されており、参照されたい。
【0262】
5.6 キット
また、本明細書に記載の1もしくはそれ以上の抗体、またはその医薬組成物もしくはコンジュゲートを含むキットも提供される。特定の実施形態では、本明細書で提供される1もしくはそれ以上の抗体またはその抗原結合断片のような、本明細書に記載の医薬組成物の1またはそれ以上の成分を充填した1またはそれ以上の容器を含む医薬包装物またはキットが本明細書で提供される。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物と、本明細書に記載のもののような、任意の予防剤または治療剤とを含有する。ある特定の実施形態では、キットは、例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)および/もしくはホルボールミリステートアセテート(PMA)のようなT細胞分裂促進因子、または抗CD3抗体および抗CD28抗体のようなTCR複合体刺激抗体を含有してもよい。場合により、そのような容器と共に、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する政府当局により処方された形態の通知書であって、ヒトへの投与のための製造、使用または販売の当局による認可を反映する前記通知書があってもよい。
【0263】
また、上記方法において使用することができるキットも提供される。一実施形態では、キットは、1またはそれ以上の容器中の、本明細書に記載の抗体、好ましくは、精製された抗体を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、対照として実質的に単離されたCTLA−4抗原(例えば、ヒトCTLA−4)を含有する。別の特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、CTLA−4抗原と反応しない対照抗体をさらに含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、抗体のCTLA−4抗原への結合を検出するための1またはそれ以上のエレメントを含有する(例えば、抗体を、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物もしくは発光化合物のような検出可能な基質にコンジュゲートするか、または第1抗体を認識する第2抗体を検出可能な基質にコンジュゲートすることができる)。特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、組換え産生された、または化学合成されたCTLA−4抗原を含んでもよい。キット中に提供されるCTLA−4抗原を、固相支持体に結合させることもできる。さらに特定の実施形態では、上記のキットの検出手段は、CTLA−4抗原が結合する固相支持体を含む。また、そのようなキットは、結合しないレポーター標識された抗ヒト抗体または抗マウス/ラット抗体を含んでもよい。この実施形態では、抗体のCTLA−4抗原への結合を、前記レポーター標識された抗体の結合によって検出することができる。
【0264】
一実施形態では、本発明は、生物試料中のヒトCTLA−4のin vitroでのアッセイおよび/または検出のための本発明のキットの使用に関する。
【実施例】
【0265】
6.実施例
このセクション(すなわちセクション6)の実施例は、例示のために提供されるものであり、限定のためではない。
【実施例1】
【0266】
6.1 実施例1:抗CTLA−4抗体の特徴付け
この実施例は、ヒトCTLA−4に結合する抗体の特徴付けを記載する。特に、AGEN1884と命名された抗体は、以下に記載される多くのアッセイにおいて特徴付けられた。抗CTLA−4抗体AGEN1884は、配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。抗体AGEN1884は、定常領域についてインフレームで可変領域をクローニングすることを容易にする、軽鎖定常ドメインにおける、Kabatによる番号付けでの、T109S置換(すなわち、野生型Fc配列に対して109位におけるスレオニンのセリンでの置換)を含むヒトIgG
1抗体である。この突然変異は、抗体結合または機能に影響を及ぼさない保存的改変である。Kabatによる番号付けでの、109位におけるスレオニンを含む、AGEN1884wと命名された野生型対応物もまた生成された。抗体AGEN1884wは、配列番号93の重鎖および配列番号13の軽鎖を含むヒトIgG
1抗体である。
【0267】
6.1.1 表面プラズモン共鳴による動態解析
表面プラズモン共鳴を使用して、抗CTLA−4抗体AGEN1884および参照抗CTLA−4 IgG
1抗体(BIAcore(登録商標)T100/T200感度増強システム(GE Healthcare)およびFab捕捉アッセイ)の親和性を決定した。ランニングバッファーとして1×DPBS(PAA、H15−002)プラスP20(0.05%、Pierce、28320)を使用して、25℃ですべての相互作用を分析した。固定化された抗ヒトFab抗体(GE Healthcare、Fab捕捉キット、28958325)を介して、CM5センサーチップ(GE Healthcare、シリーズS CM5、BR−1005−30)のチップ表面に抗CTLA−4抗体(ランニングバッファー中で8μg/ml)を捕捉した。CTLA−4抗原の非特異的相互作用を検出するために、抗体捕捉はフローセル2においてのみ実行され、フローセル1においては捕捉抗体のみが固定化された。抗CTLA−4抗体の捕捉後、CTLA−4抗原を両方のフローセルに別々の量で流した。具体的には、組換えヒトCTLA−4−Fc(R&D Systems、#7268−CT)、組換えヒトCTLA−4(Sino Biological、#11159−H08H)、組換えカニクイザルCTLA−4−Fc(Sino Biological、#90213−C02H)、および組換えカニクイザルCTLA−4(Sino Biological、#90213−C08H)を100nM、25nMおよび6.25nMで流した;ならびに、組換えマウスCTLA−4−Fc(R&D、#434−CT)、組換えラットCTLA−4−Fc(Sino Biological、#81069−R02H)および組換えラットCTLA−4(Sino Biological、#81069−R08H)を400nM、100nMおよび25nMで流した。ブランク曲線(ランニングバッファーのみ)もまた、各々の実行に含めた。流速10μl/分で、会合を90秒間行い、解離を600秒間行った。各々の実験の後、10mMグリシンpH2.0(GE Healthcare、BR−1003−55)で60秒間30μl/分で再生工程を実行した。結合曲線は、BIAcore(登録商標)T200評価ソフトウェアバージョン2.0.1を使用して、Langmuir 1:1モデルをRmaxのグローバルフィットで適用して評価した。これらの値から、様々な抗原についてのAGEN1884および参照抗CTLA−4抗体の親和性(K
D)を算出し、
図1Aに示した。この調査において使用した組換え単量体カニクイザルCTLA−4、マウスCTLA−4−Fc、および単量体ラットCTLA−4は、品質管理アセスメントに失敗した。組換えマウスCTLA−4−Fcタンパク質への抗CTLA−4抗体の結合は、50%の凝集を示したが、それはおそらく非特異的相互作用によるものであった。表面プラズモン共鳴分析を、後に、AGEN1884wについて360nM、120nM、40nMおよび13.3nMでの品質管理アセスメントを通過した組換えマウスCTLA−4−Fc(Sino Biological、#81069−R02H)を使用して2回繰り返した。AGEN1884wは、マウスCTLA−4への検出可能な結合を示さなかった。
【0268】
6.1.2 CTLA−4を過剰発現する細胞への抗体結合
10% FBS(Gemini Bio Products)、100μg/mlハイグロマイシンB(Hygromycin B)(Gibco)および500μg/ml G418(Promega)を含むRPMI1640(Life Technologies)中でヒトCTLA−4を過剰発現するJurkat細胞(Promega)を維持した。抗体で染色する前に、細胞をFACSバッファー(2% FBSを含むPBS)で1回洗浄した。AGEN1884w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、およびIgG
1アイソタイプ対照の連続希釈液を、10μg/mlで開始し、96ウェル丸底プレート上の、2つに重複させたウェルに100μlの容量で加え、4℃で30分間インキュベートした。細胞を150μlのFACSバッファーで3回洗浄し、0.25μlのPEコンジュゲートマウス抗ヒトカッパ抗体(Invitrogen)を含む100μlのFACSバッファーを用い、4℃で30分間染色した。その後、細胞を2回洗浄し、100μlのFACSバッファーに再懸濁した。サンプルをLSRFortessa(BD Biosciences)上で取得した。
FlowJoソフトウェア(FlowJo、LLC)を使用して平均蛍光強度(MFI)を分析し、Prism 6(GraphPad Software)を使用してプロットした。
図1Bに示すように、抗体AGEN1884wは、Jurkat細胞の表面上に発現するヒトCTLA−4に結合した。
【0269】
6.1.3 CTLA−4抗体選択性アッセイ
CTLA−4についてのAGEN1884の選択性を、サスペンションアレイ技術をマルチプレックスアッセイとして使用して、他のメンバーの免疫グロブリンスーパーファミリーに対してアセスメントした。いくつかの免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーを、標準NHS−エステル化学反応を使用してLuminex(登録商標)マイクロスフェアに化学的にカップリングさせた。AGEN1884の精製物質、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体およびIgG
1アイソタイプ対照をアッセイバッファー(Roche 11112589001)中に10ng/ml、100ng/mlおよび1000ng/mlまで希釈した。簡潔に述べると、各々の希釈液25μlを、96ハーフウェルフィルタープレート(Millipore、MABVN1250)中で1時間、5μlのアッセイバッファー中の1500 Luminex(登録商標)マイクロスフェアと共に、暗所(20℃、650rpm)でインキュベートした。Luminex(登録商標)マイクロスフェアを、組換えヒトCTLA−4−Fc(R&D Systems、#7268−CT)、組換えカニクイザルCTLA−4−Fc(Sino Biological、#90213−C02H)、rhCD28−Fc(R&D、#342−CD−200)、rhICOS−Fc(R&D、#169−CS−050)、rhBTLA−Fc(Sino Biological、#11896−H02H)、rhPD−1−Fc(R&D Systems、#1086−PD)、または組換えカニクイザルPD−1−Fc(社内で生産されたもの)と、COOHビーズ表面とのアミンカップリングを介してカップリングさせた。1:3希釈系列(0.08〜540ng/ml)で、2つに重複させた25μlのヒトIgG
1標準(Sigma、I5154)を使用して標準曲線を作成した。R−PE(2.5μg/ml;JIR 109−116−098、AbDSerotec Rapid RPE抗体コンジュゲーションキット、LNK022RPE)で標識したヤギ抗ヒトIgG F(ab)
260μlおよびもう1時間のインキュベーション時間(20℃、650rpm)を使用して、検出を行った。Luminex(登録商標)200システム(Millipore)を使用して、プレートを分析した。48μlのサンプル容量で1ウェル当たり合計100個のビーズを計数した。PE MFI値を使用して、上記の組換えタンパク質への特異的または非特異的結合を決定した。
【0270】
図1Cおよび1Dに示されるように、抗体AGEN1884は、ヒトおよびカニクイザルCTLA−4への特異的結合を実証した。試験した濃度では、他の列挙された免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーへの有意な結合は観察されなかった。
【0271】
6.1.4 活性化T細胞によって発現されるCTLA−4に結合する抗体
次に、活性化ヒトT細胞の表面上に発現したCTLA−4へのAGEN1884wの結合を調べた。健康なドナーバフィーコート(Research Blood Components、LLC)からのフィコール勾配密度分離を介して単離したヒトPBMCを、磁性ビーズ(Stemcell Technologies)を使用して、手付かずのCD4+ T細胞について濃縮した。その後、CD4+ T細胞の濃縮した集団を、10%ヒトAB血清(Sigma)を補充したRPMI1640培地に、1×10
6個/mlで再懸濁した。100μl中に1×10
5個の細胞を、抗CD3抗体(3μg/ml、BD Biosciences)および抗CD28抗体(10μg/ml、BD Biosciences)で予めコートした平底96ウェルプレートの各々のウェルに播種し、37℃、5% CO
2で培養した。5日目に、細胞をプールし、Muse Cell Analyzer(EMD Millipore)を使用して計数した。50000個の細胞を、10μg/mlでの開始の連続希釈した、100μlのAGEN1884w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体およびIgG
1アイソタイプ対照を用いて、96ウェル丸底プレート上に4℃で30分間染色した。細胞を150μlのFACSバッファーで3回洗浄し、0.25μlのPE標識マウス抗ヒトカッパ抗体(Invitrogen)およびAPC−CD4(BD Bioscience)1μlを含む100μlのFACSバッファーを用い、4℃で、30分間染色した。その後、細胞を2回洗浄し、FACSバッファー100μlに再懸濁した。サンプルは、FACSCanto IIシステム(BD Biosciences)上で取得した。CD4+ T細胞におけるPEの平均蛍光強度(Mean fluorescence intensities;MFI)を、FlowJoソフトウェア(FlowJo、LLC)を使用して分析した。
図2Aに示すように、AGEN1884wは、活性化ヒトCD4+ T細胞の表面上に発現したCTLA−4に結合した。
【0272】
カニクイザル(Macaca fascicularis)CTLA−4への抗体AGEN1884の結合特性を、フローサイトメトリー分析によって分析した。フィコール勾配を介して単離されたカニクイザルPBMC(Biomedical Primate Research Centre、オランダ)を、プレート結合8μg/ml抗CD3(BD、557052)および0.1μg/mlの抗CD28抗体(eBioscience、Cat.16−0289−85)を使用して、50U/ml IL−2(BioLegend、589106)存在下で3日間、10%ウシ胎仔血清、10mM HEPESおよび1×Pen/Strep−Glutamineを補充したRPMI−1640培地中、37℃および5% CO
2で活性化した。活性化後、FACSバッファー(2%FBSを含むPBS)中に1:100に希釈した抗CD8a抗体(eBioscience、9043−0087−120)と共に30分間、4℃で細胞をインキュベートした。その後、細胞をFACSバッファーで2回洗浄し、製造業者のプロトコールに従って、BD Bioscienceキット(51−2090KZ)のCytofix/Cytoperm手順に適用した。9から0.037μg/mlのAGEN1884、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、およびIgG
1アイソタイプ対照の1:3の連続希釈液を、細胞に加えた。サンプルをFACSバッファー200μl中に懸濁させ、FACS Divaフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して分析した。細胞内染色のために使用する場合には、抗CTLA−4抗体AGEN1884は、活性化されたカニクイザルCD8+ T細胞への結合を示した(
図2B)。
【0273】
さらに、ヒト、カニクイザル(Indochinese)、ラット、またはマウスからの末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells;PBMC)を、96ウェル丸底組織培養プレート(1×10
5細胞/ウェル)のウェルの中に分注し、10%ウシ胎仔血清、15mM HEPES、100IU/mlペニシリン、100mg/mlストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、100IU/ml IL−2(Peprotech)、および1μg/mlフィトヘマグルチニン(PHA)(Roche)を補充したRPMI−1640中で4日間、37℃、5%CO
2で刺激した。刺激後、細胞を洗浄し、5%熱不活性化ヒトAB血清(Sigma−Aldrich)を添加してFc受容体を遮断し、抗体の非特異的結合を防止した。細胞を再び洗浄し、希釈したAPCコンジュゲート抗CD4抗体(クローンOKT4、GK15、またはW3/25;Biolegend)100μlに再懸濁した。暗所で45分間、インキュベートした後、細胞を3回洗浄し、FoxP3/転写因子染色バッファーセット(FoxP3/Transcription Factor Staining Buffer Set;eBioscience)を製造業者の取扱説明書に従って使用して、透過処理した。透過処理後、0.00003μg/mlから10μg/mlまでの範囲での連続希釈の蛍光標識した(Pacific Blue(商標))AGEN1884wまたはアイソタイプ対照抗体と共に、細胞を暗所で45分間、4℃でインキュベートした。Becton Dickinson LSRFortessa(商標)を使用したフローサイトメトリー分析の前に、細胞を2回洗浄した。FlowJoソフトウェア(バージョン10)を使用してデータを分析した。
図2Cに示すように、抗体AGEN1884wは、PHA刺激CD4+ヒトおよびカニクイザルT細胞に結合したが、ラットまたはマウスT細胞には結合しなかった。
【0274】
6.1.5 リガンド遮断活性
抗CTLA−4抗体がリガンドCD80およびCD86の結合を遮断するか否かを決定するために、ランキングアッセイの設定を、サスペンションアレイ技術(
図3Aに模式図を示す)を使用して行った。5μlのアッセイバッファー中の1200Luminex(登録商標)ビーズ(Luminex Corp、#14 LC10014−01)を96ウェル半領域プレート(Corning、Inc.、3884)の各々のウェルに添加した。ビーズを、COOHビーズ表面とのアミンカップリングを介してCTLA−4抗原(rhCTLA−4−Fc、R&D、#7268−CT)とカップリングさせた。カップリング反応は、CTLA−4抗原50μg/mlおよび1ml当たり1×10
7個のLuminexビーズを使用して行った。標準的なNHSエステル化学反応を使用し、抗原の第一級アミン基とビーズ表面上のカルボキシル基との間にカルボジイミド結合を形成させた(Luminex Xmap cookbook、第3章)。
【0275】
タンパク質の抗原カップリングは、スルホ−NHS(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)の存在下でマイクロスフェアカルボキシル基をまずEDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)試薬で活性化して、スルホ−NHSエステル中間体を形成する、単純な2段階カルボジイミド法である。その後、反応中間体を、標的分子(抗体、タンパク質またはペプチド)の第一級アミンとの反応によって置き換えて、アミド共有結合を形成させる。カップリングさせたビーズを、様々な濃度の抗CTLA−4抗体(ビーズを添加する前、1ウェル当たり25μlアッセイバッファー中に9000ng/ml〜12ng/mlの濃度)と共に、20℃および650rpmで1時間、インキュベートした。試験した抗CTLA−4抗体は、AGEN1884、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、およびIgG
1アイソタイプ対照抗体であった。その後、1nMの濃度での30μlのR−PE標識CD80(R&D Systems、#140−B1)またはCD86(R&D Systems、#141−B2)を各々のウェルに添加して、60μlの全ウェル容量(1ウェル当たり1200個のビーズおよび最終濃度0.5nMの標識CD80またはCD86)とした。リガンドの標識は、製造業者のプロトコールに従って、R−PE標識キット(AbDSerotec、LYNX Rapid RPE抗体コンジュゲーションキット、LNK023RPE)を使用して、社内で行った。Luminex(登録商標)200システム(Millipore)を使用して、プレートを分析した。100個のビーズを、50μlのサンプル容量中、1ウェルごとに計数した。リガンドのみの対照の非競合シグナル(100%結合)のMFI値を使用して、リガンドブロッキング能を算出した。PE検出可能なシグナルは、抗原に結合するリガンドを示した。AGEN1884は、56ng/mlの推定IC
50でCTLA−4へのCD80(
図3B)およびCD86(
図3C)の結合を阻害した。
【0276】
次に、組換えCD80−FcおよびCD86−Fcの、細胞表面に発現したCTLA−4への結合を遮断する抗CTLA−4抗体の能力を調べた。簡潔に述べると、CTLA−4発現T細胞(Jurkat)を、漸増濃度のAGEN1884w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体またはIgG
1アイソタイプ対照抗体(0、0.001、0.004、0.012、0.037、0.11、0.33、0.99、2.96μg/ml)、続いて、固定濃度(0.625μg/ml)の蛍光標識CD80−FcまたはCD86−Fcと共に、インキュベートした。CD80−FcまたはCD86−Fcの結合を受けた細胞のパーセント率を、フローサイトメトリーによって決定した。
図3Dに示すように、AGEN1884wおよび参照抗CTLA−4 IgG
1抗体は、CTLA−4を発現するJurkat細胞へのCD80−FcおよびCD86−Fcの結合を阻害した。
【0277】
さらに、抗CTLA−4抗体AGEN1884wを、細胞表面に発現したCTLA−4および組換えCD80またはCD86の事前形成した複合体を破壊するその能力について調べた。簡潔に述べると、細胞表面上にCTLA−4を恒常的に発現するように遺伝子操作されたJurkat細胞を、連続希釈したCD80−FcまたはCD86−Fc(R&D Systems)(10〜0.0002μg/ml)と共に、96ウェル丸底プレート内において、4℃で30分間インキュベートした。洗浄後、固定濃度(67nM)の蛍光標識(PerCP−CY5.5)AGEN1884wまたは参照抗CTLA−4 IgG
1抗体を添加し、プレートを4℃で30分間インキュベートした。プレートを再び洗浄し、細胞をPBS中の1%パラホルムアルデヒド(Alfa Aear)100μlに再懸濁した。Becton Dickinson FACSCanto(商標)フローサイトメーターを使用して、サンプルを分析し、FlowJoソフトウェア(バージョン10)を使用して、データを分析した。抗体AGEN1884wは、CTLA−4およびCD80またはCD86の事前形成された複合体を用量依存的に破壊した(
図3E)。
【0278】
6.1.6 ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)刺激後のヒトT細胞における抗CTLA−4抗体の効果
初代ヒトT細胞における抗CTLA−4抗体の機能的活性を、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)刺激後にアセスメントした。ペニシリン、ストレプトマイシン、および10% FBS(Hyclone)を補充したRPMI1640中に凍結保存したPBMC(10
5細胞/ウェル)を96ウェルNUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))に添加した。細胞を、3.2、16、80、400、2000、10000、および50000ng/mlの漸増抗体濃度ならびに100ng/mlのSEA(Toxin Technologies)の存在下で、37℃、5% CO
2および97%湿度で、5日間培養した。試験した抗体は、AGEN1884w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、およびIgG
1アイソタイプ対照であった。清澄した上清を回収し、分析まで−80℃で保存した。IL−2の力価は、電気化学発光(MSD)によって生成された。
【0279】
図4Aに示されるように、AGEN1884wは、SEA刺激の存在下で、T細胞のIL−2産生を増加した。
【0280】
6.1.7 IL−2−ルシフェラーゼレポーター細胞株における抗CTLA−4抗体の効果
抗CTLA−4抗体AGEN1884wの機能的活性を、IL−2−ルシフェラーゼレポーターアッセイを使用して、さらに分析した。簡潔に述べると、CD28を内因的に発現するヒトT細胞株(Jurkat)を、IL−2プロモーターによって駆動され、細胞表面CTLA−4およびルシフェラーゼレポーター遺伝子を恒常的に発現するように遺伝子操作した。遺伝子操作されたJurkat細胞株を、CD80およびCD86を発現する抗原提示細胞株(Raji)と共に共培養した。マウス抗ヒトCD3抗体およびヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体を用いて、T細胞受容体(T cell receptor;TCR)誘発(シグナル1)を達成した;ならびに共刺激シグナル伝達(シグナル2)は、Raji細胞上で発現されるCD80およびCD86によってトランスで提供された。Raji細胞上のCD80およびCD86の発現を、フローサイトメトリーによって確認した(
図4B)。Jurkat T細胞株へのTCRのクロスリンクはIL−2発現を誘発し、T細胞活性化の代替マーカーであるルシフェラーゼ産生をもたらした。これらの2つの細胞株の共培養は、阻害性共受容体CTLA−4(Jurkat細胞上で発現される)が、その天然リガンドCD80およびCD86(Raji細胞上で発現される)と会合し、T細胞活性化を阻害する結果となることが、ルシフェラーゼ発現の欠如によって実証された。この阻害は、漸増濃度のAGEN1884w(0〜300μg/ml)を、添加することにより軽減されたが、それは、AGEN1884wがCTLA−4とそのリガンドCD80およびCD86との相互作用を遮断し、これらのリガンドと共刺激T細胞共受容体CD28との相互作用をシフトさせることによる。ルシフェラーゼ発現をBio−Glo(商標)試薬を使用して定量し、得られたデータを使用して、最大応答倍数値(IgG
1アイソタイプ対照抗体と比較したAGEN1884wでの増加倍数)を決定するために使用した。
【0281】
図4Cに示されるように、このIL−2−ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて、抗CTLA−4抗体AGEN1884wは、T細胞のCTLA−4媒介阻害を用量依存的に解放した。
【0282】
6.1.8 抗CTLA−4抗体のアゴニスト活性の欠損
AGEN1884wがCTLA−4フォワードシグナル伝達を媒介する可能性を評価した。初代CD3発現ヒトT細胞を、Miltenyi Pan T細胞マイクロビーズキットを使用して末梢血単核細胞から単離し、TCRシグナル伝達を活性化するためにプレート結合抗CD3抗体(クローンSP34、10μg/ml)と共に培養した。AGEN1884wまたはIgG
1アイソタイプ対照抗体を、可溶性またはプレート結合型(0.003〜50μg/ml)のいずれかにおけるTCR活性化に関連させて含めた。培養4日後およびBrefeldin A(BD GolgiPlug(商標))との最後の6時間のインキュベーション後、抗CD3抗体(APC Cy7、クローンSP34)、抗CD8抗体(PE Cy7、クローンSK1)、および抗CD4抗体(PercP Cy5.5、クローンL200)を含む表面系統マーカーに対する蛍光色素コンジュゲート抗体で細胞を染色し、続いて、細胞をCytofix−Cytoperm(商標)(Beckton Dickinson)で透過処理した。細胞内サイトカイン産生の評価のために、抗IFNγ抗体(Alexa fluor 647、クローンB27)および抗TNFα抗体(PE、クローンMab11)で細胞を染色した。FACSCanto IIを使用したフローサイトメトリー分析のために細胞を取得し、Flowjoバージョン10でデータ解析を行った。
【0283】
漸増濃度の可溶性(
図4D)またはプレート結合(
図4E)AGEN1884wは、IgG
1アイソタイプ対照抗体と比較して、CD8+ IFNγ+ T細胞の百分率に影響を与えなかった。50μg/mlの高濃度では、AGEN1884wはCTLA−4アゴニスト抗体として作用しなかった。
【0284】
6.1.9 抗LAG−3抗体または抗PD−1抗体との組合せ
次に、抗CTLA−4抗体AGEN1884wを、抗LAG−3アンタゴニスト抗体または抗PD−1アンタゴニスト抗体との相乗作用について、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)で最適以下に刺激したPBMCを使用して調べた。簡潔に述べると、凍結保存されたヒトPBMC(Research Blood Components)を、ノルモシン(商標)(Normocin;Invivogen #ant−nr)および10%熱不活性化FBS(Gibco、Invitrogen Corporation)を補充したRPMI1640中に、10
5細胞/ウェルで、96ウェルNUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))内にプレーティングした。10μg/mlの可溶性AGEN1884wまたはIgG
1アイソタイプ対照の存在下、5μg/mlの抗LAG−3 IgG
1抗体AGEN1746、ニボルマブ(ロットAAB5719、Myoderm)、ペムブロリズマブ(ロット7002688300、Myoderm)、IgG
1アイソタイプ対照、またはIgG
4アイソタイプ対照と共に、細胞を100ng/mlのSEA(Toxin Technologies)を用いて、37℃、5%CO
2、および97%湿度で、5日間培養した。試験した抗体およびそれぞれのそれらの濃度を、
図4Fに示す。このアッセイにおいて使用される抗LAG−3抗体AGEN1746は、米国出願公開第2011/0150892号(参照によって本明細書に組み入れる)に提供される抗体25F7の可変領域に基づいて生成された。AGEN1746は、配列番号91のアミノ酸配列の重鎖および配列番号92のアミノ酸配列の軽鎖を含む(表8)。清澄した上清を回収し、分析まで−80℃で保存した。AlphaLISA(Perkin Elmer)を使用して、IL−2サイトカインを検出した。IL−2濃度の平均および標準偏差を算出した。
【0285】
【表16】
【0286】
図4Fに示されるように、抗CTLA−4抗体AGEN1884wと抗LAG−3抗体AGEN1746、抗PD−1抗体ニボルマブ、または抗PD−1抗体ペムブロリズマブとの組合せは、単剤処理を超えて最適以下にSEAスーパー抗原で刺激されたPBMCから、IL−2産生を増強した。
【実施例2】
【0287】
6.2 実施例2:抗CTLA−4抗体とIgG
1またはIgG
2定常領域との比較
この実施例においては、ヒトIgG
1抗体であるAGEN1884wを、ヒトIgG
2抗体、AGEN2041wに変換した。抗体AGEN2041wは、AGEN1884wと同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖を共有するが、ヒトIgG
2定常領域を含む。抗体AGEN2041wは、配列番号94の重鎖配列および配列番号13の軽鎖配列を含む。
【0288】
さらに、突然変異したFc領域を有する多くのAGEN1884wもまた、試験して、抗CTLA−4抗体のアンタゴニスト活性におけるFcγR相互作用の影響を調べた。AGEN1884w−N297Aは、配列番号95の重鎖配列および配列番号13の軽鎖配列を含む。AGEN1884w−S267E/L328Fは、配列番号96の重鎖配列および配列番号13の軽鎖配列を含む。AGEN1884w−S239D/A330L/I332Eは、配列番号97の重鎖配列および配列番号13の軽鎖配列を含む。すべての残基は、EU番号付けシステムに従って番号付けされる。
【0289】
6.2.1 IgG
2定常領域を用いた抗CTLA−4抗体の結合、リガンドブロッキングおよび選択性分析
抗CTLA−4抗体AGEN2041w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、および参照抗CTLA−4 IgG
2抗体の親和性を、セクション6.1.1に記載したように表面プラズモン共鳴によって分析した。試験したCTLA−4抗原は、組換えヒトCTLA−4−Fc(R&D Systems、#7268−CT)、組換えヒトCTLA−4(Sino Biological、#11159−H08H)、組換えカニクイザルCTLA−4−Fc(Sino Biological、#90213−C02H)、および組換えカニクイザルCTLA−4(Sino Biological、#90213−C08H)であった。親和性値を
図5Aに列挙した。
【0290】
次に、ヒトCTLA−4を過剰発現するJurkat細胞へのAGEN2041wの結合を、セクション6.1.2に記載のアッセイと同様のフローサイトメトリーアッセイで分析した。簡潔に述べると、ヒトCTLA−4を過剰発現するJurkat細胞(Promega)を、最初にAGEN2041w、参照抗CTLA−4 IgG
2抗体、またはIgG
2アイソタイプ対照の連続希釈液で染色し、その後、APCコンジュゲートマウス抗ヒトカッパ抗体(Invitrogen)で染色した。サンプルは、FACSCanto II(BD Biosciences)上で取得し、平均蛍光強度(MFI)を、FlowJoソフトウェア(FlowJo、LLC)を使用して分析した。AGEN2041wは、ヒトCTLA−4を過剰発現するJurkat細胞に結合した(
図5B)。
【0291】
AGEN2041w、参照抗CTLA−4 IgG
2抗体およびIgG
2アイソタイプ対照のリガンドブロッキング活性を、セクション6.1.5に記載されるようにサスペンションアレイ技術を使用して調べた。
図5Cに示すように、AGEN2041wは、CD80およびCD86のCTLA−4への結合を阻害した。
【0292】
AGEN2041wおよび参照抗CTLA−4 IgG
2抗体の選択性を、セクション6.1.3に記載されるようなサスペンションアレイ技術を使用し、IgG
2アイソタイプ対照抗体と比較した。
図5Dおよび5Eに示すように、AGEN2041wは、ヒトおよびカニクイザルCTLA−4に特異的に結合する。関連するファミリーメンバー(組換えヒトCD28、ICOS、BTLA、およびPD−1;ならびに組換えカニクイザルPD−1)に対する有意な結合は観察されなかった。
【0293】
6.2.2 ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)刺激後の、IgG
1またはIgG
2定常領域を用いた抗CTLA−4抗体の、ヒトT細胞に対する効果
抗CTLA−4抗体AGEN1884wおよびAGEN2041wの機能的活性を、IL−2の誘導についての初代ヒトPBMCアッセイにおいて試験した。このアッセイは、セクション6.1.6に記載されるように行った。簡潔に述べると、ヒトPBMCを、0.016、0.08、0.4、2.0、10、50および250μg/mlならびに100ng/mlのSEA(Toxin Technologies)の漸増抗体濃度の存在下で、5日間培養した。試験した抗体は、抗CTLA−4抗体AGEN1884wおよびAGEN2041w、IgG
1アイソタイプ対照、およびIgG
2アイソタイプ対照であった。IL−2の力価は、電気化学発光(MSD)によって決定した。
【0294】
図6Aに示すように、AGEN1884wおよびAGEN2041wの両方は、SEA刺激後にIL−2産生を刺激した。
【0295】
6.2.3 IgG
2定常領域を有する抗CTLA−4抗体のIL−2−ルシフェラーゼレポーター細胞株に対する効果
次に、抗CTLA−4抗体AGEN2041wの機能的活性を、上に記載のものと同様のIL−2−ルシフェラーゼレポーターアッセイを使用して評価した。簡単に説明すると、表面CTLA−4およびIL−2プロモーターの下流にルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するように遺伝子操作されたT細胞(Jurkat)を、漸増濃度のAGEN2041wまたはIgG
2アイソタイプ対照を含むウェルに添加した。続いて、CD80およびCD86を内因的に発現し、「T細胞活性化因子」を発現するように遺伝子操作されたRaji細胞を、細胞培養液に添加した。「T細胞活性化因子」は、T細胞受容体(TCR)を抗原非依存的に結合し、T細胞活性化をもたらす専有の細胞表面受容体である。遺伝子操作されたJurkat細胞株上でのTCRの刺激は、ルシフェラーゼ産生をもたらすIL−2発現を誘発する。このアッセイにAGEN2041wを添加すると、(Jurkat細胞上で発現された)CTLA−4の、(Raji細胞上で発現された)天然リガンドCD80およびCD86との会合が遮断され、ルシフェラーゼ産生が増大する。ルシフェラーゼ濃度をBio−Glo(商標)を使用して定量し、得られたデータを使用して、最大応答倍数値(抗体無しの基本ルシフェラーゼ活性と比較したAGEN2041wでの増加倍数)を決定した。
【0296】
図6Bに示されるように、漸増濃度のAGEN2041wにより、用量依存的にT細胞活性化が増強する結果となった。その一方、IgG
2アイソタイプ対照は、試験した最高濃度でさえもルシフェラーゼ発現を増強しなかった。
【0297】
6.2.4 安定クローンによって産生されたAGEN1884wの特徴付け
この実施例においては、細胞表面に発現したCTLA−4への結合について、および初代ヒトPBMCアッセイにおける機能的活性について、安定クローン105によって産生されたAGEN1884w(AGEN1884w−105)を調べた。
【0298】
ヒトCTLA−4を過剰発現するJurkat細胞へのAGEN1884w−105の結合を、セクション6.1.2に記載のアッセイと同様のフローサイトメトリーアッセイにおいて分析した。簡潔に述べると、最初に、ヒトCTLA−4(Promega)を過剰発現するJurkat細胞を、AGEN1884w−105、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、またはIgG
1アイソタイプ対照の連続希釈液で染色し、その後、PEコンジュゲートマウス抗ヒトカッパ抗体(Invitrogen)で染色した。サンプルは、FACSCanto II(BD Biosciences)上で取得し、平均蛍光強度(MFI)を、FlowJoソフトウェア(FlowJo、LLC)を使用して分析した。AGEN1884w−105は、ヒトCTLA−4を過剰発現するJurkat細胞に結合した(
図7A)。
【0299】
IL−2産生を誘導するAGEN1884w−105の能力を、セクション6.1.6に記載のアッセイと同様のアッセイで調べた。簡潔に述べると、100ng/mlのSEA(Toxin Technologies)および20μg/mlのAGEN1884w−105、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、またはIgG
1アイソタイプ対照の存在下で、ヒトPBMCを5日間、培養した。IL−2の力価は、電気化学発光(MSD)によって決定した。
図7Bに示されるように、AGEN1884w−105は、SEA刺激後のIL−2産生を誘導した。
【0300】
6.2.5 表面発現Fcガンマ受容体に対する抗CTLA−4抗体の結合
CHO細胞の表面上で発現するヒトのFcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIIIAへの抗CTLA−4抗体の結合を、フローサイトメトリーによって測定した。簡潔に述べると、ヒトFcγRIIA
H131、FcγRIIB、またはFcγRIIIA
V158をコードするcDNAでCHO細胞をトランスフェクトし、下記のCHO細胞株を生成した:rCHO−huFcγRIIA
+、rCHO−huFcγRIIB
+、およびrCHO−huFcγRIIIA
+。0.0056〜1000μg/mlの範囲の抗体の用量滴定の結合を行い、フィコエリトリン(PE)(Jackson Immune Research)とコンジュゲートした抗ヒトF(ab’)二次抗体により、一次抗体が検出された。フローサイトメトリーにより、サンプルを試験し、PE平均蛍光強度(MFI)値を解析し、結合曲線を生成するために使用した。試験した抗体は、AGEN1884w、AGEN2041w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、およびIgG
1アイソタイプ対照抗体であった。この調査では2つの異なる増殖培地で生産されたAGEN1884wを使用した:Life Technologies Inc.からの増殖培地CD FortiCHO(商標)/Thermo(AGEN1884w−FortiCHO)およびLonzaからの増殖培地PowerCHO(商標)2(AGEN1884w−PowerCHO)。参照抗CTLA−4 IgG
1抗体は、AGEN1884wにおけるものとは異なるIgG
1アロタイプを含む。IgG
1アイソタイプ対照抗体は、1000μg/mlでのみ試験した。
【0301】
図8Aに示されるように、AGEN1884w−FortiCHO、AGEN1884w−PowerCHOおよびAGEN2041wは、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体が示すよりも、FcγRIIA
H131発現細胞への結合の増強を示した。同様に、AGEN1884w−PowerCHOおよびAGEN1884w−FortiCHOのFcγRIIB発現細胞への結合は、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体のものよりも強かった(
図8B)。すべてのIgG
1抗体、AGEN1884w−FortiCHO、AGEN1884w−PowerCHO、および参照抗CTLA−4 IgG
1抗体は、細胞表面上に発現したFcγRIIIA
V158と同様に結合した(
図8C)。AGEN2041wは、IgG
1抗体が示すよりも、FcγRIIB(
図8B)およびFcγRIIIA
V158(
図8C)へのより弱い結合を示した。
【0302】
6.2.6 組換えFcガンマ受容体への抗CTLA−4抗体の結合
ヒトFcγRIIAおよびFcγRIIIAへの抗CTLA−4抗体、AGEN1884w−FortiCHO、AGEN1884w−PowerCHO、AGEN2041wおよび参照抗CTLA−4 IgG
1抗体の結合を、表面プラズモン共鳴(BIAcore(登録商標)3000)を使用して測定した。
【0303】
FcγRIIAへの結合のために、CM5チップに対する直接固定化法を、標準的なアミン化学反応を使用して適用した。組換えヒトFcγRIIA−Hisタンパク質を酢酸ナトリウム溶液(pH4.0)中で希釈して10μg/mlの濃度とし、5μl/分の流速での8分間の注入を使用して、フローセル2および4に固定化した。参照フローセルとして使用されたフローセル1および3は、偽カップリングした。すなわち、フローセル2および4のようにアミンカップリング試薬をフローセル上にFcγRIIA無しで流した。HBS−EP Biacoreランニングバッファー中のトラスツズマブ1mg/mlを各々のフローセル上に100μl/分の流速で0.5分間注入するように使用して、固定化したFcγRIIA表面の性能を試験した。
【0304】
FcγRIIIAへの結合について、捕捉方法は、CM5チップに対し、固定化した抗テトラHis抗体を介して行った。マウス抗His抗体を、酢酸ナトリウム溶液(pH5.0)中で希釈して10μg/mlの濃度とし、10μl/分の流速で5分間の注入を使用して、標準的なアミン化学反応によって、4つのフローセルすべてに固定化した。5μl/分の流速で2分間、1μg/mlの濃度でFcγRIIIA−Hisの溶液を注入することによって、組換えヒトFcγRIIIA−Hisタンパク質をチップ表面に捕捉した。
【0305】
分析前に、すべての試験抗体を、Biacoreランニングバッファーにバッファー交換した。バッファー交換したサンプルおよび中間ストック溶液のタンパク質濃度は、Nanodrop 1000分光光度計を使用して、280nmでの吸光度を測定することによって決定した。
【0306】
各々のサンプルを、1000μg/mlで開始する2倍希釈についての8点濃度系列で分析した。Biacore制御ソフトウェアバージョン4.1およびBIAevaluationソフトウェアバージョン4.1を使用して、データを収集および処理した。用量応答曲線は、5つのパラメータロジスティック(5PL)モデルにフィッティングさせた。使用されたデフォルトの曲線加重係数は、以下の通りであった。
分散=0.02×応答(RU)
1.8
【0307】
結合データもまた、StatLIAバージョン3.2を使用して分析した。平行性は、StatLIAのカイ2乗検定(P<0.01)を用いてアセスメントした。
【0308】
ヒトFcγRIIAおよびヒトFcγRIIIAについてのAGEN1884w−FortiCHO、AGEN1884w−PowerCHO、AGEN2041wおよび参照抗CTLA−4 IgG
1抗体の平均応答(共鳴単位)を、それぞれ、
図9Aおよび9Bに示した。
【0309】
6.2.7 Fcガンマ受容体IIIAレポーター細胞株に対する抗CTLA−4抗体の効果
AGEN1884wが活性化Fcガンマ受容体を介してCTLA−4とシグナルを共役させる能力を、標的細胞と共にFcガンマ受容体IIIA(FcγRIIIA)(Promega)を発現するレポーター細胞株を使用して評価した(アッセイ模式図を
図10Aに示す)。このアッセイにおいては、ヒトCTLA−4を発現するJurkat細胞を標的細胞として使用した。V158変異体(高親和性)またはF158変異体(低親和性)のいずれかのFcγRIIIAを安定に発現する遺伝子操作されたJurkat細胞、およびホタルルシフェラーゼの発現を駆動するNFAT応答エレメントをエフェクター細胞として使用した。アッセイは、製造業者の取扱説明書に従って行った。簡潔に述べると、CTLA−4を発現する標的細胞25μl(25,000細胞)を、96ウェル白色平底プレート中で4μg/mlで開始する25μlの連続希釈抗体と混合した。その後、25μl中に150000個のエフェクター細胞をウェルに添加し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。抗原が標的細胞の表面上に位置する、抗体/抗原複合体のFcγRIIIAへの結合は、エフェクター細胞のプロモーター/レポーター構築物へシグナル伝達し、ルシフェラーゼ遺伝子転写をもたらす。次の日、プレートをインキュベーターから取り出し、30分間、冷却した。75μlの室温Bio−Glo試薬(Promega)を各々のウェルに添加し、ルミネセンスをEnVisonマルチモードプレートリーダー(Perkin Elmer)で測定し、相対光単位(RLU)を記録した。試験した抗体は、AGEN1884w−105またはAGEN1884w(
図10B、10C、10Fおよび10GについてはAGEN1884w−105、ならびに
図10Dおよび10EについてはAGEN1884w);AGEN1884w−N297A(
図10Fおよび10G);AGEN2041w(
図10Dおよび10E);参照抗CTLA−4 IgG
1抗体(
図10Bおよび10C);ならびにIgG
1アイソタイプ対照抗体(
図10B〜10G)であった。
【0310】
CTLA−4を発現する細胞に結合すると、IgG
1抗体AGEN1884w−105は、FcγRIIIA V158変異体(
図10B)およびFcγRIIIA F158変異体(
図10C)の両方を活性化した。予想した通りに、IgG
2抗体AGEN2041wはFcγRIIIAを介してシグナル伝達しなかった(
図10Dおよび10E)。このレポーターアッセイの特異性を確認するために、AGEN1884w(AGEN1884w−N297A)のFc受容体(FcR)−サイレント変異体を同じアッセイで試験したが、この突然変異体もまたFcγRIIIAを介してシグナル伝達しなかった(
図10Fおよび10G)。
【0311】
6.2.8 Fcガンマ受容体IIAレポーター細胞株に対する抗CTLA−4抗体の効果
次に、標的細胞(ヒトCTLA−4を発現するJurkat細胞)と共にFcγRIIA(Promega)を発現するレポーター細胞株を使用して、AGEN2041wがFcγRIIAを介してCTLA−4とシグナルを共役させる能力を評価した。高親和性131 H/H多型を有するFcγRIIAを発現するJurkat細胞およびホタルルシフェラーゼの発現を駆動するNFAT応答エレメントを、エフェクター細胞として使用した。簡潔に述べると、標的細胞(6×10
6細胞/ml)25μlを、96ウェル白色アッセイプレートの、2つに重複させたウェルに、0.1μg/mlで開始する連続希釈抗体25μlと混合した。試験した抗体は、AGEN2041w、参照抗CTLA−4 IgG
2抗体、およびIgG
2アイソタイプ対照抗体であった。その後、エフェクター細胞(6×10
6細胞/ml)25μlを各々のウェルに添加し、エフェクター対標的の比が1:1となるようにした。プレートを37℃、5% CO
2で20時間、インキュベートした。このインキュベーションの後、Bio−Gloルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)を室温で解凍し、各々のウェルに75μlを添加した。5〜10分以内に、EnVisionマルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer)を使用しルミネセンスを測定した。バックグラウンドのルミネセンスを各々のサンプルの読み取り値から差し引き、補正した相対光単位(RLU)を記録した。
【0312】
図11に示されるように、CTLA−4を発現する細胞に結合すると、IgG
2抗体AGEN2041wはFcγRIIA
H131を活性化した。
【0313】
6.2.9 抗CTLA−4抗体のアンタゴニスト活性に対するFcガンマ受容体結合の効果
この実施例では、抗CTLA−4抗体のアンタゴニスト活性に対するFcγR結合の効果を調べた。
【0314】
最初に、AGEN1884w−105およびAGEN1884w−N297Aの、細胞表面に発現したCTLA−4への結合を、セクション6.1.2に記載のアッセイと同様のフローサイトメトリーアッセイにおいて比較した。簡潔に述べると、まず、ヒトCTLA−4(Promega)を過剰発現するJurkat細胞を、AGEN1884w−105、AGEN1884w−N297A、またはIgG
1アイソタイプ対照の連続希釈液で染色し、その後、PEコンジュゲートマウス抗ヒトカッパ抗体(Invitrogen)で染色した。サンプルをFACSCanto II(BD Biosciences)において取得し、平均蛍光強度(MFI)を、FlowJoソフトウェア(FlowJo、LLC)を使用して分析した。AGEN1884w−105およびAGEN1884w−N297Aは、ヒトCTLA−4を過剰発現するJurkat細胞に対する同様の結合を示した(
図12A)。
【0315】
次に、in vitroでの機能的活性に対するFc受容体(FcR)会合の依存性を、セクション6.1.6に記載のアッセイと同様のアッセイにおいてアセスメントした。簡潔に述べると、100ng/mlのSEA(Toxin Technologies)および20μg/mlのAGEN1884w−105、AGEN1884w−N297A、またはIgG
1アイソタイプ対照の存在下で、ヒトPBMCを5日間、培養した。IL−2の力価は、電気化学発光(MSD)によって決定した。
【0316】
AGEN1884w−N297Aは、細胞表面に発現したCTLA−4に対する同様の結合にもかかわらず(
図12A)、初代ヒトPBMCアッセイにおけるAGEN1884w−105のものと比較して、IL−2分泌の増強の低下を示した(
図12B)。
【0317】
機能的活性のためのFcR会合の必要性のさらなる証拠として、FcRブロッカーの存在下または非存在下における、IL−2分泌を誘導する能力について、抗CTLA−4抗体を試験した。
【0318】
ペニシリン、ストレプトマイシン、および10% FBS(Hyclone)を補充したRPMI1640中の凍結保存したPBMC(10
5細胞/ウェル)を、96ウェルNUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))に添加した。細胞を、100ng/mlのSEA(Toxin Technologies)および10μg/mlの抗CTLA−4 IgG
1抗体またはヒトIgG
1アイソタイプ対照と共に、FcRブロッカーの存在下または非存在下において、37℃、5% CO
2、および湿度97%で、5日間、培養した。試験した抗CTLA−4抗体は、参照IgG
1抗体(
図13A)およびAGEN1884w−105(
図13B)であった。FcRブロッカーは、抗CD16(Biolegend #302013)、抗CD32(R&D #AF1330)および抗CD64(R&D #AF1257)抗体(各々10μg/ml)(
図13A)または抗CD32抗体(eBiosciences #16−0329−81)のみ(
図13B)であった。
図13Bの対照群においては、AGEN1884w−105およびヒトIgG
1アイソタイプ対照もまた、図に示されるようにマウスIgG
1アイソタイプ対照(Biolegend #400124)と共にインキュベートした。清澄した上清を回収し、分析まで−80℃で保存した。IL−2の力価は、電気化学発光(MSD)によって生成された。
【0319】
CD16、CD32およびCD64に対する抗体(
図13A)を使用した、またはCD32に対する抗体(
図13B)を使用した、FcR遮断は、この初代ヒトPBMCアッセイにおいて抗CTLA−4抗体がIL−2分泌を誘導する能力を減少させた。
【0320】
次に、突然変異したFc領域を有するいくつかの抗CTLA−4抗体の機能的活性を、PBMCを使用して試験した。簡潔に述べると、96ウェルNUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))内に、ノルモシン(商標)(Invivogen)および10%熱不活性化FBS(Gibco、Invitrogen Corporation)を補充したRPMI1640中に10
5細胞/ウェルで、凍結保存されたヒトPBMC(Research Blood Components)をプレーティングした。細胞を、142ng/mlのSEA(Toxin Technologies)および10μg/mlのAGEN1884w、AGEN1884w−N297A、AGEN1884w−S267E/L328F、AGEN1884w−S239D/A330L/I332E、AGEN2041w、IgG
1アイソタイプ対照抗体、またはIgG
2アイソタイプ対照抗体の存在下、37℃、5% CO
2および97%湿度で5日間、培養した。清澄した上清を回収し、分析まで−80℃で保存した。IL−2の濃度をELISAにより測定した。
【0321】
FcγRIIIAへの結合を増強する、Fc領域の3重突然変異S239D/A330L/I332Eを有するAGEN1884wは、野生型IgG
1 Fc領域を有するAG
EN1884wよりも、多くのIL−2分泌を刺激した(
図14)。
【0322】
6.2.10 Fc媒介エフェクター細胞ポテンシャル
この例においては、NK細胞の細胞傷害性を媒介する能力について、抗体AGEN1884wを分析した。簡単に説明すると、細胞表面上のCTLA−4を恒常的に発現するように遺伝子操作されたJurkat細胞(標的細胞)を、96ウェル丸底プレート中に1×10
4細胞/ウェルで、培養した。漸増濃度のAGEN1884w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体またはアイソタイプ対照抗体(すべて0〜10μg/mlで)および5×10
4個のNK92−FcγRIIIA細胞(エフェクター細胞)を標的細胞に添加した。37℃および5% CO
2で6時間、インキュベートした後、細胞傷害性検出キット(LDH)(Cytotoxicity Detectionキット;Roche)を製造業者の取扱説明書に従って使用して、上清中に放出された乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の測光定量により、標的細胞の溶解をアセスメントした。SoftMax(登録商標)Pro マイクロプレートデータ取得および解析ソフトウェア(Microplate Data Acquisition&Analysis Software)を使用して、データを取得した。すべての抗体濃度を3つに重複させて試験した。
【0323】
図15に示されるように、抗体AGEN1884wは、エフェクター細胞の存在下で、CTLA−4発現標的細胞の溶解を効果的に媒介した。
【0324】
6.2.11 抗CTLA−4抗体のエピトープマッピング
AGEN1884w(AGEN1884w−Fab)のFab断片とヒトCTLA−4の細胞外ドメインとの相互作用を、水素−重水素交換(HDX)質量分析によって調査した。CTLA−4細胞外ドメイン単独またはAGEN1884w−Fabとの組合せで、pH7.4のリン酸緩衝化生理食塩水中で、10倍量の酸化ジュウテリウム標識バッファーで希釈し、室温で様々な時間(0、60、300、1800、および7200秒)、インキュベートした。1容量の4Mグアニジン塩酸塩、0.85M TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)バッファーを添加することによって、重水素の水素との交換をクエンチし、最終pHは2.5であった。その後、サンプルをオンカラムでペプシン/プロテアーゼタイプXII消化に供し、LC−MS分析に供した。MS単独のモードで質量スペクトルを記録した。重水素取り込みの算出のために、与えられたペプチドについての質量スペクトルを、抽出されたイオンクロマトグラムピークにわたって組み合わせ、加重平均m/zを算出した。天然ペプチドの質量(0分)から加重平均質量までの質量増加は、重水素取り込みのレベルに対応する。すべてのペプチドの交換時間にわたる重水素ビルドアップ曲線を、さらなる分析のためにプロットし、HDExaminerソフトウェアを用いて比較した。
【0325】
大部分のCTLA−4ペプチドは、抗ヒトCTLA−4 Fabの存在下および非存在下で、同一または類似の重水素レベルを示した。しかしながら、いくつかのペプチドセグメントにおいては、Fab結合に際して重水素取り込みが有意に減少することが見出された。本段落のすべての残基は、配列番号77に従って番号付けされている。ヒトCTLA−4をFabに結合させた場合、Q
80VT
82(配列番号78)およびY
135PPPYYLGIGNGTQI
149(配列番号79)の2つの領域が、強い重水素保護となった。重水素の取り込みの最も強い減少がY
140L
141で観察されたが、それ故にこれはCTLA−4上のAGEN1884wのエピトープの主要な特徴であるように思われた。AGEN1884wが強く結合するヒトおよびカニクイザルCTLA−4の配列の検査により、上に記載の2つの領域において、141位のロイシンのメチオニン置換を除いて、ほぼ完全な配列同一性が明らかになった(
図17A)。その一方で、AGEN1884wは、Y
140LGI
143(配列番号80)の4つの位置のうちの3つでヒトCTLA−4と異なるマウスまたはラットのいずれかのCTLA−4(
図17A)に有意な程度で
結合しなかった(データは示さず)。さらなる選択性データは、AGEN1884wが、ヒトおよびカニクイザルCTLA−4に対して高い特異性で結合するが、CD28、ICOS、BTLAおよびPD−1を含む他の関連CD28ファミリーメンバーには結合しないことを示した(データは示さず)。これらの関連タンパク質間の配列比較により、非CTLA−4タンパク質のすべてが、Y
140LGI
143(配列番号80)配列(
図17B)において異なることが示され、AGEN1884wの結合に対するこのエピトープの重要性がさらに支持された。
【0326】
6.2.12 カニクイザルにおけるT依存性抗体応答(TDAR)調査
カニクイザルにおける8週間のTDAR調査を行って、AGEN1884wおよびAGEN2041wが、B型肝炎ワクチン(ENERIX−G(登録商標))(HBsAg)に対するT細胞依存性抗体応答を増強する能力を調べた。1日目(予備(prime))および29日目(追加(boost))の後肢に、注入当たり10μg(合計30μg)で3回の皮下注射で、HBsAgワクチンを投与した。1日目および29日目に、ワクチン抗原と共に、静脈内ボーラス注射(10mg/kg)によりAGEN1884w(N=6)またはAGEN2041w(N=6)を2回投与した。同じ投与スケジュールを使用して、1つの動物対照群(N=3)には、3mg/kgの参照抗CTLA−4 IgG
1抗体と組み合わせてHBsAgワクチンを与え、他の動物対照群(N=6)には、対照物:20mMトリス塩酸塩、100mM NaCl、1%マンニトール、0.10mM DTPA、0.01%ポリソルベート80、pH7.0と共にHBsAgを与えたが、抗CTLA−4抗体は投与しなかった。8週間の調査の間、調査期間中の選択した時点(−20日目、−7日目、+15日目、+29日目、+43日目、+59日目、および+69日目)で採取した血清サンプルについて、抗HBsAg(IgG)解析を行った。比色ELISAアッセイによって、血清力価を測定した。
【0327】
AGEN1884w、AGEN2041w、参照抗CTLA−4 IgG
1抗体、または対照物を与えられた動物は、第2のワクチン用量後、ピークとなって減退する、測定可能な抗体力価で正常な既往応答を示した(
図18Aおよび18B)。しかしながら、AGEN1884w、AGEN2041w、および参照抗CTLA−4 IgG
1抗体は、抗CTLA−4抗体の非存在下で与えられた対照物を超えて抗HBsAg IgG応答を増強することが示された。
【実施例3】
【0328】
6.3 実施例3:抗CTLA−4抗体の特徴付け
この実施例においては、以下の19種の抗CTLA−4抗体を結合およびリガンドブロッキングについて特徴付けた:AGEN1884、AGEN1885、AGEN1886、AGEN1887、AGEN1888、AGEN1889、AGEN1890、AGEN1891、AGEN1892、AGEN1893、AGEN1894、AGEN1895、AGEN1896、AGEN1897、AGEN1898、AGEN1899、AGEN1900、AGEN1901、およびAGEN1902。これらの抗体の可変重鎖および可変軽鎖配列を表6において開示した。
図19Aおよび19Bは、それぞれ、可変重鎖および可変軽鎖の配列アラインメントを示す。
【0329】
6.3.1 抗CTLA−4抗体の結合およびリガンドブロッキング分析
上に記載の19種の抗CTLA−4抗体の親和性を、セクション6.1.1に記載したものと同様のアッセイで、表面プラズモン共鳴によって分析した。試験したCTLA−4抗原は、組換えヒトCTLA−4−Fc(R&D Systems、#7268−CT)であった。抗CTLA−4抗体(ランニングバッファー中に6μg/ml)をCM5センサーチップのチップ表面に捕捉した。19種の抗体は、nMの親和性で組換えヒトCTLA−4に結合した(データは示さず)。
【0330】
19種の抗CTLA−4抗体のリガンドブロッキング活性を、セクション6.1.5に記載したものと同様のアッセイで、サスペンションアレイ技術を使用して調べた。様々な濃度の抗CTLA−4抗体(ビーズを添加する前に3,000ng/ml〜12ng/ml)の存在下で、リガンドブロッキングを試験した。
図20A〜20Eに示されるように、19種の抗CTLA−4抗体のすべてが、CTLA−4のCD80およびCD86への結合を遮断した。
【0331】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際に、記載されたものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明および付属の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0332】
本明細書中に引用されるすべての参考文献(例えば、刊行物または特許もしくは特許出願)は、各々の個別の参考文献(例えば、刊行物または特許もしくは特許出願)が具体的かつ個別に参照によってその全体がすべての目的のために本明細書に組み入れると示されているのと同じ程度に、参照によってその全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる。他の実施形態は、下記の特許請求の範囲内である。