(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光変換樹脂組成物は、散乱粒子、カルド系バインダー樹脂を含むアルカリ可溶性樹脂、添加剤および溶剤よりなる群から選ばれる一つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光変換樹脂組成物。
前記シラン変性エポキシ樹脂は、水酸基含有エポキシ樹脂とアルコキシシランとの脱アルコール縮合反応により製造されることを特徴とする請求項1に記載の光変換樹脂組成物。
前記量子ドットは、InP、ZnS、ZnSe、PbSe、AgInZnSおよびZnOから選ばれる1種以上の物質を含むコア;およびZnSe、ZnS、ZnTe、PbS、TiO、SrSeおよびHgSeから選ばれる1種以上の物質を含むシェル;を含むことを特徴とする請求項1に記載の光変換樹脂組成物。
前記量子ドットは、表面に配置されるポリエチレングリコール系リガンドを含む2種以上の非カドミウム系量子ドットを含むことを特徴とする請求項1に記載の光変換樹脂組成物。
前記アルカリ可溶性樹脂は、アクリル系バインダー樹脂およびエポキシバインダー樹脂の中から選ばれる1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の光変換樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0014】
本発明で任意の部材が他の部材「上に」位置しているというとき、これは、任意の部材が他の部材に当接している場合だけでなく、二つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0015】
本発明で任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
<光変換樹脂組成物>
本発明の光変換樹脂組成物は、量子ドット、熱硬化剤およびチオール化合物を含み、前記熱硬化剤は、多官能脂環族エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂およびシラン変性エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる一つ以上を含み、前記熱硬化剤対前記チオール化合物の当量比は、0.1:0.9〜0.4:0.6であることを特徴とすることによって、輝度特性および高温、高湿状態での長期信頼性に優れているという効果がある。
【0017】
量子ドット
本発明による光変換樹脂組成物は、量子ドットを含む。
【0018】
本発明の光変換樹脂組成物に含まれる量子ドットは、ナノサイズの半導体物質である。原子が分子を構成し、分子は、クラスター(cluster)という小さい分子の集合体を構成してナノ粒子を形成するが、このようなナノ粒子が特に半導体の特性を帯びているとき、これを量子ドットという。このような量子ドットは、外部からエネルギーを受けて励起状態になると、自体的にエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する特性を有している。要するに、本発明の光変換樹脂組成物は、このような量子ドットを含むことによって、入射した青色光源を介して緑色光および赤色光への光変換が可能である。
【0019】
前記量子ドットは、光による刺激で発光できるものであれば、特に限定されるものではないが、II−VI族半導体化合物、III−V族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、およびIV族元素またはこれを含む化合物から選ばれる1種以上が使用することができる。
【0020】
前記II−VI族半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTeおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上であってもよい。
【0021】
前記III−V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上であってもよい。
【0022】
前記IV−VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上であってもよい。
【0023】
前記IV族元素またはこれを含む化合物は、Si、Ge、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる元素化合物;およびSiC、SiGe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0024】
本発明の一実施形態による光変換樹脂組成物は、前述した量子ドットのうちでも非カドミウム系量子ドットを含むことによって、環境汚染の問題を改善させることができ、前記非カドミウム系量子ドットのうちでもInPコアを有する2種以上の量子ドットを含むことによって、発光効率がさらに向上することができるという利点がある。
【0025】
前記量子ドットは、均質な(homogeneous)単一構造;コア−シェル(core−shell)構造、グラジエント(gradient)構造等のような二重構造;またはこれらの混合構造であってもよい。例えば前記コア−シェルの二重構造において、それぞれのコアとシェルを構成する物質は、前記に言及された互いに異なる半導体化合物からなり得る。本発明の一実施形態によれば、前記コアは、lnP、ZnS、ZnSe、PbSe、AgInZnSおよびZnOから選ばれる1種以上の物質を含むことができ、前記シェルは、ZnSe、ZnS、ZnTe、PbS、TiO、SrSeおよびHgSeから選ばれる1種以上の物質を含むことができ、この場合、発光効率がさらに向上することができるという利点がある。
【0026】
例えば、コア−シェル構造の量子ドットは、InP/ZnS、InP/GaP/ZnS、InP/GaP/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSeTe/ZnSおよびInP/MnSe/ZnS等が挙げられる。
【0027】
前記量子ドットは、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程(MOCVD、metal organic chemical vapor deposition)または分子線エピタキシー工程(MBE、molecular beam epitaxy)により合成され得るが、これらに限定されるものではない。
【0028】
前記量子ドットは、入射した青色光源を用いて、緑色光および赤色光への光変換のために、中心励起波長が互いに異なる2種またはそれ以上の量子ドットを含むことができる。この際、2種以上の量子ドットの中心励起波長の差は、50nm以上であってもよいが、このように中心励起波長の差が50nm以上の場合、緑色および赤色光への光変換がより容易になり得るという利点がある。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記量子ドットは、ポリエチレングリコール系リガンドを含む2種以上の非カドミウム系量子ドットであってもよく、前記ポリエチレングリコール系リガンドは、下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0031】
(前記化学式1で、
A
1は、下記化学式1−1で表され、
または炭素数1〜20の直鎖アルキル基であり、
aは、2〜100の整数である)
【0033】
(前記化学式1−1で、
A
3は、直接連結基または炭素数1〜10のアルキレン基であり、
A
4は、下記化学式1−2で表され、
*は、結合手を意味する)
【0035】
(前記化学式1−2で、
A
5は、酸素原子または硫黄原子であり、
A
6は、直接連結基または炭素数1〜10のアルキレン基であり、
よりなる群から選ばれ、
bは、0〜1の整数であり、cは、0〜10の整数であり、
*は、結合手を意味する)。
【0036】
具体的に前記化学式1の化合物は、下記化学式2で表される化合物を含むことができる。
【0038】
(前記化学式2で、
炭素数1〜20の直鎖のアルキル基および炭素数3〜20の分岐鎖のアルキル基よりなる群から選ばれ、
dは、0〜5の整数であり、eは、0〜1の整数であり、fは、2〜50の整数である)。
【0039】
このように、本発明のポリエチレングリコール系リガンドが、前記化学式2で表される化合物を含む場合、分散性および光特性がさらに向上することができるという利点がある。
【0040】
前記化学式1で「アルキル基」は、直鎖または分岐鎖それぞれの炭素数が前記定義された通りであり、その他の内容は、後述する「アルキル基」の内容が同一に適用され得る。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記ポリエチレングリコール系リガンドは、より具体的に、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(2−(2−Methoxyethoxy)acetic acid、WAKO社製)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(2−[2−(2−Methoxyethoxy)ethoxy]acetic acid、WAKO社製)、コハク酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethyl]ester)、マロン酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル(Malonic acid mono−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethyl]ester)、ペンタン二酸モノ−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エチル}エステル(Pentanedioic acid mono−{2−[2−(2−ethoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethyl}ester)、{2−[2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−エトキシ]−エトキシ}−酢酸({2−[2−(2−Ethyl−hexyloxy)−ethoxy]−ethoxy}−acetic acid)、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−ethoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl]ester)、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl]ester)、マロン酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−イソブトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Malonic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−isobutoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl]ester)、ヘキサン二酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Hexanedioic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl]ester)、2−オキソ−ヘキサン二酸6−(2−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エチル)エステル(2−Oxo−hexanedioic acid 6−(2−{2−[2−(2−ethoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethyl)ester)、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl]ester)、O−(スクシニル)−O′−メチルポリエチレングリコール2′000(O−(Succinyl)−O′−methylpolyethylene glycol 2′000、Aldrich社)、(2−ブトキシ−エトキシ)−酢酸((2−Butoxy−ethoxy)−acetic acid、WAKO社製)、{2−[2−(カルボキシメトキシ)エトキシ]エトキシ}酢酸({2−[2−(carboxymethoxy)ethoxy]ethoxy}acetic acid、WAKO社製)、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]酢酸(2−[2−(Benzyloxy)ethoxy]acetic acid)、(2−カルボキシメトキシ−エトキシ)−酢酸((2−Carboxymethoxy−ethoxy)−acetic acid、WAKO社製)、(2−ブトキシ−エトキシ)−酢酸((2−Butoxy−ethoxy)−acetic acid、WAKO社製)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
前述したように、本発明の量子ドットがポリエチレングリコール系リガンドをさらに含む場合、トルエン、ヘキサン、クロロホルムのように揮発性が大きい溶剤でなく、カラーフィルターの量産ラインで使用されているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような溶剤を使用する場合にも、量子ドットの分散特性が良好になり得るという利点がある。
【0043】
前記量子ドットは、光変換樹脂組成物の固形分100重量部に対して1〜60重量部、好ましくは2〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部で含まれ得る。前記量子ドットが前記範囲内に含まれる場合、発光効率に優れ、コーティング層の信頼性に優れているという利点がある。前記非カドミウム系量子ドットが前記範囲未満で含まれる場合、緑色光および赤色光の光変換効率が不十分であり、前記範囲を超過する場合、相対的に青色光の放出が低下して、色再現性が劣る問題が発生し得る。
【0044】
散乱粒子
本発明の一実施形態による光変換樹脂組成物は、散乱粒子をさらに含むことができる。
【0045】
前記散乱粒子は、通常の無機材料を使用することができ、好ましくは平均粒径が50〜1000nmの金属酸化物を含むことができる。
【0046】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、Inおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種の金属を含む酸化物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記散乱粒子は、Al
2O
3、SiO
2、ZnO、ZrO
2、BaTiO
3、TiO
2、Ta
2O
5、Ti
3O
5、ITO、IZO、ATO、ZnO−Al、Nb
2O
3、SnO、MgOおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種を含むことができ、この場合、光効率がさらに向上することができるという利点がある。必要な場合、アクリレート等の不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0048】
ただし、本発明による光変換樹脂組成物が散乱粒子を含む場合、前記散乱粒子を通じて量子ドットから放出された光の経路を増加させて、光変換コーティング層における全体的な光効率を高めることができるので好ましい。
【0049】
前記散乱粒子は、50〜1000nmの平均粒径を有し得、好ましくは100〜500nmの範囲であるものを使用する。この際、粒子のサイズが小さすぎると、量子ドットから放出された光の十分な散乱効果を期待することができず、これとは反対に、大きすぎる場合には、組成物内に沈んだり、均一な品質の自発光層の表面が得られないので、前記範囲内で適切に調節して使用する。
【0050】
前記散乱粒子は、前記光変換樹脂組成物の全体固形分100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部で含まれ得る。
【0051】
前記散乱粒子が前記範囲内に含まれる場合、発光強度の増加効果が最大化され得るので好ましい。前記散乱粒子が前記範囲未満で含まれる場合、得ようとする発光強度の確保が多少困難になり得、前記範囲を超過する場合には、青色照射光の透過度が顕著に低下して、色再現性に問題が発生し得るので、前記範囲内で適切に使用することが好ましい。
【0052】
チオール化合物
本発明による光変換樹脂組成物は、チオール化合物を含む。
【0053】
前記チオール化合物は、量子ドットが高温工程中に酸化および変色するのを防止することができ、塗膜内硬化度の向上によって長期間青色光に対する耐性の評価時に光効率が低下するのを防止する効果を期待することができる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、前記チオール化合物は、下記化学式3で表される化合物を含むことによって、光効率低下防止の効果がさらに向上することができるという利点がある。
【0056】
前記化学式3で、
Rsは、水素またはC1〜C12のアルキル基であり、Rpは、C1〜C12のアルキレン基であり、Rqは、炭素以外の原子を含むか、含まないn価の脂肪族炭化水素基であり、tは、2〜4の整数である。
【0057】
本発明において、前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3、3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1、1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、2−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0058】
前記アルキレン基は、アルキル基の2価置換基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、キシレン基、エチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、ウンデカニレン基、ドデカニレン基、トリデカニレン基、テトラデカニレン基、ヘキサデカニレン基、ヘプタデカニレン基またはノナデカニレン基等があるが、これらに限定されない。
【0059】
また、本発明の一実施形態によれば、前記チオール化合物は、下記化学式4〜化学式11で表される化合物のうち一つ以上を含むことができる。
【0068】
前記チオール化合物を含むことによって、熱硬化後に青色光に対する耐性が優秀になり得る。
【0069】
本発明の実施形態によれば、前記チオール化合物は、前記光変換樹脂組成物の固形分100重量%に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.1〜30重量%で含まれ得る。前記チオール化合物の含量が前記範囲を満たす場合には、熱硬化後に優れた青色光に対する耐性が向上することができる。他方で、前記チオール化合物が前記範囲を外れた場合には、熱硬化後に青色光に対する耐性が低下し得るという問題がある。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、前記酸化防止剤対チオール化合物の重量比は、1:4〜1:19であってもよく、好ましくは1:4〜1:15であってもよく、より好ましくは1:4〜1:10であってもよい。本発明の光変換樹脂組成物が前述した比率の酸化防止剤およびチオール化合物を含む場合、製造過程のうちPoB工程以後に量子ドットを保護するための無機層を蒸着する前までの放置時間の間大気中の量子ドットが大気中の酸素と反応して消光する現象を抑制することによって、光維持率または耐光性が向上することができる利点がある。すなわち、前述した範囲を外れる場合、放置時間によって量子ドットが消光することによって、光維持率または耐光性が低下することができる。
【0071】
熱硬化剤
本発明による光変換樹脂組成物は、熱硬化剤を含む。
【0072】
前記熱硬化剤は、高温工程での黄変発生を防止することができ、量子ドット蛍光体の発光効率が低下するのを防止する効果を期待することができる。
【0073】
前記熱硬化剤は、多官能脂環族エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂およびシラン変性エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる一つ以上を含み、例えば、下記化学式12〜化学式16で表される化合物のうち一つ以上を含むことができる。
【0074】
前記多官能脂環族エポキシ樹脂は、下記化学式12または13で表される化合物を含むことができる。
【0076】
前記化学式12で、
Rは、C1〜C10アルキル基であり、
r、sおよびpは、それぞれ独立して、1〜20の整数である。
【0078】
本発明において、前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることを除いて、前述したアルキル基に関する内容を適用することができる。
【0079】
前記多官能脂環族エポキシ樹脂の市販品としては、ダイセル化学工業株式会社製の「CEL−2021」、脂環式固形エポキシ樹脂「EHPE−3150」、エポキシ化ポリブタジエン「PB3600」、可撓性脂肪環エポキシ化合物「CEL−2081」、ラクトン変性エポキシ樹脂「PCL−G」等が使用することができる。また、その他にも、ダイセル化学工業株式会社製の「セロキサイド2000」、「エポリードGT−3000」、「GT−4000」等が使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0080】
前記多官能脂環族エポキシ樹脂を使用することによって、高温工程での黄変が発生しないので、量子ドット蛍光体の発光効率の光維持率が低下しないという利点がある。
【0081】
前記ノボラックエポキシ樹脂は、下記化学式14で表される化合物を含むことができる。
【0083】
前記化学式14で、vは、1〜20の整数である。
【0084】
前記ノボラックエポキシ樹脂の市販品としては、スミエポキシESCN 195XL(住友化学工業株式会社製造)等が使用することができるが、これに限定されない。
【0085】
前記ノボラックエポキシ樹脂を使用することによって、高温工程での黄変が発生しないので、量子ドット蛍光体の発光効率の光維持率が低下しないという利点がある。
【0086】
前記シラン変性エポキシ樹脂は、水酸基含有エポキシ樹脂とアルコキシシランとの脱アルコール縮合反応により製造され得る。
【0087】
前記水酸基含有エポキシ樹脂は、下記化学式15で表される化合物を含むことができる。
【0089】
前記化学式15で、xは、1〜34の整数である。
【0090】
前記アルコキシシランは、下記化学式16で表される化合物を含むことができる。
【0091】
[化学式16]
(R
15)
ySi(OR
16)
4−y
【0092】
前記化学式16で、
yは、0または1の整数であり、
R
15は、炭素原子に直結した官能基を有し得るC1〜C6のアルキル基、C6〜C12のアリール基またはC2〜C6の不飽和脂肪族残基であり、
R
16は、水素原子またはC1〜C6のアルキル基であり、
複数のR
16は、互いに同一または異なる。
【0093】
前記アルキル基は、炭素数が1〜6であることを除いて、前述したアルキル基に関する内容を適用することができる。
【0094】
前記アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。前記単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、スチルベニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
前記不飽和脂肪族残基は、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
前記シラン変性エポキシ樹脂の市販品としては、コンポセランE−101、E−102、E−201、E−202、E−211、E−212(荒川化学工業社製造の商品名)等が使用することができるが、これらに限定されない。
【0097】
前記シラン変性エポキシ樹脂を使用する場合、高温工程での黄変が発生しないので、量子ドット蛍光体の発光効率の光維持率が低下しないという利点がある。
【0098】
前記熱硬化剤は、前記光変換樹脂組成物の固形分100重量%に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜48重量%、より好ましくは1〜45重量%で含まれ得る。前記熱硬化剤が前記範囲を満たす場合には、高温工程での黄変が発生しないので、量子ドット蛍光体の発光効率の光維持率が低下しないという効果がある。他方で、前記熱硬化剤が前記範囲を外れる場合には、高温工程で黄変が発生する可能性が多少増加し得る。
【0099】
本発明において前記熱硬化剤対前記チオール化合物の当量比は、0.1:0.9〜0.4:0.6である。前記熱硬化剤対前記チオール化合物の当量比が前記範囲以内の場合には、高温の工程を経ながら酸素障害を受けず、早く反応して高い架橋密度を形成し、多官能基チオール化合物が量子ドットのコア−シェルを保護する密度が向上するようになって、量子ドットが消光するのを防止することができる。他方で、前記範囲を外れる場合には、高温工程で熱硬化剤の含量の増加によって黄変および量子ドットが消光する恐れがある。
【0100】
アルカリ可溶性樹脂
カルド系バインダー樹脂
本発明による光変換樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含むことができ、前記アルカリ可溶性樹脂は、カルド系バインダー樹脂を含むことができ、この他にアクリル系バインダー樹脂およびエポキシバインダー樹脂の中から選ばれる1種以上をさらに含むことができる。
【0101】
前記カルド系バインダー樹脂は、光や熱の作用による反応性を有し、量子ドットの分散媒として作用する。本発明の光変換樹脂組成物に含有されるカルド系バインダー樹脂は、量子ドットに対する結合剤樹脂として作用し、光変換コーティング層の支持体として使用が可能な樹脂であれば、制限されない。
【0102】
前記カルド系バインダー樹脂は、下記化学式17〜化学式22のうち少なくとも一つの反復単位を含むことができる。
【0107】
前記化学式17〜20で、
XおよびX′は、それぞれ独立して、単一結合、−CO−、−SO
2−、−C(CF
3)
2−、−Si(CH
3)
2−、−CH
2−、−C(CH
3)
2−、−O−、
Yは、酸無水物残基であり、
Zは、酸二無水物残基であり、
R′は、水素原子、エチル基、フェニル基、−C
2H
4Cl、−C
2H
4OHまたは−CH
2CH=CH
2であり、
R1、R1′、R2、R2′、R3、R3′、R4、R4′、R5、R5′、R6およびR6′は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、
R7、R7′、R8およびR8′は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基または炭素数3〜6の分岐鎖のアルキレン基であり、前記アルキレン基は、エステル結合、炭素数6〜14のシクロアルキレン基および炭素数6〜14のアリレン基のうち少なくとも一つで中断され得、
R9、R9′、R10、R10′、R11、R11′、R12およびR12′は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6の直鎖のアルキル基または炭素数3〜6の分岐鎖のアルキル基であり、
mおよびnは、それぞれ、0≦m≦30、0≦n≦30を満たす整数であり、
ただし、mおよびnは、同時に0ではない。
【0110】
前記化学式21および22で、
Pは、それぞれ独立して、
R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、ニトロ基またはハロゲン原子であり、
Ar1は、それぞれ独立して、C6〜C15アリール基であり、
Y′は、酸無水物残基であり、
Z′は、酸二無水物残基であり、
A′は、O、S、N、SiまたはSeであり、
aおよびbは、それぞれ独立して、1〜6の整数であり、
pおよびqは、それぞれ独立して、0〜30の整数であり、
ただし、pおよびqは、同時に0ではない。
【0111】
本発明による光変換樹脂組成物が前記化学式17〜化学式22の反復単位のうち少なくとも一つの反復単位を含むカルド系バインダー樹脂を含む場合、工程間信頼性が優秀になり得る。それだけでなく、現像速度を迅速に調節することができるので、パターン残渣の発生を抑制することができ、アウトガスの発生を最小化して、パネルの作動時に残像が発生しないようにすることができる。また、優れた熱流れ性によりパターン直進性が改善され得、逆テーパーが発生しないため、表示不良の改善に有利になり得、優れた反射防止効果によって高品質の画質、優秀な耐熱性、耐化学性、耐久性および信頼性の付与が可能であるという利点がある。
【0112】
前記化学式17および19のYは、酸無水物の残基であって、本発明のカルド系バインダー樹脂の合成中間体であるビスフェノールエポキシアクリレート化合物を酸無水物化合物と反応させて得られることができる。残基Yを導入できる酸無水物化合物は、特に限定されず、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0113】
前記化学式18および20のZは、酸二無水物の残基であって、本発明のカルド系バインダー樹脂の合成中間体であるビスフェノールエポキシアクリレート化合物を酸二無水物化合物と反応させて得られることができる。残基Zを導入できる酸二無水物化合物は、特に限定されず、例えば、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボキシ酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボキシ酸二無水物等の芳香族多価カルボキシ酸無水物が挙げられる。
【0114】
前記「酸二無水物」は、分子内に酸無水物基を二つ含む化合物を意味する。
【0115】
本発明では、前記カルド系バインダー樹脂の製造方法を特に限定しない。例えば、ビスフェノール化合物とエポキシ化合物を反応させてビスフェノールエポキシ化合物を合成した後、合成されたビスフェノールエポキシ化合物をアクリレート化合物と反応させてビスフェノールエポキシアクリレート化合物を合成した後、ビスフェノールエポキシアクリレート化合物を酸無水物、酸二無水物またはこれらの混合物と反応させて製造することができるが、これらに限定されない。
【0116】
このように、カルド系バインダー樹脂が含まれる場合、前記カルド系バインダー樹脂は、前記光変換樹脂組成物の全体100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部で含まれ得る。前記カルド系バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、現像液への溶解性が十分であるので、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、現像時に露光部の画素部分の膜減少が生じにくいため、非画素部分の欠落性が良好な傾向にあるという利点があるので好ましい。
【0117】
前記アクリル系バインダー樹脂は、20〜200(mgKOH/g)の酸価を有し、重量平均分子量が3,000〜200,000、好ましくは5,000〜100,000であってもよく、分子量分布度は、1.5〜6.0、好ましくは1.8〜4.0の範囲を有するように、直接重合したり購入して使用することができる。前記範囲の分子量および分子量分布度を有するアクリル系樹脂は、硬度が向上し、高い残膜率を示すことができるという利点がある。
【0118】
また、前記アクリル系バインダー樹脂は、カルボキシル基と不飽和結合を有する単量体、およびこれと共重合が可能な不飽和結合を有する単量体を共重合して製造が可能である。
【0119】
前記カルボキシル基と不飽和結合を有する単量体の具体例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;フマル酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;およびこれらジカルボン酸の無水物;カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシル基と水酸基を有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0120】
より具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸またはマレイン酸アルキルエステル等が可能であり、この際、前記マレイン酸アルキルエステルには、モノメチルマレイン酸、エチルマレイン酸、n−プロピルマレイン酸、イソプロピルマレイン酸、n−ブチルマレイン酸、n−ヘキシルマレイン酸、n−オクチルマレイン酸、2−エチルヘキシルマレイン酸、n−ノニルマレイン酸またはn−ドデシルマレイン酸等が挙げられる。
【0121】
前記カルボキシル基と不飽和結合を有する単量体およびこれと共重合可能な単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0122】
前記共重合が可能な単量体は、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、カルボン酸ビニルエステル化合物、不飽和エーテル類化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和イミド類化合物、脂肪族共役ジエン類化合物、分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体、バルキー性単量体およびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種が可能である。
【0123】
具体的に、前記共重合が可能な単量体は、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、p−クロロスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテルまたはp−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレートまたはt−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートまたはイソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレートまたはベンジル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド等のN−置換マレイミド系化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド化合物;3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタンまたは2−(メタクリロイルオキシメチル)−4−トリフルオロメチルオキセタン等の不飽和オキセタン化合物等が挙げられる。
【0124】
前記エポキシバインダー樹脂は、アルカリ可溶性基を含む単量体単位および硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応する単量体単位を含む共重合体であり、前記硬化性基含有重合性不飽和化合物は、下記化学式23または化学式24で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン環含有化合物から選ばれる1種以上の化合物であってもよい。
【0127】
(前記化学式23および化学式24で、
Raは、それぞれ、水素原子またはヒドロキシル基で置換され得るC1〜C7のアルキル基であり、Aは、それぞれ、単一結合またはヘテロ原子を含むことができる2価の炭化水素基である)。
【0128】
Raにおいてヒドロキシル基で置換され得る炭素数1〜7のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基等のアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基が挙げられる。R
aとしては、水素原子またはヒドロキシル基で置換され得る炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、その中でも特に水素原子またはメチル基が好ましい。
【0129】
Aにおいてヘテロ原子を含むことができる2価の炭化水素基において、ヘテロ原子は、炭化水素基の末端に結合してもよく、炭化水素基を構成する炭素原子の間に介在してもよい。ヘテロ原子として窒素、酸素、硫黄原子等が挙げられる。
【0130】
Aの他の代表的な例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等のアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のアルキレン基、特に炭素数1〜6のアルキレン基);チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基等のチオアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のチオアルキレン基、特に炭素数1〜6のチオアルキレン基);アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基等のアミノアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のアミノアルキレン基、特に炭素数1〜6のアミノアルキレン基)等が挙げられる。
【0131】
本発明において、「アルキレン基」は、2価であることを除いて、アルキル基と同じ内容を適用することができる。
【0132】
化学式23および化学式24で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン環含有重合性不飽和化合物の代表的な例として、エポキシ化ジクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート;2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その中でもエポキシ化ジクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびエポキシ化ジクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0133】
化学式23で表される化合物と化学式24で表される化合物は、それぞれ単独で使用することができる。また、これらは、任意の比率で混合して使用することができる。両者を混合して使用する場合、好ましくは化学式23:化学式24の比率は、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20である。
【0134】
また、前記エポキシバインダー樹脂は、C1〜C6アルキル基で置換され得るスチレン、下記化学式25で表される不飽和カルボン酸エステルおよびN−置換マレイミドよりなる群から選ばれる1種以上の硬化性基非含有重合性不飽和化合物に対応する単量体単位をさらに含むことができる。
【0136】
前記化学式25で、
R17は、水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、
R18は、炭素数1〜12の1級または2級アルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルアルキル基、または−(R19−O)
m−R20基であり、この際、R19は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基であり、R20は、水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基であり、mは、1以上の整数である。
【0137】
前記1級または2級アルキル基は、1級または2級であることを除いて、前述したアルキル基に対する内容を適用することができる。
【0138】
前記炭素数2〜12のアルケニル基は、ビニル、1−プロフェニル、イソプロフェニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、アリル、1−フェニルビニル−1−イル、2−フェニルビニル−1−イル、2,2−ジフェニルビニル−1−イル、2−フェニル−2−(ナフチル−1−イル)ビニル−1−イル、2,2−ビス(ジフェニル−1−イル)ビニル−1−イル、スチルベニル基、スチレニルであってもよいが、やはりこれらに限定されない。
【0139】
前記アリール基は、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
前記アルアルキル基のアリールの部分は、前述したアリール基に対する内容を適用することができる。
【0141】
前記mは、1以上の整数であることが好ましいが、具体的には、1〜20の整数であってもよいが、これに限定されない。
【0142】
前記エポキシ樹脂が前記化学式25で表される単量体由来の反復単位をさらに含む場合、低温工程でも塗膜内高い硬化密度が形成される利点があるので好ましい。
【0143】
前記アルカリ可溶性樹脂は、前記光変換樹脂組成物の固形分100重量部に対して1〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは30〜50重量部で含まれ得る。前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲内に含まれる場合、現像液での溶解性が十分であるので、パターン形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて、非画素部分の欠落性が良好になるので好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲未満で含まれる場合、非画素部分が多少欠落し得、前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲を超過して含まれる場合、現像液における溶解性が多少低下して、パターン形成が多少困難になり得る。
【0144】
添加剤
本発明による光変換樹脂組成物は、添加剤をさらに含むことができる。
【0145】
前記添加剤は、酸化防止剤であってもよいが、このように酸化防止剤をさらに含む場合、ポストベークの際に熱により発生するラジカルを捕獲してラジカルが量子ドットと反応して発光効率の低下を効果的に抑制および防止することができ、ラジカル捕捉効果に優れているので、少ない含量で使用しても、十分な効果を期待することができる。
【0146】
前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤の中から選ばれた1種以上を含むことができ、これらは、フェノール系−リン系酸化防止剤、フェノール系−硫黄系酸化防止剤、リン系−硫黄系酸化防止剤、またはフェノール系−リン系−硫黄系酸化防止剤の組合せで使用することができる。
【0147】
前記フェノール系酸化防止剤は、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエトキシ]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3′5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4′−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、および1,3,5−トリス(4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよびテトラキス[メチレン−3−(3,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]メタン等が挙げられる。
【0148】
前記フェノール系酸化防止剤のうち、耐熱性および耐熱変色防止の側面から、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエトキシ]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3′5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4′−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよび2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾールが好ましい。
【0149】
市販品としては、Irganox 1010(BASF社製造)、Sumilizer BBM−S(住友化学社製造)、ADK STAB AO−80(ADEKA社製造)、Sumilizer GP(住友化学社製造)、Irganox 1035(BASF社製造)等が挙げられる。
【0150】
前記リン系酸化防止剤は、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)フォスフォラス、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−デシルオキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4′ジイルビスホスホナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステルおよびホスホン酸等が挙げられる。
【0151】
前記リン系酸化防止剤のうち耐熱性および耐熱変色防止の側面から、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)フォスフォラス、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンおよび6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が好ましい。
【0152】
前記硫黄系酸化防止剤は、2,2−ビス({[3−(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)−1,3−プロパンジイル−ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリール−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)および2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0153】
前記硫黄系酸化防止剤のうち耐熱性および耐熱変色防止の側面から、2,2−ビス({[3(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)−1,3−プロパンジイル−ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、2−メルカプトベンズイミダゾール等が好ましい。
【0154】
前記酸化防止剤は、前記光変換樹脂組成物の固形分100重量%に対して、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%が含まれ得る。
【0155】
前記酸化防止剤が前記範囲内に含まれる場合には、発光効率の低下問題の解決の側面から、有利である。前記酸化防止剤が前記範囲未満で含まれる場合には、前述したような効果、すなわちハードベーク工程後に量子ドットの発光効率減少の抑制効果を確保することができない問題点があり、前記範囲を超過して含まれる場合には、熱硬化が完全に行われないという問題点がある。
【0156】
溶剤
本発明による光変換樹脂組成物は、溶剤をさらに含むことができる。
【0157】
本発明の光変換樹脂組成物に含有される溶剤は、少なくとも1種以上を含むことができ、特に沸点が100〜240℃である溶剤が、全体溶剤に対して50%以上含まれる場合、流れ特性が優秀になって、コーティングムラおよび乾燥異物が発生しないので、コーティング異物のない良好な光変換積層基材を提供することができる。
【0158】
前記沸点が100℃未満である溶剤が、全体溶剤の50%以上である場合、乾燥速度が速いため、真空乾燥(Vacuum Dry)工程時に塗膜の表面にムラが発生して不良を引き起こすことができ、他方で、沸点が240℃を超過する溶剤が、全体溶剤の50%以上である場合、真空乾燥工程時に所要時間(Tact−time)が長くなる問題を引き起こすことができる。したがって、全体溶剤の50%以上の溶剤は、沸点が100〜240℃である溶剤を使用することが適切である。
【0159】
具体例としては、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類およびアミド類等よりなる群から選ばれる1種以上を含むことができ、具体的にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノールおよび3−エトキシプロピオン酸エチル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メトキシブチルアセテート、エチレングリコールおよびγ−ブチロラクトン等よりなる群から選ばれる1種〜2種以上であってもよい。
【0160】
前記溶剤は、前記光変換樹脂組成物100重量%に対して30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは60〜75重量%で含まれ得る。前記溶剤が前記範囲内に含まれる場合、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェット等の塗布装置で塗布したとき、塗布性が良好になり得る。
【0161】
<光変換積層基材>
本発明による光変換積層基材は、光変換樹脂組成物の硬化物を含む。前記光変換積層基材は、光変換樹脂組成物の硬化物を含むことによって、基材の上にコーティング層の形成温度が100〜250℃でより効果的に加工することができ、従来の複雑な構造に比べて輝度および長期信頼性が優秀になり得る。
【0162】
前記光変換積層基材は、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)または高分子基板であってもよく、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)等であってもよい。
【0163】
前記光変換積層基材は、前記光変換樹脂組成物を熱硬化して形成され得る。
【0164】
<画像表示装置>
本発明による画像表示装置は、前述した光変換積層基材を含む。前記画像表示装置は、具体的に、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、液晶プロジェクター、ゲーム機用表示装置、携帯電話等の携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カー・ナビゲーション用表示装置等の表示装置等が挙げられ、特にカラー表示装置が適している。
【0165】
前記画像表示装置は、前記光変換積層基材を具備したことを除いて、本発明の技術分野において当業者に知られている構成をさらに含むことができ、すなわち、本発明は、本発明の光変換積層基材を適用できる画像表示装置を含む。
【0166】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を取って詳細に説明する。しかしながら、本明細書による実施例は、様々な他の形態に変形され得、本明細書の範囲が以下で詳述する実施例に限定されると解されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下で含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0167】
製造例1:散乱粒子分散液S1の製造
散乱粒子として粒径100nmのTiO
2(ハンツマン社製、TTO−55(C))70.0重量部、分散剤としてDISPERBYK−2001(BYK社製造)4.0重量部、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート26重量部をビーズミルにより12時間の間混合/分散して、散乱粒子分散液S1を製造した。
【0168】
合成例1:緑色量子ドットの合成(Q−1)
インジウムアセテート(Indium acetate)0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸(palmitic acid)0.6mmol(0.15g)および1−オクタデセン(octadecene)20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換した。280℃に加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS
3P)0.2mmol(58μL)およびトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を迅速に注入し、1分間反応させた。
【0169】
次に、亜鉛アセテート2.4mmol(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInPコア溶液2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中のセレニウム(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間の間反応させた。常温に迅速に冷却した反応溶液にエタノールを入れて、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後、減圧乾燥して、InP/ZnSeコア−シェルを形成させた。
【0170】
次に、亜鉛アセテート2.4mmol(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInPコア溶液2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間の間反応させた。常温に迅速に冷却した反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後、減圧乾燥して、InP/ZnSe/ZnSコア−シェル構造の量子ドットを収得した。
【0171】
得られたナノ量子ドットの発光スペクトルの最大発光ピークは、535nmであった。
【0172】
合成例2:赤色量子ドットの合成(Q−2)
インジウムアセテート0.2mmol(0.058g)、パルミチン酸0.6mmol(0.15g)、1−オクタデセン10mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換した。280℃に加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS
3P)0.1mmol(29uL)およびトリオクチルホスフィン0.5mLの混合溶液を迅速に注入し、20分間反応させた。常温に迅速に冷却した反応溶液にアセトンを入れ、遠心分離して得た沈殿をトルエンに分散させた。得られたInP半導体ナノ結晶は、UV第1吸収最大波長560〜590nmを示した。
【0173】
亜鉛アセテート1.2mmol(0.224g)、オレイン酸2.4mmol、トリオクチルアミン10mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInPコア溶液1mLを入れ、次に、S(硫黄)/TOP(トリオクチルホスフィン)2.4mmolを入れた後、最終混合物を2時間の間反応進行させた。常温に迅速に冷却した反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して、発光波長636nmのInP(コア)/ZnS(シェル)構造の量子ドットを収得した。
【0174】
製造例2:量子ドット分散液A−1
合成例1の量子ドットQ−1 25.0重量部、分散剤としてアジスパーPB−821 6重量部および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート69重量部をビーズミルにより12時間の間混合および分散して、量子ドット分散液A−1を製造した。
【0175】
製造例3:量子ドット分散液A−2
合成例1の量子ドットQ−1をクロロホルムに分散させた後、量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離を通じて上澄み液を捨て、沈殿物に2mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、0.50gの(2−ブトキシ−エトキシ)−酢酸を入れ、窒素雰囲気下で60℃に加熱しつつ、1時間の間反応させた。
【0176】
次に、反応物に25mLのn−ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して、沈殿物を分離した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4mLを投入して、80℃に加熱しつつ、分散して、量子ドット分散液A−2を製造した。
【0177】
製造例4:量子ドット分散液A−3
合成例2の量子ドットQ−2 25.0重量部、分散剤としてアジスパPB−821 6重量部および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート69重量部をビーズミルにより12時間の間混合および分散して、量子ドット分散液A−3を製造した。
【0178】
製造例5:量子ドット分散液A−4
合成例2の量子ドットQ−2をクロロホルムに分散させた後、量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離を通じて上澄み液を捨て、沈殿物に2mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、0.65gの2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(WAKO社製)を入れ、窒素雰囲気下で60℃に加熱しつつ、1時間の間反応させた。
【0179】
次に、反応物に25mLのn−ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して、上澄み液を捨て、沈殿物を分離した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4mLを投入して、80℃に加熱しつつ、分散して、量子ドット分散液A−4を製造した。
【0180】
合成例3:カルド系バインダー樹脂を含むアルカリ可溶性樹脂(E−1)
(1)反応器にビスフェノールエポキシ化合物である9,9′−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(Hear chem社製)138g、2−カルボキシエチルアクリレート(2−Carboxyethyl acrylate)54g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(大井化金社製)1.4g、トリフェニルホスフィン(Aldrich社製)1g、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(Daicel Chemical社製)128g、およびヒドロキノン0.5gを入れ、120℃に昇温後、12時間維持して、下記化学式26で表される化合物を合成した。
【0181】
(2)反応器に下記化学式26で表される化合物60g、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(Mitsubishi Gas社製)11g、テトラヒドロフタル無水物(Aldrich社製)3g、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(Daicel Chemical社製)20g、およびN,N′−テトラメチルアンモニウムクロリド0.1gを入れ、120℃に昇温後、2時間維持して、下記化学式27で表される化合物を合成した。得られた化学式27で表される樹脂の重量平均分子量は、5,400g/molであった。
【0184】
合成例4:アクリル系バインダー樹脂を含むアルカリ可溶性樹脂(E−2)
撹拌器、温度計、還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方で、モノマー滴下漏斗として、ベンジルマレイミド74.8g(0.20モル)、アクリル酸43.2g(0.30モル)、ビニルトルエン118.0g(0.50モル)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40gを投入した後、撹拌混合して準備し、連鎖移動剤の滴下槽として、n−ドデカンチオール6g、PGMEA 24gを入れて撹拌混合したものを準備した。その後、フラスコにPGMEA 395gを導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート28.4g[(0.10モル)、(本反応に使用したアクリル酸のカルボキシル基に対して33モル%)]、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4g、トリエチルアミン0.8gをフラスコ内に投入して、110℃で8時間反応を継続し、固形分の酸価が70mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂を得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、16,000g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.3であった。
【0185】
合成例5:エポキシ系バインダー樹脂を含むアルカリ可溶性樹脂(E−3)
撹拌器、温度計、還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120g、プロピレングリコールモノメチルエーテル80g、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2g、アクリル酸18g、p−ビニルトルエン37.9g、メチルメタアクリレート10g、グリシジルメタアクリレート34.1g、n−ドデシルメルカプタン3gを投入し、窒素置換した。
【0186】
その後、撹拌しつつ、反応液の温度を80℃に上昇させ、8時間反応した。このように合成されたアルカリ可溶性樹脂の固形分の酸価は、140mgKOH/gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは、約13,110であった。
【0187】
製造例4:光変換樹脂組成物の製造(参考例1、実施例2〜3、5〜10および比較例1〜8)
下記表1の成分および含量(重量%)を使用して実施例および比較例による光変換樹脂組成物を製造した。
【0189】
実験例
前記実施例および比較例で製造された光変換樹脂組成物を用いて下記のように光変換コーティング層を製造し、この際の輝度および耐光性を下記のような方法で測定し、その評価結果は、下記表2および表3に記載した。
【0190】
(1)光変換コーティング層の製造
実施例および比較例で製造された光変換樹脂組成物を用いてコーティング膜を製造した。すなわち、前記それぞれの光変換樹脂組成物をスピンコート法で5cm×5cmのガラス基板の上に塗布した後、加熱板の上に載置し、100℃の温度で10分間維持して薄膜を形成させた後、180℃の加熱オーブンで30分間加熱して、光変換コーティング層を製造した。前記で製造された光変換樹脂膜の厚さは、量子ドットの含量によって厚さ15μmで製作した。
【0191】
(2)輝度および光維持率の評価
450nm波長の照度が60mW/cm
2に設定されたBlue光源(XLamp XR−E LED、Royal blue 450、Cree社製)の上部に前記(1)で製造された基板を位置させた後、外部の光と空気から遮断させ、一定時間ごとに輝度測定機(CAS140CT Spectrometer、Instrument systems社製)を用いて、輝度を測定した。評価結果は、下記表2に記載した。
【0192】
また、一定時間ごとに測定された輝度を、初期輝度を基準として光維持率を測定して、表3に記載した。
【0195】
前記表2および表3を参照すると、熱硬化剤またはチオール化合物が単独で含まれた比較例は、輝度が低下し、一定時間ごとに光維持率が減少することを確認することができた。しかしながら、熱硬化剤とチオール化合物を一定の含量比率で含む実施例は、比較例に比べて1000nit以上向上する輝度特性を示すことを確認することができた。
【0196】
これは、熱硬化剤とチオール化合物が高温の工程を経ながら酸素障害を受けず、早く反応して高い架橋密度を形成し、多官能基チオール化合物が量子ドットのコア−シェルを保護する密度が向上するようになって、量子ドットが青色光に対する耐性の評価時に消光するのを防止し、これは、光維持率に優れていることを通じて確認することができた。
【0197】
製造例5:光変換樹脂組成物の製造(実施例11〜26および比較例10〜16)
下記表4−1および表4−2の成分および含量(重量%)を使用して実施例および比較例による光変換樹脂組成物を製造した。
【0200】
実験例2
前記実施例および比較例で製造された光変換樹脂組成物を用いて下記のように光変換コーティング層を製造し、この際の輝度、光維持率および塗膜硬度を下記のような方法で測定して、その結果は、下記表5に示した。
【0201】
(1)光変換コーティング層の製造
実施例および比較例で製造された光変換樹脂組成物を用いてコーティング膜を製造した。すなわち、前記それぞれの光変換樹脂組成物をスピンコート法で5cm×5cmのガラス基板の上に塗布した後、加熱板の上に載置し、100℃の温度で10分間維持して、薄膜を形成させた後、180℃の加熱オーブンで30分間加熱して、光変換コーティング層を製造した。前記で製造された光変換樹脂膜の厚さは、量子ドットの含量によって厚さ15μmで製作した。
【0202】
(2)輝度の評価
前記(1)で製造されたコーティング膜をBlue光源(XLamp XR−E LED、Royal blue 450、Cree社製)の上部に位置させた後、輝度測定機(CAS140CT Spectrometer、Instrument systems社製)を用いて、輝度を測定した。評価結果は、下記表5に記載した。
【0203】
(3)光維持率
前記光変換コーティング層の製造方法で製作されたコーティング基板をハードベーク(Hard bake)を230℃で60分間行って、ハードベーク前の発光効率とハードベーク後の発光効率およびハードベーク以後に蛍光灯(BUNGAEPYO、FLDC/T8/17K57、5700K)と黄色灯(BUNGAEPYO、FHF32SSEX−Y−NU−KEV)それぞれの条件に24時間の間放置した後の発光効率をそれぞれ測定し、発光効率が維持されるレベルを確認して、下記表5に光維持率で示した。
【0204】
(4)塗膜硬度
前記(1)で製造されたコーティング膜の硬化度を、硬度計(HM500;Fischer社製品)を使用して150℃の高温で測定した。この際に得られた結果は、下記表5に示した。この際、表面硬度は、下記の基準によって評価した。
【0205】
<評価基準>
○:表面硬度50以上
△:表面硬度30以上50未満
×:表面硬度30未満
【0207】
前記表5を参照すれば、本発明による実施例の場合、塗膜硬度が比較例より優れた性能が観察され、このような結果から、ディスプレイの製作時に導入される熱処理工程で発生する蒸着膜の破れ不良を大幅に低減させることができる。また、本発明による実施例は、塗膜硬度が強化するに伴って、輝度と光維持率が比較例に比べて格別に優れていることを確認することができる。他方で、酸化防止剤を一定範囲以上で含む比較例15および16の場合には、輝度および光維持率に優れているが、塗膜硬度が低下したことを確認することができる。