特許第6900510号(P6900510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6900510
(24)【登録日】2021年6月18日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】固定用設備および容器の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20210628BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20210628BHJP
   B08B 9/093 20060101ALI20210628BHJP
   B08B 13/00 20060101ALI20210628BHJP
   B65G 47/86 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
   A61J3/00 310Z
   A61J1/05 310
   B08B9/093
   B08B13/00
   B65G47/86 E
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-564365(P2019-564365)
(86)(22)【出願日】2018年2月9日
(65)【公表番号】特表2020-510504(P2020-510504A)
(43)【公表日】2020年4月9日
(86)【国際出願番号】US2018017580
(87)【国際公開番号】WO2018148515
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2020年1月29日
(31)【優先権主張番号】62/466,037
(32)【優先日】2017年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/457,431
(32)【優先日】2017年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519293896
【氏名又は名称】ウェスト ファーマスーティカル サービシーズ ドイチェラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リヒロウィスキ コーリャ
(72)【発明者】
【氏名】ボルハンス マルクス
【審査官】 菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−504199(JP,A)
【文献】 特開昭60−002487(JP,A)
【文献】 特開平10−095528(JP,A)
【文献】 特開2016−158635(JP,A)
【文献】 特表2016−529173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
A61J 1/05
B08B 9/093
B08B 13/00
B65G 47/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に薬剤が収められたバイアルを備える最終充填容器のための固定用設備であって、
前記バイアルは、第1の長手方向軸と、近位端の首部と、を有し、前記首部は、円周の縁部で近位に集結し、前記縁部は、開口を画定し、前記最終充填容器は、前記バイアルの開口のなかで、少なくとも部分的に配置され、前記バイアルとの気密なシールを形成するストッパと、前記第1の長手方向軸と整列させられ、前記縁部および前記ストッパの周囲を囲むボタンを有する、円筒状のシェルと、をさらに備え、
前記固定用設備は、一対の剛性支持構造体を備え、
前記剛性支持構造体のそれぞれは、
第2の長手方向軸に関する第1の曲率半径の第1の内面を有する第1の内側支持体であって、前記第1の内面が径方向で内向きに面する第1の内側支持体と、
前記第1の内側支持体に接続され、前記第1の内面から離れる方向に、外向きに延在する、少なくとも1つの第1の支持アームであって、前記第1の内側支持体とは反対側の終端に、基面を有する第1の支持アームと、
前記第1の内面に取り付けられた第1の圧縮部材であって、前記シェルに対し、少なくとも前記第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第1の圧縮部材と
を備え、
前記一対の剛性支持構造体は、当該一対の剛性支持構造体のうち、一方の前記第1の圧縮部材が、当該一対の剛性支持構造体のうち、他方の前記第1の圧縮部材に当接した場合に、閉じた配向を有して、組み合わせの第1の環状圧縮部材を形成する
固定用設備。
【請求項2】
前記剛性支持構造体のそれぞれは、
第2の長手方向軸に関する第2の曲率半径の第2の内面を有する第2の内側支持体であって、前記第2の内面が径方向で内向きに面し、前記第1の内面から軸方向に離間した第2の内側支持体と、
前記第2の内面に取り付けられた第2の圧縮部材であって、前記シェルに対し、少なくとも前記第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第2の圧縮部材と
をさらに備え、
前記閉じた配向において、前記一対の剛性支持構造体のうち、一方の前記第2の圧縮部材は、前記一対の剛性支持構造体のうち、他方の前記第2の圧縮部材に当接して、組み合わせの第2の環状圧縮部材を形成する
請求項1に記載の固定用設備。
【請求項3】
前記剛性支持構造体のそれぞれが、前記第2の内側支持体に接続され、前記第2の内面から離れる方向に、外向きに延在する、少なくとも1つの第2の支持アームであって、前記第2の内側支持体とは反対側の終端に、基面を有する第2の支持アームをさらに備える
請求項2に記載の固定用設備。
【請求項4】
前記剛性支持構造体のそれぞれが、前記第2の内側支持体および前記第1の内側支持体に接続され、それらの間で軸方向に延在する、少なくとも1つの第2の支持アームをさらに備える
請求項2に記載の固定用設備。
【請求項5】
前記第1の曲率半径と前記第2の曲率半径とが異なる、
請求項2に記載の固定用設備。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の支持アームが、互いに平行に延伸する2つの第1の支持アームを備える
請求項1に記載の固定用設備。
【請求項7】
前記基面が、バイアル移送装置に取付可能に構成された
請求項1に記載の固定用設備。
【請求項8】
前記第1の内側支持体が、少なくとも1つの第1の当接面を有し、
前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記少なくとも1つの第1の当接面が、前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに、互いに当接可能に構成される
請求項1に記載の固定用設備。
【請求項9】
前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記少なくとも1つの第1の当接面が、互いに接している間および前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記少なくとも1つの第1の当接面が、互いに接していない間に、前記一対の剛性支持構造体のうち、一方の前記第1の圧縮部材が、前記一対の剛性支持構造体のうち、他方の前記第1の圧縮部材と当接可能に構成される
請求項8に記載の固定用設備。
【請求項10】
前記第1の内側支持体が、少なくとも1つの第1の当接面を有し、前記第2の内側支持体が、少なくとも1つの第2の当接面を有し、
前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記少なくとも1つの第1の当接面および前記少なくとも1つの第2の当接面が、前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに、対応する前記少なくとも1つの第1の当接面と、対応する前記少なくとも1つの第2の当接面と、に当接可能に構成される
請求項2に記載の固定用設備。
【請求項11】
前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記少なくとも1つの第1の当接面および前記少なくとも1つの第2の当接面が、前記対応する少なくとも1つの第1の当接面および前記対応する少なくとも1つの第2の当接面と接している間および前記一対の剛性支持構造体のそれぞれの前記少なくとも1つの第1の当接面および前記少なくとも1つの第2の当接面が、前記対応する少なくとも1つの第1の当接面および前記対応する少なくとも1つの第2の当接面と接していない間に、前記一対の剛性支持構造体のうち、一方の前記第1および第2の圧縮部材は、前記一対の剛性支持構造体のうち、他方の対応する前記第1および第2の圧縮部材と当接可能に構成される
請求項10に記載の固定用設備。
【請求項12】
前記閉じた配向において、当該固定用設備が、前記最終充填容器の重さを支持可能に構成される
請求項2に記載の固定用設備。
【請求項13】
前記閉じた配向において、前記第1の環状圧縮部材が、前記シェルの環状面と、前記ボタンおよびバイアルのうち、少なくとも一方の環状面と、に合致するように構成される
請求項1に記載の固定用設備。
【請求項14】
前記閉じた配向において、前記第1の環状圧縮部材が、前記シェルの環状面と、前記ボタンの環状面と、に合致し、前記第2の環状圧縮部材が、前記シェルの環状面と、前記バイアルの環状面と、に合致するように構成される
請求項2に記載の固定用設備。
【請求項15】
前記閉じた配向において、前記固定用設備は、前記最終充填容器を、前記第1および第2の環状圧縮部材の間で軸方向に配置された前記シェルの環状面に対して妨げとなるものがなく、その外周全体に沿った洗浄を許容するように保持可能に構成される
請求項14に記載の固定用設備。
【請求項16】
前記閉じた配向において、前記固定用設備は、前記最終充填容器を、その上部の少なくとも一部が露出されて、当該部分の洗浄を許容するように保持可能に構成される
請求項1に記載の固定用設備。
【請求項17】
前記閉じた配向において、前記固定用設備は、前記最終充填容器を、その上部の少なくとも一部が露出されて、当該部分の洗浄を許容するように保持可能に構成される
請求項15に記載の固定用設備。
【請求項18】
内部に薬剤が収められたバイアルを備える最終充填容器を洗浄する方法であって、
前記バイアルは、第1の長手方向軸と、近位端の首部と、を有し、前記首部は、円周の縁部で近位に集結し、前記縁部は、開口を画定し、前記最終充填容器は、前記バイアルの開口のなかで、少なくとも部分的に配置され、前記バイアルとの気密なシールを形成するストッパと、前記第1の長手方向軸と整列させられ、前記縁部および前記ストッパの周囲を囲むボタンを有する、円筒状のシェルと、をさらに備え、
前記方法は、
一対の剛性支持構造体であって、
前記剛性支持構造体のそれぞれが、
第2の長手方向軸に関する曲率半径の第1の内面を有する第1の内側支持体であって、前記第1の内面が径方向で内向きに面する第1の内側支持体と、
前記第1の内側支持体に接続され、前記第1の内面から離れる方向に、外向きに延在する、少なくとも1つの第1の支持アームであって、前記第1の内側支持体とは反対側の終端に、基面を有する第1の支持アームと、
前記第1の内面に取り付けられた第1の圧縮部材であって、前記シェルに対し、少なくとも前記第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第1の圧縮部材と
を備える前記一対の剛性支持構造体を提供することと、
前記一対の剛性支持構造体を、当該一対の剛性支持構造体のうち、一方の前記第1の圧縮部材を、当該一対の剛性支持構造体のうち、他方の前記第1の圧縮部材に当接させて、前記シェルの環状面と、前記ボタンおよびバイアルのうち、少なくとも一方の環状面と、に合致する、組み合わせの第1の環状圧縮部材を形成するように、前記最終充填容器の周りで合わせることと、
前記一対の剛性支持構造体を用いて前記最終充填容器を少なくとも1つの噴霧器の前に移送し、ここに、前記シェルの環状面に対して妨げとなるものがなく、その外周全体に沿った洗浄を許容するとともに、その上部の少なくとも一部を露出させて、当該一部の洗浄を許容することと
を含む
最終充填容器を洗浄する方法。
【請求項19】
前記剛性支持構造体のそれぞれが、
第2の長手方向軸に関する曲率半径の第2の内面を有する第2の内側支持体であって、前記第2の内面が径方向で内向きに面し、前記第1の内面から軸方向に離間した第2の内側支持体と、
前記第2の内面に取り付けられた第2の圧縮部材であって、前記シェルに対し、少なく
とも前記第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第2の圧縮部材と
をさらに備え、
前記一対の剛性支持構造体を前記最終充填容器の周りで合わせることが、前記剛性支持構造体を、当該一対の剛性支持構造体の一方の前記第2の圧縮部材が、当該一対の剛性支持構造体の他方の前記第2の圧縮部材に当接して、組み合わせの第2の環状圧縮部材を形成するように合わせることをさらに含む
請求項18に記載の最終充填容器を洗浄する方法。
【請求項20】
前記移送の間に、妨げとなるものがなく、その外周全体に沿って洗浄可能である前記シェルの環状面が、前記第1および第2の環状圧縮部材の間で、軸方向に配置される
請求項19に記載の最終充填容器を洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2017年 2月10日付けで提出された米国仮特許出願第62/457431号および2017年 3月 2日付けで提出された米国仮特許出願第62/466037号に基づく優先権を主張し、それぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に込みこまれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して、容器を洗浄するための装置に関し、特に、凍結乾燥させられたパウダを収容する容器のためのものに関する。より具体的には、本発明は、凍結乾燥させられたパウダを収容する医薬容器を洗浄するための固定用設備に関する。
【0003】
注射が意図された幾つかの生物学的薬剤および他の物質は、湿気のないフリーズドライパウダの形態(凍結乾燥させられたパウダ)にして、それらの安定性を改善することが有利であり、この改善することには、化学反応、変質、凝集、生物学的生育または熱感度等を抑制しまたは防止することが含まれる。結果として、凍結乾燥は、そのような物質の貯蔵寿命を延ばす。
【0004】
一般的には、医薬薬剤の凍結乾燥処理の間に、薬剤は、バイアルに入れられ、ストッパがバイアル上で部分的に閉じた向きでまたは直ちに閉じることが可能な位置に、つまり、非気密な態様であてがわれる。ストッパは、初めに、ボタンと、ストッパおよびボタンを後の処理動作でバイアルに固定するための円筒状のシェルと、を収容するキャップの内部に供給することが可能であり、シェルおよびボタンは、処理における後のステージで提供することも可能である。バイアルおよびストッパは、その後、真空チャンバに置かれ、薬剤が凍結乾燥させられる。この凍結乾燥の間、薬剤自体を含め、バイアルの内部から湿気が排出される。湿気がバイアルから排出されるのに従い、薬剤の残留物がバイアルおよびストッパ、さらに、ボタンおよびシェル等のあらゆる追加のバイアル要素の外面上に堆積する。
【0005】
薬剤が凍結乾燥させられた後、ストッパは、バイアルとの密封シールを形成するように配置され、続く工程で、シェルが、シェルがアルミニウム製であれば、圧着により、シェルがプラスチック製であれば、係止により、ストッパをバイアルに固定する。
【0006】
バイアルに密封シールが施された後、シール後のバイアル(最終充填容器)に対して洗浄が施され、堆積した残留物が除去される。
【0007】
薬剤に対する意図しない露出は、健康上のリスク、とりわけ細胞毒性等のリスクを呈する可能性があることから、懸念である。従来技術は、最終充填容器に洗浄を実行し、臨床医に対し、最終充填容器を、安全グローブを用いて取り扱うことを求めることにより、この懸念に対処することを試みた。しかし、湿気が最終充填容器に入るのを防止するには、シェルを事前に固定しなければならない。例え最終充填容器を密封し、シェルにより固定したとしても、湿気がシェルまたはボタンのもとに捕らえられるようになるのを回避することが望ましい。湿気は、懸念のなかでもとりわけ、バクテリアの生育を促し得るからである。アルミニウム製のシェルとボタンとは、凍結乾燥処理の間には存在しないのが一般的であるから、これらの要素の外面は、いかなる薬剤の残留物もなく、よって、洗浄の対象ではない。
【0008】
シェルとボタンとが凍結乾燥中のチャンバの内部にある場合に、容器を固定する設備には、シェルおよびボタンを有する最終充填容器から、堆積した薬剤の残留物を低減させまたはこれをなくす必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の例示的な実施形態では、最終充填容器のための固定用設備が開示される。最終充填容器は、内部に薬剤が収められたバイアルを備えることが可能であり、バイアルは、第1の長手方向軸と、その近位端の首部と、を有し、首部は、円周の縁部で近位に集結し、縁部は、開口を画定し、最終充填容器は、バイアルの開口のなかで、少なくとも部分的に配置され、バイアルとの気密なシールを形成するストッパと、第1の長手方向軸と整列させられ、縁部およびストッパの周囲を囲むボタンを有する、円筒状のシェルと、をさらに備えることが可能である。固定用設備は、一対の剛性支持構造体を備えることが可能であり、剛性支持構造体のそれぞれは、第2の長手方向軸に関する曲率半径の第1の内面を有する第1の内側支持体であって、第1の内面が径方向で内向きに面する第1の内側支持体と、第1の内側支持体に接続され、第1の内面から離れる方向に、外向きに延在する、少なくとも1つの第1の支持アームであって、第1の内側支持体とは反対側の終端に、基面を有する第1の支持アームと、第1の内面に取り付けられた第1の圧縮部材であって、シェルに対し、少なくとも第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第1の圧縮部材と、を備える。さらに、一対の剛性支持構造体は、当該一対の剛性支持構造体のうち、一方の第1の圧縮部材が、当該一対の剛性支持構造体のうち、他方の第1の圧縮部材に当接した場合に、閉じた配向を有して、組み合わせの第1の環状圧縮部材を形成することが可能である。
【0010】
固定用設備の幾つかの実施形態では、剛性支持構造体のそれぞれは、第2の長手方向軸に関する曲率半径の第2の内面を有する第2の内側支持体であって、第2の内面が径方向で内向きに面し、第1の内面から軸方向に離間した第2の内側支持体と、第2の内面に取り付けられた第2の圧縮部材であって、シェルに対し、少なくとも第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第2の圧縮部材と、をさらに備えることが可能である。さらに、閉じた配向において、一対の剛性支持構造体のうち、一方の第2の圧縮部材は、一対の剛性支持構造体のうち、他方の第2の圧縮部材に当接して、組み合わせの第2の環状圧縮部材を形成することが可能である。
【0011】
剛性支持構造体のそれぞれは、第2の内側支持体に接続され、第2の内面から離れる方向に、外向きに延在する、少なくとも1つの第2の支持アームであって、第2の内側支持体とは反対側の終端に、基面を有する第2の支持アームをさらに備えることが可能である。
【0012】
剛性支持構造体のそれぞれは、第2の内側支持体および第1の内側支持体に接続され、それらの間で軸方向に延在する、少なくとも1つの第2の支持アームをさらに備えることが可能である。
【0013】
第1の曲率半径と前記第2の曲率半径とは、異なっていてもよい。
【0014】
少なくとも1つの第1の支持アームは、互いに平行に延伸する2つの第1の支持アームを備えることが可能である。基面は、バイアル移送装置に取付可能に構成することができる。
【0015】
第1の内側支持体は、少なくとも1つの第1の当接面を有することが可能であり、一対の剛性支持構造体のそれぞれの少なくとも1つの第1の当接面が、一対の剛性支持構造体のそれぞれの第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに、互いに当接可能に構成することが可能である。
【0016】
一対の剛性支持構造体のそれぞれの少なくとも1つの第1の当接面が、互いに接している間および一対の剛性支持構造体のそれぞれの少なくとも1つの第1の当接面が、互いに接していない間に、一対の剛性支持構造体のうち、一方の第1の圧縮部材が、一対の剛性支持構造体のうち、他方の第1の圧縮部材と当接可能に構成することができる。
【0017】
第1の内側支持体は、少なくとも1つの第1の当接面を有することが可能であり、第2の内側支持体は、少なくとも1つの第2の当接面を有することが可能であり、一対の剛性支持構造体のそれぞれの少なくとも1つの第1の当接面および少なくとも1つの第2の当接面は、一対の剛性支持構造体のそれぞれの第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに、対応する少なくとも1つの第1の当接面と、対応する少なくとも1つの第2の当接面と、に当接可能に構成することができる。
【0018】
一対の剛性支持構造体のそれぞれの少なくとも1つの第1の当接面および少なくとも1つの第2の当接面が、対応する少なくとも1つの第1の当接面および対応する少なくとも1つの第2の当接面と接している間および一対の剛性支持構造体のそれぞれの少なくとも1つの第1の当接面および少なくとも1つの第2の当接面が、対応する少なくとも1つの第1の当接面および対応する少なくとも1つの第2の当接面と接していない間に、一対の剛性支持構造体のうち、一方の第1および第2の圧縮部材が、一対の剛性支持構造体のうち、他方の対応する第1および第2の圧縮部材と当接可能に構成することができる。
【0019】
閉じた配向において、固定用設備は、最終充填容器の重さを支持するように構成することが可能である。
【0020】
閉じた配向において、第1の環状圧縮部材は、シェルの環状面と、ボタンおよびバイアルのうち、少なくとも一方の環状面と、に合致するように構成することが可能である。
【0021】
閉じた配向において、第1の環状圧縮部材は、シェルの環状面と、ボタンおよびバイアルのうち、少なくとも一方の環状面と、に合致し、第2の環状圧縮部材は、シェルの環状面と、ボタンおよびバイアルの少なくとも一方の、ボタンまたはバイアルに一致しない環状面と、に合致するように構成することが可能である。
【0022】
閉じた配向において、固定用設備は、最終充填容器を、第1および第2の環状圧縮部材の間で軸方向に配置されたシェルの環状面に対して妨げとなるものがなく、その外周全体に沿った洗浄を許容するように保持可能に構成することができる。閉じた配向において、固定用設備は、最終充填容器を、その上部の少なくとも一部が露出されて、当該部分の洗浄を許容するように保持可能に構成することができる。
【0023】
閉じた配向において、固定用設備は、最終充填容器を、その上部の少なくとも一部が露出されて、当該部分の洗浄を許容するように保持可能に構成することができる。
【0024】
本発明の他の例示的な実施形態では、最終充填容器を洗浄する方法が開示される。最終充填容器は、内部に薬剤が収められたバイアルを備えることが可能であり、バイアルは、第1の長手方向軸と、その近位端の首部と、を有し、首部は、円周の縁部で近位に集結し、縁部は、開口を画定し、最終充填容器は、バイアルの開口のなかで、少なくとも部分的に配置され、バイアルとの気密なシールを形成するストッパと、第1の長手方向軸と整列させられ、縁部およびストッパの周囲を囲むボタンを有する、円筒状のシェルと、をさらに備えることが可能である。
【0025】
この方法は、一対の剛性支持構造体であって、剛性支持構造体のそれぞれが、第2の長手方向軸に関する曲率半径の第1の内面を有する第1の内側支持体であって、第1の内面が径方向で内向きに面する第1の内側支持体と、第1の内側支持体に接続され、第1の内面から離れる方向に、外向きに延在する、少なくとも1つの第1の支持アームであって、第1の内側支持体とは反対側の終端に、基面を有する第1の支持アームと、第1の内面に取り付けられた第1の圧縮部材であって、シェルに対し、少なくとも第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第1の圧縮部材と、を備えることができる、一対の剛性支持構造体を提供することを含むことが可能である。この方法はまた、一対の剛性支持構造体を、当該一対の剛性支持構造体のうち、一方の第1の圧縮部材を、当該一対の剛性支持構造体のうち、他方の第1の圧縮部材に当接させて、シェルの環状面と、ボタンおよびバイアルのうち、少なくとも一方の環状面と、に合致する、組み合わせの第1の環状圧縮部材を形成するように、最終充填容器の周りで合わせることをも含むことが可能である。さらに、この方法は、固定用設備を用いて最終充填容器を少なくとも1つの噴霧器の前に移送することを含むことが可能であり、シェルの環状面に対して妨げとなるものがなく、その外周全体に沿った洗浄を許容するとともに、その上部の少なくとも一部を露出させて、当該一部の洗浄を許容する。
【0026】
剛性支持構造体のそれぞれは、第2の長手方向軸に関する曲率半径の第2の内面を有する第2の内側支持体であって、第2の内面が径方向で内向きに面し、第1の内面から軸方向に離間した第2の内側支持体と、第2の内面に取り付けられた第2の圧縮部材であって、シェルに対し、少なくとも第1および第2の長手方向軸が同一直線上にあるときに当接可能に構成された第2の圧縮部材と、をさらに備えることが可能である。一対の剛性支持構造体を最終充填容器の周りで合わせることが、剛性支持構造体を、当該一対の剛性支持構造体の一方の第2の圧縮部材が、当該一対の剛性支持構造体の他方の第2の圧縮部材に当接して、組み合わせの第2の環状圧縮部材を形成するように合わせることをさらに含むことが可能である。
【0027】
移送の間に、妨げとなるものがなく、その外周全体に沿って洗浄可能であるシェルの環状面を、第1および第2の環状圧縮部材の間で、軸方向に配置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
上記概要は、続く本発明の好ましい実施形態に関する詳細な説明もまた、添付の図面を参照して読んだ場合に、より良好に理解される。本発明を説明することを目的として、図面は、現時点で好ましいとされる幾つかの実施形態を示す。しかし、本発明は、図示の厳密な構成および手段に限られるものではないことが理解されるべきである。
【0029】
図1図1は、バイアル洗浄システムの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されるバイアル洗浄システムの最終充填容器および固定用設備の正面立面図である。
図3図3は、図1に示される一対の固定用設備の斜視図である。
図4図4は、図3に示される一対の固定用設備の平面図である。
図5図5は、他の例示的な実施形態に係る一対の固定用設備を示す平面図である。
図6図6は、他の例示的な実施形態に係る一対の固定用設備を示す斜視図である。
【発明の実施の形態】
【0030】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明するが、その具体的な幾つかの例が、添付の図面に示されている。本明細書における本発明の説明に用いられる用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としたものであり、本発明の限定となることが意図されたものではない。
【0031】
以下の説明は、本発明によるバイアル洗浄装置および方法の多様な実施形態に関するものである。
【0032】
図面を詳細に参照すると、全体を通じて同様の要素を同様の符号により示し、図1から図6は、幾つかの実施形態に係るバイアル洗浄装置および方法を示す。
【0033】
最終充填容器10は、ガラス、セラミックまたはポリマー材料からなるバイアル12を備えることが可能である。バイアル12は、全体的な長手方向軸X1を有する円筒状の下部を備え、縁部へ向けて終結する上部に、首部を備えることが可能である。縁部は、その内側に開口を形成する。医療処理の間に、バイアル12の内部は、薬剤(図示せず)で満たされる。薬剤が収められたバイアル12に、凍結乾燥処理を施すことが可能であり、この処理で、薬剤が真空に曝され、湿気が除去される。凍結乾燥の間に、ストッパは、バイアル12の開口のなかに部分的に配置するか、気密なシールを形成するためにバイアル12の開口に挿入する準備が整った状態で配置することが可能である。薬剤を凍結乾燥させた後、真空下にある間に、バイアル12の開口は、ストッパにより密閉される。さらに、凍結乾燥の前でも後でも、ボタン16を有する円筒状のシェル14は、バイアルの長手方向軸と同一直線上に並び、縁部およびストッパを取り囲む位置に配置することが可能である。
【0034】
凍結乾燥の後、最終充填容器10を、1つ以上の噴霧器44が備わる洗浄部40に移送し、ここで、凍結乾燥中に形成されたあらゆる残留物を除去するように洗浄することが可能である。最終充填容器10は、水平方向に方向付けられたコンベアベルト42等の1つ以上の移送機構により移送することが可能である。移送機構は、螺旋ネジ(図示せず)、ロボットアーム(図示せず)または当業者に知られた他の機構を、併せて備えるか、それに代えて備えることが可能である。最終充填容器10は、一対の剛性支持構造体20(全体として(集合的に)固定用設備という)により移送することも可能である。剛性支持構造体20は、例えば、硬質なプラスチックまたは金属等の任意の剛性材料から構成することが可能である。
【0035】
図3に示されるように、剛性支持構造体20は、径方向の内向きに面する、湾曲した第1の内面25を有する第1の内側支持体24を備えることが可能である。好ましい実施形態では、第1の内側支持体24は、半円形をなし、第1の内面25は、第2の長手方向軸X2を中心とした曲率半径を有する、180度の円弧範囲に及ぶ円筒状の壁面である。剛性支持構造体20は、第1の内側支持体24から軸方向に離間した第2の内側支持体26をも有することが可能である。第2の内側支持体26は、径方向の内向きに面する、湾曲した第2の内面27を有することが可能である。好ましい実施形態では、第2の内側支持体26は、半円形をなし、第2の内面27は、第2の長手方向軸X2を中心とした曲率半径を有する、180度の円弧範囲に及ぶ円筒状の壁面である。第1および第2の内面25、27は、異なる曲率半径を有するが、他の実施形態では、曲率半径は、双方について同一である。
【0036】
剛性支持構造体20は、第1の内側支持体24に接続され、第1の内面25から離れる外向きの方向に延在する、少なくとも1つの第1の支持アーム22を備えることが可能である。好ましい実施形態では、剛性支持構造体20は、第1の内側支持体24に対し、反対側で接続され、互いに平行である2つの第1の支持アーム22を備える。剛性支持構造体20はまた、第2の内側支持体に接続され、第2の内面27から離れる外向きの方向に延在する、少なくとも1つの第2の支持アーム23をも備えることが可能である。好ましい実施形態では、剛性支持構造体20は、第2の内側支持体26に対し、反対側で接続され、互いに平行である2つの第2の支持アーム23を備える。少なくとも1つの第1の支持アーム22および少なくとも1つの第2の支持アーム23は、互いに異なる幾何形状を有してもよいし、両者の幾何形状は、同一であってもよい。
【0037】
図5に示される他の実施形態では、剛性支持構造体20aは、第1の内側支持体24の中央分離部に接続された第1の支持アーム22aを、1つだけ備える。剛性支持構造体20aはまた、第2の内側支持体26(図示せず)の中央分離部に接続された第2の支持アーム(図示せず)を、1つだけ備えてもよい。図6に示される更に別の実施形態では、剛性支持構造体20bは、第1の支持体に接続された2つの第1の支持アーム22と、第1の内側支持体24を第2の内側支持体26に接続する、2つの軸方向に配向された支持アーム32と、を備える。さらに、支持アーム32は、第1および第2の内側支持体よりも径方向の外側に配置され、シェル14の露出されている環状の表面に沿った洗浄を可能とする。
【0038】
剛性支持構造体20はまた、第1の内面25に取り付けられた第1の圧縮部材28と、第2の内面27に取り付けられた第2の圧縮部材30と、をも備えることが可能である。第1および第2の圧縮部材28、30は、エラストマまたは軟質なプラスチック等、圧縮可能ないかなる材料からなるものであってもよい。さらに、第1および第2の圧縮部材28、30は、円筒状、トロイダル状、半トロイダル状または不規則な形状とすることが可能である。好ましい実施形態では、第1および第2の圧縮部材は、半トロイダル型、つまり、赤道平面に沿って分割されたトロイダル型の形状である。第1および第2の圧縮部材は、適切な寸法を付与して、バイアル12、シェル14またはボタン16上の1つ以上の表面または縁部に合致させることができる。好ましい実施形態では、第1の圧縮部材28は、シェル14およびボタン16との間の隙間が洗浄から遮られるように、シェル14の縁部または表面と、ボタン16の縁部または表面と、に合致する寸法が付与される。第2の圧縮部材30は、シェル14の縁部または表面と、バイアル12の縁部または表面と、に合致する寸法が付与される。同様の目的のため、それらの間のいかなる隙間も、洗浄から遮られる。第1および第2の圧縮部材28、30は、対応する第1および第2の圧縮部材28、30を閉じる方向に圧縮して、第1および第2の部材の組み合わせの環状圧縮部材28、30を形成することが可能となるように、第1および第2の内面25、27夫々の円弧長よりも長い円弧長を有してもよい。第1および第2の内側支持体24、26のそれぞれは、当接面で終結する2つの自由端を有し、相手側の剛性支持構造体20の対応する当接面に接触することが可能である。よって、第1および第2の圧縮部材28、30は、一対の剛性支持構造体20の当接面がそれらの対応する当接面と接触するときに、対応する第1および第2の圧縮部材28、30に抗して圧縮される。
【0039】
少なくとも1つの第1の支持アーム22および少なくとも1つの第2の支持アーム23は、基面で終結することが可能である。好ましい実施形態では、支持アーム22、23の対のそれぞれは、バーにより接続された基面で終結するが、当業者であれば、支持アームを、単一の基面(図示しないベースプレート等)または個々の基面、つまり、支持アーム毎の基面(図示せず)で終結させてもよいことを理解可能である。剛性支持構造体20の基面は、右手側の鉛直方向指向の移送ベルト46に取り付けることが可能であり、右手側の鉛直方向指向の移送ベルト46とは反対側に並ぶ、左手側の鉛直方向指向の移送ベルト(図示せず)に取り付けることが可能である。基部は、ファスナ、粘着剤、ウィーブ(weave)または当業者に知られた任意の他の取付機構により取り付けることが可能である。
【0040】
鉛直方向指向の移送ベルト46の双方は、それらが同じ直線速度で、同じ直線方向に移動する内部経路48を形成するように、同じ速度で、反対の角度方向に回転することが可能である。剛性支持構造体20は、一対の剛性支持構造体20が内部経路48に沿って移動する際に互いに当接するように、鉛直方向指向の各移送ベルト46上にあって、間隔が空けられている。
【0041】
洗浄の間に、剛性支持構造体20は、協働して、最終充填容器10を、これが洗浄部40へ移送される際に締め付ける。剛性支持構造体20は、内側および外側支持体24、26が、最終充填容器の上部を全周に亘って取り囲むように、つまり、一対の剛性支持構造体20のそれぞれの第2の長手方向軸X2と、第1の長手方向軸X1とが、同軸上に揃うように、回転および並進する。好ましい実施形態では、第1の環状圧縮部材28が、ボタン16およびシェル14の環状面を圧縮して、これに合致し、それらの間に形成される環状の隙間を遮蔽する。同様に、第2の環状圧縮部材30が、バイアル12およびシェル14の環状面を圧縮して、これに合致し、それらの間に形成される環状の隙間を遮蔽する。第1および第2の環状圧縮部材28、30がこれらの表面に合致した後、第1および第2の内側支持体のそれぞれの対は、それらの当接面が対応する当接面に接触するまで、互いに向けて引き続き移動する。この時点で、一対の剛性支持構造体20は、最終充填容器10の重さを支持し、最終充填容器10を、洗浄部40に向け、内部経路48に沿って移送することが可能である。一対の剛性支持構造体20は、その後、最終充填容器10を、1つ以上の噴霧器44の前に移送することが可能である。この1つ以上の噴霧器44は、最終充填容器10に対し、水または洗浄性の混合液を噴き付け、凍結乾燥処理で形成された残留物を除去するのを助けることが可能である。洗浄処理の間に、第1および第2の環状圧縮部材28、30の間にあるシェル14の環状面と、第2の環状圧縮部材30の下方にあるバイアル12の環状面とは、剛性支持構造体20がこれらの表面の邪魔とならないため、その外周全体に亘って洗浄することが可能である。ボタン16の上面およびバイアル12の残りの表面もまた、洗浄可能である。
【0042】
以上の本発明の詳細な説明は、特定の実施形態に関して開示されたものである。しかし、開示は、網羅的であることも、本発明を開示の特定の形態に限定するものであることも、意図されていない。当業者であれば、以上の実施形態に対し、広い発明概念からの逸脱なしに変更を施すことが可能であることが理解される。よって、開示は、添付のクレームにより定められる本発明の精神および範囲内での修正を包含するものであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6