(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6900511
(24)【登録日】2021年6月18日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子及びディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20210628BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20210628BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20210628BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20210628BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20210628BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
G09F9/30 365
G09F9/30 330
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-564459(P2019-564459)
(86)(22)【出願日】2018年6月7日
(65)【公表番号】特表2020-521289(P2020-521289A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2018090275
(87)【国際公開番号】WO2019085478
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2019年11月21日
(31)【優先権主張番号】201711053191.8
(32)【優先日】2017年10月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO−VISIONOX OPTO−ELECTRONICS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】劉権
(72)【発明者】
【氏名】張露
(72)【発明者】
【氏名】胡思明
(72)【発明者】
【氏名】韓珍珍
【審査官】
中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−232482(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0159002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非表示エリアの外縁に位置するオーバーラップエリアを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記オーバーラップエリアは、
前記オーバーラップエリアの平坦化層上に設けられる第一電極と、
前記第一電極上に設けられ、さらに複数の画素規定ブロックを備える画素規定層と、
前記画素規定層上に設けられ、さらに、前記複数の画素規定ブロックの上にそれぞれ配置される複数の支持ブロックを備える隔離層と、
前記オーバーラップエリアにおいて、前記第一電極、前記複数の画素規定ブロック及び前記複数の支持ブロックを覆い、前記第一電極とオーバーラップされている第二電極と、
を備え、
ここで、前記第一電極および前記第二電極は、表示エリア内の画素に電位を供給するために用いられ、
前記第二電極は前記画素規定層における画素規定ブロックと接続され、前記第二電極と前記第一電極とは、前記オーバーラップエリアにおいて重ね合せるように接続されており、
前記第一電極は前記オーバーラップエリアにおいて複数の開孔をさらに有し、前記複数の開孔は前記画素規定層の前記複数の画素規定ブロックと配列方式が同様であり、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子のオーバーラップエリアに位置する画素規定ブロック、支持ブロックは、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の表示エリアに位置する画素規定ブロック、支持ブロックと配列方式が同様である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記オーバーラップエリアにおいて、前記隔離層における前記複数の支持ブロックは前記画素規定層における前記複数の画素規定ブロックと配列方式が同様であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記オーバーラップエリアにおいて、前記隔離層における前記複数の支持ブロックは前記画素規定層における前記複数の画素規定ブロックと垂直投影位置が同様であることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記オーバーラップエリアにおいて、前記複数の画素規定ブロックのいずれか一つの面積は、対応する支持ブロックの面積より大きいことを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記オーバーラップエリアにおいて、前記第一電極における前記複数の開孔は前記画素規定層における前記複数の画素規定ブロックと垂直投影位置が同様であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記画素規定層における前記複数の画素規定ブロックと、前記第一電極における前記複数の開孔と、前記隔離層における前記複数の支持ブロックとは垂直投影位置が同様であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記画素規定層における前記複数の画素規定ブロックは、前記第一電極の前記複数の開孔を埋めるとともに覆うことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
フレキシブルプリント回路基板と電源インタフェースとを備え、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子をさらに備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月31日に出願された出願番号201711053191.8、発明の名称「有機エレクトロルミネッセンス素子、ディスプレイ及び移動通信装置」の中国特許に基づいた優先権の利益を主張するものであり、上記出願の開示全体は参考により本出願に組み込まれるものとする。
【0002】
本出願は、有機エレクトロルミネッセンス素子分野に属し、具体的に、有機エレクトロルミネッセンス素子のオーバーラップエリア配列方式の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の表示装置にとって、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLEDと略称)は、電流型発光素子として、自発光、高速応答性、広視野角及びフレキシブル基板に製作可能などの様々な特徴により、高性能表示分野にますます利用されている。
【0004】
表示分野におけるOLEDの利用が展開されることに応じて、OLEDディスプレイスパネルの輝度に対する要求も増えているが、ディスプレイとリード線のオーバーラップエリアにおいては、しばしばレイアウトの混乱を無視したによる影響があり、高解像度ディスプレイスパネルの要求の下で、オーバーラップエリアのレイアウトの混乱或いは不一致は、さらにオーバーラップエリアの開口率を影響し、ディスプレイパネルの輝度ムラ問題をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
これを考慮して、本出願が解決しようとする課題は、有機エレクトロルミネッセンス素子の陰極オーバーラップエリアにおける開口率が不充分であり、ディスプレイパネルの輝度ムラが生じることである。本出願は、有機エレクトロルミネッセンス素子、ディスプレイ及びそれらを利用した移動通信装置を提供する。
【0006】
本出願の上記目的は、以下の技術手段によって達成される。
【0007】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、非表示エリアの外縁に位置するオーバーラップエリアを備え、前記オーバーラップエリアは、前記オーバーラップエリアの平坦化層上に設けられる第一電極と、前記第一電極上に設けられ、さらに複数の画素規定ブロックを備える画素規定層と、前記画素規定層上に設けられ、さらに、前記複数の画素規定ブロックの上にそれぞれ配置される
複数の支持ブロックを備える隔離層と、前記オーバーラップエリアにおいて、前記第一電極、前記複数の画素規定ブロック及び前記複数の支持ブロックを覆い、前記第一電極とオーバーラップされている第二電極と、を備え、ここで、前記第一電極および前記第二電極は、表示エリア内の画素に電位を供給するために用いられ、前記第二電極は前記画素規定層における画素規定ブロックと接続され、前記第二電極と前記第一電極とは、前記オーバーラップエリアにおいて重ね合せるように接続されて
おり、前記第一電極は前記オーバーラップエリアにおいて複数の開孔をさらに有し、前記複数の開孔は前記画素規定層の前記複数の画素規定ブロックと配列方式が同様であり、前記有機エレクトロルミネッセンス素子のオーバーラップエリアに位置する画素規定ブロック、支持ブロックは、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の表示エリアに位置する画素規定ブロック、支持ブロックと配列方式が同様である。
【0008】
前記オーバーラップエリアにおいて、前記隔離層における前記複数の支持ブロックは前記画素規定層における前記複数の画素規定ブロックと垂直投影位置が同様である。
【0009】
前記オーバーラップエリアにおいて、前記複数の画素規定ブロックのいずれか一つの面積は対応する支持ブロックの面積より大きい。
【0010】
前記第一電極は前記オーバーラップエリアにおいて複数の開孔をさらに有し、前記複数の開孔は前記画素規定層の前記複数の画素規定ブロックと配列方式が同様である。
【0011】
前記オーバーラップエリアにおいて、前記第一電極における前記複数の開孔は前記画素規定層における前記複数の画素規定ブロックと垂直投影位置が同様である。
【0012】
前記画素規定層における前記
複数の画素規定ブロックが前記第一電極の前記複数の開孔を埋めるとともに覆う。
【0013】
前記第一電極と前記第二電極は透明電極である。
【0014】
前記複数の画素規定ブロックと前記複数の支持ブロックはいずれも有機材料である。
【0015】
本出願は、フレキシブルプリント回路基板と電源インタフェースとを備え、有機エレクトロルミネッセンス素子を利用した有機エレクトロルミネッセンスディスプレイをさらに提供する。
【0016】
本出願は、通信装置と表示装置とを備え、前記表示装置は前記有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである移動通信装置をさらに提供する。
【0017】
従来の技術に比べると、本出願の有機エレクトロルミネッセンス素子は、支持ブロックと画素規定ブロックの配列方式或いは垂直投影位置が同じであることによって、陰極オーバーラップエリアの遮蔽を減少し、陰極オーバーラップエリアの開口率を高め、Vssリード線の電圧降下を低減することができ、従って、ディスプレイパネルの輝度ムラ問題を改善することができる。
【0018】
本出願の有機エレクトロルミネッセンス素子は、また、支持ブロック
の配列方式と開孔の配列方式
、或いは
支持ブロックの垂直投影位置
と開孔の垂直投影位置が同じであることによって、陰極オーバーラップエリアの遮蔽を減少し、陰極オーバーラップエリアの開口率を高め、Vssリード線の電圧降下を低減することができ、従って、ディスプレイパネルの輝度ムラ問題を改善することができる。
【0019】
本出願の有機エレクトロルミネッセンス素子は、更に、本出願の積み重ね方法により、基板の底端側から支持ブロックまでの厚さをオーバーラップエリアにおいて同じ又はほぼ同じくすることができ、表示エリアにおいても同じ又はほぼ同じくすることができ、有機エレクトロルミネッセンス素子のディスプレイスパネルの抗衝撃性向上に有利である。
【0020】
勿論、本出願を実施するいずれの製品は、必ずしも上記の全ての技術効果を同時に達成する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本出願の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構成模式図である。
【
図2】
図2は本出願の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構成のA−A‘線断面図である。
【
図3】
図3は本出願の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構造のオーバーラップエリアの拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面及び実施形態を参照して、本出願の実施方法を詳細に説明し、それにより、本出願が如何に技術的手段を応用して技術的課題を解决し且つ技術的効果を達成する本出願の技術的手段の適用が十分に理解され実施され得る。
【0023】
図1は、本出願の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構成模式図である。
図1に示されるように、基板1には、表示エリア11と、非表示エリア12とが備えられている。表示エリア11は、基板
1上に設けられて、非表示エリア12は基板
1上の表示エリア11以外のエリアに設けられている。非表示エリア12は、さらにオーバーラップエリア121と駆動回路エリア122とを備える。オーバーラップエリア121は、非表示エリア12の外縁に位置されて、駆動回路エリア122はオーバーラップエリア121と表示エリア11の間に位置されている。本実施形態において、オーバーラップエリア121は陰極オーバーラップエリアであるが、本出願はこれに限定されない。
【0024】
図2は、本出願の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構成のA−A‘線断面図である。
図2に示すA−A‘線断面図は、
図1の非表示エリア12のオーバーラップエリア121の断面図である。
図2に示されるように、本出願の有機エレクトロルミネッセンス素子のオーバーラップエリア121には、さらに平坦化層2、画素規定層、第一電極41、第二電極42及び隔離層が備えられている。平坦化層2は基板1上に設けられ、第一電極41はオーバーラップエリアの平坦化層2上に設けされている。画素規定層は第一電極41に設けられ、画素規定層にはさらに複数の画素規定ブロック3が備えられている。隔離層は画素規定層に設けられ、隔離層にはさらに複数の支持ブロック5が備えられている。第二電極42と第一電極41とはオーバーラップされている。本実施形態において、第一電極41は有機エレクトロルミネッセンス素子製造工程における陽極層であってもよく、第二電極42は有機エレクトロルミネッセンス素子製造工程における陰極層であってもよい。第二電極42と第一電極41とは重ね合わせ方法によって接続され、このような方法はオーバーラップとも言う。本実施形態では、第一電極41と第二電極42は透明電極であり、第二電極42は一体的な構成であってもよい。本実施形態では、複数の画素規定ブロック3と前記複数の支持ブロック5とはいずれも有機材料であっても良いが、本出願はこれらに限定されない。
【0025】
以下、
図2に示された実施形態を例として詳細に説明する。オーバーラップエリア121において、隔離層の複数の支持ブロック5は画素規定層の複数の画素規定ブロック3と配列方式が同様である。隔離層の複数の支持ブロック5は画素規定層の複数の画素規定ブロック3と垂直投影位置が同様である。本実施形態では、オーバーラップエリア121における画素規定層の複数の画素規定ブロック3の面積は、隔離層の複数の支持ブロック5の面積よりも大きくても良いが、本出願はこれに限定されない。
【0026】
図2に示されるように、第一電極41はオーバーラップエリア121においてさらに複数の開孔410を有する。複数の開孔410は、円筒形、角柱形、または円錐形であってもよいが、本出願はこれに限定されない。複数の開孔410は画素規定層における複数の画素規定ブロック3と配列方式が同様である。オーバーラップエリア121において、第一電極41における複数の開孔410は画素規定層における画素規定ブロック3と垂直投影位置が同様である。本実施形態において、画素規定層における画素規定ブロック3はさらに第一電極41における複数の開孔410を充填して覆ってもよい。
【0027】
図3は、本出願の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構成のオーバーラップエリア拡大模式図である。
図3に示す部分拡大図は、
図1の非表示エリアのオーバーラップエリア121におけるMエリアのレイアウトを示す上面図である。
図3に示しているように、複数の支持ブロック5と画素規定ブロック3とは重なっており、上面図で表示されていない複数の開孔410も実際は画素規定層における複数の画素規定ブロック3と重なっている。
図2の断面図を参照することにより分かるように、画素規定層における複数の画素規定ブロック3の垂直投影位置は第一電極41の複数の開孔410の垂直投影位置と同様で、また、隔離層における複数の支持ブロック5の垂直投影位置は画素規定層における複数の画素規定ブロック3の垂直投影位置と同様であるため、画素規定ブロック3、開孔410及び支持ブロック5の三方の垂直投影位置は全部同じでもよい。
【0028】
図3をさらに参照すると、複数の支持ブロック5同士及び複数の画素規定ブロック3同士はそれぞれ間隔を置いて設置され、分離距離は、等距離であってもよく、等差的に増大又は減小してもよいので、隔離層における複数の支持ブロック5は画素規定層における画素規定ブロック3と配列方式が同様である。画素規定ブロック3の面積は支持ブロック5の面積以上であってもよく、実際の設計要件により適応的に調整されるが、本実施形態の図示では画素規定ブロック3の面積は支持ブロック5の面積よりも大きいものとして呈するが、本出願はこれに限定されない。本出願の別の実施形態では、例えば、オーバーラップエリア121において画素規定ブロック3と支持ブロック5の配列方式は表示エリア11における画素規定ブロック3と支持ブロック5の配列方式と同様であってもよい。本出願の有機エレクトロルミネッセンス素子は、本出願の積み重ね方法により、基板1の底部側から支持ブロック5までの厚さをオーバーラップエリア121において同じ又はほぼおなじくすることができ、表示エリア11においても同じ又はほぼ同じくすることができ、有機エレクトロルミネッセンス素子のディスプレイパネルの抗衝撃性向上に有利である。
【0029】
有機エレクトロルミネッセンス素子は品質検査の球体落下試験によって、ディスプレイパネルの抗衝撃性について品質評価を行うことができる。本出願の実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の球体落下試験の通過率は明らかに従来技術より高く、本出願の実施形態による有機エレクトロルミネッセンス素子はディスプレイパネルの抗衝撃性を向上させることを確認することできる。本出願の有機エレクトロルミネッセンス素子は、画素規定ブロック3、支持ブロック5及び開孔410の配列方式或いは垂直投影位置が同じであることによって、陰極オーバーラップエリアの遮蔽を減少し、陰極オーバーラップエリアの開口率を高め、Vssリード線の電圧降下を低減することができ、従って、ディスプレイパネルの輝度ムラ問題を改善する。
【0030】
本出願はまた、上記に基づいて、フレキシブル印刷回路基板(FPC)と電源インタフェースとを備え、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を利用した有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを提供する。さらに、通信装置と表示装置とを備え、上記前記表示装置が前記有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである移動通信装置を提供する。