(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ロール状に巻回されたロール状媒体を保持するとともに、前記ロール状媒体の外周部分に回転駆動を与えることにより給送及び巻戻すロール状媒体保持部を備えたロール状媒体給送装置において、
前記ロール状媒体の幅方向への移動を規制する幅整列ガイド部材を備え、
前記幅整列ガイド部材は、前記ロール状媒体の幅方向への移動に追従して移動可能とし、かつ、前記幅整列ガイド部材における前記ロール状媒体の幅方向の中央を中心にして水平方向に揺動可能とし、
前記幅整列ガイド部材は、前記ロール状媒体の一方の側面を規制する右腕部と、前記右腕部を支持する右支持部からなる右幅整列ガイドと、
前記ロール状媒体の他方の側面を規制する左腕部と、前記左腕部を支持する左支持部からなる左幅整列ガイドと、
前記右支持部及び前記左支持部を支持するとともに装置フレームに固定される支持ブラケットを有し、
前記支持ブラケットは、前記ロール状媒体の幅方向に支点シャフトを有し、
前記右幅整列ガイド及び前記左幅整列ガイドは、前記支点シャフトの直径よりも大きい角孔摺動部を有し、
前記支点シャフトの中央を中心に、前記右幅整列ガイド及び前記左幅整列ガイドが前記ロール状媒体の幅方向の斜めの移動に対して追従し、前記角孔摺動部の大きさに応じて前記水平方向に揺動することを特徴とするロール状媒体給送装置。
ロール状に巻回されたロール状媒体を保持するとともに、前記ロール状媒体の外周部分に回転駆動を与えることにより給送及び巻戻すロール状媒体保持部を備えたロール状媒体給送装置において、
前記ロール状媒体の幅方向への移動を規制する幅整列ガイド部材を備え、
前記幅整列ガイド部材は、前記ロール状媒体の幅方向への移動に追従して移動可能とし、
更に、前記幅整列ガイド部材は、右幅整列ガイド及び左幅整列ガイドを有し、
前記右幅整列ガイドは、前記ロール状媒体の巻芯方向に延在する右腕部を有し、
前記左幅整列ガイドは、前記右腕部に平行して延在する左腕部を有し、
更に、前記右幅整列ガイド及び前記左幅整列ガイドの間に張架される付勢手段を有し、
前記右腕部及び前記左腕部が前記ロール状媒体の幅方向において相互に内側に向けて付勢され、常に前記ロール状媒体の両側面に前記右腕部及び前記左腕部が当接することを特徴とするロール状媒体給送装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は第1の実施の形態に関わるロール紙給送部を示す説明図である。
図2は第1の実施の形態に関わるロール紙給送部を示す平面図である。
ロール状媒体給送装置としてのロール紙給送部1は、ロール状に巻回されたロール状媒体としてのロール紙3を印刷媒体とする図示しない発券装置に使用される。ロール紙給送部1は、ロール紙3を図示しない印刷部へ供給する。発券装置は、印刷部で印刷されたロール紙3を所定の長さに切断して、列車等の乗車券として発行する。ロール紙給送部1は発券装置と物理的かつ電気的に結合され、発券装置により駆動制御されるが、その説明は省略する。
【0017】
ロール紙給送部1は箱型に形成された支持フレーム2の内側にロール紙3を装填する構成である。支持フレーム2は、垂直方向に起立した略正方形の正面壁2a及び背面壁2b、更には正面壁2a及び背面壁2bを結ぶ水平方向に配した底板2cにより形成される。加えて、底板2cより垂直方向に起立して、正面壁2a及び背面壁2bを結ぶ側壁2dを有している。正面壁2aは、背面壁2bの高さの略半分の高さである。なお、
図1では正面壁2aの一部を切り欠いて示している。
【0018】
長尺状媒体であるロール紙3は、巻芯としてのロール芯30の周囲に渦巻状に巻回されている。ロール紙3は巻回部分31の円周から、接線方向となるロール紙直線部分32へと引き出されていく。ロール紙直線部分32の先端は前述の通り図示しない印刷部へ供給される。
【0019】
支持フレーム2の内側に装填されたロール紙3は、ロール状媒体保持部としてのロール紙保持部4によって保持される。ロール紙保持部4は、正面壁2a及び背面壁2b間を貫通し、正面壁2a及び背面壁2bにより回転可能に軸支されるローラシャフト4bを有する。ローラシャフト4bは支持フレーム2の下側に略並列に二本配設される。各ローラシャフト4bには、複数の給送ローラ4aが設けられる。ロール紙3は複数の給送ローラ4aの上に載置され、ロール紙3の自重により保持される。従って、二本のローラシャフト4b間の中央にロール紙3の重心が位置することになる。
【0020】
ロール状媒体保持部としてのロール紙保持部4は、図示しない給送用モータ又は動力伝達系機構によりローラシャフト4bが回転駆動される。これにより給送ローラ4aがロール紙3の外周部33に回転駆動を与えることにより、正逆回転し、自重により載置されるロール紙3が給送及び巻戻されることになる。
【0021】
図示しない給送用モータ又は動力伝達系機構は、二本のローラシャフト4bの少なくとも一方又は両方を回転駆動制御する。給送ローラ4aを時計方向に回転することにより、ロール紙3は矢印Fで示す給送方向に送り出される。また給送ローラ4aを反時計方向に回転することにより、ロール紙3は矢印Rで示す巻取り方向に巻き戻される。なお、給送ローラ4aの表面は高摩擦部材とすることで、巻戻し時のスリップや待機状態における震動による巻緩みを防ぐことができる。
【0022】
本実施の形態に関する幅整列ガイド部材としての幅整列ガイド5は、ロール紙3の幅方向の移動を規制する。幅整列ガイド5は、正面壁2a及び背面壁2b間に貫通して設けた取付シャフト6により支持フレーム2に対し僅かな距離ではあるが摺動可能に取付けられる。幅整列ガイド5は、後述するスライドローラ7により取付シャフト6の軸方向、即ちロール紙3の幅方向としての
図2に示す矢印a方向(背面壁側)及びb方向(正面壁側)に摺動可能となる。
【0023】
幅整列ガイド5は、ロール紙3の巻回部分31におけるロール芯30に対してロール紙3が引出される側、即ちロール紙直線部分32側に配設される。詳述すると、幅整列ガイド5は、巻回されたロール紙3の巻回部分31における巻戻しが始まる部分に対応するように設置される。これにより、幅整列ガイド5はロール紙3の幅方向の位置を規制することができる。
【0024】
図2に示すように幅整列ガイド5は略コの字状しており、対面する一対の腕部51及び52間にロール紙3が位置づけられる。更に、ガイド部材としての可動ガイド8及び位置決めガイド9が、給送ローラ4aの脇に配設されている。可動ガイド8及び位置決めガイド9については後述する。
【0025】
次に、本実施の形態に関する幅整列ガイド5について説明する。
図3は第1の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドの分解斜視図である。
図4は第1の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドの平面図である。幅整列ガイド5は、ロール状に巻回したロール紙3が給送方向に整列して送り出されかつ巻取り方向にも整列して巻き戻されるように、ロール紙3の軸方向の移動を規制するものである。
【0026】
幅整列ガイド5は前述したように略コの字状しており、略長方形からなる腕部としての右腕部51及び左腕部52並びに右腕部51及び左腕部52を所定の間隔で平行に支持する支持部53により形成される。支持部53はロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設され、右腕部51は支持部53における背面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて設けられる。左腕部52は支持部53における正面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて設けられる。ロール紙3は、右腕部51及び左腕部52の間に位置し、右腕部51及び左腕部52はロール紙3の側面を規制することになる。
【0027】
支持部53の下方は略L字状にロール芯30方向へ起曲され、そこにスライドローラ7が水平方向に回転可能な状態で軸支される。更に、側壁2dの下部にはクランク状補助部47(
図1参照)の下端が固着されており、クランク状補助部47の上端がスライドローラ7に当接する。スライドローラ7の外周面は、側壁2dの内面及びクランク状補助部47の上端に挟まれ、摺動可能になる。これにより、幅整列ガイド5は矢印a及びb方向への摺動が容易となるとともに、幅整列ガイド5が取付シャフト6を中心に下方への倒れ込むことを防ぎ、かつ、取付シャフト6を中心に上方に回ることを防ぐことができる。
【0028】
右腕部51及び左腕部52は略長方形からなり、右腕部51及び左腕部52のロール芯方向の先端部51a及び52aの上頂角部は傾斜辺51d、52dが形成される。右腕部51及び左腕部52における支持部53側には取付シャフト6の摺動孔51b及び52bが設けられている。摺動孔51b及び52bの軸芯は一致させてあり、取付シャフト6が挿入されると、幅整列ガイド5はロール紙3の幅方向としての矢印a及びb方向に摺動可能となる。右腕部51及び左腕部52に取付た摺動孔51b及び52bを貫通する取付シャフト6により、幅整列ガイド5はロール紙給送部1の支持フレーム2に固定される。
【0029】
右腕部51の内壁面51c及び左腕部52の内壁面52c間はロール紙3の幅Wに対して、ロール紙3が両壁面51c、52cに当接しない距離W+αを確保してある。以上により、幅整列ガイド5は取付シャフト6に支持されつつ、ロール紙3の幅方向である矢印a,b方向に摺動可能となる。そして、幅整列ガイド5は、ロール紙3の巻回部分31並びに巻回部分31とロール紙直線部分32との接点付近におけるロール紙3の幅方向の位置を規制する。
【0030】
前述のように発券装置は、図示しない印刷部で印刷処理が行われた後、所定長さに切断して乗車券として発券する。この時にロール紙給送部1はロール紙3の巻戻しを行う。ロール紙3は、給紙ローラ4aにより矢印R方向に回転される毎に、幅方向へ移動することになる。幅整列ガイド5は、ロール紙3の幅方向の移動に追従して、ロール紙3の幅方向に摺動する。その後、ロール紙3は給紙ローラ4a上に安定位置で静止する。このようにして安定位置で静止した幅整列ガイド5は幅ズレを起こすことなく、ロール紙3を装置側に給送できる。
【0031】
(可動ガイド8及び位置決めガイド9)
次に、ロール紙給送部1におけるロール紙3の装填時に機能するガイド部材としての可動ガイド8及び位置決めガイド9について説明する。
図5は第1の実施の形態に関わるロール紙給送部1の一部を省略した状態を示す平面図である。
図5においてはロール紙3及び幅整列ガイド5を省略してある。可動ガイド8及び位置決めガイド9は、給送ローラ4aの近傍に配置され、ロール紙3の装填の際、ロール紙3の受入れ幅を規制するガイド部材、即ちロール紙3が幅方向にずれて装填されようとしてもこれを規制するガイド部材である。
【0032】
可動ガイド8は、
図1に示す通り左側の給送ローラ4aの左上方に配設され、後述するように右可動ガイド82及び左可動ガイド83は、ロール紙3の幅方向としての
図5に示す矢印c(正面壁側)及びd方向(背面壁側)に摺動可能に支持される。ロール紙3が装填される前では、右可動ガイド82の右腕部82a及び左可動ガイド83の左腕部83aの間は距離W−βとして、ロール紙3の幅Wより若干(β)狭くしてある。
一方、位置決めガイド9は、
図1に示す通り右側の給送ローラ4aの右上方に配設される。位置決めガイド9の右腕部92及び左腕部93の間は前述した幅整列ガイド5の間隔と同様に距離W+αとしてある。
【0033】
図6は第1の実施の形態に関わるロール紙給送部の可動ガイドを示す分解斜視図である。可動ガイド8は、ロール紙3の外周部分33に近い方から順に、ガイド支持板81、左可動ガイド83及び右可動ガイド82で構成される。ガイド支持板81は可動ガイド8をロール紙給送部1の正面壁2a及び背面壁2bに固着するための部位として一対の取付部81aを有する。更に、一対の取付部81aを所定の間隔で平行に支持する支持部81b、そしてロール紙3の外周部分33の一部に平行に対向して設けられる傾斜部81cを有する。
【0034】
この傾斜部81cは給送ローラ4aの上面に向けて斜めに低くなる形状(
図6では右下がり)をしている。従って、ロール紙3の装填位置が大きく左方向にずれたとしても、ロール紙3の外周部分33が傾斜部81c当接すると、ロール紙3を給送ローラ4a側に転動させる機能がある。即ち、傾斜部81cはロール紙3が給送ローラ4a上を安定位置として必ず復帰するように案内する。従って、利用者は、装填の際にロール紙3の幅方向の移動を意識せずにロール紙3を装填できる。
傾斜部81cの裏面には中心に雌ネジ加工が施された二本の段付ポスト81dが固設して設けられ、右可動ガイド82及び左可動ガイド83を摺動可能に設ける。
【0035】
右可動ガイド82は、ロール紙3の幅方向としての矢印c及びd方向へスライド可能である。右可動ガイド82は略L字状しており、右腕部82a、スライド部82b及びスプリング張架部82cにより形成される。スライド部82bはロール紙3の外周部分33の一部に平行に設けられ、右腕部82aはスライド部82bの背面壁側端部から斜め上方へ向けて延びて設けられている。右腕部82aはその上端部が外側に屈設されており、上方から装填されてくるロール紙3を下方に導き易くする。スライド部82bは右腕部82aと直交する平坦面であり、正面壁側端部の所定の位置にスプリング張架部82cを配設する。更にスライド部82bには二個の角孔摺動部82dが並設されている。
【0036】
左可動ガイド83も同様に、ロール紙3の幅方向としての矢印c及びd方向へスライド可能である。左可動ガイド83も略L字状しており、左腕部83a、スライド部83b及びスプリング張架部83cにより形成される。スライド部83bはロール紙3の外周部分33の一部に平行に設けられ、左腕部83aはスライド部83bの正面壁側端部から斜め上方へ向けて延びて設けられている。左腕部83aはその上端部が外側に屈設されており、上方から装填されてくるロール紙3を下方に導き易くする。スライド部83bは左腕部83aと直交する平坦面で、背面壁側端部の所定の位置にスプリング張架部83cを配設する。更に、スライド部83bにも二個の角孔摺動部83dが並設されている。右可動ガイド82及び左可動ガイド83は略対称形状を成している。
【0037】
可動ガイド8の詳細を組立順(1)〜(5)に従って説明する。なお、本可動ガイド8を構成するにあたり、スペーサ85及びネジ86の各二個を備える。(1)ガイド支持板81の傾斜部81cの裏面に固設した二本の段付ポスト81dのそれぞれに左可動ガイド83の角孔摺動部83dを挿入する。(2)角孔摺動部83dより突出した二本の段付ポスト81dのそれぞれにスペーサ85を挿入する。(3)更に、二本の段付ポスト81dのそれぞれに右可動ガイド82の角孔摺動部82dを挿入する。
【0038】
(4)角孔摺動部82dより突出した二本の段付ポスト81dのそれぞれに、抜け止め防止用としてネジ86を取付け、締め上げる。段付ポスト81dの段差(高さ)は右可動ガイド82、左可動ガイド83及びスペーサ85の厚さ分の合計値より少し大きくしてある。従って、右可動ガイド82及び左可動ガイド83はそれぞれの角孔摺動部82d及び83dにより摺動可能となる。(5)右可動ガイド82及び左可動ガイド83に設けたそれぞれのスプリング張架部82c及び83c間にスプリング84を張架する。このスプリング84の張力により、右可動ガイド82及び左可動ガイド83は互いに内側に引き寄せられる。引き寄せ時の静止位置は右腕部82a及び左腕部83a間の内側寸法が距離W−βとなるよう段付ポスト81d及び角孔摺動部82d、83dの位置を設定する。
こうして組み立てられた可動ガイド8は、右腕部82a、左腕部83a及び傾斜部81cによって「コ」の字状に形成され、右腕部82a及び左腕部83aの間にロール紙3が位置付けられる。
【0039】
図7は第1の実施の形態に関わるロール紙給送部の位置決めガイドを示す外観図である。位置決めガイド9は平行に設けられた略方形の右腕部92及び左腕部93並びに右腕部92及び左腕部93を対面状態に連結する傾斜部91cを有する。傾斜部91cは、ロール紙3の外周部分33の一部に平行に対向して設けられる。傾斜部91cの矢印c側端部(正面壁側端部)には左腕部93が形成され、矢印d側端部(背面壁側端部)には右腕部92が形成され、全体が「コ」の字状に形成される。位置決めガイド9の「コ」の字状の凹部、即ち右腕部92及び左腕部93の間にロール紙3が位置付けられる。右腕部92及び左腕部93の間隔は前述した通り距離W+αとしてある。傾斜部91cの下端には、支持フレーム2に固定するための底板91dが設けられる。
【0040】
傾斜部91cは底板91dに至る略「く」の字状としており、給送ローラ4aに向けて斜めに低くなる形状(図示では左下がり)をしている。従って、ロール紙3の装填の際、ロール紙3の装填位置が大きく右方向にずれてロール紙3の外周部分33が傾斜部91cに当接されると、給送ローラ4a側へ転動させる機能がある。即ち、傾斜部91cはロール紙3が給送ローラ4aの上を安定位置として必ず装填されるように案内する。従って、利用者は、装填の際にロール紙3の幅方向の移動を意識せずにロール紙3を装填できる。右腕部92及び左腕部93は、それぞれ上端部が外側に屈設されており、上方から装填されてくるロール紙3を導き易くしている。
【0041】
底板91dは支持フレーム2の底板2cに固定するための固定用のねじ孔を有し、図示しない固定ねじで取り付ける。このとき、ねじ孔には所定量のガタを有し、位置決めガイド9は、孔ガタ量だけ前後方向(矢印c、d方向)への取り付け位置が微調整可能である。
【0042】
(ロール紙の装填動作)
次に、ロール紙給送部1へのロール紙3の装填動作について説明する。利用者はロール紙3を持ち、支持フレーム2の上方より幅整列ガイド5の内壁面51c及び52cとの間に挿入する。続けてロール紙3を降下させていくと、位置決めガイド9の右腕部92及び左腕部93の付近にロール紙3の外周部分33が到達する。そして、右腕部92及び左腕部93間に導かれ、ロール紙3の幅方向の位置が決められる。同時に、可動ガイド8においては、右可動ガイド82及び左可動ガイド83はロール紙3により、スプリング84の張力に抗してロール紙3の幅方向、即ち矢印c、d方向に押し広げられる。そして、ロール紙3は下方にある二個の給送ローラ4aの上を安定位置として載置される。よって、利用者は、装填の際にロール紙3の幅方向の移動を意識せずにロール紙3を装填できる。
【0043】
利用者はこの状態でロール紙3の先端を引出すことにより直線部分32を作って、ロール紙3の先端を印刷部へ取り込ませることになる。ロール紙保持部4の図示しない駆動機構及び発券装置側の図示しない駆動機構により、ロール紙3が矢印F方向に繰出され給送が行われる。印刷部で印刷処理が行われ、所定長さに切断され発券紙として発券される。この時に巻戻しが行われる。
【0044】
本実施の形態に関する幅整列ガイド5は、給送ローラ4aによりロール紙3が矢印R方向に回転される毎に、ロール紙3の幅方向の移動に追従する。ロール紙3は幅方向としての矢印a方向又は矢印b方向に摺動したのち、給送ローラ4a上を安定位置として静止する。このようにして安定位置で静止した幅整列ガイド5は幅ズレを起こすことなく、ロール紙3を装置側に給送できる。
【0045】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、ロール紙3の巻回されている部分及びロール紙3の引出された部分におけるロール紙3の幅方向の移動を規制し、かつ幅方向の移動に追従しながら給送し、かつ巻取りができるので、給送不良の要因となる幅ズレを防ぐことができる。かつ、装填の際は、利用者はロール紙3の幅方向の移動を意識せずにロール紙3を装填できる。
【0046】
(第2の実施の形態)
前記第1の実施の形態では、幅整列ガイド5はロール紙3の幅方向に対して移動可能とした。ここで、ロール紙3が装填された時点で、ロール紙3は上面から見てやや斜めの姿勢となる可能性がある。第2の実施の形態では、幅整列ガイド5は幅方向に対して移動可能であることに加え、幅整列ガイド5を水平方向に振れるように構成するものである。
【0047】
図8は第2の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す斜視図である。幅整列ガイド部材としての幅整列ガイド15は略コの字状であり、支持ブラケット17、右幅整列ガイド151、左幅整列ガイド152及び支点シャフト18から構成される。右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152は略L字状とし、固定ネジ19で両者を一体化する。なお、一体化は成型化技術を用いてもよい。幅整列ガイド15は、ロール状に巻回したロール紙3が給送方向に整列して送り出されかつ巻取り方向にも整列して巻き戻されるように、ロール紙3の軸方向の移動を規制するものである。
【0048】
図9は第2の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す分解斜視図である。幅整列ガイド15は、ロール紙3の外周部分33に近い方から順に、支持ブラケット17、左幅整列ガイド152及び右幅整列ガイド151が配置される。右幅整列ガイド151は略L字状にしており、略長方形の右腕部151−1及びこれに直交して設けられた右支持部151−2の二面からなる。右支持部151−2はロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設され、右腕部151−1は右支持部151−2における背面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて設けられる。右腕部151−1及び後述する左腕部152−1によって、ロール紙3の巻回部分31−1の側面に当接してロール紙3の移動を規制する。
【0049】
この右腕部151−1及び右支持部151−2の二面の角部には、支点シャフト18が摺動する角孔摺動部151cが設けられており、支持ブラケット17の一部が係合することになる。右支持部151−2の略中央には曲げ部151dが設けてある。この曲げ部151dは第1段階として右支持部151−2から内側に向けて略L字状に起曲されて形成され、第2段階として更に下方に向けて略L字状に起曲して把持部151eが形成される。後述するように、この把持部151eが支点シャフト18に設けた第1の支点用突起部としての支点用突起部18aを把持することになる。
【0050】
左幅整列ガイド152も略L字状にしており、略長方形の左腕部152−1及びこれに直交して設けられた左支持部152−2の二面からなる。左支持部152−2はロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設され、左腕部152−1は左支持部152−2における正面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて右腕部151−1に平行に設けられる。
この左腕部152−1及び左支持部152−2の二面の角部には支点シャフト18が摺動する角孔摺動部152cが設けられており、支持ブラケット17の一部が係合することになる。左支持部152−2の略中央には逃げ孔152fが設けてある。この逃げ孔152fは先に説明した右幅整列ガイド151の曲げ部151dが通される。
【0051】
左幅整列ガイド152の左支持部152−2は、前記右幅整列ガイド151の右支持部151−2より、下部が大きく形成されている。左支持部152−2の下部は、曲げ部152dが設けてある。曲げ部152dは第1段階として左支持部152−2から内側に向けて略L字状に起曲され、第2段階として更に下方に向けて起曲して把持部152eが形成される。この略L字状に起曲された曲げ部152dの中央部には四角孔152gが設けてある。四角孔152gは、後に
図13で示すように支持ブラケット17の支点用突起部17dが挿入され、その後、把持部152e及び左支持部152−2により挟持される。そのため四角孔152gは、曲げ部152dから把持部152e及び左支持部152−2に至るまで設けられる。
なお、右腕部151−1及び左腕部152−1の上端部はロール紙3を導き易くするために
図9に示すように外側に屈設されている。
【0052】
一方、支持ブラケット17は、ロール紙3の幅方向に支点シャフト18を保持する。支持ブラケット17は、右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152を支点シャフト18により保持するとともに、ロール紙給送部1の支持フレーム2に固定する機能を有する。支持ブラケット17は、右幅整列ガイド151の右支持部151−2及び左幅整列ガイド152の左支持部152−2を支持する支持部17−2を有する。支持ブラケット17は支持部17−2の周囲に略L字状に曲げられたシャフト支持部17b、取付部17c、支点用突起部17d及び上部曲げ部17eを有する。
【0053】
シャフト支持部17bは、ロール紙3の幅方向に2箇所設けられる。シャフト支持部17bには支点シャフト18が摺動する切欠きからなる丸穴固定部17g、17hを設ける。このシャフト支持部17bは正面壁側の丸穴固定部17g及び背面壁側の丸穴固定部17hの2箇所設ける。この丸穴固定部17hは、後述する支点シャフト18の先端側の細径部が嵌入される。
【0054】
取付部17cはロール紙給送部1の支持フレーム2に固定するための部位であって、正面壁2a及び背面壁2bと密着して固定される。第2の支点用突起部としての支点用突起部17dは支持部17−2の下部の中央に略L字状に起曲されている。後述するように支点用突起部17dは、一体化した右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152を水平に揺動させるための中心とすることができる。
【0055】
上部曲げ部17eは装填操作時の安全性及び強度上の観点から設けられ、中央部にはU字状逃げ部17kを有する。このU字状逃げ部17kには右幅整列ガイド151の曲げ部151dが位置づけられる。
支点シャフト18は、中央部に全周に亘って半径の大きい第1の支点用突起部としての支点用突起部18aが設けられている。即ち、支点用突起部18aの両側は半径の小さい細径部18bとなる。更に、支点シャフト18の背面壁側端部も細径部18cが設けられている。
【0056】
幅整列ガイド15の詳細を組立順(1)〜(3)に従って説明する。
(1)右幅整列ガイド151の右支持部151−2を左幅整列ガイド152の左支持部152−2に密着させる。その際には右幅整列ガイド151に設けている曲げ部151d及び把持部151eを左幅整列ガイド152の逃げ孔152fに通す。この時点で右幅整列ガイド151を左幅整列ガイド152に固定ネジ19で固定する。
(2)左幅整列ガイド152の下部に設けた把持部152eに支持ブラケット17の支点用突起部17dを当接させる。この時には、シャフト支持部17bは右腕部151−1及び左腕部152−1の内側に位置するよう設けてあるので干渉しない。
【0057】
(3)支点シャフト18をまず正面壁側に位置する角孔摺動部152c、丸穴固定部17g、続けて背面壁側に位置する丸穴固定部17h及び角孔摺動部151cに嵌通させる。これにより、一体化した右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152が支点シャフト18の軸方向に摺動することができる。また、この時に支点シャフト18の中央に設けた支点用突起部18aは右幅整列ガイド151の把持部151e及び左幅整列ガイド152の左支持部152−2により把持される。これにより、一体化した右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152が支点用突起部18aを中心に水平方向に揺動することができる。
【0058】
以上により、
図8に示した斜視図のように幅整列ガイド15が組み立てられる。なお、支点シャフト18は背面壁側端部を細径部18cとしてあるので、段差により背面壁側には抜けない。正面壁側に対する抜け止めは支持フレーム2に設ける図示しない係止部により行われる。
【0059】
図10は第2の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す正面図である。
図11は第2の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドのPP断面図である。
図10に示す取付部17cはロール紙給送部1の支持フレーム2の内側に位置付けて支持ブラケット17を固定することにより使用可能となる。
【0060】
支点シャフト18は右幅整列ガイド151、左幅整列ガイド152及び支持ブラケット17を嵌通している。左幅整列ガイド152の角孔摺動部152c及び右幅整列ガイド151の角孔摺動部151cは、支点シャフト18を軸方向、即ち矢印a及びb方向に摺動可能とする。これにより、幅整列ガイド15が支持シャフト18により軸方向に摺動可能に支持されることになる。即ち、幅整列ガイド15は、ロール紙3の幅方向への移動に追従して移動可能となる。
【0061】
更に、
図11に示すように、支点シャフト18の支点用突起部18aが幅方向の中央に位置している。支点シャフト18の支点用突起部18aは、右幅整列ガイド151の把持部151e及び左幅整列ガイド152の左支持部152−2により、両側から把持されている。正面壁側において、左幅整列ガイド152の角孔摺動部152cは、支点シャフト18に対して矢印T方向に摺動可能である。背面壁側においても同様に、右幅整列ガイド151の角孔摺動部151cは支点シャフト18に対して矢印T方向に摺動可能である。これにより、一体化した右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152は、支点シャフト18の支点用突起部18aを中心として水平(矢印e及びf方向)に揺動することになる。
即ち、幅整列ガイド15は、幅整列ガイド15におけるロール紙3の幅方向の中央を中心にして水平方向に揺動可能となる。この揺動量は角孔摺動部152cの横方向の長さにより制限される。
【0062】
図12は第2の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す平面図である。
図13は第2の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドのQQ断面図である。
図13に示すように、支点シャフト18の中央に位置する支点用突起部18aは、右幅整列ガイド151の把持部151e及び左幅整列ガイド152の左支持部152−2により、両側から把持されている。従って、
図12に示すように、一体化した右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152は、支点シャフト18の支点用突起部18aを中心として水平(矢印e及びf方向)に揺動する。
【0063】
一方、
図13に示すように、支持ブラケット17の下方に設けた支点用突起部17dは、支点シャフト18の支点用突起部18aと同様に、支持ブラケット17の幅方向の中央に設けられている。更に、当該支点用突起部17dは、支点シャフト18の支点用突起部18aと同様に、左幅整列ガイド152の左支持部152−2及び把持部152eにより両側から把持されている。これにより、支点用突起部17dは、支点シャフト18の支点用突起部18aと同様に、一体化した右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152を水平に揺動させるための中心とすることができる。
右幅整列ガイド151及び左幅整列ガイド152は、支点シャフト18の支点用突起部18a及び支持ブラケット17の支点用突起部17dの二つの突起を中心とすることにより、安定して水平方向としての矢印e、f方向に揺動可能となる。
【0064】
以上説明したように第2の実施の形態によれば幅整列ガイド15に、幅方向への移動に加えて、水平方向に対して揺動可能としたことで、ロール紙3の幅方向への斜めの移動に対する追従性が生じる。それにより、幅ズレの整列性の向上、給送負荷の低減という効果を奏する。
【0065】
(第3の実施の形態)
前記第1の実施の形態及び第2の実施の形態における幅整列ガイド5及び15は、略コの字状でその幅は固定されている。そのため、ロール紙3の装填操作性、更には製造許容幅の観点から、例えば第1の実施の形態の右腕部51の内壁面51c及び左腕部52の内壁面52c間は、ロール紙の幅(
図4に示す符号W)に対して若干広く(W+α)している。従って、幅整列ガイド5及びロール紙3の側面に隙間がある。この隙間に相当する量だけ巻ズレが発生し、ズレ部と幅整列ガイド5の接触による摩擦負荷が生じることが懸念される。
【0066】
第3の実施の形態では、幅整列ガイド25を二分割して幅寸法が可変となる構造とした。分割された各幅整列ガイド251及び252はロール紙3の巻回部分31をそれぞれが押圧できるようにする。
第3の実施の形態におけるロール紙3の支持方法、更に給送及び巻取り方法は前述の第1の実施の形態で説明した通りである。従って、第1の実施の形態との差異である幅整列ガイド25について説明する。
【0067】
図14は第3の実施の形態に関わるロール紙給送部を示す平面図である。ロール紙給送部1の幅整列ガイド部材としての幅整列ガイド25は、右幅整列ガイド251及び左幅整列ガイド252からなる。この右幅整列ガイド251及び左幅整列ガイド252は取付シャフト46により支持され、矢印a,b方向に摺動可能に支持される。幅整列ガイド25は、ロール状に巻回したロール紙3が給送方向に整列して送り出されかつ巻取り方向にも整列して巻き戻されるように、ロール紙3の軸方向の移動を規制するものである。
【0068】
付勢手段としてのスプリング26は取付シャフト46に支持された右幅整列ガイド251を内側としての矢印b方向及び左幅整列ガイド252を内側としての矢印a方向に向けて、即ち相互に内側に向けて付勢するものである。取付シャフト46は、支持フレーム2の正面壁2a及び背面壁2bを貫通し、幅整列ガイド25を支持フレーム2に取付けている。これにより、幅整列ガイド25は支持フレーム2に固定される。
【0069】
図15は第3の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す分解斜視図である。幅整列ガイド25の右幅整列ガイド251は略L字状しており、右腕部251−1及びこれに直交して設けられた右支持部251−2の二面により形成される。右支持部251−2はロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設され、右腕部251−1は右支持部251−2における背面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて設けられる。右腕部251−1の形状は前述の第1の実施の形態に関する
図3に示した右腕部51の形状と略同一である。右腕部251−1及び後述する左腕部252−1によって、ロール紙3の巻回部分31−1の側面に当接してロール紙3の移動を規制する。右腕部251−1は、右支持部251−2付近に摺動孔251cを有する。これにより、右幅整列ガイド251を矢印a及びb方向に摺動可能とする。
【0070】
右支持部251−2には略中央に並列した二個の角孔摺動部251d及び251eを設けてある。更に、右支持部251−2において、正面壁側端部寄りの位置に、ロール紙3のロール芯30の逆方向へ向けてスタッド251fが固着されていて、スプリング26の一端が張架されることになる。
一方、左幅整列ガイド252も略逆L字状しており、左腕部252−1及びこれに直交して設けられた左支持部252−2の二面より形成される。右幅整列ガイド251の右支持部251−2及び左幅整列ガイド252の左支持部252−2は重ねられ、幅整列ガイド25は略コの字状を形成する。
【0071】
左支持部252−2はロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設され、左腕部252−1は左支持部252−2における正面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて右腕部251−1と平行に設けられる。左腕部252−1の形状は同じく前述の
図3に示した左腕部52の形状と略同一である。左腕部252−1は、左支持部252−2付近に摺動孔252cを有する。この摺動孔252cは右腕部251−1に設けた摺動孔251cと位置、大きさを一致し、取付シャフト46を貫通させる。これにより、左幅整列ガイド252を矢印a及びb方向に摺動可能とする。
こうして、幅整列ガイド251が取付シャフト46により軸方向に摺動可能に支持されることになる。即ち、幅整列ガイド251は、ロール紙3の幅方向への移動に追従して移動可能となる。
【0072】
また、左支持部252−2には背面壁側端部寄りの位置に、ロール紙3のロール芯30の逆方向へ向けて座付スタッド252dが固着されていて、その先端部には前述のスプリング26の他端が張架されることになる。
左支持部252−2には、座付スタッド252dと並列してネジ孔252eが穿孔されている。この座付スタッド252d及びネジ孔252eの位置関係は、右幅整列ガイド251側の右支持部251−2の二個の角孔摺動部251d及び251eと対応させて設けてある。座付スペーサ27は座の部分を左支持部252−2側に当接させ、細径の部分を角孔摺動部251eに緩嵌させる形状である。
【0073】
左支持部252−2の中央下部はロール紙3のロール芯30方向に向かって略L字状に起曲され、スライドローラ7が水平方向に回転可能な状態で軸支される。これにより、スライドローラ7の外周面は支持フレーム2の側壁2dの内面と摺動可能になるとともに、幅整列ガイド25の倒れ込みを防止することができる。
【0074】
幅整列ガイド25の詳細を組立順(1)〜(5)に従って説明する。
(1)座付スペーサ27を右幅整列ガイド251の角孔摺動部251eに嵌める。
(2)右幅整列ガイド251及び左幅整列ガイド252を近づけて、座付スタッド252dを角孔摺動部251d−1に位置づけて嵌合させる。
(3)右幅整列ガイド251及び左幅整列ガイド252に設けた摺動孔251c及び252cに取付シャフト46を挿入する。
(4)ネジ28を座付スペーサ27に挿通させ、左幅整列ガイド252に設けたネジ孔252eに締め付ける。
【0075】
(5)スタッド251f及び座付スタッド252d間にスプリング26を張架する。このスプリング26の張力により、右幅整列ガイド251及び左幅整列ガイド252は互いに内側に向けて付勢される。これにより、幅整列ガイド25の右腕部251−1及び左腕部252−1間の幅は可変となり、ロール紙3の装填後は、右腕部251−1及び左腕部252−1が、ロール紙3の幅方向の両側面に常に当接した状態となる。これにより、幅整列ガイド25はロール紙3の幅方向への移動に追従して移動可能となる。
【0076】
また、右幅整列ガイド251及び左幅整列ガイド252の引き寄せ時の静止位置は、座付スタッド252d及び角孔摺動部251dの位置で設定する。更に、ロール紙3が装填される前は、幅整列ガイド25の右腕部251−1及び左腕部252−1間の幅はロール紙3の幅(W)より狭い(β)寸法、距離W−βになるよう設定する。
【0077】
座付スタット252d及び座付スペーサ27は、右幅整列ガイド251の右支持部251−2及び左幅整列ガイド252の左支持部252−2の面接触負荷を軽減するために用いてある。よって、座付スペーサ27は予め右支持部251−2に固着しておいてもよい。
以上の幅整列ガイド25の構成、作用によりロール紙3を上方から装填する際に、ロール紙3により幅整列ガイド25は押し広げられ、装填後は、右腕部251−1及び左腕部252−1がロール紙3の巻回部分31の両側面に常に当接した状態となる。このため、幅ズレが発生する要因となる隙間を無くすことが可能となる。
【0078】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば幅整列ガイド25の右腕部251−1及び左腕部252−1間の幅を可変とし、右腕部251−1及び左腕部252−1がロール紙3の巻回部分31の両側面と常に当接できる構造としたことによって、幅整列ガイド25はロール紙3の幅方向への移動に追従して移動可能となり、幅ズレを抑止できる効果を奏する。
【0079】
(第4の実施の形態)
前記第3の実施の形態においては、幅整列ガイド25の右腕部251−1及び左腕部252−1が常にロール紙3の巻回部分31の両側面に面接触し、ロール紙3が軸方向に摺動できる構造である。ゆえに幅整列ガイド25のみを押し広げるような力、特にロール紙3の装填時に右腕部251−1又は左腕部252−1の先端近傍を押し広げる力を加えてしまう場合がある。その場合に、押し広げる力の回転モーメントにより取付シャフト46での摺動動作を妨げることが懸念される。第4の実施の形態では、幅整列ガイド25の摺動動作時の負荷を軽減できる構造を提供する。
【0080】
図16は第4の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す斜視図である。幅整列ガイド部材としての幅整列ガイド35は、後述するように右幅整列ガイド351、左幅整列ガイド352及び支持ブラケット36を有する。更に、幅整列ガイド35は、転動部材としての円筒コロ37及び支点シャフト38等を含む。幅整列ガイド35は、ロール状に巻回したロール紙3が給送方向に整列して送り出されかつ巻取り方向にも整列して巻き戻されるように、ロール紙3の軸方向の移動を規制するものである。
【0081】
後述するように、円筒コロ37は、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352の間隔を確保するとともに、スタッド36aに上下方向を規制されつつ、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352を矢印a、b方向に円滑に摺動させる機能を有する。支点シャフト38は、幅整列ガイド35の幅方向中央に垂直に設けたもので、幅整列ガイド35を略水平方向に揺動(矢印e、f方向)可能にするものである。スプリング40は右幅整列ガイド351、左幅整列ガイド352のそれぞれを内側に引き寄せる為に張架されるものである。
【0082】
図17は第4の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す分解斜視図である。幅整列ガイド35は、ロール紙3の外周部分33に近い方から順に、支持ブラケット36、左幅整列ガイド352及び右幅整列ガイド351が配置される。
最初に右幅整列ガイド351について説明する。右幅整列ガイド351は略L字状を形成しており、右腕部351−1及びこれに直交して設けられた右支持部351−2の二面より形成される。右支持部351−2はロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設され、右腕部351−1は右支持部351−2における背面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて設けられる。右腕部351−1の上部は、ロール紙3を受け入れるために斜め背面壁側に折り曲げられており、右腕部351−1の正面壁側がロール紙3の巻回部分31の側面に当接する面となる。右腕部351−1及び後述する左腕部352−1によって、ロール紙3の巻回部分31−1の側面に当接してロール紙3の移動を規制する。
【0083】
右腕部351−1と直交する方向に曲げられた右支持部351−2には、曲げを有する部位として曲げ部B1、曲げ部B2及びスプリング張架部351cを有する。曲げ部B1は右腕部351−1と右支持部351−2の曲げ個所より右腕部351−1側にずれて略L字状に起曲される。この曲げ部B1は、円筒コロ37が緩嵌された時に閂構造を形成するための掛止面となる。曲げ部B2は右支持部351−2において正面壁側端部に上方から三分割した曲げ部B2−1、B2−2、B2−3である。中央部の曲げ部B2−2は第1段階として右支持部351−2から内側(ロール紙3のロール芯30方向)に向けて略L字状に曲げられ、第2段階として更に外側(正面壁側)に向けて曲げられている。この第2段階の曲げ面は、円筒コロ37が緩嵌された時に閂構造を形成するための掛止面となる。
【0084】
中央部の曲げ部B2−2を挟んで上下に設ける2ヶ所の曲げ部B2−1、B2−3は、内側(ロール紙3のロール芯30方向)に向けて略L字状に曲げられている。この際の曲げ部により、前述の中央部の曲げ部B2−2から円筒コロ37が緩嵌でき、かつ所定の隙間(横ガタ付き)を確保する。
スプリング張架部351cはスプリング40の一端を張架するための部位である。右支持部351−2には、角孔摺動部351d及び351eが並列して二個設けてある。さらに角孔摺動部351d及び351eの略中間には逃げ孔351fが設けられる。
【0085】
次に、左幅整列ガイド352について説明する。左幅整列ガイド352も略L字状に形成しており、左腕部352−1及びこれに直交して設けられた左支持部352−2の二面より形成される。左支持部352−2はロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設され、左腕部352−1は左支持部352−2における正面壁側端部からロール紙3のロール芯30方向へ延びて右腕部351−1に平行に設けられる。
【0086】
左腕部352−1の上部は、ロール紙3を受け入れるために斜め正面壁側に折り曲げられており、左腕部352−1の背面壁側の面がロール紙3の側面に当接することになる。左腕部352−1と直交する方向に曲げられた左支持部352−2には、曲げを設ける部位として曲げ部B3、曲げ部B4そしてスプリング張架部352cがある。
【0087】
曲げ部B3は、左支持部352−2における背面壁側端部に上方から三分割して設けられた曲げ部B3−1、B3−2、B3−3である。中央部の曲げ部B3−2は、第1段階として左支持部352−2から外側(ロール紙3のロール芯30方向の反対方向)に略L字状に曲げられ、第2段階として更に背面壁側に向けて略L字状に曲げられている。この第2段階の曲げ部B3−2の長さは、円筒コロ37が緩嵌できる寸法である。
【0088】
中央部の曲げ部B3−2を挟んで上下に設ける曲げ部B3−1及びB3−3は外側(ロール紙3のロール芯30方向の反対方向)に向けて略L字状に曲げられている。この曲げ部B3−1及びB3−3により、前述の中央部の曲げ部B3−2の第1段階の曲げ面から円筒コロ37が緩嵌でき、かつ所定の隙間(横ガタ付き)を確保する。曲げ部B3は前記右幅整列ガイド351の曲げ部B1と互い違いに組み合わされることにより間に空間を作る。
【0089】
曲げ部B4は左腕部352−1及び左支持部352−2の曲げ個所付近の位置で略L字状に起曲される。この際の曲げ部B4の高さは、円筒コロ37が緩嵌できる寸法である。曲げ部B4は、前記右幅整列ガイド351の曲げ部B2と互い違いの状態に組み合わされることにより間に空間を作る。
スプリング張架部352cはスプリング40の他端を張架するための部位である。左支持部352−2には、角孔摺動部352d及び352eが並列して二個設けてある。更に、角孔摺動部352d及び352eの略中間には逃げ孔352fが設けられている。左幅整列ガイド352の外観は図示からも理解できるように曲げ部B3、B4の方向を除けば先に説明した右幅整列ガイド351と左右対称である。
【0090】
支持ブラケット36は、支点シャフト38により右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352を保持し、支持フレーム2に固定する機能を有する。そのため支持ブラケット36は、右幅整列ガイド351の右支持部351−2及び左幅整列ガイド352の左支持部352−2を支持する支持部36−2を有する。支持ブラケット36は、ロール紙3の外周部分33の一部に平行に配設された支持部36−2、支持部36−2の周囲に略L字状に曲げられた一対の取付部36c、上下二個のシャフト支持部36d及び上部曲げ部36eがある。また、上部曲げ部36eの下方には二個のスタッド36aがロール紙3のロール芯30方向の反対方向に固着されている。
【0091】
取付部36cは支持フレーム2に固定するための部位であって、正面壁2a及び背面壁2bに密着して固定される。上下に設けられた2個のシャフト支持部36dには垂直方向に所定距離だけ離れて設けられ、それぞれに嵌合孔361、362を穿孔する。このシャフト支持部36dは互いに対面するとともに、嵌合孔361、362の中心軸は一致させてある。下方に設けたシャフト支持部36dの直下にはネジ孔363が設けられている。
二本の円筒コロ37は上端に太径部37aを有する長尺なシャフトである。円筒コロ37は、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352を連結するためのいわゆる閂となる。円筒コロ37の円周は摺動面となるため、摩擦負荷を低減するため良好な仕上げ面を有する。
支点シャフト38も下端に太径部38aを有する長尺なシャフトである。支点シャフト38は、幅整列ガイド35を略水平方向としての矢印e及びf方向(
図16参照)に揺動するための支点となる。
【0092】
幅整列ガイド35の詳細を組立順(1)〜(5)に従って説明する。
(1)右幅整列ガイド351を左幅整列ガイド352に重ね合わせる。具体的には、まず右幅整列ガイド351に設けた曲げ部B2及び左幅整列ガイド352に設けてある曲げ部B4を互い違いに組み合わせことにより間に空間を作る。同様に右幅整列ガイド351に設けた曲げ部B1及び左幅整列ガイド352に設けてある曲げ部B3を互い違いに組み合わせるにより間に空間を作る。
【0093】
(2)一方の円筒コロ37を上方より右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352の間に挿入する。この際には、一方の円筒コロ37を曲げ部B2及び曲げ部B4により形成される空間に挿入する。同様に、他方の円筒コロ37を、曲げ部B1及び曲げ部B3より形成される空間に挿入する。この円筒コロ37を二個挿入した時点で、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352は一体として分離できない閂構造となる。円筒コロ37の抜け止めとしては、下方への抜け防止は円筒コロ37の上部に設けた太径部37aが作用し、上方への抜け防止は支持ブラケット36に設けた上部曲げ部36eが作用する。
【0094】
(3)支持ブラケット36に固着したスタッド36aを右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352に設けた角孔摺動部351d、351e、352d及び352eに嵌入する。同時にシャフト支持部36dを右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352に設けた逃げ孔351f及び352fに挿入する。
(4)下方から支点シャフト38を嵌合孔361及び362に嵌通する。一体とした右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352に対し、更に、支持ブラケット36を一体化することができる。そして、ネジ39を取り付ける。なお、ネジ39は支点シャフト38の抜け落ち防止のため、ネジ頭部が支点シャフト近接とすることになる。
【0095】
(5)右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352に設けたそれぞれのスプリング張架部351c及び352c間にスプリング40の両端を張架する。このスプリング40の張力により、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352は互いに内側に向けて引き寄せられる。これにより、右幅整列ガイド351の右腕部351−1及び左幅整列ガイド352の左腕部352−1間の幅は可変となり、ロール紙3の装填後は、右腕部351−1及び左腕部352−1が、ロール紙3の幅方向の両側面に常に当接した状態となる。
【0096】
図18は第4の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す側面図である。右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352は幅方向に摺動可能に一体化され、円筒コロ37は、右幅整列ガイド351の曲げ部B1及びB2並びに左幅整列ガイド352の曲げ部B3及びB4が互い違いに組み合わせたことにより作成した空間に差し込まれているので、これが閂構造となって分離できなくなる。更に、それぞれの右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352はスプリング40により幅方向に互いに引き寄せられる。更に、支持ブラケット36に固定されたスタッド36aにより、それぞれが角孔摺動部352d及び351dで摺動可能な状態で支持されている。
【0097】
支持ブラケット36の中央で固定された支点シャフト38が右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352のスライド面の間を貫通しているため倒れ込むことはない。以上により右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352が、矢印a、b方向へ移動すること及び
図16に示す矢印e、f方向に揺動することが可能となる。
【0098】
図19は第4の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドを示す正面図である。幅整列ガイド35は支持ブラケット36により支持される。幅整列ガイド35は円筒コロ37が挿入されている。この円筒コロ37は支持ブラケット17の上部曲げ部36eにより抜けることはない。
【0099】
図20は第4の実施の形態に関わるロール紙給送部の幅整列ガイドのMM断面図である。
図19に示すMM断面矢視を図示しており、曲げ部B1、B2、B3、及びB4近傍の断面を示す。図示すように曲げ部B1、B2、B3、及びB4並びに円筒コロ37により閂構造に形成された幅整列ガイド35は、支点シャフト38を中心に矢印e、f方向に揺動可能となる。即ち、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352が垂直に設けた円筒コロ37を介してロール紙3の幅方向の中央の支点シャフト38を中心にして水平方向に揺動可能となる。これにより、幅整列ガイド35はロール紙3の水平方向の移動に追従して移動可能となる。
【0100】
また、曲げ部B1、B2、B3、及びB4は円筒コロ37を取り囲むが、角孔摺動部351d及び352d方向に隙間を確保することで、矢印a、b方向にガタツキが生じる。これにより、幅整列ガイド35はロール紙3の幅方向への移動に追従して移動可能となる。
更に、スプリング40の張力に抗して、右幅整列ガイド351は矢印g方向に、左幅整列ガイド352は矢印h方向に単独で摺動可能となる。即ち、幅整列ガイド35は、ロール紙3の巻芯30方向に平行して延在する右腕部351−1及び左腕部352−1を有し、右腕部351−1及び左腕部352−1はロール紙3の幅方向において相互に内側に向けて付勢され、ロール紙3の側面に当接することができる。
【0101】
一方、ロール紙3により右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352の一方又は両方が押し広げられると、右支持部351−2、352−2に挟まれた円筒コロ37が転動することで、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352が互いにスライドする際の負荷が軽減される。
【0102】
幅整列ガイド35が幅間隔を変えつつ、挟み込まれたロール紙3が矢印a、b方向に移動すれば、角孔摺動部351d、352dの大きさ範囲内でロール紙3と一緒に移動する。更に、ロール紙3が斜めになれば、支点シャフト38を回転中心として幅整列ガイド35はロール紙3の姿勢に合わせて水平方向としての矢印e、f方向へ揺動することが可能となる。即ち、本実施の形態の幅整列ガイド35はロール紙3の種々の方向への移動に追従することが可能となる。
【0103】
以上説明したように第4の実施の形態によれば、幅整列ガイド35の略コの字状を形成する二部品、即ち、右幅整列ガイド351及び左幅整列ガイド352がスライドする面の間に転動部材としての円筒コロ37を介在させたので、腕部351−1、352−1の先端のみを押し広げる力が作用する場合でも、摺動負荷を抑えることが可能となる。これにより、スプリングによる押圧力を小さくすることができる。つまり、給送負荷となるロール紙3の側面を押圧する力を抑えることが可能となる。
幅整列ガイド35は、ロール紙給送部1の支持フレーム2のどの位置に設けても所定の効果を得られ、設ける個所を複数ヶ所にすれば、整列効果がより向上する。
【0104】
第1乃至第4の実施の形態における幅整列ガイドについて、ロール紙3の移動を規制すること及びロール紙3の移動に追従することの関係については、例えばロール紙3が比較的少ない揺れの場合にその移動に追従し、逆に、比較的激しい揺れの場合にその移動を規制するものと考えてよい。
【0105】
第1乃至第4の実施の形態におけるロール紙は、列車の乗車券等を発行する発券装置として説明したが、これに限定されない。例えば、現金自動預け払い機(ATM)の取引レシート、大束紙幣の施封用のテープ、航空機搭乗の際に利用する手荷物タグ、更には幅広の媒体としてファクシミリ用出力紙などを扱う装置において流用可能である。