(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スリットの夫々が、前記縦方向に沿って延設された直線部と、前記直線部の前記縦方向の内端部から前記第二フラップ部の前記横方向の内側に向けて延設された補助部と、を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート材。
前記帯部の前記シート材の前記第二フラップ部は、前記本体部の前記シート材の前記第二フラップ部と当該第二フラップ部間に位置する前記第一フラップ部との間に差し込まれ
ている
ことを特徴とする、請求項5に記載の間仕切体。
前記本体部は、当該本体部の前記シート材において、前記帯部と重ならない前記正方パネル部と、当該正方パネル部から突設された前記第一フラップ部とで構成された底面部を有する
ことを特徴とする、請求項5または6に記載の間仕切体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば災害時に被災者が集まる避難所では、上述したようなシート材が水や食料等の物資を収納するための箱として多数使用される。通常、これらのシート材は、箱として使用された後、展開されて処分される。そこで、シート材を箱以外のものにも活用できるようにすることが望まれている。
【0005】
本件は、上述したような課題に鑑みて創案されたものであり、箱用のシート材の活用性を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ここで開示するシート材は、組み立てられた状態で六面体をなす箱用のシート材であって、横方向に連設されて前記六面体で四角筒状をなす四つのパネル部と、前記パネル部の夫々から縦方向の両側に突設されて前記六面体で対向する二面をなす四対のフラップ部とを備えている。前記四つのパネル部は、正方形状の二つの正方パネル部と、矩形状の二つの矩形パネル部とが前記横方向に交互に並べられてなり、前記四対のフラップ部は、前記正方パネル部の夫々から突設された第一フラップ部と、前記矩形パネル部の夫々から突設された第二フラップ部とからなる。また、前記第二フラップ部の夫々は、前記縦方向の外端部に設けられた二つのスリットによりフラップ状に形成された差込片を有する。前記差込片は、前記矩形パネル部間に位置する前記正方パネル部を中心にして、仮想的に本シート材をその延在面に沿って90°回転させたときの前記スリットの何れかと対応する位置に設けられている。
【0007】
(2)前記第二フラップ部は、前記縦方向の寸法と前記横方向の寸法との比が1:2とされた矩形状であることが好ましい。この場合、前記差込片は、前記縦方向の寸法と前記横方向の寸法との比が1:2とされた矩形状であるとともに、前記第二フラップ部における前記横方向の中央に設けられていることが好ましい。
【0008】
(3)前記スリットの夫々が、前記縦方向に沿って延設された直線部と、前記直線部の前記縦方向の内端部から前記第二フラップ部の前記横方向の内側に向けて延設された補助部と、を有することが好ましい。
(4)この場合、前記補助部が曲線状に延設されていることが好ましい。
(5)前記第二フラップ部は、本シート材が組み立てられた状態で前記第一フラップ部の内側に重なって設けられる内フラップ部であることが好ましい。
【0009】
(6)ここで開示する間仕切体は、前記シート材を少なくとも三つ組み合わせて構成される間仕切体であって、複数の前記シート材が前記縦方向の端部同士を突き合わせた状態に並べられてなる本体部と、少なくとも一つの前記シート材が、前記本体部の前記シート材の延在面に沿うとともに、前記本体部の前記シート材に対して90°回転した姿勢で配置されてなる帯部と、を備えている。前記帯部の前記シート材の前記正方パネル部は、前記本体部の前記シート材の前記矩形パネル部間に位置する前記正方パネル部と重なって設けられている。また、前記帯部の前記シート材の前記差込片は、前記本体部の前記シート材の前記スリットに差し込まれている。
【0010】
(7)前記帯部の前記シート材の前記第二フラップ部は、前記本体部の前記シート材の前記第二フラップ部と当該第二フラップ部間に位置する前記第一フラップ部との間に差し込まれていることが好ましい。
(8)前記本体部は、当該本体部の前記シート材において、前記帯部と重ならない前記正方パネル部と、当該正方パネル部から突設された前記第一フラップ部とで構成された底面部を有することが好ましい。
(9)前記シート材が段ボールシートで形成され、前記本体部の前記シート材は、少なくとも前記帯部と重なる部分の目方向が鉛直方向に沿う姿勢で配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
開示のシート材および間仕切体によれば、箱用のシート材を間仕切体として利用することができる。よって、シート材の活用性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態としてのシート材および間仕切体について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0014】
[1.シート材]
本実施形態に係るシート材1は、組み立てられた状態で、
図1(a)に示すような六面体の箱20をなすものである。この箱20は、例えば、水や食料等の物資を収容した状態で、災害時に被災者が集まる避難所に備蓄または供給される。なお、本実施形態では、フラップ部2が側面に配置される所謂ラップアラウンド式の箱20を例示するが、
図1(b)に示すように、シート材1は、フラップ部2が天面に配置される所謂A式の箱20′に組み立てられてもよい。
【0015】
図2に示すように、シート材1は、箱20を一平面上に展開したものである。シート材1は、横方向Xに連設された四つのパネル部3と、各パネル部3から縦方向Yの両側に突設された四対のフラップ部2とを備えている。ここでいう横方向Xと縦方向Yとは、シート材1が延びる平面に沿って互いに直交する方向である。
【0016】
本実施形態に係るシート材1は、波形の中芯に表ライナと裏ライナとが貼り合わされた段ボールシートで形成され、その目方
向が横方向Xとされている。このため、シート材1では、横方向Xの荷重に対する剛性が、縦方向Yの荷重に対する剛性よりも高くなっている。言い換えると、シート材1は、横方向Xに沿う折れ線よりも、縦方向Yに沿う折れ線に対して折れにくい性質を持つ。
【0017】
本実施形態の四つのパネル部3は、正方形状の二つのパネル部3A,3B(以下、正方パネル部3A,3Bともいう)と、やや縦長な矩形状の二つのパネル部3C,3D(以下、矩形パネル部3C,3Dともいう)とで構成されている。これらの正方パネル部3A,3Bと矩形パネル部3C,3Dとは、横方向Xに交互に並んでいる。なお、ここでいう「正方形」や「矩形」といった表現は、厳密な形状を意味するものではなく、例えば、角が丸められているものや多少の寸法誤差があるものも含むこととする。
【0018】
以下、二つの正方パネル部3A,3Bのうち、二つの矩形パネル部3C,3Dの間に位置する一方を第一正方パネル部3Aともいい、他方を第二正方パネル部3Bともいう。また、二つの矩形パネル部3C,3Dのうち、二つの正方パネル部3A,3Bの間に位置する一方を第一矩形パネル部3Cともいい、他方を第二矩形パネル部3Dともいう。
【0019】
本実施形態のシート材1は、第二正方パネル部3Bから横方向Xの外側に突設された貼着片4を備えている。貼着片4は、シート材1が箱20に組み立てられるときに、第二矩形パネル部3Dの横方向Xの端部に対して貼り合わされる。
【0020】
四対のフラップ部2は、正方パネル部3A,3Bからそれぞれ突設された二対の外フラップ部(第一フラップ部)2A,2Bと、矩形パネル部3C,3Dからそれぞれ突設された二対の内フラップ部(第二フラップ部)2C,2Dとで構成される。外フラップ部2A,2Bと内フラップ部2C,2Dとは、横方向Xに交互に並んでいる。横方向Xにおいて隣り合うフラップ部2間には、スロット(切れ込み)7が設けられる。
【0021】
各フラップ部2は、横長な矩形状に形成される。ただし、内フラップ部2C,2Dの夫々は、縦方向Yの寸法と横方向Xの寸法との比(縦横比)が1:2とされる。内フラップ部2C,2Dは、シート材1が箱20に組み立てられた状態では、外フラップ部2A,2Bの内側に重なって設けられる。すなわち、内フラップ部2C,2Dは、箱20において外部に露出しない部分である。
【0022】
図1(a)に示すように、箱20では、第一正方パネル部3Aが底面を形成するとともに第二正方パネル部3Bが天面を形成し、二つの矩形パネル部3C,3Dが何れも側面を形成する。すなわち、四つのパネル部3は、シート材1が組み立てられた状態の六面体において、四角筒状をなす。また、箱20では、四対のフラップ部2が互いに対向する二つの側面を形成する。すなわち、フラップ部2は、シート材1が組み立てられた状態の六面体において、対向する二面をなす。
【0023】
なお、
図1(b)に示すように、シート材1がA式の箱20′に組み立てられる場合には、四つのパネル部3が何れも箱20′の側面を形成し、四対のフラップ部2が箱20′の底面および天面を形成する。すなわちこの場合も、シート材1が組み立てられた状態の六面体において、四つのパネル部3は四角筒状をなし、四対のフラップ部2は互いに対向する二面をなす。ただし、箱20′の強度を確保するという観点から、箱20′用のシート材1では目方向を縦方向Yとすることが好ましい。
【0024】
図2に示すように、各内フラップ部2C,2Dの縦方向Yの外端部には、二つのスリット5,5が設けられる。各内フラップ部2C,2Dは、これらのスリット5,5によりフラップ状に形成された差込片6を有する。差込片6は、具体的には、内フラップ部2C,2Dに設けられた二つのスリット5,5で挟まれている部分であって、内フラップ部2C,2Dの他の部分に対して揺動可能である。
【0025】
本実施形態の差込片6は、内フラップ部2C,2Dと同様に、縦横比が1:2とされた横長な矩形状である。差込片6は、各内フラップ部2C,2Dの横方向Xの中央に設けられている。なお、内フラップ部2C,2Dおよび差込片6について上述した縦横比は、厳密な寸法比を意味するものではなく、多少の誤差があるものも含むこととする。
【0026】
差込片6は、第一正方パネル部3Aを中心にして、仮想的にシート材1をその延在面に沿って90°回転させたときのスリット5′の何れかと対応する位置に設けられている。すなわち、差込片6の各位置は、
図2に二点鎖線で示すように、シート材1を第一正方パネル部3Aの中心で横方向Xと縦方向Yとの何れにも直交する方向に延びる軸まわりに90°回転させた場合に、回転後のシート材1′におけるスリット5′の何れか一つと重なる(あるいは隣接する)ように設定される。
【0027】
本実施形態の各差込片6は、その両側のスリット5,5のうち、第一正方パネル部3A側に位置する一方と、上述したように回転させたシート材1′のスリット5′の一つとが略L字をなすように設けられている。差込片6は、シート材1に対して上述したように回転させた他のシート材1′を重ねて配置した場合に、他のシート材1′のスリット5′に差込可能である。
【0028】
図3(a)に示すように、本実施形態の各差込片6を形成する二つのスリット5の夫々は、縦方向Yに沿って直線状に延設された直線部5aと、直線部5aの縦方向Yの内端部から内フラップ部2Dの横方向Xの内側に向けて曲線状に延設された補助部5bとを有する。本実施形態の補助部5bは、直線部5aとの境界部分に角が形成されないように、直線部5aと滑らかに繋がっている。
【0029】
本実施形態では、S字状にカーブしている補助部5bを例示する。ただし、補助部5bの形状はこれに限られない。例えば
図3(b)に示すように、スリット5は、直線状の補助部5b′を有していてもよい。また、
図3(c)に示すように、スリット5は、直線部5aのみから構成されてもよい(言い換えると、補助部5b,5b′が省略されてもよい)。
【0030】
直線状の補助部5b′を適用する場合や、直線部5aのみからスリット5を構成する場合は、スリット5がよりシンプルな形状となることから、シート材1の加工が容易になり、コスト削減に寄与しうる。なお、
図3(a)〜(c)には、第二矩形パネル部3Dから突設された内フラップ部2Dのスリット5を例示するが、第一矩形パネル部3Cから突設された内フラップ部2Cのスリット5も同様に構成される。
【0031】
[2.間仕切体]
図4に示すように、本実施形態に係る間仕切体10は、上述したシート材1が少なくとも三つ組み合わされて構成される。間仕切体10を構成するシート材1は、内フラップ部2C,2Dが他のシート材1のスロット7に差し込まれるとともに、差込片6が他のシート材1のスリット5に差し込まれることで、互いに連結される。つまり、間仕切体10は、複数のシート材1の内フラップ部2C,2Dと差込片6とを編むようにして組み立てられる。
【0032】
間仕切体10は、少なくとも二つのシート材1が並べられてなる本体部11と、本体部11に重ねられた少なくとも一つのシート材1からなる帯部12とを有する。以下、本体部11を構成する各シート材1を「本体シート1A」ともいい、帯部12を構成する各シート材1を「帯シート1B」ともいう。また、本体シート1Aと帯シート1Bとの横方向Xおよび縦方向Yを互いに区別するために、本体シート1Aの横方向Xおよび縦方向Yにはそれぞれ「X
A」,「Y
A」という符号を付し、帯シート1Bの横方向Xおよび縦方向Yにはそれぞれ「X
B」,「Y
B」という符号を付す。なお、
図4および後述する
図6,
図7では、本体シート1Aと帯シート1Bとを区別するために、帯シート1Bに模様を付けて示している。
【0033】
本体部11では、向きを統一された複数の本体シート1Aが縦方向Y
Aの端部同士を突き合せた姿勢で並べられる。具体的には、本体シート1Aは、四つのパネル部3が隣の本体シート1Aのパネル部3と離れて位置するように(言い換えると、フラップ部2が隣の本体シート1Aのフラップ部2と隣接するように)配置される。したがって、本体部11には、二つの本体シート1Aの内フラップ部2C,2D同士がそれぞれ隣接する箇所が設けられる。
【0034】
図5に示すように、本体部11において隣り合う内フラップ部2D,2Dでは、互いの差込片6,6が縦方向Y
Aに隣り合う(突き合わせられる)とともに、互いのスリット5,5も縦方向Y
Aに沿って一直線状に延びるように隣り合う。このように本体部11で互いに隣接するスリット5,5は、帯シート1Bの差込片6が差し込まれる差込口として機能する。
【0035】
同様に、本体部11には、二つの本体シート1Aのスロット7同士が隣接する箇所が設けられる。このように本体部11で互いに隣接するスロット7,7は、帯シート1Bの内フラップ部2C,2Dが差し込まれる差込口として機能する。なお、
図5には、二つの本体シート1Aの第二矩形パネル部3Dから突設された内フラップ部2Dを示すが、第一矩形パネル部3Cから突設された内フラップ部2Cも同様に構成,配置される。
【0036】
図4に示すように、帯シート1Bは、本体シート1Aの延在面に沿うとともに、本体シート1Aに対して90°回転した姿勢で配置される。すなわち、帯シート1Bは、自身の横方向X
Bが本体シート1Aの縦方向Y
Aと一致し、自身の縦方向Y
Bが本体シート1Aの横方向X
Aと一致する向きで配置される。また、帯シート1Bは、正方パネル部3A,3Bの夫々が本体シート1Aの第一正方パネル部3Aと完全に重なる位置に配置される。
【0037】
このような配置により、帯シート1Bの外フラップ部2A,2Bは、本体シート1Aの矩形パネル部3C,3Dのうち、本体シート1Aの第一正方パネル部3A側の半分に重なって設けられる。また、帯シート1Bの内フラップ部2C,2Dは、本体シート1Aの内フラップ部2C,2Dのうち、本体シート1Aの第一正方パネル部3Aから突設された外フラップ部2A側の半分に重なって設けられる。一方、帯シート1Bは、本体シート1Aの第二正方パネル部3Bと、この第二正方パネル部3Bから突設された外フラップ部2Bおよび貼着片4とには重ならない。
【0038】
本実施形態の帯シート1Bは、内フラップ部2C,2Dの夫々が、本体シート1Aのスロット7(詳細には、本体シート1Aの内フラップ部2C,2Dと、これらの間に位置する外フラップ部2Aとの間)に差し込まれている。また、帯シート1Bの差込片6は、本体シート1Aのスリット5に差し込まれている。
【0039】
すなわち、
図4に例示するように帯シート1Bのパネル部3が本体シート1Aの手前に配置される場合には、帯シート1Bの外フラップ部2A,2Bおよび差込片6が本体シート1Aの手前に位置し、帯シート1Bの差込片6を除く内フラップ部2C,2Dが本体シート1Aの裏側(奥)に位置する。
【0040】
このように、帯シート1Bは、内フラップ部2C,2Dおよび差込片6が本体シート1Aのスロット7およびスリット5にそれぞれ編み込まれることで、本体シート1Aに連結される。帯シート1Bは、互いに隣接する二つの本体シート1Aに編み込まれることで、これらの本体シート1Aを連結する。
【0041】
図6は、六つのシート材1で構成された間仕切体10を示している。この間仕切体10では、本体部11が四つのシート材1(本体シート1A)で構成され、帯部12が二つのシート材1(帯シート1B)で構成されている。この帯部12では、向きを統一された複数の帯シート1Bが横方向X
Bに沿って並べられる。具体的には、帯シート1Bは、四つのパネル部3が隣の帯シート1Bのパネル部3と連続して位置するように(すなわち、一方の帯シート1Bのフラップ部2が他方の帯シート1Bのフラップ部2と連続して位置するように)配置される。また、一方の帯シート1Bの貼着片4は、他方の帯シート1Bの裏側(詳細には、他方の帯シート1Bの第二矩形パネル部3Dと本体シート1Aとの間)に入れ込まれる。
【0042】
図7に示すように、間仕切体10は、各本体シート1Aの第二正方パネル部3Bと、この第二正方パネル部3Bから突設された外フラップ部2Bとが他の部分に対して折り曲げられることで、起立した姿勢に保持される。このように間仕切体10が起立した状態では、各本体シート1Aの第二正方パネル部3Bと、この第二正方パネル部3Bから突設された外フラップ部2Bおよび貼着片4とが、底面部13として機能する。底面部13は、床面30に沿って配置され、間仕切体10の他の部分を支持する。
【0043】
また、間仕切体10が起立した状態では、底面部13を除く本体部11と帯部12との双方が壁(間仕切)として機能する。間仕切体10が起立した状態である場合、底面部13を除く本体部11では、本体シート1Aの目方向が鉛直方向(床面30に垂直な方向)に沿う。言い換えると、各本体シート1Aは、帯シート1Bと重なる部分(具体的には、各本体シート1Aの第一正方パネル部3Aおよび矩形パネル部3C,3Dと、これらから突設された各フラップ部2A,2C,2D)の目方向が鉛直方向に沿う姿勢で配置される。このため、底面部13を除く本体部11では、鉛直方向の荷重に対する剛性が確保される。
【0044】
これに対し、帯シート1Bの目方向は本体シート1Aの目方向と直交する(水平方向に沿う)。言い換えると、各帯シート1Bは、目方向が水平方向に沿う姿勢で配置される。このため、帯部12では、水平方向の荷重に対する剛性が確保される。
【0045】
間仕切体10は、シート材1に設けられた罫線を折れ線として適宜折り曲げられることで、個室を囲む周壁状に形成可能である。仮に、箱20が第一正方パネル部3A上に縦横三行三列で配置された九本の二リットルペットボトルを収容可能な大きさであれば、二十八枚のシート材1(十六枚の本体シート1Aおよび八枚の帯シート1B)で構成された間仕切体10を周壁状に形成することで、約六畳分の個室を区画することができる。このように、間仕切体10は、シート材1の枚数や罫線に沿う折り曲げの有無に応じて、様々な大きさ,形状の個室を区画可能である。
【0046】
[3.効果]
上述したシート材1および間仕切体10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)内フラップ部2C,2Dの縦方向Yの外端部に二つのスリット5,5でフラップ状に形成された差込片6が設けられているため、上述したように複数のシート材1を用意し、一つのシート材1の差込片6を他のシート材1のスリット5に差し込むことで、シート材1同士を組み合わせる(連結させる)ことができる。これにより、上述したように間仕切体10を形成することができる。
【0047】
したがって、箱20用のシート材1を間仕切体10として利用することができる。このため、箱20用のシート材1の活用性を高めることができる。例えば、個人のプライバシー確保が課題とされる避難所において、水や食料等の物資を収納するために使用された箱20を展開して得られたシート材1で間仕切体10を形成すれば、シート材1を有効に活用することができる。このように、シート材1を間仕切体10として利用することで、間仕切体の備蓄スペースやコストを抑えながら個人のプライバシー保護に寄与することができる。
【0048】
また、上述したように差込片6がスリット5に差し込まれることでシート材1同士が連結されるため、作業者は、シート材1同士を連結するための器具や部品等を用いることなく、間仕切体10を組み立てることができる。すなわち、間仕切体10の組立にはシート材1以外の部材(器具や部品等)が不要であることから、作業者はシート材1のみから間仕切体10を容易に組み立てることができる。
【0049】
また、箱20用のシート材1には縦方向Yおよび横方向Xに沿って複数の罫線が設けられているため、これらの罫線に沿ってシート材1を折り曲げれば、間仕切体10の形状を容易に変化させることができる。例えば、起立させた状態の間仕切体10において、鉛直方向に延びる複数の罫線に沿ってシート材1を折り曲げれば、間仕切体10を周壁状に形成することができる。この場合、一つの間仕切体10で個室を区画することができる。このように、複数の罫線が設けられたシート材1を利用して間仕切体10を形成することで、間仕切体10の形状の自由度を高めることができる。
【0050】
(2)内フラップ部2C,2Dおよび差込片6が何れも縦横比を1:2とされた矩形状であって、差込片6が内フラップ部2C,2Dにおける横方向Xの中央に設けられているため、上述したように差込片6を他のシート材1のスリット5に差込可能としながら、シート材1をシンプルな形状にすることができる。
【0051】
(3)各スリット5が直線部5aと補助部5bとを有するため、シート材1同士を組み合わせる場合に、一つのシート材1の差込片6を、他のシート材1のスリット5における直線部5aに差し込んだうえで補助部5bに引っ掛けることができる。これにより、スリット5に差し込まれた差込片6が抜けにくくなることから、シート材1同士の連結力を高めることができる。よって、シート材1を組み合わせて構成された間仕切体10の安定性を高めることができる。
【0052】
(4)スリット5の補助部5bを曲線状に延設することで、スリット5に差し込まれた差込片6がより抜けにくくなるため、シート材1同士の連結力を更に高めることができる。また、スリット5に差込片6が差し込まれた場合の補助部5bにおける応力集中を緩和することができる。これにより、スリット5が裂けにくくなることから、シート材1および間仕切体10の耐久性を向上させることができる。
【0053】
(5)シート材1が組み立てられた状態で外フラップ部2A,2Bの内側に重なって設けられる内フラップ部2C,2Dにスリット5が設けられているため、箱20におけるスリット5の露出を防止することができる。よって、箱20の見栄えを確保することができる。
また、箱20において、外フラップ部2A,2Bは互いに突き合わせ状態とされるのに対し、内フラップ部2C,2Dは互いに突き合わせ状態とされる必要がないことから、外フラップ部2A,2Bよりも形状設定の自由度が高い。このため、スリット5を内フラップ部2C,2Dに設けることで、上述したような差込片6の位置設定をしやすくすることができる。
【0054】
(6)帯シート1Bを本体シート1Aに対してその延在面に沿うとともに90°回転した姿勢で配置し、帯シート1Bの正方パネル部3A,3Bを本体シート1Aの第一正方パネル部3Aと重ねて配置することで、上述したように帯シート1Bの差込片6を本体シート1Aのスリット5に差し込むことができる。これにより、本体シート1Aと帯シート1Bとを連結させることができる。また、このように本体シート1Aと帯シート1Bとが重ね合わされて間仕切体10が構成されるため、間仕切体10の剛性および強度を確保しやすくすることができる。
【0055】
(7)帯シート1Bの内フラップ部2C,2Dを本体シート1Aのスロット7に差し込むことで、本体シート1Aと帯シート1Bとの連結力をより高めることができる。すなわち、上述したように帯シート1Bの差込片6を本体シート1Aのスリット5に差し込むことに加えて、帯シート1Bの内フラップ部2C,2Dを本体シート1Aのスロット7に差し込むことで、本体シート1Aと帯シート1Bとを編むようにして連結させることができる。これにより、本体部11と帯部12とが分離しにくくなることから、間仕切体10の安定性を高めることができる。
【0056】
(8)本体シート1Aの第二正方パネル部3Bと、この第二正方パネル部3Bから突設された外フラップ部2Bとで底面部13が構成されるため、この底面部13を床面30に沿って配置した場合に間仕切体10を起立した姿勢に保持しやすくすることができる。よって、間仕切体10の姿勢を安定化することができる。
【0057】
(9)シート材1を段ボールシートで形成し、本体シート1Aを、帯部12と重なる部分の目方向が鉛直方向に沿う姿勢となるように配置すれば、起立した状態の間仕切体10の本体部11のうち、壁として機能する部分(具体的には、上述した底面部13を除く部分)の目方向を鉛直方向に沿わせることができる。これにより、鉛直方向の荷重に対する剛性が確保されることから、本体部11の姿勢を安定化することができる。
【0058】
一方、起立した状態の間仕切体10の帯部12では、目方向が水平方向に沿うことから、水平方向の荷重に対する剛性が確保される。
したがって、本体部11と帯部12とが重なる部分では、鉛直方向と水平方向との双方の荷重に対する剛性が確保されるため、間仕切体10の姿勢をより安定化することができる。
【0059】
[4.その他]
以下、本実施形態のその他の変形例について述べる。
本実施形態で示したシート材1の構成は一例である。シート材1は、上述した各部2〜7に加えて、箱20を把持しやすくするための手穴や、箱20を周方向に破断させるための開封口および半切線(ライナーカット)等の公知の構造を有していてもよい。
【0060】
また、矩形パネル部は、上述したような縦長な矩形状に限らず、例えば、横長な矩形状であってもよいし、正方形状であってもよい。さらに、矩形パネル部から突設されるフラップ部が外フラップ部として用いられ、正方パネル部から突設されるフラップ部が内フラップ部として用いられてもよい。すなわち、差込片は外フラップ部に設けられてもよい。
【0061】
また、本実施形態で示した間仕切体10の構成も一例である。間仕切体10を構成するシート材1の枚数は、少なくとも三つであればよい。また、間仕切体10の形状は、上述したような周壁状に限られず、例えばL字状であってもよいし、平面状であってもよい。
【0062】
上述した本体シート1Aおよび帯シート1Bには、互いに異なるシート材1が適用されてもよい。例えば、目方向が縦方向Y
Bであるシート材を上述した帯シート1Bに適用してもよい。この場合、起立した状態の間仕切体10において、本体部11と帯部12とが重なる部分で本体シート1Aと帯シート1Bとの目方向が何れも鉛直方向に沿うことから、鉛直方向の荷重に対する剛性を更に高めることができる。ただし、本体シート1Aおよび帯シート1Bは、互いの正方パネル部3A,3Bが重ね合わされたときに差込片6がスリット5に差し込まれうるように、互いに対応した形状とされる。
【0063】
なお、シート材1は、折り曲げ可能なシート状の部材であればよく、上述したような段ボールシートに限定されない。