特許第6900963号(P6900963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6900963非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6900963
(24)【登録日】2021年6月21日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/387 20060101AFI20210701BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   H01P1/387
   H01P11/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-48020(P2019-48020)
(22)【出願日】2019年3月15日
(65)【公開番号】特開2020-150478(P2020-150478A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2019年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】大波多 秀典
(72)【発明者】
【氏名】松丸 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】河田 智明
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−148805(JP,A)
【文献】 特開平10−284908(JP,A)
【文献】 特開平06−085508(JP,A)
【文献】 特開昭49−084344(JP,A)
【文献】 実開昭56−140202(JP,U)
【文献】 実開昭55−058703(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/22−1/397
H01P 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の接地導体間に配置された磁気回転子と、
前記磁気回転子に直流磁場を印加する永久磁石と、
誘電体と、を備え、
前記磁気回転子は、一方の表面が前記第1の接地導体で覆われる第1のフェライトコアと、一方の表面が前記第2の接地導体で覆われる第2のフェライトコアと、前記第1のフェライトコアの他方の表面に直接的に固着された第1の中心導体と、前記第2のフェライトコアの他方の表面に直接的に固着された第2の中心導体とを含み、
前記誘電体は、前記第1のフェライトコアの前記他方の表面と前記第2のフェライトコアの前記他方の表面を接着し、
前記第1のフェライトコアと前記第1の中心導体は、前記誘電体を介することなく固着され、
前記第2のフェライトコアと前記第2の中心導体は、前記誘電体を介することなく固着されていることを特徴とする非可逆回路素子。
【請求項2】
前記第1の接地導体は、前記第1のフェライトコアの前記一方の表面に直接的に固着されており、
前記第2の接地導体は、前記第2のフェライトコアの前記一方の表面に直接的に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の非可逆回路素子。
【請求項3】
前記第1の中心導体と前記第2の中心導体が接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の非可逆回路素子。
【請求項4】
前記第1の中心導体と前記第2の中心導体が互いに同じ平面形状を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の非可逆回路素子。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の非可逆回路素子を備えた通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置に関し、特に、マイクロ波帯又はミリ波帯での使用に好適なアイソレータやサーキュレータ等の非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置に関する。また、本発明は、このような非可逆回路素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アイソレータやサーキュレータ等の非可逆回路素子は、例えば、携帯電話のような移動体通信機器や、基地局で使用される通信装置などに組み込まれて使用される。一般的な非可逆回路素子は、特許文献1に記載されているように、中心導体及びこれを挟み込む一対のフェライトコアからなる磁気回転子と、磁気回転子に磁場を与える永久磁石によって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6231555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の非可逆回路素子では、中心導体、接地導体、フェライトコアなどに凹凸やゆがみが存在すると、中心導体とフェライトコアの間や、接地導体とフェライトコアの間に隙間が生じてしまう。このような隙間が存在すると、中心導体と接地導体の間の実効的な誘電率が低下してしまい、その結果、非可逆回路素子の動作周波数が設計値よりも高くなるという問題があった。
【0005】
つまり、理想的な非可逆回路素子の場合、フェライトコアの半径aは、下記式(1)によって決まる。
【0006】
【数1】
【0007】
ここで、X(θ)は接触角θから得られる定数であり、λは使用周波数の自由空間波長であり、εはフェライトコアの比誘電率であり、μeff,rは実効透磁率である。電波の伝搬速度をνとすれば、使用周波数Fは、F=ν/λで表すことができるので、式(1)は下記式(1)'に変形することができる。
【0008】
【数2】
【0009】
これをFについて解くと、下記式(2)の通りとなる。
【0010】
【数3】
【0011】
式(1)'から明らかなように、Fが一定の場合、隙間が形成されるなどして実効誘電率が下がると、フェライトコアの半径aが大きくなることが分かる。一方、式(2)から明らかなように、フェライトコアの半径aを一定とした場合、実効誘電率が小さくなると、動作周波数が高くなることがわかる。
【0012】
したがって、本発明は、中心導体とフェライトコアの間の隙間に起因する電気的特性の変化を防止することが可能な非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このような非可逆回路素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による非可逆回路素子は、第1及び第2の接地導体間に配置された磁気回転子と、磁気回転子に直流磁場を印加する永久磁石とを備え、磁気回転子は、一方の表面が第1の接地導体で覆われる第1のフェライトコアと、一方の表面が第2の接地導体で覆われる第2のフェライトコアと、第1のフェライトコアの他方の表面に直接的に固着された第1の中心導体と、第2のフェライトコアの他方の表面に直接的に固着された第2の中心導体とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による通信装置は、上記の非可逆回路素子を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、第1及び第2の中心導体がそれぞれ第1及び第2のフェライトコアに直接的に固着されていることから、両者間に隙間が生じない。これにより、中心導体とフェライトコアの間の隙間に起因する電気的特性の変化を防止することが可能となる。
【0016】
本発明において、第1の接地導体は第1のフェライトコアの一方の表面に直接的に固着されており、第2の接地導体は第2のフェライトコアの一方の表面に直接的に固着されていても構わない。これによれば、第1及び第2の接地導体と第1及び第2のフェライトコアの間に隙間が生じない。これにより、接地導体とフェライトコアの間の隙間に起因する電気的特性の変化を抑制することが可能となる。
【0017】
本発明による非可逆回路素子は、第1のフェライトコアの他方の表面と第2のフェライトコアの他方の表面を接着する誘電体をさらに備え、第1のフェライトコアと第1の中心導体は誘電体を介することなく固着され、第2のフェライトコアと第2の中心導体は誘電体を介することなく固着されていても構わない。これによれば、第1及び第2のフェライトコアを相互に固定することができる。
【0018】
本発明において、第1の中心導体と第2の中心導体が接触していても構わない。この場合であっても、非可逆回路素子を正しく動作させることが可能となる。
【0019】
本発明において、第1の中心導体と第2の中心導体は、互いに同じ平面形状を有していても構わない。これによれば、第1の中心導体と第2の接地導体の間の容量成分や、第2の中心導体と第1の接地導体の間の容量成分による影響をなくすことが可能となる。
【0020】
本発明による非可逆回路素子の製造方法は、第1のフェライトコアの一方の表面に第1の接地導体を直接形成し、他方の表面に第1の中心導体を直接形成する工程と、第2のフェライトコアの一方の表面に第2の接地導体を直接形成し、他方の表面に第2の中心導体を直接形成する工程と、第1のフェライトコアの他方の表面と第2のフェライトコアの他方の表面が向かい合うよう、第1及び第2のフェライトコアを固定する工程と、第1及び第2のフェライトコアに直流磁場を印加する永久磁石を配置する工程とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、フェライトコアと接地導体及び中心導体の間に隙間が生じないことから、接地導体と中心導体の間の誘電率が変動しない。これにより、電気的特性が安定した非可逆回路素子を作製することが可能となる。
【0022】
本発明においては、第1及び第2のフェライトコアの他方の表面に、それぞれ第1及び第2の中心導体を印刷法、メッキ法又は拡散接合法によって形成しても構わない。これによれば、フェライトコアと中心導体を隙間なく固着させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本発明によれば、中心導体とフェライトコアの間の隙間に起因する電気的特性の変化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態による非可逆回路素子10の構成を示す略斜視図である。
図2図2は、非可逆回路素子10の略分解斜視図である。
図3図3は、磁気回転子40の部分断面図である。
図4図4は、非可逆回路素子を用いた通信装置80の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施例の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の好ましい実施形態による非可逆回路素子10の構成を示す略斜視図である。また、図2は、非可逆回路素子10の略分解斜視図である。
【0027】
図1及び図2に示す非可逆回路素子10は分布定数型の非可逆回路素子であり、携帯電話のような移動体通信機器や、基地局で使用される通信装置などに組み込まれて、アイソレータ又はサーキュレータとして使用される。特に限定されるものではないが、本実施形態による非可逆回路素子10は、基地局で使用される通信装置に使用することが好適である。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施形態による非可逆回路素子10は略直方体形状を有する表面実装型のチップ部品であり、xz面を構成する第1及び第2の側面11、12と、yz面を構成する第3及び第4の側面13、14と、xy面を構成する実装面15及び上面16とを有している。そして、第1の側面11には第1の外部端子21が設けられ、第2の側面12には第2の外部端子22が設けられ、第3の側面13には第3の外部端子23が設けられている。その他、第1〜第4の側面11〜14には、それぞれ複数のグランド端子20が設けられている。外部端子21〜23及び複数のグランド端子20は、一部が実装面15に回り込んで形成されている。
【0029】
これら3つの外部端子21〜23は、本実施形態による非可逆回路素子10をサーキュレータとして使用する場合にはそれぞれ対応する信号配線に接続される。一方、本実施形態による非可逆回路素子10をアイソレータとして使用する場合には、例えば、外部端子21及び22がそれぞれ対応する信号配線に接続され、外部端子23が終端抵抗を介して接地される。同様に、終端抵抗を介して外部端子21又は22を接地した場合も、本実施形態による非可逆回路素子10をアイソレータとして使用することができる。複数のグランド端子20には、接地電位が共通に与えられる。
【0030】
さらに、非可逆回路素子10は磁気回転子40に直流磁場を印加する永久磁石31及び32を備え、これらの間に磁気回転子40が積層方向であるz方向に挟み込まれた構成を有している。本発明において、永久磁石31及び32の一方については省略、或いは、保磁力の小さい磁性体基板としての鉄板等に置き換えても構わないが、磁気回転子40に対して強い磁場を垂直に印加するためには、磁気回転子40を2つの永久磁石31及び32によって挟み込むことが好ましい。
【0031】
磁気回転子40は、2つのフェライトコア41及び42と、これらによってz方向に挟まれた2つの中心導体70A、70Bを含む。フェライトコア41及び42の材料としては、イットリウム/鉄/ガーネット(YIG)等の軟磁性材料を用いることが好ましい。中心導体70A、70Bの平面形状は図2に示すとおりであり、中心点から放射状に導出された3つのポート71A〜73A及び71B〜73Bと、電気的特性を調整するための分岐導体74A〜76A及び74B〜76Bとを有している。中心導体70Aとフェライトコア41は、接着剤などを介することなく直接固着されている。同様に、中心導体70Bとフェライトコア42は、接着剤などを介することなく直接固着されている。フェライトコア41、42は、接着性を有する誘電体43を介して互いに接着されている。誘電体43は、中心導体70Aと中心導体70Bの間に介在していても構わない。また、中心導体70Aと中心導体70Bの一部又は全部は、誘電体43を介することなく接していても構わない。中心導体70Aと中心導体70Bは、互いに同じ平面形状を有し、且つ、z方向から見て両者が正確に重なっていることが好ましい。
【0032】
ここで、中心導体70A、70Bから導出された第1のポート71A、71Bの先端は第1の側面11に露出し、これにより第1の外部端子21に接続されている。また、中心導体70A、70Bから導出された第2のポート72A、72Bの先端は第2の側面12に露出し、これにより第2の外部端子22に接続されている。さらに、中心導体70A、70Bから導出された第3のポート73A、73Bの先端は第3の側面13に露出し、これにより第3の外部端子23に接続されている。
【0033】
本実施形態による非可逆回路素子10は、永久磁石31と磁気回転子40によってz方向に挟まれた接地導体51と、永久磁石32と磁気回転子40によってz方向に挟まれた接地導体52をさらに備えている。このため、中心導体70A、70Bは2つの接地導体51、52によって挟まれ、永久磁石31及び32から隔離される。接地導体51には、外部端子21〜23と重なる部分に切り欠き51a〜51cが設けられ、接地導体52には、外部端子21〜23と重なる部分に切り欠き52a〜52cが設けられており、これによって外部端子21〜23との干渉が防止されている。接地導体51、52のその他の部分は、第1〜第4の側面11〜14から露出している。このため、複数のグランド端子20はいずれも接地導体51、52に接続される。
【0034】
本実施形態においては、接地導体51がフェライトコア41の下面に印刷されており、接地導体52がフェライトコア42の上面に印刷されている。このため、接地導体51とフェライトコア41はほぼ隙間なく密着し、接地導体52とフェライトコア42はほぼ隙間なく密着している。そして、永久磁石31と接地導体51は接着性を有する誘電体61を介して互いに接着され、永久磁石32と接地導体52は接着性を有する誘電体62を介して互いに接着される。誘電体61,62としては、誘電体43と同じ材料を用いることができる。
【0035】
図3は、磁気回転子40の部分断面図である。
【0036】
図3に示すように、本実施形態においては、フェライトコア42の下面42aに中心導体70Aが直接固着され、フェライトコア42の上面42bに接地導体52が直接固着されている。つまり、フェライトコア42の下面42aと中心導体70Aの間には隙間や他の部材が介在せず、フェライトコア42の上面42bと接地導体52の間には隙間や他の部材が介在しない。同様に、フェライトコア41の上面41aに中心導体70Bが直接固着され、フェライトコア41の下面41bに接地導体51が直接固着されている。つまり、フェライトコア41の上面41aと中心導体70Bの間には隙間や他の部材が介在せず、フェライトコア41の下面41bと接地導体51の間には隙間や他の部材が介在しない。
【0037】
これにより、中心導体70Aと接地導体52の間の誘電率は、フェライトコア42の誘電率と完全に一致し、中心導体70Bと接地導体51の間の誘電率は、フェライトコア41の誘電率と完全に一致する。つまり、隙間の存在や他の部材の介在によって、実効的な誘電率が変化する余地がない。このため、本実施形態による非可逆回路素子10は、極めて安定した電気的特性を得ることが可能となる。特に、z方向から見て中心導体70Aと中心導体70Bが正確に重なっていれば、中心導体70Aと接地導体51の間に容量成分が付加されることがなく、且つ、中心導体70Bと接地導体52の間に容量成分が付加されることがない。
【0038】
中心導体70A、70Bとフェライトコア42、41を直接固着させるためには、フェライトコア42の下面42aに中心導体70Aを直接形成し、フェライトコア41の上面41aに中心導体70Bを直接形成すればよい。具体的な方法としては、印刷法、メッキ法又は拡散接合法を用いることができる。これらの方法によれば、中心導体70A、70Bとフェライトコア42、41が直接固着し、両者間に隙間が形成されたり、他の部材の介在したりすることがなくなる。接地導体51、52についても同様であり、フェライトコア42の上面42b及びフェライトコア41の下面41bに印刷法、メッキ法又は拡散接合法を用いて直接形成すればよい。その後、フェライトコア41の上面41aとフェライトコア42の下面42aが向かい合うよう、接着性を有する誘電体43を介して両者を固定し、さらに、永久磁石31、32を配置した後、グランド端子20及び外部端子21〜23を形成すれば、本実施形態による非可逆回路素子10が完成する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態による非可逆回路素子10は、フェライトコア42に中心導体70A及び接地導体52が直接固着され、フェライトコア41に中心導体70B及び接地導体51が直接固着されている。このため、製造ばらつきなどによって、中心導体70Aと接地導体52の間の誘電率や、中心導体70Bと接地導体51の間の誘電率が変化する余地がほとんどなく、極めて安定した電気的特性を得ることが可能となる。
【0040】
図4は、本実施形態による非可逆回路素子を用いた通信装置80の構成を示すブロック図である。
【0041】
図4に示す通信装置80は、例えば移動体通信システムにおける基地局に備えられるものであって、受信回路部80Rと送信回路部80Tとを含み、これらが送受信用のアンテナANTに接続されている。受信回路部80Rは、受信用増幅回路81と、受信された信号を処理する受信回路82とを含んでいる。送信回路部80Tは、音声信号、映像信号などを生成する送信回路83と、電力増幅回路84とを含んでいる。
【0042】
このような構成を有する通信装置80において、アンテナANTから受信回路部80Rに到る経路や、送信回路部80TからアンテナANTに至る経路に、本実施形態による非可逆回路素子91、92が用いられる。非可逆回路素子91は、サーキュレータとして機能し、非可逆回路素子92は終端抵抗器R0を有するアイソレータとして機能する。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、分布定数型の非可逆回路素子を例に説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、集中定数型の非可逆回路素子に適用することも可能である。
【実施例】
【0045】
図1及び図2と同じ構造を有する非可逆回路素子のサンプルA、Bを想定し、各サンプルA、Bの通過損失をシミュレーションによって評価した。サンプルAは、誘電体43の誘電率が1であるサンプルであり、サンプルBは、誘電体43の誘電率が2.2であるサンプルである。また、いずれのサンプルも、共振周波数を3.5GHzに設定した。シミュレーションの結果を図5に示す。図5に示す符号A、Bは、それぞれサンプルA、Bのシミュレーション結果に対応する。
【0046】
図5に示すように、サンプルA、Bとも、3.3〜3.8GHzの帯域において通過損失が約−0.3dBと非常に小さかった。しかも、同帯域における通過損失は、サンプルAとサンプルBに有意な差が見られなかった。これは、各サンプルとも、中心導体70A、70Bがフェライトコア42、41に密着しているため、誘電体43の誘電率が電気的特性にほとんど影響を与えないためであると考えられる。
【符号の説明】
【0047】
10 非可逆回路素子
11 第1の側面
12 第2の側面
13 第3の側面
14 第4の側面
15 実装面
16 上面
20 グランド端子
21 第1の外部端子
22 第2の外部端子
23 第3の外部端子
31、32 永久磁石
32 永久磁石
40 磁気回転子
41、42 フェライトコア
41a、42b フェライトコアの上面
41b、42a フェライトコアの下面
43 誘電体
51、52 接地導体
51a〜51c、52a〜52c 切り欠き
61,62 誘電体
70A、70B 中心導体
71A、71B 第1のポート
72A、72B 第2のポート
73A、73B 第3のポート
74A〜76A、74B〜76B 分岐導体
80 通信装置
80R 受信回路部
80T 送信回路部
81 受信用増幅回路
82 受信回路
83 送信回路
84 電力増幅回路
91、92 非可逆回路素子
ANT アンテナ
R0 終端抵抗器
図1
図2
図3
図4
図5