(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、交流電圧の半サイクルを除去することによって制御情報を付加する方法では、電力供給に遅れが発生するため電力保持回路が必要となり、大型化やコストアップの要因となるという課題がある。
【0007】
また特許文献2に記載されているように、交流電圧の半サイクルにおける導通角0度〜90度の部分に、切り欠きパターンを形成して制御情報を付加する方法では、半サイクルの電圧上昇途中でスイッチ素子をオンするために突入電流が増加し、このためやはり大型化やコストアップの要因となるという課題がある。しかも、突入電流によりノイズが発生するため騒音が発生したり他装置へ影響を与えるといった課題もある。
【0008】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであり、商用交流電源からの交流電圧にデジタル情報からなる制御情報を付加する2線式の制御装置であって、交流電圧の複数の半サイクルを除去する場合のような電力供給の遅れも発生することがなく、交流電圧の半サイクルにおける導通角0度〜90度の部分に、切り欠きパターンを形成する場合のような突入電流の増加もない、小型で安価な制御装置を提供し、さらにはこの制御装置によって制御される負荷装置及び制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)商用交流電源と、該商用交流電源から電力供給を受ける負荷装置との間に接続される2線式の制御装置であって、前記商用交流電源による交流電圧の毎半サイクルにおける導通角90度〜180度のうちの第1の期間を遮断することにより制御装置の電源を確保する電源供給部と、毎半サイクルにおける導通角90度〜180度のうち、電源確保のために遮断した前記第1の期間を除く第2の期間の遮断有無により、前記商用交流電源から前記負荷装置に供給される交流電圧にデジタル情報からなる制御情報を付加する制御情報付加手段と、を備え
、前記制御情報付加手段は、前記制御情報による前記負荷装置の設定時にのみ交流電圧に制御情報を付加し、設定完了後は制御情報を付加しないことを特徴とする制御装置。
(2)
設定完了後の制御情報を付加しない状態は第2の期間の遮断有りの状態である前項1に記載の制御装置。
(3)
前記負荷装置は、前記交流電圧の少なくとも前記第2の期間の入力に対してインピーダンスを低下させるためのインピーダンス低下回路を備えている前項1または2に記載の制御装置。
(4)
商用交流電源と、該商用交流電源から電力供給を受ける負荷装置との間に接続される2線式の制御装置であって、前記商用交流電源による交流電圧の毎半サイクルにおける導通角90度〜180度のうちの第1の期間を遮断することにより制御装置の電源を確保する電源供給部と、毎半サイクルにおける導通角90度〜180度のうち、電源確保のために遮断した前記第1の期間を除く第2の期間の遮断有無により、前記商用交流電源から前記負荷装置に供給される交流電圧にデジタル情報からなる制御情報を付加する制御情報付加手段と、を備え、前記負荷装置は、前記交流電圧の少なくとも前記第2の期間の入力に対してインピーダンスを低下させるためのインピーダンス低下回路を備えていることを特徴とする制御装置。
(5)前記負荷装置はLED点灯装置であり、前記制御情報は、前記LED点灯装置の調光または調色の少なくともいずれかを設定するための情報である前項1〜4のいずれかに記載の制御装置。
(6)前記商用交流電源から、請求項1〜5のいずれかに記載の制御装置を介して電力供給を受ける負荷装置であって、前記交流電圧の少なくとも前記第2の期間の入力に対してインピーダンスを低下させるためのインピーダンス低下回路を備えたことを特徴とする負荷装置。
(7)前項1〜5のいずれかに記載の制御装置と、前項6に記載の負荷装置とを備えた制御システム。
【発明の効果】
【0010】
前項(1)に記載の発明によれば、商用交流電源による交流電圧の毎半サイクルにおける導通角90度〜180度のうちの第1の期間を遮断することにより制御装置の電源を確保するから、電力供給の遅れが発生せず、従って特別な電力保持回路が必要となることもない。しかも、毎半サイクルにおける導通角90度〜180度のうち、電源確保のために遮断した第1の期間を除く第2の期間の遮断有無により、商用交流電源から負荷装置に供給されるによる交流電圧に制御情報を付加するから、商用交流電源による交流電圧の半サイクルにおける導通角0度〜90度の部分に、切り欠きパターンを形成する場合のような大きな突入電流は発生しない。従って、安価で小型の制御装置となる。
【0011】
また、制御情報付加手段は、制御情報による負荷装置の設定時にのみ交流電圧に制御情報を付加し、設定完了後は制御情報を付加しないから、制御情報の付加処理の時間が少なくてすみ、その分消費電力を低減することができる。
【0012】
前項(
5)に記載の発明によれば、負荷装置であるLED点灯装置の調光または調色の少なくともいずれかを設定するための制御情報を、商用交流電源による交流電圧に付加することができる。
【0013】
前項(
6)に記載の発明によれば、商用交流電源から、前項1〜
5のいずれかに記載の制御装置を介して電力供給を受ける負荷装置は、制御情報が付加された交流電圧の少なくとも第2の期間の入力に対してインピーダンスを低下させるためのインピーダンス低下回路を備えているから、制御情報が付加された交流電圧が第2の期間において入力される際の歪みを抑制することができ、このため制御情報の精度の高い解析・抽出を行うことができる。
【0014】
前項(
7)に記載の発明によれば、安価で小型の2線式制御装置と、商用交流電源による交流電圧に付加されたデジタル情報からなる制御情報の精度の高い解析・抽出を行うことができる負荷装置を備えた制御システムとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1はこの発明の一実施形態に係る制御システムのブロック図である。この制御システムは2線式制御装置1と負荷装置2を備えている。
【0018】
2線式制御装置1は、商用交流電源3から負荷装置2へと向かう2本の電力供給線4,5のうちの一方の電力供給線4において、商用交流電源3と負荷装置2との間に配置されている。以下の説明では、商用交流電源3と2線式制御装置1を結ぶ電力供給線41上の部位をA点、2線式制御装置1と負荷装置2を結ぶ電力供給線42上の部位をB点、負荷装置2と商用交流電源3を結ぶ電力供給線5上の部位をC点とする。
【0019】
負荷装置2は商用交流電源3から電力の供給を受けて負荷を駆動する装置であり、その種類は限定されないが、一例としてはLED負荷を点灯させるLED点灯装置や、モータ駆動装置、ヒーター駆動装置、エアコン、テレビ等を挙げることができる。
【0020】
2線式制御装置1は、負荷装置2に対し、商用交流電源3から供給される交流電圧にデジタル情報からなる制御情報を付加して負荷装置2に送出するものである。2線式制御装置1の種類は限定されないが、一例としてはLED点灯装置の調光及び/または調色を設定制御する調光・調色制御装置を挙げることができる。勿論、上述したモータ駆動装置、ヒーター駆動装置、エアコン、テレビ等を制御する2線式制御装置であっても良い。
【0021】
図2は2線式制御装置1の概略構成を示す回路図である。同図に示すように、2線式制御装置1はスイッチング部101と、制御部102と、電力供給部103と、電圧モニター部104と、駆動部105を備えている。
【0022】
スイッチング部101は、この実施形態ではMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)が使用されている。具体的には、2つのMOSFET101a、101bが商用交流電源3の一方の電力供給線4の中間に直列に逆接続(バックツーバック)されており、電力供給線4を2つの電力供給線41と電力供給線42に分割している。2つのMOSFET101a、101bの各ゲートはいずれも抵抗106、107を介して駆動部105に接続され、駆動部105からの駆動信号に基づいて、2つのMOSFET101a、101bからなるスイッチング部101がオンまたはオフするようになっている。なお、スイッチング部101の構成は図示のものに限定されることはなく、駆動部105からの駆動信号によりオンオフ動作を行う素子であれば良く、トランジスタ等によって構成されても良い。
【0023】
電力供給部103は制御部102に電力供給を行う機能を有し、電力供給部103の入力側が、スイッチング部101の両側における電力供給線41、42にそれぞれダイオード108、109を介して接続されており、電力供給部103の出力側は制御部102に接続されている。また、各ダイオード108、109はカソード側が電力供給部103と接続されており、商用交流電源3から電力供給線4、5を介して送出される交流電力を電力供給部103が受けて、制御部102に電力供給を行うことができるようになっている。
【0024】
電圧モニター部104は商用交流電源3による交流電圧を監視して交流電圧のゼロクロスを検出する機能を有し、電圧モニター部104の入力側が、スイッチング部101の両側における電力供給線41、42にそれぞれダイオード110、111を介して接続されており、電圧モニター部104の出力側は制御部102に接続されている。また、各ダイオード110、111はカソード側が電圧モニター部104と接続されており、商用交流電源3から電力供給線4、5を介して送出される交流電圧の値を電圧モニター部104が監視して、ゼロクロスの検出結果を制御部102に出力できるようになっている。
【0025】
駆動部105は制御部102からの制御信号を受けてスイッチング部101のオンオフを駆動制御する機能を有する。
【0026】
制御部102は、電圧モニター部104による交流電圧のゼロクロス検出結果に基づいて、スイッチング部101をオンオフするための制御信号を駆動部105に送出する。この実施形態では、スイッチング部101のオンオフにより、商用交流電源3による交流電圧に1または0のデジタル情報の組み合せからなる制御情報を付加して負荷装置2に供給するようになっており、制御部102は、交流電圧に制御情報が付加されるようにスイッチング部101をオンオフするための制御信号を駆動部105に出力する。この点については後述する。
【0027】
また、制御部102への電力供給は前述したように電力供給部103により行われるが、電力供給路を閉回路とするために、制御部102の電力供給ラインの出力側は、アノード側が制御部102に接続された2つのダイオード112、113を介して、スイッチング部101の両側における電力供給線41、42にそれぞれ接続されている。
【0028】
図3は負荷装置2の概略構成を示す回路図である。同図に示すように、負荷装置2は全波整流回路201と、平滑コンデンサ202と、電力供給部203と、電圧モニター部204と、インピーダンス低下回路205と、制御部206と、駆動部207と、負荷208等を備えている。
【0029】
全波整流回路201は、商用交流電源3からの交流電圧を全波整流するものであり、入力端が2本の電力供給線42、5にそれぞれ接続されている。
【0030】
平滑コンデンサ202は全波整流回路201の出力に接続されており、全波整流回路201で全波整流された電圧を平滑化する。
【0031】
電力供給部203は、2本の電力供給線42、5から、カソード側を電力供給部203に接続された各ダイオード209、210を介して交流電力を受け、制御部206に電力を供給する機能を有する。
【0032】
電圧モニター部204は、2本の電力供給線42、5から各ダイオード209、210を介して入力される、商用交流電源3による交流電圧の値を検出する。
【0033】
インピーダンス低下回路205は、制御部206からの指示に基づいてインピーダンスを低下させることにより、電圧モニター部204に入力される交流電圧の波形歪みを防止する。この点については後述する。
【0034】
制御部206は、インピーダンス低下回路205に動作指示を送出するとともに、電圧モニター部204で検出された交流電圧の波形を解析し、2線式制御装置1から交流電圧に付加されて送られてきたデジタル情報からなる制御情報を解析・抽出する。そして、抽出された制御情報に基づき、駆動部207を介して負荷に対する設定や駆動を行う。
【0035】
駆動部207は制御部206からの駆動信号に基づいて負荷208に対する設定や駆動を行う。
【0036】
次に、
図2に示した2線式制御装置1の動作を
図4の波形図を参照しつつ説明する。
【0037】
図4(イ)は、商用交流電源3による交流電圧V0の波形、換言すればA点とC点間の電圧波形(A−C間波形)を示す図、
図4(ロ)は負荷装置2に入力される2本の電力線42、5間の電圧波形、換言すればB点とC点間の電圧波形(B−C間波形)を示す図、
図4(ハ)は2線式制御装置1の両側の電力供給線41、42間の電圧波形(A−B間波形)を示す図、
図4(ニ)は
図2のd点つまり制御部102から駆動部105に送出されるスイッチング部101をオンオフするための制御信号の波形図である。
【0038】
交流電圧V0の毎半サイクルにおける導通角を0度〜180度とすると、この実施形態では
図4(ロ)に示すように、毎半サイクルにおける導通角90度〜180度のうちの一定期間においてスイッチング部101をオフにすることにより、負荷装置2へ入力される商用交流電源3からの交流電圧V0の一部を遮断している。具体的には、導通角が90度を少し超えたタイミングT1から、導通角180度のタイミングT3までの一定期間遮断している。遮断期間はタイミングT1からT2までの前段の期間2(第2の期間)と、それに続くタイミングT2からT3までの後段の期間1(第1の期間)とからなる。
【0039】
スイッチング部101のオフにより、毎半サイクルにおける遮断された期間の交流電圧V0はダイオード108、109を介して電力供給部103へと入力される。つまり
図4(ハ)に示すように、A点・B点間に期間1及び期間2だけ電圧V1が発生する。この電圧V1のうち、期間1に対応する部分の電圧による電力(
図4(ハ)にハッチングで示す)を、電力供給部103は制御部102に供給する電力として利用する。このため、期間1としては制御部102に対して必要な電力量を確保できるような一定期間が設定されている。
【0040】
また、スイッチング部101のオフにより、毎半サイクルにおける遮断された期間の交流電圧V0はダイオード110、111を介して電圧モニター部104へも入力され、電圧モニター部104は導通角180度の時点T3のゼロクロスを検出する。
【0041】
制御部102は、電圧モニター部104により検出されたゼロクロスの時点をスタートとして立ち上がる、
図4(ニ)に示すようなパルス波形を駆動部105の制御信号S1として出力する。この制御信号S1を受けて、駆動部105は制御信号S1がHレベルの時にスイッチング部101がオン、Lレベルの時にスイッチング部101がオフとなるような駆動信号を出力し、スイッチング部101を駆動する。
【0042】
また、制御部102は制御信号S1の立ち下がりを、
図4(ニ)に実線で示すような期間2の開始時点T1か、同図に破線で示すような期間2の終了時点T2に設定して、制御信号S1を作成する。制御信号S1の立ち下がりを期間2の開始時点に設定した場合、期間2の開始時点T1でスイッチング部101がオフになるため、負荷装置2に入力される交流電圧V0波形は
図4(ロ)に実線で示すように、期間2の開始時点T1から導通角180度のタイミングT3まで遮断された波形となる。このため、期間2においては負荷装置2に入力される交流電圧V0が存在しないことになる。
【0043】
一方、制御信号S1の立ち下がりを、
図4(ニ)の破線で示すような期間2の終了時点T2に設定した場合、期間2の終了時点T2でスイッチング部101がオフになるため、負荷装置2に入力される交流電圧V0は
図4(ロ)に破線で示すように、期間2の終了時点T2から導通角180度のタイミングT3まで遮断された波形となる。このため、期間2においては負荷装置2に入力される交流電圧V0が存在することになる。
【0044】
このように、制御信号S1の立ち下がりのタイミングを変化させることによって、負荷装置2に入力される交流電圧V0は、期間2において存在したり存在しなかったりする。負荷装置2は期間2において交流電圧V0が存在する場合はデジタル情報「1」と判断し、存在しない場合はデジタル情報「0」と判断する。
【0045】
つまり、期間2はデジタル情報を作成するための期間として使用され、制御部102は、駆動部105への制御信号S1の立ち下がりのタイミングを毎半サイクルで変えることにより期間2における交流電圧V0の有無を変更し、デジタル情報を付加する。
【0046】
図5(イ)(ロ)に、商用交流電源3による交流電圧V0にデジタル情報からなる制御情報を付加する場合の具体例を示す。
図5(イ)(ロ)は、いずれも負荷装置2に入力される2本の電力線42、5間の交流電圧V0の波形(B−C間波形)を示している。また、各図の左側領域は通常動作時を示し右側領域は制御情報を付加して制御情報に対応する設定を負荷装置2に実行させる時(設定時と記している)の波形である。
【0047】
図5(イ)の例では、通常動作時にはスイッチング部101を期間2の終了時点T2でオフにし、導通角180度の時点(期間1の終了時点)T3でオンにする。従って負荷装置2へ入力される交流電圧V0も、期間2の終了時点T2で遮断されて立ち下がり、導通角180度の時点T3で導通した波形となる。
【0048】
一方、設定時においてデジタル情報「0」を付加するときは、スイッチング部101を期間2の開始時点T1でオフにし、導通角180度の時点T3でオンにする。これに応じて、負荷装置2へ入力される交流電圧V0も、期間2の開始時点T1で遮断されて立ち下がり、導通角180度の時点T3で導通した波形となる。つまり、期間2には電圧が存在しないことになり負荷装置は「0」と判定する。デジタル情報「1」を付加するときは、スイッチング部101を期間2の終了時点T2でオフにし、導通角180度の時点T3でオンにする。これに応じて、負荷装置2への交流電圧V0も、期間2の終了時点T2で遮断されて立ち下がり、導通角180度の時点T3で導通した波形となる。つまり、期間2には電圧が存在することになり負荷装置2は「1」と判定する。そして、負荷装置2に実行させる設定内容に従って毎半サイクル毎に「0」か「1」を付加することにより、複数のデジタル情報からなる制御情報を負荷装置2に送信する。制御情報の送信後(負荷装置2による設定終了後)は再度左側の通常動作に戻る。
【0049】
図5(ロ)の例では、通常動作時にはスイッチング部101を期間2の開始時点T1でオフにし、導通角180度の時点(期間1の終了時点)T3でオンにする。従って負荷装置2へ入力される交流電圧V0も、期間2の開始時点T1で遮断されて立ち下がり、導通角180度の時点T3で導通した波形となる。
【0050】
一方、設定時においてデジタル情報「1」を付加するときは、スイッチング部101を期間2の終了時点T2でオフにし、導通角180度の時点T3でオンにする。これに応じて、負荷装置2へ入力される交流電圧V0も、期間2の終了時点T2で遮断されて立ち下がり、導通角180度の時点T3で導通した波形となる。つまり、期間2には電圧が存在することになり負荷装置は「1」と判定する。デジタル情報「0」を付加するときは、スイッチング部101を期間2の開始時点T1でオフにし、導通角180度の時点T3でオンにする。これに応じて、負荷装置2への交流電圧V0も、期間2の開始時点T1で遮断されて立ち下がり、導通角180度の時点T3で導通した波形となる。つまり、期間2には電圧が存在しないことになり負荷装置2は「0」と判定する。そして、負荷装置2に実行させる設定内容に従って毎半サイクル毎に「0」か「1」を付加することにより、複数のデジタル情報からなる制御情報を負荷装置2に送信する。制御情報の送信後(負荷装置2による設定終了後)は再度左側の通常動作に戻る。
【0051】
なお、
図5(イ)(ロ)に表示された(0)(1)は、その半サイクルにデジタル情報の「0」が付加されているか「1」が付加されているかを示している。また、負荷装置2が交流電圧V0から制御情報を抽出するタイミングは、例えば、「000111」というように予め決められたデジタル情報を抽出開始信号としておき、抽出開始信号の次に続く複数のデジタル情報を制御情報として抽出するように、2線式制御装置1と負荷装置2との間で予め取り決めておけば良い。
【0052】
図5(イ)及び(ロ)の例では、通常動作時は毎半サイクルが同じ波形の電圧であり、設定時には毎半サイクルの波形を異ならせて制御情報を付加したが、通常動作時においても毎半サイクルで異なる波形を形成しても良い。しかし、負荷装置2側で制御情報による設定が必要な場合にのみ、毎半サイクルの波形を異ならせる方が、制御部102による制御情報の付加処理の時間が少なくてすみ、その分消費電力を低減することができる。
【0053】
また、
図5(イ)及び(ロ)のいずれのパターンを適用しても良いが、
図5(イ)の方が、交流電圧V0の波形の歪みが少ない状態が通常動作となるため、ノイズが少なく高調波も抑制できる点で望ましい。
【0054】
次に、
図3に示した負荷装置2の動作を説明する。
【0055】
負荷装置2に入力される交流電圧V0は整流回路201により整流され、平滑コンデンサ202により平滑化されて、駆動部207により駆動される負荷208に供給される。
【0056】
また、交流電圧V0は電力供給部203にも入力され、その一部が制御部206の電源電力として使用される。
【0057】
さらに、交流電圧V0の値は電圧モニター204によって検出されるとともに、検出結果は制御部206に送出される。
【0058】
制御部206は、電圧モニター204によって検出された交流電圧V0の値に基づき、毎半サイクル毎に期間2における交流電圧V0の有無を判定してデジタル情報を判定し、複数のデジタル情報の所定の組み合わせを制御情報として抽出する。そして、抽出した制御情報に応じ駆動部207を介して設定値の設定等、負荷を制御する。
【0059】
さらに制御部206はインピーダンス低下回路205を以下のように動作させる。即ち、負荷装置2に入力される交流電圧V0は、上述したように、2線式制御装置1のスイッチング部101のオフにより、
図6(ロ)に示すように期間2の開始時点T1か、または終了時点T2で遮断されるが、負荷装置2のインピーダンスにより遮断時の波形の立ち下がりが急峻にならず、
図6(イ)に示すように歪み300が発生した状態となる。このため、負荷装置2の制御部207は期間2における電圧の有無の判定を高精度に行うことができず、デジタル情報を的確に読み取ることができない場合がある。特に、負荷装置2の回路構成がコンデンサインプット回路等でコンデンサの充電が完了しインピーダンスが高くなる回路構成の場合(力率改善用回路が存在している場合も含む)、特に歪み300が発生しやすい。
【0060】
そこで、負荷装置2の制御部206は
図7(ハ)に示すように、期間2の開始時点T1から導通角180度の時点T3までHレベルとなる駆動信号S2を出力し、インピーダンス低下回路5を駆動して負荷装置2のインピーダンスを低下させる。負荷装置2のインピーダンスの低下により、同図(イ)に示すように、交流電圧V0の遮断時の歪みは抑制されて立ち下がりが急峻になる。このため、期間2における電圧の有無、ひいては制御情報の解析・抽出を精度良く行うことができる。インピーダンス低下回路205の駆動タイミングである期間2の開始時点T1は、予め設定されたタイミングであるから、負荷装置2の制御部206にその情報を予め付与しておけば良い。
【0061】
また、この実施形態では、期間2の開始時点T1から導通角180度の時点T3まで、インピーダンス低下回路205を動作させたが、少なくとも、期間2の開始時点T1から終了時点T2まで動作させれば良い。
【0062】
なお、インピーダンス低下回路205を動作させる場合、インピーダンス低下回路205には交流電圧V0からの電流が流れることになるため、制御情報の付加態様としては、期間2に電圧が存在する
図5(イ)よりも存在しない
図5(ロ)の方が、インピーダンス低下回路205を流れる電流を少なくでき損失を少なくできる点で望ましい。
【0063】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、デジタル情報「1」「0」を作成するための期間2を、電力確保用の期間1よりも先に設定したが、期間1を先に設定しても良い。