(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工層上のデバイス領域に設けられる第1要素を含む第1パターンと、カーフ領域に設けられ、前記第1要素を配置した第2パターンおよび前記第1要素が配置されていない第3パターンを有するマークと、を含む第1レジストパターンを形成する第1レジストパターン形成工程と、
前記第1レジストパターンをマスクとして、前記被加工層に第1凹部を形成する第1凹部形成工程と、
前記第1凹部に第1膜を埋め込む埋込工程と、
前記カーフ領域で、前記第3パターンと、前記第3パターンの外周に沿って配置される少なくとも1列の前記第1要素を含む前記第2パターンの一部の領域と、が露出した第4パターンを含む第2レジストパターンを形成する第2レジストパターン形成工程と、
前記第2レジストパターンをマスクとして、前記カーフ領域の前記被加工層を異方性エッチングして、第2凹部を形成する第2凹部形成工程と、
前記被加工層上に第2膜を形成する第2膜形成工程と、
前記被加工層上にレジストを塗布し、前記マークの前記第2凹部に形成された段差を用いて露光装置で前記被加工層の位置を認識する位置認識工程と、
前記レチクルを用いて、前記レジストに対して前記露光処理を行い、第3レジストパターンを形成する第3レジストパターン形成工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
第1要素を含む第1パターンを有する半導体装置が配置されるデバイス領域と、前記デバイス領域の周囲に設けられ、マークが配置されるカーフ領域と、を含むショット領域が複数配置され、
前記マークは、下地の第1層に設けられる凹部によって構成される第1ライン状パターンと、前記マークの前記第1ライン状パターン以外の領域を構成する外周パターンと、前記第1ライン状パターン上および前記外周パターン上を覆う第2膜と、を有し、
前記外周パターンには、前記第1要素が配置され、
前記凹部の輪郭は、略矩形状であり、
前記凹部の外周の内側に前記凹部の輪郭における1つの辺に沿って少なくとも一列の前記第1要素が配置されている半導体ウェハ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置の製造方法および半導体ウェハを詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態で用いられる半導体装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合がある。さらに、以下で示す膜厚は一例であり、これに限定されるものではない。
【0008】
以下では、被加工膜が設けられた半導体ウェハにマークを形成する場合を例に挙げて説明する。
図1は、半導体ウェハのショット領域の構成の一例を示す一部上面図である。半導体ウェハ10には、複数のショット領域R
Sが設けられている。ショット領域R
Sには、ショット領域R
Sの周縁部に設けられる額縁状の領域のカーフ領域R
Kと、カーフ領域R
Kの内側の矩形状のデバイス領域R
Dと、が設けられる。デバイス領域R
Dには、素子および配線などを含むデバイスパターンが配置されている。デバイスパターンは、加工対象である半導体ウェハ10または半導体ウェハ10上の被加工層を加工することによって得られる。カーフ領域R
Kには、アライメントマークおよび重ね合せ計測マークなどのマークが設けられる。なお、半導体ウェハ10の各ショット領域R
Sへの加工が終了すると、カーフ領域R
Kでダイシングされ、チップに切り分けられる。
【0009】
図2は、実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図3は、実施形態によるデバイス領域における半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す一部上面図である。
図4は、実施形態によるデバイス領域における半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す一部断面図であり、
図3のA−A断面図である。
図5は、実施形態によるカーフ領域のマーク配置位置における半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す一部上面図である。
図6は、
図5の領域MR12の拡大上面図であり、
図7は、
図5の領域MR13の拡大上面図である。
図8は、実施形態によるカーフ領域のマーク配置位置における半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図であり、
図5のB−B断面図である。
【0010】
まず、
図4(a)に示されるように、図示しない半導体ウェハのデバイス領域R
Dには、被加工膜110が形成される。ここでは、被加工膜110として、シリコン酸化膜111とシリコン窒化膜112とが交互に複数積層された積層体が例示されている。この被加工膜110は、3次元構造の不揮発性半導体記憶装置の製造に使用される。また、
図8(a)に示されるように、図示しない半導体ウェハのカーフ領域R
Kにも被加工膜120が形成される。カーフ領域R
Kに形成される被加工膜120は、デバイス領域R
Dの被加工膜110と同じものでもよいし、異なるものでもよい。
図8(a)では、デバイス領域R
Dに形成された被加工膜110とは異なる被加工膜120が形成されている場合が示されている。被加工膜120は、たとえばシリコン酸化膜である。
【0011】
ついで、マークエッジを形成するためのリソグラフィ工程を行う(ステップS11)。具体的には、被加工膜110,120上にレジストを塗布する。その後、
図3(a)、
図4(a)、
図5(a)および
図8(a)に示されるように、レジストを露光し、さらにレジストを現像し、被加工膜110,120上にレジストパターン130を形成する。
【0012】
露光処理では、レチクルが用いられる。
図9は、レチクルの構成の一例を模式的に示す上面図である。レチクル20は、デバイス領域R
Dの被加工膜110上に素子および配線などを含むデバイス形成パターンを配置するパターン配置領域R
Pと、露光処理時に使用するマークなどが配置されるマーク配置領域R
Mと、を有する。
【0013】
図10は、レチクルのデバイス形成パターンの一例を示す図であり、(a)は、X方向の一端でのデバイス形成パターンの一例を示す図であり、(b)は、X方向の中央付近でのデバイス形成パターンの一例を示す図であり、(c)は、X方向の他端でのデバイス形成パターンの一例を示す図である。なお、
図10(a)は、
図9の領域PR1でのデバイス形成パターン21aを示しており、
図10(b)は、
図9の領域PR2でのデバイス形成パターン21bを示しており、
図10(c)は、
図9の領域PR3でのデバイス形成パターン21cを示している。この例では、デバイス形成パターン21a〜21cは、被加工膜110にホールを形成するためのホールパターンである場合を示す。
【0014】
図10(b)に示されるように、パターン配置領域R
PのX方向の両端部付近以外の領域では、X方向に延在するライン状パターン27が、Y方向に所定の間隔で配置される構成を有する。すなわち、ラインアンドスペース状のパターンが配置される。ライン状パターン27は、ライン状パターン27よりもサイズの小さい複数の要素25によって構成される。この例では、要素25は、ホールを構成する複数のホールパターン251であり、ホールパターン251が千鳥格子状に配置されている。Y方向に隣接するライン状パターン27間は、遮光膜または吸収膜が配置される領域である。また、ライン状パターン27内におけるホールパターン251間も、遮光膜または吸収膜が配置される領域である。
【0015】
ホールパターン251のX方向のサイズは、CD111であり、X方向に隣接するホールパターン251間の距離は、CD112である。また、Y方向に隣接するライン状パターン27間の距離は、CD113である。
【0016】
また、
図10(a)、(c)に示されるように、ライン状パターン27は、ホールパターン251と、補助のホールパターン252と、を要素25として有する。補助のホールパターン252は、マーク配置領域R
M近傍に設けられる。補助のホールパターン252は、たとえば正方格子状に配置される。補助のホールパターン252のX方向のサイズは、CD121であり、X方向に隣接する補助のホールパターン252間の距離は、CD122である。CD121は、たとえばCD111よりも大きくすることができる。また、CD122は、CD112よりも大きい。
【0017】
図9に示されるように、マーク配置領域R
Mには、被加工膜120とレチクル20との間のX方向およびY方向の位置ずれを計測する重ね合せ計測マークが配置される領域R1と、被加工膜120とレチクル20との間のX方向の位置合わせに用いるアライメントマークが配置される領域R2と、被加工膜120とレチクル20との間のY方向の位置合わせに用いるアライメントマークが配置される領域R3と、が設けられる。
【0018】
図11は、マークの一例を示す図であり、(a)は、重ね合せ計測マークの一例を示す図であり、(b)および(c)は、アライメントマークの一例を示す図である。
図11(a)に示される重ね合せ計測マークM1aは、領域R1に配置される。重ね合せ計測マークM1aは、Y方向に延在する一対のライン状パターン41aと、X方向に延在する一対のライン状パターン42aと、が組み合わされた構成を有する。Y方向に延在するライン状パターン41aの幅は、CD301であり、Y方向に隣接するライン状パターン41a間の距離は、CD302であり、X方向に延在するライン状パターン42aの幅は、CD221である。
【0019】
図11(b)に示されるアライメントマークM2aは、領域R2に配置される。アライメントマークM2aは、Y方向に延在する複数のライン状パターン43aがX方向に所定の間隔で配列された構成を有する。ライン状パターン43aの幅は、CD201であり、X方向に隣接するライン状パターン43a間の距離は、CD202である。
【0020】
図11(c)に示されるアライメントマークM3aは、領域R3に配置される。アライメントマークM3aは、X方向に延在する複数のライン状パターン44aがY方向に所定の間隔で配列された構成を有する。ライン状パターン44aの幅は、CD221であり、Y方向に隣接するライン状パターン44a間の距離は、CD222である。
【0021】
本実施形態では、パターン配置領域R
Pで使用されるデバイス形成パターン21a〜21cと同じパターンを用いて、マーク配置領域R
Mのマークが形成される。すなわち、ライン状パターン41a〜44aは、ホールパターンが配置されない遮光膜または吸収膜によって構成され、ライン状パターン以外の領域を構成する外周パターン51a〜51cは、ホールパターンが配置された遮光膜または吸収膜によって構成される。
【0022】
図12は、マークを構成するパターンの一例を示す図であり、(a)は、X方向の一端でライン状パターンと隣接する位置でのパターンの一例を示す図であり、(b)は、Y方向の一端でライン状パターンと隣接する位置でのパターンの一例を示す図であり、(c)は、X方向の他端でライン状パターンと隣接する位置でのパターンの一例を示す図である。なお、
図12(a)は、
図11(a)〜(c)の領域MR1でのパターンを示しており、
図12(b)は、
図11(a)〜(c)の領域MR2でのパターンを示しており、
図12(c)は、
図11(a)〜(c)の領域MR3でのパターンを示している。
【0023】
図12(b)に示されるように、ライン状パターン41a〜44aの周囲で、ライン状パターン41a〜44aのX方向端部の近傍以外の領域では、X方向に延在するライン状パターン51が、Y方向に所定の間隔で配置される構成を有する。すなわち、ラインアンドスペース状のパターンが配置される。ライン状パターン51は、ライン状パターン51よりもサイズの小さい複数の要素52によって構成される。この例では、要素52は、ホールを構成する複数のホールパターン521であり、ホールパターン521が千鳥格子状に配置されている。Y方向に隣接するライン状パターン51間には、遮光膜または吸収膜が配置される。また、ライン状パターン51内におけるホールパターン521間にも、遮光膜または吸収膜が配置される。
【0024】
ホールパターン521のX方向のサイズは、CD111であり、X方向に隣接するホールパターン521間の距離は、CD112である。また、Y方向に隣接するライン状パターン51間の距離は、CD113である。
【0025】
また、
図12(a)、(c)に示されるように、ライン状パターン51は、ホールパターン521と、補助のホールパターン522と、を要素52として有する。補助のホールパターン522は、ライン状パターン41a〜44a近傍に設けられる。補助のホールパターン522は、たとえば正方格子状に配置される。補助のホールパターン522のX方向のサイズは、CD121であり、X方向に隣接する補助のホールパターン522間の距離は、CD122である。CD121は、たとえばCD111よりも大きくすることができる。また、CD122は、CD112よりも大きい。
【0026】
このように、ライン状パターン51は、パターン配置領域R
Pに設けられるライン状パターン27と同じ構造を有する。また、ホールパターン521,522は、パターン配置領域R
Pに設けられるホールパターン251,252と同じサイズを有する。
【0027】
ステップS11の露光処理では、
図10および
図12に示されるパターンを有するレチクル20が使用される。デバイス領域R
Dでは
図3(a)に示されるように、マクロで見るとX方向に延在するライン状パターン131がY方向に所定の間隔で配置される。また、
図3(a)および
図4(a)に示されるように、各ライン状パターン131は、複数のホールパターン132aによって構成されている。カーフ領域R
Kでも、デバイス領域R
Dと同様に複数のホールパターンが集まって構成されるライン状パターンが配置される。
【0028】
図5(a)は、マーク全体を示したものであり、ライン状パターン133と、ライン状パターン133以外の領域に形成される外周パターン134と、が示されている。ライン状パターン133には、ホールパターンは形成されていないが、外周パターン134には
図5(a)では図示されていないが実際にはホールパターンが形成されている。
図5の領域MR12の部分を拡大したものが
図6(a)であり、領域MR13の部分を拡大したものが
図7(a)である。
【0029】
図5(a)の外周パターン134で、ライン状パターン133のX方向端部の近傍以外の領域MR12では、
図6(a)に示されるように、複数のホールパターン135aによって構成されるラインアンドスペース状のパターンが形成される。また、
図5(a)の外周パターン134で、ライン状パターン133のX方向端部の近傍の領域MR13では、
図7(a)に示されるように、ライン状パターンは、ホールパターン135aと補助のホールパターン135bとを有し、補助のホールパターン135bは、ライン状パターン133側に設けられる。
【0030】
ここで形成されるレジストパターン130のライン状パターン133と外周パターン134との境界が、マークエッジとなる部分である。
【0031】
ついで、マークエッジを形成するための加工工程を行う(ステップS12)。具体的には、
図3〜
図8の各(b)に示されるように、形成されたレジストパターン130を用いて、RIE(Reactive Ion Etching)などの異方性エッチングによって、被加工膜110,120を加工する。
図3(b)および
図4(b)に示されるように、デバイス領域R
Dには、被加工膜110である積層体を厚さ方向に貫通するホール111aが設けられる。デバイス領域R
Dに形成されるホール111aは、メモリホールとなる。また、
図6(b)、
図7(b)および
図8(b)に示されるように、カーフ領域R
Kの被加工膜120にもホール121aと補助のホール121bが設けられる。ホール121aは、ホールパターン135aに対応した位置に設けられ、補助のホール121bは、補助のホールパターン135bに対応した位置に設けられる。
【0032】
その後、
図3〜
図8の各(c)に示されるように、被加工膜110,120の上面に、被加工膜110,120に設けられたホール111a,121a,121bを埋め込むように、ピラー膜140を形成する(ステップS13)。ピラー膜140は、後の工程で、被加工膜120をエッチングする際に、被加工膜120と選択比が十分に取れる材料であることが望ましい。たとえば、ピラー膜140は、ポリシリコン膜によって構成される。なお、デバイス領域R
Dでは、ピラー膜140が埋め込まれる前に、図示しないメモリ膜がホール111aの内面に沿って形成され、メモリ膜が形成されたホール111a内にピラー膜140が埋め込まれる。メモリ膜は、たとえばブロック絶縁膜、電荷蓄積膜、トンネル絶縁膜がホール111aの内面側から積層されたものである。
【0033】
ついで、
図3〜
図8の各(d)に示されるように、被加工膜110,120上に堆積したピラー膜140を除去し、被加工膜110,120の上面を平坦化する(ステップS14)。たとえば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、被加工膜110,120の上面よりも上に存在するピラー膜140を平坦化しつつ除去する。また、CMP法ではなく、RIE法などの異方性エッチングによって、ピラー膜140をエッチバックしてもよい。これによって、デバイス領域R
Dのホール111a内にはピラー膜140が形成され、カーフ領域R
Kのホール121a内にはピラー膜140aが形成され、補助のホール121b内には、補助のピラー膜140bが形成される。
【0034】
その後、マーク段差を形成するためのリソグラフィ工程を行う(ステップS15)。具体的には、被加工膜110,120上にレジストを塗布する。ついで、
図3〜
図8の各(e)に示されるように、レジストを露光し、さらにレジストを現像し、被加工膜110,120上にレジストパターン150を形成する。レジストパターン150は、カーフ領域R
Kのマーク段差(凹部)を形成する領域に開口151を有する。
【0035】
図13は、レチクルのデバイス形成パターンの一例を示す図である。
図9のパターン配置領域R
P全体(領域PR1,PR2,PR3)で、
図13に示されるデバイス形成パターン31が配置される。すなわち、このステップS15では、レチクル20のパターン配置領域R
P全体に遮光膜または吸収膜が設けられている。そのため、半導体ウェハのデバイス領域R
Dには、この露光処理によってパターンが形成されない。すなわち、デバイス領域R
Dは、レジストパターン150で覆われた状態となる。
【0036】
図14は、マークの一例を示す図であり、(a)は、重ね合せ計測マークの一例を示す図であり、(b)および(c)は、アライメントマークの一例を示す図である。
図14(a)に示される重ね合せ計測マークM1bは、
図9のレチクル20の領域R1に配置される。重ね合せ計測マークM1bは、Y方向に延在する一対のライン状パターン41bと、X方向に延在する一対のライン状パターン42bと、が組み合わされた構成を有する。Y方向に延在するライン状パターン41bの幅は、CD311であり、Y方向に隣接するライン状パターン41b間の距離は、CD312であり、X方向に延在するライン状パターン42bの幅は、CD313である。ここで、ライン状パターン41bの幅CD311は、
図11(a)のY方向に延在するライン状パターン41aの幅CD301に、
図12(a)、(c)のX方向に隣接する補助のホールパターン522間の距離CD122を加えた値となる。すなわち、次式(1)を満たす。
CD311=CD301+CD122 ・・・(1)
【0037】
(1)式を満たすように、重ね合せ計測マークM1bのY方向に延在するライン状パターン41bを形成することで、
図5(e)および
図7(e)に示されるように、被加工膜120上に転写されたライン状パターンのX方向に垂直な辺に沿って、少なくとも1列の補助のピラー膜140bが露出することになる。
【0038】
また、ライン状パターン42bの幅CD313は、
図11(a)のX方向に延在するライン状パターン42aの幅CD221に、
図12(b)のライン状パターン51間の距離CD113を加えた値となる。すなわち、次式(2)を満たす。
CD313=CD221+CD113 ・・・(2)
【0039】
(2)式を満たすように、重ね合せ計測マークM1bのX方向に延在するライン状パターン42bを形成することで、
図5(e)に示されるように、被加工膜120上に転写されたライン状パターンのY方向に垂直な辺に沿って、少なくとも1列のピラー膜140aが露出することになる。
【0040】
図14(b)に示されるアライメントマークM2bは、
図9のレチクル20の領域R2に配置される。アライメントマークM2bは、Y方向に延在する複数のライン状パターン43bがX方向に所定の間隔で配列された構成を有する。ライン状パターン43bの幅は、CD211であり、X方向に隣接するライン状パターン43b間の距離は、CD212である。ここで、ライン状パターン43bの幅CD211は、
図11(b)のX方向に延在するライン状パターン43aの幅CD201に、
図12(a)、(c)のX方向に隣接する補助のホールパターン522間の距離CD122を加えた値となる。すなわち、次式(3)を満たす。
CD211=CD201+CD122 ・・・(3)
【0041】
(3)式を満たすように、アライメントマークM2bのY方向に延在するライン状パターン43bを形成することで、
図5(e)および
図7(e)に示されるように、被加工膜120上に転写されたライン状パターンのX方向に垂直な辺に沿って、少なくとも1列の補助のピラー膜140bが露出することになる。
【0042】
図14(c)に示されるアライメントマークM3bは、領域R3に配置される。アライメントマークM3bは、X方向に延在する複数のライン状パターン44bがY方向に所定の間隔で配列された構成を有する。ライン状パターン44bの幅は、CD231であり、Y方向に隣接するライン状パターン44b間の距離は、CD232である。ここで、ライン状パターン44bの幅CD231は、
図11(c)のY方向に延在するライン状パターンの幅CD221に、
図12(b)のライン状パターン51間の距離CD113を加えた値となる。すなわち、次式(4)を満たす。
CD231=CD221+CD113 ・・・(4)
【0043】
(4)式を満たすように、アライメントマークM3bのX方向に延在するライン状パターン44bを形成することで、
図5(e)に示されるように、被加工膜120上に転写されたライン状パターンのY方向に垂直な辺に沿って、少なくとも1列のピラー膜140aが露出することになる。なお、(1)式〜(4)式に示される関係は、レチクル20上のものであるが、被加工膜110,120上に転写されたパターンに対しても同様の関係が成り立つ。
【0044】
ついで、マーク段差を形成するための加工工程を行う(ステップS16)。具体的には、
図3〜
図8の各(f)に示されるように、レジストパターン150をマスクとして、RIE法などの異方性エッチングを用いて、カーフ領域R
Kの被加工膜120をエッチングする。このとき、ピラー膜140aおよび補助のピラー膜140bが被加工膜120に比してエッチングされ難い条件でエッチングを行う。これによって、カーフ領域R
Kのライン状パターンには、凹部(段差)125が形成される。また、凹部125では、柱状のパターンであるピラー膜140aおよび補助のピラー膜140bが露出し、被加工膜120に対して突出した状態で配置される。
【0045】
(1)式〜(4)式を満たすように、レジストパターン150が形成されているので、各マークにおいて、ライン状パターンの周囲に形成されるホールパターンのうち、ライン状パターンに接する最も外側のホールパターンが露出することになる。実際には、ステップS15の露光処理で使用される露光装置の寸法精度、重ね合わせ精度の性能によって、たとえばアライメントマークM2bの場合には、レジストパターン150に形成されたマークのサイズCD211は設計値からわずかにずれる。しかし、これらの合計がCD122以内であれば、ステップS16の加工処理によって露出する、マークパターン中のピラー膜140aおよび補助のピラー膜140bが埋め込まれた領域は変わらない。重ね合せ計測マークM1bの場合にも、ライン状パターン41b,42bのサイズCD311,CD313の設計値からのずれが、それぞれCD122,CD113以内であれば、ステップS16で露出する、マークパターン中のピラー膜140aおよび補助のピラー膜140bが埋め込まれた領域は変わらない。アライメントマークM3bの場合にも、ライン状パターン44bのサイズCD231の設計値からのずれが、CD113以内であれば、ステップS16で露出する、マークパターン中のピラー膜140aおよび補助のピラー膜140bが埋め込まれた領域は変わらない。
【0046】
レジストパターン150を除去した後、
図3〜
図8の各(g)に示されるように、被加工膜110,120上に、マスク膜160を形成する(ステップS17)。マスク膜160は、たとえばAl,Cu,Wなどの金属膜とすることができる。また、マスク膜160は、不透明な膜であることが望ましい。これによって、カーフ領域R
Kのマークでは、凹部125の側面および底面を覆うようにマスク膜160が形成される。つまり、マスク膜160も凹部125の形にしたがって、凹部125(段差)を有するようになる。この凹部125の寸法は、ステップS11で形成されたライン状パターン133のサイズと同程度であり、光学的に観察可能である。なお、マスク膜160は、デバイス領域R
Dの被加工膜110を加工する際のマスクとなる。
【0047】
ついで、デバイス領域R
Dの被加工膜110を加工するためのリソグラフィ工程を行う(ステップS18)。具体的には、マスク膜160上にレジストを塗布する。その後、
図3〜
図8の各(h)に示されるように、レジストを露光し、さらにレジストを現像し、被加工膜110,120上にレジストパターン170を形成する。このとき、露光装置で、凹部125のエッジ部分が観察され、ウェハの位置を認識して露光処理が行われる。
【0048】
図15は、レチクルのデバイス形成パターンの一例を示す図である。
図9のパターン配置領域R
P全体(領域PR1,PR2,PR3)で、
図15に示されるデバイス形成パターン33が配置される。ここでは、レチクル20のパターン配置領域R
Pに、X方向に延在するライン状パターン34がY方向に所定の間隔で配置されたパターンが設けられる。
【0049】
図16は、マークの一例を示す図であり、(a)は、重ね合せ計測マークの一例を示す図であり、(b)は、アライメントマークの一例を示す図である。
図16(a)に示される重ね合せ計測マークM1cは、
図9のレチクル20の領域R1に配置される。重ね合せ計測マークM1cは、Y方向に延在する一対のライン状パターン41cと、X方向に延在する一対のライン状パターン42cと、が組み合わされた構成を有する。Y方向に延在するライン状パターン41cの幅は、CD321であり、Y方向に延在するライン状パターン41cの長さは、CD322である。
【0050】
また、
図16(b)に示されるアライメントマークM2c,M3cは、
図9のレチクル20の領域R2,R3に配置される。アライメントマークM2c,M3cは、マーク配置領域R
M全体に遮光膜または吸収膜が設けられており、カーフ領域R
Kには、この露光処理によってパターンが形成されない。
【0051】
重ね合せ計測マークM1cの重心は、ステップS18の重ね合わせ誤差が0の場合、重ね合せ計測マークM1aの重心と一致するように設計されている。そのため、ステップS18の処理後、図示しない重ね合わせ計測装置で、レジストパターン170上に転写された重ね合せ計測マークM1cと、マスク膜160に設けられる凹部125(段差)の重心間距離を計測することによって、ステップS18の重ね合わせ誤差を求めることができる。こうして求められた重ね合わせ誤差は、ステップS18の性能監視、またはフィードバック制御に用いられる。
【0052】
このように、ステップS18での露光処理の際に、マスク膜160に設けられる凹部125のエッジが重ね合せ計測マークM1cおよびアライメントマークM2c,M3cの役割を担う。これは、マスク膜160が凹部125上に設けられることによって、マスク膜160に段差が生じる。そして、このマスク膜160の段差が光学的観察によって認識可能であることを利用して、重ね合せ計測またはアライメントが行われる。
【0053】
その後、レジストパターン170を用いて、マスク膜160のエッチングが行われる。また、マスク膜160をマスクとして、被加工膜110のエッチングが行われる。以上で、半導体装置の製造方法が終了する。以上のようにして製造された半導体ウェハ10のカーフ領域R
Kの各マークには、
図8(g)に示されるパターンが含まれる。
【0054】
なお、上記した説明では、
図8(f)に示されるように、マークを構成するライン状パターンの内部に凹部125を設けた。しかし、実施形態がこれに限定されるものではない。たとえば、マークを構成するライン状パターンの周縁部に凹部を設けてもよい。この場合には、ライン状パターンの内部にホールパターン(ピラー膜および補助のピラー膜)が形成され、ライン状パターンの周囲の外周パターンには、ホールパターンは設けられない。また、このときのステップS15で使用されるレチクル20のマーク配置領域R
Mのライン状パターン41b〜44bの幅CD311,CD313,CD211,CD231は、(1)式〜(4)式とは異なり、それぞれ次式(5)〜(8)で示される。(5)式〜(8)式に示される関係は、レチクル20上のものであるが、被加工膜110,120上に転写されたパターンに対しても同様の関係が成り立つ。
CD311=CD301−CD122 ・・・(5)
CD313=CD221−CD113 ・・・(6)
CD211=CD201−CD122 ・・・(7)
CD231=CD221−CD113 ・・・(8)
【0055】
上記した実施形態では、カーフ領域に設けられるマークを、デバイス領域に設けられる光学的に観察できないホールパターンのサイズおよび周期を用いて形成し、ホールパターンには、下層の被加工膜と選択比の取れるピラー膜を埋め込む。また、マークを構成するライン状パターンに、マークの計測方向に隣接する1列のピラー膜が含まれるようにレジストパターンを下層膜上に形成し、ピラー膜が除去されない条件で、下層膜に凹部を形成する。そして、下層膜上にマスク膜を形成する。これによって、マスク膜にも凹部が形成され、この凹部に設けられる段差が光学的に観察可能になり、マークとして利用可能になる。このように、光学的に観察できないホールパターンを用いて形成されたマークでは、レチクルのパターン配置領域のデバイス形成パターンと、マーク配置領域のマークとの間で、パターンのサイズの差が小さくなる。その結果、露光装置の収差による重ね合せ誤差が小さくなり、デバイス領域におけるパターンの重ね合せ精度が向上するという効果を有する。また、重ね合せ精度が向上するので、製品歩留まりが向上するという効果も有する。
【0056】
さらに、マークを光学的に観察できないホールパターンを用いて形成しているが、結果として形成されるマークは凹部によって段差構造を有するマークである。そのため、光学的に観察することができるという効果を有する。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。