特許第6901385号(P6901385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6901385土壌を生産する方法および農産物を生産する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6901385
(24)【登録日】2021年6月21日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】土壌を生産する方法および農産物を生産する方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20210701BHJP
   A01G 7/04 20060101ALI20210701BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20210701BHJP
   A23B 7/10 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   A01G7/00 602Z
   A01G7/04 A
   A23L19/00 Z
   A23B7/10 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-231300(P2017-231300)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-97471(P2019-97471A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】595093474
【氏名又は名称】日本振興株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】福山 厚子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和久
(72)【発明者】
【氏名】益村 義幸
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金丸 博
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−206926(JP,A)
【文献】 特開平07−075446(JP,A)
【文献】 特開昭55−096037(JP,A)
【文献】 特開昭61−242523(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/052203(WO,A1)
【文献】 特開2009−000093(JP,A)
【文献】 特開2009−278963(JP,A)
【文献】 特開2005−323542(JP,A)
【文献】 特開2008−237048(JP,A)
【文献】 特開平01−137924(JP,A)
【文献】 米国特許第05819467(US,A)
【文献】 特開2000−312531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00 − 7/06
A23B 7/10
A23L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌に植栽された陸上植物の根元部と胸高値の2箇所に挿入された両電極を内部組織に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することにより、前記植物を介して、土壌の電気伝導度を増大させ、土壌改変し、改変された土壌を生産する方法。
【請求項2】
印加する電圧は、1〜10Vの範囲の直流電圧、交流電圧又はパルス電圧であり、電極を挿入する植物の茎の太さに応じて、電圧値が調整されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記土壌において、水素イオン指数がpH4.0〜8.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記陸上植物がマツ科マツ属の植物の場合には、前記土壌において、水素イオン指数がpH6.0〜6.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の方法によって生産された土壌を用いて、苗木を生育して収穫する、果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉の何れかの農産物を生産する方法
【請求項6】
請求項に記載の農産物を生産する方法によって生産された農産物を用いる、果汁、果実酒、漬物を含む2次的加工食品を生産する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸上植物を栽培するための土壌改変や陸上植物の成長を促進する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、炭酸ガス濃度の増加に伴う地球温暖化の問題から、植物や森林の保護とそれらの活性化による必要性がクローズアップされている。
かかる状況下、植物生体の機能的活性化と成長を図る農業技術として、植物生体の内側の内部高電位と表皮サイドの外部低電位とを結ぶ通電体を、外部の表皮サイドより植物生体に差し込み、植物生体の表皮サイドの電位を増大させることにより、植物生体の機能的活性化と成長の促進を図る技術が知られている(特許文献1,2を参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1,2においては、植物生体の機能的活性化と成長の促進を図る点は開示されているが、植物生体が植栽される土壌に与える影響についてはなんら開示されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−278963号公報
【特許文献2】国際公開パンフレットWO2011/052203
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、植物生体に導電性針を挿入し、それを電極として植物体内に電流を流すことにより、植物を介して土壌の電気伝導度を増大させ土壌改変し、かつ植物の成長を促進できるとの知見を得た。
すなわち、本発明は、陸上植物に導電性針を挿入し、それを電極として植物体内に電流を流すことにより、土壌を改変し、かつ植物生体の成長を促進する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の方法は、土壌に植栽された陸上植物に導電性針を挿入することにより、植物を介して、土壌の電気伝導度(EC:Electric Conductivity)を増大させ、土壌改変し、かつ前記植物の成長を促進するものである。
【0007】
また、本発明の方法は、土壌に植栽された陸上植物の異なる箇所に挿入された両電極を内部組織に接触させた状態で、電極間に電圧を印加することにより、植物を介して、土壌の電気伝導度を増大させ、土壌改変し、かつ植物の成長を促進する。すなわち、電極間に電圧を印加しない場合でも土壌の電気伝導度を向上させることは可能であるが、電圧を印加することにより、土壌の電気伝導度をより増大させることが可能となる。
【0008】
本発明の方法において、印加する電圧は、1〜10Vの範囲の直流電圧、交流電圧又はパルス電圧であり、電極を挿入する植物の茎の太さに応じて、電圧値が調整されることが好ましく、より好ましくは、1〜7Vであり、さらに好ましくは、4〜6Vである。これは、電圧を印加する場合に、1V未満の電圧では、土壌改変効果が充分に発揮されず、また、10Vを超えると、電極を挿入する植物の茎の太さによっては植物生体が焦げてしまうという問題があるからである。
【0009】
本発明の方法に用いる土壌中の水素イオン指数はpH4.0〜8.0であることが好ましい。pH8.0より高いアルカリ性土壌の場合、塩基類のイオン化ができ難くなるため植物の成長を阻害する。pH8.0より高い土壌では、元々、電気伝導度が高いため、本発明による土壌改変効果は得られ難くなる。一方、土壌中の水素イオン指数がpH4.0程度であっても、透水性(酸素)が良い土壌であって、菌根菌が増殖すれば、pHが上昇し、土壌は植物成長にとって良い方向に改変される。通常、酸性土壌は植物が成長し難いと言われるが、例えば、みかん,桃,栗などはpH5.0でも育ち、また、茶やブルーベリーはpH4.0の強酸性土壌でも育つ。しかし、マツの場合には、菌根菌と共生しているため、強酸性土壌は好まず、土壌中の水素イオン指数はpH6.0〜6.5である。なお、本明細書での水素イオン指数は、土壌に水を加えて測定したpH(HO)を指している。
【0010】
本発明の方法に用いる陸上植物とは、種子植物、コケ植物又はシダ植物のことであるが、マツ科マツ属の植物であってもよい。昨今の松枯れ問題に対して、本発明の方法を用いて、早期にマツの苗を成長させることが可能である。
【0011】
本発明の方法において、電極間に太陽光パネルを接続し、陸上植物に電圧を印加させたことが好ましい。1〜10Vという低い電圧を印加するため、太陽光パネルにより発電した電力を利用することが可能である。本発明の方法では、土壌の電気伝導度を増大させて土壌改変し、かつ陸上植物の成長を促進できる。すなわち、植物生体に刺激を与え、電気を流すことによって、植物を介して、土壌の電気伝導度を増大させ土壌を改変し、同時に、植物の成長が促進されることとなる。
【0012】
本発明の本発明の方法によって、改変された土壌を得ることができ、その土壌を用いて、苗木を生育することにより、果実、塊根、球根、塊茎、若しくは葉の何れかの農産物を収穫できる。本発明の本発明の方法によって、成長促進された植物を得ることができ、その植物から農産物を収穫できる。そして、それらの農産物を用いた果汁、果実酒、漬物など2次的加工食品を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法によれば、陸上植物に導電性針を挿入し、それを電極として植物体内に電流を流すことにより、土壌を改変し、かつ植物生体の成長を促進できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の実験の模式図
図2】実施例1における試験区構成図
図3】1年間の樹丈の平均伸長率の測定結果
図4】A区における電位測定結果
図5】B区における電位測定結果
図6】月別の樹丈の平均伸長率の測定結果
図7】電気伝導度の測定結果
図8】実施例1の実験のフロー図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例1】
【0016】
(実験の概要)
図8は、実施例1の実験のフロー図を示している。図8に示すように、まず、pHの異なる2種類の土壌を調製し、それぞれの土壌環境に、同じ大きさ(樹丈約45cm)で年齢(2歳)のクロマツ苗をポットに植栽した(S01)。実験対象としてクロマツ苗を使用したのは、近年問題になっているマツ枯れへの応用を考慮したからである。また、詳細は後述するが、2種類の土壌の調製は、基本土壌に改良材等を混入し、微酸性土譲区と微アルカリ性土壌区に分けることで行った。
本実験を行うに当たっては、植生を安定させるために2016年6月1日から約4カ月の養生期間を設けた(S02)。
養生期間の後、ソーラーパネルが繋がれた電極をクロマツ苗に刺し込み(S03)、クロマツ苗に、5V、1V又は0Vの電圧を印加した(S04)。なお、0Vの電圧を印加するとは、電圧を印加しなかったことを表している。2016年9月27日から2017年9月26日まで実験を行い、その間、定期的に樹丈の伸長率、電位及び電気伝導度を測定した(S05)。但し、植物の生理学的理由により冬から春にかけての2016年12月から2017年3月までは、実験を中止し、すなわち、電圧を印加せず、またクロマツ苗から電極を取り除いた。そして、2017年4月よりソーラーパネルが繋がれた電極をクロマツ苗に再び刺し込み、電圧を印加し、実験を再開始した。
【0017】
(施術方法について)
図1は、実施例1の実験の模式図を示している。図1に示すように、電極(7a,7b)の針を電位数値の高い木の根元部と木の胸高値の2箇所に刺して実験を行った。具体的には、+極の電極7aの針をクロマツ苗8の幹(直径約5mm)の根元部に刺し、−極の電極7bの針を電位値の高い胸高値に深さ2mmまで刺し込んだ。
なお、電極7aを刺し込んだ箇所から電極7bを刺し込んだ箇所までの高さHは22cmである。また、実験に使用した針は長さ1.5cmの端子付きステンレス製のものである。
電極(7a,7b)とソーラーパネル9はニクロム線10で繋いだ。電圧を印加するエネルギーはソーラーパネル9から供給した。
また、2016年12月から2017年3月までの期間は、電極(7a,7b)の針を外し電圧印加は中断した。
【0018】
(試験区構成)
図2は、実施例1における試験区構成図を示している。図2に示すように、土壌性質を変えた微酸性土壌A区(以下、A区とする。)と、微アルカリ性土壌B区(以下、B区とする。)を設置した。A区とB区には、それぞれ電位別に5V、1V、0Vのセクションを設け、1連に7ポットずつ設置した。具体的には、A区には、印加する電圧が、5Vのポット(1a〜1g)、1Vのポット(2a〜2g)及び0Vのポット(3a〜3g)を設けた。また、B区には、印加する電圧が、5Vのポット(4a〜4g)、1Vのポット(5a〜5g)及び0Vのポット(6a〜6g)を設けた。なお、0Vのポット(3a〜3g,6a〜6g)については、電位値の高い位置に針を刺し込み、電圧は印加しないものとした。
また、A区は西側、B区は東側に配置され、0Vのポット(3a〜3g,6a〜6g)は北側、5Vのポット(1a〜1g,4a〜4g)は南側に配置されている。
このように、ポットを用いて、上記以外の環境をできる限り均一な状態にして実験を行った。
【0019】
(供試材料)
供試材料のマツとしては、2年生のマツ苗を用いた。図1に示すように、クロマツ苗8の樹丈Hは約45cmである。また、駄温ポット11は、直径21cmの7号駄温ポットを用いた。
【0020】
(供試土壌)
次に、供試土壌について説明する。下記表1は、1ポット当たりの土壌の量及び改良材の施用量を表したものである。
【0021】
【表1】
【0022】
上記表1に示すように、供試土壌は、1ポット当たり土壌3000g、堆肥300g、貝化石150g、染色汚泥150gで構成されている。
まず、土壌については、本試験では微生物の影響を抑えるため、水稲の育苗用にも使用されており、透水性も良い福井県加越産(粘土5%)土壌を3000g用いた。そこに、堆肥300g(小松電子株式会社製)を入れた。これがpH6.1の微酸性土壌(A区)である。微酸性土壌(A区)に、さらに、竹中産業株式会社製の貝化石であるエンジェル・ハーモニー(登録商標)を150g追加した。また、小松精練株式会社製の発泡セラミック素材であるグリーンビズ(登録商標)を加工した染色汚泥150gを追加し、pH7.3の微アルカリ性土壌(B区)を作成した。
【0023】
下記表2は、A区に設けられたポット(1a〜1g,2a〜2g,3a〜3g)の土壌成分構成を表したものである。また、下記表3は、B区に設けられたポット(4a〜4g,5a〜5g,6a〜6g)の土壌成分構成を表したものである。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
上記表2及び3に示すように、B区の土壌には、堆肥だけではなく、貝化石や染色汚泥が追加されている。
【0027】
(測定方法と項目について)
クロマツ苗に一定値の電位を印加し、樹丈の伸長、電位及び電気伝導度の測定を行い評価した。なお、樹の伸長測定方法は中心幹の根元から先端までを樹丈とし、試験開始時の樹丈と測定日の樹丈の樹丈差を伸長量とした。樹丈測定時に、電位についても測定した。
【0028】
(1年間の樹丈の伸長に関する測定結果)
図3は、2016年9月27日から2017年9月26日までのクロマツ苗の樹丈の平均伸長率の測定結果であり、(1)はA区、(2)はB区を示している。図3(1)に“5V”として示したデータは、ポット(1a〜1g)の各伸長率の測定データの平均値を示しており、“1V”のデータはポット(2a〜2g)の各伸長率の測定データの平均値、“0V”のデータはポット(3a〜3g)の各伸長率の測定データの平均値を示している。
同様に、図3(2)における“5V”のデータはポット(4a〜4g)、“1V”のデータはポット(5a〜5g)、“0V”のデータはポット(6a〜6g)のそれぞれの各伸長率の測定データの平均値を示している。
図3に示すように、特にA区の5Vにおいて、23.34cmの著しい伸長率がみられ、1Vでは16.35cm、0Vでは15.39cmの伸長率を示した。また、A区と比較してB区は、5Vでは17.5cm、1Vでは9.3cm、0Vでは11.2cmの低い伸長率だったが、A区同様、B区も5Vに大きな成長がみられる結果となった。
【0029】
(電位測定結果)
図4は、A区における電位測定結果であり、(1)は5Vの電圧を印加した場合、(2)は1Vの電圧を印加した場合、(3)は0Vすなわち電圧を印加しなかった場合を示している。
図4(1)に示すように、5Vの電圧を印加した場合は、2017年6月7日(実線)の電位が最も高い値であることが判る。
また、図4(2)に示すように、1Vの電圧を印加した場合においても、2017年6月7日(実線)の電位が最も高い値となっている。同様に、図4(3)に示すように、0Vすなわち電圧を印加しなかった場合においても、2017年6月7日(実線)の電位が最も高い値となっている。
【0030】
図5は、B区における電位測定結果であり、(1)は5Vの電圧を印加した場合、(2)は1Vの電圧を印加した場合、(3)は0Vすなわち電圧を印加しなかった場合を示している。
図5(1)に示すように、5Vの電圧を印加した場合は、A区と同様に、2017年6月7日(実線)の電位が最も高い値であることが判る。
また、図5(2)に示すように、1Vの電圧を印加した場合においても、2017年6月7日(実線)の電位が最も高い値となっている。同様に、図5(3)に示すように、0Vすなわち電圧を印加しなかった場合においても、2017年6月7日(実線)の電位が最も高い値となっている。
【0031】
(月別の樹丈の伸長に関する測定結果)
図6は、クロマツ苗の月別の樹丈の平均伸長率の測定結果であり、(1)はA区、(2)はB区を示している。グラフ中の各データは、図3と同様に、各ポットの平均値を示したものである。
図6に示すように、月別の伸長率を確認すると、A区、B区のいずれにおいても測定日2017年6月7日に著しい伸長率が認められた。
【0032】
(電気伝導度の測定結果)
図7は、電気伝導度の測定結果であり、(1)はA区、(2)はB区を示している。ここでも、各データは、図3及び図6と同様に、電位毎の各ポットの電気伝導度の測定データの平均値を示している。
測定を行った日は、本実験開始前日の2016年9月26日、2016年12月22日及び2017年6月16日である。なお、2017年6月16日における分析は、2017年6月7日に採取した土壌について測定したものである。
土壌のサンプリングは、5Vのポット(1a〜1g,4a〜4g)、1Vのポット(2a〜2g,5a〜5g)及び0Vのポット(3a〜3g,6a〜6g)の各鉢の表層5cmから一鉢につき約10gを採取して行った。
【0033】
まず、A区については、図7(1)に示すように、5Vのポットの場合は、2016年9月26日の時点では23μS/cmであり、2016年12月22日においても24μS/cmとほぼ変わらない数値であったが、2017年6月16日の時点では47μS/cmとなっている。
また、1Vのポットの場合は、2016年9月26日の時点では23μS/cmであり、2016年12月22日においても22μS/cmとほぼ変わらない数値であったが、2017年6月16日の時点では47μS/cmとなっている。
0Vのポットの場合は、2016年9月26日の時点では23μS/cmであり、2016年12月22日においても24μS/cmとほぼ変わらない数値であったが、2017年6月16日の時点では37μS/cmとなっている。
したがって、A区においては、5V、1V及び0Vのいずれのポットについても、2017年6月16日の測定において最も高い数値を示した。
【0034】
次に、B区については、5Vのポットの場合は、2016年9月26日の時点では44μS/cmであり、2016年12月22日では39μS/cmであったが、2017年6月16日の時点では48μS/cmとなっている。
また、1Vのポットの場合は、2016年9月26日の時点では44μS/cmであり、2016年12月22日では38μS/cmであったが、2017年6月16日の時点では50μS/cmとなっている。
0Vのポットの場合は、2016年9月26日の時点では44μS/cmであり、2016年12月22日では41μS/cmであったが、2017年6月16日の時点では58μS/cmとなっている。
したがって、B区においても、5V、1V及び0Vのいずれのポットについても、2017年6月16日の測定において最も高い数値を示した。
したがって、かかる時期における土壌溶液中の塩類濃度が最も高いといえる。
【0035】
以上から、月別の樹丈の伸長率が高い時期において、電位や電気伝導度の測定結果についても高い数値が示されていることがわかる。したがって、樹丈の伸長率の高さと電位や電気伝導度の測定結果との関連性が認められる。
【0036】
(測定結果についての評価)
試験開始から一年後に、微酸性土壌のA区に著しい成長がみられた。特に試験区で最も高い電圧を印加した5Vに高い伸びが確認された。一方で、微アルカリ性土壌のB区はA区に比較し低い伸びを示す結果となったが、5Vに最も高い伸びが認められた。さらに、A区、B区の両区で土壌溶液中の塩類濃度の上昇も確認され、電位と植物の成長の関係が示された。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の方法は、環境の回復・保全や土壌改良に有用である。
【符号の説明】
【0038】
1a〜1g,2a〜2g,3a〜3g,4a〜4g,5a〜5g,6a〜6g, ポット
7a,7b 電極
8 クロマツ苗
9 ソーラーパネル
10 ニクロム線
11 駄温ポット
樹丈
高さ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8