(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子タバコ用の電気カートリッジを製造する方法であって、前記カートリッジは、導電ネットワーク(4)の異なるモジュール(7)にグループ化された複数の抵抗領域(5)が形成される少なくともフレキシブルフィルム(3)を備えているフレキシブル基板材料のピース(2)を備えており、前記電気カートリッジ(1)は、フレキシブル材料の前記ピース(2)の一つの面に配置される芳香物質の複数の部分(8)を備えており、それぞれの部分(8)は、抵抗領域(5)と関連付けられるとともにそれぞれの抵抗領域(5)の加熱面(5a)の近傍に配置されており、前記方法は、
導電ネットワーク(4)の複数のモジュール(7)を装着する少なくとも一つの層のフレキシブルフィルム(3)を備えているフレキシブル基板材料の連続的なウェブ(N)を準備する工程であって、ベースシート(14)の連続的なウェブに前記フレキシブルフィルム(3)の連続的なウェブを連結することによって、前記連続的なウェブ(N)を予め準備する、または、フレキシブルフィルム(3)の連続的なウェブをベースシート(14)の連続的なウェブに連結する工程を含んでいる、工程と、
フレキシブル基板材料の前記連続的なウェブ(N)を供給経路(A)に沿って前進させる工程と、
芳香物質の部分を得るために、芳香物質を含む少なくとも一回の分量の合成物を前記連続的なウェブ(N)上で抵抗領域(5)の前記加熱面(5a)の近傍に堆積させる工程であって、前記芳香物質を備える前記一回の分量の合成物は、前記導電ネットワーク(4)とは反対側の前記フレキシブルフィルム(3)の面上に堆積する、工程と、
ある数のモジュール(7)を含むフレキシブル基板材料のピース(2)を構成するよう、前記連続的なウェブ(N)の端部(P)を切断する工程と、
を含む方法。
請求項1または2に記載の方法において、揮発性物質の少なくとも一つの部分(9)を得るために、基礎となる蒸気すなわちキャリア蒸気を放出するのに適した揮発性物質を含む、少なくとも一回の分量の合成物を前記連続的なウェブ(N)上に堆積させる前記工程を含む方法。
請求項5に記載の電気カートリッジ(1)において、第一モジュール(7)の前記芳香物質は、第二の別のモジュール(7)の前記芳香物質とは異なる電気カートリッジ。
【背景技術】
【0003】
本発明は、電子タバコとして知られるようになったものの領域に対してなされたものである。この語は、従来の喫煙者商品に他の選択肢を提供するとともにユーザが従来の喫煙者商品を吸う仕草と感覚を再現できる装置を示すものとして用いる。
【0004】
電子タバコは、キャリア蒸気の流れによって移送される一以上の芳香物質を含むエアロゾルを生成する蒸発装置に連結可能である。本発明の明細書において、語「蒸発」は、概して言えば、気相の生成を意味するものとして用いる。このような気相の生成は、厳密な意味での蒸発(物質の液相から気相への転移)の結果として、または昇華(物質の固相から気相への転移)の結果として、行われ得る。
【0005】
通常、気相は、取り替え可能なカートリッジすなわち補充容器に収容される出発物質を加熱することにより生成される。
【0006】
電子タバコは、補充容器に収容される蒸発可能な物質が入っている態様によって、大きく二つの異なるタイプに分類することができる。第一タイプの電子タバコにおいては、出発合成物質は液体の態様であり、第二タイプの電子タバコにおいては、出発合成物質は固体の態様である。
【0007】
第一タイプにおいては、液体補充容器が抵抗加熱によって加熱される。液体部分は、補充容器に収容される芳香物質をベースにして形成されたエアロゾルを運ぶ蒸気を構成するよう蒸発する。第一タイプの電子タバコは、米国特許出願公開第2013/0276804号明細書(US20130276804)に記載されている。
【0008】
本願出願人は、液体補充容器をベースとする電子タバコの一の欠点が、容器すなわちタンクを必要とする補充容器の準備と流通との管理の必要性であるという点に注目した。また、ユーザは種々の風味(フレーバー)を選べるが、それは一の補充容器からのみであり、したがって同時に用いることができる風味は一つである。
【0009】
国際公開第2013/098405号(WO2013098405)には、電気回路によって加熱される金属板または金属要素によって順に加熱されるタバコの混合物すなわちブレンドの使用を含んでいる第二タイプの電子タバコの一例が開示されている。タバコ混合物の一部は、芳香物質を移送するキャリア蒸気を生成する蒸発可能な成分を含んでいる。
【0010】
米国特許第5322075号明細書(US5322075)には、発熱要素が電気接続によって互いに接続された第二タイプの電子タバコの他の例が開示されている。芳香物質をベースとした風味を生成する合成物が、発熱要素によって加熱され蒸発する。
【0011】
本願出願人は、固体補充容器をベースとした電子タバコであっても、ユーザが選べる風味は制限されており、特にタバコの使用中の芳香物質の選択と制御に関係して比較的硬い標準的な構造に入っている点に注目した。米国特許第5322075号明細書では、特に、電気的コネクタと発熱要素とに分けられる電気回路が備えられており、それが簡単な所定の形状に対する応用性を制限しており、したがって、そのタバコの使用の汎用性を制限している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および
図2における参照符号1は、芳香物質を保持するとともに、例えば
図7〜
図9に示す電子タバコ100における使用に適した電気カートリッジ全体を示している。
【0016】
語「電子タバコ」は、任意の形状およびサイズであり、その使用および機能はタバコ植物から形成される従来のタバコの使用および機能と実質的に対応付けられる、e−タバコとして一般に知られている喫煙者用の電子装置を意味するものとして用いる。好ましくは、本装置は、従来のタバコの形状およびサイズと同様な円筒形状およびサイズを有し、タバコへの代用品または他の選択肢として用いられ、風味を付けた蒸気またはエアロゾルを放出するよう設計される。
【0017】
電気カートリッジ1は、
図5および
図6に詳細に示すフレキシブル基板材料のピース2を備える。ピース2は、導電ネットワーク4を装着するフレキシブルフィルム3を備える。フレキシブルフィルム3は、例えばおよそ250℃〜300℃の高温に耐えるプラスチック材料のフィルムである。より具体的には、フレキシブルフィルムをポリイミド材料で形成できる。フレキシブルフィルム3の厚さは、好ましくはおよそ0.1mmである。
【0018】
導電ネットワーク4は、アレイ状であり、複数の抵抗領域5と、一以上の電流を供給するために抵抗領域5に接続される複数の電源供給ピン6と、を規定する。分かりやすくするために、符号は、添付図面において抵抗領域および電源供給ピンのうちのいくつかだけに付している。
【0019】
添付図面に示す例示的実施形態において、電源供給ピン6はピース2の対向する両側に配置されている。あるいは、ピース2の隣接する側部または一の側部にのみ配置することもできる。
【0020】
導電ネットワーク4は、フレキシブルフィルム3上に印刷するか、または他の技術によって貼り付けることができる。
【0021】
抵抗領域5は、加熱手段を、特に加熱面5aを規定する。さらに、抵抗領域5は、異なる別のモジュール7へとグループ化される。図示の例示的実施形態において、それぞれのモジュール7は抵抗領域5と二つの電源供給ピン6とを備える。
【0022】
それぞれのモジュール7は、導電ネットワークの非遮断部に対応する、つまり、単一の導電材料の連続的な印刷すなわち連続的な堆積によって形成される。それぞれの抵抗領域5は、好ましくは、加熱面5aを規定する曲がりくねった経路に沿って導電材料を堆積することにより、または経路に沿って途切れることなく導電材料の表面の広がりを増加させることにより、形成される。
【0023】
基板として用いられるフレキシブル材料のピース2は、導電ネットワーク4の想定される交点上への堆積/印刷によって得られる絶縁点を有することもできる。あるいは、フレキシブルフィルム3は、絶縁層を間に挟んだ二つ以上の別々の層に形成される導電ネットワーク4を有する多層フレキシブル・プリント基板とすることもできる。
【0024】
参照符号8は、フレキシブル材料のピース2の一の面に配置される芳香物質の部分を示している。芳香物質のそれぞれの部分8は、一つの抵抗領域5と関連付けられるとともに、それぞれの抵抗領域の加熱面5aに配置されている。
【0025】
レシピを構成する風味/物質を予め混合することにより例えば構成される同じ芳香物質を含んでいる合成物を、すべての部分8に、したがってすべてのモジュール7に用いることができる。あるいは、第一モジュールの例えば単一の風味の芳香物質は、第二の別のモジュールの例えば単一の風味の芳香物質とは異なってもよい。さらに、複数の異なる芳香物質を異なるモジュールに分配することもできる。
【0026】
なお、導電ネットワーク4を、それぞれが特定の芳香物質に専用の複数のアレイ(例えばアレイ状のニコチン点、メンソール点の一つなど)を備えるパッシブ(受動)アレイの態様で構成することもできることを記載しておく。
【0027】
あるいは、導電ネットワーク4を、芳香物質のそれぞれの部分8が、次のコマンドまでその「ON」状態を維持する、専用の双安定(bistable)メモリ回路に関連付けられているアクティブアレイの態様で構成することもできる。この場合、すべてに対して一つである制御アレイが、所望の部分8を、一度に一つ蒸発させる(あるいはむしろ昇華させる)よう、非常に高速で走査される。その後、制御アレイは、二度目の走査ではオフに切り替える。
【0028】
好ましくは、芳香物質の部分8は、芳香物質を含む合成物を堆積させることによって得られる(例えば、芳香物質を含む合成物を液滴射出印刷(jet printing)すること、流体フィラメントを堆積させること、輪転グラビア印刷によって)。用いる合成物に応じて、部分8は、全体を固体とすることができる、または中心部に液体もしくは半液体を閉じ込めた固体状外側層を有する部分的な固体とすることもできる。第一の場合において、蒸発(つまり気相の生成)は固体合成物の昇華に起因する。第二の場合において、蒸発(すなわち気相の生産)は、外側層の昇華に部分的に起因し、液体状または半液体状の中心部の適切な蒸発に部分的に起因する。
【0029】
例えば、前述の印刷は、合成物の液滴を印刷の基板上に射出するインクジェット印刷と同様なまたは関連する印刷処理によって行うことができる。それぞれの部分8は一以上の積層または並置層を備える。積層または並置層のそれぞれは、一回の堆積工程(one depositing pass)で、例えば液滴射出印刷工程で形成されるとともに、所定のレシピに基づいて選択された芳香物質を含んでいる。実施可能な形態において、基礎となる蒸気すなわちキャリア蒸気を放出し、芳香物質を供給する機能のみを部分8に与えるよう揮発性物質の一以上の部分9を備えることもできる。
【0030】
図5および
図6に示す通り、例えば、抵抗領域5は、抵抗領域のモジュール7のグループ12の連続的な繰り返しおよび/または鏡面対称(mirror-symmetric)の繰り返しで得られる複数の行10および列11に沿って配置される。図示の例において、グループ12は、列11の方向に沿って連続的に、かつ鏡面対称に繰り返され行10を形成している。行および列は、多層プリント回路の態様で形成されるフレキシブルフィルム3における絶縁層を間に挟んだ二つ以上の別々の層上に形成することができる。
【0031】
フレキシブル基板材料のピース2には、空気が適正に通過できるのに適したサイズのメッシュの孔を空けることができる。
【0032】
図5および
図6に示す通り、例えば、フレキシブル基板材料のピース2は、導電ネットワーク4上に配置された被覆フィルム13を備えることができ、被覆材フィルム自体の上に配置される芳香物質の部分8から導電ネットワーク4を離間させている。被覆フィルム13は、電源供給ピン6を被覆しない寸法とされる。被覆フィルム13は、導電ネットワーク4を電気的に絶縁するとともに好ましくは導電ネットワーク4が有害物質を放出するのを防止するのに適した材料で形成される。
【0033】
図示しない他の態様においては、導電ネットワーク4がフレキシブルフィルム3の一方の面に配置されるとともに、芳香物質の部分8はフレキシブルフィルムの反対側の面に配置され、これにより、フレキシブルフィルム3は、導電ネットワーク4と芳香物質の部分8との間に配置されて、フレキシブルフィルム13の機能を提供する。
【0034】
図5および
図6に示す通り、例えば、フレキシブル基板材料のピース2は、芳香物質の部分8とは反対側でフレキシブルフィルム3に連結されるベースシート(14)を備えることができる。ベースシート14は、電源供給ピン6を被覆しない寸法とされる。ベースシート14を、ペーパー・ボードで製造することができ、例えば熱安定性に応じて選択される接着剤の層(図示せず)によってフレキシブルフィルム3に連結することができる。接着剤の熱安定性は、部分8を蒸発させるのに必要とされる熱安定性より大きくなければならない。
図5および
図6の例においては、ベースシート14は、電気カートリッジ1のフィルタ16が取り外し不能に固定される固定延設部15を備える。取り外し不能な固定は、固定延設部15を受けるのに適当に形成されるとともに例えば接着によってまたは固定延設部15の適当な鋸歯形状を形成することによってさらに固定されるフィルタ16におけるソケット17を含む形状嵌合によって行うことができる。
【0035】
電気カートリッジ1において、ピース2を、延伸状態に維持できる、すなわち電気カートリッジ自体の横方向寸法を内包する形状とできる。
【0036】
図1および
図2に示す例においては、フレキシブル基板材料のピース2は、
図5においてベースシート14に関して例示する折り畳み線18に沿って蛇腹状に折り畳まれる。折り畳み線18は、蛇腹のそれぞれのパネル19を分けている。抵抗領域5のそれぞれの列11は、蛇腹の一のパネル19を占める。さらに、フレキシブル基板材料のピース2は、折り畳み線18と平行な長手方向軸20回りに巻き付けられる。ピース2の巻き付けにおいて、蛇腹のパネル19は、芳香物質の部分8とは反対側の面を平行な並置パネルとしたペア21にグループ化される。パネルの複数のペア21は、長手方向軸20に対して放射状方向22に沿って配置される。図示の例においては、三つのペア21のパネルが、互いから120°で配置されている。言い換えれば、同じ長さで互いから均等に間隔を空けて、放射状に(例えばY字状に)配置されるアームを有する横方向断面を形成するよう、ピース2は折り畳まれ巻き付けられる。
【0037】
他の態様(図示せず)では、ピース2は蛇腹状に折り畳まれ、平らな形状に保持される、つまり、長手方向軸回りに巻き付けられない。
【0038】
図16〜
図17に、芳香物質の部分8が長手方向軸20に対して好ましくは外側に面するよう、ピース2が蛇腹状に折り畳まれるのではなく長手方向軸20回りに巻き付けられる変形実施形態を示す。この場合、ピース2の対向する両端に配置される支持肩部24によって好ましくは互いに間隔を空けて配置される複数の積層されたコイル23を形成するよう巻き付ける。支持肩部24は、コイル状に巻き付け易くするとともに部分8に当たる空気の通路を形成するよう構成された切り欠き24aを備える。
【0039】
あるいは、フレキシブル基板材料のピース2は、円筒面の形状になるよう巻き付けられる。
【0040】
電源供給ピンは、ピース2の端部と、円筒面またはコイル面の準線(directrices)と、の両方に形成できる。
【0041】
ピースが巻き付けられる場合、特に
図16及び
図17に示す場合、ピースを内側芯部(インナーコア)25に巻き付けることもできる。電気カートリッジと電子タバコを用いる態様に関して以下に説明する通り、内側芯部25は、電源供給ピン6に、および/または特定の電力供給プログラムの関数として導電ネットワーク4のモジュール7の電力供給を制御するように構成されるローカル処理ユニット(例えばチップ)に、電力を供給するよう形成される好ましくは複数の電気接点26を備える。
【0042】
一の実施可能な形態においては、電気カートリッジ1は、電気カートリッジの状態および/または部分8の状態を認識するための手段であって、電気カートリッジ自体の状態(新品/使用済)に関する情報を記録/提供するように構成される手段を備えることができる。第一実施形態において、認識手段は、電気カートリッジ1に構造的に組み込まれるとともに電源がない状態においてもその状態を維持するように構成される静的不揮発性メモリを備える。
【0043】
他の態様において、認識手段は、導電ネットワーク4とそれぞれの抵抗領域5とを関連付ける記憶要素、例えばヒューズを備える。
【0044】
電気カートリッジ1は、導電ネットワーク4の複数のモジュール7を装着する少なくとも一つの層のフレキシブルフィルム3を備えているフレキシブル基板材料の連続的なウェブNから形成される。
図15に示す通り、連続的なウェブNは、例えばロールBに巻き付けられる。
【0045】
導電ネットワーク4上に配置される被覆フィルム13の連続的なウェブにフレキシブルフィルム3の連続的なウェブを連結することによって、連続的なウェブNを予め準備することができる。あるいは、
図15には図示しない、フレキシブルフィルム3の連続的なウェブを被覆フィルム13の連続的なウェブに連結する工程が含まれる。
【0046】
また、部分8が配置されることになる面とは反対側の面に配置されるベースシート14の連続的なウェブにフレキシブルフィルム3の連続的なウェブを連結することによって、連続的なウェブNを予め準備することもできる。あるいは、
図15には図示しない、フレキシブルフィルム3の連続的なウェブをベースシート14の連続的なウェブに連結する工程が含まれる。
【0047】
フレキシブル基板材料の連続的なウェブNは、芳香物質を含む合成物を堆積させるための一以上の堆積ヘッドと対向する供給経路Aに沿って前進する。
【0048】
抵抗領域5の加熱面5aの近傍に、芳香物質の部分8を得るために、例えば、堆積ヘッドは、液滴射出印刷に用いられるものと同様であり、印刷基板上に合成物の液滴を射出して、連続的なウェブ上に数回の分量の芳香物質を含む合成物を堆積するよう設計されている。
図15は、異なる部分8を異なるモジュール7に形成するよう異なる芳香物質を含んでいる数回の分量の合成物を堆積させるための二つの堆積ヘッドT1,T2を示す。より具体的には、芳香物質を含む合成物の少なくとも一回の分量が、連続的なウェブ上の抵抗領域5の加熱面5aの近傍に堆積され、そして、異なる芳香物質を含む合成物の少なくとも一回の分量が、連続的なウェブ上の第二の異なる別のモジュールの抵抗領域5の加熱面5aの近傍に堆積される。
【0049】
例えばセンタリング・ノッチRまたは光学的に認識可能な要素を配置することによって、あるいは「同調的("synchronous" manner)」に堆積を制御可能とする観察システムを用いて抵抗領域のパターンを取得する工程を含むことによって、堆積は、アレイ状の抵抗領域5に応じた位相で行われる。
【0050】
あるいは、堆積ヘッドを、同じ部分8の異なる積層または並置層を堆積するよう用いることもできる。
【0051】
揮発性物質の少なくとも一の部分9を得るために、基礎となる蒸気すなわちキャリア蒸気を放出するのに適した揮発性物質を含む少なくとも一回の分量の合成物を、連続的なウェブ上に堆積させるよう、堆積ヘッドうちの一つを用いることもできる。
【0052】
図15に示す実施例において、部分8が堆積される連続的なウェブNの面Fは、導電ネットワーク4とは反対側のフレキシブルフィルム3の層の面とできる、または被覆フィルム13の面とできる。あるいは、部分8は抵抗領域5の加熱面5aに直接に堆積される。
【0053】
所定の数のモジュール7を含むフレキシブル基板材料のピース2を得るように、切断線Tに沿って連続的なウェブNの端部Pを切断するための切断手段が、供給経路Aに沿って配置される。切断工程の基準として、堆積ステップを同調させるために用いられたものと同じセンタリング・ノッチを用いることができる。
【0054】
ピース2は、電気カートリッジ1の所要の形状に適合するよう形成できる。特に、ピースを、コイル状に巻き付ける、および/または蛇腹状に折り畳むことができる。
【0055】
あるいは、予め切断したピース2を、ピース2上に部分8および/または部分9を堆積させるよう、供給経路Aに沿って前進させることもできる。
【0056】
部分8および/または部分9を、インクジェット印刷以外の種々の堆積技術を用いて形成することもできる。
【0057】
あるいは、電気カートリッジ1の製造は、フレキシブルフィルム3の連続的なウェブ上の導電ネットワーク4を連続的に製造する工程を含むこともできる。
【0058】
図7〜
図9を参照して、電子タバコ100の一の実施可能な形態は、入口101aにおいて外部に開口するとともに電気カートリッジ1を収容するよう構成されるハウジング101を備える。
【0059】
電子タバコ100は、電力供給手段を、特に一以上の電池102を備える。図示の例においては、三つの電池102が備えられる。
【0060】
電力供給手段は、ハウジング101へと案内される複数の電気接点103に接続され、電子タバコ100へ挿入された場合に電気カートリッジ1の電源供給ピン6に電力を供給する。
【0061】
外部接点104を、電池102を充電するために配置することもできる。ハウジング101は、例えばプラスチック材料で形成される本体105の内部に構成される。本体105は、ハウジング101の延設の主方向および電子タバコ100に電気カートリッジ1を挿入する方向と一致する延設の主方向106aに沿って延設されている。
【0062】
ハウジング101は、電子タバコの使用構成において、空気を通して分散させる溝106(
図12)を形成するように構成されるとともに、芳香物質の部分8に面するよう構成されている。溝106は、例えば電子タバコの遠端部108の近傍に案内するよう、空気入口107と連通状態にある。
【0063】
ハウジング101は、横方向断面(
図8および
図9)が、電子タバコの使用構成において、ハウジング101の壁と電気カートリッジ1とによって境界が決められる溝106を形成するように構成されている(
図12)。
【0064】
ハウジング101は、例えば、電子タバコ100の使用時の構成において電気カートリッジ1を定位置に保持するよう構成される固定用受け部109を備える。より具体的には、電気接点103は、ハウジング101内へと固定用受け部109のうちの一つの近傍に案内される。
【0065】
電気カートリッジ1の横方向断面が放射状(radial)アームを有する場合、特に
図1および
図2に示す通り、ハウジング101は複数の放射状部110を備える。それぞれの放射状部は、電気カートリッジ1の一ペア21のパネル19を受けるよう構成される。好ましくは、二つの放射状部110の間に配置されるとともに電子タバコ100の延設の主方向に沿って延設される電池102が備えられる。
【0066】
図10〜
図12は、電気カートリッジ1がハウジング101へ挿入された、使用時の構成における電子タバコ100を示す。フィルタ16と当接する肩部112により、電子タバコ100における電気カートリッジ1の正しい位置が定義される。
【0067】
上述の通り、ローカル処理ユニット111を、電子タバコ100内または電気カートリッジ1内に、例えば芯部25の近傍に組み込むことができる。
【0068】
電気カートリッジと電子タバコを用いる態様に関して以下に説明する通り、ローカル処理ユニット111は、特定の電力供給プログラムに応じて導電ネットワーク4のモジュール7の電力供給を制御するように構成される。
【0069】
好ましくは、ローカル処理ユニット111は、例えば
図13に示す電子タバコ100用の制御システム200に関して説明するリモート処理ユニットの通信モジュールと無線接続または有線接続されるよう構成される通信モジュール113を備える。
【0070】
また電子タバコ100は、少なくとも一つの温度センサおよび/または少なくとも一つの負圧センサを備えることもできる。この場合、ローカル処理ユニット111は、温度センサおよび/または負圧センサからデータを受信するとともにこのデータの関数として導電ネットワーク4のモジュール7の電力供給を制御するよう構成される処理モジュール114を備える。
【0071】
別々の機能モジュールへと細分する目的は、処理ユニットの機能を明確にかつ十分に記述するためである。それぞれの処理ユニットを、説明した機能を実行するように適切にプログラムされた単一の電子機器で構成することができ、また、異なるモジュールをハードウェア要素および/またはプログラムされた装置の一部を形成するソフトウェア・ルーチンに対応させることもできる。あるいは、または追加的に、これらの機能を複数の電子装置によって実行することもでき、前述の電子装置は分散配置することもできる。さらに、処理ユニットは、モジュールに含まれる指示を実行する一以上のプロセッサを用いることもできる。
【0072】
また電子タバコ100は、電子タバコ自体で現在有効にされている電力供給プログラムを示すためのディスプレイまたはステータスLEDを備えることもできる。電力供給プログラムは、以下に説明する通り、特定の「喫煙プログラム」に対応している。また電子タバコ100は、ローカルレベルで、すなわちローカル処理ユニット111に予め設定される電力供給プログラム(したがって「喫煙プログラム」)を選択するための選択手段を備えることもできる。
【0073】
電気カートリッジ1および電子タバコ100を用いるには、特定の順番および配置で部分8を備える電気カートリッジ1を電子タバコ100に装着する工程が含まれる。ローカル処理ユニット111は、予め定義されるとともに予め設定されるまたはリモート処理ユニットからダウンロードされる一以上の電力供給プログラムに応じて動作することができる。予め設定されたプログラムは、前述の選択手段を用いてローカルレベルで選択できる(例えば、3〜4の強度レベルと2〜3の使用プログラムを選択できる)。
【0074】
行われた選択に基づいて、電源供給手段は、ある芳香物質を同時におよび/または連続して蒸発させるよう、ある電源供給ピン6またはあるグループの電源供給ピン6に連続して供給を行い、そしてディスプレイまたはステータスLEDは電子タバコ上に現在有効とされている電力供給プログラムを表示する。より具体的には、ユーザが吸入する毎に芳香物質を所定の順でまたは所定の組み合わせで、モジュール7に選択的に電力が供給される。
【0075】
また選択手段を、例えばタバコの吹かしを差別化するよう、実行中であっても「喫煙プログラム」を手元で変更できるように構成することもできる。
【0076】
例えば、所定のフレーバー・パターン(バニラ、コーヒー、チョコレート、メンソールなど)に応じて電気カートリッジ1を設定することによって、バニラ・フレーバーのみ、またはメンソール・フレーバーのみ、またはタバコの乾燥(curing)の現在の効果に対応する組み合わせを蒸発させることを可能にする「喫煙プログラム」を定義することができる。電力供給プログラムは、ユーザの吸入によって、例えば負圧センサを用いて、起動させることもでき、続いて異なる芳香物質をも含めた所定の蒸発シーケンスを実行することもできる。
【0077】
図13を参照して、電子タバコ100用の制御システム200は、通信モジュール113を備えるローカル処理ユニット111を有する電子タバコ100を備える。また制御システム200は、例えば、コンピュータ201またはスマートフォン202によって構成されるとともに通信モジュール203を備えているリモート処理ユニットを備える。リモート処理ユニットは、
a)リモート処理ユニットの通信モジュール203とローカル処理ユニット111の通信モジュール113との間の無線接続または有線接続を用いて、ローカル処理ユニット111の予め定義された電力供給プログラム/複数の電力供給プログラムを読み取り、
b)予め定義された電力供給プログラム/複数の電力供給プログラムを変更するためのユーザとインタフェースをとり、
c)ユーザ設定に応じて予め定義された電力供給プログラム/複数の電力供給プログラムを変更し、これにより、変更した電力供給プログラム/複数の電力供給プログラムを設定し、
d)リモート処理ユニットの通信モジュール203とローカル処理ユニット111の通信モジュール113との間の無線接続または有線接続を用いて、ローカル処理ユニット111に変更された電力供給プログラム/複数の電力供給プログラムを送信する
よう構成される。
【0078】
こうして、ユーザは、また電気カートリッジ1のタイプに応じて、コンピュータ201内にあるソフトウェアを用いて、所望の「喫煙プログラム」に適した電力供給プログラムを選択することができる。コンピュータ201は工程b)と工程c)とを実行可能であり、これにより、ローカル処理ユニット111に送信された変更後の電力供給プログラムにより所望の「喫煙プログラム」を実行することができる。
【0079】
同様に、ユーザは、スマートフォン202用のアプリケーション(app)を用いて、工程b)と工程c)とを実行することができる。
【0080】
より具体的には、電子タバコ100とリモート処理ユニットとの間の通信は、双方向(two-way)短距離無線接続を可能にする近接場型無線通信(near field communication (NFC))技術によって行うことができ、この場合、電子タバコ100を例えばスマートフォンの近くに移動させることにより、つまり「近付ける」ことにより、通信が行われる。この技術により、ディスプレイ上および/またはスマートフォン上で、有効となっている喫煙プログラムに関するさらに詳しい情報を見ることができる。
【0081】
電力供給プログラム(「喫煙プログラム」)がリモート処理ユニットからダウンロードされるとすぐに、ディスプレイまたはステータスLEDは現在有効な喫煙プログラムを表示する。
【0082】
なお、またローカル処理ユニット111を、部分8を走査し、まだ利用可能な部分8のマップを再構成し(認識手段が備えられている場合)、例えば、どのくらいタバコを吹かすことができるかそしてどの部分8が残っているかをユーザに知らせるよう、構成できることを記載しておく。