(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、ガラス等の基板上にレジスト液等の塗布液が塗布されたもの(塗布基板という)が使用されている。この塗布基板は、塗布液を均一に塗布する塗布装置によって形成されている。塗布装置100は、例えば、
図8に示すように、基板Wを載置するステージ101と、塗布液を吐出する塗布器102a(例えば、インクジェットヘッド)を有するガントリユニット102を備えており、塗布動作時には、ステージ101とガントリユニット102とを相対的に移動させつつ、塗布器102aのノズルから液滴を吐出することにより基板W上に塗布膜が形成される。また、塗布装置100には、メンテナンスユニット103が設けられており、所定枚数の塗布基板Wを形成した後、メンテナンスユニット103上で塗布器102aのメンテナンスが行われる。すなわち、塗布器102aをメンテナンスユニット103の直下位置(対向位置)まで移動させて、塗布器102aを下降させた後、ブリード、フラッシング等のメンテナンス処理が行われる。
【0003】
メンテナンスユニット103は、塗布器102aに対してメンテナンス処理を行うものであり、各メンテナンス処理が行われるメンテナンストレイ104を有している。このメンテナンストレイ104は、洗浄液を貯留するトレイ本体部104aと、洗浄液の液面を検知する液面センサ104b(
図9参照)とを有しており、トレイ本体部104aに貯留される洗浄液量を液面センサ104bで管理されるようになっている。すなわち、トレイ本体部104aに貯留された洗浄液の液面高さが一定の高さ位置になるように液面センサ104bにより維持されるようになっている。
【0004】
具体的には、
図9(a)に示すように、液面センサ104bは、洗浄液を貯留するトレイ本体部104aの上方の対向位置に設けられており、例えば、超音波式の液面センサ104bにより上方から洗浄液の液面に向かって超音波を出力し、反射された超音波を検出することにより液面を検知するように構成されている。そして、液面センサ104bは、洗浄液の液面がトレイ本体部104aの上限付近になるように設定されており、洗浄液の液面高さが設定値を満たす状態で各メンテナンス処理が行われる。すなわち、ブリード、フラッシング時には、塗布器102aがトレイ本体部104aの対向位置まで移動し、この位置で所定量のインクを吐出させて行われる。また、ディッピングの際には、塗布器102aを下降させてノズルの一部が洗浄液内に浸漬させて行われる。それぞれのメンテナンス処理では、適切な液面高さが異なっているが、ディッピング処理の際、塗布器102aが下降したときに塗布器102aがトレイ本体部104aの縁部に接触するのを回避するため、洗浄液の液面は、トレイ本体部104aの上限付近になるように設定されており、この液面高さを維持するように液面センサ104bで管理されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記メンテナンストレイ104では、トレイ本体部104aが大型化してしまうという問題があった。すなわち、上述の通り、液面センサ104bは、トレイ本体部104aの上方における対向位置に配置されているため、液面センサ104bの配置によっては、塗布器102aの移動により液面センサ104bと塗布器102aとが衝突する。そのため、
図9(b)に示すように、液面センサ104bは、塗布器102aの走査領域から外れる位置に配置されることにより、塗布器102aがトレイ本体部104a上に移動しても、液面センサ104bとの衝突が回避できるようになっている。
【0007】
ところが、液面センサ104bが塗布器102aの走査領域から外れる配置位置に配置されるに伴って、トレイ本体部104aは、液面センサ104bの配置位置まで延長して形成する必要がある。すなわち、トレイ本体部104aは、メンテナンス処理が、塗布器102aとほぼ同じ大きさのトレイ本体部104aで十分であっても、液面センサ104bが配置される位置を含む延長部分αが必要になる。その結果、トレイ本体部104aが大型化してしまうため、トレイ本体部104aを満たすために必要以上の洗浄液が必要となるとともに、塗布装置100全体が大型化するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、メンテナンストレイのトレイ本体部の液面を検知する液面センサを備える場合でも、トレイ本体部が大型化するのを回避できるメンテナンストレイを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明のメンテナンストレイは、塗布液を吐出する塗布器のメンテナンスを行うメンテナンストレイであって、所定量の洗浄液が貯留されるトレイ本体部と、前記トレイ本体部に貯留された洗浄液の液面を検知する液面センサと、を有しており、前記液面センサは、前記トレイ本体部に貯留された洗浄液の浸漬範囲内に設けられ、洗浄液に浸漬された状態で洗浄液の液面を検知するように形成されて
おり、前記液面センサは、少なくとも2つ設けられ、それぞれの液面センサの閾値が異なるように設定されており、さらにそれぞれ検知条件も異なるように設定されていることを特徴としている。
【0010】
上記課題を解決するために本発明のメンテナンストレイによれば、液面センサがトレイ本体部に貯留された洗浄液の浸漬範囲内に設けられているため、メンテナンストレイが塗布装置に設けられた場合に、塗布器の移動により液面センサと塗布器とが衝突するのを回避することができる。したがって、従来のように、液面センサが塗布器の走査領域から外れる位置に配置されることによるトレイ本体の延長部分を設ける必要がないため、トレイ本体部が必要以上に大型化することによる洗浄液の浪費が抑えられ、塗布装置全体が大型化するのを抑えることができる。
そして、トレイ本体部の洗浄液が液面センサにとって誤検知を生じやすい環境になった場合に、複数の液面センサの判定結果の組み合わせにより、正常な判定を行うことができる。
【0011】
また、上記メンテナンストレイの具体的な態様としては、前記液面センサは、前記トレイ本体部の底壁部に取り付けられ、その底壁部から垂直に延びて設けられている構成にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メンテナンストレイのトレイ本体部の液面を検知する液面センサを備える場合でも、トレイ本体部が大型化するのを回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明のメンテナンストレイを備える塗布装置の側面図、
図2は、前記塗布装置の正面図、
図3は、メンテナンストレイをX軸方向から見た図である。
【0018】
図1〜
図3に示すように、塗布装置1は、基板W上に所定パターンの塗布膜を形成するものであり、基板Wを載置するためのステージ2と、このステージ2に対し特定方向に移動可能に構成される塗布ユニット3とを備えている。
【0019】
なお、以下の説明では、塗布ユニット3が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。また、本実施形態では、塗布ユニット3が移動する例について説明するが、固定された塗布ユニット3に対してステージ2及びメンテナンスユニット4が移動するものであってもよい。
【0020】
ステージ2は、ロボットハンド等により搬入された基板Wを載置するものである。このステージ2には、基板保持手段が設けられており、この基板保持手段により基板Wが保持されるようになっている。具体的には、ステージ2の表面に形成された複数の吸引孔が形成されており、この吸引孔に吸引力を発生させることにより基板Wをステージ2の表面に吸着させて保持できるようになっている。
【0021】
また、塗布ユニット3は、基板W上に塗布液を吐出して塗布膜を形成するものである。この塗布ユニット3は、
図1,
図2に示すように、塗布液を吐出する塗布器30と、この塗布器30を保持するガントリ部31とを有しており、X軸方向に移動可能に形成されている。具体的には、ステージ2のY軸方向端部には、X軸方向に延びるレールが設置されており、ガントリ部31がこのレールにスライド自在に取り付けられている。そして、脚部31aにはリニアモータが取り付けられており、このリニアモータを駆動制御することにより、塗布ユニット3がX軸方向に移動し、任意の位置で停止できるようになっている。本実施形態では、ステージ2と、ステージ2の外側に設置されるメンテナンスユニット4とに移動できるようになっている。
【0022】
また、ガントリ部31は、Y軸方向に離れて設けられる脚部31aと、これらの脚部31aを連結し、Y軸方向に延びるビーム部31bとで形成されており、脚部31aとビーム部31bとでX軸方向から見て門型形状に形成されている。ガントリ部31には、ビーム部31bを昇降させる昇降機構が設けられており、昇降機構を作動させることによりビーム部31bが脚部31aに対して昇降動作できるように形成されている。そして、ビーム部31bには塗布器30が取り付けられており、ビーム部31bを昇降動作させることにより塗布器30が基板Wに対して接離できるようになっている。これにより、塗布動作中には、ステージ2上の基板Wに対して適切な高さ位置に位置することができると共に、塗布器30を洗浄する場合には、メンテナンスユニット4に対して適切な高さ位置に適宜調節できるようになっている。
【0023】
また、塗布器30は、塗布液を吐出して基板W上に塗布膜(膜パターン)を形成するものである。この塗布膜は、局所的な所定形状のパターンや一様な膜厚の矩形状の全面パターンも含まれる。本実施形態では、塗布器30は、インクジェットヘッドが用いられており、複数のノズルがステージ2側に向く姿勢で設けられている。また、塗布器30は、ビーム部31bに沿ってY軸方向に移動できるように形成されている。したがって、ガントリ部31をX軸方向に移動することにより塗布器30がX軸方向に移動し、塗布器30がビーム部31bに沿ってY軸方向に移動することにより、ステージ2上の基板Wに対して所定位置にノズルを位置させることができる。すなわち、基板Wに対して塗布器30を相対的に移動させて、設定された基板Wの着弾位置にノズルを正確に位置させることができる。そして、着弾位置でノズルから液滴を吐出させることにより、基板W上に一様な均一厚さの塗布膜が基板W全面、又は、所定の配線パターン等、精度よく形成することができるようになっている。
【0024】
また、塗布装置には、塗布器30をメンテナンスするためのメンテナンスユニット4が設けられている。このメンテナンスユニット4は、塗布器30に対してメンテナンスを行うメンテナンストレイ40を有している。このメンテナンストレイ40は、ステージ2のX軸方向端部側に設けられており、このメンテナンストレイ40上で塗布器30の吐出不良を防止するために定期的なメンテナンスが行われる。具体的には、塗布器30の一部を洗浄液内に浸漬させてノズルを洗浄するディッピング処理、ノズルから一定量の塗布液を吐出するブリード処理、フラッシング処理等が行われる。
【0025】
メンテナンストレイ40は、
図3、
図4に示すように、洗浄液を貯留するトレイ本体部41を有している。トレイ本体部41は、矩形平面形状の底壁部41aと、この底壁部41aから直交して鉛直方向に延びる側壁部41bとを有しており、底壁部41aを側壁部41bが囲うように固定されることにより、一方に開口する容器形状を有している。このトレイ本体部41は、ボックス形状内に一定量の塗布液が収容できるように形成されている。そして、トレイ本体部41は、一方向に延びる形状を有しており、長手方向寸法が塗布器30の長手方向寸法(正確には、ノズルが配置されるノズル配置面30aの長手方向寸法)よりも大きくなるように形成されている。そして、トレイ本体部41は、トレイ本体部41の長手方向がY軸方向に一致するように配置されている。したがって、塗布器30をトレイ本体部41の位置で停止させ塗布器30を下降させると、塗布器30の下面部分(ノズル配置面部分)がトレイ本体部41に収容され、トレイ本体部41に貯留された洗浄液に塗布器30の一部が浸漬できるようになっている。
【0026】
また、トレイ本体部41の長手方向端部には、洗浄液供給部45と、オーバーフロー部42とが設けられている。洗浄液供給部45は、トレイ本体部41に洗浄液を供給するものであり、配管がトレイ本体部41の長手方向における側壁部41bに接続されている。この配管は、洗浄液供給源に接続されており、この配管を通じて設定量の洗浄液がトレイ本体部41に供給されるようになっている。
【0027】
また、オーバーフロー部42は、トレイ本体部41に供給される洗浄液の液面を一定に保つためのものである。このオーバーフロー部42は、洗浄液供給部45に対して長手方向反対側に設けられており、トレイ本体部41に収容される洗浄液の量が一定量を超えると排出されるようになっている。具体的には、オーバーフロー部42は、側壁部41bの一部を切り欠いて形成された切欠部42aによって形成されており、切欠部42aの下方部分がトレイ本体部41に貯留される洗浄液の上限値になるように設定されている。したがって、洗浄液供給部45からトレイ本体部41に洗浄液が供給され、洗浄液が切欠部42aの下方部分に達すると、切欠部42aから洗浄液が流れ出ることにより、トレイ本体部41に貯留される洗浄液の量が一定に保たれるようになっている。なお、切欠部42aから流れ出た洗浄液は、廃液トレイ43に貯留され廃液ポート44を通じて排出されるようになっている。
【0028】
また、メンテナンストレイ40は、液面センサ5を有しており、トレイ本体部41の底壁部41aに取り付けられている。この液面センサ5は、トレイ本体部41の洗浄液が設定量供給されているか否かを監視するものである。本実施形態では、液面センサ5には、光ファイバ式のセンサが使用されている。この光ファイバ式センサは、
図5(a)に示すように、センサ本体51から先端部分52に向かって照射された光が先端部分52で反射され、センサ本体51内部の受光部53で受光するようになっている。仮に、先端部分52に液(本実施形態では洗浄液)が接触すると先端部分52における光の屈折率が変化する。そのため、
図5(b)に示すように、センサ本体51からの光が先端部分52で反射されず、先端部分52と洗浄液との界面で屈折して外部側(洗浄液側)に進むため、センサ本体51内部の受光部53で受光できなくなる。このように、センサ本体51内部の受光部53における受光量の変化により、先端部分52で液が接触したことを検知することができるようになっている。
【0029】
本実施形態では、光ファイバ式センサが2本設けられており(
図3参照)、トレイ本体部41の底壁部41aに取り付けられている。具体的には、液面センサ5は、先端部分52を上側にして底壁部41aから垂直方向に延びる姿勢で設けられており、トレイ本体部41の長手方向に並べて配置されている。そして、先端部分52の高さ位置は、液面の上限値になるように設定されている。すなわち、先端部分52は、切欠部42aから洗浄液が排出される液面高さ位置に設定されている。そのため、トレイ本体部41に洗浄液が供給され上限値に達すると、液面センサ5の先端部分52に洗浄液が接触することにより洗浄液の液面が検知され、トレイ本体部41内に洗浄液が上限値まで供給されたことが検知されるようになっている。このように、液面センサ5は、トレイ本体部41の内部に設けられており、トレイ本体部41に洗浄液が供給されると、液面センサ5は洗浄液の浸漬範囲内になるように設けられている。
【0030】
また、2つの液面センサ5は、それぞれ異なった検知感度に設定されている。すなわち、2つの液面センサ5の受光量の閾値が異なるように設定されており、さらにそれぞれ検知条件も異なるように設定されている。具体的には、一方の液面センサ5(液面センサ5aという)は、他方の液面センサ5よりも受光量の閾値が低く設定されており、閾値よりも小さい受光量で反応するように設定されている。また、他方の液面センサ5(液面センサ5bという)は、液面センサ5aの閾値よりも高く設定されており、閾値よりも大きい受光量で反応するように設定されている。これら液面センサ5a、液面センサ5bにより洗浄液に色が着色した場合でも精度よく液面を検知することができる。なお、液面センサ5a、液面センサ5bは、それぞれ区別する必要がない場合は、単に液面センサ5と称す。
【0031】
通常、ディスプレイに使用されるカラーフィルタ、量子ドット基板Wは、基板W上に有色インクを塗布して製造される。そのため、塗布器30がメンテナンストレイ40上でメンテナンス処理が行われると、トレイ本体部41の洗浄液が着色される。そして、洗浄液が着色された状態では、着色された洗浄液自体が光を反射する。そのため、センサ本体51から先端部分52に向かって照射された光が先端部分52で屈折して外部側(洗浄液側)に進んだ場合でも、洗浄液の色によっては、その光がインクの色によって反射され、反射された光が受光部53で受光される。その結果、トレイ本体部41に洗浄液が貯留されている場合でも、着色された洗浄液によって反射された光の受光量が閾値を超えることにより洗浄液が上限値に達していないと判断される問題が発生する。この問題を設定の異なる液面センサ5を2つ使用することにより解消することができる。
【0032】
ここで、
図6の表は、液面センサ5aのみで着色された液を検知させた実験結果である。液面センサ5aは、受光量の閾値が300ルクスに設定され、閾値より小さい場合にONするように設定されている。すなわち、トレイ本体部41に洗浄液が貯留されていない場合の受光量を基準に、その受光量に満たない値を閾値として設定している。そして、液面センサ5aがONのときに、トレイ本体部41に洗浄液が貯留されていると判断される。
【0033】
トレイ本体部41に洗浄液がない状態では、液面センサ5aの受光部53における受光量が400ルクスであるため、液面センサ5aはOFFとなり、トレイ本体部41に洗浄液なしと判定される。
【0034】
トレイ本体部41に無色透明の洗浄液を供給したところ、液面センサ5aの受光部53における受光量が200ルクスであるため、液面センサ5aはONになる。したがって、トレイ本体部41に洗浄液が存在すると判定される。
【0035】
トレイ本体部41に赤色に着色された洗浄液を供給したところ、液面センサ5aの受光部53における受光量が20ルクスであるため、液面センサ5aはONになる。したがって、トレイ本体部41に洗浄液が存在すると判定される。
【0036】
トレイ本体部41に白色に着色された洗浄液を供給したところ、液面センサ5aの受光部53における受光量が900ルクスであるため、液面センサ5aはOFFになる。すなわち、この場合は、実際にはトレイ本体部41に洗浄液は存在するものの、トレイ本体部41に洗浄液は存在しないと判定され誤判定が生じる。すなわち、トレイ本体部41の洗浄液が白色に着色された場合には、着色された洗浄液によって反射された光が受光部53で受光されてしまうことにより、トレイ本体部41に洗浄液が貯留されている場合でも、洗浄液が上限値に達していないと判断され、洗浄液の供給が停止されないという問題が生じる。
【0037】
次に、
図7の表は、2つの液面センサ5を用いて着色された液を液面センサ5で検知させた実験結果である。本実施形態では、液面センサ5aは、受光量の閾値が300ルクスに設定され、閾値以下でONするように設定されている。液面センサ5bは、受光量の閾値が600ルクスに設定され、閾値以上でONするように設定されている。すなわち、トレイ本体部41に洗浄液が貯留されていない場合の受光量を基準に、その上下の受光量を閾値として設定している。そして、どちらかの液面センサ5がONになればトレイ本体部41に洗浄液が存在すると判定する。この設定条件で、
図6の場合と同様に、トレイ本体部41が洗浄液なしの場合、洗浄液の色が無色の場合、赤色の場合、白色の場合について、それぞれ液面が検知できるか否か実験を行った。
【0038】
トレイ本体部41に洗浄液がない状態では、液面センサ5の受光部53における受光量が400ルクスであるため、液面センサ5a、液面センサ5b共にOFFとなりトレイ本体部41に液面は検知されず、洗浄液なしと判定される。
【0039】
トレイ本体部41に無色透明の洗浄液を供給したところ、液面センサ5の受光部53における受光量が200ルクスであるため、液面センサ5aはONになり、液面センサ5bはOFFになる。したがって、トレイ本体部41に洗浄液が存在すると判定される。
【0040】
トレイ本体部41に赤色に着色された洗浄液を供給したところ、液面センサ5の受光部53における受光量が20ルクスであるため、液面センサ5aはONになり、液面センサ5bはOFFになる。したがって、トレイ本体部41に洗浄液が存在すると判定される。
【0041】
トレイ本体部41に白色に着色された洗浄液を供給したところ、液面センサ5の受光部53における受光量が900ルクスであるため、液面センサ5aはOFFになり、液面センサ5bはONになる。したがって、トレイ本体部41に洗浄液が存在すると判定される。このように、検知感度の異なる2つの液面センサ5を用いることにより、洗浄液が着色された場合であっても誤検知することなく洗浄液の液面を検知することができる。
【0042】
以上より、本実施形態におけるメンテナンストレイ40によれば、液面センサ5がトレイ本体部41に貯留された洗浄液の浸漬範囲内に設けられているため、メンテナンストレイ40が塗布装置に設けられた場合でも、塗布器30の移動により液面センサ5と塗布器30とが衝突するのを回避することができる。したがって、従来のように、液面センサ5が塗布器30の走査領域から外れる位置に配置されることによるトレイ本体部41の延長部分を設ける必要がないため、トレイ本体部41を必要以上に大型化するのを抑えることができ、塗布装置全体が大型化するのを抑えることができる。そして、トレイ本体部41の洗浄液が液面センサ5にとって誤検知を生じやすい環境になった場合に、複数の液面センサ5の判定結果の組み合わせにより、正常な判定を行うことができる。
【0043】
また、上記実施形態では、液面センサ5を2つ設ける例について説明したが、検知感度の異なる液面センサ5を2つ以上設けて着色された洗浄液を検出するものであってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、トレイ本体部41の底壁部41aから垂直方向に延びて設ける例について説明したが、トレイ本体部41の側壁部41bに設けるものであってもよい。この場合、洗浄液の上限位置が液面センサ5の先端部分52の位置になるように設けることにより、洗浄液の液面を検出することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、塗布器30としてインクジェット方式を例に説明したが、インクジェット方式に限らず、スリットノズルを有する塗布器30であってもよい。すなわち、洗浄液でメンテナンスを行うことにより、着色された洗浄液の液面を検知する必要のあるメンテナンスユニット4であれば適用することができる。