(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6901650
(24)【登録日】2021年6月22日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B60L 15/20 20060101AFI20210701BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20210701BHJP
B62J 99/00 20200101ALI20210701BHJP
B62K 11/00 20060101ALI20210701BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20210701BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20210701BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20210701BHJP
【FI】
B60L15/20 Z
B60L9/18 P
B62J99/00
B62K11/00 Z
B60L50/60
B60L50/70
B60L15/20 K
H02P29/00
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2018-106488(P2018-106488)
(22)【出願日】2018年5月16日
(65)【公開番号】特開2019-201536(P2019-201536A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2019年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】596098759
【氏名又は名称】相原 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】ウー・エリック
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−078576(JP,A)
【文献】
特開2017−114342(JP,A)
【文献】
特開2012−062004(JP,A)
【文献】
特開2014−091448(JP,A)
【文献】
特開2016−044765(JP,A)
【文献】
特開2007−245993(JP,A)
【文献】
特開平07−015804(JP,A)
【文献】
特開2011−195138(JP,A)
【文献】
特開2012−061898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
B62J 99/00
B62K 11/00
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー又は燃料電池又は外部からの非接触式電力供給手段と、モーターを搭載し、モーターを主たる動力源として走行し、鞍型のシートに跨りバーハンドルで操舵操作を行う車両において、断続的にトルクを増減させる手段を装置してエンジンの出力特性に近似させ、駆動輪輪の駆動トルクをエンジンを動力源とするオートバイの特性に近似させたことを特徴とする電動車両であって、以下のいずれか、又はいずれか複数の特徴を有する電動車両。
1、トルクを断続的に増減させる振幅や周期の制御は、トルクリミッターやクラッチを介した機械的な制御とする。
2、駆動力伝達系統に摩擦クラッチを装置し、摩擦板への加圧力を可変・調整することにより、スティックスリップ現象、又はクラッチジャダー現象を発生させる。
3、モーターハウジングの一部を、他の部分よりも剛性を低く、又は剛性を高くすることにより、磁極の引き合い・反発周期に合わせてハウジングが変形し、振動を発生させる。
4、モーター内の永久磁石又は電磁石の、磁極の配列間隔を、不規則に、又は規則的に、又は断続的に、又は周期的に変更した配列とし、振動を発生させる。
5、モーター内に配列された電磁石の、コイルの巻き数、又は芯材の質量、又は芯材の形状を、不規則に、又は規則的に、又は断続的に、又は周期的に変更した配列とし、振動を発生させる。
6、複数のモーターの回転軸を、動力伝達装置、又は変速装置、又は増速装置、又は減速装置を介して駆動輪に接続し、モーターの駆動トルクを交互に増減させた、又は所定のプログラムに基づき各モーターの駆動トルクを増減させる。
7、リレーやブザーに類する電磁石を用いた振動発生装置により、所定の質量を有する物体を往復運動させる、又は車両構成部品を直接振動させる。
8、動力伝達系統の回転部分に凸又は凹形状を設け、車体の非回転部分に端部を固定した板状部材の他端部を凸又は凹形状部に当て、板状部材を弾き、振動させる。
9、上記1から8のいずれかで発生した振動を筒状部材に伝え、共鳴させる。
10、上記9において、筒状部材の長さ又は直径を可変自在とする、又は複数の筒状部材を装置し、共鳴する筒状部材を切り替え可能とする。
11、上記9及び10において、筒状部材を、エンジン式オートバイのマフラーを模した形状及び取り付け位置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネルギーで地球環境に優しい電動車両でも、エンジンで走行するオートバイと同様の、強い個性と乗り味を、運転者が体感可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪や三輪のオートバイや、鞍型のシートに跨ってバーハンドルで操舵操作を行う電動車両(以下、電動オートバイと記す)は、省エネルギーで、有害な排気ガスを出さず、出力が大きく、運転操作が容易な為、年々普及が進んでいる。
確かに、実用車であれば環境対応重視で良いが、趣味として走行を楽しむ人々にとっては、エンジン式オートバイの音や振動による個性や独特の乗り味が体感できず、不満が残っている。
しかし、モーターの出力特性、即ちトルクカーブをエンジンに近づける制御技術は存在したが、振動や音を運転者が体感できる技術は存在しなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動オートバイでエンジン式オートバイと同じ感覚を体感する為には、出力特性の制御だけでは意味が無く、エンジンの吸気・圧縮・爆発・排気の各行程が生み出すトルク変動を発生させる必要がある。また、そのトルク変動に起因する振動や音が運転者の身体に伝わる事で、初めてエンジン式オートバイの個性や独特の乗り味を体感できる。
そこで本発明では、レシプロエンジンの吸排気行程によるトルク変動を再現し、さらに、振動と音もエンジンに近づけることを課題とし、さらに、既存の電動オートバイを簡単に改造可能とする事も課題としている。
即ち、電動オートバイにエンジン式オートバイが有する特徴を加える事により、省エネルギーで環境に優しい電動オートバイでも、エンジン式オートバイの個性や乗り味を運転者が体感可能にする事が本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する為には、本発明の請求項1から請求項5のいずれかに記載された構成を1つ、又は複数選択して採用ればよい。その内容は、概略、以下の構成を指す。
1、電流又は電圧の制御でモーターの出力トルクを変動させる、又はトルクリミッターやクラッチにより、出力特性を断続的かつ周期的なトルクとする。
2、トルク変動の周期や変動の振幅を調整・制御することにより、単気筒エンジンや多気筒エンジンの出力特性に近づけ、また、その特性を変更自在とする。
3、モーターと駆動輪の間の回転部分のいずれかに、アンバランス部を設け、エンジンの様な振動を発生させる、又は振動発生装置を搭載する。
4、発生したトルク変動や振動を、シート・ステップ・ハンドルに伝え、運転者が体感できる様に装置する。
5、振動によって発生した音を、車体の各部で共振させ、又は共鳴させ、音を大きくする。
6、モーターの制御装置一式をユニット化し、既存の電動オートバイに取り付け可能とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の、請求項1から請求項5のいずれかに記載された構成を1つ、又は複数選択して採用すれば、前述の課題を、全て完璧に解決する事ができる。
これにより、省エネルギーで環境に優しい電動オートバイと、趣味性が高く個性的なエンジン式オートバイと、両方の長所を併せ持つ未来の乗り物を市場に送り出す事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の制御装置をユニット化し、既存の電動オートバイに接続した場合の構成を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施し、課題を解決する為の形態や構成は、請求項1から請求項5に詳述された通りであり、そのいずれか、又はいずれか複数を選択して採用すれば良い。以下、本発明を実施するための形態の一例を説明する。
【実施例】
【0009】
請求項1は、本発明の基本構成を表す。動力源であるモーターの出力特性を断続的かつ周期的に変動させる制御により、エンジンに近いトルク変動を生み出す電動オートバイであり、所定の振動発生装置を搭載してもよい。
図1は、この基本構成を図示したものであり、制御装置によってトルク変動を発生させる場合を示す。
【0010】
請求項2は、出力特性の断続的な増減方法を表す。即ち、動力源であるモーターに供給する電力を制御する事により、出力トルクを変動させる、又は、駆動系システムにトルクリミッターやクラッチを装置する事によって、エンジンに近いトルク変動を生み出す。
【0011】
請求項3は、各種の制御方法により、さらにエンジン式オートバイの個性に近づける為の構成を表す。これらの制御により、単気筒エンジンや多気筒エンジンの特性に近づけたり、加速感などをエンジンの特性に近づける事ができる。
【0012】
請求項4は、エンジンに近い振動や音を発生させる為の各種の構成を表す。これらの構成により、運転者に振動や音が直接伝わり、エンジン式オートバイの特性に近い感覚を体感できる。
【0013】
請求項5は、本発明の制御システムを容易に普及させる為の構成であり、その概要は
図2で示されている。即ち、制御システムをユニット化し、既存の電動オートバイに、後から装着可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の請求項1から請求項5のいずれかに記載された構成を1つ、又は複数選択して採用すれば、前述の課題を全て解決する事が可能である。即ち、地球環境に優しく省エネルギーであり、その上、趣味性が高く個性的で、付加価値が極めて高い新たな乗り物を、広く市場に普及させる事ができる。
【符号の説明】
【0015】
1、バッテリー、又は燃料電池等の電力供給源
2、インバーター(制御装置)
3、モーター
4、配線
5、ユニットとして追加する、制御ユニット
6、ユニットとして追加する、制御スイッチ
7、ユニットとして追加する、配線