特許第6901737号(P6901737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6901737
(24)【登録日】2021年6月22日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】椅子、腰掛若しくは寝台の部品
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20210701BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   A47C27/14 B
   A47C7/18
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-230459(P2018-230459)
(22)【出願日】2018年12月8日
(65)【公開番号】特開2020-89691(P2020-89691A)
(43)【公開日】2020年6月11日
【審査請求日】2020年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】392003993
【氏名又は名称】中村 日出夫
(74)【代理人】
【識別番号】100181571
【弁理士】
【氏名又は名称】栗本 博樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 日出夫
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3113793(JP,U)
【文献】 特開2009−160111(JP,A)
【文献】 特表2011−529360(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0185500(US,A1)
【文献】 実開平01−171272(JP,U)
【文献】 国際公開第2005/099515(WO,A1)
【文献】 実開昭60−083460(JP,U)
【文献】 米国特許第04432110(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00−27/22
A47C 7/00− 7/74
B68G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び底面並びに外側面及び内側面を有する枠体と、
該枠体に張着され、枠体内空間の上面側を覆い、枠体底面側との間に空間を有する位置に張設された弾性を有する面状体又は面を形成するよう組合された弾性を有する複数の紐状材若しくは帯状材の集合体と、
該面状体又は紐状材若しくは帯状材の集合体の平面上の定まった位置で係止された、上面が平坦で、側面に一定の隙間を有し互いに隣接する複数のブロック体と、
前記枠体底面側に定着された反力を有する仕切り体と、
該仕切り体と前記枠体の内側面と前記面状体又は紐状材若しくは帯状材の集合体で形成される内側空間に挿入するクッション体と、
を備えた椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【請求項2】
請求項1のブロック体が木製ブロックである椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【請求項3】
請求項1のブロック体の上面と側面の隅角に面取りを施した請求項1若しくは請求項2の椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【請求項4】
請求項1の面状体若しくは帯状材がメッシュシート若しくは多孔性シートであり、該メッシュシート若しくは多孔性シートの上面に、ブロック体の底面が係止された請求項1、請求項2若しくは請求項3の椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【請求項5】
請求項1の内側空間の中央部にクッション体の量を多くすることによって、複数のブロック体の上面で形成される面の中央部を高くした椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【請求項6】
前記枠体上面若しくは外側面を覆う枠体覆材を備えた請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【請求項7】
請求項1のクッション体が流体若しくは粒状の発泡プラスチックを充填した弾性を有する袋体である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック体を利用した椅子、腰掛若しくは寝台の部品に関するもので、腰掛若しくは椅子の座、背もたれ等として特に優位に利用できる。
【背景技術】
【0002】
籐、紐材、板材などで製作された椅子等の家具は、通気性と材質による断熱性、適度の摩擦感、独特のデザイン性を有する。
木材を利用した格子状の建具や木材ブロックを利用した間仕切り、屏風、欄間等の装飾材はある。また、ブロック体に孔をあけ、紐等を通すことによって連続した集合体として利用する室内装飾品はある。
【0003】
しかし、複数のブロック体を装飾的に利用したものに対して、機能的に活用したものは少ない。出願人の発明である特開2009−160111号は、紐を通したブロック集合体の提案であり、体に触れた時のたわみによって、固定されたものとは異なる適度の感覚が得られるものである。
【0004】
人の着座面の減圧等に関しては、自動車のシート構造として、袋体によってウレタンフォームなどのクッション材を覆ったクッション袋を複数個配置し、着座者の体形に応じて、変形保持することによって、当接面を減圧する発明がある(特開平3−221006号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−160111号公報
【特許文献2】特開平3−221006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、家具の装飾材などとして用いられるブロック体を活用しつつ、椅子等の人体の接触箇所において、適度な断熱性、摩擦感及び通気性を有し、接触面積を増大させることによって接触部位における圧力を減少させ、長時間の接触に適した機能性を有する部品を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上面及び底面並びに外側面及び内側面を有する枠体と、
該枠体に張着され、枠体内空間の上面側を覆い、枠体底面側との間に空間を有する位置に張設された弾性を有する面状体又は面を形成するよう組合された弾性を有する複数の紐状材若しくは帯状材の集合体と、
該面状体又は紐状材若しくは帯状材の集合体の平面上の定まった位置で係止された、上面が平坦で、側面に一定の隙間を有し互いに隣接する複数のブロック体と、
前記枠体底面側に定着された反力を有する仕切り体と、
該仕切り体と前記枠体の内側面と前記面状体又は紐状材若しくは帯状材の集合体で形成される内側空間に挿入するクッション体と、
を備えた椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【0008】
前記のブロック体が木製ブロックである椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【0009】
前記のブロック体の上面と側面の隅角に面取りを施した椅子、腰掛若しくは寝台の部品。
【発明の効果】
【0010】
複数のブロック体を用いた椅子等(以下椅子(ソファを含む。)、腰掛若しくは寝台(ソファベッドを含む。)のことをいう。)の部品は、抜群の通気性とブロック体の材質による断熱性、適度の摩擦感、独特のデザイン性を有する。特に木製のブロックの場合は顕著である。本発明は、これらの利点に加え、ブロックが係止される面状体等(以下、弾性を有する面状体又は平面を形成するよう組合された弾性を有する複数の紐状材若しくは帯状材の集合体のことをいう。)は、ブロック体上面の載荷荷重によって弾性変形を生じる。これによる前記面状体等の平面の凹みは、ブロック体上面の人体の接触面を増大させる。一方で、面状体下方に挿入されているクッション体の弾性は、面状体の凹みに対して面に略直角方向の復元力を作用させ、凹凸ある人体の接触箇所に対して面状体を補完するように機能し、更に人体とブロック体との接触面が増大する。ブロック体への人体の接触面積の増大は、ブロック体と人体接触面における圧力を均等化させ、圧力の大なる個所に関して減圧効果をもたらす。ブロック体の上面と側面の隅角への面取りは、面状体に係止されたブロック体による曲率半径の制限を緩和し、より小さな人体の凹凸に対応できるとともに隣接するブロック体間における人体部位の挟み込みを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、着座版の説明図である。(実施例1)
図2図2は、着座版の効果の説明図である。(実施例1、実施例3)
図3図3は、面状体とブロック体の関係及びブロック体の面取りの効果の説明図である。
図4図4は、紐材を用いた実施例の説明図である。(実施例2)
図5図5は、固定面を利用した仕切り材の説明図である。(実施例4)
図6図6は、帯状材を用いた着座版の説明図である。(実施例2)
図7図7は、本発明を用いた種々の製品の説明図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における椅子等1とは、日常的に比較的長時間人体の一部と接触する家具である椅子等であり、椅子11、座椅子12、長椅子13、腰掛14、ソファ15若しくは寝台16等である。本発明における椅子等の部品とは、それ単独で所定の機能を有する椅子等のコンポーネンツである椅子の着座部、背凭れ部、肘掛部、寝台の床面などの部品のみならず、既存の椅子等の機能を補助する着坐版2、背凭れ21、坐面シート、背凭れカバー、マットレス22、寝具カバー等も含まれる。
本発明において、その対象が椅子等における人の身体の接触箇所における部品であるため、便宜上、上面は、人の身体との接触(身体の着衣を通じた接触をも含む。以下同じ。)面であり、底面は、反対位置の外面である。
【0013】
本発明におけるブロック体5とは、木やプラスチックなど、人体の表面と比較して硬質の材で製作されるものである。その大きさは、家具としてのデザイン性、接触面の感触から上面における一辺若しくは直径が1cm程度以上で5cm程度以下である。厚みは、デザイン性やブロック体を掛止する面状体等4への身体の接触を避けるため、面状体係止箇所から1.0cm程度以上を想定する。形状は、種々のものがあり、直方体、三角柱等の角柱、円柱等の柱体などであるが一つの部品で同じ大きさ、形状である必要はない。隣接するブロック体側面53間の隙間は、面状体等及びクッション体7の弾性、ブロック体の厚みにより、身体の接触箇所に沿った凹凸に支障のない隙間幅であるとともに、身体部位の載荷荷重によっては、子供の手足の指等の挟み込みのない隙間幅とし、0.2cm程度以上であり、0.6cm程度以下を想定する。
【0014】
枠体3は、平面視で内空間を有する一つの閉じた枠材若しくは複数の枠材を連続して閉じた状態としたもので、外側面33若しくは内空間35の平面形状として、正方形、長方形、円形若しくは台形若しくはそれらの基本形状を曲線的に変形した形状などである。枠体の構成として、一つの閉じた枠材若しくは複数の枠材からなる一つの連続した枠状材からなるものを複数重ねたもの若しくは複数の略同形の枠材を離隔して配置したものが想定される。枠材を離隔して配置した枠体の場合、枠材間を連結する連結材及び枠体の側面を形成する側面材が必要になる。何れの場合においても、枠体の内空間の上面31側が人体の部位の接触する側の面で、底面32側に仕切り体6が定着され、その間にクッション体7が装入されている。仕切り体の反力は、クッション体を通じて面状体等4を面に対して垂直方向に押し上げる力であるが、該仕切り体単独である必要はない。本発明の椅子等の部品が他の物品上に載置されて利用される場合、仕切り体下方からその反力を利用する場合もある。
【0015】
面状体等4とクッション体7は、前記「0010」のように補完しあう関係であり、それぞれの素材の弾性は、ブロック体5の接触面にかかる負荷によって、最適な組み合わせを選択する必要がある。着座版2には、中弾性〜高弾性且つ高強度の面状体等でクッション体はそれらを補完するものが望ましい。背凭れ21は、座面と比較して高弾性の面状体等が望ましい。ここで、高弾性とは、弾性変形量が大きいことを指し、弾性係数の大小とは異なる。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例である着座版2である。図1(1)平面図及び(2)A−A断面図に示すように、8×8個の直方体のブロック体5を用いている。本例では、平面視4〜5cm四方で厚み2〜3cmの木製ブロックを使用している。隣接するブロック体との間隔は、約2mmで上面51と側面53には、0.4〜0.5cmで45度の面取り55を行っている。底面52には、ブロック体と面状体との鋭角の接触を防止する面取りを行っているが図示は省略している。複数のブロック体配置の端部については、枠体内側面34に対して、0.5〜1.0cmの位置まで、配置している。図1(4)にブロック体の拡大図を示すように、ブロック体底面の中央付近で面状体4であるメッシュシート41にステープル44で4箇所を係止されている。ステープルは、通常のもので図1(4−1)に示すようにブロック体に打ち込む足部と連結部を持つ門型釘状のものであり、ブロック体底面とステープルの連結部の間にメッシュシートを挟んでブロック体を係止している。木製ブロックを係止する係止具としてステープルを用いるのは、メッシュシートの弾性を最大限活用しつつ、メッシュシートを傷つけず、強度を損なうことなくブロック体を係止するためである。
【0017】
図1(2)A−A断面図に示すように、枠体3は上面31と外側面33が連続した状態で、内側面34は主に鉛直であるが、底面32側に仕切り体6を定着するための切り欠き部37を設けている。枠体全体では、図1(1)平面図に破線で示すように外側面は正方形で、内側面も破線の内側に示すような正方形である。本例では、図1(2)に示すように、枠体覆材36を設けている。本例の枠体覆材は、枠体の上面と外側面とを覆うものである。本例の着座版において、ブロック体上面51は人の臀部と大腿部が接し、枠体には主として大腿部が接する。そのため、枠体覆材は、ブロック体上面の接触面と枠体上面の接触面の高さの差を調整することと、面状体4の人体との直接の接触を避けるため、面状体4が枠体に着設された箇所を覆う働きを有する木製のものである。枠体上面にクッション性を有する素材で覆い、枠体における接触圧を低減することも可能である。
【0018】
図1(2)A−A断面図及び(3)B−B図(展開図)に示すように、枠体外側面33に定着された弾性を有する面状体4として、建築用等に用いられるメッシュシート若しくは多孔性シート41を用いている。該シートを枠体3に設置するため、ブロック体5の係止具と同じステープル44を用い、図1(3)に示すように前記シートの端部を図示のよう滑抜しないように設置している。端部を接着剤で着設してもよい。
図1(2)A−A断面図に示すように、反力を有する仕切り体6として合板製の底板61が枠体底側面32,34に設けられた切り欠き部37に定着されている。
図1(2)A−A断面図に示すように、枠体内側面34とメッシュシートと底板との間の空間にクッション体7として、軟性のウレタンフォームを用いている。
【0019】
図2に本実施例の効果を示している。図2(1)には、剛体上にブロック体5を設けた場合の状態である。ブロック体と人体の接触部と非接触部の境界付近を一点鎖線の円で示し、その箇所名をa、b、cとしている。この状態は、図2(0)に示す臀部形状に対して、水平面を形成しているブロック体上面51の平坦な面(図上でa〜b、b〜cの平坦区間)で臀部の荷重を受けることになる。
図2(2)は、弾性を有する面状体4上にブロック体を係止した場合の状態を示している。面状体はブロック体からの載荷荷重を受け、側面視で凹面状に撓むことになり、d、fにおいては明らかに接触面積を増加させる。しかしながら、eにおいては、面状体は水平状態となっている。これは、dとfの接触部と非接触部の境界間において、面状体には同じ強さの引張力が作用し、ブロック体上面を押上げる力が作用しないからで、d、fにおける左右の載荷荷重が同じであれば水平になるからである。
【0020】
図2(3)は、面状体4を下方から弾性を有するクッション体7が支持している場合を示している。中央部のhにおいては、図2(2)eの荷重の載荷されていない箇所に対して、仕切り体6からの反力を受けてクッション体が面状体を上方へ押上げる力が働くためブロック体5を押上げる方向に作用する。また、端部であるg、eに関しても、枠体内側面34と仕切り体6から反力を受けて、g及びiでは、接触部と非接触部の境界を外側(枠体内側面側)にし、ブロック体との接触面積は増大する。
上記のように、本発明を着座版2として利用した場合、人が着座することによって、複数のブロック体上面51は、載荷される体荷重によって臀部若しくは大腿部の形状に沿った凹みを生じ、ブロック体と大腿部若しくは臀部の接触面が増大し、結果として作用する荷重による圧力を均等化し、臀部中央の負荷の大きい箇所の着座圧を低減する効果を発揮する。
背もたれ21やマットレス22として利用した場合も同様で、脊柱の上下方向の湾曲による凹凸及び脊柱起立筋や脊柱等による左右方向の凹凸に対して、面状体等の弾性による引張力から生じる反力に加えて、クッション体による反力は凸部間に挟まれた凹部にも及ぶため接触面を拡げ、全体として接触圧を均等化する。
【0021】
図3を用いて、複数の隣接するブロック体5間の隙間の役割と上面51と側面53の隅角に面取り55を施した場合の効果を示す。具体的な例として、図3(1)に、面状体4上に底面52が係止されたブロック体として、横断形状が幅4.5cm高さ2.5cmのPのブロック体と同じ大きさでブロック体の上側面に0.5cmの面取りがなされたQのブロック体を示す。図3(2)には、Pのブロック体が0.2cmの間隔で隣接しているとき、面状体に係止されたブロック体が上載荷重によって凹状の変形をした場合において、上側面の隅角が接触する。面状体の伸びを無視したケースでは、最小曲率半径は、58.9cmとなることを示している。図3(2−1)では、ブロック体底面の面状体に10%の伸びが生じた場合(図では、隣接するブロック体底面の中心間の間隔の伸びがブロック体間の隙間を大きくしている。0.2+4.5×0.1=0.65cm)は、最小曲率半径が20.3cmとなることを示している。
図3(3)には、Qのブロック体を0.2cmの間隔で隣接した場合を示し、面状体に係止されたブロック体は上側面の隅角の面取りの影響によって、面状体の伸びを無視した場合は、最小曲率半径は、47.2cmとなる。また、図3(3−1)には、Qが係止されている面状体に10%の伸びが生じた場合は、最小曲率半径が16.5cmとなることを示している。
これらのことは、ブロック体上面は平坦ではあるが、面状体に一定の隙間間隔を有して係止されていることによって、複数のブロック体として、接触箇所の曲面に沿った形状に変形することを示し、面状体が弾性を有する場合は、その弾性の大きさによって更にきめ細かな接触面の変形に対応が可能であることを表している。また、隅角に面取りの効果に関しては、載荷荷重による複数のブロック体による上面の凹状の変形に関して、ブロック体間の接触位置を下げ、曲率半径を小さくし、接触面の小なる凹凸に対応できる。本例では、曲率半径を2割程度減ずることができている。
【0022】
ブロック体5の上側面の隅角の面取り55の効果としては、ブロック体間の接触位置を上面51から離隔することによって、人体の部位のブロック体による挟み込みを防止し、且つブロック体間の接触角度が鈍角(90度以上)になり、仮に挟み込みがあった場合においても人体の挟み込み部位へのブロック体隅角部からの力の集中を緩和する。
【実施例2】
【0023】
図4には、面状体等4として、面を形成するよう組合された弾性を有する複数の紐状材42の集合体を用いた背凭れ21を実施例として示す。図4(1)は、複数の直方体のブロック体が側面で隣接する配置となるものである。ブロック体は、平面視で4〜5cmで厚み3〜5cmとし、図4(1)及び(2)に示すように、ブロック体下部に平面視で左右と上下方向に2箇所ずつの紐材挿通孔56を設けている。従って、紐材挿通孔は、平面視でブロック体の内部において交差して配置されており、その交差位置でブロック体は係止されていることになる。隣接するブロック体側面53間及びブロック体と枠体34間にはスペーサー54を設け、隣接するブロック体の間隔は0.6cm程度となっている。
図4(1)に示すように枠体3は正方形で、図4(2)に示すように、枠体覆材36は、用いていない。仕切り体6は実施例と1と同様である。弾性を有する紐状材は、枠体外側面33側に係止され、対峙する枠材間に張設されている。
図4(2)に示すクッション体7は、仕切り体と枠体内側面と紐状材の集合体で形成される枠体内空間のうち、ブロック体底面の下方に装入されている。
【0024】
図4(3)及び(4)には、異なる大きさのブロック体5を用いた背凭れを示している。大なる直方体のブロック体57は、平面視で頂点を接する配置とし、大なるブロック体側面に隣接する空間に小なる直方体のブロック体58を配置している。本例では、ブロック体配置の端部と枠体3間において、必要に応じて平面視三角形の調整用のブロック体59を配置している。図4(3)及び(4)に調整用ブロックを示している。直方体の大小のブロック体には、平面視で対峙する各頂点を貫通する紐材挿通孔がブロック体下方を交差して設けられている。枠体、紐状材42の張設、仕切り体6及びクッション体7は、「0023」の場合と同様である。
【0025】
面状体等4として、面を形成するよう組合された弾性を有する複数の帯状材43の集合体を用いる場合は、対峙する枠材間に帯状材を張設し、「0016」のメッシュシート41と同様にその上面にブロック体5を係止する。ブロック体を平面上で安定して定まった位置で、係止するため、図6に示す帯状材は互いに直角に交差する帯状材を交互に重ねて張設している例である。本図に示すのは枠体に複数の帯状材設置の斜視図であるが、縦横の列に8+8枚の帯状材を用い、ハッチの表示は、同一列では上面に現れる同一帯状材の面であり、全ての面は2重の帯状材で形成されている。この面状にブロック体底面52を係止する。枠体外側面33での帯状材の着設を面状材着設個所45として表示している。
【実施例3】
【0026】
図2(4)、(5)は、仕切り体6と枠体内側面34と面状体等4で形成される内側空間の中央部にクッション体の量を多く装入することによって、複数のブロック体の上面51で形成される面の中央部を高くした着座版2に関する実施例を示す横断面図である。基本的な構成は、実施例1と同様であるが、図1(2)にかかる横断図の形状に対応するものが図2(4)である(枠体覆材、面状材等の端末処理は省略している。)。
図2(4)のブロック体上面で形成される面のうち、kで現わされる中央部の頂点とj若しくはlの端部の枠体内面上方との勾配(面状体の中央部と枠体内側面位置との勾配とほぼ同じ。)は、約5%に設定し、クッション体を装入している。図2(0)で示すような臀部が上載された場合、(5)に示すように変形する。これは、(3)のg及びiと(5)のj及びlと比較すると図上の枠体内側面上端部の水平線である一点鎖線と面状体のなす角度が小さくなっている。即ち、枠体上面に対する臀部の落ち込みが小さくなっている。本横断図と直角方向の断面では、大腿部が枠体に上載し、その接面における大腿部に掛かる負担は、臀部の落ち込みが小さいため起立時若しくは着座時に大きくなるのを防ぐ。また、図2(5)に示す臀部上載時のnの中央部における上方への押圧力は、図2(3)のhと比較して明らかに大きくなる。従って、図3(3)のg〜h間及びh〜i間に生じる臀部の最大圧力は、m〜n間及びn〜o間に生じる臀部の最大圧力と比較して小さくなる。
【実施例4】
【0027】
図5の実施例は、クッション体7として流体73である空気が圧入された弾性袋体74としてゴム製の袋体を用いたものである。袋体は面状体4、枠体内側面34に接している。袋体の一部は枠体3の仕切り体止着部38に止着され、対峙する枠体止着部間においては、袋体の一部は仕切り体6を兼ねている。袋体中に圧入、充填された流体は、その重量係る成分を除いて袋体のいずれにおいても同じ圧力が生じる。本実施例の圧入流体が空気の場合、重力の影響は無視できる。本実施例において、下方からの拘束の無い状態で図5(1)に示す状態となる程度の空気を圧入する。図5(2)は、使用時を示すもので、着坐版2として枠体底面32を固定面(図上ハッチで表現した固定部の表面部分)に取付けた場合或いは枠体に荷重を付加して固定面に載荷した場合の状態を示している。この状態は、ゴム袋体内の空気の圧力によって、仕切り体止着部で試着されている袋体は、止着部間の中央部の空気(流体)量は多くなり、弾性を有する面状体が押上げられ、ブロック上面で形成される面の中央部が高くなり、実施例3と同様な状態となる。座椅子の着坐部や床上、椅子上で使用する着坐版として用いることができる。本例において、仕切り体として底版61を用いた場合は、図5(2)の固定面に替わる機能を有するものとなる。また、空気に換えて水を用いることもできる。流体に替えて粒状体を用いても同様な効果が得られる。個々の粒体に弾力性を有し且つ軽量の発泡プラスチックの粒体として、発泡スチロールビーズ72など効果的である。
【実施例5】
【0028】
図7は、本発明に係る部品を用いた製品を示すもので、着坐版2、腰掛14、座椅子12、長椅子13、ソファ15及びソファベッド(寝台)16である。
【符号の説明】
【0029】
1 椅子等、11 椅子、12 座椅子、13 長椅子、14 腰掛、15 ソファ、16 寝台
2 着座版、21 背凭れ、22 マットレス
3 枠体、31 枠体上面、32 枠体底面、33 外側面、34 内側面、35 枠体内空間、36 枠体覆材 37 切り欠き部、38 仕切り体止着部
4 面状体又は紐状材若しくは帯状材の集合体、41 メッシュシート若しくは多孔性シート、42 紐状材、43 帯状材、44 ステープル、45 面状体等張着箇所
5 ブロック体、51 ブロック体上面、52 ブロック体底面、53 ブロック体側面、54 スペーサー、55 面取り、56 紐状材挿通孔、57 大ブロック体、58 小ブロック体、59 調整用ブロック体
6 仕切り体、61 底板、62 布等柔性仕切り体、63 外部固定面
7 クッション体、71 ウレタンフォーム等成形クッション材、72 発泡ビーズ等粒状クッション材、73 流体、74 弾性袋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7