(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態によるガイダンス情報提示システムを
図1〜
図11を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるガイダンス情報提示システムの構成例を示す概略ブロック図である。ガイダンス情報提示システム1は、プラントを運営する運営組織のスタッフに、運営対象のプラントの状態や、その運営組織のスタッフが所属する部門などに応じた、様々なガイダンス情報を提供するシステムである。ガイダンス情報とは、例えば、トラブル発生の予兆検知や発生したトラブルへの対処方法などの技術情報、日々の収益やコスト削減方法などのマネジメント情報、部品の消耗具合やそれに対する保守計画などのメンテナンスに関する情報などである。これらに加え、本実施形態のガイダンス情報提示システム1は、それぞれのスタッフにふさわしい教育サービスの案内や、運営組織の人員構成の見直しの助言など人に関するガイダンス情報も提示する。本実施形態のガイダンス情報提示システム1は、プラントの運営を様々な側面から支援するガイダンス情報をプラントのライフサイクルを通じて提供することで、数十年の間の社会インフラとして機能するプラントの運営を支援する。
【0021】
ガイダンス情報提示システム1は、プラント100と、ガイダンス情報提示装置10と、保守部門端末装置20と、運転部門端末装置21と、技術部門端末装置22と、管理部門端末装置23とを含んで構成される。ガイダンス情報提示装置10は、プラント機器100A、プラント機器100B、保守部門端末装置20、運転部門端末装置21、技術部門端末装置22、管理部門端末装置23の各々と通信可能に接続されている。なお、運営対象のプラントは、プラント100以外にも存在してもよい。
【0022】
プラント100は、例えばガスタービンコンパインドサイクルを備えた発電プラントである。プラント100には、プラント機器100A、100B等が設置されている。プラント機器100A、100Bは、例えばガスタービンである。プラント100は、プラント機器100A、100Bの出力値、回転数などの運転データを、ガイダンス情報提示装置10へ送信する。
ガイダンス情報提示装置10は、ガイダンス情報を各部門端末装置20〜23へ出力する。発電プラントに設けられたプラント機器にはライフサイクルが存在し、長年使われていく中でその役割や使われ方に変化が生じる。運営組織のスタッフは、その変化に応じて適切なメンテナンスや改良を施していく必要がある。ガイダンス情報提示装置10は、プラント機器100Aから取得した運転データに基づいて、プラント機器100Aの運転状況や、プラント100の運営に関わる各部門の役割等に応じたガイダンス情報を生成する。
【0023】
保守部門端末装置20は、保守部門に備えられたPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。保守部門のスタッフは、プラント機器の定期点検や保守作業を行う。
運転部門端末装置21は、運転部門に備えられたPC等の情報処理装置である。運転部門のスタッフは、例えば、プラント状態の監視、プラント機器の起動・停止、目標出力値の変更などプラントの運転に関する業務を行う。
技術部門端末装置22は、技術部門に備えられたPC等の情報処理装置である。技術部門のスタッフは専門的な知識・技能を有し、技術的な立場から様々な判断を行ったり、運転部門や保守部門では対処しきれない問題に対処したりする。
管理部門端末装置23は、管理部門に備えられたPC等の情報処理装置である。管理部門のスタッフは、経済性・収益性の検討、人員計画や発電計画、コスト削減案の検討などを行う。
ガイダンス情報提示装置10は、保守部門のスタッフが利用するガイダンス情報を生成すると、保守部門端末装置20へ送信する。他の部門についても同様である。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態におけるガイダンス情報提示装置の構成例を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、ガイダンス情報提示装置10は、運転データ収集部101と、運転時間算出部102と、起動回数算出部103と、運用形態判定部104と、運転状態判定部105と、運営組織情報取得部106と、計算部107と、受講情報取得部108と、トラブル情報取得部109と、組織情報比較部110と、ガイダンス情報提示部111と、記憶部112とを備えている。ガイダンス情報提示装置10は、1台または複数台のサーバ端末装置などのコンピュータによって構成される。
【0025】
運転データ収集部101は、プラント100が送信した運転データを取得し、運転データを記憶部112に記録する。
運転時間算出部102は、運転データに基づいてプラント機器100Aの運転時間を算出する。
起動回数算出部103は、運転データに基づいてプラント機器100Aの起動回数を算出する。
【0026】
運用形態判定部104は、運転データに基づいてプラント100に設けられたプラント機器100A等(ガスタービン等)のライフステージを特定する。ライフステージには成熟度に応じて、例えば、「BaseLoad」、「Intermediate」、「Peaker」が存在する。「BaseLoad」は、プラント機器の運転開始から電力需要を賄う中心的な発電機器として稼働する期間のことをいう。「BaseLoad」のライフステージでは、プラント機器100Aは常時運転状態にある。以下、ライフステージ「BaseLoad」を全盛期と称する。「Intermediate」は、全盛期を過ぎたプラント機器が週単位や日単位で運転される新機種への過渡期の期間をいう。以下、ライフステージ「Intermediate」を過渡期と称する。「Peaker」は、新機種へ切り替わってから廃棄されるまでの期間をいう。この期間ではプラント機器100Aは、電力が不足する場合などに単発的に運転される。以下、ライフステージ「Peaker」を衰退期と称する。運用形態判定部104は、プラントの運転時間、または、プラント機器100Aの運転時間および起動回数に基づいてプラント機器100Aのライフステージを判定する。
【0027】
運転状態判定部105は、運転データに基づいてプラント機器100Aの運転状態を判定する。運転状態の判定とは、運転中か否か、あるいは、起動前および運転中および運転後のうちの何れの状態であるかを判定することをいう。
【0028】
運営組織情報取得部106は、ガイダンス情報を提示する先の部門またはスタッフの情報を取得する。スタッフの情報には、例えば、氏名、当該部門における経験年数、保有する資格等の情報が含まれる。
【0029】
計算部107は、ガイダンス情報の提供に係る様々な計算、解析、分析処理を行う。例えば、計算部107は、管理部門向けに収益計画のシミュレーションを行う。あるいは、計算部107は、運転部門向けに機械学習により予兆検知モデルを作成する。あるいは計算部107は、保守部門向けにプラント状態についてのリスク分析を行う。その他、ガイダンス情報の生成には、様々な計算、分析などが必要な場合があり、それぞれにプログラムモジュールとして実装されるが、本実施形態では、計算部107がそれらを全ての機能を有する。
【0030】
受講情報取得部108は、保守部門、運転部門、技術部門、管理部門の各スタッフが受講した、プラント100の運営に関する教育サービスの受講履歴情報を取得する。
トラブル情報取得部109は、プラント100で発生したトラブルの情報を取得する。
組織情報比較部110は、他のプラントの運営組織の情報を取得し、自プラントの運営組織の情報と比較する。なお、自プラントとは、ガイダンス情報提示装置10が運転データを取得する対象となるプラント(本実施形態ではプラント100)である。
ガイダンス情報提示部111は、プラント100のライフステージ、運転状態、メンバー情報に応じたガイダンス情報を生成し、生成したガイダンス情報を各部門の端末装置(保守部門端末装置20等)へ出力する。
記憶部112は、種々の情報を記憶する。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態におけるガイダンス情報提示装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図3を用いて、プラント機器100Aに関するガイダンス情報を提示する処理について説明する。まず、運転データ収集部101が、プラント100からプラント機器100Aの運転データを収集し、記憶部112に記録する(ステップS11)。次に運用形態判定部104が、プラント機器100Aのライフステージを判定する(ステップS12)。具体的には、運用形態判定部104は、プラント機器100Aが全盛期、過渡期、衰退期の何れであるかを判定する。ライフステージの判定方法の詳細については、後に
図4、
図5を用いて説明する。運用形態判定部104は、判定したライフステージの情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。次に運転状態判定部105が、プラント機器100Aの現在の運転状態を判定する(ステップS13)。例えば、運転状態判定部105は、記憶部112に記録されたプラント機器100Aの最新の出力値や回転数などの運転データを読み出して、それらの値が所定の値(例えば0)以上であれば、プラント機器100Aは運転中であると判定する。また、読み出した出力値等の値が所定の値以下であれば、運転状態判定部105は、プラント機器100Aの運転は停止していると判定する。さらに、運転が停止していると判定した場合、運転状態判定部105は、例えば、記憶部112に予め記録されている運転計画情報を参照して、現在の時刻が運転を停止してから所定時間以内であれば、プラント機器100Aは運転後の状態であると判定し、運転計画情報に定められた起動予定時刻から遡って所定時間以内ならば、プラント機器100Aは運転前の状態であると判定する。運転状態判定部105は、判定した運転状態の情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。
【0032】
次に運営組織情報取得部106が、ガイダンス情報を提示すべき部門の情報を取得する(ステップS14)。例えば、記憶部112にはプラント機器100Aのライフステージ別、運転状態別に各部門端末装置20〜23へ出力すべき情報の種類・内容を示すタイトル情報が予め記録されており、運営組織情報取得部106は、この情報に基づいてどの部門にどのような種類・内容のガイダンス情報を出力するかの情報を読み出して取得する。運営組織情報取得部106は、提示先(部門)と提示すべきガイダンス情報とを対応付けた情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。次にガイダンス情報提示部111がプラント機器100Aのライフステージ、運転状態、提示先部門に応じたガイダンス情報を提示する(ステップS15)。ガイダンス情報の一例を以下に記載する。
【0033】
<運転状態が運転前の場合>
1.保守部門に対するガイダンス情報の例
例えば、記憶部112には、全てのライフステージにおけるプラント機器100Aに対して「部品XXのボルトの増し締め」が提示すべきガイダンス情報として予め記録されている。ガイダンス情報提示部111は、この記録に基づいて保守部門端末装置20へ「部品XXのボルトの増し締めを行ってください」等のガイダンス情報を出力する。
また、例えば、記憶部112には、例えば、ライフステージ別、運転環境(外気温など)別にある設定項目について効率的な運転をするための理想的な設定値が記録されている。ガイダンス情報提示部111は、ステップS12で判定したライフステージと、プラント100から収集した運転データ(外気温など)とに応じた設定値を読み出して、保守部門端末装置20へ、当該設定項目に理想的な設定値を設定するよう促すガイダンス情報を出力する。
また、例えば、運営組織情報取得部106から取得した提示先部門と提示すべきガイダンス情報の種類が「保守部門」および「高度リスク分析」であった場合、ガイダンス情報提示部111は、計算部107に高度リスク分析を指示する。すると、計算部107に含まれる高度リスク分析の機能を有したプログラムが、例えば、記憶部112に蓄積された前回の運転時の運転データや運転後に保守部門によって行われた点検作業の点検結果の情報などを用いて、公知のリスク分析手法を用いてライフステージに応じたリスク分析を行う。ガイダンス情報提示部111は、計算部107によるリスク分析の結果を保守部門端末装置20へ出力する。同様にガイダンス情報提示部111の指示に基づき、計算部107はプラント機器100Aの部品の寿命予測を行ったり交換すべき部品を解析したりして、ガイダンス情報提示部111が、それらの結果を保守部門端末装置20へ出力してもよい。保守部門のスタッフは、これらのガイダンス情報を見て、運転前の保守作業を行うことができる。
【0034】
2.運転部門に対するガイダンス情報の例
例えば、運営組織情報取得部106から取得した提示先部門と提示すべきガイダンス情報の種類が「運転部門」および「最適起動シーケンス」であった場合、ガイダンス情報提示部111は、計算部107に最適起動シーケンスの自動作成を指示する。すると、計算部107に含まれる最適起動シーケンスを自動作成する機能を有したプログラムが、例えば、ライフステージに応じた負荷帯域(例えば、全盛期なら定格負荷、他の期間であればそれよりも低い負荷など)で1番効率の良い起動シーケンスを作成する。ガイダンス情報提示部111は、最適起動シーケンス情報を運転部門端末装置21へ出力する。運転部門のスタッフは、このガイダンス情報を見て、最適なシーケンスでプラント機器100Aを起動することができる。
【0035】
なお、ガイダンス情報提示部111は、保守部門端末装置20および運転部門端末装置21へ出力するガイダンス情報を技術部門端末装置22へも出力するようにしてもよい。技術部門のスタッフは、それらのガイダンス情報を確認し、技術的な観点から適切かどうかをチェックすることができる。
【0036】
3.管理部門に対するガイダンス情報の例
計算部107は、ガイダンス情報提示部111の指示に基づいて、コスト低減対策(例えば、燃料代を安く抑えられる調達方法など)、運転部門のスタッフ計画(発電計画に応じて、なるべく少ない人数で運転を行うことができるスタッフ配置)、収益計画(例えば、電力の入札価格を予測し収益を計算するなど)等のシミュレーションをライフステージに応じた計算方法で行う。ガイダンス情報提示部111は、シミュレーション結果を管理部門端末装置23へ出力する。管理部門のスタッフは、このガイダンス情報を見て、コスト削減、適切なスタッフ配置、収益の予測などを行うことができる。
【0037】
<運転状態が運転中の場合>
1.保守部門に対するガイダンス情報の例
計算部107は、ガイダンス情報提示部111の指示により、運転データ収集部101が収集した運転データに基づいて、次回の定期検査で検査すべき重要な検査項目を判定する。このとき、計算部107はライフステージに応じて異なる項目を検査項目としてもよい。また、計算部107は、例えば、運転データの中から異常値に近い値が出た項目に関して検査項目であると判定する。ガイダンス情報提示部111は、重要な検査項目の情報を保守部門端末装置20へ出力する。
2.運転部門に対するガイダンス情報の例
計算部107は、ガイダンス情報提示部111の指示により、トラブルの予兆検知を行う。具体的には、計算部107が有する予兆検知機能が、機械学習によって生成された予兆検知モデルに基づいて、運転データ収集部101が収集した最新の運転データが示すトラブルの発生確率を算出し、発生確率が閾値以上となるとトラブル発生の可能性があると判定する。このとき、計算部107は、予兆検知モデルをライフステージに応じて切り替えてもよい。ガイダンス情報提示部111は、トラブル発生の可能性が高いことや、そのトラブルの内容、予防方法などのガイダンス情報を運転部門端末装置21へ出力する。また、実際にトラブルが発生した場合、ガイダンス情報提示部111は、発生したトラブルへの対処方法などのガイダンス情報を運転部門端末装置21へ出力する。
また、記憶部112には、ライフステージごとのトラブルの原因や対処方法が記録されており、ガイダンス情報提示部111は、トラブル発生時に、ライフステージごとのトラブル対処方法を出力してもよい。例えば、プラント機器100Aの停止を検知した場合、ライフステージが過渡期であれば、起動・停止を頻繁に繰りかえすことによる過度な熱負荷が原因の一つである可能性がある。その場合、ガイダンス情報提示部111は、熱負荷による破壊や故障が生じる可能性が高い箇所の情報(原因)や対処方法を運転部門端末装置21へ出力する。あるいは、ライフステージが衰退期であれば、長い期間停止していたことによる錆びが原因で正常な動作ができず停止に至った可能性がある。その場合、ガイダンス情報提示部111は、錆びが生じやすい箇所の情報(原因)や対処方法を運転部門端末装置21へ出力する。
なお、トラブルの原因や対処方法のガイダンス情報は、保守部門端末装置20、技術部門端末装置22へも出力するようにしてもよい。保守部門、技術部門のスタッフは、連携してトラブルに対処することができる。
【0038】
<運転状態が運転後の場合>
1.保守部門に対するガイダンス情報の例
例えば、計算部107は、ガイダンス情報提示部111の指示により、運転データ収集部101が収集した運転データに基づくプラント機器100Aの部品のダメージ評価を行う。ガイダンス情報提示部111は、どの部品がどの程度消費されているか、交換・保守作業の要否などを示すガイダンス情報を保守部門端末装置20へ出力する。
また、例えば、記憶部112には、ライフステージごとに効果を発揮するアップグレード製品の情報が記録されている。例えば、過渡期であれば、全盛期に比べ起動停止の回数が増える。また、過渡期には、定格負荷より小さな負荷での運転を要求されることがある。記憶部112には、ライフステージ「過渡期」と対応付けて、起動時間を短縮化するアップグレード製品や、小さな負荷でも効率よく運転できるようになるアップグレード製品の情報が記録されている。また、記憶部112には、ライフステージ「全盛期」と対応付けて、安定した運転(信頼性を向上させる)に寄与するアップグレード製品の情報が記録されている。ガイダンス情報提示部111は、ステップS12で判定したライフステージに応じたアップグレード製品の情報や、アップグレードした場合のメリットを含むガイダンス情報を保守部門端末装置20へ出力する。保守部門のスタッフは、このガイダンス情報を参考にして、アップグレード製品の適用計画を検討する。
2.運転部門に対するガイダンス情報の例
例えば、記憶部112には、運転前に作成した最適起動シーケンスの結果(実力値)が記録されている。ガイダンス情報提示部111は、この実力値を今回の運転に対する振り返りを促すガイダンス情報として運転部門端末装置21へ出力する。
また、保守部門向けで例示したものと同様に、ガイダンス情報提示部111は、ライフステージに応じたアップグレード製品の情報等をガイダンス情報として運転部門端末装置21へ出力する。運転部門のスタッフは、このガイダンス情報を参照して、アップグレード製品の導入を検討する。
3.技術部門に対するガイダンス情報の例
例えば、記憶部112には、ライフステージに応じたアップグレード製品の情報とそのアップグレード製品を導入するための技術的な要件を示す情報が記録されている。ガイダンス情報提示部111は、ステップS12で判定したライフステージに応じたアップグレード製品の情報や、導入に必要な技術的要件を含むガイダンス情報を技術部門端末装置22へ出力する。技術部門のスタッフは、このガイダンス情報を見て、自社のプラントに導入が可能かどうかを検討する。
4.管理部門に対するガイダンス情報の例
上記のアップグレード製品について、ガイダンス情報提示部111は、ステップS12で判定したライフステージに応じたアップグレード製品、導入コスト、導入後の経済的な利益を示す情報(より安定した運転が可能になるため計画外停止時のコストをX円削減できるなど)を記憶部112から読み出して、これらの情報をガイダンス情報として、管理部門端末装置23へ出力する。管理部門のスタッフは、このガイダンス情報を見て、アップグレード製品の自社プラントへの導入を検討する。
また、計算部107は、今回の運転における売電実績の情報から入札競争力や電力需要の分析を行い、ガイダンス情報提示部111は、これらの分析結果をガイダンス情報として、管理部門端末装置23へ出力する。この場合も、計算部107は、ライフステージに応じて分析方法を切り替えてもよい。管理部門のスタッフは、このガイダンス情報を見て、次回の発電計画を検討する。
【0039】
本実施形態のガイダンス情報提示システムによれば、プラント100のリアルタイムな運転データと運営組織の部門とをかけ合せることにより、上記のようなガイダンス情報をプラント機器100Aのライフステージおよび運転状態に合わせて提供することができる。また、部門別に業務に合わせた内容のガイダンス情報を提示するので、各部門のスタッフのニーズに沿ったガイダンス情報を提供することができる。また、これまで経験に頼って運用していたノウハウ等を情報化し自動的にその情報を提示することにより、例えば経験の少ない運転部門のスタッフでも安全にプラント運転できるようになる。また、プラントの状況に合わせたガイダンス情報を提示することにより、プラントの効率的な運転・運用を可能とする。
【0040】
次に
図3のフローチャートのステップS12におけるライフステージの判定方法について説明する。
図4は、本発明の一実施形態におけるライフステージ判定処理を説明する図である。
図4の縦軸は起動回数(回数/年)、横軸は運転時間(運転時間/年)である。
図4のグラフは、プラント機器100Aのライフステージと起動回数と運転時間との関係を示している。例えば、衰退期(図中「Peaker」)には運転時間が短くなり、全盛期(図中「Base Load」)には起動回数が少なく運転時間が長くなる。また、過渡期(図中「DSS」と「WSS」)においては衰退期よりは運転時間が長く、起動回数が多くなる。なお、DSSは日単位で起動停止を行う運転形態であり、WSSは週単位(週末は停止)で起動停止を行う運転形態である。各ライフステージの上記の性質を用いて、運用形態判定部104は、プラント機器100Aのライフステージを判定する。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態におけるライフステージ判定処理の一例を示す第一のフローチャートである。
図5を用いてライフステージ判定処理の1つ目の方法について説明する。
まず、運転時間算出部102が、記憶部112に記録された所定期間(例えば、1年、1カ月、半年など)におけるプラント機器100Aの運転データに含まれる起動時刻、停止時刻などの情報から、当該期間における運転時間の合計を算出する(ステップS21)。運転時間算出部102は、合計した運転時間を運用形態判定部104に出力する。次に運用形態判定部104は、運転時間の長さに基づいてライフステージを判定する(ステップS22)。例えば、上記の所定期間の長さに対して衰退期と過渡期とを区別する運転時間の長さ(閾値A)と、過渡期と全盛期とを区別する運転時間の長さ(閾値B)とが予め定められており(閾値B>閾値A)、運用形態判定部104は、運転時間算出部102が計算した運転時間の合計とこれらの閾値(閾値A、閾値B)とを比較してライフステージを判定する。具体的には、運転時間の合計が閾値A以下の場合、運用形態判定部104は、プラント機器100Aのライフステージは衰退期であると判定する。運転時間の合計が閾値Aより大きく閾値B未満の場合、運用形態判定部104は、プラント機器100Aのライフステージは過渡期であると判定する。また、運転時間の合計が閾値B以上の場合、運用形態判定部104は、プラント機器100Aのライフステージは全盛期であると判定する。
【0042】
次に
図6を用いてライフステージ判定処理の他の方法について説明する。
図6は、本発明の一実施形態におけるライフステージ判定処理の一例を示す第二のフローチャートである。
まず、運転時間算出部102が、ステップS21と同様にして、所定期間におけるプラント機器100Aの運転時間の合計を算出する(ステップS31)。運転時間算出部102は、合計した運転時間を運用形態判定部104に出力する。次に運用形態判定部104は、運転時間の長さに基づいて衰退期と他のライフステージとを切り分ける。具体的には、運用形態判定部104は、運転時間の長さが閾値A以下かどうかを判定する(ステップS32)。ここで閾値Aとは、
図5で説明したように衰退期と過渡期とを区別する運転時間の長さである。運転時間の合計が閾値A以下の場合(ステップS32;Yes)、運用形態判定部104は、プラント機器100Aのライフステージは衰退期であると判定する(ステップS33)。
【0043】
運転時間の合計が閾値Aより大きい場合(ステップS32;No)、起動回数算出部103が所定期間におけるプラント機器100Aの起動回数を算出する(ステップS34)。例えば、起動回数算出部103は、記憶部112に記録された所定期間におけるプラント機器100Aの運転データに含まれる起動時刻などの情報を集計して、当該期間における起動回数を算出する。起動回数算出部103は、算出した起動回数を運用形態判定部104に出力する。次に運用形態判定部104は、単位期間あたりの起動回数を算出する(ステップS35)。具体的には、運用形態判定部104は、ステップS34で算出した起動回数を、ステップS31で算出した運転時間で除算して、単位期間あたりの起動回数を求める。次に運用形態判定部104は、算出した単位期間あたりの起動回数を閾値Cと比較する(ステップS36)。
図4に示すように単位期間あたりの起動回数が多いと過渡期、少ないと全盛期と判定することができる。閾値Cは、過渡期と全盛期とを区別するための単位期間あたりの起動回数の閾値である。
単位期間あたりの起動回数が閾値C以下の場合(ステップS36;Yes)、運用形態判定部104は、プラント機器100Aのライフステージは全盛期であると判定する(ステップS37)。単位期間あたりの起動回数が閾値Cより大きい場合(ステップS36;No)、運用形態判定部104は、プラント機器100Aのライフステージは過渡期であると判定する(ステップS38)。
【0044】
運用形態判定部104は、
図4〜
図6で説明した方法によりプラント機器100Aのライフステージの判定を行う。本実施形態によれば、運転データ収集部101が取集した運転データに基づいて、プラント機器100A等のライフステージを判定することができる。これにより、ガイダンス情報提示部111は、ライフステージに応じたガイダンス情報を各部門端末装置20〜23に出力することができる。各部門のスタッフは、ライフステージに合った知識を参照して業務を遂行することができる。
【0045】
これまでに本実施形態のガイダンス情報提示システム1が、プラント100の状況や部門に応じたガイダンス情報を提示することについて説明した。しかし、ガイダンス情報を提示するだけでは、習熟度の低い運転監視員のミスによる計画外停止等の発生を十分に防ぐことができない可能性がある。メンバーの習熟度に起因するトラブルを回避するには人材育成が重要だが、これまでにプラントの運営組織においては、人材教育に対する積極的な取り組みが行われていないことが多かった。本実施形態のガイダンス情報提示システム1は、このような問題に対応するため、教育サービスの受講を促すガイダンス情報を提示する。より具体的にはガイダンス情報提示システム1は、ライフステージに応じて変化するプラント機器100Aの役割や運用法に連動させて適切な教育サービスを提示する。
【0046】
図7は、プラントにおけるスタッフの世代交代とプラントのライフステージの関係の一例を示す図である。
図7の横軸はプラント100の運用開始から廃棄までの時間の流れ、縦軸はその時々での現場の教育サービスに対するニーズの高さを示している。図中、第1世代〜第3世代は、同時期に運転部門や保守部門の業務に着任する一まとまりのスタッフ集団の典型的な周期での入れ替わりによる世代交代の例を示している。まず、第1世代のスタッフは、プラントの運用開始から運営に携わるスタッフである。プラントの運用開始からしばらくの間は、運営組織に知識の蓄積が無く、分からないことが多いので教育ニーズは高い。第1世代が携わる期間の大半は、プラント機器100Aのライフステージは全盛期である。全盛期においては、プラント機器100Aを常時運転しており、運転状態を変えることが少なく安定した運用が求められる。全盛期の場合、運用開始からしばらくして一定の知識が蓄積されると、安定した運用が可能になるため教育ニーズは低下する。運用開始から10年が経過すると、第2世代が新たに加わる。着任したばかりの第2世代は、プラント100に対する知識が無いので教育ニーズは上昇する。また、第2世代のスタッフが、全盛期での運用に対する知識を身に着けてしばらくすると、プラント機器100Aのライフステージが過渡期に移行する。ライフステージが過渡期に移行すると、プラント機器100Aの起動・停止回数が増加し、運転負荷も様々な値を取るようになるなど柔軟な運用が求められ、運用形態が変化するので、新たな知識や技能を習得する必要がある。従って、第2世代が着任した当初の教育ニーズの高まりが収まってからも、教育ニーズは継続して一定のレベルを維持する。第2世代が加わってから10年が経過すると、第3世代が新たに加わる。第3世代は、プラント100に対する知識が無いので教育ニーズは上昇する。しかし、第3世代が着任するときには、プラント機器100Aのライフステージは過渡期に移行しており、プラント機器100Aの役割は相対的に低下している。また、過去20年の運用で蓄積されたノウハウ等の蓄積がある。したがって、第3世代が加わったときの教育ニーズは、過去の2世代の着任当初ほど高くならない。また、しばらくするとプラント機器100Aのライフステージが衰退期に移行する。衰退期に移行すると教育ニーズも低下する。
このように、教育ニーズは、プラントのライフステージやスタッフの入れ替わりの影響により大きく変化する。後に
図8を用いて説明するようにガイダンス情報提示システム1は、プラントのライフステージやスタッフの経験年数等に応じて、教育が必要と考えられるタイミングで、適切な教育サービスの受講を促すガイダンス情報を提示する。
【0047】
ところで、上記で例示した第1世代から第3世代のスタッフについては、同じプラント機器100Aに従事していたとしても、そのときの事業環境によって求められる素養が異なる。例えば、プラント運用開始からしばらくの期間の事業環境を考えると、その期間では運営組織全体の経験が浅く知識が不足しているため、第一世代には基礎的な知識や問題解決能力といった素養が要求される。また、一通りのノウハウが蓄積され技術的には安定した運用が可能になった後の第2世代には、収益体制の強化のため、第1世代に求められる素養に加え創造力が要求される。また、第3世代が従事する期間の事業環境は、設備投資を極力控え、リスクをコントロールしながら、上手に収益を上げていくことが求められる。一方、プラントの運営に関する知識は十分に蓄積されている。このような環境の中、第3世代には、創造力や蓄積された知識を活用する応用力といった素養が求められる。ガイダンス情報提示システム1は、各世代のスタッフに対して、要求される素養を伸ばす教育サービスを案内するガイダンス情報を提示する。
【0048】
図8は、本発明の一実施形態における教育サービスの受講を促すガイダンス情報の出力処理の一例を示すフローチャートである。
まず、運転データ収集部101が、プラント機器100Aの運転データを収集し、記憶部112に記録する(ステップS41)。次に運用形態判定部104が、プラント機器100Aのライフステージを判定する(ステップS42)。具体的な判定方法は、
図5、
図6のフローチャートで説明したとおりである。運用形態判定部104は、判定したライフステージの情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。次に運営組織情報取得部106が、ガイダンス情報を提示すべきスタッフの情報を取得する(ステップS43)。例えば、記憶部112にはスタッフのアカウント情報と対応付けてそのスタッフの経験年数、保有資格等の情報が記録されている。また、記憶部112には、スタッフのアカウント情報と対応付けてそのスタッフがどのような教育サービスを受講したかを示す受講履歴情報が記録されている。一方、例えば保守部門の保守スタッフが、保守部門端末装置20を使用する際には、自分のアカウント情報を入力し、そのアカウント情報はガイダンス情報提示装置10へ送信される。運営組織情報取得部106は、送信されたアカウント情報を用いて、記憶部112のスタッフの情報(経験年数等)を読み出して取得する。運営組織情報取得部106は、取得したスタッフの情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。また、受講情報取得部108は、送信されたアカウント情報を用いて、記憶部112の受講履歴情報を読み出して取得する(ステップS44)。受講情報取得部108は、取得した受講履歴情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。
【0049】
ガイダンス情報提示部111は、ライフステージ、スタッフの情報、受講履歴情報に応じた教育サービスの受講を促すガイダンス情報を出力する(ステップS45)。ガイダンス情報の一例を以下に記載する。
例えば、ガイダンス情報提示部111は、スタッフの情報に含まれるそのスタッフの経験年数が0年で教育サービスの受講履歴が無ければ、全ライフステージに共通する部門共通の基礎教育サービスや部門別の基礎教育サービスの受講を促すガイダンス情報を提示する。部門共通の基礎教育サービスとは、例えば、ガスタービンや周辺機器の基礎知識を提供する講座、安全性やリスク管理についての知識を提供する講座などである。
また、ガイダンス情報提示部111は、ステップS42で判定したライフステージとステップS43で取得したスタッフの所属部門、ステップS44で取得した受講履歴の情報に基づいて、例えば、以下のような教育サービスの受講を促すガイダンス情報を提示する。
【0050】
<全盛期で運用中の場合>
運転部門のスタッフには「プラント運用の基礎知識」や「計画外停止をせず運転する方法」、「よくあるトラブルへの対処方法」などの教育サービス、保守部門のスタッフには「日常点検方法」や「定期点検方法」などの教育サービス、技術部門のスタッフには「定期点検の技術的観点」、「設計思想」などの教育サービス、管理部門には「定期点検経営的観点」や「投資回収最適化運転」、「トラブルにより発生するコスト」などの教育サービスの受講を促すガイダンス情報を未受講のスタッフに対して提示する。
<過渡期で運用中の場合>
運転部門のスタッフには「頻繁な起動・停止の安全な遂行」や「起動・停止時間の短縮方法」などの教育サービス、保守部門のスタッフには「加熱/冷却の連続により劣化する高温部品のメンテナンス法」や「アップグレード製品の適用方法」などの教育サービス、管理部門には「新機種との効率的な運用」などの教育サービスの受講を促すガイダンス情報を未受講のスタッフに対して提示する。
<衰退期で運用中の場合>
運転部門のスタッフに「資産価値を維持する(寿命を延ばす)運転方法」、保守部門のスタッフには「非稼働時のメンテナンス方法」、管理部門には「外部環境を考慮した運転計画の立て方」などの教育サービスの受講を促すガイダンス情報を未受講のスタッフに対して提示する。
【0051】
また、ガイダンス情報提示部111は、アップグレード製品が適用され、新しい装置や機能が加わった場合、新たに追加された機能や装置に関する知識を提供する教育サービスの受講を促すガイダンス情報を提示する。
また、ガイダンス情報提示部111は、例えば、他のプラントにてプラント機器100Aと同じ機器が使用されていて、その機器にトラブルが発生した場合、そのトラブルに関連する教育サービスの受講を促すガイダンス情報を提示してもよい。
また、ガイダンス情報提示部111は、スタッフの世代に応じて例えば第1世代には数多くの基礎教育のサービスを提示し、第2世代、第3世代には過去の運用で蓄積されたより実用的な内容の基礎教育サービスを提示してもよい。また、それに加え、日々の運用の中で確立した運用効率の改善方法の事例を紹介するなど、各世代に要求される素養を養うのに適した内容の教育サービスを提示してもよい。
【0052】
次に個々のスタッフに対してではなく、組織全体の人材教育に関するガイダンス情報の提示例を説明する。
図9は、本発明の一実施形態におけるスタッフ教育を促すガイダンス情報の出力処理の一例を示すフローチャートである。
まず、運転データ収集部101が、プラント機器100Aの運転データを収集し、記憶部112に記録する(ステップS51)。次に運用形態判定部104が、プラント機器100Aのライフステージを判定する(ステップS52)。具体的な判定方法は、
図5、
図6のフローチャートで説明したとおりである。運用形態判定部104は、判定したライフステージの情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。
次に受講情報取得部108が、全部門の全スタッフの受講履歴情報を取得し集計する(ステップS53)。例えば、記憶部112には全部門の全スタッフについて、教育サービスの受講履歴等の情報が記録されている。受講情報取得部108は、この受講情報を読み出して部門別に集計する。これによってどの部門でどの教育サービスをどの程度受講しているか、部門別、教育サービス別に受講したスタッフの延べ人数が集計される。受講情報取得部108は、集計した情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。
次にトラブル情報取得部109が、プラント100で発生したトラブルの集計情報を取得する(ステップS54)。例えば、記憶部112には、所定期間中に発生した様々なトラブル、あるいはトラブルに繋がる事象が記録されていて、トラブル情報取得部109がその情報を読み出してトラブル別、事象別に集計する。トラブル情報取得部109は、集計した情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。
【0053】
次にガイダンス情報提示部111が、受講履歴、トラブル発生数に応じてスタッフ教育を促すガイダンス情報を提示する。具体的には、ガイダンス情報提示部111は、受講情報取得部108から取得した部門別、教育サービス別に集計された塾履歴情報において、ある部門で受講率が低い教育サービスが存在した場合、当該部門向けに受講率が低い教育サービスを受講するよう促すガイダンス情報を生成し、管理部門端末装置23に出力する。例えば、運転部門において、「運転監視部門向け講座」の受講率が10%であるとする。ガイダンス情報提示部111は、その教育サービスの部門内受講率の下限(例えば60%)と比較して、運転部門における受講率が低いと判定し、「運転部門の運転監視部門向け講座の受講率が10%です。運転監視部門向け講座の受講を推進してください。」などのガイダンス情報を管理部門端末装置23に出力する。管理部門は、このガイダンス情報を見て運転部門の技能の習熟度が低い可能性があると判断し、運転部門に教育サービスの受講を促す。
【0054】
また、ガイダンス情報提示部111は、トラブル情報取得部109から取得したトラブル別の集計情報において、あるトラブルの発生回数が所定の閾値以上であれば、そのトラブル防止に必要な知識を提供する教育サービスの受講を促すガイダンス情報を生成し、管理部門端末装置23に出力する。管理部門は、このガイダンス情報を見て、トラブル再発を防止する必要があると判断し、関係する各部門に当該トラブルに関する教育サービスの受講を促す。
なお、このスタッフ教育を促すガイダンス情報の出力処理は、例えば、月に1回など定期的に実行されてもよいし、管理部門のスタッフの指示によって任意のタイミングで実行されてもよい。これにより、教育サービスの受講を部門任せ、個人任せにせず、組織全体の知識レベルの向上、一定レベル以上の確保を図ることができ、安定したプラントの運営、収益体制の強化を図ることができる。
【0055】
次に運営組織に関するコンサルティング結果を出力するガイダンス情報の提示例を説明する。
図10は、本発明の一実施形態におけるプラント運営組織に対するガイダンス情報の出力処理の一例を示すフローチャートである。
まず、運転データ収集部101が、プラント機器100Aの運転データを収集し、記憶部112に記録する(ステップS61)。次に運用形態判定部104が、プラント機器100Aのライフステージを判定する(ステップS62)。具体的な判定方法は、
図5、
図6のフローチャートで説明したとおりである。運用形態判定部104は、判定したライフステージの情報をガイダンス情報提示部111へ出力する。
次に運営組織情報取得部106が、部門ごとの全スタッフの情報を取得する(ステップS63)。次に組織情報比較部110がプラント100の運営組織の人員構成と他プラントの人員構成と比較する(ステップS64)。例えば、記憶部112には同じ種類のプラント機器が備えられた他プラントにおけるライフステージごとの人員構成(部門ごとのスタッフの数)の情報が記録されている。組織情報比較部110は、運営組織情報取得部106が取得したスタッフの数を集計して部門ごとのスタッフ数を算出する。運営組織情報取得部106は、算出した部門ごとのスタッフ数と、他プラントにおける部門ごとのスタッフの数とをライフステージ別に比較する。組織情報比較部110は、比較結果をガイダンス情報提示部111へ出力する。次にガイダンス情報提示部111は、ライフステージ、部門に応じた適切な人員数のガイダンス情報を提示する(ステップS65)。例えば、全盛期の他プラントの運転部門が10人で、全盛期の自プラント(プラント100)の運転部門のスタッフが20人であるとする。すると、ガイダンス情報提示部111は、管理部門端末装置23に「運転部門のスタッフ数が多いです」といったガイダンス情報を出力する。
管理部門のスタッフは、このようなガイダンス情報を組織の人員構成の見直しのきっかけとすることができる。組織を見直し、人材の再配分を行うことにより、運営組織の最適化を図ることができる。
【0056】
図11は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述のガイダンス情報提示装置10は、コンピュータ900を備える。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0057】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0058】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。