(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図2A】通常のリリーフ弁の圧力オーバーライド特性を示す図。
【
図2B】本実施形態のリリーフ弁7Aの圧力オーバーライド特性を示す図。
【
図4】コントローラ30が実行する電磁切換弁8Aの制御処理の手順を示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態においてアーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図。
【
図6】コントローラ30が実行する電磁切換弁8Aの制御処理の手順の変形例を示すフローチャート。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図10】コントローラ30が実行する電磁比例弁8Bの制御処理の手順を示すフローチャート。
【
図11】第4実施形態においてアーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図。
【
図12】コントローラ30が実行する電磁比例弁8Bの制御処理の手順の変形例1を示すフローチャート。
【
図13】コントローラ30が実行する電磁比例弁8Bの制御処理の手順の変形例2を示すフローチャート。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図15】本発明の第6実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図16】本発明の第7実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図17】本発明の第8実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図18】本発明の第9実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図19】本発明の第10実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図20】本発明の第11実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図21】本発明の第12実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図。
【
図22】第7〜第9実施形態において、アーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図。
【
図23】第10〜第12実施形態において、アーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態は、何れも本発明を作業車両であるホイールローダのアームシリンダ(ホイスト用シリンダとも言う)を駆動するための油圧駆動装置に適用したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
「第1実施形態」
図1は本発明の第1実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図1に示す油圧駆動装置は、ホイールローダのアームシリンダ(アクチュエータ)2を駆動するためのものであって、メイン流路F1と、このメイン流路F1に合流点B1で合流するサブ流路F2とを備える。
【0012】
メイン流路F1は、メインポンプ1とアームシリンダ2とを方向制御弁3を介して配管4で接続して形成される。メインポンプ1から吐出される圧油は、メイン流路F1を流れてアームシリンダ2に供給される。メインポンプ1は、例えば斜板式の可変容量式ピストンポンプが用いられるが、その他の可変容量式のポンプや、固定容量式のポンプを用いても良い。
【0013】
サブ流路F2は、サブポンプ5とメイン流路F1の合流点B1までの間を配管11で接続して形成される。サブポンプ5から吐出される圧油は、サブ流路F2からメイン流路F1へと合流し、メイン流路F1を流れてアームシリンダ2に供給される。サブポンプ5は、固定容量式のものが用いられ、例えば本実施形態では低コストを実現するためにギヤポンプが用いられている。
【0014】
サブ流路F2には、サブポンプ5と合流点B1との間に、アンロード切換弁(合流切換弁)6Aが設けられており、アンロード切換弁6Aの下流側にはチェック弁10が設けられている。このアンロード切換弁6Aは常時、位置aに保持されており、メイン流路F1とサブ流路F2とが接続された状態となっている。よって、サブポンプ5から吐出された圧油はチェック弁10を介して逆流することなくメイン流路F1へと流れる。
【0015】
アンロード切換弁6Aは電磁切換弁8Aによって作動する。この電磁切換弁8Aは後述するコントローラ30(
図3参照)からの制御信号により作動し、パイロットポンプ9からのパイロット圧をアンロード切換弁Aへと導く。すると、パイロット圧がアンロード切換弁6Aに作用して、アンロード切換弁6Aが位置aから位置bに切り換えられる。アンロード切換弁6Aが位置bに切り換わると、メイン流路F1とサブ流路F2とが遮断された状態となり、配管11と戻り配管(戻り流路)12とが連通し、サブポンプ5から吐出された圧油は戻り配管(戻り流路)12を流れてタンク13に戻される。
【0016】
ここで、メイン流路F1とサブ流路F2とを遮断して、サブポンプ5からの圧油をタンク13に戻すことを、以下の説明において「アンロード」と言うことにする。アンロードにすることで、サブ流路F2内の圧油は全てタンク13に逃げるため、サブ流路F2内の圧力が異常に上昇するのを防止でき、サブ流路F2を保護することができる。
【0017】
さらに、サブ流路F2にはリリーフ弁7Aが設けられている。具体的には、リリーフ弁7Aは、サブポンプ5とアンロード切換弁6Aとの間の分岐点B2で分岐した分岐配管14に設けられており、サブポンプ5から吐出される圧油が所定の圧力になったときに作動して、圧油をタンク13に戻す(リリーフする)。なお、本実施形態では、リリーフ弁7Aのセット圧はサブポンプ5の使用最高圧力より若干低い値に予め設定されている。
【0018】
本実施形態で用いられるリリーフ弁7Aは、通常より圧力オーバーライド特性が良くないもの(別言すれば、リリーフ弁が開き始めて、ある一定の流れが認められる圧力であるクラッキング圧と、リリーフ弁のセット圧との圧力差が大きいもの)が用いられている点に特徴がある。
【0019】
本実施形態で用いられるリリーフ弁7Aの圧力オーバーライド特性を、通常の圧力オーバーライド特性と比較して説明する。
図2Aは通常のリリーフ弁の圧力オーバーライド特性を示す図であり、
図2Bは本実施形態のリリーフ弁7Aの圧力オーバーライド特性を示す図である。
【0020】
図2Aに示すように、通常のリリーフ弁は、クラッキング圧Pcとリリーフ弁のセット圧Prとの圧力差が小さい。そのため、通常のリリーフ弁をサブ流路F2に設けた場合には、サブ流路F2の圧力がクラッキング圧Pcを超えると圧油は一気にタンク13に戻るため、メイン流路F1を流れる圧油の流量も急激に減少する。
【0021】
これに対して、
図2Bに示すように、本実施形態で用いられるリリーフ弁7Aは、リリーフ流量の増加に伴って、クラッキング圧Pcからセット圧Prまでリリーフ圧が増加する傾向の圧力オーバーライド特性を有している。すなわち、クラッキング圧Pcとセット圧Prとの圧力差が大きい。そのため、リリーフ弁7Aをサブ流路F2に設けた場合、サブ流路F2の圧力がクラッキング圧Pcを超えると圧油は徐々にタンク13に戻されるため、メイン流路F1を流れる圧油の流量も徐々に減少する。このように、本実施形態では、圧力オーバーライド特性が良好でないリリーフ弁が好ましい。
【0022】
次に、電磁切換弁8Aの作動を制御するコントローラ30について説明する。
図3Aはコントローラ30のハード構成図、
図3Bはコントローラ30の機能ブロック図である。
【0023】
コントローラ30は、
図3Aに示すように、各種演算を行うCPU30A、CPU30Aによる演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD等の記憶装置30B、CPU30Aがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM30C、及び他の機器とデータを送受信する際のインタフェースである通信インタフェース(通信I/F)30Dを含むハードウェアと、記憶装置30Bに記憶され、CPU30Aにより実行されるソフトウェアとから構成される。コントローラ30の各機能は、CPU30Aが、記憶装置30Bに格納された各種プログラムをRAM30Cにロードして実行することにより、実現される。
【0024】
図3Bに示すように、コントローラ30には、サブ流路F2の回路圧Pを検出する圧力センサ20からの圧力信号が入力される。コントローラ30は、回路圧判定部31と、アンロード指令出力部32と、を含む。回路圧判定部31は、圧力センサ20から入力される回路圧Pがリリーフ弁7Aのセット圧Pr以上になったか否かを判定する。セット圧Pr以上になった場合には、アンロード指令出力部32は、電磁切換弁8Aに作動指令を出力する。この作動指令を受けて、電磁切換弁8Aはオンとなって位置cから位置dに切り換わり、パイロット圧をアンロード切換弁6Aに導く(
図1参照)。
【0025】
また、本実施形態では、図示しないホイールローダの運転室にアンロード用の手動スイッチ50が設けられている。この手動スイッチ50がオペレータにより操作されると、その操作信号がコントローラ30に入力され、アンロード指令出力部32が強制的に電磁切換弁8をオンにしてアンロード切換弁6Aを位置bに切り換える。すなわち、手動スイッチ50が操作されることにより強制的にサブ流路F2がアンロード状態となる。
【0026】
次に、コントローラ30による制御処理の手順について説明する。
図4はコントローラ30が実行する電磁切換弁8Aの制御処理の手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が開始すると、回路圧判定部31は回路圧Pがセット圧Pr以上であるか否かを判定する(S1)。S1でYesの場合にはアンロード指令出力部32は電磁切換弁8Aに作動指令を出力して電磁切換弁8Aをオンにする(S2)。そして、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が解除される。なお、S1でNoの場合にはS1に戻る。
【0027】
次に、第1実施形態の作用効果について説明する。
図5は、第1実施形態においてアーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図である。
図5に示すように、アーム上げ動作においてホイスト高さが初期位置からH1になるまでアームシリンダ2に供給される流量(供給流量)はQ2に保たれる。なお、流量Q2は、メインポンプ1から吐出される圧油とサブポンプ5から吐出される圧油の合計流量である。そして、ホイスト高さがH1に到達すると、回路圧Pがクラッキング圧Pcになり、リリーフ弁7Aが開き始める。
【0028】
しかし、リリーフ弁7Aの圧力オーバーライド特性が良くないので、流量Qは徐々に(緩やかに)減少していき、ホイスト高さがH2に到達すると、回路圧Pがリリーフ弁7Aのセット圧Prと等しくなる。回路圧Pがセット圧Prと等しくなった時点(
図4のS1でYes)で、電磁切換弁8Aがオンされると、アンロード状態となり、メイン流路F1とサブ流路F2との合流は解除される。これにより、アームシリンダ2には、メインポンプ1から吐出される流量Q1だけ圧油が供給されることとなる。
【0029】
このように、第1実施形態によれば、通常より圧力オーバーライド特性の良くないリリーフ弁7Aを用いることで、ホイスト高さがH1からH2になるまでの間、アームシリンダ2に供給される圧油の流量Qの変化が緩やかに変化するから、アームシリンダ2をレバー操作するオペレータに与える衝撃は低減される。ちなみに、圧力オーバーライド特性の良いリリーフ弁を採用すると、ホイスト高さH1の時点ですぐに流量がQ2からQ1に急激に減少するため、オペレータに与える衝撃はリリーフ弁7Aに比べて大きい。なお、ホイスト高さH1とH2とは、例えば、ダンプ積込み後のアーム上げ動作を終了する高さに対応させた高さの領域である。
【0030】
(コントローラ30による電磁切換弁8Aの制御の変形例)
図6はコントローラ30が実行する電磁切換弁8Aの制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。この変形例では、回路圧Pがクラッキング圧Pc以上になってから所定時間経過した場合に、電磁切換弁8Aをオンにする点に特徴がある。具体的には、
図6に示すように、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が開始すると、回路圧判定部31は回路圧Pがクラッキング圧Pc以上であるか否かを判定する(S11)。S11でYesの場合には、図示しないタイマーが作動し、回路圧Pがクラッキング圧Pcに到達してからの経過時間tが計測される。アンロード指令出力部32は、経過時間tが所定時間t1以上であるか否かを判定する(S12)。S12でYesの場合、アンロード指令出力部32は電磁切換弁8Aに作動指令を出力して電磁切換弁8Aをオンにする(S13)。そして、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が解除される。一方、S11
,S12
のそれぞれでNoの場合には
それぞれS11,S12に戻る。
【0031】
ここで、第1実施形態の場合、所定時間t1として、例えば1秒がコントローラ30に予め設定(記憶)されている。この1秒とは、クラッキング圧Pcからセット圧Prまで圧力が上昇するまでの時間である。すなわち、この変形例では、回路圧Pがセット圧Prに到達して電磁切換弁8Aをオンする代わりに、回路圧Pがクラッキング圧Pcに到達して1秒経過したときに、回路圧Pがセット圧Prに到達したものとみなして電磁切換弁8Aをオンにするよう制御している。この場合であっても、
図5と同様に流量の変化を緩やかにできるため、アームシリンダ2をレバー操作するオペレータへの衝撃を低減できる。
【0032】
「第2実施形態」
図7は本発明の第2実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図7に示すように、第2実施形態ではベント付きリリーフ弁7Bを用いてアンロード状態を実現する構成としている点が第1実施形態と相違する。そこで、以下の説明ではこの相違点を中心に説明し、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
第2実施形態において、メイン流路F1とサブ流路F2とが合流している状態ではベント付きリリーフ弁7Bのアンロード機能がオフ(ベントポートが閉)、かつ電磁切換弁(合流切換弁)6Bが閉となっているため、回路圧Pがクラッキング圧Pcになるとベント付きリリーフ弁7Bから徐々に圧油がタンク13にリリーフされる。
【0034】
その後、回路圧Pがセット圧Prになった時点(あるいは、回路圧Pがクラッキング圧Pcに到達してから所定時間t1経過した時点)でコントローラ30により電磁切換弁6Bが開となり(アンロード機能がオン)、ベント付きリリーフ弁7Bのベント回路圧がタンク圧まで低下することでセット圧が低下する。そのため、サブポンプ5から吐出される圧油は、分岐配管14、ベント付きリリーフ弁7Bを通って、タンク13に戻る。これにより、サブ流路F2はアンロード状態となる。
【0035】
なお、第2実施形態の場合、手動スイッチ50をオペレータが操作すると、コントローラ30が電磁切換弁6Bを開にするよう制御して、強制的にサブ流路F2がアンロード状態となる。
【0036】
この第2実施形態においても、ベント付きリリーフ弁7Bの圧力オーバーライド特性をリリーフ弁7Aと同等とすることで、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。しかも、第2実施形態では、ベント付きリリーフ弁7Bを用いることでアンロード回路を簡略化できる利点もある。
【0037】
「第3実施形態」
図8は本発明の第3実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図8に示すように、第3実施形態ではベント付きリリーフ弁7B、アンロード切換弁6A、電磁切換弁6Bを用いてアンロード状態を実現する構成としている点が第1,第2実施形態と相違する。なお、第1,第2実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
第3実施形態では、アンロード機能がオフで電磁切換弁6Bが閉となるため、サブポンプ5から吐出される圧油はベント付きリリーフ弁7Bのベントポートを介してアンロード切換弁6Aに導入される。これにより、アンロード切換弁6Aは位置
aに切り換わり、メイン流路F1とサブ流路F2とが合流する。この状態において、回路圧Pがクラッキング圧Pcになるとベント付きリリーフ弁7Bから徐々に圧油がタンク13にリリーフされる。
【0039】
その後、回路圧Pがセット圧Prになった時点(あるいは、回路圧Pがクラッキング圧Pcに到達してから所定時間t1経過した時点)でコントローラ30により電磁切換弁6Bを開にすると、アンロード切換弁6Aに作用していた圧油(制御圧)は電磁切換弁6Bを介してタンク13に戻る。そのため、アンロード切換弁6Aは位置aに切り換わり、サブポンプ5から吐出される圧油は、戻り配管12を流れてタンク13に戻る。これにより、サブ流路F2はアンロード状態となる。
【0040】
この第3実施形態においても、第1,第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、第3実施形態では、サブポンプ5からの圧油をアンロード切換弁6Aを介してタンク13に戻す構成としたので、第2実施形態のようにサブポンプ5からの圧油をベント付きリリーフ弁7Bを介してタンク13に戻す構成と比べて圧力損失を小さくすることができる。そのため、第3実施形態は第2実施形態と比べて省エネ効果が高い。
【0041】
「第4実施形態」
図9は本発明の第4実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図9に示すように、第4実施形態は、電磁切換弁8Aの代わりに電磁比例弁8Bを用いてアンロード切換弁6Aを作動させる構成である点が第1実施形態と相違する。そのため、コントローラ30による制御処理の手順が相違する。
【0042】
図10はコントローラ30が実行する電磁比例弁8Bの制御処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が開始すると、回路圧判定部31は回路圧Pがクラッキング圧Pc以上であるか否かを判定する(S21)。S21でYesの場合にはアンロード指令出力部32は電磁比例弁8Bに制御電流I(I=I+Δ/1)を印加する(S22)。ここで、Δ/1は電磁比例弁8Bの単位時間当たりの電流増加量である。
【0043】
次いで、回路圧判定部31は回路圧Pがセット圧Prを超えたか否かを判定する(S23)。S23でYesの場合、アンロード指令出力部32は電磁比例弁8Bに制御電流Iの最大値(Imax)を印加する(S24)。そして、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が解除される。なお、S21でNoの場合はS21に戻り、S23でNoの場合はS22に戻る。
【0044】
次に、第4実施形態の作用効果について説明する。
図11は、第4実施形態においてアーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図である。第4実施形態が第1実施形態と違う点は、
図5と
図11を比較すると明らかなように、ホイスト高さがH1〜H2の間に、電磁比例弁8Bに徐々に電流が印加されていき、電磁比例弁8Bのスプール開口が徐々に開くことである。
【0045】
このように、第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ホイスト高さがH1からH2になるまでの間、アームシリンダ2に供給される圧油の流量の変化が緩やかに変化するから、アームシリンダ2をレバー操作するオペレータに与える衝撃は低減される。
【0046】
(コントローラ30による電磁比例弁8Bの制御の変形例1)
図12はコントローラ30が実行する電磁比例弁8Bの制御処理の手順の変形例1を示すフローチャートである。
図12に示すように、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が開始すると、回路圧判定部31は回路圧Pがクラッキング圧Pc以上であるか否かを判定する(S31)。S31でYesの場合には、図示しないタイマーが作動し、回路圧Pがクラッキング圧Pcに到達してからの経過時間tが計測される。アンロード指令出力部32は、経過時間tが所定時間t1未満であるか否かを判定する(S32)。なお、所定時間t1は
図6と同様に1秒に設定されている。
【0047】
S32でYesの場合、アンロード指令出力部32は電磁比例弁8Bに制御電流I(I=I+Δ/1)を印加する(S33)。一方、S32でNoの場合、アンロード指令出力部32は電磁比例弁8Bに制御電流I(I=I+Δ/2)を印加する(S34)。なお、Δ/1、Δ/2は単位時間当たりの電流増加量であって、Δ/1<Δ/2である。次いで、回路圧判定部31は回路圧Pがセット圧Prを超えたか否かを判定する(S35)。S35でYesの場合、アンロード指令出力部32は電磁比例弁8Bに制御電流Iの最大値(Imax)を印加する(S36)。そして、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が解除される。なお、S31でNoの場合はS31に戻り、S35でNoの場合はS32に戻る。この場合であっても、流量の変化を緩やかにできるため、アームシリンダ2をレバー操作するオペレータへの衝撃を低減できる。
【0048】
(コントローラ30による電磁比例弁8Bの制御の変形例2)
図13はコントローラ30が実行する電磁比例弁8Bの制御処理の手順の変形例2を示すフローチャートである。
図13に示すように、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が開始すると、回路圧判定部31は回路圧Pがクラッキング圧Pc未満であるか否かを判定する(S41)。S41でYesの場合には、回路圧判定部31は回路圧Pの単位時間当たりの圧力変化量ΔPが閾値ΔP2以上であるか否かを判定する(S42)。S42でYesの場合、アンロード指令出力部32は電磁比例弁8Bに制御電流Iの最大値(Imax)を印加する(S43)。
【0049】
一方、S42でNoの場合、回路圧判定部31は圧力変化量ΔPが閾値ΔP1未満であるか否かを判定する(S44)。ここで、ΔP1<ΔP2である。S44でYesの場合、アンロード指令出力部32は電磁比例弁8Bに制御電流I(I=I+Δ/1)を印加し(S45)、S44でNoの場合、アンロード指令出力部32は制御電流Iの最小値(Imin)を印加する(S46)。なお、S41でNoの場合には、
図4,6,10,12の何れかの合流開始後の処理を実行させる。この場合であっても、流量の変化を緩やかにできるため、アームシリンダ2をレバー操作するオペレータへの衝撃を低減できる。
【0050】
「第5実施形態」
図14は本発明の第5実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図14に示すように、第5実施形態は、
図7に示す第2実施形態の電磁切換弁6Bの代わりに電磁比例弁6Cを設けたものである。この構成であっても第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
「第6実施形態」
図15は本発明の第6実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図15に示すように、第6実施形態は、
図8に示す第3実施形態の電磁切換弁6Bの代わりに電磁比例弁6Cを設けたものである。この構成であっても第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
「第7〜12実施形態」
図16〜
図21は本発明のそれぞれ第7〜12実施形態に係る作業車両の油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図16〜
図21は、それぞれ、
図1、
図7、
図8、
図9、
図14、
図15と同じ構成であるが、常態においてアンロードされているか否かが相違する。すなわち、第1〜第6実施形態と第7〜第12実施形態とでは、アンロード切換弁6Aの初期位置、電磁切換弁6Bの初期位置、あるいは電磁比例弁6Cの初期位置の設定が逆になっている。これら第7〜第12実施形態であっても、オペレータがレバー操作を行う際の衝撃を低減できる点に変わりはない。
【0053】
図22は、
図16〜
図18に示す第7〜第9実施形態において、アーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図である。また、
図23は、
図19〜
図21に示す第10〜第12実施形態において、アーム上げ動作中のメイン流路F1を流れる圧油の流量変化と回路圧との関係を示す図である。
図22は
図5と比較して明らかなように、電磁切換弁の挙動が逆になっているが、流量Qがホイスト高さH1〜H2の範囲で緩やかに減少している点は同じである。また、
図23は
図11と比較して明らかなように、比例弁電流とスプール開口の挙動が逆になっているが、流量Qがホイスト高さH1〜H2の範囲で緩やかに減少している点は同じである。よって、第7〜第12実施形態の構成であっても、アームシリンダ2の操作時におけるオペレータへの衝撃は低減される。
【0054】
以上説明したように、第1〜第12実施形態に係る油圧駆動装置によれば、メイン流路F1とサブ流路F2との合流が解除される際、圧力オーバーライド特性が通常より良くないリリーフ弁を用いることで、その特性を生かして、メイン流路F1の流量Qを徐々に減少させることができるため、アームシリンダ2のレバー操作時におけるオペレータへの衝撃を抑えることができる。すなわち、メイン流路F1とサブ流路F2の合流の切り換え時における流量の変化を緩やかにすることで、オペレータへの衝撃が小さくなるため、アームシリンダ2の操作性が向上する。また、手動スイッチ50が設けられているため、オペレータの意図によりアームシリンダを操作でき、使い勝手が良い。また、アンロード時に圧油をタンク13に戻すことで、損失エネルギーを抑えることもできる。しかも、サブポンプ5としてギヤポンプを採用することで、油圧駆動装置を安価に製造できる。
【0055】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0056】
なお、本発明に係る油圧駆動装置が適用される作業車両はホイールローダに限定されず、フォークリフト、ブルドーザ、油圧ショベル等であって良い。また、本発明に係る油圧駆動装置は、アームシリンダの他にも、バケットシリンダ、ステアリングシリンダなど各種の油圧アクチュエータに適用できる。
【0057】
また、上記した各実施形態において、アーム角度センサまたはアームシリンダのストローク量をコントローラ30に入力し、これらの入力信号に基づいてアンロード状態に切り換えるようにすれば、回路圧Pがセット圧Prになった時点からアンロード状態になるまでの時間をより短縮できる。また、コントローラ30に荷役操作信号、パーキングブレーキ信号、ホイスト上げ信号等の各種信号を入力して、アンロードに切り換えるようにしても良い。