(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のポリウレタン樹脂ペレットについて説明する。
【0021】
本発明のポリウレタン樹脂ペレットは、ポリウレタン樹脂と、ポリウレタン樹脂に付着するブロッキング防止剤とを含有する組成物である。詳しくは、ポリウレタン樹脂ペレットは、ポリウレタン樹脂の成形物(ポリウレタン樹脂成形物)と、ポリウレタン樹脂成形物に付着するブロッキング防止剤とを含有する。
【0022】
ポリウレタン樹脂成形物は、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との重合物(ポリウレタン樹脂)が、後述するポリウレタン樹脂ペレットの製造方法により、所定の形状および所定のサイズを有するペレット状に成形(造粒)された成形物(造粒物)である。ポリウレタン樹脂は、熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
【0023】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0024】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、鎖状(直鎖状または分岐鎖状:非環式)脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、ドデカメチレンジイソシアネートなどの鎖状脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0025】
また、脂肪族ポリイソシアネートとしては、脂環族ポリイソシアネートも挙げられる。
【0026】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添XDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0027】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0028】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0029】
これらポリイソシアネート成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0030】
ポリイソシアネート成分として、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含み、さらに好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを単独使用する。
【0031】
なお、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、国際公開第2009/051114号、特開2011−140618号公報などの記載に準拠して調製される。また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、市販のアミンや、特開2011−6382号公報などに記載される方法により得られたアミンなどを用い、例えば、特開平7−309827号公報に記載される冷熱2段法(直接法)や造塩法、あるいは、特開2004−244349号公報や特開2003−212835号公報などに記載されるノンホスゲン法などにより、製造することもできる。
【0032】
また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス体と記載する。)、および、トランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス体と記載する。)の幾何異性体が存在する。1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、好ましくは、シス体よりもトランス体を多量に含有する(以下、高トランス体と記載する。)。
【0033】
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体は、トランス体を、例えば、50モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上含有し、また、例えば、96モル%以下、好ましくは、93モル%以下含有する。なお、シス体は、トランス体の残部である。
【0034】
活性水素基含有成分は、2つ以上の活性水素基(例えば、水酸基、アミノ基など)を有する化合物である。活性水素基含有成分は、短鎖の活性水素基含有成分と、長鎖の活性水素基含有成分とを含む。
【0035】
短鎖の活性水素基含有成分としては、例えば、低分子量ポリオールが挙げられる。
【0036】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、数平均分子量60以上、400未満、好ましくは、300以下の化合物である。
【0037】
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。好ましくは、2価アルコールが挙げられる。
【0038】
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0039】
長鎖の活性水素基含有成分としては、例えば、高分子量ポリオールが挙げられる。
【0040】
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、数平均分子量400以上、好ましくは、500以上、10000以下、好ましくは、5000以下の化合物である。
【0041】
高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ダイマーポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオールなどが挙げられ、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0042】
また、高分子量ポリオールとしては、好ましくは、高分子量ジオール、さらに好ましくは、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
【0043】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレン(C2〜3)ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどのポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
【0044】
ポリアルキレン(C2〜3)ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(ランダムおよび/またはブロック共重合体)などが挙げられる。
【0045】
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に上記したジオールなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロヒドリンおよび/またはベンジルグリシジルエーテルなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0046】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、多塩基酸またはその酸無水物あるいはその酸ハライドとの反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0047】
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0048】
また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0049】
ポリカーボネートポリオールは、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、触媒の存在下または不在下に、ホスゲン、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネート、アルキレンカーボネートなどを反応させることにより、得ることができる。
【0050】
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0051】
ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の反応方法を用いることができる。
【0052】
プレポリマー法では、まず、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分(例えば、上記した長鎖の活性水素基含有成分)とを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。
【0053】
次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤としての活性水素基含有成分(例えば、上記した短鎖の活性水素基含有成分)とを反応(鎖伸長)させて、硬化反応させる。
【0054】
上記の反応では、ウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒としては、例えば、錫系触媒(例えば、オクチル酸錫など)、鉛系触媒(例えば、オクチル酸鉛など)、ビスマス系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒、有機金属系触媒、アミン系触媒などが挙げられる。
【0055】
これにより、ポリウレタン樹脂を得ることができる。得られたポリウレタン樹脂は、粉砕されて、後述するポリウレタン樹脂ペレットの製造方法において用いられる原料とされる。
【0056】
好ましくは、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分が芳香脂肪族ポリイソシアネートであるポリウレタン樹脂である。より具体的には、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分が1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体であるポリウレタン樹脂である。さらに具体的には、ポリウレタン樹脂は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体(ポリイソシアネート成分)とポリテトラメチレンエーテルグリコール(長鎖の活性水素基含有成分)との反応物であるプレポリマーと、鎖伸長剤としての1,4−ブチレングリコール(短鎖の活性水素基含有成分)との反応物であるポリウレタン樹脂である。
【0057】
ポリウレタン樹脂の硬度(JIS K7311)は、好ましくは、A87以下である。なお、ポリウレタン樹脂の硬度は、例えば、A50以上である。
【0058】
ポリウレタン樹脂の硬度がA87以下である場合、得られるポリウレタン樹脂成形物がブロッキングしやすい傾向にある。しかし、本発明のポリウレタン樹脂ペレットは、ブロッキング防止剤を含有する。そのため、ポリウレタン樹脂成形物がブロッキングすることを抑制できる。
【0059】
ブロッキング防止剤とは、ポリウレタン樹脂成形物同士がブロッキングすることを防止するための薬剤である。ブロッキング防止剤としては、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィンからなるポリオレフィン粒子が挙げられる。
【0060】
好ましくは、ブロッキング防止剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の粒子である。
【0061】
また、好ましくは、ブロッキング防止剤は、界面活性剤を含有しないソープフリー型である。ソープフリー型のブロッキング防止剤としては、例えば、特公昭58−42207公報、特公平5−39975公報などに記載のカルボキシル基変性されたポリオレフィンを用いて合成されるポリオレフィン粒子が挙げられる。
【0062】
このようなポリオレフィン粒子は、市販品として入手可能であり、例えば、ケミパールシリーズ(三井化学社製)などが挙げられる。
【0063】
ブロッキング防止剤が上記したポリオレフィン粒子であると、ポリウレタン樹脂ペレットを用いて成形された成形品において、耐水性の低下を抑制することができ、ブロッキング防止剤がブルームや異物混入(コンタミネーション)の原因となることを抑制できる。なお、異物混入の有無は、後述する実施例において、フィッシュアイの個数として評価される。
【0064】
ポリオレフィン粒子の粒子径は、例えば、4μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、11μm以下、好ましくは、10μm以下である。なお、粒子径とは、コールターカウンター法測定による体積平均粒子径である。
【0065】
ポリオレフィン粒子の粒子径が上記下限値以上かつ上記上限値以下であると、ポリウレタン樹脂成形物同士がブロッキングすることを抑制できる。
【0066】
ポリウレタン樹脂ペレット中のブロッキング防止剤の含有割合は、例えば、100ppm以上、好ましくは、500ppm以上であり、例えば、3000ppm以下、好ましくは、2000ppm以下である。
【0067】
ブロッキング防止剤の含有割合が上記下限値以上かつ上記上限値以下であると、ポリウレタン樹脂成形物同士がブロッキングすることを、より抑制できる。
【0068】
ポリウレタン樹脂ペレットの見掛け密度(JIS K7365)は、例えば、0.46g/cm
3以上、好ましくは、0.55g/cm
3以上、より好ましくは、0.58g/cm
3以上であり、例えば、0.85g/cm
3以下、好ましくは、0.80g/cm
3以下である。
【0069】
ポリウレタン樹脂ペレットの見掛け密度は、ポリウレタン樹脂成形物同士のブロッキングの程度を推し量る指標であり、見掛け密度が上記下限値以上かつ上記上限値以下であると、ポリウレタン樹脂成形物同士のブロッキングが抑制されている。
【0070】
また、ポリウレタン樹脂ペレットを用いて成形された成形品のフィッシュアイの個数は、後述する実施例に記載の方法で測定され、例えば、5個/100cm
2以下、好ましくは、3個/100cm
2以下であり、例えば、0個/100cm
2以上である。
【0071】
フィッシュアイの個数が少ない方が、異物混入が少ないことを示す。
【0072】
次いで、本発明のポリウレタン樹脂ペレットの製造方法について説明する。
【0073】
本発明のポリウレタン樹脂ペレットの製造方法は、上記したポリウレタン樹脂の製造に好適である。本発明のポリウレタン樹脂ペレットの製造方法は、例えば、
図1に示すペレット製造システム1を用いて実施される。
【0074】
ペレット製造システム1は、ストランドカット方式を採用し、ポリウレタン樹脂の不定形粉砕物を、所定の形状および所定のサイズを有するペレットに成形(造粒)する。
【0075】
ペレット製造システム1は、原料タンク2と、原料乾燥機3と、押出成形機4と、搬送装置5と、送風機6Aと、散水機6Bと、浸漬槽7と、切断装置の一例としてのペレタイザー8と、脱水機9と、選別機10と、ペレット乾燥機11とを備える。
【0076】
原料タンク2には、原料として、ポリウレタン樹脂の不定形粉砕物が貯留される。原料タンク2内の原料は、気力輸送などの輸送方法により、原料乾燥機3へ輸送される。
【0077】
原料乾燥機3は、原料タンク2から輸送された原料を乾燥する。詳しくは、原料乾燥機3は、除湿乾燥機であり、吸湿剤等によって水分が除去された乾燥空気を用いて、原料を乾燥する。原料乾燥機3によって乾燥された原料は、気力輸送などの輸送方法により、押出成形機4に輸送される。
【0078】
押出成形機4は、原料(ポリウレタン樹脂の不定形粉砕物)を溶融して、溶融されたポリウレタン樹脂(溶融樹脂)をストランド状に押し出す。押出成形機4は、バレル4Aと、ギアポンプ4Bと、スクリーンチェンジャー4Cと、ダイ4Dとを備える。
【0079】
バレル4Aは、原料を押し出しながら溶融する。バレル4Aは、水平方向の一方向(押出方向)に延びる筒形状を有する。バレル4A内には、図示しないスクリューが設けられる。バレル4Aの押出方向上流側端部に投入された原料は、バレル4A内で加熱され、溶融される。また、原料は、溶融されながら、スクリューによって、バレル4Aの押出方向下流側端部へ向かって押し出される。
【0080】
ギアポンプ4Bは、バレル4Aの押出方向下流側端部に取り付けられる。ギアポンプ4Bは、溶融樹脂を定量吐出する。
【0081】
スクリーンチェンジャー4Cは、内部に、交換可能なスクリーンを備える。スクリーンは、ギアポンプ4Bから吐出された溶融樹脂から未溶融樹脂などの不純物を除去する。スクリーンチェンジャー4Cは、ギアポンプ4Bとダイ4Dとの間に介在される。
【0082】
ダイ4Dは、スクリーンチェンジャー4Cを通過した溶融樹脂をストランド状に成形する。ダイ4Dは、ギアポンプ4Bの吐出方向(押出方向と同じ方向)において、ギアポンプ4Bおよびスクリーンチェンジャー4Cの下流側に配置される。
【0083】
搬送装置5は、押出成形機4から押し出されたポリウレタン樹脂(溶融樹脂のストランドS)を、ペレタイザー8へ向かって搬送する。搬送装置5は、押出成形機4とペレタイザー8との間に配置される。搬送装置5は、搬送ベルト5Aと、ベルト乾燥機5Bとを備える。
【0084】
搬送ベルト5Aは、エンドレスベルトである。搬送ベルト5Aは、複数のローラの周りに掛けられている。搬送ベルト5Aの上面は、押出成形機4からペレタイザー8へ向かうにつれて、下方に傾斜している。搬送ベルト5Aの上面には、押出成形機4から押し出されたストランドSが載置される。搬送ベルト5Aは、複数のローラによって、その上面が押出成形機4からペレタイザー8へ向かって移動するように、周回される。これにより、搬送ベルト5Aの上面に載置されたストランドSは、押出成形機4からペレタイザー8へ向かって搬送される。
【0085】
ベルト乾燥機5Bは、搬送ベルト5Aに加熱された空気を吹き掛けて、散水機6Bからの水で濡れた搬送ベルト5Aを乾燥する。ベルト乾燥機5Bは、空気を吐出するノズルを備える。ベルト乾燥機5Bのノズルは、搬送ベルト5Aの下方に、間隔を隔てて配置される。
【0086】
送風機6Aおよび散水機6Bは、搬送装置5によって搬送されているポリウレタン樹脂(ストランドS)を冷却するための冷却装置である。
【0087】
送風機6Aは、搬送装置5によって搬送されているストランドSを空冷する。送風機6Aは、空気を吐出するノズルを備える。送風機6Aのノズルは、搬送装置5がストランドSを搬送する搬送方向において、搬送ベルト5Aの上流側に配置される。また、送風機6Aのノズルは、搬送ベルト5Aの上方に、間隔を隔てて配置される。
【0088】
散水機6Bは、搬送装置5によって搬送されているストランドSを水冷する。散水機6Bは、水を吐出するノズルを備える。散水機6Bが吐出する水は、後述するブロッキング防止剤を含有しない。散水機6Bのノズルは、搬送装置5の搬送方向において、送風機6Aのノズルよりも下流側に配置される。また、散水機6Bのノズルは、搬送ベルト5Aの上方に、間隔を隔てて配置される。
【0089】
浸漬槽7は、散水機6Bとペレタイザー8との間に配置される。詳しくは、浸漬槽7は、散水機6Bのノズルとペレタイザー8との間に配置される。また、浸漬槽7は、搬送装置5とペレタイザー8との間に配置される。浸漬槽7は、上記したブロッキング防止剤を含有する処理液を、貯留する。処理液は、例えば、ブロッキング防止剤の水分散液として調製される。
【0090】
浸漬槽7内の処理液には、散水機6Bによって冷却されたポリウレタン樹脂(ストランドS)が、浸漬される。詳しくは、散水機6Bによって冷却されたストランドSは、複数の搬送ローラ12によって、搬送装置5からペレタイザー8に向かって搬送される。ストランドSは、複数の搬送ローラ12によって搬送されながら、浸漬槽7内の処理液に浸漬され、その後、処理液から引き上げられる。
【0091】
ペレタイザー8は、ストランドカット用のペレタイザーである。ペレタイザー8は、押出成形機4から押し出されたポリウレタン樹脂を切断する。詳しくは、ペレタイザー8は、処理液から引き上げられたストランドSを、所定の長さごとに切断する。これにより、所定の形状を有するポリウレタン樹脂ペレットPが成形される。ペレタイザー8は、押出成形機4から水平方向一方向に離れて配置される。ペレタイザー8は、浸漬槽7に対して、押出成形機4の反対側に配置される。ペレタイザー8は、複数の搬送ローラ12によるストランドSの搬送方向において、浸漬槽7の下流側に配置される。浸漬槽7とペレタイザー8との間には、ストランドSに付着した処理液を除去する(水切りする)ための装置(水切機)が配置されていないことが好ましい。
【0092】
脱水機9は、ペレタイザー8によって成形されたポリウレタン樹脂ペレットPを脱水する。脱水機9としては、例えば、公知の流動相型乾燥機が挙げられる。市販されている流動相型乾燥機としては、例えば、振動流動層乾燥機VDF型(株式会社徳寿工作所製)、横型多室式連続流動層乾燥装置(株式会社栗本鐵工所製)、例えば、ミストラルシリーズ(株式会社タナカ製)などが挙げられる。脱水機9によって脱水されたポリウレタン樹脂ペレットPは、気力輸送などの輸送方法により、選別機10へ輸送される。
【0093】
選別機10は、ポリウレタン樹脂ペレットPを、適合品と不適合品とに選別する。適合品とは、所定の形状および所定のサイズを有するポリウレタン樹脂ペレットPを指す。不適合品とは、例えば、複数のポリウレタン樹脂ペレットPが連なった連粒ペレットや、所定の形状と異なる(すなわち、適合しない)形状を有する異形ペレットを指す。選別機10によって適合品として選別されたポリウレタン樹脂ペレットPは、気力輸送などの輸送方法により、ペレット乾燥器11へ輸送される。
【0094】
ペレット乾燥器11は、適合品として選別されたポリウレタン樹脂ペレットPを乾燥する。詳しくは、ペレット乾燥器11は、除湿乾燥機であり、吸湿剤等によって水分が除去された乾燥空気を用いて、ポリウレタン樹脂ペレットPを乾燥する。
【0095】
なお、本発明のポリウレタン樹脂ペレットの製造方法を実施するための製造システムは、ペレット製造システム1に限定されず、必要に応じて、適宜、変更可能である。例えば、上記したペレット製造システム1では、浸漬槽7とペレタイザー8との間に水切機を配置していないが、処理液が過度に付着した状態でストランドSがペレタイザー8に導入されることを防止するために、浸漬槽7とペレタイザー8との間に水切機を配置してもよい。浸漬槽7とペレタイザー8との間に水切機を配置した場合には、水切機の能力を調整し、付着した処理液を、必要量、ストランドSに残す必要がある。完全に処理液を除去すると、ブロッキング防止効果が失われるためである。
【0096】
本発明のポリウレタン樹脂ペレットの製造方法は、原料乾燥工程と、押出工程と、冷却工程と、浸漬工程と、切断工程と、ペレット脱水工程と、選別工程と、ペレット乾燥工程とを含む。
【0097】
原料乾燥工程では、原料乾燥機3により、ポリウレタン樹脂の不定形粉砕物(原料)を乾燥する。
【0098】
乾燥された原料中の水分の割合(水分率)は、例えば、0.1質量%以下、好ましくは、0.05質量%以下であり、通常、0.001質量%以上である。
【0099】
次いで、押出工程では、押出成形機4により、原料を溶融し、溶融されたポリウレタン樹脂を押し出す。
【0100】
詳しくは、原料乾燥機3からの原料は、バレル4Aに気力輸送され、バレル4A内で溶融される。溶融されたポリウレタン樹脂(溶融樹脂)は、ギアポンプ4Bによって定量吐出され、スクリーンチェンジャー4Cを通過した後、ダイ4Dによってストランド状に成形される。これにより、押出成形機4から、溶融樹脂のストレンドSが押し出される。
【0101】
また、溶融樹脂の温度は、バレル4A内において、例えば、150℃以上であり、例えば、300℃以下である。
【0102】
また、押出成形機4からの溶融樹脂の押し出し速度は、ギアポンプ4Bの吐出速度を調整することによって調整され、ペレットの製造量が、例えば、30kg/時間以上、200kg/時間以下となる速度である。
【0103】
次いで、冷却工程では、押出工程により押し出されたポリウレタン樹脂(ストランドS)を、搬送装置5で搬送しながら送風機6Aおよび散水機6Bで冷却する。
【0104】
また、冷却されたストランドSの温度は、例えば、60℃以下、好ましくは、40℃以下であり、例えば、1℃以上である。
【0105】
次いで、浸漬工程では、押出工程で押し出されたポリウレタン樹脂を、ブロッキング防止剤を含有する処理液に浸漬する。具体的には、浸漬工程では、冷却工程で冷却されたポリウレタン樹脂(ストランドS)を、浸漬槽7の処理液に浸漬する。
【0106】
処理液中のブロッキング防止剤の濃度(固形分)は、例えば、1質量%以上、好ましくは、4質量%以上であり、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
【0107】
処理液中のブロッキング防止剤の濃度が上記下限値以上かつ上記上限値以下であると、得られるポリウレタン樹脂ペレット中のブロッキング防止剤の含有割合を、上記の数値範囲に調整することができる。
【0108】
処理液に浸漬された後のストランドSの温度は、例えば、40℃以下、好ましくは、30℃以下であり、例えば、1℃以上である。
【0109】
処理液に浸漬された後のストランドSの上記温度での貯蔵弾性率E’は、例えば、15MPa以上、好ましくは、20MPa以上であり、例えば、100MPa以下である。
【0110】
次いで、切断工程では、浸漬工程の後、ポリウレタン樹脂(ストランドS)をペレタイザー8で切断し、ポリウレタン樹脂ペレットPを得る。
【0111】
ここで、ストランドSをペレタイザー8によって切断するときに、ストランドSの貯蔵弾性率E’が15MPa以上であることが好ましい。
【0112】
このときのストランドSの貯蔵弾性率E’が15MPa以下であると、ストランドSを切断することが困難であり、不適合品となるペレットが増える可能性がある。
【0113】
得られたポリウレタン樹脂ペレットP中の水分の割合(水分率)は、例えば、3質量%以下、好ましくは、2質量%以下であり、通常、0.1質量%以上である。
【0114】
次いで、ペレット脱水工程では、脱水機9により、ポリウレタン樹脂ペレットPを脱水する。
【0115】
脱水されたポリウレタン樹脂ペレットP中の水分の割合(水分率)は、例えば、1質量%以下、好ましくは、0.7質量%以下であり、通常、0.05質量%以上である。
【0116】
次いで、選別工程では、選別機10により、脱水されたポリウレタン樹脂ペレットPを、適合品と不適合品とに選別する。
【0117】
次いで、ペレット乾燥工程では、ペレット乾燥器11により、選別された適合品のポリウレタン樹脂ペレットPを乾燥する。
【0118】
乾燥されたポリウレタン樹脂ペレットP中の水分の割合(水分率)は、例えば、0.1質量%以下、好ましくは、0.07質量%以下であり、通常、0.001質量%以上である。
【0119】
その後、乾燥されたポリウレタン樹脂ペレットPは、パッケージされて、出荷される。
【0120】
このポリウレタン樹脂の製造方法によれば、押出成形機4から押し出されたポリウレタン樹脂を、ペレタイザー8で切断する前に、ブロッキング防止剤を含有する処理液に浸漬することができる。
【0121】
そのため、処理液が撹拌されて泡立つことを抑制しながら、ブロッキングが抑制されたポリウレタン樹脂ペレットを製造することができる。
【0122】
その結果、ポリウレタン樹脂ペレットを円滑に製造することができる。
【実施例】
【0123】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0124】
<ポリウレタン樹脂>
ポリウレタン樹脂として、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体(ポリイソシアネート成分、トランス体85モル%含有)と、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(長鎖の活性水素基含有成分)との反応物であるプレポリマーと、鎖伸長剤としての1,4−ブチレングリコール(短鎖の活性水素基含有成分)との反応物を用いた。
【0125】
このポリウレタン樹脂の、貯蔵弾性率E’が20MPaとなる温度は、10℃であった。このポリウレタン樹脂の硬度(JIS K 7311)は、A80であった。
【0126】
<実施例および比較例>
実施例1
図1に示すペレット製造システム1を用いて、上記したポリウレタン樹脂を原料とし、ブロッキング防止剤としてケミパールW200(三井化学社製、ソープフリー型のポリエチレン粒子の水分散液、粒子径6μm)を用いて、ペレットの製造量が40kg/時間となる条件(なお、溶融樹脂の温度は、240℃である。)で、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0127】
浸漬槽7におけるブロッキング防止剤の濃度(固形分)は、7質量%に調整した。
【0128】
実施例2〜5
浸漬槽7におけるブロッキング防止剤の濃度を、表1に示す濃度とした以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0129】
実施例6
ブロッキング防止剤としてケミパールW400(三井化学社製、ソープフリー型のポリエチレン粒子の水分散液、粒子径4μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0130】
実施例7
ブロッキング防止剤としてケミパールW410(三井化学社製、ソープフリー型のポリエチレン粒子の水分散液、粒子径10μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0131】
実施例8
ブロッキング防止剤としてケミパールM200(三井化学社製、ソープフリー型の低密度ポリエチレン粒子の水分散液、粒子径6μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0132】
実施例9
ブロッキング防止剤としてケミパールV200(三井化学社製、ソープフリー型のエチレン−酢酸ビニル共重合体粒子の水分散液、粒子径6μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0133】
比較例1
ブロッキング防止剤としてケミパールW100(三井化学社製、ソープフリー型のポリエチレン粒子の水分散液、粒子径3μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0134】
比較例2
ブロッキング防止剤としてケミパールV100(三井化学社製、ソープフリー型のエチレン−酢酸ビニル共重合体粒子の水分散液、粒子径12μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0135】
比較例3
ブロッキング防止剤としてエチレンビス(脂肪酸アミド)の水分散体(日油社製、アルフローH50ES、固形分42%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0136】
比較例4
浸漬槽7において、処理液の代わりに、ブロッキング防止剤として微粉タルクP−3(日本タルク社製、平均粒子径5μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0137】
比較例5
ブロッキング防止剤を散水機6Bから吐出される水に配合した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0138】
比較例6
押出機にPASC21−H−S型(田辺プラスチックス機械製 アンダーウォーターストランドカットタイプ)を用い、その循環水にブロッキング防止剤を配合した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂ペレットを製造した。
【0139】
<作業性についての評価>
各実施例および各比較例において、ブロッキング防止剤が処理槽7や循環系(散水機6Bの水を循環させる循環系、アンダーウォーターストランドカットの水を循環させる循環系)において泡立っている状況を目視にて判定し、以下の評価基準に基づいて、評価した。結果を表1から表3に示す。
5:ほとんど泡立ちが見られない。
4:壁面などに泡立ちが見られる。
3:液面全体に泡立ちが見られる。
2:液面全体の泡立ちが大きい。
1:液面全体から著しく泡立ち、泡があふれて運転困難となる。
【0140】
各実施例および比較例1〜4では、ペレット製造システム1の運転を妨げるような泡立ちは見られず、継続的にペレットを製造することができた。
【0141】
比較例5では、ペレット製造システム1の運転開始から10分程度で、散水機6Bに水を循環供給するためのタンクに泡が発生し、それ以上の運転が困難であった。また、搬送ベルト5Aの表面に残存したブロッキング防止剤が、搬送ベルト5AからストランドSが剥離することを妨げ、それ以上の運転が困難であった。
【0142】
比較例6では、運転開始10分程度で、アンダーウォーターストランドカットの遠心脱水機のタンクから泡が発生し、それ以上の運転が困難であった。
【0143】
<ペレットの物性評価>
各実施例および各比較例で得られたポリウレタン樹脂ペレットについて、以下の物性を評価した。
【0144】
(1)見掛け密度
各実施例および各比較例で得られたポリウレタン樹脂ペレットについて、プラスチック−規定漏斗から注ぐことができる材料の見掛け密度の求め方(JIS K7365)に準拠して、見掛け密度を求めた。結果を表1から表3に示す。
【0145】
(2)フィッシュアイの個数 (単位:個/100cm
2)
各実施例および各比較例で得られたポリウレタン樹脂ペレットを用いて、押出成形により、厚み100μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて、無作為に5箇所抽出し、10×10cm当たりに目視にて観察されるフィッシュアイの量をカウントし、その平均値を算出した。結果を表1から表3に示す。
【0146】
(3)ブルーム
各実施例および各比較例で得られたポリウレタン樹脂ペレットを用いて、射出成形により、厚み2mmのシートを作製した。得られたシートを80℃×2週間処理し、処理前と外観を比べて、以下の評価基準に基づいて、評価した。結果を表1から表3に示す。
5:ほとんど表面にブルームが見られない。
4:全体に薄くブルームが見られる。
3:全体にブルームが見られる。
2:全体にブルームがあり、かつ一部に強くブルームが見られる。
1:全体に強くブルームがみられる。
【0147】
(4)ブロッキング防止剤の付着量
試料として、各実施例および各比較例で得られたポリウレタン樹脂ペレット20gをバイアル瓶に採取し、アセトン50mlを加え、超音波洗浄を20分間行った。メンブレンフィルター(孔径:0.5μm)を用い、洗浄液をろ過した残存物を秤量した。この操作を計3回行い、試料60g(20g×3回)中に含有されるブロッキング防止剤の量を測定した。結果を表1から表3に示す。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】