(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置10の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る制御装置10は、電力系統1に接続され、電力系統1の系統電圧を調整する無効電力補償装置2を制御するものである。無効電力補償装置2は、例えば、入力される電圧指令に従い三相電圧を出力する三相電力変換器で構成される。
【0019】
図1に示す制御装置10は、連系点電圧検出器11と、電流検出器12と、電圧大きさ検出器13と、電圧大きさ制御器14と、dq座標電圧変換器15と、位相調整器16と、不平衡電圧検出器17と、不平衡電圧制御器18と、高調波電圧検出器19と、高調波電圧制御器20と、高調波電流制御器21と、dq座標電流制御器22と、dq座標電圧指令演算器23とを備える。
【0020】
連系点電圧検出器11は、電力系統1と無効電力補償装置2との接続点の電圧である連系点電圧を検出し、検出結果を電圧大きさ検出器13、dq座標電圧変換器15、不平衡電圧検出器17および高調波電圧検出器19に出力する。
【0021】
電流検出器12は、無効電力補償装置2の出力電流i
αβを検出し、検出結果を高調波電流制御器21およびdq座標電流制御器22に出力する。
【0022】
電圧大きさ検出器13は、連系点電圧検出器11により検出された連系点電圧の大きさV
lを以下の式(1)に基づき演算し、得られた連系点電圧の大きさV
lを電圧大きさ制御器14に出力する。なお、式(1)において、v
αは連系点電圧のα軸成分であり、v
bは連系点電圧のβ軸成分である。
【0024】
電圧大きさ制御器14は、連系点電圧の方向に直交する無効電流成分を指示する(無効電力補償装置2が出力する無効電流を指示する)無効電流指令i
qfrを生成する。ここで、電圧大きさ制御器14は、電圧大きさ検出器13から出力された連系点電圧の大きさV
lが所定値になるように無効電流指令i
qfrを生成する。電圧大きさ制御器14は、生成した無効電流指令i
qfrをdq座標電流制御器22に出力する。
【0025】
図2は、電圧大きさ制御器14の構成の一例を示す図である。
【0026】
図2に示す電圧大きさ制御器14は、電圧偏差演算器141と、電圧不感帯検出器142と、誤差増幅器143とを備える。
【0027】
電圧偏差演算器141は、連系点電圧の電圧指令である連系点電圧指令v
refから連系点電圧の大きさV
lを減算して偏差v
errを取得し、取得した偏差v
errを電圧不感帯検出器142に出力する。
【0028】
電圧不感帯検出器142は、電圧偏差演算器141から出力された偏差v
errを用いて、以下の式(2)に基づき、不感帯電圧v
dzを誤差増幅器143に出力する。なお、式(2)において、v
dzHは、系統電圧の電圧制御を行わない不感帯の上限値である。また、v
dzLは、系統電圧の電圧制御を行わない不感帯の下限値である。
【0030】
式(2)から明らかなように、電圧不感帯検出器142は、偏差v
errが所定の不感帯(偏差v
errに応じた電圧制御を行わない偏差v
errの範囲)の上限値v
dzH以上である場合には、偏差v
errから不感帯の上限値v
dzHを引いた値を不感帯電圧v
dzとして出力する。また、電圧不感帯検出器142は、偏差v
errが所定の不感帯の下限値v
dzL以下である場合には、偏差v
errから不感帯の下限値v
dzLを引いた値を不感帯電圧v
dzとして出力する。また、電圧不感帯検出器142は、偏差v
errが不感帯の下限値v
dzLより大きく、上限値v
dzHより小さいには、不感帯電圧v
dzとして0を出力する。
【0031】
誤差増幅器143は、電圧不感帯検出器142の出力(不感帯電圧v
dz)が0でない場合には、電圧不感帯検出器142の出力を比例積分増幅して無効電流指令i
qfrとしてdq座標電流制御器22に出力する。誤差増幅器143は、電圧不感帯検出器142の出力が0である場合には、無効電流指令i
qfrが所定の時定数で0に近づくような無効電流指令i
qfrを生成し、dq座標電流制御器22に出力する。
【0032】
図3は、誤差増幅器143の構成の一例を示す図である。
【0033】
図3に示す誤差増幅器143は、ゲイン増幅器301と、一次遅れフィルタ302と、加算器303と、出力切替器304とを備える。
【0034】
ゲイン増幅器301は、電圧不感帯検出器142の出力(不感帯電圧v
dz)をkp倍して加算器303に出力する。
【0035】
一次遅れフィルタ302は、以下の式(3)に示される伝達関数G1で表されるフィルタである。式(3)において、sはラプラス演算子であり、Tiは積分時間である。また、Aは、出力切替器304の出力に応じて切り替えられる値である。
【0037】
一次遅れフィルタ302は、無効電流指令i
qfrに対して伝達関数G1によるフィルタ処理(一次遅れ処理)を施して、加算器303に出力する。
【0038】
加算器303は、ゲイン増幅器301の出力(kp倍された不感帯電圧v
dz)と、一次遅れフィルタ302の出力との和を、無効電流指令i
qfrとして出力する。
【0039】
出力切替器304は、電圧不感帯検出器142から出力された不感帯電圧v
dzが0である場合には、AとしてゲインKを出力し、不感帯電圧v
dzが0でない場合には、Aとして0を出力する。
【0040】
したがって、
図3に示す誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0でない場合には、不感帯電圧v
dzを比例積分増幅して、無効電流指令i
qfrとして出力する。また、誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0である場合には、時定数T
l=Ti/Kで無効電流指令i
qfrが0に近づくようにする。なお、時定数T
lは、無効電流指令i
qfrが0に近づく際の応答速度を示す。
【0041】
誤差増幅器143の構成は、
図3に示す構成に限られるものではない。
図4は、誤差増幅器143の構成の他の一例を示す図である。なお、
図4において、
図3と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0042】
図4に示す誤差増幅器143は、ゲイン増幅器301と、一次遅れフィルタ302aと、加算器303aと、出力切替器304aと、乗算器305とを備える。
【0043】
出力切替器304aは、電圧不感帯検出器142から出力された不感帯電圧v
dzが0である場合には、ゲインKを乗算器305に出力し、不感帯電圧v
dzが0でない場合には、1を乗算器305に出力する。
【0044】
乗算器305は、出力切替器304aの出力(ゲインKまたは1)と、無効電流指令i
qfrとを乗算した値を一次遅れフィルタ302aに出力する。
【0045】
一次遅れフィルタ302aは、伝達関数G=1/(1+sTi)で表されるフィルタである。一次遅れフィルタ302aは、無効電流指令i
qfrに対して伝達関数Gによるフィルタ処理(一次遅れ処理)を施して、加算器303aに出力する。
【0046】
加算器303aは、ゲイン増幅器301の出力(kp倍された不感帯電圧v
dz)と、フィルタ302aの出力との和を無効電流指令i
qfrとして出力する。
【0047】
したがって、
図4に示す誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0でない場合には、不感帯電圧v
dzを比例積分増幅して、無効電流指令i
qfrとして出力する。また、誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0である場合には、時定数T
l=Ti/(1−K)で無効電流指令i
qfrが0に近づくようにする。
【0048】
図5は、誤差増幅器143の構成の他の一例を示す図である。なお、
図5において、
図3と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0049】
図5に示す誤差増幅器143は、ゲイン増幅器301と、一次遅れフィルタ302b−1,302b−2と、加算器303bと、出力切替器304bとを備える。
【0050】
一次遅れフィルタ302b−1は、伝達関数G=1/(1+sTi)で表されるフィルタである。一次遅れフィルタ302b−1は、無効電流指令i
qfrが入力され、入力(無効電流指令i
qfr)に対して伝達関数G=1/(1+sTi)によるフィルタ処理(一次遅れ処理)を施して、出力切替器304bに出力する。
【0051】
一次遅れフィルタ302b−2は、伝達関数G=1/(1+sTf)で表されるフィルタである。ここで、Tfは時定数である。一次遅れフィルタ302b−2は、0が入力され、入力に対して伝達関数G=1/(1+sTf)によるフィルタ処理(一次遅れ処理)を施して、出力切替器304bに出力する。
【0052】
出力切替器304bは、電圧不感帯検出器142から出力された不感帯電圧v
dzが0でない場合には、一次遅れフィルタ302b−1の出力を加算器303bに出力する。不感帯電圧v
dzが0になると、出力切替器304bの入力は、不感帯電圧v
dzが0に切り替わった瞬間の無効電流指令i
qfrの値にプリセットされる。その後、出力切替器304bは、一次遅れフィルタ302b−2の出力を加算器303bに出力する。その結果、出力切替器304bの出力は、プリセットされた値から時定数Tfで0に近づいていく。
【0053】
加算器303aは、ゲイン増幅器301の出力(kp倍された不感帯電圧v
dz)と、出力切替器304bの出力との和を、無効電流指令i
qfrとして出力する。
【0054】
したがって、
図5に示す誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0でない場合には、不感帯電圧v
dzを比例積分増幅して、無効電流指令i
qfrとして出力する。また、誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0である場合には、時定数T
l=Tfで無効電流指令i
qfrが0に近づくようにする。
【0055】
図6は、誤差増幅器143の構成の他の一例を示す図である。なお、
図6において、
図3と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0056】
図6に示す誤差増幅器143は、ゲイン増幅器301と、一次遅れフィルタ302cと、加算器303cと、出力切替器304cと、積分器306とを備える。
【0057】
積分器306は、電圧不感帯検出器142から出力された不感帯電圧v
dzを積分して出力切替器304cに出力する。
【0058】
一次遅れフィルタ302cは、伝達関数G=1/(1+sTf)で表されるフィルタである。一次遅れフィルタ302cは、入力として0が入力され、入力に対して伝達関数G=1/(1+Tfs)によるフィルタ処理(一次遅れ処理)を施して、出力切替器304cに出力する。
【0059】
出力切替器304cは、電圧不感帯検出器142から出力された不感帯電圧v
dzが0でない場合には、積分器306の出力を加算器303cに出力する。不感帯電圧v
dzが0になると、出力切替器304cの入力は、不感帯電圧v
dzが0に切り替わった瞬間の無効電流指令i
qfrの値にプリセットされる。その後、出力切替器304cは、一次遅れフィルタ302cの出力を加算器303cに出力する。その結果、出力切替器304cの出力は、プリセットされた値から時定数Tfで0に近づいていく。
【0060】
加算器303cは、ゲイン増幅器301の出力(kp倍された不感帯電圧v
dz)と、出力切替器304cの出力との和を無効電流指令i
qfrとして出力する。
【0061】
したがって、
図6に示す誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0でない場合には、不感帯電圧v
dzを比例積分増幅して、無効電流指令i
qfrとして出力する。また、誤差増幅器143は、不感帯電圧v
dzが0である場合には、時定数T
l=Tfで無効電流指令i
qfrが0に近づくようにする。
【0062】
なお、
図4に示す誤差増幅器143においては、連系点電圧が定常的に、不感帯の上限値v
dzH以上、あるいは、下限値v
dzL以下である場合には、補償容量が残っている限り補償を行ってしまい、残補償容量が0もしくは少なくなってしまう。この場合、連系点電圧に瞬時的な変動がさらに生じた場合、補償を行うことができなくなってしまうという問題がある。
【0063】
このような問題を回避するために、定常的な電力系統1の電圧変動は、電力系統1に直列に接続され、自動的に変圧器のタップを切り替えて電圧を調整する電圧調整装置(SVR:Step Voltage Regulator)で補償し、無効電力補償装置2は、瞬時的な電力系統1の電圧変動の補償に特化するような協調制御が必要である。
【0064】
図7は、電圧大きさ制御器14の構成の他の一例を示す図である。
図7に示す電圧大きさ制御器14は、上述した協調制御に適したものである。
【0065】
図7に示す電圧大きさ制御器14は、電流不感帯検出器144と、フィルタ出力切替器145と、一次遅れフィルタ146と、減算器147と、誤差増幅器148とを備える。
【0066】
電流不感帯検出器144は、無効電流指令i
qfrが入力され、入力された無効電流指令i
qfrが無効電流の不感帯の上限値I
qH以上である場合には、−1をフィルタ出力切替器145に出力する。また、電流不感帯検出器144は、無効電流指令i
qfrが無効電流の不感帯の下限値I
qL以下である場合には、1をフィルタ出力切替器145に出力する。また、電流不感帯検出器144は、無効電流指令i
qfrが無効電流の不感帯の下限値I
qLより大きく、上限値I
qHより小さい場合には、0をフィルタ出力切替器145に出力する。
【0067】
フィルタ出力切替器145は、電流不感帯検出器144の出力が1である場合には、上限の電圧指令V
Hを一次遅れフィルタ146に出力する。また、フィルタ出力切替器145は、電流不感帯検出器144の出力が−1である場合には、下限の電圧指令V
Lを一次遅れフィルタ146に出力する。また、フィルタ出力切替器145は、電流不感帯検出器144の出力が0である場合には、一次遅れフィルタ146の出力を一次遅れフィルタ146に入力する。すなわち、フィルタ出力切替器145は、無効電流指令i
qfrが、無効電流の不感帯の上限値I
qH以上である場合には、下限の電圧指令V
Lを一次遅れフィルタ146に入力する。また、フィルタ出力切替器145は、無効電流指令i
qfrが、無効電流の不感帯の下限値I
qL以下である場合には、上限の電圧指令V
Hを一次遅れフィルタ146に入力する。また、フィルタ出力切替器145は、無効電流指令i
qfrが、不感帯の上限値I
qHより小さく、不感帯の下限値I
qLより大きい場合には、一次遅れフィルタ146の出力を一次遅れフィルタ146に入力する。
【0068】
一次遅れフィルタ146は、伝達関数G=1/(1+sTv)で表されるフィルタである。ここで、Tvは時定数である。一次遅れフィルタ146は、フィルタ出力切替器145から電圧指令が入力され、入力された電圧指令に対して伝達関数Gによるフィルタ処理(一次遅れ処理)を施して電圧指令を生成する。一次遅れフィルタ146は、生成した電圧指令をフィルタ出力切替器145および減算器147に出力する。すなわち、一次遅れフィルタ146は、入力された電圧指令に対して一次遅れ処理を行った電圧指令を出力する。
【0069】
減算器147は、一次遅れフィルタ146から出力された電圧指令から連系点電圧の大きさv
lを減算した偏差を演算し、演算した偏差を誤差増幅器148に出力する。
【0070】
誤差増幅器148は、減算器147から出力された偏差を比例積分増幅し、無効電流指令i
qfrとして電流不感帯検出器144およびdq座標電流制御器22に出力する。すなわち、誤差増幅器148は、一次遅れフィルタ146から出力された電圧指令と連系点電圧の大きさv
lとの偏差を比例積分増幅し、無効電流指令i
qfrとして出力する。
【0071】
図7に示す電圧大きさ制御器14によれば、無効電流指令i
qfrが、無効電流の不感帯の上限値I
qH以上である場合には、下限の電圧指令V
L(電圧指令として設定可能な下限値)に応じた無効電流指令i
qfrが生成される。また、無効電流指令i
qfrが、無効電流の不感帯の下限値I
qL以下である場合には、上限の電圧指令V
H(電圧指令として設定可能な上限値)に応じた無効電流指令i
qfrが生成される。そのため、無効電流指令i
qfrが無効電流の不感帯を逸脱したときに、無効電流指令i
qfrを時定数Tvによって所定の時間で不感帯の範囲内に戻すことができる。つまり、瞬時的な電力系統1の電圧変動を補償することができる。そのため、
図7に示す電圧大きさ制御器14は、上述した協調制御に適したものである。
【0072】
図1を再び参照すると、dq座標電圧変換器15は、連系点電圧を電圧位相θで負方向に回転座標変換し(負の電圧位相(−θ)で回転座標変換し)、dq座標系の成分の電圧ベクトルV
dqとして位相調整器16に出力する。ここで、dq座標系は、電力系統1の周波数で順方向に回転する直交するd軸とq軸とからなる座標系である。すなわち、dq座標電圧変換器15は、連系点電圧を、負の電圧位相(−θ)で回転座標変換して、電力系統1の周波数で順方向に回転する直交するd軸とq軸とからなるdq座標系の成分の電圧ベクトルV
dqとして出力する。
【0073】
位相調整器16は、電力系統1の周波数の半周期における、dq座標電圧変換器15から出力された電圧ベクトルV
dqのq軸成分の平均値が0となるような電圧位相θを決定する。位相調整器16は、決定した電圧位相θをdq座標電圧変換器15、不平衡電圧検出器17、高調波電圧検出器19、高調波電流制御器21およびdq座標電流制御器22に出力する。
【0074】
不平衡電圧検出器17は、連系点電圧を電圧位相θで回転座標変換して得られるxyb座標系の成分の電圧ベクトルの、電力系統1の周波数の半周期における平均値である不平衡電圧ベクトルV
xybを検出する。ここで、xyb座標系は、電力系統1の周波数で逆方向に回転する直交するxb軸とyb軸とからなる座標系である。不平衡電圧検出器17は、検出した不平衡電圧ベクトルV
xybを不平衡電圧制御器18に出力する。
【0075】
不平衡電圧制御器18は、不平衡電圧検出器17から出力された不平衡電圧ベクトルV
xybの各成分を比例積分増幅し、不平衡補償電流指令ベクトルi
xybr(不平衡補償電流指令)としてdq座標電流制御器22に出力する。
【0076】
図8は、不平衡電圧制御器18の構成の一例を示す図である。
【0077】
図8に示す不平衡電圧制御器18は、不平衡補償電流指令生成器181を備える。
【0078】
不平衡補償電流指令生成器181は、不平衡電圧検出器17から出力された不平衡電圧ベクトルV
xybの各成分を比例積分増幅し、不平衡電圧ベクトルV
xybの各成分が0となるような不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrをdq座標電流制御器22に出力する。すなわち、不平衡補償電流指令生成器181は、不平衡電圧ベクトルV
xybのxyb座標系の各成分を比例積分増幅し、不平衡補償電流指令ベクトルi
xybr(不平衡補償電流指令)として出力する。
【0079】
図8においては、不平衡電圧の不感帯を設けない場合の不平衡電圧制御器18の構成例を説明したが、これに限られるものではない。
【0080】
図9は、不平衡電圧の不感帯を設けた場合の不平衡電圧制御器18の構成の他の一例を示す図である。
【0081】
図9に示す不平衡電圧制御器18は、不感帯付き不平衡電圧ベクトル生成器182と、不平衡補償電流指令生成器185とを備える。
【0082】
不感帯付き不平衡電圧ベクトル生成器182は、不平衡電圧検出器17から出力された不平衡電圧ベクトルV
xybの大きさが、不平衡電圧の不感帯の幅未満である場合には、大きさが0の不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxyb(出力電圧ベクトル)を不平衡補償電流指令生成器185に出力する。また、不感帯付き不平衡電圧ベクトル生成器182は、不平衡電圧ベクトルV
xybの大きさが、不平衡電圧の不感帯の幅以上である場合には、不平衡電圧ベクトルV
xybと同じ向きで、不平衡電圧の不感帯の幅の大きさを有する不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxyb(出力電圧ベクトル)を不平衡補償電流指令生成器185に出力する。
【0083】
不感帯付き不平衡電圧ベクトル生成器182は、不平衡電圧大きさ演算器183と、不平衡電圧不感帯検出器184とを備える。
【0084】
不平衡電圧大きさ演算器183は、以下の式(4)に基づき、不平衡電圧ベクトルV
xybの大きさv
bvlを演算し、不平衡電圧不感帯検出器184に出力する。
【0086】
不平衡電圧不感帯検出器184は、不平衡電圧ベクトルV
xybと、不平衡電圧大きさ演算器183から出力された不平衡電圧ベクトルV
xybの大きさv
bvlとを用いて、以下の式(5)に基づき、不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxybを生成する。
【0088】
すなわち、不平衡電圧不感帯検出器184は、不平衡電圧ベクトルV
xybの大きさv
bvlが、不平衡電圧の不感帯(不平衡電圧に応じた不平衡補償制御を行わない不平衡電圧の範囲)の幅未満である場合には、大きさがゼロの不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxyb(出力電圧ベクトル)を生成する。また、不平衡電圧不感帯検出器184は、不平衡電圧ベクトルV
xybの大きさv
bvlが、不平衡電圧の不感帯の幅以上である場合には、不平衡電圧ベクトルV
xybと同じ向きで不平衡電圧の不感帯の幅v
bwの大きさを有する不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxyb(出力電圧ベクトル)を生成する。
【0089】
不平衡電圧不感帯検出器184は、生成した不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxybを不平衡補償電流指令生成器185に出力する。
【0090】
不平衡補償電流指令生成器185は、例えば、
図3〜
図6を参照して説明した誤差増幅器143と同様の構成を有する。ただし、ゲインの値は異なる。不平衡補償電流指令生成器185は、不感帯付き不平衡電圧ベクトル生成器182から出力された不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxyb(出力電圧ベクトル)の大きさが0でない場合には、不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxybの各成分を比例積分増幅して、不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrとしてdq座標電流制御器22に出力する。また、不平衡補償電流指令生成器185は、不感帯不平衡電圧ベクトルv
dzxybの大きさが0である場合には、不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrの各成分が、
図3〜6を参照して説明した誤差増幅器143それぞれの時定数でゼロに近づくような不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrをdq座標電流制御器22に出力する。
【0091】
図1を再び参照すると、高調波電圧検出器19は、連系点電圧を電圧位相θのn倍の角度(nθ)で回転座標変換して得られるxyn座標系の成分の電圧ベクトルの、電力系統1の周波数の半周期における平均であるn次高調波電圧ベクトルV
xynを生成する。ここで、xyn座標系は、電力系統1のn倍の周波数で回転する直交するxn軸とyn軸とからなる座標系である。nは、例えば、5,7,11,13である(n=6m±1(mは1以上の自然数))である。したがって、高調波電圧検出器19は、電力系統1の周波数を1次としたときに、連系点電圧の5次、7次、11次、13次高調波電圧を直流分に変換して抽出し、高調波電圧制御器20に出力する。なお、
図1においては、5次、7次、11次、13次高調波電圧を纏めて、n次高調波電圧ベクトルV
xynとして示している。
【0092】
高調波電圧制御器20は、高調波電圧検出器19から出力されたn次高調波電圧ベクトルV
xynを比例積分増幅して、n次高調波電圧ベクトルV
xynの各成分が0となるようなn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynr(n次高調波電流指令)を生成する。すなわち、高調波電圧制御器20は、無効電力補償装置2の出力電流i
αβのxyn座標系の各成分が、n次高調波抑制電流指令の各成分に追従するように無効電力補償装置2を制御する。
【0093】
図10は、高調波電圧制御器20の構成の一例を示す図である。高調波電圧制御器20は、
図10に示す構成を、各次数の高調波に対応して備えている。
【0094】
図10に示す高調波電圧制御器20は、n次高調波抑圧電流指令生成器201を備える。
【0095】
n次高調波抑圧電流指令生成器201は、n次高調波電圧ベクトルV
xynの各成分を比例積分増幅し、n次高調波電圧ベクトルV
xynの各成分が0となるようなn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrを高調波電流制御器21に出力する。
【0096】
図10においては、高調波電圧の不感帯を設けない場合の高調波電圧制御器20の構成例を説明したが、これに限られるものではない。
【0097】
図11は、高調波電圧の不感帯を設けた場合の高調波電圧制御器20の構成の一例を示す図である。なお、
図11においても、高調波電圧制御器20は、
図11に示す構成を、各次数の高調波に対応して備えている。
【0098】
図11に示す高調波電圧制御器20は、不感帯付きn次高調波電圧ベクトル生成器202と、n次高調波抑制電流指令生成器205とを備える。
【0099】
不感帯付きn次高調波電圧ベクトル生成器202は、高調波電圧検出器19から出力されたn次高調波電圧ベクトルV
xynの大きさが、n次高調波電圧の不感帯の幅未満である場合には、大きさが0の不感帯付きn次高調波電圧ベクトルV
dzxyn(出力電圧ベクトル)をn次高調波抑制電流指令生成器205に出力する。また、不感帯付きn次高調波電圧ベクトル生成器202は、n次高調波電圧ベクトルV
xynの大きさが、n次高調波電圧の不感帯の幅以上である場合には、n次高調波電圧ベクトルV
xynと同じ向きで、n次高調波電圧の不感帯の幅の大きさを有する不感帯付きn次高調波電圧ベクトルV
dzxyn(出力電圧ベクトル)をn次高調波抑制電流指令生成器205に出力する。
【0100】
不感帯付きn次高調波電圧ベクトル生成器202は、n次高調波電圧大きさ演算器203と、n次高調波電圧不感帯検出器204とを備える。
【0101】
n次高調波電圧大きさ演算器203は、以下の式(6)に基づき、高調波電圧検出器19から出力されたn次高調波電圧ベクトルV
xynの大きさv
nvlを演算し、n次高調波電圧不感帯検出器204に出力する。
【0103】
n次高調波電圧不感帯検出器204は、n次高調波電圧ベクトルV
xynと、n次高調波電圧大きさ演算器203から出力されたn次高調波電圧ベクトルV
xynの大きさv
nvlとを用いて、以下の式(7)に基づき、不感帯付きn次高調波電圧ベクトルV
dzxynを生成する。
【0105】
n次高調波抑制電流指令生成器205は、例えば、
図3〜
図6を参照して説明した誤差増幅器143と、同様の構成を有する。ただし、ゲインの値は異なる。n次高調波抑制電流指令生成器205は、不感帯付きn次高調波電圧ベクトル生成器202から出力された不感帯付きn次高調波電圧ベクトルV
dzxyn(出力電圧ベクトル)の大きさが0でない場合には、不感帯付きn次高調波電圧ベクトルV
dzxynの各成分を比例積分増幅して、n次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrとして高調波電流制御器21に出力する。また、n次高調波抑制電流指令生成器205は、不感帯付きn次高調波電圧ベクトルV
dzxynの大きさが0である場合には、不感帯付きn次高調波電圧ベクトルV
dzxynが、
図3〜
図6を参照して説明した誤差増幅器143の時定数でゼロに近づくようなn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrを高調波電流制御器21に出力する。
【0106】
図1を再び参照すると、高調波電圧制御器20は、5次、7次、11次、13次高調波電圧それぞれについて生成した高調波補償電流指令ベクトルを高調波電流制御器21に出力する。
図1においては、5次、7次、11次、13次高調波電圧それぞれについて生成された高調波補償電流指令ベクトルを纏めて、n次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrとして示している。
【0107】
高調波電流制御器21は、無効電力補償装置2の出力電流i
αβのxyb座標系の各成分が、高調波電圧制御器20から出力されたn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynr(n次高調波電流指令)の各成分に追従するように無効電力補償装置2を制御する。
【0108】
図12は、高調波電流制御器21の構成の一例を示す図である。高調波電流制御器21は、
図12に示す構成を、各次数の高調波に対応して備えている。
【0109】
図12に示す高調波電流制御器21は、n次高調波電流検出器211と、n次高調波電流偏差演算器212と、xyn座標系積分器213と、n次高調波dq座標電圧変換器214と、n次高調波dq座標電流変換器215とを備える。
【0110】
n次高調波電流検出器211は、電流検出器12により検出された無効電力補償装置2の出力電流i
αβをnθで回転座標変換した電流ベクトルであるn次高調波電流ベクトルI
xynを生成し、n次高調波電流偏差演算器212に出力する。すなわち、n次高調波電流検出器211は、無効電力補償装置2の出力電流i
αβのxyn座標系の各成分の電流ベクトルの、電力系統1の周波数の半周期における平均値であるn次高調波電流ベクトルI
xynを出力する。
【0111】
n次高調波電流偏差演算器212は、高調波電圧制御器20から出力されたn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrと、n次高調波電流検出器211から出力されたn次高調波電流ベクトルI
xynとの各成分の偏差を演算し、xyn座標系積分器213に出力する。
【0112】
xyn座標系積分器213は、n次高調波電流偏差演算器212から出力された偏差を積分して、n次高調波dq座標電圧変換器214に出力する。
【0113】
n次高調波dq座標電圧変換器214は、xyn座標系積分器213の出力を、−(n+1)θで回転座標変換して、n次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dqnrを生成する。n次高調波dq座標電圧変換器214は、生成したn次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dqnrをdq座標電圧指令演算器23に出力する。
【0114】
n次高調波dq座標電流変換器215は、高調波電圧制御器20から出力されたn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrを、−(n+1)θで回転座標変換して、n次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dqnrを生成する。n次高調波dq座標電流変換器215は、生成したn次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dqnrをdq座標電流制御器22に出力する。
【0115】
図1を再び参照して説明すると、高調波電流制御器21は、n次(5次、7次、11次、13次)高調波dq座標電流指令ベクトルi
dqnrをdq座標電流制御器22に出力する。また、高調波電流制御器21は、n次(5次、7次、11次、13次)高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dqnrをdq座標電圧指令演算器23に出力する。
【0116】
dq座標電流制御器22は、各制御(電圧制御、不平衡補償制御、高調波抑制制御)により求められた電流指令をdq座標系に変換したdq座標系電流指令が、無効電力補償装置2の出力電流i
αβをdq座標に変換したものに一致するような電圧指令である無効電圧指令v
qfbrおよび有効電圧指令v
dfbrを生成するように動作する。dq座標電流制御器22は、生成した無効電圧指令v
qfbrと有効電圧指令v
dfbrとをdq座標電圧指令演算器23に出力する。
【0117】
図13は、dq座標電流制御器22の構成の一例を示す図である。
【0118】
図13に示すdq座標電流制御器22は、不平衡dq座標変換器221と、総和電流指令演算器222と、dq座標変換器223と、dq座標電流偏差演算器224と、無効電流制御器225と、有効電流制御器226とを備える。
【0119】
不平衡dq座標変換器221は、不平衡電圧制御器18から出力された不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrを、電圧位相θで回転座標変換することでdq座標系のベクトルである不平衡dq座標電流指令ベクトルI
dqbrを生成し、総和電流指令演算器222に出力する。
【0120】
総和電流指令演算器222は、式(8)で表されるように、入力される各dq座標の電流指令のq軸成分を加算して、総和無効電流指令i
qrとしてdq座標電流偏差演算器224に出力する。また、総和電流指令演算器222は、入力される各dq座標の電流指令のd軸成分を加算して、総和有効電流指令i
drとしてdq座標電流偏差演算器224に出力する。なお、式(8)において、i
q5rは5次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq5rのq軸成分である。i
q7rは7次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq7rのq軸成分である。i
q11rは11次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq11rのq軸成分である。i
q13rは13次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq13rのq軸成分である。i
d5rは5次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq5rのd軸成分である。i
d7rは7次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq7rのd軸成分である。i
d11rは11次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq11rのd軸成分である。i
d13rは13次高調波dq座標電流指令ベクトルi
dq13rのq軸成分である。
【0122】
dq座標変換器223は、無効電力補償装置2の出力電流i
αβを電圧位相θで負方向に回転座標変換することで、dq座標系のベクトルであるdq座標電流ベクトルI
dqに変換する。dq座標変換器223は、dq座標電流ベクトルI
dqのq軸成分i
qおよびd軸成分i
dをdq座標電流偏差演算器224に出力する。
【0123】
dq座標電流偏差演算器224は、総和電流指令演算器222から出力された総和無効電流指令i
qrと、dq座標変換器223から出力されたdq座標電流ベクトルI
dqのq軸成分i
qとの偏差を無効電流制御器225に出力する。また、dq座標電流偏差演算器224は、総和電流指令演算器222から出力された総和有効電流指令i
drと、dq座標変換器223から出力されたdq座標電流ベクトルI
dqのd軸成分i
dとの偏差を有効電流制御器226に出力する。
【0124】
無効電流制御器225は、dq座標電流偏差演算器224から出力されたq軸成分の偏差を比例積分増幅し、当該偏差が0になるような無効電圧指令v
qfbrをdq座標電圧指令演算器23に出力する。すなわち、無効電流制御器225は、無効電力補償装置2の出力電流i
αβの連系点電圧の方向と直交する方向の無効電流成分が、無効電流指令i
qfrに追従するように、無効電力補償装置2を制御する。
【0125】
有効電流制御器226は、dq座標電流偏差演算器224から出力されたd軸成分の偏差を比例積分増幅し、当該偏差が0になるような有効電圧指令v
dfbrをdq座標電圧指令演算器23に出力する。
【0126】
なお、不平衡電圧の補償に着目すると、不平衡dq座標変換器221により不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrを不平衡dq座標電流指令ベクトルI
dqbrに変換し、dq座標電流偏差演算器224により不平衡dq座標電流指令ベクトルI
dqbrとdq座標電流ベクトルI
dqとの偏差を無効電流制御器225と有効電流制御器226に出力し、無効電流制御器225および有効電流制御器226により、無効電力補償装置2の出力電流i
αβのxyb座標系の各成分が、不平衡補償電流指令ベクトルi
xybr(不平衡補償電流指令)の各成分に追従するように無効電力補償装置2を制御している。したがって、不平衡dq座標変換器221、dq座標変換器223、dq座標電流偏差演算器224、無効電流制御器225および有効電流制御器226は、無効電力補償装置2の出力電流i
αβのxyb座標系の各成分が、不平衡補償電流指令ベクトルi
xybr(不平衡補償電流指令)の各成分に追従するように無効電力補償装置2を制御する不平衡電流制御器232を構成する。
【0127】
また、高調波電圧の抑制に着目すると、dq座標電流制御器22は、n次高調波dq座標電流変換器215の出力の各成分と、電流検出器12の出力の各成分との偏差を比例積分増幅して出力する。しかしながら、電力系統1の周波数で順方向に回転するdq座標系において比例積分増幅しても積分項に対応するゲインは、dq座標系に対応したゲインに設計しているため、ゲインの低下や位相遅れを生じてしまう。そのため、高調波電流制御器21で、対応するxyn座標系で適切な積分ゲインによって積分増幅している。
【0128】
すなわち、dq座標系では比例増幅、xyn座標系では積分増幅を行うことで、無効電力補償装置2の出力電流をn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrに速やかに一致させることが出来る。
【0129】
図1を再び参照すると、dq座標電圧指令演算器23(電圧指令演算器)は、式(9)に示す、無効電流制御器225から出力された無効電圧指令v
qfbrの各成分の総和である総和q軸電圧指令v
qrを無効電力補償装置2に出力する。また、dq座標電圧指令演算器23は、有効電流制御器226から出力された有効電圧指令v
dfbrの各成分の総和である総和d軸電圧指令v
drを無効電力補償装置2に出力する。なお、式(9)において、v
q5rは5次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq5rのq軸成分である。v
q7rは7次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq7rのq軸成分である。v
q11rは11次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq11rのq軸成分である。v
q13rは13次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq13rのq軸成分である。v
d5rは5次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq5rのd軸成分である。v
d7rは7次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq7rのd軸成分である。v
d11rは11次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq11rのd軸成分である。v
d13rは13次高調波dq座標電圧指令ベクトルv
dq13rのd軸成分である。
【0131】
このように、本実施形態に係る無効電力補償装置2の制御装置10によれば、電圧制御、不平衡補償制御、高調波抑制制御といった各種の制御を実現することができる。
【0132】
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る無効電力補償装置2の制御装置10Aの構成の一例を示す図である。なお、
図14において、
図1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0133】
図14においては、無効電力補償装置2は、三相電力変換器3と、変換器側リアクトル4と、フィルタコンデンサ5と、変圧器6と、変換器電流検出器7と、フィルタ電圧検出器8とを備える例を示している。
【0134】
三相電力変換器3は、dq座標電圧指令演算器23から出力される指令値(総和q軸電圧指令v
qrおよび総和d軸電圧指令v
dr)に従った三相電圧を出力する。
【0135】
変換器側リアクトル4は、一端が三相電力変換器3の出力に接続されている。変換器側リアクトル4は、三相電力変換器3の三相の出力それぞれに対応して設けられている。
【0136】
フィルタコンデンサ5は、三相電力変換器3の三相の出力それぞれに対応して設けられ、一端が変換器側リアクトル4の他端に接続されている。また、フィルタコンデンサ5は、他端が互いに接続されている。
【0137】
変圧器6は、一端がフィルタコンデンサ5の一端に接続され、他端が電力系統1に接続されている。なお、変圧器6は、リアクトル(系統側リアクトル)としてもよい。
【0138】
変換器電流検出器7は、三相電力変換器3から出力され、変換器側リアクトル4に流れる電流i
αβを検出し、検出結果を後述する高調波電流制御器21Aおよびdq座標電流制御器22Aに出力する。
【0139】
フィルタ電圧検出器8は、フィルタコンデンサ5の電圧(フィルタ電圧V
cαβ)を検出し、検出結果を高調波電流制御器21Aおよびdq座標電流制御器22Aに出力する。
【0140】
三相インバータなどで構成される三相電力変換器3の出力電圧に含まれるスイッチング周波数倍の成分を除去する必要がある。そのため、
図14に示す無効電力補償装置2においては、フィルタコンデンサ5が設けられている。しかしながら、フィルタコンデンサ5を含み、かつ、変換器電流検出器7が変換器側リアクトル4を流れる電流i
αβを検出する場合、無効電力補償装置2の出力電流i
αβを制御するのではなく、三相電力変換器3の出力電流を制御することとなってしまう。そのため、電圧大きさ制御器14、不平衡電圧制御器18および高調波電圧制御器20から出力される各電流指令を、対応する回転座標系でのフィルタコンデンサ5の電流の推定値で補正する必要がある。本実施形態に係る無効電力補償装置2の制御装置10Aは、上述した各電流指令の補正を行うものである。
【0141】
図14に示す制御装置10Aは、
図1に示す制御装置10と比較して、高調波電流制御器21を高調波電流制御器21Aに変更した点と、dq座標電流制御器22をdq座標電流制御器22Aに変更した点とが異なる。
【0142】
図15は、高調波電流制御器21Aの構成の一例を示す図である。高調波電流制御器21Aは、
図15に示す構成を、各次数の高調波に対応して備えている。なお、
図15において、
図12と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0143】
図15に示す高調波電流制御器21Aは、
図12に示す高調波電流制御器21と比較して、フィルタn次高調波電圧検出器216と、コンデンサn次高調波電流推定器217(コンデンサ電流推定器)と、n次高調波電流指令補正器218とを追加で備える。
【0144】
フィルタn次高調波電圧検出器216は、フィルタ電圧検出器8により検出されたフィルタ電圧V
cαβを電圧位相θのn倍(nθ)で回転座標変換し、電力系統1の半周期で移動平均を演算することで、フィルタn次高調波電圧ベクトルV
cxyn(コンデンサ電圧)を取得する。フィルタn次高調波電圧検出器216は、取得したフィルタn次高調波電圧ベクトルV
cxynをコンデンサn次高調波電流推定器217に出力する。
【0145】
コンデンサn次高調波電流推定器217は、フィルタn次高調波電圧検出器216から出力されたフィルタn次高調波電圧ベクトルV
cxynを用いて、以下の式(10)に基づき、フィルタコンデンサ5を流れる電流であるn次高調波コンデンサ電流ベクトルi
cxyn(xn軸成分i
cxnおよびyn軸成分i
cyn)を推定する。なお、式(10)において、ωは電力系統1の角周波数であり、C
fはフィルタコンデンサ5の容量である。
【0147】
コンデンサn次高調波電流推定器217は、推定したn次高調波コンデンサ電流ベクトルi
cxynをn次高調波電流指令補正器218に出力する。
【0148】
n次高調波電流指令補正器218(高調波電流指令補正器)は、n次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrを、コンデンサn次高調波電流推定器217から出力されたn次高調波コンデンサ電流ベクトルi
cxynを用いて、以下の式(11)に基づき補正する。補正後のn次高調波補償電流指令ベクトルi’
xynrは、変換器側リアクトル4に流れる電流であるリアクトル電流を指示するリアクトル電流指令である。n次高調波電流指令補正器218は、n次高調波補償電流指令ベクトルi’
xynr(xn軸成分i’
xnrおよびyn軸成分i
ynr)をn次高調波電流偏差演算器212に出力する。
【0150】
図16は、dq座標電流制御器22Aの構成の一例を示す図である。
図16において、
図13と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0151】
図16に示すdq座標電流制御器22Aは、
図13に示すdq座標電流制御器22と比較して、フィルタdq座標電圧検出器227、コンデンサdq座標電流推定器228、フィルタ不平衡電圧検出器229、コンデンサ不平衡電流推定器230および不平衡電流指令推定器231を追加した点と、不平衡dq座標変換器221を不平衡dq座標変換器221Aに変更した点と、総和電流指令演算器222を総和電流指令演算器222Aに変更した点とが異なる。
【0152】
フィルタdq座標電圧検出器227は、フィルタ電圧検出器8により検出されたフィルタ電圧V
cαβを負方向の電圧位相θで回転座標変換し、電力系統1の半周期で移動平均することで、フィルタdq座標電圧ベクトルV
cdqを取得する。フィルタdq座標電圧検出器227は、取得したフィルタdq座標電圧ベクトルV
cdqをコンデンサdq座標電流推定器228に出力する。
【0153】
コンデンサdq座標電流推定器228は、フィルタdq座標電圧検出器227から出力されたフィルタdq座標電圧ベクトルV
cdqを用いて、以下の式(12)に基づき、dq座標補償電流ベクトルI
cdq(q軸成分i
cqおよびd軸成分i
cd)する。
【0155】
コンデンサdq座標電流推定器228は、推定したdq座標補償電流ベクトルI
cdqを総和電流指令演算器222Aに出力する。
【0156】
フィルタ不平衡電圧検出器229は、フィルタ電圧検出器8により検出されたフィルタ電圧V
cαβを電圧位相θで回転座標変換し、電力系統1の半周期で移動平均することで、フィルタ不平衡電圧ベクトルV
cxybを取得する。フィルタ不平衡電圧検出器229は、取得したフィルタ不平衡電圧ベクトルV
cxybをコンデンサ不平衡電流推定器230に出力する。
【0157】
コンデンサ不平衡電流推定器230は、フィルタ不平衡電圧検出器229から出力されたフィルタ不平衡電圧ベクトルV
cxybを用いて、以下の式(13)に基づき、不平衡コンデンサ電流ベクトルI
cxyb(x軸成分i
cxbおよびy軸成分i
cyb)を推定する。
【0159】
コンデンサ不平衡電流推定器230は、推定した不平衡コンデンサ電流ベクトルI
cxybを不平衡電流指令推定器231に出力する。
【0160】
不平衡電流指令推定器231は、不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrの各成分と、コンデンサ不平衡電流推定器230から出力された不平衡コンデンサ電流ベクトルI
cxybの各成分とを用いて、以下の式(14)に基づき、不平衡補償電流指令ベクトルI’
xybrを生成する。不平衡電流指令推定器231は、生成した不平衡補償電流指令ベクトルI’
xybr(x軸成分i’
xbrおよびy軸成分i’
ybr)を不平衡dq座標変換器221Aに出力する。
【0162】
不平衡dq座標変換器221Aは、不平衡電流指令推定器231から出力された不平衡補償電流指令ベクトルI’
xybrを、電圧位相θで回転座標変換することでdq座標系のベクトルである不平衡dq座標電流指令ベクトルI
dqbrを生成し、総和電流指令演算器222Aに出力する。
【0163】
総和電流指令演算器222Aは、式(15)で表されるように、入力される各dq座標の電流指令のq軸成分およびdq座標補償電流ベクトルI
cdqのd軸成分を加算して、総和無効電流指令i
qrとしてdq座標電流偏差演算器224に出力する。また、総和電流指令演算器92は、入力される各dq座標の電流指令のd軸成分の和からdq座標補償電流ベクトルのq軸成分を減算して、総和有効電流指令i
drとしてdq座標電流偏差演算器224に出力する。
【0165】
このように、本実施形態に係る無効電力補償装置2の制御装置10Aによれば、電圧制御、不平衡補償制御、高調波抑制制御といった各種の制御をより高精度に実現することができる。
【0166】
(第3の実施形態)
図17は、本発明の第3の実施形態に係る無効電力補償装置2の制御装置10Bの構成の一例を示す図である。なお、
図17において、
図14と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0167】
図17に示す制御装置10Bは、
図14に示す制御装置10Aと比較して、連系点電圧検出器11を削除した点と、電圧補正器24を追加した点とが異なる。
【0168】
電圧補正器24は、フィルタ電圧検出器8により検出されたフィルタ電圧V
cαβと、電圧大きさ制御器14の出力である無効電流指令i
qfrをdq座標ベクトルとしたi
dqfr(d軸成分は0である)と、不平衡電圧制御器18の出力である不平衡補償電流指令ベクトルi
xybrと、高調波電圧制御器20の出力であるn次高調波補償電流指令ベクトルi
xynrとを用いて、変圧器6の低圧側漏れインダクタンスL
1による電圧降下分および変圧比N分を補正するように、以下の式(16)に基づき、連系点電圧V’
αβ(α軸成分v’
αおよびβ軸成分v’
β)を推定する。つまり、式16の第2項以降が高圧側から見た変圧器6の高圧側と低圧側の合成漏れインダクタンスL
1による電圧降下分となる。
【0170】
電圧補正器24は、推定した連系点電圧V’
αβを電圧大きさ検出器13、dq座標電圧変換器15、不平衡電圧検出器17および高調波電圧検出器19に出力する。
【0171】
本実施形態においては、連系点電圧検出器11を設けることなく、電圧制御、不平衡補償制御、高調波抑制制御といった各種の制御を実現することができる。
【0172】
本発明を図面および実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形または修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各ブロックなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数のブロックを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。