(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端末側通信部は、前記端末側ルート設定部によりルートが設定された状態で前記タクシーメータと接続した場合には、設定された当該ルートを表す情報を前記タクシーメータに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のタクシーメータシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のナビゲーションシステムは、乗客が携帯装置を介して行先を車載装置に伝達するようにはなっているものの、ルートを自ら設定することができず、乗客の意図しないルートで案内されるという問題が生じ得る。
【0010】
また、特許文献2のタクシー走行ルート指示システムは、携帯端末がカーナビゲーション装置にルート情報を送信するようになっているものの、走行中の課金とナビゲーションを行うタクシーメータにルート情報を送信するようなものではない。
【0011】
また、特許文献3の無線通信システムは、運転者の携帯端末と助手席の携帯端末のいずれも車載装置にルート情報を送信できるが、特許文献2に記載のものと同様、走行中の課金とナビゲーションを行うタクシーメータにルート情報を送信するようなものではない。
【0012】
同様に、特許文献4の顧客支援システムも、携帯機器が、ナビゲーション装置に行き先を通知するが、走行中の課金とナビゲーションを行うタクシーメータにルート情報を送信するものではない。
【0013】
このように、特許文献1−4に開示されたいずれのシステムも、課金とナビゲーションを行うタクシーメータに対し、目的地までのルートを速やかに設定でき、タクシー車両の発車を円滑にするものでは無かった。また、乗客にとって安心なルートを案内できるタクシーメータは、無かった。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、目的地までのルートを速やかに設定でき、また、乗客にとって安心なルートを案内できるタクシー車両の発車を円滑に行うタクシーメータシステム
及びタクシーメータ
を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシーメータシステム
及びタクシーメータ
は、下記(1)〜(
5)を特徴としている。
(1) タクシーメータと、
前記タクシーメータと無線通信により接続される携帯無線端末と、
を備えるタクシーメータシステムにおいて、
前記タクシーメータは、
少なくとも運賃を演算する機能を有する演算部と、
表示画面を有し、前記運賃を含む課金情報を前記表示画面に表示する運賃表示部と、
目的地までのルートを設定するルート設定部と、
前記携帯無線端末と無線通信を行う通信部と、を備え、
前記携帯無線端末は、
目的地までのルートを設定する端末側ルート設定部と、
前記タクシーメータと無線通信を行う端末側通信部と、を備え、
前記ルート設定部は、
前記端末側ルート設定部によりルートが設定された状態か否かを判別し、前記端末側ルート設定部によりルートが設定された状態である場合には、前記端末側ルート設定部により設定されたルートを受信して、前記受信したルートを前記目的地までのルートとして設定し、前記端末側ルート設定部によりルートが設定された状態でない場合には、前記目的地までのルートを検索し、前記検索により得られたルートを前記目的地までのルートとして設定する、ように構成された、
ことを特徴とするタクシーメータシステム。
【0016】
上記(1)の構成のタクシーメータシステムによれば、タクシーメータと乗客が所持する携帯無線端末との間でルート情報を共有できるので、タクシー利用者が乗車前にあらかじめルート検索を行っている場合、乗務員はルート設定を行うことなくタクシーを円滑に発車できる。また、タクシー利用者が不慣れな土地などでルート設定を行わずにタクシーに乗車した場合には、タクシー利用者は、乗務員が設定したルート情報を手元の携帯無線端末で確認できるので、安心して目的地まで乗車できる。
【0017】
(2) 前記端末側通信部は、前記端末側ルート設定部によりルートが設定された状態で前記タクシーメータと接続した場合には、設定された当該ルートを表す情報を前記タクシーメータに送信する、
ことを特徴とする上記(1)の構成のタクシーメータシステム。
【0018】
上記(2)の構成のタクシーメータシステムによれば、タクシー利用者があらかじめルート検索を行っている場合、乗車と同時にルートが確定するので、円滑なタクシー車両の発車が可能になる。したがって、乗務員によるナビゲーションの目的地設定を行う操作が無くなり、急いでいる乗客等からの苦情を低減できる。また、乗務員は、発車時に慌ててルート情報を設定することなく落ち着いた対応をとることができる。また、タクシー乗り場が混雑している場合でも、タクシー営業は通常と変わらずに行えるようになる。また、タクシー車両が流しで乗客を乗せた場合でも、ナビゲーション操作をすることなくすぐにタクシー車両を発車できるので、周辺道路が渋滞する原因となりにくい。さらに、タクシー利用者にとって不慣れな土地でも、タクシー利用者は、手元でルートを確認できるので、目的地まで安心していることができる。したがって、タクシー利用者に安心感を与えられるので、タクシーの利用の増加が期待される。
【0019】
(3) 前記通信部は、前記ルート設定部によりルートが設定された場合には、設定された当該ルートを表す情報を前記携帯無線端末に送信する、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の構成のタクシーメータシステム。
【0020】
上記(3)の構成のタクシーメータシステムによれば、タクシーメータでルートが設定された場合でも、乗客が所持する携帯無線端末でルートを確認することができ、乗客は安心できる。
【0021】
(4) 前記通信部と前記端末側通信部とは、狭域通信により直接接続される、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかの構成のタクシーメータシステム。
【0022】
上記(4)の構成のタクシーメータシステムによれば、携帯無線端末は、タクシーメータとの接続において、狭域通信に要する電力で済むので、電力消費を抑制できる。特に、消費電力の少ないBLE通信を用いた場合、一層の低消費電力化が可能となる。したがって、タクシーの乗車中に携帯無線端末をタクシーメータに長時間接続し続けたとしても、携帯無線端末のバッテリ駆動時間が著しく短くなることを抑制できる。また、他の装置を経由することなく直接に通信が行われるので、ルートに関する情報を表示あるいは更新するまでに要する遅延時間を短縮できる。
【0023】
(5) 少なくとも運賃を演算する機能を有する演算部と、
表示画面を有し、前記運賃を含む課金情報を前記表示画面に表示する表示部と、
目的地までのルートを設定するルート設定部と、
外部の携帯端末装置と無線により接続する通信部と、を備え、
前記通信部は、前記携帯端末装置に接続した後、前記携帯端末装置からルートを表す情報を取得した場合には、当該ルートを目的地までのルートとして前記ルート設定部に設定させ、前記ルート設定部により目的地までのルートが設定された場合には、当該ルートを表す情報を前記携帯端末装置に送信
し、
前記ルート設定部は、
前記携帯端末装置によりルートが設定された状態か否かを判別し、前記携帯端末装置によりルートが設定された状態である場合には、前記携帯端末装置により設定されたルートを受信して、前記受信したルートを前記目的地までのルートとして設定し、前記携帯端末装置によりルートが設定された状態でない場合には、前記目的地までのルートを検索し、前記検索により得られたルートを前記目的地までのルートとして設定する、ように構成された、
ことを特徴とするタクシーメータ。
【0024】
上記(5)の構成のタクシーメータによれば、スマートフォンにルートを表す情報を送信することができるので、乗客はスマートフォンにルートに関する情報を表示させ、ルートを容易に確認できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、目的地までのルートを速やかに設定でき、タクシー車両の発車を円滑に行うことができる。また、乗客にとって安心なルートを案内できる。
【0028】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
以下、本実施形態に係るタクシーメータシステム、タクシーメータ及び携帯無線端末について図面を用いて説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態におけるタクシーメータシステム5の構成を示すブロック図である。タクシーメータシステム5は、タクシー車両8に搭載されたタクシーメータ10と、乗客等によって所持されるスマートフォン50とを含む構成を有する。
【0032】
タクシーメータ10は、CPU11、ROM12、RAM13、カードリーダライタ(R/W)インターフェイス(I/F)14、通信部24、表示部15、入力部16、インターフェイス(I/F)17A、17B、RTC(時計IC)18、及びナビゲーション22を有する。I/F17Aには、GPS受信器20が接続される。I/F17Bには、ETC車載器19が接続される。
【0033】
CPU11は、タクシーメータ10の全体の動作を制御する。CPU11は、車両の速度を表す車速パルス信号等を入力する入力ポートを内蔵する。車速パルス信号は、車輪の回転に応じて出力される信号である。CPU11は、車速パルス信号から得られる走行距離と、RTC18で計時される走行時間とから、運賃を算出する。通常の賃走時、CPU11は、走行距離または走行時間がそれぞれ一定値に達すると、課金をアップする。また、高速道路の賃走時、CPU11は、走行時間による課金を停止し、走行距離による課金アップ(料金上がり)だけを行う。同様に、乗客待ち時など特定の条件下で、CPU11は、走行距離による課金を停止し、走行時間による課金アップだけを行ってもよい。
【0034】
また、CPU11は、タリフの入力として、各種ボタンの選択を受け付ける。例えば、CPU11は、実車ボタンb2が選択されると、賃走時の運賃を計算し、表示部15に賃走中のタクシー料金画面を表示する。また、CPU11は、高速ボタンb11、割増ボタンb12、割引ボタンb15等が選択された場合、それぞれ高速、割増、割引等のメータ状態をタクシー料金画面に表示可能である(
図4参照)。
【0035】
ROM12は、タクシーメータ10の基本制御プログラム、料金算出に用いられる料金マスタファイル等を記憶する。RAM13は、CPU11が各種プログラムを実行する際のワーキングメモリとして使用される。
【0036】
カードリーダライタ(R/W)インターフェイス(I/F)14には、乗務員によって所持され、各種データの読み書きが行われるメモリカード14Aが挿抜自在に装着される。メモリカード14Aには、接触で読み書きを行うSDカードやCF(登録商標)カード等のメモリカードの他、非接触で読み書き可能なICカードや磁気カード等が用いられる。なお、このメモリカード14Aは、タクシー車両を管理する事務所側のデータ処理装置に対しても、挿抜自在に装着可能である。
【0037】
通信部24は、狭域通信として近距離無線(例えば、BLE、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標))及び無線LANの機能を有し、スマートフォン50と通信可能である。
【0038】
I/F17Aには、GPS受信器20が接続される。GPS受信器20は、GPS衛星から送信される時刻データを受信し、タクシー車両8の現在位置(緯度、経度、高度)を算出し、GPS位置情報として出力可能である。I/F17Bには、ETC車載器19が接続される。RTC(時計IC)18は現在時刻を計時する。RTC18によって計時される時刻は、車両の運転状態を表す走行データとともにRAM13に記録される。
【0039】
表示部15は、前述したように、タクシーメータ10における各種情報を表示する。また、入力部16は、乗務員等による入力操作を受け付ける。本実施形態では、表示部15と入力部16は、タッチパネルTP1で一体的に構成される。タッチパネルを用いた場合、乗務員がタッチパネルTP1に表示された各種ボタンを押下することで、タクシーメータ10は、入力された情報を受け付ける。なお、表示部15と入力部16は、別々の電子部品であってもよい。この場合、表示部は、液晶表示器(LCD)、有機EL、プラズマディスプレイ、LED等の表示デバイスにより構成される。また、入力部は、タッチセンサ、タッチパッド、マウス、キーボード、トラックボール等の入力デバイスにより構成される。
【0040】
ナビゲーション22は、走行時、タクシー車両8のGPS位置情報に基づき、表示部15に表示された地図上に現在位置をマーカで描いたり、ナビゲーションを行うための入力項目を表示したり、入力部16で入力された目的地までの経路を案内する機能を有する。なお、ここでは、ナビゲーション22は、表示部15に表示するだけであったが、音声出力機能を有する場合、スピーカやイヤホン端子から音声案内を出力してもよい。また、ナビゲーション22は、表示部15とは別にナビゲーション画面を表示可能なディスプレイユニットを有してもよい。
【0041】
一方、スマートフォン50は、CPU51、メモリ52、通信部53、操作部54、表示部55、及び音声入出力部56を有する。CPU51は、スマートフォン50の各部を統括的に制御する。
【0042】
通信部53は、狭域通信として、近距離無線(例えば、BLE、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標))や、無線LANの機能を有し、タクシーメータ10と通信可能である。また、通信部53は、モバイル通信の機能を有し、無線基地局との間で制御データを送受信し、制御プロトコルに従った発呼、着呼等のプロトコル制御を行う。
【0043】
メモリ52は、スマートフォン50の各種データ(設定値、電話帳データ、SMSメッセージ、各種画像データ、音楽データ等の情報)を記憶する。設定値には、後述する、スマートフォン50をタクシーメータ10に自動接続するか、それとも手動接続するかを選択する情報が含まれる。スマートフォン50を所持するユーザ(タクシー利用者)は、タクシー会社等のクラウドサービスにアクセスし、タクシー利用アプリ(以下、単にアプリともいう)をダウンロード可能である。ダウンロードされたタクシー利用アプリは、メモリ52の不揮発性メモリに保持され、スマートフォン50にインストールされる。タクシー利用アプリのインストールが終了すると、スマートフォン50のホーム画面には、タクシー利用アプリのアイコンが表示される。ユーザがこのアイコンを押下することで、タクシー利用アプリは起動する。
【0044】
音声入出力部56には、マイク57及びスピーカ58が接続される。音声入出力部56は、マイク57及びスピーカ58を介して、音声通話の入出力や着信音の出力を行う。
【0045】
操作部54は、テンキーや各種機能ボタンを含む。表示部55は、地図等の各種情報を表示する。本実施形態では、操作部54及び表示部55はタッチパネルTP2で構成される。なお、操作部54及び表示部55は、別々の電子部品で構成されてもよい。
【0046】
上記構成を有するタクシーメータシステム5の動作を示す。
図2はタクシーメータ10の通信動作手順を示すフローチャートである。タクシーメータ10のCPU11は、この動作プログラムを周期的に実行する。タクシーメータ10のCPU11は、乗客が乗車し、乗客が所持するスマートフォン50からの無線接続要求があると、無線接続処理を行う(S1)。無線接続は、前述したように、近距離無線や無線LANで行われる。この無線接続処理では、CPU11は、スマートフォン50で設定された目的地及びルート情報の有無を表す情報を取得する。なお、スマートフォン50からの無線接続要求が無い場合、CPU11は無線接続要求があるまで待機する。スマートフォン50からの無線接続要求が無い場合、CPU11は無線接続要求があるまで待機する。また、無線接続が一旦行われた後、乗客によるスマートフォン50の接続遮断の操作が行われる、あるいは、スマートフォン50がタクシーメータ10の無線通信範囲から外れると、無線接続は遮断する。接続遮断の操作として、タクシー利用アプリの終了、遮断ボタンの押下等が挙げられる。
【0047】
無線接続が行われると、CPU11は、スマートフォン50がルート情報を保持しているか否かを判別する(S2)。スマートフォン50がルート情報を保持している場合、スマートフォン50からのルート情報を受信する(S7)。一方、スマートフォン50がルート情報を保持していない場合、CPU11は、タクシーメータ10のROM12に、乗務員によって既にルート検索が行われ、目的地に対応するルート情報が既に登録されているか否かを判別する(S3)。ルート情報を登録している場合、CPU11は、このルート情報をスマートフォン50に送信する(S6)。一方、目的地に対応するルート情報が登録されていない場合、CPU11は、ルート検索操作が行われたか否かを判別する(S4)。ルート検索操作が行われていない場合、CPU11は、ステップS4を繰り返しルート検索操作が実行されるまで待機する。一方、ルート検索操作が行われた場合には、CPU11は、ルート検索処理を実行し(S5)、得られたルート情報をスマートフォン50に送信する(S6)。
【0048】
CPU11は、ナビゲーション22に現在位置、目的地及びルート情報を設定すると、ナビゲーション22によるナビゲーションを開始し、ナビゲーション画面GN0(
図7参照)を表示部15に表示する(S8)。タクシー車両8が走行を開始すると、CPU11は、車速パルス信号に基づく走行距離と時間に基づいて運賃を算出し、運賃及びタクシーメータ10の状態(以下、メータ状態という)を含むタクシー料金画面GM0(
図7参照)を表示部15に表示する(S9)。
【0049】
CPU11は、入力部16の一部である支払ボタンb3が押下されたか否かを判別する(S10)。支払ボタンb3が押下されない場合、つまり、走行中である場合、CPU11はステップS8の処理に戻る。一方、支払ボタンb3が押下された場合、CPU11は本動作を終了する。支払ボタンb3の押下は、タクシー車両8が目的地に到着し、乗客が降車する前段階として行われる操作である。なお、降車の前段階の操作として、ドア開や空車ボタンb1の押下であってもよい。
【0050】
(乗車前のタクシー利用者の操作)
乗車前、タクシー利用者は、事前にタクシー利用アプリがインストールされているスマートフォン50を用いてルート検索を行う。
図3は、乗車前におけるスマートフォン50の動作手順を示すフローチャートである。スマートフォン50のCPU51は、タクシー利用者によって表示部55のホーム画面に表示されたタクシー利用アイコンがタッチ操作されると、タクシー利用アプリを起動する。タクシー利用アプリは、通信可能な範囲に属するタクシーメータの有無を判断する。タクシー利用アプリは、タクシー利用者がタクシー利用アプリの画面に配置されたボタンを押下することで、タクシーメータの有無を判断してもよい。また、タクシー利用アプリは、無線接続要求を周囲にブロードキャストで送信し、その応答の有無によってタクシーメータの存在を判断してもよい。
【0051】
乗車前、スマートフォン50のCPU51は、ルート検索処理を行う(S21)。この後、CPU51は本動作を終了する。
図4は、ステップS21におけるルート検索処理手順を示すフローチャートである。CPU51は、タクシー利用者によってルート検索操作が行われるまで待つ(S31)。このルート検索操作では、現在地、目的地、及び各種条件(例えば、高速可、時間優先、料金優先、渋滞回避、経由地指定等)を含む情報が入力される。
【0052】
ルート検索操作が行われると、CPU51は、タクシー利用者によって入力された情報を基に、ルート検索を行い、ルート(案内経路)、距離、時間、予測運賃等を検索結果として出力する(S32)。ルート検索結果はタクシー利用アプリの画面に表示される。CPU51は、ルート検索結果をメモリ52に保持する(S33)。この後、CPU51は本動作を終了する。
【0053】
(乗車中のタクシー利用者の操作)
図5は、乗車中におけるスマートフォン50の通信動作手順を示すフローチャートである。スマートフォン50のCPU51は、タクシーメータ10と無線接続処理を行う(S41)。無線接続処理の詳細については、後述する。
【0054】
CPU51は、ルート検索結果がメモリ52に保持されているか否かを判別する(S42)。乗車前、タクシー利用者がルート検索を行い、その結果がメモリ52に保持されている場合、また以前、タクシーを利用した際のルート検索結果がメモリ52に保持されている場合がある。
【0055】
ルート検索結果がメモリ52に保持されている場合、CPU51は、ステップS46の処理に進む。一方、ルート検索結果がメモリ52に保持されていない場合、CPU51は、タクシーメータ10から受信可能なルート情報があるか否かを判別する(S43)。タクシーメータ10から受信可能なルート情報がない場合、CPU51は、ルート検索操作が行われたか否かを判別する(S44)。このルート検索操作では、現在地、目的地、及び各種条件(例えば、高速可、時間優先、料金優先、渋滞回避、経由地指定等)を含む情報が入力される。
【0056】
ルート検索操作が行われない場合、CPU51は、ステップS43の処理に戻る。一方、ルート検索操作が行われた場合、CPU51は、ルート検索処理を行う(S45)。このルート検索処理は、前述した
図4のルート検索処理と同じである。ただし、既にルート検索操作が行われているので、ステップS31の処理ではYESの判断となる。
【0057】
CPU51は、ルート検索処理の結果、得られたルート情報をタクシーメータ10に送信する(S46)。この後、CPU51は本動作を終了する。
【0058】
一方、ステップS43でタクシーメータ10から受信可能なルート情報がある場合、CPU51は、タクシーメータ10からルート情報を受信する(S47)。CPU51は、受信したルート情報を、タクシー利用アプリ内のナビゲーションに設定し、ナビゲーション画面GN1(
図8参照)を表示する(S48)。この後、CPU51は本動作を終了する。
【0059】
図6は、ステップS41における無線接続処理手順を示すフローチャートである。スマートフォン50のCPU51は、タクシーメータ10と無線接続しているか否かを判別する(S51)。タクシーメータ10と無線接続されている場合、CPU51はそのまま本動作を終了する。
【0060】
一方、タクシーメータ10と無線接続されていない場合、CPU51は、メモリ52に記憶された設定が、自動接続であるか、それとも手動接続であるかを判別する(S52)。手動接続である場合、CPU51は、乗客による接続操作が行われるまで待つ(S53)。接続操作として、例えば、スマートフォン50のタクシー利用アプリの画面に表示された無線接続ボタンの押下が挙げられる。
【0061】
接続操作が行われると、CPU51は、無線接続を実行する(S54)。無線接続は、前述したように、近距離無線通信や無線LANで行われる。近距離無線通信として、例えばBluetooth(登録商標)で行う場合、スマートフォン50とタクシーメータ10のペアリングが行われる。また、無線LANで行う場合、スマートフォン50は、タクシーメータ10が接続されるネットワークのSSID(Service Set Identifier)や暗号化キーを設定する。また、ステップS52で自動接続である場合、CPU51は、乗客の接続操作を待つことなく、ステップS54に進む。この後、CPU51は本動作を終了する。
【0062】
図7は、タクシーメータ10のタッチパネルTP1の表示画面を示す図である。タクシーメータ10は、箱形の筐体10zを有する。筐体10zの前面には、タッチパネルTP1が配置される。タッチパネルTP1は、表示部15及び入力部16を有する。表示部15は、矩形の表示画面GL0、及び表示画面GL0を縁部に沿うように逆L字形の操作画面GS0を表示する。
【0063】
表示画面GL0は、タクシー料金画面GM0とナビゲーション画面GN0に2分割される。本実施形態では、筐体10zに配置された、単体のタッチパネルTP1の表示画面GL0にタクシー料金画面GM0とナビゲーション画面GN0を並べて表示したが、別々のディスプレイにタクシー料金画面GM0とナビゲーション画面GN0を表示してもよい。例えば、ナビゲーション画面GN0をオプションであるディスプレイユニットに表示してもよい。
【0064】
タクシー料金画面GM0には、運賃及びメータ状態が表示される。メータ状態は、高速、割増、割引、次回料金上がりバー等の情報を含む。
図7では、一例として、高速道路利用時のタクシー料金画面GM0が表示されている。ナビゲーション画面GN0には、現在位置P1から目的地P2までのルートR1が描画された地図mp1が表示される。
【0065】
操作画面GS0には、入力部16である各種ボタンb1〜b5,b11〜b15が配置される。具体的に、操作画面GS0の右側には、空車ボタンb1、実車(賃走)ボタンb2、支払ボタンb3、合計ボタンb4及び迎車ボタンb5が配置される。また、操作画面GS0の下側には、高速ボタンb11、割増ボタンb12、予約ボタンb13、貸切ボタンb14及び割引ボタンb15が配置される。また、筐体10zの下方には、メモリカード14Aが挿抜自在に装着される挿入口14zが配置される。
【0066】
図8はスマートフォン50のタッチパネルTP2の表示画面を示す図である。タッチパネルTP2の画面には、ナビゲーション画面GN1が表示される。ナビゲーション画面GN1では、スマートフォン50のGPS位置情報を基に、地図mp2が表示される。地図mp2上には、現在位置P5、目的地P6及びルートR2が描画される。また、目的地P6までの所要時間がポップ画面pp0で表示される。ここでは、ポップ画面pp0には、所要時間「17min」が表記される。
【0067】
以上のように、本発明の実施形態に係るタクシーメータシステム5は、タクシーメータ10が、目的地までのルートを設定するナビゲーション22(ルート設定部)と、スマートフォン50と無線通信を行う通信部24と、を備え、スマートフォン50は、目的地までのルートを設定するCPU51(端末側ルート設定部)と、タクシーメータ10と無線通信を行う通信部53(端末側通信部)と、を備える。そして、ナビゲーション22と、CPU51とが、目的地までのルートに関する情報を共有可能である。これにより、タクシーメータ10と乗客が所持するスマートフォン50との間でルート情報を共有できるので、タクシー利用者が乗車前にあらかじめルート検索を行っている場合、乗務員はルート設定を行うことなくタクシーを円滑に発車できる。また、タクシー利用者が不慣れな土地などでルート設定を行わずにタクシーに乗車した場合には、タクシー利用者は、乗務員が設定したルート情報を手元のスマートフォン50で確認できるので、安心して目的地まで乗車できる。
【0068】
また、スマートフォン50の通信部53は、CPU51によりルートが設定された状態でタクシーメータ10と接続した場合には、設定されたこのルート情報をタクシーメータ10に送信する。これにより、タクシー利用者があらかじめルート検索を行っている場合、乗車と同時にルートが確定するので、円滑なタクシー車両の発車が可能になる。したがって、乗務員によるナビゲーションの目的地設定を行う操作が無くなり、急いでいる乗客等からの苦情を低減できる。また、乗務員は、発車時に慌ててルート情報を設定することなく落ち着いた対応をとることができる。また、タクシー乗り場が混雑している場合でも、タクシー営業は通常と変わらずに行えるようになる。また、タクシー車両が流しで乗客を乗せた場合でも、ナビゲーション操作をすることなくすぐにタクシー車両を発車できるので、周辺道路が渋滞する原因となりにくい。さらに、タクシー利用者にとって不慣れな土地でも、タクシー利用者は手元でルートを確認できるので、目的地まで安心していることができる。したがって、タクシー利用者に安心感を与えられるので、タクシーの利用の増加が期待される。
【0069】
また、通信部24は、ナビゲーション22によりルートが設定された場合には、設定されたルート情報(ルートを表す情報)をスマートフォン50に送信する。これにより、タクシーメータでルートが設定された場合でも、乗客が所持するスマートフォンでルートを確認することができ、乗客は安心できる。
【0070】
また、タクシーメータ10の通信部24とスマートフォン50の通信部53とは、近距離無線通信(狭域通信)により直接接続される。これにより、スマートフォン50は、タクシーメータ10との接続において、狭域通信に要する電力で済むので、電力消費を抑制できる。特に、消費電力の少ないBLE通信を用いた場合、一層の低消費電力化が可能となる。したがって、タクシーの乗車中にスマートフォン50をタクシーメータ10に長時間接続し続けたとしても、スマートフォン50のバッテリ駆動時間が著しく短くなることを抑制できる。また、他の装置を経由することなく直接に通信が行われるので、ルートに関する情報を表示あるいは更新するまでに要する遅延時間を短縮できる。
【0071】
本発明の実施形態に係るタクシーメータ10は、少なくとも運賃を演算する機能を有するCPU11(演算部)と、タクシー料金画面GM0(表示画面)を有し、運賃を含む課金情報をタクシー料金画面GM0に表示する表示部15と、目的地までのルートを設定するナビゲーション22(ルート設定部)と、外部のスマートフォン50(携帯端末装置)と無線により接続する通信部24と、を備える。通信部24は、スマートフォン50に接続した後、スマートフォン50からルート情報を取得した場合には、このルートを目的地までのルートとしてナビゲーション22に設定させ、ナビゲーション22により目的地までのルートが設定された場合には、このルート情報をスマートフォン50に送信する。これにより、タクシーメータ10はスマートフォン50にルートを表す情報を送信することができるので、乗客は、スマートフォン50にルートに関する情報を表示させ、ルートを容易に確認できる。
【0072】
本発明の実施形態に係るスマートフォン50は、タクシーメータ10と通信部53を介して無線により接続する通信機能と、目的地までのルートを設定するルート設定機能と、を有する。通信機能は、ルート設定機能によりルートが設定された場合には、タクシーメータ10と接続した後にこのルートを表す情報をタクシーメータ10に送信し、ルートが設定されていない状態でタクシーメータ10からルートを表す情報を取得した場合には、このルートを目的地までのルートとしてルート設定機能に設定させる。これにより、スマートフォン50は、タクシーメータ10からルートを表す情報を取得するので、乗客がスマートフォンを見てルート情報を容易に確認できる。
【0073】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
例えば、携帯無線端末は、スマートフォンに限らず、タブレット端末、ノートPC等であってもよい。
【0074】
また、スマートフォンは、ルート設定機能として、ルート情報を含むデータベースを保持しておき、現在位置及び目的地を入力することでルート情報を取得してもよい。また、スマートフォンは、インターネット上にあるクラウドサーバに現在位置及び目的地を送信し、クラウドサーバが設定したルート情報を受信することで取得してもよい。
【0075】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るタクシーメータシステム、タクシーメータ及び携帯無線端末の特徴をそれぞれ以下[1]〜[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] タクシーメータ(10)と、
前記タクシーメータと無線通信により接続される携帯無線端末(スマートフォン50)と、
を備えるタクシーメータシステム(5)において、
前記タクシーメータは、
少なくとも運賃を演算する機能を有する演算部(CPU11)と、
表示画面(タクシー料金画面GM0)を有し、前記運賃を含む課金情報を前記表示画面に表示する運賃表示部(15)と、
目的地までのルートを設定するルート設定部(ナビゲーション22)と、
前記携帯無線端末と無線通信を行う通信部(24)と、を備え、
前記携帯無線端末は、
目的地までのルートを設定する端末側ルート設定部(CPU51)と、
前記タクシーメータと無線通信を行う端末側通信部(53)と、を備え、
前記ルート設定部と、前記端末側ルート設定部とが、前記目的地までのルートに関する情報を共有可能である、
ことを特徴とするタクシーメータシステム。
【0076】
[2] 前記端末側通信部は、前記端末側ルート設定部によりルートが設定された状態で前記タクシーメータと接続した場合には、設定された当該ルートを表す情報を前記タクシーメータに送信する、
ことを特徴とする[1]に記載のタクシーメータシステム。
【0077】
[3] 前記通信部は、前記ルート設定部によりルートが設定された場合には、設定された当該ルートを表す情報を前記携帯無線端末に送信する、
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載のタクシーメータシステム。
【0078】
[4] 前記通信部と前記端末側通信部とは、狭域通信(近距離無線通信)により直接接続される、
ことを特徴とする[1]乃至[3]に記載のタクシーメータシステム。
【0079】
[5] 少なくとも運賃を演算する機能を有する演算部(CPU11)と、
表示画面(タクシー料金画面GM0)を有し、前記運賃を含む課金情報を前記表示画面に表示する表示部(15)と、
目的地までのルートを設定するルート設定部(ナビゲーション22)と、
外部の携帯端末装置と無線により接続する通信部(24)と、を備え、
前記通信部は、前記携帯端末装置に接続した後、前記携帯端末装置からルートを表す情報を取得した場合には、当該ルートを目的地までのルートとして前記ルート設定部に設定させ(S7)、前記ルート設定部により目的地までのルートが設定された場合には、当該ルートを表す情報を前記携帯端末装置に送信する(S6)、
ことを特徴とするタクシーメータ(10)。
【0080】
[6] タクシーメータと無線通信により接続する通信機能(端末側通信部53)と、
目的地までのルートを設定するルート設定機能(CPU51)と、を有し、
前記通信機能は、前記ルート設定機能によりルートが設定された場合には、前記タクシーメータと接続した後に当該ルートを表す情報を前記タクシーメータに送信し(S46)、ルートが設定されていない状態で前記タクシーメータからルートを表す情報を取得した場合には、当該ルートを目的地までのルートとして前記ルート設定機能に設定させる(S48)、
ことを特徴とする携帯無線端末(スマートフォン50)。