特許第6901981号(P6901981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6901981
(24)【登録日】2021年6月22日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】交換用鋼棒ストッパー取付構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/04 20060101AFI20210701BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   E01D19/04 101
   E01D22/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-37396(P2018-37396)
(22)【出願日】2018年3月2日
(65)【公開番号】特開2019-152016(P2019-152016A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡本 圭太
(72)【発明者】
【氏名】轟 俊太朗
(72)【発明者】
【氏名】笠倉 亮太
(72)【発明者】
【氏名】草野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田所 敏弥
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−129951(JP,A)
【文献】 特開2007−016449(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/118430(WO,A1)
【文献】 実開昭63−081157(JP,U)
【文献】 特開2004−076364(JP,A)
【文献】 特開2008−240488(JP,A)
【文献】 特開昭54−141022(JP,A)
【文献】 実開平03−069335(JP,U)
【文献】 特開2013−204322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
E02D 27/00−27/52
F16F 15/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部工に形成された下部収容空洞と、
前記下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞と、
少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容され、少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された鋼棒ストッパーと、
少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容された下側鋼棒と、
少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された上側鋼棒とを備え、
前記下側鋼棒と上側鋼棒とは中継部材を介して接合可能であり、
前記下側鋼棒の上端面と前記上側鋼棒の下端面との間には、前記中継部材を挿入可能な間隙が存在することを特徴とする交換用鋼棒ストッパー取付構造。
【請求項2】
下部工に形成された下部収容空洞と、
前記下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞と、
少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容され、少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された鋼棒ストッパーと、
少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容された下側鋼棒と、
少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された上側鋼棒とを備え、
前記下側鋼棒と上側鋼棒とは中継部材を介して接合可能であり、
前記鋼棒ストッパーにおける前記下部工と上部工との間に露出した部分は、切断除去可能であることを特徴とする交換用鋼棒ストッパー取付構造。
【請求項3】
前記下側鋼棒及び上側鋼棒は、前記鋼棒ストッパーと並んで配設されている請求項1又は2に記載の交換用鋼棒ストッパー取付構造。
【請求項4】
前記鋼棒ストッパーは丸鋼棒から成り、前記下側鋼棒及び上側鋼棒は前記鋼棒ストッパーと同径の丸鋼棒から成る請求項1〜3のいずれか1項に記載の交換用鋼棒ストッパー取付構造。
【請求項5】
前記下部工はラーメン高架橋又は橋脚であり、前記上部工は橋桁である請求項1〜4のいずれか1項に記載の交換用鋼棒ストッパー取付構造。
【請求項6】
鋼棒ストッパーの少なくとも下端を下部工に形成された下部収容空洞内に収容し、前記鋼棒ストッパーの少なくとも上端を下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞内に収容することと、
下側鋼棒の少なくとも下端を前記下部収容空洞内に収容し、上側鋼棒の少なくとも上端を前記上部収容空洞内に収容して、前記下側鋼棒と上側鋼棒とを中継部材を介して接合可能にすることと、を含み、
前記下側鋼棒の上端面と前記上側鋼棒の下端面との間には、前記中継部材を挿入可能な間隙が存在することを特徴とする交換用鋼棒ストッパー取付方法
【請求項7】
鋼棒ストッパーの少なくとも下端を下部工に形成された下部収容空洞内に収容し、前記鋼棒ストッパーの少なくとも上端を下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞内に収容することと、
下側鋼棒の少なくとも下端を前記下部収容空洞内に収容し、上側鋼棒の少なくとも上端を前記上部収容空洞内に収容して、前記下側鋼棒と上側鋼棒とを中継部材を介して接合可能にすることと、を含み、
前記鋼棒ストッパーにおける前記下部工と上部工との間に露出した部分は、切断除去可能であることを特徴とする交換用鋼棒ストッパー取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交換用鋼棒ストッパー取付構造及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高架橋等の鉄道構造物として、鉄筋コンクリート製の鉄筋コンクリート構造物が広く使用されている。このような鉄道構造物においては、下部工であるラーメン高架橋又は橋脚と、下部工の上に載置される上部工である橋桁とを連結するためにストッパーが使用されている。該ストッパーに要求される機能は、地震時の振動や列車の横圧によって生じる橋桁の移動を制限すること、橋桁の落橋を防止すること等である。そして、ストッパーとしては、従来から、丸鋼棒から成る鋼棒ストッパーが使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図1は従来の鋼棒ストッパーを下部工と上部工との連結部に適用した例を示す斜視図、図2は従来の鋼棒ストッパーに塑性変形が生じた状態を示す下部工と上部工との連結部の断面図である。
【0004】
図において、21は高架橋の橋桁であって、鉄筋コンクリート製であり、その上面に鉄道の線路、すなわち、軌道25が敷設されている。また、11は高架橋の橋脚であって、鉄筋コンクリート製であり、前記橋桁21を支承している。具体的には、橋脚11の上端部に形成された桁座12の桁座上面12a上に前記橋桁21の桁端22が載置されている。また、図1に示されるように、前記桁座上面12aと桁端下面22aとの間には、桁座上面12aに形成された沓座13及び該沓座13上に載置されたゴムシュー14を介在させることが望ましい。なお、図1においては、説明の都合上、橋桁21の桁端22の一部の図示が省略されている。
【0005】
また、地震時の振動や列車の横圧によって生じる橋桁21の水平方向の移動を制限するために丸鋼棒から成る鋼棒ストッパー31が桁座12及び桁端22に埋込まれている。具体的には、図2に示されるように、前記鋼棒ストッパー31の下端及びその近傍が桁座上面12aに開口するように桁座12に形成された上下方向に延在する空洞である下部収容空洞15内に収容されて埋込まれ、前記鋼棒ストッパー31の上端及びその近傍が桁端下面22aに開口するように桁端22に形成された上下方向に延在する空洞である上部収容空洞23内に収容されて埋込まれている。なお、桁座上面12aと桁端下面22aとの間には、空隙24が存在し、鋼棒ストッパー31の部分32は前記空隙24に露出している。なお、前記鋼棒ストッパー31は、図1に示されるように、橋桁21の幅方向に並ぶように、複数本(図1に示される例では、3本)配設されることが望ましい。
【0006】
このように、鋼棒ストッパー31の上下両側が桁座12及び桁端22に埋込まれているので、橋脚11に対する橋桁21の水平方向の移動が適切に制限される。なお、鋼棒ストッパー31の強度は、地震時のように大きな力Gが橋桁21に作用した際には、図2に示されるように、鋼棒ストッパー31の部分32が塑性変形する程度に設定されている。これにより、大きな力Gを鋼棒ストッパー31の塑性変形によって吸収し、鋼棒ストッパー31が埋込まれている桁座12又は桁端22の損傷、破損等を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−242443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の技術では、塑性変形した鋼棒ストッパー31を交換することが困難であった。塑性変形した鋼棒ストッパー31を残しておくと、橋脚11に対する橋桁21の水平方向の変位がそのまま固定されてしまう。また、その次に、地震時のような大きな力Gが橋桁21に作用した際には、塑性変形した部分32が容易に破断してしまうので、鋼棒ストッパー31は本来の機能を果たすことができない。しかし、部分32が塑性変形するほど大きな力Gが橋桁21に作用した場合、鋼棒ストッパー31と下部収容空洞15又は上部収容空洞23とが干渉していることが多く、鋼棒ストッパー31の撤去が困難であり、鋼棒ストッパー31の交換には、長い時間と多大な労力が必要となる。
【0009】
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、設置済みの鋼棒ストッパーに加えて、交換用鋼棒ストッパーとして、互いに分離された下側鋼棒及び上側鋼棒の少なくともその下端及び上端を下部収容空洞及び上部収容空洞内に収容しておき、設置済みの鋼棒ストッパーが塑性変形すると、鋼棒ストッパーの塑性変形した部分を切断して除去するとともに、下側鋼棒と上側鋼棒とを、中継部材を介して、接合するようにして、鋼棒ストッパーの交換を容易に、かつ、迅速に行うことができる交換用鋼棒ストッパー取付構造及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、交換用鋼棒ストッパー取付構造においては、下部工に形成された下部収容空洞と、前記下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞と、少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容され、少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された鋼棒ストッパーと、少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容された下側鋼棒と、少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された上側鋼棒とを備え、前記下側鋼棒と上側鋼棒とは中継部材を介して接合可能であり、前記下側鋼棒の上端面と前記上側鋼棒の下端面との間には、前記中継部材を挿入可能な間隙が存在する。
【0011】
他の交換用鋼棒ストッパー取付構造においては、下部工に形成された下部収容空洞と、前記下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞と、少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容され、少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された鋼棒ストッパーと、少なくとも下端が前記下部収容空洞内に収容された下側鋼棒と、少なくとも上端が前記上部収容空洞内に収容された上側鋼棒とを備え、前記下側鋼棒と上側鋼棒とは中継部材を介して接合可能であり、前記鋼棒ストッパーにおける前記下部工と上部工との間に露出した部分は、切断除去可能である。
【0012】
更に他の交換用鋼棒ストッパー取付構造においては、さらに、前記下側鋼棒及び上側鋼棒は、前記鋼棒ストッパーと並んで配設されている。
【0013】
更に他の交換用鋼棒ストッパー取付構造においては、さらに、前記鋼棒ストッパーは丸鋼棒から成り、前記下側鋼棒及び上側鋼棒は前記鋼棒ストッパーと同径の丸鋼棒から成る。
【0014】
更に他の交換用鋼棒ストッパー取付構造においては、さらに、前記下部工はラーメン高架橋又は橋脚であり、前記上部工は橋桁である。
【0015】
交換用鋼棒ストッパー取付方法においては、鋼棒ストッパーの少なくとも下端を下部工に形成された下部収容空洞内に収容し、前記鋼棒ストッパーの少なくとも上端を下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞内に収容することと、下側鋼棒の少なくとも下端を前記下部収容空洞内に収容し、上側鋼棒の少なくとも上端を前記上部収容空洞内に収容して、前記下側鋼棒と上側鋼棒とを中継部材を介して接合可能にすることと、を含み、前記下側鋼棒の上端面と前記上側鋼棒の下端面との間には、前記中継部材を挿入可能な間隙が存在する
【0016】
他の交換用鋼棒ストッパー取付方法においては、鋼棒ストッパーの少なくとも下端を下部工に形成された下部収容空洞内に収容し、前記鋼棒ストッパーの少なくとも上端を下部工の上に載置された上部工に形成された上部収容空洞内に収容することと、下側鋼棒の少なくとも下端を前記下部収容空洞内に収容し、上側鋼棒の少なくとも上端を前記上部収容空洞内に収容して、前記下側鋼棒と上側鋼棒とを中継部材を介して接合可能にすることと、を含み、前記鋼棒ストッパーにおける前記下部工と上部工との間に露出した部分は、切断除去可能である
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、設置済みの鋼棒ストッパーに加えて、交換用鋼棒ストッパーとして、互いに分離された下側鋼棒及び上側鋼棒の少なくともその下端及び上端を下部収容空洞及び上部収容空洞内に収容しておく。これにより、設置済みの鋼棒ストッパーが塑性変形すると、鋼棒ストッパーの塑性変形した部分を切断して除去するとともに、下側鋼棒と上側鋼棒とを、中継部材を介して、接合するようにして、鋼棒ストッパーの交換を容易に、かつ、迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の鋼棒ストッパーを下部工と上部工との連結部に適用した例を示す斜視図である。
図2】従来の鋼棒ストッパーに塑性変形が生じた状態を示す下部工と上部工との連結部の断面図である。
図3】本実施の形態における交換用鋼棒ストッパーを適用した下部工と上部工との連結部の断面図である。
図4】本実施の形態における交換用鋼棒ストッパーの配置を示す下部工の上面図である。
図5】本実施の形態における交換用鋼棒ストッパーを連結した下部工と上部工との連結部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図3は本実施の形態における交換用鋼棒ストッパーを適用した下部工と上部工との連結部の断面図、図4は本実施の形態における交換用鋼棒ストッパーの配置を示す下部工の上面図、図5は本実施の形態における交換用鋼棒ストッパーを連結した下部工と上部工との連結部の断面図である。
【0021】
図において、21は、本実施の形態における上部工としての高架橋の橋桁であって、鉄筋コンクリート製であるが、鉄道用のものであってもよいし、道路用のものであってもよいし、いかなる用途のものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、鉄道用のものであって、その上面に軌道が敷設されるものとして説明する。また、12は、本実施の形態における下部工としての橋脚の桁座であって、桁座上面12a上に前記橋桁21の桁端22が載置されている。
【0022】
なお、本実施の形態においては、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の項における説明を援用し、下部工と上部工との連結部における各部の構造、動作及び効果であって、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の項において説明したものと同じものについては、図1及び2に示される符号と同じ符号を付与することによって、適宜、説明を省略する。
【0023】
また、本実施の形態において、下部工と上部工との連結部の各部及びその他の部材の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、下部工と上部工との連結部の各部及びその他の部材が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0024】
図3に示されるように、本実施の形態においては、交換用鋼棒ストッパーとして、互いに分離された下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bの少なくとも下端及び上端が、それぞれ、桁座12に形成された上下方向に延在する空洞である下部収容空洞15内、及び、桁端22に形成された上下方向に延在する空洞である上部収容空洞23内に収容されて埋込まれている。なお、前記下部収容空洞15及び上部収容空洞23の内周面は、下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bの外周面に必ずしも密着している必要はなく、前記下部収容空洞15及び上部収容空洞23の内周面と下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bの外周面との間に隙間が生じていてもよい。すなわち、前記下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bは、下部収容空洞15及び上部収容空洞23に対して水平方向の公差をもって嵌合していてもよい。そして、下側鋼棒31aの上端面と上側鋼棒31bの下端面とは、互いに離間しており、それらの間には間隙33が存在する。
【0025】
なお、該間隙33の大きさは、任意に設定することができるが、桁座上面12aと桁端下面22aとの間の空隙24よりもやや小さい程度に設定されることが望ましい。すなわち、上下方向に関する下側鋼棒31aの上端面の位置及び上側鋼棒31bの下端面の位置は、任意に設定することができるが、前記下側鋼棒31aの上端面は桁座上面12aよりもやや上方に位置し、前記上側鋼棒31bの下端面は桁端下面22aよりやや上方に位置することが望ましい。
【0026】
そして、図4に示されるように、本実施の形態において、交換用鋼棒ストッパーは、当初から設置されている設置済み鋼棒ストッパーとしての鋼棒ストッパー31に加えて、下部工と上部工との連結部に設置される。なお、図4は、設置済み鋼棒ストッパーとしての鋼棒ストッパー31と、交換用鋼棒ストッパーとの水平方向に関する位置関係を示すための図であって、桁座上面12aにおける鋼棒ストッパー31と下側鋼棒31aとの配置を示している。
【0027】
図4に示される鋼棒ストッパー31は、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の項において説明した鋼棒ストッパー31と同様のものであって、それぞれが、1本の丸鋼棒から成り、少なくとも下端が桁座上面12aに開口するように桁座12に形成された上下方向に延在する空洞である下部収容空洞15内に収容されて埋込まれ、少なくとも上端が桁端下面22aに開口するように桁端22に形成された上下方向に延在する空洞である上部収容空洞23内に収容されて埋込まれている。
【0028】
また、本実施の形態において、交換用鋼棒ストッパーとしての下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bは、前記鋼棒ストッパー31と同様の材料から成る同径の丸鋼棒であるが、その材料又は直径は、適宜変更することができる。
【0029】
なお、図4に示される例において、鋼棒ストッパー31は、橋桁21の幅方向に並ぶように、3本配設されているが、その本数及び配置の仕方は、適宜変更することができる。また、下側鋼棒31aによって示される交換用鋼棒ストッパーは、鋼棒ストッパー31と並んで、より具体的には、鋼棒ストッパー31同士の間に合計2本配設されているが、その本数及び配置の仕方は、適宜変更することができる。
【0030】
そして、地震時のように大きな力Gが橋桁21に作用すると、図2に示されるように、鋼棒ストッパー31における桁座12と桁端22との間に露出した部分32が塑性変形する。この場合、該部分32が塑性変形した鋼棒ストッパー31をそのままにしておくと、「発明が解決しようとする課題」の項において説明したような問題が生じる。そこで、本実施の形態において、塑性変形した部分32は、切断されて除去される。なお、鋼棒ストッパー31における塑性変形した部分32以外の部分は、除去される必要がなく、そのまま残留する。
【0031】
続いて、下側鋼棒31aの上端面と上側鋼棒31bの下端面との間の間隙33に、図5に示されるように、中継部材31cが挿入され、下側鋼棒31aと上側鋼棒31bとが、前記中継部材31cを介して、連結される。具体的には、下側鋼棒31aの上端面と中継部材31cの下端面とが溶接によって接合され、上側鋼棒31bの下端面と中継部材31cの上端面とが溶接によって接合される。なお、前記中継部材31cは、下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bと同様の材料から成る同径の丸鋼棒であることが望ましいが、その材料又は直径は、適宜変更することができる。また、前記中継部材31cと下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bとを接合する手段は、必ずしも、溶接である必要はなく、接着であってもよいし、いかなる種類の手段であってもよい。
【0032】
これにより、中継部材31cを介して連結された下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bが1本の連続した丸鋼棒と成るので、塑性変形した部分32が除去された鋼棒ストッパー31に代わって、下部工である橋脚11と上部工である橋桁21とを連結するストッパーとして機能する。
【0033】
このように、本実施の形態における交換用鋼棒ストッパー取付構造は、橋脚11に形成された下部収容空洞15と、橋脚11の上に載置された橋桁21に形成された上部収容空洞23と、少なくとも下端が下部収容空洞15内に収容され、少なくとも上端が上部収容空洞23内に収容された鋼棒ストッパー31と、少なくとも下端が下部収容空洞15内に収容された下側鋼棒31aと、少なくとも上端が上部収容空洞23内に収容された上側鋼棒31bとを備え、下側鋼棒31aと上側鋼棒31bとは中継部材31cを介して接合可能である。これにより、鋼棒ストッパー31に塑性変形が生じた場合、中継部材31cを介して下側鋼棒31aと上側鋼棒31bとを接合して、鋼棒ストッパー31に代わる交換用ストッパーとして機能させることができる。したがって、鋼棒ストッパー31の交換を容易に、かつ、迅速に行うことができる。
【0034】
また、下側鋼棒31aの上端面と上側鋼棒31bの下端面との間には、中継部材31cを挿入可能な間隙33が存在する。したがって、間隙33に中継部材31cを挿入し、下側鋼棒31aの上端面と中継部材31cの下端面とを接合し、かつ、上側鋼棒31bの下端面と中継部材31cの上端面とを接合することにより、容易に、かつ、迅速に下側鋼棒31aと上側鋼棒31bとを接合することができる。
【0035】
さらに、下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bは、鋼棒ストッパー31と並んで配設されている。したがって、鋼棒ストッパー31に代わる交換用ストッパーを容易に、かつ、迅速に機能させることができる。
【0036】
さらに、鋼棒ストッパー31は丸鋼棒から成り、下側鋼棒31a及び上側鋼棒31bは鋼棒ストッパー31と同径の丸鋼棒から成る。したがって、鋼棒ストッパー31と同等の強度を備える交換用ストッパーを得ることができる。
【0037】
さらに、鋼棒ストッパー31における橋脚11と橋桁21との間に露出した部分32は、切断除去可能である。したがって、鋼棒ストッパー31における塑性変形した部分32を容易に除去することができる。
【0038】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示は、交換用鋼棒ストッパー取付構造及び方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
11 橋脚
15 下部収容空洞
21 橋桁
23 上部収容空洞
31 鋼棒ストッパー
31a 下側鋼棒
31b 上側鋼棒
31c 中継部材
33 間隙
図1
図2
図3
図4
図5