(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6902130
(24)【登録日】2021年6月22日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】骨プレート用のベンダおよびベンダシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20210701BHJP
【FI】
A61B17/80
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-27636(P2020-27636)
(22)【出願日】2020年2月21日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】304050912
【氏名又は名称】オリンパステルモバイオマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】新 真樹
【審査官】
北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−102743(JP,A)
【文献】
特開2019−202389(JP,A)
【文献】
実開平04−128161(JP,U)
【文献】
特開2008−086408(JP,A)
【文献】
特開2014−113365(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/115103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 − 17/92
B25B 7/00 − 7/22
B26B 13/00 − 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者が手で保持して操作するハンドタイプとして使用可能である、骨プレートの曲げ加工用のベンダであって、
ベンダ本体と、
該ベンダ本体に取り外し可能に取り付けられ前記骨プレートを支持する着脱部品とを備え、
前記ベンダ本体が、操作者の手に把持され前記操作者によって手動操作される操作部を有し、該操作部に加えられた外力に応じた曲げ力を前記着脱部品に支持された前記骨プレートに作用させ、
該操作部に、前記ベンダを支持する台座に前記操作部を取り外し可能に固定するためのベンダ側固定機構が設けられ、該ベンダ側固定機構を利用して前記操作部を前記台座に固定することによって前記ベンダはテーブルタイプとして使用可能であり、
前記ベンダ本体は、前記着脱部品が取り付けられる取付部と、該取付部に対して開閉可能である押圧部とを有し、該押圧部が、前記外力に従って閉じることによって前記骨プレートに押圧力を作用させ、
前記操作部が、前記取付部と接続された第1グリップ部と、前記押圧部と接続された第2グリップ部とを有し、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部が連結部において相互に揺動可能に連結され、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部の相互に近接する方向の揺動によって前記押圧部が前記取付部に対して閉じ、
前記第1グリップ部に前記ベンダ側固定機構が設けられ、前記操作部を前記台座に固定した状態において、前記第1グリップ部が前記第2グリップ部に対して前記台座側に配置されると共に前記取付部が前記押圧部に対して前記台座側に配置される、ベンダ。
【請求項2】
操作者が手で保持して操作するハンドタイプとして使用可能である、骨プレートの曲げ加工用のベンダであって、
ベンダ本体と、
該ベンダ本体に取り外し可能に取り付けられ前記骨プレートを支持する着脱部品とを備え、
前記ベンダ本体が、操作者の手に把持され前記操作者によって手動操作される操作部を有し、該操作部に加えられた外力に応じた曲げ力を前記着脱部品に支持された前記骨プレートに作用させ、
該操作部に、前記ベンダを支持する台座に前記操作部を取り外し可能に固定するためのベンダ側固定機構が設けられ、該ベンダ側固定機構を利用して前記操作部を前記台座に固定することによって前記ベンダはテーブルタイプとして使用可能であり、
前記着脱部品に、該着脱部品を前記台座に対して位置決めするためのベンダ側位置決め機構が設けられている、ベンダ。
【請求項3】
前記ベンダ本体は、前記着脱部品が取り付けられる取付部と、該取付部に対して開閉可能である押圧部とを有し、
該押圧部が、前記外力に従って閉じることによって前記骨プレートに押圧力を作用させる、請求項2に記載のベンダ。
【請求項4】
前記着脱部品が、相互に空間をあけて配置され2つの受け部を有し、前記押圧部が前記2つの受け部間に架けられた前記骨プレートに前記押圧力を作用させる請求項1または請求項3に記載のベンダ。
【請求項5】
前記第2グリップ部に着脱可能であり、前記第2グリップ部の長手方向に沿って前記連結部とは反対方向に延びる延長グリップ部を備える請求項1に記載のベンダ。
【請求項6】
前記ベンダ側固定機構が、前記操作部の加工によって形成された凹部または凸部である請求項1から請求項5のいずれかに記載のベンダ。
【請求項7】
前記ベンダ側固定機構は、ねじが貫通する通し穴である請求項6に記載のベンダ。
【請求項8】
前記ベンダ側位置決め機構が、前記着脱部品の加工によって形成された凹部または凸部である請求項2に記載のベンダ。
【請求項9】
前記ベンダ側位置決め機構が、溝である請求項2に記載のベンダ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のベンダと、
該ベンダを支持する台座とを備え、
該台座が、前記操作部を支持する基端支持部を有し、該基端支持部に、前記ベンダ側固定機構と協働して前記操作部を前記台座に固定する台座側固定機構が設けられているベンダシステム。
【請求項11】
操作者が手で保持して操作するハンドタイプとして使用可能である、骨プレートの曲げ加工用のベンダと、
該ベンダを支持する台座とを備え、
前記ベンダが、
ベンダ本体と、
該ベンダ本体に取り外し可能に取り付けられ前記骨プレートを支持する着脱部品とを備え、
前記ベンダ本体が、操作者の手に把持され前記操作者によって手動操作される操作部を有し、該操作部に加えられた外力に応じた曲げ力を前記着脱部品に支持された前記骨プレートに作用させ、
該操作部に、前記ベンダを支持する台座に前記操作部を取り外し可能に固定するためのベンダ側固定機構が設けられ、該ベンダ側固定機構を利用して前記操作部を前記台座に固定することによって前記ベンダはテーブルタイプとして使用可能であり、
前記台座が、前記着脱部品を支持する先端支持部と、前記操作部を支持する基端支持部とを有し、該基端支持部に、前記ベンダ側固定機構と協働して前記操作部を前記台座に固定する台座側固定機構が設けられているベンダシステム。
【請求項12】
前記着脱部品に、該着脱部品を前記台座に対して位置決めするためのベンダ側位置決め機構が設けられ、
前記先端支持部に、前記ベンダ側位置決め機構と協働して前記着脱部品を前記台座に対して位置決めする台座側位置決め機構が設けられている請求項11に記載のベンダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨プレート用のベンダおよびベンダシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、整形外科では、骨折等の治療法として骨プレートを使用した骨接合術が行われている(例えば、特許文献1参照。)。患者の骨形状に合わせて骨プレートを曲げる成形作業が術中に行われる。
骨プレートの成形作業には、ベンダが使用されている。ベンダには、ハンドタイプとテーブルタイプとがあり、それぞれ利点および不利点がある。
【0003】
例えば、ハンドタイプの場合、取り扱いが容易である、安価である、といった点で有利であるが、曲げ力が小さいといった点で不利である。
テーブルタイプの場合、曲げ力が大きい、骨プレートを受ける受け部の交換によって多種の骨プレートに対応することができる、といった点で有利であるが、高価である、ベンダの設置に安定した台が必要である、といった点で不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−167779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、骨プレート用のベンダには、ハンドタイプおよびテーブルタイプが存在し、それぞれ利点および不利点を有する。したがって、状況に応じてハンドタイプおよびテーブルタイプを使い分け可能にするためには、ハンドタイプおよびテーブルタイプの両方を用意する必要がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ハンドタイプおよびテーブルタイプのいずれでも使用することができる骨プレート用のベンダおよびベンダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、
操作者が手で保持して操作するハンドタイプとして使用可能である、骨プレートの曲げ加工用のベンダであって、ベンダ本体と、該ベンダ本体に取り外し可能に取り付けられ前記骨プレートを支持する着脱部品とを備え、前記ベンダ本体が、操作者の手に把持され前記操作者によって手動操作される操作部を有し、該操作部に加えられた外力に応じた曲げ力を前記着脱部品に支持された前記骨プレートに作用させ、該操作部に、前記ベンダを支持する台座に前記操作部を取り外し可能に固定するためのベンダ側固定機構が設けられ
、該ベンダ側固定機構を利用して前記操作部を前記台座に固定することによって前記ベンダはテーブルタイプとして使用可能である、ベンダである。
【0008】
本態様に係るベンダは、操作者が手で保持して操作するハンドタイプとして使用される。操作者が自身の手に把持した操作部に外力を加えると、外力に応じた曲げ力が着脱部品に支持された骨プレートに作用する。操作者は、操作部に加える外力の大きさを調整することによって、骨プレートを所望の角度に曲げることができる。また、ベンダ本体に取り付ける着脱部品を交換することによって、1台のベンダ本体を使用して多種の骨プレートの曲げ加工を行うことができる。
【0009】
この場合に、ベンダ側固定機構を利用して操作部を台座に固定することによって、ベンダをテーブルタイプとしても使用することができる。テーブルタイプの場合、操作部が台座に固定されるので、ハンドタイプの場合と比較して、より大きな外力を操作部に加えてより大きな曲げ力を骨プレートに作用させることができる。
【0010】
上記態様において、前記ベンダ本体は、前記着脱部品が取り付けられる取付部と、該取付部に対して開閉可能である押圧部とを有し、該押圧部が、前記外力に従って閉じることによって前記骨プレートに押圧力を作用させてもよい。
この構成によれば、押圧部によって押圧される部分において骨プレートを曲げることができる。
【0011】
上記態様において、前記着脱部品が、相互に空間をあけて配置され2つの受け部を有し、前記押圧部が前記2つの受け部間に架けられた前記骨プレートに前記押圧力を作用させてもよい。
この構成によれば、簡単な構成で押圧部の閉動作を邪魔しないように骨プレートを支持することができる。
【0012】
上記態様
の一実施形態において、前記操作部が、前記取付部と接続された第1グリップ部と、前記押圧部と接続された第2グリップ部とを有し、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部が連結部において相互に揺動可能に連結され、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部の相互に近接する方向の揺動によって前記押圧部が前記取付部に対して閉じ、前記第1グリップ部に前記ベンダ側固定機構が設けられ
る。
この構成によれば、ハンドタイプでの使用時、第1および第2グリップ部を手で握り第1および第2グリップ部に相互に近接する方向の握力を加えることによって、押圧部を閉じて骨プレートに押圧力を作用させることができる。また、テーブルタイプでの使用時、台座に固定された第1グリップ部に向かって第2グリップ部を押圧することによって、静止する着脱部品および骨プレートに対して押圧部を移動させることができる。
【0013】
上記態様において、前記第2グリップ部に着脱可能であり、前記第2グリップ部の長手方向に沿って前記連結部とは反対方向に延びる延長グリップ部を備えていてもよい。
この構成によれば、テーブルタイプでの使用時、第2グリップ部に接続された延長グリップ部を押圧することによって、第2グリップ部の揺動に必要な力を低減することができる、または、より大きな外力を第2グリップ部に加えることができる。
【0014】
上記態様において、前記ベンダ側固定機構が、前記操作部の加工によって形成された凹部または凸部であってもよい。例えば、前記ベンダ側固定機構は、ねじが貫通する通し穴であってもよい。
この構成によれば、操作部の一部の加工のみでベンダ側固定機構を設けることができる。つまり、機械的な部品を操作部に設ける必要が無いので、操作部の製造、取り扱いおよびメンテナンスが容易である。
【0015】
上記態様
の一実施形態において、前記着脱部品に、該着脱部品を前記台座に対して位置決めするためのベンダ側位置決め機構が設けられ
る。
この構成によれば、テーブルタイプでの使用時
、ベンダ側位置決め機構を利用して着脱部品を台座に位置決めすることによって、着脱部品および着脱部品に支持された骨プレートの位置および姿勢をより安定させることができる。
【0016】
上記態様において、前記ベンダ側位置決め機構が、前記着脱部品の加工によって形成された凹部または凸部であってもよい。例えば、前記ベンダ側位置決め機構が、溝であってもよい。
この構成によれば、着脱部品の一部の加工のみでベンダ側位置決め機構を設けることができる。つまり、機械的な部品を着脱部品に設ける必要が無いので、着脱部品の製造、取り扱いおよびメンテナンスが容易である。
【0017】
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載のベンダと、該ベンダを支持する台座とを備え、該台座が、前記操作部を支持する基端支持部を有し、該基端支持部に、前記ベンダ側固定機構と協働して前記操作部を前記台座に固定する台座側固定機構が設けられているベンダシステムである。
上記他の態様において、前記台座が、前記着脱部品を支持する先端支持部を有していてもよい。さらに、前記先端支持部に、前記ベンダ側位置決め機構と協働して前記着脱部品を前記台座に対して位置決めする台座側位置決め機構が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ハンドタイプおよびテーブルタイプのいずれでも使用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るベンダおよびベンダシステムの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】台座にベンダを取り付けた状態の
図1のベンダシステムの斜視図である。
【
図3】
図1のベンダシステムの先端部の正面図である。
【
図4】
図1のベンダシステムの先端部の側面図である。
【
図5】
図1のベンダシステムのベンダ側固定機構および台座側固定機構を示す部分拡大図である。
【
図6】
図1のベンダの変形例の全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態に係るベンダシステム100について図面を参照して説明する。
ベンダシステム100は、操作者の手動操作によって骨プレートPを曲げ加工するためのものであり、
図1に示されるように、ベンダ1と、ベンダ1を支持する台座20とを備える。ベンダ1は、操作者が片手で保持することができるサイズおよび重量を有し、ベンダ1単体でハンドタイプとして使用することができる。また、ベンダ1は、台座20に着脱可能であり、台座20と組み合わせてテーブルタイプとしても使用することができる。
図2は、テーブルタイプでのベンダ1の使用状態を示している。
【0021】
ベンダ1は、プライヤ状の器具であるベンダ本体2と、ベンダ本体2に取り外し可能に取り付けられ骨プレートPを支持する着脱部品3とを備える。
ベンダ本体2は、相互に揺動可能に連結された第1半体41および第2半体42を有し、先端側および基端側において開閉する。第1半体41の先端には、着脱部品3が取り付けられる取付部5が設けられ、第2半体42の先端には、骨プレートPに押圧力(曲げ力)を作用させる押圧部6が設けられている。第1半体41の基端および第2半体42の基端には、第1グリップ部71および第2グリップ部72がそれぞれ設けられている。グリップ部71,72は、操作者の手に把持され操作者によって手動操作される操作部7を構成している。
【0022】
第1半体41および第2半体42は、先端と基端との間に設けられた連結部8a,8bにおいて相互に揺動可能に連結されている。グリップ部71,72が相互に近接する閉方向に揺動して閉じることによって取付部5および押圧部6が相互に閉じ、グリップ部71,72が相互に離間する開方向に揺動して開くことによって取付部5および押圧部6が相互に開く。したがって、操作者は、グリップ部71,72を片手で握って閉じることによって取付部5に対して押圧部6を閉じることができる。グリップ部71,72に外力が作用していない状態でグリップ部71,72が開くように、グリップ部71,72は、ばね等の付勢部材によって開方向に付勢されていてもよい。
【0023】
参照する図面に示される例において、第1半体41および第2半体42は2つの連結部8a,8bにおいて連結され、取付部5および押圧部6が第1連結部8a回りに揺動し、グリップ部71,72が第2連結部8b回りに揺動する。第1半体41は、連続する単一の部材から形成されている。第2半体42は、押圧部6および連結部8aを含む第1部材と、第2グリップ部72および連結部8bを含む第2部材とを有し、第1部材および第2部材はリンク機構9によって相互に揺動可能に連結されている。リンク機構9は、第2グリップ部72の第1グリップ部71に対する閉動作を押圧部6に伝達して該押圧部6を取付部5に対して閉動作させるように、構成されている。
また、グリップ部71,72の相対移動量に比べて取付部5および押圧部6の相対移動量が小さくなるように連結部8a,8bの位置が設計され、グリップ部71,72に加えられた握力よりも大きな押圧力が押圧部6において発生するように構成されている。
【0024】
着脱部品3は、ブロック状の部品である。着脱部品3は、取付部5が嵌合する取付穴10と、相互に空間をあけて配置された2つの受け部11a,11bとを有する。
取付部5は、例えば第1半体41の長手方向に延びる柱状であり、取付穴10内に取付部5を第1半体41の長手方向に挿入することによって取付部5に着脱部品3を取り付けることができる。第1半体41に対する着脱部品3の回転を阻止するために、取付部5および取付穴10の横断面形状は非円形、例えば長方形等の多角形であることが好ましい。
着脱部品3は、任意の手段によって取付部5に対して固定解除可能に固定される。例えば、着脱部品3の外面から取付穴10までねじ穴が形成され、ねじ穴内の止めねじを締め込むことによって着脱部品3が取付部5に固定される。あるいは、クリック機構によって着脱部品3が取付部5に固定されてもよい。
【0025】
図3に示されるように、受け部11a,11bは、同一平面上に配置される平坦面であり、受け部11a,11b上に平坦な骨プレートPが載置される。受け部11a,11b間には、受け部11a,11b間に空間を形成する凹部12が設けられている。着脱部品3が取付部5に取り付けられた状態において、凹部12は、押圧部6と対向し、受け部11a,11bに対して押圧部6とは反対側に向かって凹む。取付部5および押圧部6の閉動作において、押圧部6は、凹部12に向かって移動し受け部11a,11b間に架け渡された骨プレートPを押圧する。
図4に示されるように、押圧部6よりも基端側において受け部11a,11bから立ち上がり、受け部11a,11b上の骨プレートPの側面が突き当てられる突き当て面13が着脱部品3にさらに設けられていてもよい。
【0026】
複数種類の骨プレートPに対応することができるように複数の着脱部品3が用意されていてもよい。例えば、複数の着脱部品3は、受け部11a,11b間の間隔、受け部11a,11bの寸法および凹部12の深さ等において相互に相違する。
【0027】
第1グリップ部71には、第1グリップ部71を台座20に固定するためのベンダ側固定機構14が設けられている。着脱部品3には、着脱部品3を台座20に対して位置決めするためのベンダ側位置決め機構15が設けられている。
ベンダ側固定機構14は、第1グリップ部71の基端部に形成され、後述するねじ25bが挿入される通し穴(凹部)である。通し穴14は、グリップ部71,72の配列方向である上下方向に第1グリップ部71を貫通している。通し穴14は、第1グリップ部71の材料に切削加工のような加工を施すによって形成される。
ベンダ側位置決め機構15は、着脱部品3の側面に形成された溝(凹部)である。溝15は、第1半体41の長手方向に対応する方向に直線状に延びている。溝15は、着脱部品3の材料に切削加工のような加工を施すことによって形成される。
【0028】
台座20は、直線状に延びる長尺の部材であり水平に配置される柱状部材21と、柱状部材21の基端に設けられた基端支持部22と、柱状部材21の先端に設けられた先端支持部23とを備える。基端支持部22は、第1グリップ部71の基端部を支持する部分であり、先端支持部23は、取付部5に取り付けられた着脱部品3を支持する部分である。したがって、支持部22,23間の間隔は、第1グリップ部71の基端部と取付部5との間の間隔と同等である。
【0029】
台座20の安定性を高めるために、台座20は、柱状部材21の下面に固定され、柱状部材21から左右両側に広がる薄く平坦な平板部材24a,24bをさらに備えていてもよい。左右方向は、柱状部材21の長手方向に直交する水平方向である。参照する図面において、柱状部材21の両端部に2つの平板部材24a,24bが設けられている。
【0030】
基端支持部22は、柱状部材21の基端部からなる。
図5に示されるように、基端支持部22には、通し穴14と協働して第1グリップ部71の基端部を台座20に固定する台座側固定機構として、柱状部材21の基端部に形成され鉛直方向に延びるねじ穴25aと、ねじ穴25aと締結されるねじ25bとが設けられている。ねじ25bを通し穴14を経由してねじ穴25aにねじ込むことによって、第1グリップ部71が柱状部材21に対していずれの方向にも移動しないように、第1グリップ部71を柱状部材21の基端部に固定することができる。
【0031】
第1グリップ部71が台座20に固定された状態において、第1グリップ部71の上方に第2グリップ部72が配置される。したがって、操作者は、第2グリップ部72に下方に向かう押圧力(外力)を加えることによって、取付部5に対して押圧部6を閉じることができる。
ねじ25bの先端をねじ穴25aに締結したまま通し穴14にねじ25bを通すことができるように、通し穴14から第1グリップ部71の基端面まで延びねじ25bが通過可能な通路71aが形成されていてもよい。
【0032】
基端支持部22は、柱状部材21の基端部の周囲に配置され、柱状部材21に対して第1グリップ部71を位置決めするための位置決め部材22aを有していてもよい。位置決め部材22aは、上側および先端側において開口する凹部22bを有する。第1グリップ部71の基端部を凹部22bに嵌合させることによって、通し穴14がねじ穴25aと一致する位置に第1グリップ部71を位置決めすることができる。
【0033】
先端支持部23は、柱状部材21の先端部に固定されたブロック状の部材であり、着脱部品3が載置される水平な支持面23aを有する。支持面23a上の着脱部品3は、支持面23aの左右両側の辺から立ち上がる一対の側面23b,23cによって左右方向に位置決めされる。
【0034】
先端支持部23には、溝15と協働して着脱部品3を台座20に対して位置決めする台座側固定機構として、溝15内に挿入される突起26が設けられている。突起26は、側面23b,23cから突出し柱状部材21の長手方向に平行な方向に延びている。着脱部品3を支持面23aに沿ってスライドさせることによって、溝15内に突起26を挿入し、着脱部品3を先端支持部23に対して上下方向に位置決めすることができる。着脱部品3を先端支持部23にねじ止めするためのねじ穴が先端支持部23にさらに設けられていてもよい。
【0035】
次に、ベンダシステム100の作用について説明する。
ベンダ1をハンドタイプで使用する場合、操作者は、
図3および
図4に示されるように、取付部5に取り付けられた着脱部品3と押圧部6との間に骨プレートPを挿入して受け部11a,11b上に骨プレートPを載置し、骨プレートPの側面を突き当て面13に突き当てることによって骨プレートPを着脱部品3に対して位置決めする。
【0036】
次に、操作者は、片手でグリップ部71,72を握ることによって押圧部6と着脱部品3とを閉じる。これにより、骨プレートPの受け部11a,11b間に配置される部分が、押圧部6によって凹部12内へ向かって押圧されて曲げられる。押圧部6が骨プレートPに作用させる押圧力の大きさは、操作者がグリップ部71,72に加える握力に応じて変化し、握力が強い程、押圧力も強くなる。
【0037】
ベンダ1をテーブルタイプで使用する場合、操作者は、頑丈なテーブルの天板等の水平な台の上に台座20を配置し、
図2に示されるように、台座20にベンダ1を取り付ける。具体的には、取付部5に取り付けられた着脱部品3を先端支持部23上に配置し、着脱部品3を位置決め機構15,26によって先端支持部23に対して位置決めする。また、第1グリップ部71の基端部を基端支持部22上に配置し、第1グリップ部71の基端部を固定機構14,25a,25bによって基端支持部22に固定する。次に、ハンドタイプのときと同様に、操作者は、着脱部品3と押圧部6との間に骨プレートPを挿入して受け部11a,11b上に骨プレートPを載置し、骨プレートPを着脱部品3に対して位置決めする。
【0038】
次に、操作者は、第2グリップ部72を第1グリップ部71に向かって下方に押圧することによって押圧部6を着脱部品3に対して閉じる。これにより、骨プレートPの受け部11a,11b間に配置される部分が、押圧部6によって凹部12内へ向かって押圧されて曲げられる。このときに、操作者は、例えば第2グリップ部72に自身の体重をかけながら両手で第2グリップ部72を押圧することによって、ハンドタイプの場合よりも大きな押圧力を骨プレートPに作用させることができる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、ハンドタイプのベンダ1の操作部7に、操作部7を台座20に固定するためのベンダ側固定機構14が設けられている。したがって、必要に応じてベンダ1を台座20に取り付けてテーブルタイプとして使用することができる。テーブルタイプでの使用において、操作者が力を加える操作部7が台座20に固定されているので、操作部7に安定的に力を加えることができる。
【0040】
また、取付部5と接続されている第1グリップ部71にベンダ側固定機構14が設けられ、押圧部6と接続されている第2グリップ部72が、台座20に固定された第1グリップ部71に対して揺動する。したがって、曲げ加工時、骨プレートPは台座20に対して一定位置に静止し、押圧部6が骨プレートPに対して移動する。これにより、曲げ加工時に骨プレートPが移動してしまうことを防止し、骨プレートPの所望の部分を確実に押圧して曲げることができる。
また、ベンダ1の先端に取り付けられた着脱部品3が位置決め機構15,26によって台座20に対して位置決めされているので、操作部7への力の印加時にベンダ1の先端が動いてしまうことを防止することができる。
【0041】
また、ベンダ側固定機構14およびベンダ側位置決め機構15が、通し穴および溝のような凹部から構成されている。すなわち、ベンダ側固定機構14およびベンダ側位置決め機構15のためにベンダ1に機械的な部品を追加する必要が無い。したがって、製造、取り扱いおよびメンテナンスが容易なベンダ1を実現することできる。さらに、凹部は、突起のような凸部とは異なり、操作者による操作部7および着脱部品3の操作の邪魔になることがない。したがって、ベンダ1はハンドタイプとしても好適に使用することができる。
【0042】
前述したように、テーブルタイプは、ハンドタイプよりも大きな押圧力を骨プレートPに作用させることができるので、ハンドタイプでの曲げ加工な困難である剛性の高い骨プレートPを使用する際に利用される。したがって、ハンドタイプで曲げ加工が可能な骨プレートPのみを使用する操作者に対しては、ベンダ1が単体で提供されてもよい。
【0043】
上記実施形態において、
図6に示されるように、ベンダ1が、第2グリップ部72に着脱可能である延長グリップ部43をさらに備えていてもよい。延長グリップ部43は、テーブルタイプにおいて使用される。
延長グリップ部43の先端部が第2グリップ部72の基端部に固定され、延長グリップ部43は、第2グリップ部72の長手方向に沿って連結部8bとは反対方向に延びる。操作者が力を加える力点が連結部8bから遠い程、第2グリップ部72を押圧するために必要な力が小さくなる、または、より大きな押圧力を第2グリップ部72に加えることができる。したがって、テーブルタイプでの使用時、操作者は、延長グリップ部43を下方に押圧することによって、より小さい力で骨プレートPを曲げることができる、または、より大きな押圧力を骨プレートPに作用させることができる。
【0044】
上記実施形態において、ベンダ側固定機構14が通し穴であることとしたが、ベンダ側固定機構14の具体的な形態は、第1グリップ部71を台座20に固定解除可能に固定することができる限りにおいて変更してもよい。ベンダ側固定機構の形態に応じて台座側固定機構の形態も変更される。
例えば、ベンダ側固定機構および台座側固定機構の一方が、穴または溝のような凹部を有し、ベンダ側固定機構および台座側固定機構の他方が、凹部内に挿入される凸部を有し、凹部内に挿入された凸部がねじ等の固定部材によって固定されてもよい。
あるいは、ベンダ側固定機構は、第1グリップ部71に取り付けられ、第1グリップ部71を基端支持部22に固定するための機械的な部品を有していてもよい。
【0045】
上記実施形態において、ベンダ側位置決め機構15が溝であることとしたが、位置決め機構15の具体的な形態は、着脱部品3を台座20に一時的に位置決めすることができる限りにおいて変更してもよい。ベンダ側位置決め機構の形態に応じて台座側位置決め機構の形態も変更される。
例えば、ベンダ側位置決め機構が凸部を有し、台座側位置決め機構が、凸部が挿入される凹部を有していてもよい。
あるいは、ベンダ側位置決め機構は、着脱部品3に取り付けられ、着脱部品3を先端支持部23に対して位置決めするための機械的な部品を有していてもよい。
【0046】
上記実施形態において、ベンダ側位置決め機構15は必ずしも設けられていなくてもよい。
テーブルタイプでの使用時、操作者が力を加える操作部7の位置が安定していることが重要である。つまり、着脱部品3が台座20に対して位置決めされていない状態であっても、操作部7が台座20に固定されていれば、操作部7に力を安定的に加えることができる。
【0047】
上記実施形態において、操作部7が、連結部8bにおいて相互に揺動可能に連結された2つのグリップ部71,72を有し、グリップ部71,72が閉じることによって取付部5および押圧部6が閉じることとしたが、操作部7の具体的な構成はこれに限定されるものではなく、操作者が操作部7に加えた外力に従って取付部5および押圧部6が相互に閉じることができる限りにおいて、ベンダ本体2の構成を変更してもよい。
【0048】
例えば、ベンダ本体2は、グリップ部71,72が相互に開くことによって取付部5および押圧部6が相互に閉じるように構成されていてもよい。この場合、ハンドタイプでの使用時、操作者は、一方の手に第1グリップ部71を把持し、他方の手に第2グリップ部72を把持し、両手を使用してグリップ部71,72を開くことができる。
【0049】
上記実施形態において、受け部11a,11bが、骨プレートPの平坦な表面と面接触する平坦面であることとしたが、受け部11a,11bの形状はこれに限定されるものではなく、骨プレートPを安定に支持することができる限りにおいて受け部11a,11bの形状を変更してもよい。例えば、凹部12が略半円筒状の内面を有する略半円柱状の窪みである場合、略半円筒状の内面の周方向の両端部を、骨プレートPを支持する受け部11a,11bとして用いてもよい。また、各受け部11a,11bは、骨プレートPの表面と線接触または点接触する形状を有していてもよい。受け部11a,11bの具体的な形状は、受け部11a,11bが接触する骨プレートPの表面の形状に応じて選択することができる。
【0050】
上記実施形態において、着脱部品3が、骨プレートPを支持する支持部として、相互に空間をあけて配置された2つの受け部11a,11bを有することとしたが、支持部の具体的な構成はこれに限定されるものではなく、押圧部6の動作を妨げることなく骨プレートPを支持することができる限りにおいて、支持部の構成を変更してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ベンダ
2 ベンダ本体
3 着脱部品
5 取付部
6 押圧部
7 操作部
71 第1グリップ部
72 第2グリップ部
8a,8b 連結部
11a,11b 受け部
14 ベンダ側固定機構、凹部、通し穴
15 ベンダ側位置決め機構、凹部、溝
20 台座
22 基端支持部
23 先端支持部
25a 台座側固定機構、ねじ穴
25b 台座側固定機構、ねじ
26 台座側位置決め機構、突起
43 延長グリップ部
100 ベンダシステム
P 骨プレート
【要約】
【課題】ハンドタイプおよびテーブルタイプのいずれでも使用することができる。
【解決手段】ベンダ1は、ベンダ本体2と、ベンダ本体2に取り外し可能に取り付けられ骨プレートを支持する着脱部品3とを備え、ベンダ本体3が、操作者の手に把持され操作者によって手動操作される操作部7を有し、操作部7に加えられた外力に応じた曲げ力を着脱部品3に支持された骨プレートに作用させ、操作部7に、ベンダ1を支持する台座20に操作部7を取り外し可能に固定するためのベンダ側固定機構14が設けられている。
【選択図】
図1