(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来技術を特許公開公報から抽出すると、特許文献1を挙げることができる。
図1に示す特許文献1の技術は、金型1と金型2のキャビティ面5の背後に設けられたノズル室3と、ノズル室3に連通し外部に接続された外部接続通路3aと、ノズル室3に配設され炭酸ガスをノズル室3のキャビティ面5側へ向けて噴射するノズル6と、炭酸ガス供給手段からノズル6へ炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給通路4とを有し、一つの射出成形体を成形する射出成形の1ショットにおいて、溶融樹脂がキャビティ7へ注入され始めた後に、炭酸ガスを所定時間、噴射するものである。
この技術は、ターゲットとなるキャビティ面5側の冷却方法で、蓄熱が生じ易いノズル室3に連通し、外部に接続された炭酸ガス供給通路4に高熱伝導部材としてのヒートパイプ8を挿入してあり、そのターゲットのキャビティ面5側とは反対側に向けて炭酸ガスを噴射するノズル6を設置している。
【0003】
この形態により、噴射された炭酸ガスの冷却能力をヒートパイプ8が伝達して、蓄熱部を冷却することができる。またノズル6が対面している部位だけではなく、高熱伝導部材の当接する範囲を効率よく均一に冷却することができる。高熱伝導部材はヒートパイプ8に限らず、水、オイルのように冷却能力を伝達できる冷却媒体であればよい。
また、
図2に示す特許文献2は、プラスチック光学素子を射出成形により成形する金型11において、該金型11内において移動しない固定側入子12と進退自在に取り付けられている可動側入子13と、可動側入子13と同方向に進退自在に取り付けられ、可動側入子13の温度を調整するための冷媒路14,15,16等からなる温度調整手段と、可動側入子13に一端側が埋設され、他端が温度調整手段に取り付けられ、固定側入子12の温度調整に供すると共に可動側入子13と温度調整手段とを連動して進退自在なヒートパイプ17とを備えている。
【0004】
このようにして特許文献2には、進退自在な固定側入子12の温度調整を適切に行うことができる構成を持った金型11となる。
そして、
図3に示す特許文献3は、金型21を構成する固定側金型22と可動側金型23との間に、成形すべき射出成形体の形状に対応するキャビティ24が形成され、キャビティ24の近傍に発熱体25及び冷却媒体28が、断熱材26を介して設けられ、断熱材26と冷却媒体28との間にペルチェ素子27が設けられている。
【0005】
発熱体25はセラミックスからなる板状ヒータであり、冷却媒体28は発熱体25の約4倍の断面積を有して発熱体25の外面側を覆うようにしており、キャビティ24に射出されたABS樹脂の冷却も兼ねている。この冷却媒体28には冷媒路29が配設され、冷媒路29より冷却水を流せるようになっている。発熱体25と冷却媒体28の間にはウレタン系樹脂発泡体からなる断熱材26が設けられ、発熱体25の熱が冷却媒体28により奪われるのを防止している。このように構成することにより、ウェルドラインの発生を抑制できるとともに、光沢ムラ等の外観不良が少なくなり、成形サイクルも長くなることがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術は、ヒートパイプ8を挿入して目的の箇所の温度を低下させる手段として使用している。しかし、冷却熱はキャビティ面5側に伝わらず、金型1に伝わって分散されてしまう。したがって、実用化には不向きである。
また、特許文献2は、ヒートパイプ17の一端が可動側入子13に埋設され、他端が冷媒路14,15,16等からなる温度調整手段に取付けられて固定側入子12の温度調整に供すると共に、可動側入子13と温度調整手段とを連動して進退自在なヒートパイプ17としている。しかし、特許文献2の技術は、ヒートパイプ17を挿入して目的の箇所の温度を調整する手段に使用されているものの、温度調節は固定側入子12に留まらず、金型11に伝わって分散されてしまう。したがって、この技術も実用化には解決しなければならない問題があった。
【0008】
そして、特許文献3については、キャビティ24の近傍の少なくとも1ヶ所に鋼製材料からなる金型22中に冷媒路29を配設し、その冷媒路29に冷却水を流し、発熱体25及び断熱材26を介して設けられ、ウェルドラインの発生を抑制できると共に、光沢ムラ等の外観不良が少なくなり、成形サイクルも長くなるという技術思想を開示している。しかし、断熱材26として何が使用できるかが開示されておらず不明である。特に、断熱材26としてガラス繊維を使用できるのか、セラミックス材料を使用できるのか不明であり、その構造に与える影響も不明である。
【0009】
特許文献1及び特許文献2は、ヒートパイプ8またはヒートパイプ17を使用しており、熱エネルギの伝搬はそれらヒートパイプ8またはヒートパイプ17の能力に拘束され、急激に温度変化を生じさせることができない。
また、特許文献3におけるペルチェ素子27についても同様で、立ち上がりを急峻にするには、それだけ電力を大きくする必要があり、熱エネルギの無駄が大きくなる。
特許文献1乃至特許文献3の何れにせよ、急峻な立ち上がりを得るには、装置が大掛かりなものとなり、金型内にそれを設置することができないという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は従来の問題点を解消すべくなされたもので、冷媒の通過量に応じた冷却が可能であり、かつ、薄手の合成樹脂の射出成形体であっても部分的に冷却でき、全体の金型の温度を直接低下させることのない小型化可能な射出成形金型の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明にかかる射出成形金型は、合成樹脂からなる射出成形体の一方側を形成するキャビティまたはコアを配設した上金型及び下金型と、前記キャビティ及び/または前記コア内に形成された前記射出成形体を冷却する冷媒路と、冷媒を収容可能な形成空間及び前記形成空間の断面積を変更自在な移動コアとからなる前記キャビティ及び/または前記コア内に形成された要部冷却機構を具備するものである。
ここで、上記固定側の上金型は、前記合成樹脂からなる射出成形体の一方側を形成するキャビティまたはコアを配設したものである。
【0012】
また、上記可動側の下金型は、前記射出成形体の反対側を形成する前記コアまたは前記キャビティを配設したものである。
そして、上記冷媒路は、前記合成樹脂からなる前記射出成形体を冷却する公知の冷却水等の冷媒の通路である。
更に、上記冷媒を収容可能な形成空間は、前記キャビティまたは前記コア内に形成されたものであるが、公知の前記冷媒路と異なるものである。
更にまた、上記移動コアは、前記キャビティまたは前記コア内に形成され、冷媒を収容可能な形成空間及び前記形成空間の断面積を変化により変更自在なものである。
なお、前記形成空間と前記移動コアによって、閉じられた要部冷却機構が形成される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明の射出成形金型は、合成樹脂の射出成形体の一方側を形成するキャビティまたはコアを配設した固定側と、前記射出成形体の反対側を形成する前記コアまたは前記キャビティを配設した可動側との金型には、前記キャビティ及び/または前記コア内に形成された前記射出成形体を冷却する冷媒路が設けられている。したがって、従来からある前記コアまたは前記キャビティを配設した金型は、前記合成樹脂の射出成形体を冷却する冷媒路を流れる冷媒により冷却される。
【0014】
また、前記コアまたは前記キャビティを配設した金型には、前記キャビティまたは前記コア内に形成された冷媒を収容可能な形成空間及び前記形成空間の断面積の面積移動により変更自在な移動コアからなる要部冷却機構が配設されており、当該金型に配設された形成空間に移動コアを進退自在とし、冷媒を通過させる要部冷却機構の通過の断面積を調整する。前記要部冷却機構は、冷媒路よりも射出成形体側にあるから、射出成形体を速く冷却できる。特に、前記射出成形体の厚みを薄くする箇所に形成空間及び移動コアを配設すれば、速く冷却できることになる。よって、射出成形体の成形し難い位置に形成空間及び移動コアを配設し、充填した直後に移動コアを開いて形成空間に冷媒を多く流すことで薄手の射出成形体の硬さを先に硬くし、型開きが早くできるようにしている。特に、射出成形体の型開きの硬さを任意に設定できるから、熱効率の良い制御が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0017】
[実施の形態]
例えば、
図4及び
図5に示すように、キャビティ41を有する上金型40及びコア51を有する下金型50からなる金型60が構成されている。このとき、キャビティ41には冷却媒体を循環させる冷媒路42a及び冷媒路42b、図示しない他の冷媒路が配設されていて、上金型40のキャビティ41全体を所定温度に冷却している。射出成形体70としては、所定幅の円弧状のベース71、その外方向側に4本の針状突起部72,73,74,75を設けたものである。下金型50のコア51には上金型40のキャビティ41と同様、冷媒路52a及び冷媒路52b、図示しない冷媒路が配設されていて、下金型50のコア51の全体を冷却している。設計的に上金型40と下金型50からなる金型60は、全体が均一に冷却されるようになっている。
【0018】
通常、4本の針状突起部72,73,74,75は、溶融樹脂が針状突起部72,73,74,75の先端方向に流れるとき、ベース71から中央の2本の針状突起部73,74に溶融樹脂が流れることになるが、このとき徐々に溶融樹脂から熱が上金型40のキャビティ41に流れ(伝わり)、溶融樹脂の熱が奪われ、急激に流動性が悪化する。
【0019】
結果、上金型40のキャビティ41の中央の2本の針状突起部73,74の先端には、溶融樹脂が回りきらない事態も生じ得る。
通常、ベース71は熱損失が少なくなるように、射出成形機の注口を決定しているが、本発明ではそれらを考慮しないで設定できる。以下、仔細に説明する。
【0020】
本実施の形態の射出成形金型は、上金型40のキャビティ41に射出成形体70を得る4本の針状突起部72,73,74,75と、円弧状の薄いベース71を形成している。
【0021】
上金型40のキャビティ41には、キャビティ41の温度を下げる冷却媒体を循環させる冷媒路42a及び冷媒路42bが設けられている。冷媒路42a及び冷媒路42bは、図示しない冷媒路と共に、キャビティ41の温度を所定の温度に下げるものであり、通常、上金型40と下金型50からなる金型60の温度を下げる冷媒としては水が使用される。
【0022】
また、下金型50のコア51には、冷媒路52a及び冷媒路52bが配設されており、冷媒路52a,52bは、図示しない冷媒路と共に、下金型50のコア51の温度を所定の温度に下げるものである。
更に、下金型50のコア51には、冷媒路61a及び冷媒路61bが配設されており、端部はコア51内に形成された冷媒を収容可能な移動コア65に接触しており、移動コア65の内面に一致、或いはそれ以下の距離に設定されている。
【0023】
キャビティ41またはコア51内に形成された冷媒を収容可能な形成空間64は、射出成形体70を直接成形するものではないが、速く冷却してその形状を維持したい場合、他の部分よりも熱エネルギを多く供給してしまう場合、下金型50のコア51に形成空間64を形成し、その射出成形体70に移動コア65を挿入する。射出成形体70の内寸法と、移動コア65の外寸法は、嵌め合いができる寸法精度に形成される。
但し、射出成形体70を射出するとき、高温高圧の樹脂を供給するので、移動コア65の膨張が無視できないので、それを補償できるようにする必要がある。
【0024】
これを防止するために冷媒路61aから冷媒路61bに、漏れ冷却水(冷媒)を流すことにより、移動コア65を体積膨張させることなく冷却できるので、操作ロッド63の往復動をムーズに行うことができる。
本実施の形態における射出成形体70の円弧状の薄いベース71は、型開きするまでに形状が崩れない程度に硬化している必要がある。また、射出成形機の注口が針状突起部72,75側にあると、針状突起部73と針状突起部74に充填する溶融樹脂が通過する場合には、部分的に熱エネルギが大きくなることがある。
【0025】
このような場合には、下金型50のコア51の円弧状の薄いベース71側に、射出成形する際の射出圧によって変形しない程度の厚みをコア51内に、機械的に必要な程度の厚みを残して形成空間64を形成する。また、形成空間64には冷媒路61aから冷媒路61bに冷却水が流れるように冷媒路等の冷却路を形成する。また、その形成空間64には、嵌め合いができる寸法精度に移動コア65が形成される。
【0026】
その形成空間64に移動コア65が嵌め合いで嵌合し、形成空間64に移動コア65が当接しているとき、移動コア65の側面によって冷媒路61aと冷媒路61bが遮断状態となり、本発明外の通常の公知の金型60と同様に、冷却水によって移動コア65が冷却されないようになっており、要部冷却機構66は金型薄部59を含む形成空間64と移動コア65によって形成されている。
また、操作ロッド63を下降させるように外力を付与すると、冷媒路61aと冷媒路61bが遮断状態から、それらの遮断の解放側に移動する。
【0027】
即ち、操作ロッド63を下降させるように外力を付与すると、操作ロッド63の加工に伴って移動コア65が下降する。移動コア65が下降すると、それまで封止していた冷媒路61aと冷媒路61bが開口し、冷媒としての冷却水が通過する。その際、冷却水は、例えば、冷媒路61aから冷媒路61bに流れる際、冷却水が形成空間64と移動コア65によって形成されている要部冷却機構66で乱流となり、形成空間64及び金型薄部59を冷却する。なお、金型薄部59は射出成形体70の円弧状の薄いベース71を形成する部分である。この金型薄部59は、薄く、機械的強度も強靭であることが理想であるものの、両立できるものがないこと、少量の水滴があると、射出成型する樹脂で加熱され、非常に高い高圧になる可能性がある。そこで、金型薄部59は、強度と厚みのバランスをとった設計が必要である。
【0028】
更に、操作ロッド63が移動コア65を下降させ、形成空間64の内側の面から移動コア65を離すと、形成空間64の内側の面と移動コア65との間に間隔が形成される。同時に冷媒路61aから冷媒路61bに冷却水が流れるから、その冷却水により金型薄部59を介して円弧状の薄いベース71側が冷却され、ベース71を早急に硬化する。同時に、射出成形体70が冷却されるが、射出成形体70全体の平均よりも、熱容量が小さいからベース71側の冷却が進行している。
【0029】
このとき、移動コア65の移動は、同時に冷媒路61a側を上流側とすると、冷媒路61aから冷媒路61bの連通となり、冷媒路61a及び冷媒路61bの開口は移動コア65の移動に応じて開くことになる。しかし、形成空間64、即ち、金型薄部59に移動コア65が密接している状態では、まず、密接させる場合には、圧縮された空気が排出できない状態で保持される可能性がある。
【0030】
また、金型薄部59に移動コア65を密接状態にした後、その密接状態から開放状態にする場合には、加工精度によっても異なるが、移動コア65が形成空間64の空気圧を減じ真空に近い状態にする可能性がある。したがって、冷媒は、冷媒路61aから冷媒路61b側に流れるが、反対方向に流してもよいし、蒸気圧の上昇等を逃すために、リークバルブ、圧力バルブを配設してもよい。
【0031】
そこで、移動コア65の先端に冷媒路61aから冷媒路61bに連結されるスリットまたは貫通孔を設け、移動コア65の移動に伴う体積変化を冷媒路61a,61b側から補充する方法がある。
また、金型薄部59に移動コア65が当接しているときでも、金型薄部59と移動コア65との間がゼロとならず、移動コア65に冷媒路61aから冷媒路61bに連通する開口を設ける。例えば、冷媒路61aから冷媒路61bまで、移動コア65のベース71側の端面にスリットまたはU字溝を設けることが望ましい。
【0032】
本実施の形態の射出成形金型は、合成樹脂からなる射出成形体70の一方側を形成するキャビティ41を配設した固定側の上金型40と、射出成形体70の反対側を形成するコア51を配設した可動側の下金型50として説明しているが、上金型40にコア51を配設してもよいし、下金型50にキャビティ41を配設してもよい。即ち、キャビティ41とコア51は、上金型40または下金型50の何れにも配設されてもよい。
【0033】
また、固定側の上金型40と、可動側の下金型50についても、何れを固定側としても可動側としてもよい。また上下位置に限らず、左右位置でもよい。
【0034】
合成樹脂からなる射出成形体70を冷却するキャビティ41及び/またはコア51内に形成された冷媒路42a,42b、52a,52bは、従来からある金型60の冷却手段であり、水等の冷媒を用いてキャビティ41及び/またはコア51内を通過するもので、通常、マトリックス状に冷媒路42a,42b、52a,52bが形成される。
【0035】
即ち、本発明の実施の形態の射出成形金型は、合成樹脂からなる射出成形体70の一方側を形成するキャビティ41またはコア51を配設した固定側の上金型40と、射出成形体70の反対側を形成するコア51またはキャビティ41を配設した可動側の下金型50と、合成樹脂からなる射出成形体70を冷却するキャビティ41及び/またはコア51内に形成された冷媒路42a,42b、52a,52bと、キャビティ41及び/またはコア51内に形成された冷媒を収容可能な金型薄部59で形成された形成空間64、及び形成空間64の断面積を移動により変更自在な移動コア65からなる要部冷却機構66を具備するものである。
【0036】
したがって、上記実施の形態の射出成形金型は、合成樹脂の射出成形体70の一方側を形成するキャビティ41またはコア51を配設した固定側と、射出成形体70の反対側を形成するコア51またはキャビティ41を配設した可動側との上金型40及び下金型50からなる金型60には、キャビティ41及び/またはコア51内に形成された合成樹脂の射出成形体70を冷却する冷媒路42a,42b、52a,52bが設けられている。したがって、従来からあるコア51またはキャビティ41を配設した金型は、合成樹脂の射出成形体70を冷却する冷媒路42a,42b、52a,52bを流れる冷媒により冷却される。
【0037】
コア51またはキャビティ41を配設した上金型40及び下金型50からなる金型60には、キャビティ41またはコア51内に形成された冷媒を収容可能な金型薄部59を含む形成空間64及び形成空間64の断面積の面積移動により変更自在な移動コア65からなる要部冷却機構66が配設されており、上金型40及び下金型50からなる金型に配設された形成空間64に移動コア51を進退自在とし、冷媒を通過させる要部冷却機構66の通過の断面積を調整する。この要部冷却機構66は、冷媒路42a,42b、52a,52bよりも合成樹脂の射出成形体70側にあるから、射出成形体70の型からの取出しのタイミングを速く冷却できる。
【0038】
特に、射出成形体70の厚みを薄くする箇所に形成空間64及び移動コア65を配設すれば、速く冷却できることになる。よって、射出成形体70の成形し難い位置に形成空間64及び移動コア65を配設し、充填した直後に移動コア65を開いて形成空間に冷媒を多く流すことで薄手の射出成形体70の硬さを先に硬くし、型開きが早くできるようにしている。特に、射出成形体70の型開きの硬さを任意に設定できるから、熱効率の良い制御が可能となる。
【0039】
上記実施の形態の射出成形金型における
図6(a)の事例1及び
図6(b)の事例2の要部冷却機構66(
図5参照)の形成空間64(
図5参照)と移動コア65(
図5参照)は、形成空間64に挿着される移動コア65の断面積を最小にすべく閉じたときでも、冷媒が流れる構造としたものである。
即ち、
図6(a)の事例1は、移動コア65の冷媒路61aと冷媒路61bとの間が繋がるように、冷気水の冷媒路61aから冷媒路61bに流れるのをリーク路81で確保し、かつ、形成空間64の金型薄部59との当接部まで冷却水を導くように圧力調整路82を設けたものである。したがって、リーク路81は冷媒路61aと冷媒路61bとの間を繋ぎ、形成空間64に対して移動コア65が挿入されるときには、冷却水が圧力調整路82からリーク路81に流れて排出され、逆に、形成空間64に対して移動コア65が離れ、空間の容積を大きくするときには、冷却水がリーク路81を介して圧力調整路82から供給されるので、移動コア65の往復動がスムーズである。
【0040】
また、
図6(b)の事例2は、移動コア65の先端にU字溝83を設けたものであるから、U字溝83の最小体積を中心に体積を調整できる。
したがって、この実施の形態の射出成形金型の形成空間64と移動コア65は、形成空間64に挿着される移動コア65の断面積を最小にすべく閉じたときでも、冷媒が流れる構造としたものであるから、射出成形金型に供給する充填する樹脂温度及び充填量、冷媒路42a,42b、52a,52bを流れる冷媒により冷却される射出成形体70を冷却する必要な熱量に対する初期値を任意に設定できる。
このように、リーク路81及び圧力調整路82からなる冷媒が流れる構造、U字溝83は、形成空間64に挿着される移動コア65との断面積を最小にすべく閉じたときでも、形成空間64の圧力を異常圧まで上げることがないから、安全に使用できる。特に、温度が異常に上昇すると、蒸気圧が異常圧力上昇となるが、それを回避することができる。
【0041】
上記実施の形態の射出成形金型における要部冷却機構66の形成空間64と移動コア65は、前記形成空間64に挿着される移動コア65の断面積を最小にすべく閉じたとき、冷媒が流れるのを遮断したものである。
したがって、形成空間64と移動コア65は、形成空間64に挿着される移動コア65の断面積を最小にすべく閉じたとき、冷媒が流れるのを遮断するものであるから、要部冷却機構66の形成空間64と移動コア65は完全に前記キャビティまたは前記コアと一体となることができ、従来から存在する金型60のキャビティ41またはコア51として扱うことができる。
【0042】
本発明の実施の形態の射出成形金型は、合成樹脂からなる射出成形体70の一方側を形成するキャビティ41またはコア51を配設した上金型40及び下金型50と、キャビティ41及び/またはコア51内に形成された合成樹脂からなる射出成形体70を冷却する冷媒路42a,42b、52a,52bと、冷媒を収容可能な形成空間64及び形成空間64の断面積を移動により変更自在な移動コア65とからなるキャビティ41及び/またはコア51内に形成された要部冷却機構66を具備する。
【0043】
ここで、固定側の上金型40は、合成樹脂からなる射出成形体70の一方側を形成するキャビティ41またはコア51を配設したものである。
また、可動側の下金型50は、射出成形体70の反対側を形成するコア51またはキャビティ41を配設したものである。
そして、冷媒路42a,42b、52a,52bは、合成樹脂からなる射出成形体70を冷却する水等の冷媒の通路である。
【0044】
更に、冷媒を収容可能な形成空間64は、キャビティ41またはコア51内に形成されたものであるが、冷媒路42a,42b、52a,52bと異なるものである。
更にまた、移動コア65は、キャビティ41またはコア51内に形成され、冷媒を収容可能な形成空間64及び形成空間64の断面積を移動により変更自在なものである。
なお、形成空間64と移動コア65によって、閉じられた要部冷却機構66が形成される。
【0045】
更に、冷媒を収容可能な金型薄部59等で形成した形成空間64は、
図4及び
図5に示すように、射出成形体70を形成する上に凸の彎曲面を形成しているから、射出成形体70を形成する外力が加わっても、容易に変形することがない。即ち、射出成形体70に供給する溶融樹脂の温度が高いので、金型薄部59の凸側を樹脂の流れる方向とするのが望ましい。勿論、金型薄部59の平板状を否定するものではなく、平板状であっても、その厚みで任意の強度を出すことができる。
更にまた、要部冷却機構66の移動コア65と冷媒路61a,61bは、移動コア65の形成空間64の開き面積が増加する場合には、冷媒路61a,61bの開口断面も増加するように設定することが望ましい。
【0046】
冷媒路61a,61bを通る冷媒は、冷却水を前提としているが、本発明を実施する場合には、他の冷媒源から冷媒を導入してもよい。
また、本発明を説明するのに、射出成形体70のベース71の薄い部分について説明したが、射出成形体70の厚手の部分にも同様に使用することができる。