(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
剥離部材は、管理対象回転体に巻き付いた帯状物に当接し、脆弱部を破断の起点として管理対象回転体から帯状物を剥離させることを特徴とする請求項3に記載の帯状物形成装置。
装置の筺体の管理対象回転体に対応する位置に管理開口部と、管理開口部に設けた開閉扉を有し、管理開口部を通して管理対象回転体に巻き付いた帯状物を除去することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の帯状物形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、製紙機の1種である古紙処理装置1は、帯状の湿紙100を抄紙する抄紙工程をなす抄紙装置2と、帯状物である湿紙100を乾燥させる乾燥工程をなす乾燥装置4と、抄紙工程から出る濾水を貯溜する上部開放の白水貯溜部5と、各部を制御する制御装置(図示省略)を備えている。
【0020】
本実施の形態においては、帯状物として、パルプ懸濁液を抄いて得られる湿紙100の帯状紙(紙匹)を例に説明するが、帯状物としては繊維に接着剤を添加して帯状紙状に形成した長尺物も本願発明における帯状物である。
【0021】
次に、帯状物形成部をなす抄紙装置2は、抄紙部20と湿紙分散部6を備えている。抄紙部20は、第1群のローラ21の間に掛け渡された抄紙ワイヤー22と、パルプ懸濁液を抄紙ワイヤー22に供給するヘッドボックス23を有している。抄紙ワイヤー22は、無端軌道状に回動して湿紙形成移送経路22aと復帰経路22bとにわたって走行し、湿紙形成移送経路22aにおいて抄紙ワイヤー22の湿紙形成面上に湿紙100を抄紙し、形成した湿紙100を湿紙形成移送経路22aの終端側で次工程の乾燥装置4に転移させる。抄紙ワイヤー22は金属製又は、合成樹脂製であり、網目状をなして通水性、通気性を有している。
【0022】
抄紙装置2の湿紙分散部6は、濾水が抄紙ワイヤー22から白水貯溜部5へ落下する経路の途中に、装置本体に対して着脱自在に設けられている。湿紙分散部6は、復帰経路22bで抄紙ワイヤー22の湿紙形成面から落下する湿紙100を受け止める。本実施の形態では、湿紙分散部6は、抄紙ワイヤー22から落下する湿紙100を受け止める分散板61を有している。
【0023】
また、抄紙ワイヤー22の無端軌道の内側には、洗浄手段としての洗浄ノズル24を設けており、洗浄ノズル24は復帰経路22bを走行する抄紙ワイヤ22ーの湿紙形成面と相反する裏面に向けて洗浄液を放出する。
【0024】
抄紙装置2は圧搾脱水部25を有している。圧搾脱水部25は、抄紙ワイヤー22と湿紙100を挟持する一対の圧搾脱水ローラ25a、25bを有している。プレスローラである圧搾脱水ローラ25a、25bは、湿紙100を抄紙ワイヤー22に押圧し、湿紙100を圧搾して脱水する。
【0025】
装置の筺体(図示省略)には、管理対象回転体である圧搾脱水ローラ25aに対応する位置および乾燥ドラム41に対応する位置のそれぞれに管理開口部(図示省略)が設けられており、各管理開口部には開閉扉(図示省略)を設けている。この管理開口部は、圧搾脱水ローラ25aや乾燥ドラム41に湿紙100が巻き付いた時に作業者が腕を機内に挿入して除去作業を行うためのものである。
【0026】
そして、抄紙装置2の次工程として乾燥装置4を配置している。乾燥装置4は、ヒータ等の加熱装置を内蔵して加熱部をなす乾燥ドラム41と、乾燥ドラム41と複数のローラ412の間に掛け渡したカンバスベルト415を有する。
【0027】
また、乾燥ドラム41から帯状物の乾紙101を剥離させるスクレーパ部400が乾燥ドラム41に摺接する位置と、乾燥ドラム41から離間する位置にわたって当接離間自在に配置されている。
【0028】
本実施の形態では、スクレーパ部400が剥離部材を兼ねている。剥離部材をスクレーパ部400とは別途に設ける場合には、剥離部材としてスクレーパ以外にも爪やゴム材等々を使用することが可能であり、剥離部材を管理対象回転体の乾燥ドラム41に当接離間自在に設ける。また、剥離部材としてサクションローラを使用することも可能である。
【0029】
抄紙部20と乾燥装置4の間には、湿紙転移部301が形成されている。湿紙転移部301は抄紙部20の第1群のローラ21のうちで特定のローラ21aと乾燥装置4の複数のローラ412のうちで特定のローラ412aとの間に形成される。
【0030】
スクレーパ部400より搬送方向下流側における乾紙101の搬送経路上には、第1搬送ローラ対511、511と第2搬送ローラ対521、521を有している。また、第1搬送ローラ対511、511と第2搬送ローラ対521、521との間の搬送経路上にはカッター刃対531、531が乾紙101の搬送経路を介して対向配置されている。
【0031】
また、古紙処理装置1は、使用者に機器の異常を報知するブザー、無線機器、有線機器等々の報知手段(図示省略)を有しており、制御部は、後述する検出部が巻き付き事象を検出した検出結果を受けて、報知手段により巻き付きの除去を促す報知を行う。
(圧搾脱水ローラの巻き付き処理に係る装置構成)
図4に示すように、本実施の形態において、搬送部をなす抄紙ワイヤー22は、圧搾脱水ローラ(プレスローラ)25a、25bを通過した後に、斜め上方に向けた走行軌道を形成している。
【0032】
管理対象回転体をなす上方の圧搾脱水ローラ25aの頂部の上方には第2洗浄ノズル31を下方に向けて設けている。上方の圧搾脱水ローラ25aと抄紙ワイヤー22との間には、脆弱部形成部をなす湿潤用液供給口32を下方に向けて設けている。また、上方の圧搾脱水ローラ25aに対向して検出部をなす第1センサー33を設けている。
【0033】
湿潤用液供給口32は、上方の圧搾脱水ローラ25aに巻き付いた湿紙100に向けて湿潤用液体としての水を滴下する。より詳細には、湿潤用液供給口32は、抄紙ワイヤー22が上方の圧搾脱水ローラ25aから接線方向に離間する接点付近に向けて開口している。湿紙100に滴下した水は、抄紙ワイヤー22と上方の圧搾脱水ローラ25aとが接触する接点付近において湿紙100の紙幅方向および紙長さ方向に広がり、湿紙100に湿潤な脆弱部100aを形成する。脆弱部100aは湿紙100の全幅にわたって延び広がることが好ましいが、部分的な広がりであっても破断の起点となり得る。
【0034】
本実施の形態において、湿潤用液供給口32は、抄紙ワイヤー22の湿紙搬送方向と直交する方向において抄紙幅の中央位置の1箇所にのみに設けているが、複数個所に設けることも可能である。
【0035】
第1センサー33は、光センサー等からなり、上方の圧搾脱水ローラ25aの外周面に湿紙100があるか、否かを検出し、湿紙100の巻き付きの有無を検出する。第1センサー33は、紙幅方向の複数個所に設けることも可能である。この場合には、紙幅方向の一部の湿紙100が巻き付いた事象も検出できる。
(乾燥ドラムの巻き付き処理に係る装置構成)
図1に示すように、本実施の形態において、搬送部をなすカンバスベルト415は、ローラ412aを通過した後に、斜め下方に向けた走行軌道を形成している。
【0036】
管理対象回転体をなす乾燥ドラム41とカンバスベルト415との間には、脆弱部形成部をなす第2湿潤用液供給口321を下方に向けて設けている。また、乾燥ドラム41の搬送方向においてスクレーパ部400の下流側には、乾燥ドラム41に付着した汚れを掻き取る掻き取部材322を管理対象回転体の乾燥ドラム41に当接離間自在に配置している。
【0037】
さらに、乾紙101の搬送軌道上にはスクレーパ部400の下流側に検出部をなす第2センサ323を配置している。第2センサ323は、第1センサー33と同様に乾燥ドラム41の周面上における帯状紙(紙匹)の有無を検出する構成とすることも可能である。
【0038】
第2湿潤用液供給口321は、乾燥ドラム41に巻き付いた帯状紙(紙匹)、ここでは湿紙100もしくは乾紙101に向けて湿潤用液体としての水を滴下する。より詳細には、第2湿潤用液供給口321は、乾燥ドラム41に対して接線方向に延びて当接するカンバスベルト415と乾燥ドラム41との接点付近に向けて開口している。カンバスベルト415の上の湿紙100、もしくは乾燥ドラム41の上の乾紙101に滴下した水は、カンバスベルト451と乾燥ドラム41とが接触する接点付近において湿紙100および乾紙101の紙幅方向および紙長さ方向に広がり、湿紙100および乾紙101に脆弱部100a(100b、100c)を形成する。脆弱部100a(100b、100c)は湿紙100および乾紙101の全幅にわたって延び広がることが好ましいが、部分的な広がりであっても破断の起点となり得る。
【0039】
本実施の形態において、第2湿潤用液供給口321は、カンバスベルト415と乾燥ドラム41との接点付近に向けて開口し、下方に向けて設置されており、湿潤用液体として水を滴下した。しかし、第2湿潤用液供給口321は乾燥ドラム41に向けて設置してもよい。そして、湿潤用液体を湿紙100もしくは乾紙101に向けて噴射または吐出してもよい。
【0040】
また、第2湿潤用液供給口321は、カンバスベルト415の湿紙搬送方向と直交する方向において紙幅の中央位置の1箇所にのみに設けているが、複数個所に設けることも可能である。
【0041】
第2センサー323は、光センサー等からなり、乾紙101の搬送軌道上に乾紙101があるか、否かを検出し、乾燥ドラム41における乾紙101の巻き付きの有無を検出する。第2センサー323は、紙幅方向の複数個所に設けることも可能である。この場合には、紙幅方向の一部の湿紙100が巻き付いた事象も検出できる。
【0042】
剥離部材としてのスクレーパ部400は、管理対象回転体の乾燥ドラム41に巻き付いた乾紙101に当接し、脆弱部100a(100b、100c)を破断の起点として乾燥ドラム41から乾紙101を剥離させる。
(抄紙工程)
抄紙部20では、ヘッドボックス23からパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー22に供給して抄紙ワイヤー22の湿紙形成面上に湿紙100を抄紙する。湿紙100は、湿紙転移部301において抄紙部20から乾燥装置4に移る。
【0043】
しかしながら、条件によっては、時として湿紙100が湿紙形成移送経路22aの終端側で抄紙ワイヤー22から乾燥装置4のカンバスベルト415へ転移せず、復帰経路22bに至る湿紙100がある。
【0044】
この場合には、センサー等により湿紙100が復帰経路22bに至ったことを検知すると、抄紙動作を一旦中断する。復帰経路22bに至った湿紙100は、自重によって復帰経路22bで抄紙ワイヤー22の湿紙形成面から落下し、湿紙分散部6の分散板61が湿紙100を受け止める。
【0045】
また、ワイヤー洗浄動作を行って洗浄ノズル24から洗浄液を放出する。洗浄液は、抄紙ワイヤー22の裏面から表面に向けて透過することで、抄紙ワイヤー22に付着した繊維を洗い流すとともに、湿紙100が抄紙ワイヤー22から剥離することを促進する。
【0046】
湿紙分散部6では、分散板61の上に落ちて嵩高く積み上がった湿紙100に向けて、抄紙ワイヤー22から落下する濾水、洗浄ノズル24から放出した洗浄液が落下する。
【0047】
この落下する濾水等が湿紙100の分散を促す手段となって積層した湿紙100の繊維層を打ち解して分散させる。
【0048】
湿紙転移部301において、抄紙ワイヤー22の湿紙形成面上に抄紙した湿紙100は、抄紙ワイヤー22が特定のローラ21aの外周に沿って反転して湿紙100から離間することで、空間を移動して乾燥装置4の特定のローラ412aで反転するカンバスベルト415に転移する。
(乾燥工程)
乾燥装置4では、湿紙100の転移したカンバスベルト415が乾燥ドラム41へ向けて進行し、カンバスベルト415と乾燥ドラム41の間に湿紙100を挟み、乾燥ドラム41から受ける熱によって湿紙100を乾燥させて乾紙101とする。そして、スクレーパー部400が乾燥ドラム41から乾紙101を剥離させる。
(仕上工程)
乾燥ドラム41から剥離した乾紙101は、第1ローラ対511、511および第2搬送ローラ対521、521によって搬送し、カッター刃対531、531によって定形サイズに断裁する。
(圧搾脱水ローラの巻き付き処理)
巻き付き処理の概略を
図2に示す。すなわち、上述した抄紙工程および乾燥工程からなる帯状物形成処理S1を行い、帯状物形成処理S1において帯状物の巻き付きの有無を検出しS2、巻き付きを検出したら巻き付き除去処理S3を行って、帯状物形成処理S1を再開S4する。
【0049】
以下に、管理対象回転である圧搾脱水ローラ25aに湿紙100が巻き付いた時に行う処理について
図3を参照して説明する。
【0050】
抄紙工程において、第1センサー33が圧搾脱水ローラ25aに湿紙100が巻き付いたことを検出すると、制御部は、ヘッドボックス23に対するパルプ懸濁液の供給を停止するS11。このとき、抄紙ワイヤー22は回転動作を継続している。
【0051】
制御部が、巻き付き事象を検出した第1センサー33の検出結果を受けてパルプ懸濁液の供給を停止するので、巻き付き事象の継続を断ち切って湿紙100が永続的に圧搾脱水ローラ25aに巻き付く事態の悪化を抑制でき、圧搾脱水ローラ25aから湿紙100を除去する作業負荷を軽減できる。
【0052】
第1センサー33が巻き付きを検出し、パルプ懸濁液の供給を停止した後に、既に抄紙ワイヤー22の上に形成した湿紙100の全てが圧搾脱水ローラ25aに巻き付くまでの所定時間が経過したか、否かを判断するS12。この所定時間は予め計算値や経験値から求める。
【0053】
所定時間が経過し、既成の湿紙100の全てが圧搾脱水ローラ25aに巻き付いた後に、抄紙ワイヤー22の回転を停止するS13。
【0054】
そして、湿潤用液供給口32から上方の圧搾脱水ローラ25aに巻き付いた湿紙100に向けて湿潤用液体の水を滴下して脆弱部付与処理S14を行う。湿紙100の紙幅方向の中ほどに滴下した水は、抄紙ワイヤー22と上方の圧搾脱水ローラ25aとが接触する接点付近において湿紙100の紙幅方向および紙長さ方向に広がり、湿紙100に脆弱部100a(100b、100c)を形成する。
【0055】
次に、脆弱部100a(100b、100c)の付与が所定回数、ここでは3回に達したか、否かを判断しS15、脆弱部100aの付与回数が3回に達するまで、脆弱部付与処理S14と所定量回転処理S16を繰り返す。
【0056】
所定量回転処理S16では、湿潤用液体の水が湿紙100の紙幅方向に広がるのを待って、抄紙ワイヤー22および圧搾脱水ローラ25a、25bを回転させ、湿潤用液供給口32に対する圧搾脱水ローラ25aに巻き付いた湿紙100の相対位置を変更する。
【0057】
ここでは、圧搾脱水ローラ25aに巻き付いた湿紙100に対して、周方向の3箇所に湿潤な脆弱部100a、100b、100cを形成する。この回転量は、例えば圧搾脱水ローラ25aにおいて回転軸心廻りに約135°である。
【0058】
この結果、
図4に示すように、圧搾脱水ローラ25aの上部の位置、圧搾脱水ローラ25aと抄紙ワイヤー22とが接触を開始する位置、圧搾脱水ローラ25aと抄紙ワイヤー22との接触が終了する位置の3箇所に湿潤な脆弱部100a、100b、100cが形成される。
【0059】
また、圧搾脱水ローラ25aの周方向において3つの剥離領域が設けられる。すなわち、圧搾脱水ローラ25aの周方向において脆弱部100aと脆弱部100bの間に第1の剥離領域110aが形成され、脆弱部100bと脆弱部100cの間に第2の剥離領域110bが形成され、脆弱部100cと脆弱部100aの間に第3の剥離領域110cが形成され、それぞれが1回の剥離領域110a、110b、110cをなす。
【0060】
この状態で、第1の剥離領域110aおよび第3の剥離領域110cが前述した管理開口部に対応する位置、ここでは第1の剥離領域110aと第3の剥離領域110cの間の脆弱部100aが圧搾脱水ローラ25aの頂部に位置する第1剥離位置にある。
【0061】
そして、第2の剥離領域110bが圧搾脱水ローラ25a、25bの間に抄紙ワイヤー22を介して挟持され、第1の剥離領域110aおよび第3の剥離領域110cは自由位置にある。制御部は報知手段(図示省略)により剥離を促す報知を行うS17。
【0062】
使用者は、管理開口部の開閉扉を開放し、管理開口部を通して第1の剥離領域110aおよび第3の剥離領域110cを圧搾脱水ローラ25aから剥離させる。
【0063】
このとき、第1の剥離領域110aおよび第3の剥離領域110cが前述した管理開口部に対応する第1剥離位置にない場合に、使用者はマニュアル操作で制御部を操作し、第1の剥離領域110aおよび第3の剥離領域110cが第1剥離位置に達するまで、抄紙ワイヤー22および圧搾脱水ローラ25a、25bを回転させることも可能である。
【0064】
この管理対象回転体である圧搾脱水ローラ25aを停止させた状態で行う使用者の人力による湿紙100の除去作業時において、脆弱部100aが破断の起点となって湿紙100の剥離領域110a、110cが圧搾脱水ローラ25aの軸心方向に沿って容易に破断する。使用者は、千切り取った剥離領域110a、110cを管理開口部を通して機外に取出して開閉扉を閉じる。また、管理開口部を通して圧搾脱水ローラ25aに巻き付いた湿紙100を除去することで、除去作業を容易に行うことができる。
【0065】
使用者は、開閉扉を閉じてマニュアル操作で制御部を操作し、第2の剥離領域110bが前述した管理開口部に対応する位置、すなわち第2の剥離領域110bが圧搾脱水ローラ25aの頂部に位置する第2剥離位置まで、抄紙ワイヤー22および圧搾脱水ローラ25a、25bを回転させるS18。制御部は報知手段(図示省略)により剥離を促す報知を行うS19。先と同様にして第3の剥離領域110cを圧搾脱水ローラ25aから剥離させ、機外へ取出す。
【0066】
このように、本実施の形態では、少ない回転操作により、圧搾脱水ローラ25aに巻き付いた全ての湿紙100を除去できる。
【0067】
その後に、第2洗浄ノズル31から洗浄液を圧搾脱水ローラ25aに供給して圧搾脱水ローラ25aの表面を洗い流す洗浄処理S20を行う。この洗浄処理S20により、湿紙100を除去する際に、周囲に付着した紙粉や繊維を圧搾脱水ローラ25aから取り除き、運転再開後に得られる再生紙の品質を向上できる。
【0068】
第2洗浄ノズル31は、湿潤用液供給口32と兼用することも可能である。しかし、両者の供給量の差は大きく、第2洗浄ノズル31の吐出量で脆弱部100aを形成する操作を行うと、湿潤用液の水が圧搾脱水ローラ25aの全周に亘って湿紙100を湿潤させるので、小面積の剥離領域が多数形成されることになり、湿紙100を千切り取る操作が増加して手間がかかることになる。
【0069】
本実施の形態のように、第2洗浄ノズル31と湿潤用液供給口32とを別途に設け、圧搾脱水ローラ25aの周方向において湿紙100に紙幅方向に延びる3箇所の脆弱部を形成することで、最小の手数で湿紙100を千切り取ることができる。
【0070】
このように、専門知識や専門的な技量を持たない一般ユーザでも巻き付き事象を人力によって容易に解消させて、装置の稼働を再開させることが可能となり、装置の稼働効率が向上する。
【0071】
抄紙ワイヤー22および圧搾脱水ローラ25a、25bを回転させる操作は、開閉扉を閉じる動作に伴って制御部で行うことも可能である。
【0072】
使用者が抄紙再開の操作を行うと、制御部はヘッドボックス23へパルプ懸濁液を供給して運転を再開する。
(乾燥ドラムの巻き付き処理)
以下に、管理対象回転である乾燥ドラム41に湿紙100(乾紙101)が巻き付いた時に行う処理について
図5を参照して説明する。
【0073】
乾燥工程において、所定のタイミングで第2センサー323が乾紙101の搬送経路に乾紙101が存在しないことを検出すると、制御部は乾燥ドラム41に湿紙100が巻き付いたと判断する。
【0074】
第2センサー232により巻き付きを検出すると、制御部は、ヘッドボックス23に対するパルプ懸濁液の供給を停止するS21。このとき、抄紙ワイヤー22および乾燥ドラム41は回転動作を継続している。
【0075】
制御部が、巻き付き事象を検出した第2センサー323の検出結果を受けてパルプ懸濁液の供給を停止するので、巻き付き事象の継続を断ち切って湿紙100(乾紙101)が永続的に乾燥ドラム41に巻き付く事態の悪化を抑制でき、乾燥ドラム41から湿紙100(乾紙101)を除去する作業負荷を軽減できる。
【0076】
第2センサー323が巻き付きを検出し、パルプ懸濁液の供給を停止した後に、既に抄紙ワイヤー22の上に形成した湿紙100の全てが乾燥ドラム41に巻き付くまでの所定時間が経過したか、否かを判断するS22。この所定時間は予め計算値や経験値から求めるが、圧搾脱水ローラ25aに巻き付く場合よりも長くなる。
【0077】
所定時間が経過し、既成の湿紙100の全てが乾燥ドラム41に巻き付いた後に、乾燥ドラム41の回転を停止するS23。
【0078】
そして、第2湿潤用液供給口321から乾燥ローラ41に巻き付いた湿紙100(乾紙101)に向けて湿潤用液体の水を滴下して脆弱部付与処理S24を行う。湿紙100の紙幅方向のほぼ中央位置に滴下した水は、乾燥ローラ41とカンバスベルト415とが接触する接点付近において湿紙100の紙幅方向および紙長さ方向に広がり、湿紙100に脆弱部101aを形成する。
【0079】
湿潤用液体の水が湿紙100(乾紙101)に湿潤するのに必要な湿潤時間が経過したか、否かを判断しS25、回転ドラム41を回転させるS26。
【0080】
次に、剥離部材としてのスクレーパ部400を回転ドラム41に巻き付いた湿紙100(乾紙101)に当接する位置まで移動させるS27。剥離部材としてのスクレーパ部400を移動させるタイミングは、脆弱部101aが剥離部材としてのスクレーパ部400を設置した位置に到達する時が好ましいが、このタイミングに限るものではない。
【0081】
剥離部材としてのスクレーパ部400は、管理対象回転体の乾燥ドラム41に巻き付いた湿紙100(乾紙101)に当接し、摩擦力や機械的な係合により、脆弱部101aを破断の起点として乾燥ドラム41から湿紙100(乾紙101)を剥離させる。剥離された湿紙100(乾紙101)は剥離部材としてのスクレーパ部400の上面にペーパージャムを形成して滞留する。
【0082】
そして、制御部は報知手段(図示省略)により剥離したペーパージャムの除去を促す報知を行うS28。
【0083】
使用者は、管理開口部の開閉扉を開放し、管理開口部を通してペーパージャムを機外に取出す。
【0084】
そして、使用者が再開の操作を行うと、制御部はヘッドボックス23へパルプ懸濁液を供給して運転を再開するS29。
【0085】
このように、専門知識や専門的な技量を持たない一般ユーザでも巻き付き事象を容易に解消させて、装置の稼働を再開させることが可能となり、装置の稼働効率が向上する。
【0086】
次に、古紙処理装置1には、抄紙工程と乾燥工程の間に脱水工程を設けるものもあり、脱水工程はフェルトからなる回転する脱水ベルトを備えるものである。本発明における管理対象回転は、この脱水工程のフェルトからなる脱水ベルトも含むものである。
【0087】
また、本発明に係る管理対象回転体には、例えば
図6に示す構成のプレスローラや加熱ローラが含まれる。
【0088】
これは、帯状物が、例えば繊維に接着剤を添加して得られる長尺物601である場合に適用されるものであり、長尺物601の搬送経路の途上にプレスローラ602、602および加熱ローラ603、603を配置し、上下のプレスローラ602、602の間、および上下の加熱ローラ603、603の間に長尺物を挟持して搬送する。
【0089】
プレスローラ602に対向する位置、および加熱ローラ603に対向する位置のそれぞれにカッター604、605を配置している。カッター604、605は、プレスローラ602に接近離間自在に設けられている。カッター604、605に替えて、スリッターやミシン目形成手段を使用することも可能である。
【0090】
また、下方のプレスローラ602および下方の加熱ローラ603に対向する位置には、巻き付きを検出する検出部607a、607bを設けており、プレスローラ602および加熱ローラ603の下方位置にそれぞれ回収部608、608を設けている。
【0091】
ここでは、長尺物601が下方のプレスローラ602に巻き付いた場合について説明する。検出部607aにより長尺物601の巻き付きを検出した場合には、上流工程の帯状物形成部に対する原料供給を停止し、既に形成された長尺部601の全てを下方のプレスローラ602に巻き付かせる。
【0092】
次に、プレスローラ602、602および加熱ローラ603、603を停止させる状態で、カッター604を下方のプレスローラ602に巻き付いた長尺物601に当接させて、長尺物601に脆弱部601aを形成する。
【0093】
この脆弱部601aは幅方向の全幅にわたって形成する必要はなく、長尺物601の一部を切り裂くだけでも可能である。あるいはミシン目を形成することでも可能である。
【0094】
次に、カッター604を押し当てた状態でプレスローラ602、602を僅かに回転させると、脆弱部601aを破断の起点として長尺物601が幅方向において破断し、幅方向の全幅において切断されると、自重で回収部608に垂れ下がる。
【0095】
次に、プレスローラ602、602を回転させて長尺物601を回収部608に送り出す。この構成においても先の実施の形態と同様に湿潤用液を吐出または滴下して脆弱部を形成することも可能である。
【0096】
図7に示すものでは、プレスローラ602、602および加熱ローラ603、603の搬送方向の下流側の位置にそれぞれ剥離部材をなす送風装置611a、611bを設けている。
【0097】
ここでは、長尺物601が上方の加熱ローラ603に巻き付いた場合について説明する。検出部607bにより長尺物601の巻き付きを検出した場合には、上流工程の帯状物形成部に対する原料供給を停止し、剥離部材をなす送風装置611bを駆動するとともに、プレスローラ602、602および加熱ローラ603、603の回転を継続する。
【0098】
上方の加熱ローラ603に巻き付こうとする長尺物601は、剥離部材をなす送風装置611bの風圧を受けて加熱ローラ603から離れ、回収部608に垂れ下がる。
【0099】
プレスローラ602、602および加熱ローラ603、603の回転が継続することで、後続の長尺部601の全てが回収部608に送り出される。