(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂として、ジカルボン酸成分および/またはジオール成分が炭素数2〜5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むものを用いることを特徴とする請求項1記載の半導体パッケージの製造方法。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレートを20〜60質量パーセント含有するポリエステル樹脂を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体パッケージの製造方法。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレートを40〜80質量パーセント含有するポリエステル樹脂を用いることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の半導体パッケージの製造方法。
パッケージされる素子を設置した金型における、パッケージ製造用の熱硬化性樹脂が充填されるキャビティ面に離型フィルムを配置したうえで、前記金型内に熱硬化性樹脂を充填する半導体パッケージの製造方法に用いられる前記離型フィルムであって、
前記離型フィルムは、前記金型のキャビティ面に接するように配置される基材フィルムと、前記金型内に充填される熱硬化性樹脂側に接するように配置される剥離用樹脂とが積層されており、
前記基材フィルムは、融点を金型設定温度以上に2点以上有する延伸ポリエステルフィルムにて構成されていることを特徴とする半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分および/またはジオール成分が炭素数2〜5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むことを特徴とする請求項7記載の半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートを20〜60質量パーセント含有するものであることを特徴とする請求項7または8記載の半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレートを40〜80質量パーセント含有するものであることを特徴とする請求項7から9までのいずれか1項記載の半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分および/またはジオール成分が、炭素数2〜5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むものであることを特徴とする請求項13記載の離型フィルム。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートを20〜60質量パーセント含有するものであることを特徴とする請求項13または14記載の離型フィルム。
基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレートを40〜80質量パーセント含有するものであることを特徴とする請求項13から15までのいずれか1項記載の離型フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1で開示されているフッ素樹脂積層フィルムは、高価である上、製造時に押出機スクリューを腐食させやすく、使用後の焼却廃棄処理において燃焼しにくく、かつ、焼却廃棄の際に有毒ガスが発生するなど環境汚染の面で好ましくない。
【0012】
近年では、半導体の小型化、複雑化が進んでおり、それに合わせて半導体モールド用離型フィルムに求められる要求性能が高まっている。すなわち、小型で複雑な形状の金型に追随できるような半導体モールド用離型フィルムが求められている。この観点によれば、特許文献2や3に開示された離型フィルムでは複雑形状の金型には追随できない恐れがある。さらに、複層の離型シートは各層の追随性が互いに相違するため、層が多くなるほど層間の追随性差が生じ、それがシワなどの原因となるという懸念もある。
【0013】
特許文献3に示されるような、粒子を含有した塗布層が設けられた離型フィルムでは、繰り返しモールド成型を行った際に、塗布層成分や含有粒子の脱落により金型汚れが顕著に発生し、その影響で例えばフィルムにシワが生じて半導体パッケージの外観を損ねることがある。さらに、金型温度よりも融点が低温である樹脂成分や共重合成分が多く、また融点ピークがなくとも結晶性の低い樹脂成分が含まれることがあり、それらの場合には、高温の金型とフィルムがくっつきやすくなり、金型との離型性が大きく低下して、シワや破れが発生しやすくなることがある。
【0014】
そこで本発明は、複雑な形状の金型にも追随でき、シワなどを抑制できるため製造時のトラブルがなく、離型性にも優れており、さらに、安価で、使用後の廃棄処理が容易で、しかも環境汚染の心配のない離型フィルムを用いて半導体パッケージを製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、半導体パッケージの製造において通常用いられる金型温度が170℃であるところ、その金型温度以上の融点(Tm)を2点以上有するフィルムが半導体封止工程に適切な特性をもたらすことを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
【0017】
(1)半導体パッケージの製造方法であって、
パッケージされる素子を設置した金型における、パッケージ製造用の熱硬化性樹脂が充填されるキャビティ面に離型フィルムを配置したうえで、前記金型内に熱硬化性樹脂を充填するに際し、
前記離型フィルムとして、
前記金型のキャビティ面に接するように配置される基材フィルムと、
前記金型内に充填される熱硬化性樹脂側に接するように配置される剥離用樹脂とが積層された積層フィルムを用い、
前記基材フィルムとして、融点を金型設定温度以上に2点以上有する延伸ポリエステルフィルムを用いることを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
【0018】
(2)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂として、ジカルボン酸成分および/またはジオール成分が炭素数2〜5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むものを用いることを特徴とする(1)の半導体パッケージの製造方法。
【0019】
(3)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレートを20〜60質量パーセント含有するポリエステル樹脂を用いることを特徴とする(1)または(2)の半導体パッケージの製造方法。
【0020】
(4)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレートを40〜80質量パーセント含有するポリエステル樹脂を用いることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの半導体パッケージの製造方法。
【0021】
(5)厚さが20μm〜100μmである離型フィルムを用いることを特徴とする(1)から(4)までのいずれかの半導体パッケージの製造方法。
【0022】
(6)170℃に設定したプレス機で5kg/cm
2で20分間保持した後、室温まで冷却して硬化したエポキシプリプレグとの剥離強度が1.0N/cm以下である離型フィルムを用いることを特徴とする(1)から(5)までのいずれかの半導体パッケージの製造方法。
【0023】
(7)パッケージされる素子を設置した金型における、パッケージ製造用の熱硬化性樹脂が充填されるキャビティ面に離型フィルムを配置したうえで、前記金型内に熱硬化性樹脂を充填する半導体パッケージの製造方法に用いられる前記離型フィルムであって、
前記離型フィルムは、
前記金型のキャビティ面に接するように配置される基材フィルムと、
前記金型内に充填される熱硬化性樹脂側に接するように配置される剥離用樹脂とが積層されており、
前記基材フィルムは、融点を金型設定温度以上に2点以上有する延伸ポリエステルフィルムにて構成されていることを特徴とする半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
【0024】
(8)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分および/またはジオール成分が炭素数2〜5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むことを特徴とする(7)の半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
【0025】
(9)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートを20〜60質量パーセント含有するものであることを特徴とする(7)または(8)の半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
【0026】
(10)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレートを40〜80質量パーセント含有するものであることを特徴とする(7)から(9)までのいずれかの半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
【0027】
(11)厚さが20μm〜100μmであることを特徴とする(7)から(10)までのいずれかの半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
【0028】
(12)170℃に設定したプレス機で5kg/cm
2で20分間保持した後、室温まで冷却して硬化したエポキシプリプレグとの剥離強度が、1.0N/cm以下であることを特徴とする(7)から(11)までのいずれかの半導体パッケージの製造工程用の離型フィルム。
【0029】
(13)成形金型のキャビティ面
に接するように配置される基材フィルムと
、前記金型内に充填される熱硬化性樹脂側に接するように配置される剥離用樹脂とが積層されてなる離型フィルムであって、
前記基材フィルムが、融点を金型設定温度以上に2点以上有する延伸ポリエステルフィルムであることを特徴とする離型フィルム。
【0030】
(14)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分および/またはジオール成分が、炭素数2〜5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むものであることを特徴とする(13)の離型フィルム。
【0031】
(15)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートを20〜60質量パーセント含有するものであることを特徴とする(13)または(14)の離型フィルム。
【0032】
(16)基材フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレートを40〜80質量パーセント含有するものであることを特徴とする(13)から(15)までのいずれかの離型フィルム。
【0033】
(17)厚さが20μm〜100μmであることを特徴とする(13)から(16)までのいずれかにの離型フィルム。
【0034】
(18)170℃設定したプレス機で5kg/cm
2で20分間保持した後、室温まで冷却して硬化したエポキシプリプレグとの剥離強度が1.0N/cm以下であることを特徴とする(13)から(17)までのいずれかの離型フィルム。
【発明の効果】
【0035】
本発明の半導体パッケージの製造方法によれば、用いる離型フィルムが、半導体パッケージの製造における金型設定温度である高温雰囲気下において、金型キャビティで真空引きする際に、しわ、破れ等がなく、金型に追随することができ、熱硬化性樹脂や金型との離型性も良く破れないため、良好な外観を有する半導体パッケージを得ることができる。すなわち、連続生産する工程において生産性が良いという利点がある。
【0036】
また、本発明の離型フィルムは、特定構造のポリエステル系延伸フィルム基材と、離型層から構成されているため、機械的強度、耐熱性、追随性、経済面に優れており、特に半導体パッケージの製造などに用いられるインモールド成型用の離型フィルムとして好適である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
まず、本発明の実施の形態の半導体パッケージの製造方法が説明される。
【0039】
図1および
図2において、11は半導体パッケージをトランスファー成形するための金型であり、固定式の上型12と、上型12に対して近づいたり遠ざかったりすることができる移動式の下型13とを備えている。上型12には、半導体パッケージを構成する熱可塑性樹脂を包埋するためのキャビティ14が形成されている。キャビティ14は、パッケージ形成部15と、樹脂導入部16と、これらパッケージ形成部15および樹脂導入部16を互いに連通させるためのゲート17とを備える。下型13には、樹脂導入部16へ溶融状態の熱硬化性樹脂を送り込むための樹脂送給路18が形成されている。
【0040】
21は本発明にもとづく離型フィルムで、ロール・ツゥ・ロール方式で、上型12と下型13との間に装填されている。22は送り出しロール、23は巻き取りロールである。
【0041】
キャビティ14のパッケージ形成部15は、
図1に示すように離型フィルム21の幅方向に一対が設けられるとともに、
図2に示すように離型フィルム21の長さ方向に複数が設けられている。樹脂導入部16は、離型フィルム21の幅方向に一対のパッケージ形成部15、15に対応して、これらパッケージ形成部15、15同士の間に一つが設けられている。また樹脂導入部16は、図示は省略するが、離型フィルム21の長さ方向に沿って位置の異なる一対のパッケージ形成部15、15ごとに、各一つが設けられている。
【0042】
半導体パッケージを製造する際には、
図1および
図2に示すように下型13を上型12から遠ざけた型開きを行い、巻き取りロール23を回転させることで、送り出しロール22から供給される離型フィルム21における未使用の新しい部分を、この部分に張力を付与した状態で、上型12と下型13との間に送り込む。
【0043】
その後、
図3および
図4に示すように、上型12と下型13との間に存在する離型フィルム21の部分を、真空吸引によりキャビティ14の内面に張り付ける。このとき本発明にもとづく離型フィルム21は、後述のようにキャビティ14の内面形状に良好に追隋し、しかもキャビティ14の内面に張り付いたときに「しわ」などの発生がないという利点がある。「しわ」が発生すると、モールド成型において、成型品にしわが転写されるため外観不良を引き起こす。
【0044】
その後、
図5に示すように、下型13におけるキャビティ14のパッケージ形成部15に対応した位置に、半導体素子25を装着した半導体基板26を、銅板24に乗せた状態で設置する。銅板24は、一対のパッケージ形成部15、15に対応した離型フィルム21の幅方向には互いに分離しており、複数のパッケージ形成部15、15に対応した離型フィルム21の長さ方向には互いに連続している。
【0045】
そして、
図6に示すように下型13を上型12に近づく方向に移動させて型締めを行い、下型13の樹脂送給路18から
図5に示すキャビティ14の樹脂導入部16に向けてエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂27を溶融状態で圧送する。樹脂導入部16に送り込まれた熱硬化性樹脂27は、ゲート17を通って、パッケージ形成部15に充填される。これによって、半導体素子25および半導体基板26が熱硬化性樹脂27の内部に包埋される。銅板24は、半導体素子25および半導体基板26が包埋された側とは反対側の面が熱硬化性樹脂27から露出した状態となる。詳細には、図示のように樹脂送供給路18の内部にプランジャ19が配置されており、このプランジャ19によって熱硬化性樹脂27をキャビティ14の内部に圧密充填させる。
【0046】
このとき、熱可塑性樹脂27として、半導体パッケージに一般的に使用される上述のエポキシ樹脂を用いる場合には、金型11の温度は170℃以上に設定され、好ましくは170℃〜180℃、より好ましくは170℃〜175℃に設定される。このような高温下において、本発明にもとづく離型フィルム21は、後述のように耐熱性を有するために、熱収縮やそれを原因とする「しわ」が発生しないという特長を有する。
【0047】
充填された樹脂27が硬化したなら、
図7および
図8に示すように下型13を上型12から遠ざけて型開きを行い、得られた成形品28を金型11から取り出す。このとき、本発明にもとづく離型フィルム21は、後述のように、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂27からの離型性が良好である。その後、巻き取りロール23を駆動して、離型フィルム21における使用済みの部分を金型11から排出するとともに、
図1および
図2に示すように離型フィルム21における未使用の部分を新たに金型11に導入する。
【0048】
以上においては、金型11の外部からその内部へ溶融状態の熱硬化性樹脂27を圧密充填させる「トランスファーモールド工程」について説明した。しかし、離型フィルム21は、それ以外のモールド工程、例えば、あらかじめ金型内に粉粒状の熱硬化性樹脂を充填したうえで型締めを行う公知の「コンプレッションモールド工程」などにも同様に用いることができる。
【0049】
以下、本発明にもとづく離型フィルム21が詳細に説明される。
【0050】
図9に示すように、離型フィルム21は、
図1〜
図8に示される金型11のキャビティ14側に配置される基材フィルム31と、硬化後の熱硬化性樹脂27からの良好な剥離を行うために同樹脂27側に配置される剥離用樹脂層32とを備えた積層体によって構成されている。
【0051】
まず、基材フィルム31を詳細に説明する。基材フィルム31は、金型設定温度以上たとえば170℃以上に融点を2点以上有する延伸ポリエステルフィルムによって構成される。
【0052】
融点を金型設定温度以上に2点以上有するとは、それぞれ融点が金型設定温度以上である2種類以上のポリエステル樹脂がブレンドされていることをいう。それぞれ融点が金型設定温度以上である2種類以上のポリエステル樹脂がブレンドされていることで、低融点側の樹脂のもつ金型温度170℃という高温での柔軟性により金型への追随性が向上し、高融点側の樹脂のもつ耐熱性により離型時の破れが防止されるといった、両方の性質を併せ持つ利点がある。
【0053】
このようなポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。さらにそれらの共重合体なども挙げることができる。
【0054】
なかでも、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分および/またはジオール成分が炭素数2〜5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むものが、高温化での高分子鎖が動きやすく、金型への追随性に最適であるために、特に好ましい。このようなポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アジピン酸共重合ポリエステルなどの共重合体、などの、170℃以上に融点をもつものを挙げることができる。
【0055】
基材フィルムを構成するポリエステルフィルムは、延伸フィルムであることが必要である。その理由は、未延伸フィルムでは配向していないため強度が低くそのため成型時に破れ、また、金型のような高温雰囲気のもとでは収縮が大きくしわが発生するからである。
【0056】
原料のポリエステル樹脂の重合方法としては、特に限定されないが、例えば、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、160℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。その際、触媒として、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、リチウム、チタン等の酸化物や、酢酸塩などを用いてもよい。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで反応を進める。その際、触媒として、アンチモン、チタン、ゲルマニウム等の酸化物や、酢酸塩などを用いてもよい。
【0057】
重合後のポリエステル樹脂は、モノマーやオリゴマー、アセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等の副生成物を含んでいるため、減圧または不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合を施しても良い。固相重合を施したポリエステルを用いると、基材フィルム31の製造工程において押し出された未延伸シート及びフィルムの表面へのオリゴマーの析出が防止されるため好ましい。オリゴマーについては、半導体封止といった精密工程においては、金型等への汚染がより少ない方が好ましい。このため、上記の固相重合したものの方が好ましい。
【0058】
ポリエステル樹脂を重合する際、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、リン系化合物が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。帯電防止剤としては、例えばアンチモンドープ酸化錫が挙げられる。ブロッキング防止剤としては、例えばケイ素酸化物が挙げられる。
【0059】
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜、他の成分を共重合することができる。共重合に用いられる酸成分としては、特に限定されないが、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、4−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多官能カルボン酸等を挙げることができる。これらの共重合成分は2種以上併用しても良い。
【0060】
共重合に用いられるアルコール成分としては、特に限定されないが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールなどを挙げることができる。これらの共重合成分は2種以上併用しても良い。
【0061】
共重合成分の割合は好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは15モル%以下である。20モル%を超えると樹脂の結晶性が低下し、このためフィルム化した時の強度が低下し、その結果、離型時に破れが発生しやすくなる。また、共重合量が多くなるほど、融点が低下するため耐熱性の面で好ましくない。
【0062】
上述のように、基材フィルムは、それぞれ金型設定温度以上に融点を有する2種類以上のポリエステル樹脂をブレンドしたポリエステルフィルムによって構成されている。
【0063】
ポリエステル樹脂のブレンド比率について、ポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、そのブレンド比率が20〜60質量パーセントであることが好ましく、より好ましい下限値は25質量パーセントであり、上限値は55質量パーセントである。また、ポリブチレンテレフタレートを用いる場合は、そのブレンド比率が40〜80質量パーセントであることが好ましく、より好ましい下限値は45質量パーセントであり、上限値は75質量パーセントである。
【0064】
ポリエチレンテレフタレートを用いると、高温下での成型をする際に、ポリエチレンテレフタレートのもつ耐熱性により、フィルムが破れにくくなる。ポリブチレンテレフタレートは、例えばポリエチレンテレフタレートに比べて、化学骨格中に含まれる脂肪族の炭素数が2つ多いため、分子鎖の可動性が高く、柔軟性が高い。このため、基材フィルム31を構成する2種類以上の樹脂のうちの2つとして、上記したポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートという骨格の異なる2種類以上の樹脂を上記の最適な比率で混合することで、得られたフィルムの柔軟性が向上して、成型時の金型追随性が良くなる。
【0065】
ポリブチレンテレフタレートが80質量%を超えると、特性が過剰に発現して、機械強度や耐熱性が低く、このため成形時の温度下でシワが発生しやすくなり離型時に破れが生じやすくなる。一方、ポリエチレンテレフタレートが60質量%を超えると、特性が過剰に発現して、金型追随性が低下し、またかたく割れやすくなり、このため例え機械強度を有していても離型時に破れやすくなる。
【0066】
基材フィルム31の製法は、特に限定されず、従来から知られている方法を用いることができる。例えば、Tダイ法もしくはチューブラー式製膜法等の公知の製法で押出された樹脂シートを未延伸シートとし、続いてこの未延伸シートを一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等の公知の製法により延伸する。基材フィルム31は延伸フィルムであることが必要であり、したがって延伸工程が必要である。未延伸シートは、結晶性が低く、耐熱性に劣る。厚みむらの少ないフィルムを製造するためにはTダイ法で樹脂シートを得ることが好ましく、続いて逐次二軸延伸もしくは同時二軸延伸等により延伸する。
【0067】
基材フィルム31の詳細な製法としては、例えばポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとを上記の比率とした樹脂組成物を、Tダイを備えた押出機を用いて、230〜280℃で溶融後Tダイよりシート状に押出し、これを40℃以下の温度に調整されたキャスティングロールに密着させて急冷し、所定の厚さの未延伸シートを得るのが好ましい。原料樹脂組成物を均一に混合するために、あらかじめ溶融混合された材料を用いてもよい。
【0068】
上記のようにして得られた未延伸シートを、例えばフラット式同時二軸延伸法で延伸する場合には、未延伸シートの幅方向の両端をクリップでつかみ、シートの両面から40〜100℃の熱風を吹き付けて予熱し、50〜120℃雰囲気下で縦方向及び横方向にそれぞれ2〜4倍程度延伸する。その後、80〜180℃程度で数秒間処理し縦もしくは横方向に数%弛緩する。さらに所定の収縮率を持つフィルムを得るために、80〜200℃で数秒間熱処理して熱固定した後、室温まで冷却し20〜300m/minの速度で巻き取る。延伸温度が50℃未満の場合には、延伸応力が高すぎるために、ネッキングが発生しやすい。反対に延伸温度が120℃を超える場合には、溶断したり、フィルムの結晶化が進みすぎて白化を起こしたりする。熱固定温度が200℃を超えると、フィルムにたるみが生じやすくなりフィルムの品位を著しく損なう。
【0069】
延伸後の熱固定方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば延伸フィルムに熱風を吹き付ける方法、延伸フィルムに赤外線を照射する方法、延伸フィルムにマイクロ波を照射する方法が挙げられる。均一に精度よく加熱できる点で、延伸フィルムに熱風を吹き付ける方法が好適である。延伸工程と熱固定工程との間に熱緩衝工程を設けてもよい。
【0070】
基材フィルム31の層構成は特に限定されるものではなく、単層、二種二層、二種三層、三種三層などの、どのような層構成であってもよい。なかでも、片面ごとに表面粗度を制御できる複層であることが好ましい。また基材フィルム31は、ポリエステルが全体の90質量%以上であることが好ましい。それ未満であると、ポリエステルに特有の柔軟性が不足し、成型時の追随性が劣りやすくなる。
【0071】
離型フィルム21の巻き取り性を改善するために、基材フィルム31は粒子を含有してもよい。粒子は、易滑性付与可能な粒子であれば、本発明の効果が損なわれない範囲で特に限定されるものではない。具体例としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機粒子が挙げられる。
【0072】
あるいは、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等からなる耐熱性のよい高分子微粒子、脂肪酸エステルや脂肪酸アミド等の有機滑剤、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の耐熱性有機粒子を用いてもよい。さらに、ポリエステルの製造工程中において、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。使用する粒子の形状は特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれでもよい。その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0073】
粒子の平均粒径は、通常0.01〜6μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となる場合がある。一方、平均粒径が6μmを超える場合には、フィルムの表面が粗くなりすぎて、後工程において
図9に示される剥離用樹脂層32を塗設する場合等に不具合が生じることがある。
【0074】
基材フィルム31に粒子を含有させる方法は、特に限定されるものではなく、ポリエステルを製造する任意の段階において粒子を添加することができる。例えば、エステル化段階、もしくはエステル交換反応終了段階である。
【0075】
半導体封止工程において離型フィルム21の表面状態が熱硬化性樹脂に転写されることを考慮して、その意匠性付与のために、離型フィルム21に、例えば、上記粒子等の練り込み、オフライン工程でのエンボス加工やサンドマット加工、インライン工程での梨地ロールによる冷却成型を行っても良い。
【0076】
さらに離型フィルム21には、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を含有させることができる。
【0077】
離型フィルム21の厚さは、20〜100μmであることが好ましく、20〜80μmであることがより好ましく、25〜60μmであることがさらに好ましく、35〜60μmが最も好ましい。離型フィルム21の厚さが20μmより薄いと、破断強度が低くこのため離型時の破れの発生につながりやすく、厚さが100μmより厚いと追随性が低下する傾向にある。ただし、基材フィルム31は、延伸フィルムであるため、耐熱性に加えて強度も高いことから、半導体パッケージの製造工程用の離型フィルムとして主流となっている厚さ50μmのものと比較すると薄膜化を期待できる。薄膜化により、コストメリットだけでなく、
図2、
図4、
図8に示されるロール22を構成するフィルムの長さを増大させることができ、このため半導体封止工程におけるロールの装填頻度を減らすことができて、作業性の向上にも大きく寄与できる。
【0078】
図9に示される剥離用樹脂層32が説明される。剥離用樹脂層32の組成は、特に限定されるものではなく、熱硬化型や照射硬化型のシリコーン系や、フッ素系、長鎖アルキル系、ポリオレフィン系などの非シリコーン系などの公知の離型層を挙げることができる。熱硬化型シリコーンとしては、付加反応型シリコーンや縮合反応型シリコーンなどが挙げられる。照射硬化型シリコーンとしては、UV硬化型シリコーンやEB硬化型シリコーンが挙げられる。また、フッ素系は、フッ素樹脂フィルム化したものやフッ素系材料のコーティング液が挙げられ、長鎖アルキル系は、長鎖アルキル基含有ポリマーのコーティング液が挙げられ、ポリオレフィン系はポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン系樹脂自体をフィルム化したものや、酸変性ポリオレフィン樹脂のコーティング液が挙げられる。
【0079】
本発明における離型フィルム21は、170℃に設定したプレス機で5kg/cm
2で20分間保持した後、室温まで冷却して硬化したエポキシプリプレグとの剥離強度が1.0N/cm以下であることが好ましく、0.7N/cm以下であることがより好ましく、0.5N/cm以下がさらに好ましく、0.3N/cm以下が最も好ましい。剥離用樹脂層32は、この剥離強度を満足するものであれば特に限定するものではなく、離型フィルム21の薄膜化の観点からコート液を塗布して形成する剥離用樹脂層であることが好ましい。剥離用樹脂層32は、基材フィルム31の表面に薄く形成されていれば足りる。その形成方法としては、インラインコート法、オフラインコート法を挙げることができる。コストメリットの面でインラインコート法が望ましい。
【実施例】
【0080】
下記の実施例及び比較例における特性値の測定法は以下の通りである。
【0081】
(1)融点(℃)
Perkin Elmer社製DSCを用い、20℃/minで昇温して、基材フィルムの融点を測定した。
【0082】
(2)厚さ
ハイデンハイン社製の厚み測定器MT−12Bを用いて測定した。
【0083】
(3)剥離強度
60mm×100mmの大きさのエポキシプリプレグ(住友ベークライト社製 EI−6765)の両面を離型フィルムで挟み、プレス板を金型設定温度としての170℃に設定したプレス機で5kg/cm
2で20分間保持した。その後、室温まで冷却しサンプルを得た。得られたサンプルの、硬化後のエポキシプリプレグと離型フィルムとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。剥離強度は、スペクトルの強度が安定した部分の平均値を取った。評価結果はn=5の平均値とした。
【0084】
(4)しわ
キャビティの内寸が220mm×55mm×1.5mmである金型を170℃に加熱し、離型フィルムを装填して真空引きし、2分間保持した。その後、真空引きを解除して常圧にし、離型フィルムを取り除き、取り除いた離型フィルムにおけるしわの有無を目視により確認した。この操作を200回繰り返し、しわの発生回数を確認した。
【0085】
(5)離型性
離型フィルムを用い、上記(4)しわ評価と同じ金型を170℃の温度設定で用いてモールド成型装置による加工を行った。成型後に金型を開けた時の離型フィルムとパッケージの状態を目視で観察し、次の基準に従って評価した。
良好:フィルムがパッケージから完全に剥がれていた。
普通:金型の型開き時にフィルムの一部がパッケージに引っ張られながら剥がれた。
不良:フィルムがパッケージから剥がれず残っていた。
【0086】
(6)破れ
離型フィルムを用い、上記(4)しわ評価と同じ金型を170℃の温度設定で用いてモールド成型装置による加工を行った。成型後に金型を開けた時に離型フィルムが破れなかったかを、目視で確認した。この操作を200回繰り返し、破れの発生回数を確認した。
【0087】
(7)追随性
上記(6)の加工において、離型フィルムが破れなかったものについて、離型フィルムの追随性にもとづく、成型されたパッケージの角部と辺部との状態について目視で観察し、丸みを帯びたパッケージの発生回数を確認した。
【0088】
(8)良品率
上記(6)と(7)の結果より、200回の加工で得られたパッケージの良品率を算出した。良品率は80%以上を合格とした。
【0089】
(実施例1)
以下、ブレンドするポリエステル樹脂について、比率の高いものから、第1樹脂、第2樹脂、第3樹脂と称する。
【0090】
第1樹脂としての、PBT(ポリブチレンテレフタレート、IV(極限粘度)1.08dl/g、Tm(融点)223℃)54質量部と、第2樹脂としての、PET(ポリエチレンテレフタレート、IV0.75dl/g、Tm255℃)46質量部とをドライブレンドしたものを、Tダイを備えた押出機を用いて、275℃でシート状に溶融押出し、表面温度18℃の冷却ドラムに密着させて冷却し未延伸シートを得た。得られた未延伸シートの幅方向の端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップにて把持し、60℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度80℃でMD(機械方向)に3.0倍、TD(幅方向)に3.3倍で同時二軸延伸した。その後、TDの弛緩率を5%として、温度195℃で4秒間の熱固定を施した。そして、室温まで冷却して巻き取り、同時二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。その後、トルエンで希釈した溶剤付加反応型シリコーン(信越化学工業社製のKS−847T(シリコーンA))を、#3マイヤーバーを用いてハンドコートした後、150℃×30秒間乾燥した。これにより、厚さ0.2μmの剥離用樹脂層を形成した厚さ50μmの離型フィルムを得た。
【0091】
以上のようにして得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
(実施例2、3、16〜18)
実施例1に比べ、PBTとPETとの組成比を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0094】
(実施例4)
実施例1と同様にして同時二軸延伸フィルムを得た。その後、剥離用樹脂層に下記のようにして製造した樹脂組成物Xを用い、実施例1と同じ条件でコートし、厚さ0.2μmの剥離用樹脂層を形成した厚さ50μmの離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0095】
[樹脂組成物Xの製造]
下記のようにして製造した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体Mと、ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製「VC−10」、重合度:1,000)の8質量%水溶液と、架橋剤としてのオキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製、エポクロス「WS−500」、固形分濃度:40質量%)とを、ポリビニルアルコールが酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して50質量部、オキサゾリン化合物の固形分が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10質量部となるように混合して、液状の樹脂組成物Xを得た。
【0096】
[酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体Mの製造]
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた攪拌機を用いて、60.0gの、下記のようにして製造した酸変性ポリオレフィン樹脂Yと、45.0gのBu−EG(和光純薬社製、特級、沸点171℃、なお「Bu−EG」はエチレングリコール−n−ブチルエーテルを意味する)と、6.9g(樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)のDMEA(和光純薬社製、特級、沸点134℃、なお「DMEA」はN,N−ジメチルエタノールアミンを意味する)と、188.1gの蒸留水とを上記のガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を300rpmとして攪拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間攪拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体Mを得た。なお、フィルター上には残存樹脂は殆どなかった。
【0097】
[酸変性ポリオレフィン樹脂Yの製造]
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って、攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。
【0098】
反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂Yを得た。
【0099】
(実施例5)
実施例1と同様にして未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機に導き、45〜55℃で予熱した後、60〜70℃で、MD(機械方向)に3.0倍に縦延伸した。
【0100】
そして室温まで冷却した後、フィルムの幅方向の両端をクリップにつかみながら75℃で予熱し85〜95℃で、TD(幅方向)に3.3倍に横延伸した。さらに、温度190℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、逐次二軸延伸フィルムを得た。その後、剥離用樹脂層に樹脂組成物Xを用い、実施例1と同じ条件でコートし、厚さ0.2μmの剥離用樹脂層を形成した厚さ50μmの離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0101】
(実施例6、7)
実施例6においては、第2樹脂として、実施例1のPETのホモポリマーに代えて、イソフタル酸を4モル%共重合した共重合ポリエステル(IPA4、Tm(融点)245℃)を用い、組成比を表1に示すように変更した。実施例7においては、第2樹脂として、実施例1のPETのホモポリマーに代えて、アジピン酸を6モル%共重合した共重合ポリエステル(AD6、Tm(融点)240℃)を用い、組成比を表1に示すように変更した。実施例6、7とも、剥離用樹脂層として、信越化学工業社製のKS−3703(シリコーンB)を使用した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0102】
(実施例8〜10)
実施例1に比べて離型フィルムの厚さを表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0103】
(実施例11)
実施例1に比べ、樹脂組成比を表1に示すように変更するとともに、未延伸シートの延伸方法を実施例5と同じ逐次二軸延伸方法に変更した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0104】
(実施例12〜14)
実施例1に比べ、第1樹脂を変更した。詳細には、実施例12においては、第1樹脂として、ポリブチレンテレフタレートに平均分子量Mw:1000のPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)を15質量部共重合した共重合PBT(変性PBT、Tm(融点)218℃)を用いた。実施例13においては、第1樹脂として、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT、Tm(融点)228℃)を用いた。実施例14においては、第1樹脂として、アジピン酸を15モル%共重合した共重合ポリエステル(AD15、Tm(融点)225℃)を用い、組成比を表1に示すように変更した。
それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0105】
(実施例15)
実施例1に、さらにアジピン酸を6モル%共重合した共重合ポリエステル(AD6、Tm(融点)240℃)を第3樹脂として用い、組成比を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にし、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0106】
(比較例1)
実施例1に比べ、離型層を設けずに、基材フィルムのみを用い、それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0107】
(比較例2)
実施例1と同様にして未延伸シートを得た。ただし、厚さについては、未延伸シートで50μmとなるように吐出量を調整した。延伸処理と、その後の熱固定処理とは施さなかった。この未延伸シートに、実施例1と同様にシリコーンコートをハンドコートして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0108】
(比較例3)
実施例1に比べ、第1樹脂をTm(融点)165℃のポリ乳酸(PLA)に変更した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0109】
(比較例4)
実施例1に比べ、第1樹脂を実施例1の第2樹脂と同じPETに変更するとともに、第2樹脂をTm(融点)165℃のポリ乳酸に変更した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0110】
(比較例5)
実施例11に比べ、第1樹脂にシクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合した共重合ポリエステル(CHDM30、Tm(融点)なし)を用い、第2樹脂にジエチレングリコールを8モル%共重合した共重合ポリエステル(DEG8、Tm(融点)240℃)を用いて、組成比を表1に示すように変更した。それ以外は実施例11と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0111】
(比較例6)
実施例11に比べ、第1樹脂に実施例1の第2樹脂と同じPETを用い、第2樹脂にネオペンチルグリコールを60モル%共重合した共重合ポリエステル(NPG60、Tm(融点)なし)を用いて、組成比を表1に示すように変更した。さらに厚さを表1に示すように変更した。それ以外は実施例11と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0112】
(比較例7)
実施例1に比べ、第1樹脂を実施例1の第2樹脂と同じPETに変更するとともに、第2樹脂は用いなかった。さらに厚さを表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0113】
(比較例8)
実施例1に比べ、第1樹脂は実施例1と同じPBTとしたが、第2樹脂は用いなかった。さらに厚さを表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0114】
(比較例9)
実施例1に比べ、第1樹脂を実施例6の第2樹脂と同じIPA4に変更するとともに、第2樹脂は用いなかった。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0115】
(比較例10)
実施例1に比べ、第1樹脂をアジピン酸を8モル%共重合した共重合ポリエステル(AD8、Tm(融点)235℃)に変更するとともに、第2樹脂は用いなかった。それ以外は実施例1と同じとして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1に示す。
【0116】
実施例1〜18の離型フィルムは、半導体パッケージの成形性に優れ、得られた成形品の外観は良好であった。特に実施例1、4、5、8、11の離型フィルムは、フィルムの厚さが最も好ましい範囲であり、基材フィルムとしてPETをより好ましい範囲で含有し、かつ、PBTをより好ましい範囲で含有していたため、しわ、破れ、追随性の評価が良好な結果であった。
【0117】
一方、比較例1の離型フィルムは、剥離用樹脂層を積層していなかったため、離型性が発現しなかった。このため、フィルムを剥離する際に、同フィルムが破壊し、剥離強度を測定することができなかった。モールド成型装置で加工すると、金型を開けた際にフィルムがパッケージから剥がれず、それをきっかけとしてフィルムが破れた。パッケージにはフィルムの破片が付着しており、パッケージの状態にもとづく追随性の評価はできなかった。
【0118】
比較例2の離型フィルムは、基材フィルムが未延伸のポリエステルフィルムであったため、耐熱性に劣り、フィルムを剥離する際に、同フィルムが破壊し、剥離強度を測定することができなかった。また、しわを評価するための高温条件下で大きく収縮してしわが発生し、離型性に劣り、フィルムも破れた。パッケージにはフィルムの破片が付着しており、パッケージの状態にもとづく追随性の評価はできなかった。
【0119】
比較例3〜5の離型フィルムは、融点の低いPLAや、結晶性が低く融点のないCHDM30を用いたために、耐熱性に劣り、フィルムを剥離する際に、同フィルムが破壊し、剥離強度を測定することができなかった。また、しわを評価するための高温条件下で大きく収縮してしわが発生し、離型性に劣り、フィルムも破れた。パッケージにはフィルムの破片が付着しており、パッケージの状態にもとづく追随性の評価はできなかった。
【0120】
比較例6の離型フィルムは、融点の低いNPG60を用いたが、その樹脂比率が低いため、剥離強度は測定できた。しかし、実際の成型時には、繰り返し成型を行うことで、しわやフィルムの一部が溶けて破れる現象が頻繁に発生した。成型時に破れの発生しなかったものについては、追随性は良好であった。
【0121】
比較例7、9の離型フィルムは、第2樹脂を用いなかったために、追随性に劣り、また、しわも発生しやすく、さらにそのしわ部をきっかけとしてフィルムが破れる現象が頻繁に発生した。
【0122】
比較例8、10離型フィルムは、第2樹脂を用いなかったために、耐熱性に劣り、しわが発生した。モールド成型装置で加工すると、発生したしわが離形性を阻害した。さらにそのしわ部をきっかけとして、また、フィルムの強度も不足していたため、フィルムが破れた。成型時に破れが発生しなかったものについては、追随性は良好であった。
【0123】
比較例1〜10の離型フィルムにおいて、所要の全ての性能(しわ、離型性、破れ、追随性)を同時に満足するものは無かった。